ヒャックマン、ガチャピン
今回は、1年ほど前の話なのだ。
父ちゃんは、土曜日(24日)、三重県のモトクロスランド多度に子どもを連れて練習に行っていた。
やはりひと月、練習しないとバイクの挙動がつかみづらかったぞ。
親戚の子も今まで飛べなかったジャンプが飛べるようになって喜んでいた。
しかし、子どもはよく練習しますわ。
父ちゃんは、正味1時間も走ればくたくたなのだが、子どもたちは一日中乗って「今度は俺が一番だった」とか
訳の分からないことを言っていた。
日曜日(25日)、全日本モトクロス最終戦(埼玉県川越市桶川)。
今回は250cc世界チャンピョンのステファン・エバーツ(モトクロス界の王子様、ベルギーの貴公子)がやってきていた。
う〜ん、マジな国際A級の走りを間近に見るとすごいのだ。
最初の土手で見ているときは、子どもたちもあの選手は速いとか、この選手は下手とか批評をしまくっていたが、
場所を移動して、20mぐらいのテーブルトップジャンプのすぐ脇に移動したらあまりの迫力にびっくりしていたぞ。
バイクが20mくらいむこうからすごい勢いで飛んできて、着地するときにはドンって地面が揺れるのだ。
それが次から次へとくるものだから、子どもたちは泥をかぶりながら口をぽかんと開けてみていた。
実は、今回は、見に来ただけでなく、応援しに来たのだ。
「ヒャックマ〜ン!」「けんちゃ〜ん!」
父ちゃんたちは、知っている選手が来るたびに手を振ってみんなで応援していた。
ヒャックマン:ご存じ、ウッチャン・ナンチャンの炎のチャレンジャーのやっつけると100万円が貰えるやつだ。
もちろん、テレビの時のような格好で走っているわけはないのだが、
父ちゃんは、始めてテレビで見たときからに誰がやっているのかを見破っていたのだ。
250クラスで、ホンダのバイク、関東地方にいて(撮影場所が関東)コーナーやジャンプの格好を見ていても、
もうこの選手しかいないと考えていたのだ。
子どもや嫁さんに言ったのだが、なかなか信用してもらえんかった。
しかし、嫁さんは、近畿大会の時、メカニックに確かめるという暴挙に出てしまったのだ。
嫁さん:「**選手って、ほんとはヒャックマンでしょ?」
メカ:「それは答えられません」
嫁さん:「だって、**選手ってあんなに速いんだもんヒャックマンだと思っていたんですよ。
すっごくかっこいいし」
(嫁さん、この時37才)
メカ:「内緒ですよ、そうなのですが、人には言わないでくださいよ」
気のいいメカニックの人は、ミーハーなおばさんに気を許して教えてくれたのだった。
ヒャックマンと言えば、ガチャピン。(なんでやねん?)
ポンキッキのガチャピンもモトクロスをやるのだ。
ポンキッキで放送されたのは、三重県の多度モトクロスコースで行われた多度チャンピョンシップなのだ。
そのシリーズには、父ちゃんたち親子も出ていたのだ。
子どもは、KIDS50と60。
父ちゃんは、レーサーオープンというクラスでその時は優勝。(バイクはRMX250だった)
ガチャピンは80ccのクラスで5位だから、父ちゃんは、ガチャピンより速いのだ。
(・・と思う。?)
パドックでウロウロしているムックを見て長女(3才)は「かいじゅう、こわい」と逃げ回っていた。
うちはポンキッキは見ていないのだ。
話を戻そう。
もうひとりの応援は、けんちゃんだ。けんちゃんは、中学生の頃から知っているのだった。
コースでもたまに一緒になるので子どもたちも知ってる。
だけど、声を掛けるわけでもないので本人は、この変な親子を知らないだろう。
国際A級(IA)がコースに練習にくると、雰囲気が変わるのだ。
それまで、でかい顔をしていた国際B級(IB)もコースの脇にバイクを止めて、IAの走りを観察し始めたりする。
そのうち、何人かの腕自慢が後を一生懸命になって追いかけるのだが、IAは、気にもとめずに自分のペースで走り続ける。
疲れた連中は、又観察に回り、次から次と新しい奴らが
挑戦するのだが、あいかわらずIAは自分のペースで走り続けている。
国内B級(一番遅いクラス、でも町中で走っているいる奴らに比べればべらぼうに早い、
実際にレースを経験しているのといないのとではやはり違うのだ)、
国内A級の子たちは、じっとコース脇で見ている。
少しでも盗めるものは盗んでやろうと真剣に見つめている。これには、年齢は関係ないのだ。
38才ぐらいのおっさんが、12才ぐらいの子どもの走りを見つめていることもあるのだ。(父ちゃんのことだ)
父ちゃんは、この雰囲気が大好きなのだ。
そんなIAのけんちゃんが、真っ赤な顔をしながら目の前をバイクに振り落とされそうになりながら走ってる。
(近畿大会の時は予選落ちだった、決勝進出は30台)
練習で会うけんちゃんは、いつもとってもスムーズにきれいに美しく走っている。
一生懸命に後ろについて走っていても(少ししかついていけないが)思わず「きれい!」って叫んでしまうのだ。
バタバタ走っている父ちゃんの横をまるで一人だけ舗装路を走っているように抜いていくのだ。
そのけんちゃんが、足をバタバタさせ振り落とされそうになりながら格好悪く走っている。
一生懸命って、格好の良いことばかりではないのだ。
でも、その姿にはまた違った感動があったのだ。
「けんちゃ−ん!がんばれ」父ちゃんも子どもたちも声をからして声援していた。
モトクロス界の王子様、ステファン・エバーツがけんちゃんをラップ(週遅れ)していった。
(けんちゃんは、30台中27位を走行していた)
その走りは、文句なく美しいものだった。世界のレベルを見せつけてくれた。
「エバーツ!」いつの間にか子どもたちはエバーツのファンだ。
父ちゃんがけんちゃんを目標としているように、
子どもたちには、世界チャンピョンが身近な目標になっているようだった。
楽しい週末だった。