2歳児の様子(12月)


12月の2歳児の様子をみなこ先生(主任)が書いてくれました。

 「ごはんできたよ、はい、どうぞ。」

「パクパク。おいしいねー。」

“みたて”や“つもり”遊びができるようになり、

2歳児は盛んにままごとをします。


1歳児の頃は、ままごとのスプーンも本当に口につっこんだり、

おもちゃのおだんごやハンバーグも平気でなめたり噛もうとしたりして、

小さめのものなんかは飲み込んだりするので

とても身の回りには置けなかったのが、いつの間にか“みたて”であそぶ楽しさを覚えます。


はじめは真似から、保育者や年上の子のやる様子をじっと見て、自分の中に取り込もうとします。


保育者がトレイの上にごちそうを並べれば、

こちらが感心するくらい、まったく同じものを同じ位置に並べるなおちゃん。

はじめは保育者が「はい、ごはんだよ。どうぞ。」と言って渡していたのが、

言葉まで同じように真似して持ってきます。


「わぁ、おいしそう、いただきまーす。パクパク。」

と食べる様子を満足そうにじっと見つめ、トレイを返すと、

「もう1回?」と聞きながら、繰り返しを催促してきます。

真似から何度も繰り返すうちに、はじめはトレイにごちそうをうまく並べられなかったのが、

指先を使ってできるようになり、
またトレイに並べても今度は保育者のところへ持ってくるまでにこぼれたりしたのが、

トレイを持って、保育者のいる方向とトレイに目を配りながら、バランスよく歩くことができる様になりました。


単純なことを本当に飽きもせず何度も繰り返しては満足するなおちゃんに、

2歳児の姿を実感させられました。

でも、注意してみていると、繰り返しの途中から、はじめの頃の満足そうな表情に変化が見られてきました。

目線が前ほど集中していないのです。

とうとう飽きたのかな、と思って様子を見ていると、

なおちゃんは、保育者への往復の間に床の上にひも通しの細いひもがまるまって落ちているのを目に留めました。

それを手にとってあいているお茶わんに何気なくいれたとたん、なおちゃんの表情がパッと変わりました。

そして今までにない嬉しそうな顔で「ハイッ、ラーメンできたよ!」と持ってきたのです。


なおちゃんは、保育者の様子に興味を持ち、真似をする楽しさを味わい、繰り返しの満足感を味わううちに、

次第に繰り返しの不満足を感じたようでした。

でもその不満足を味わうことによって、いよいよ本当の、自分で遊びを作り出す楽しさを味わうに至ったのだと思います。


同時に、これはどんな遊びにも共通する心の道筋ではないかと感じました。

絵を描くこと、ものを作ること、砂遊び、リズムあそびなどなど、

いろいろな刺激を受けることで初めはすすんで真似して楽しみ、そこから自分なりの楽しみを見つけだしていく。


一人ひとりの心の揺れ動きを大切に保障することで、
2歳児なりに自ら遊びの中で成長する力を持っていることを、今回の場面で改めて知ることができました。


【1月の様子】

「先生、うちの子野菜が嫌いなんです。」

「ごはんはほんの少ししか食べません。」

4月当初、親との懇談の中で、また、入園前の家庭状況書から、こんな様子が伺われました。


たしかに、それぞれの家庭環境の中で育った子どもの食事の様子は、

好み、量、食べ方のどれをとってもとても個性的な(?)ものでした。

特に、新入児は、母とは違う人からもらう食事に心を許すのに時間のかかる子もいました。

それぞれの子どもの食べることへの思いをありのままに受けとめるところから始め、

信頼関係を育み、一人ひとりを励ましたり援助してきました。


そんな折り、野菜ぎらいで特ににんじんがダメというまーくんのお母さんの話。

お休みの日に親戚の家でごはんを食べた時、にんじんが出て、

まーくんはその時、「にんじん食べてみようかなぁ」と言ったそうなのです。

家族中が驚いて見つめる中、まーくんは、

「保育園で◯◯くんが食べてたよ。先生がね、にんじん食べるとウサギさんみたいにぴょんぴょん跳べるって」

といってにんじんにじっと向かっていました。

・・・で、結局、やっぱり食べられなかったそうなのですが、

お母さんは、今までどんなに働きかけてもそっぽを向いてたまーくんが、

そう思ってくれただけでもすごく嬉しかったと話してくれました。


自分の好みや食べ方が、より確立されていく3歳児と比べ、2歳児は、苦手なものや食べ慣れなかったものでも、

励まされることで気が向いて口にすると、すんなり受け入れる柔軟性を持っているようです。

そして1歳児の時よりも他の子を意識する心が育ち、他の子が頑張って食べている姿を見て、

自分も認めてもらおうと、食べようとします。


外からのものを受け入れる柔軟性、そして社会性の芽生えからくる2歳児の持つ力の大きさに、

食事の面でも触れることができました。

同時にその力を発揮できるような環境(雰囲気)の大切さを改めて感じました。


12月から食事の時に、先生のお手伝いをしてくれるお当番さんを子どもたちが順番にすることにしてみました。

嬉しそうにエプロンをつけ、おつくえを拭いたりコップを配ったりする2人のお当番さんを見て、

どの子も興味津々で、「早くぼくの番が来ないかなー。」と待っているようです。

「おとうばんさんはお仕事があるもん、がんばって食べなくちゃ。」

と友だちと話している子もいます。


“食べることは楽しい”と感じ、そして“みんなで食べる楽しさ”

を2歳児一人ひとりが味わってほしいと思います。