集団生活(1)

園で集団生活が始まると、 一人では経験できないような楽しいこともたくさんありますが、その一方で様々なトラブルにも出会います。

おもちゃの取り合い、お友達に叩かれた、噛みつかれた等いろいろなことを経験します。

2歳児くらいだと、口でうまく言えない分たたいたり、噛みついたりすることもあります。

また、乱暴な子はいますので、その子を先生がよく見てあげて「人を叩くことや噛みつくことはいけないことだよ」

と納得してもらえるように そして、他人に思いやりや優しさが持てるように援助してあげることはこの幼児期で最も大切なことです。

頭ごなしに叱るだけや親が謝ればいいという問題でもありません。

子どもは、さまざまなトラブルに出会うことで、トラブルに対処する知恵や、 トラブルに耐える力を身につけながら成長していくものです。

(もちろん、適切な先生の援助や指導が大切なことは言うまでもありません)

ですから、「被害者、加害者」という考え自体が間違っていて、

どちらもお互いの成長のために必要な仲間なのだと考えた方がいいと思います。


「キレル」子どもたちの原因の一つとして食生活や家庭環境・対人関係と共に 小さい頃からのストレスの不足が言われています。

人間はいろいろなストレスを経験していくことで、その対処の仕方を身につけていくものです。

これを経験せずに成長すれば、 わずかなストレスで簡単に「キレル」事が起こります。

友達とのおもちゃの取り合いを経験して、初めて貸し借りを覚えます。

喧嘩をして泣いたり泣かされたりしながら、お友達への優しさや思いやりが育ちます。

お母さんや先生が言葉だけで「お友達と仲良くね」と言って育つものではありません。

(これは子どもたちの世界に大人が入るなと言うことではありません)


親御さんが、子どものことを把握できるのはいつまででしょうか。

守ってあげられるのはいつまででしょうか。

きっと一人立ちしていかなくてはならないときが来るはずです。

その時までに経験しておかなければならないことが多くあるはずです。

人間は、成長する過程でいろんな人と関わるものです。

その中には、いじめっ子もいるでしょうし、陰湿な子もいるでしょう。嫌な先生や大人に出会うかもしれません。

そういう人たちとのつき合い方は、 小さい頃からの、いろいろな人たちと人間関係を通して学んでいくしかありません。

親が守ってやらなければならない場合も 多くあると思いますがそれも限界があります。

子ども自身が自分で立ち向かっていかねばならない解決しなければならないことの方が多いはずです。

親御さんは、自分のかわいい子どもが辛い目にあったり、苦しんでいれば何とか助けてあげたい、

守ってあげたいとお思いになるでしょう。

この気持ちは大変大切なものであり、しっかりと子どもにも伝わります。

しかし、この幼児期に親御さんから離れて経験する集団生活での様々な出来事は人間として育つ上で必要なことなのだと思うのです。