先日行われた避難訓練のことです。
まず、この避難訓練の意味が子どもたちに上手く伝わらないのです。
もちろん、年中さんくらいになれば分かっているのですが、保育園なので0歳児からいます。
そして、この0〜3歳児が、マンネリ(形だけ)になりがちの避難訓練を盛り上げてくれるのです。
もちろん、このクラスの子たちにも、先生たちが避難訓練の意味、今から非常ベルが鳴ることなどを説明します。
「火事は怖いの、みんなの命が一番大切なの」子どもたちは、実に一生懸命にに聞いてくれます。
「カバンも靴も燃えても良いから、とにかく先生と外へ逃げるのよ」
2歳児の子たちも頷きながら、聞いています。
何か、とんでもないことが今から始まることを、肌で感じているようでした。
いつものヘボタレさんも、こんな時こそ自分の出番だという真剣さが伝わってきます。
「ジリジリジリイイイイイイイ・・・・・・!!!」ついに非常ベルが鳴り出しました。
年長さんや年中さんは、「待ってました!」と裸足で飛び出し、「トントン・マエ」(整列)を始めています。
赤組さん(0,1歳児)の方で泣き声がします。
ちょっとした緊張感が走ります。やはり避難訓練には緊張感が必要です。
その子を先生が、抱きながら歩いていきます。
その裏を、カルガモの親子のように、子どもたちがついていきます。微笑ましい風景です。
雪組さん(2歳児)では、みっくんが「クツをはく!」と言って譲りません。
「履かなくてもいいの!」いつもの先生より口調が厳しいです。
ただならぬ雰囲気を感じ取ったみっくんは、素直に従っていました。
しかし、みっくんには、どうしてクツを履かなくて外に出て良いのか理解できていないようでした。
3歳児では、たかしがカバンを掛けています。自分の大事なカバンだけはどうしても守りたいようです。
帽子も被ろうとしましたが、先生に手をひられて外に出ていきました。
このわずか2分足らずの間に、いろいろなドラマがありました。
「避難訓練を盛り上げてくれたお友達、ありがとう!」僕は、テラスからほほえみながら見ていました。
(しかし、よく考えてみれば園舎は燃えているはずだ)
この後、美奈子先生が、がんばった子どもたちを誉めていました。
みんなで、怪我もなく速やかに避難できたことを喜び合いました。
以前には、この後に僕が段ボールで出来た家にガソリンを派手にかけて燃やし、主任先生が消化器で消すっていうのもやったのですが、
消化器の煙が風にながされて全部子どもたち方にいってしまい、真っ白になったことがありました。
この頃は、やってないので、消化器が古くなったら、今度は木で家を造ってやりたいと考えています。
さて、次の日、何人かのお母さんが怪訝な顔で先生に聞いてきたそうです。
「子どもがクツは履かなくていいんだと言い張るんです」
「カバンは燃えても良いと言っているんですが何のことですか?」
あの時、真剣な顔で、一生懸命に聞いていた子どもたち。やっぱり理解は出来ていないようでした。
子どもにとっては、命云々よりクツやカバンが燃えることにショックを感じたのですね。
この平和な世の中、命がどうのこうのという意識は、幼い子どもには毛頭ないことが改めてわかりました。