中学生がやってきた(2)

今日は朝から中学生が、73名来ました。 1日に74名来て、明日は73名の予定です。

去年から始まった中学3年生による保育園体験学習です。

(詳しいことは、以前の「中学生がやってきた」に去年の出来事が書いてあります。)

毎年、この他に、職業体験として2年生が12人来ます。

3,4の大学の保育実習(おおむね2週間)もありますので、お部屋に先生以外の子が入っていることも珍しいことではありません。

保育園体験学習は8時半から10時半まで、職業体験は一日です。

毎年、中学生を受け入れていて改めて思います。

いいです、中学生。 最初に来たときの顔と帰るときの顔が全然違います。

この年頃は、生意気だとか言うことを聞かないとかとよく言いますよね。

大人でもないし、子ども扱いも出来ない、難しい年頃とも聞きます。

最初にお遊戯室に入ってきた印象がまさにそれで、担任の先生方に注意されて、静かにはしているのですが、

こちらの話を聞いているのかいないのか、反応はあまりありません。

何人かは、明らかに「こんなところ来たくない」って顔に書いてあります。でも、だんだんと変わってくるのです。

園長先生が一生懸命に話して、興味のありそうなことを言ったり、時には、厳しいことを言ったりしていると食いついてくるのが分かります。

最後はみなこ先生(主任)が、子どもたちとやる手遊びを一つ教えます。

♪♪トントントン、ひげじいさん〜♪♪ これをやり出すと、まず大笑いです。

「みなさんも一緒にやるんですよ」 げらげら笑いながら、女の子はやってくれるのですが、男の子は恥ずかしがってやりません。

「しゅうくん(卒園児)昔はやったでしょ!!」

みなこ先生のツッコミに、大笑いしながら 何人かの男の子が恥ずかしそうに始めます。 これで、一皮むけます。

むけたら、もうこっちのもんです。 しかし、まだむけきらない「いやだなー」って顔に書いてある子も数人いますが心配無用です。

この子たちの心は、子どもたちがむいてくれます。

今日も、一番前に座っていた男の子がもろ「あほらし」って感じで最後までいたので、どうなるかこっそり覗いていました。

その子は、2歳児のクラスに入ったのですが、やはり最初は子どもたちと関わろうとしません。

その点女の子は、「きゃーかわいい!」といきなり遊び始めます。

最初からうち解けられる子、時間がかかる子、最初は良いが、すぐに飽きてしまう子など いろいろなタイプがあります。

子どもたちと遊び初めて30分ぐらいたつと、男の子たちが本領を発揮し出します。

これまた毎年のことなんですが、良いのですよ、男の子たち。

女の子たちは、どちらかというと、 大切に守っている、遊んであげているという感じが多いのですが、

男の子たちは、子どもたちの気持ちにより近づいて遊んでいるような気がします。

もちろん、個人差も大きいので一概には言えませんが、毎年そう感じてしまいます。

例の「あほらし」って子、お遊戯室にいて笑っていました。

2歳児の男の子に大きなボールをぶつけられて笑っていました。

中学生って年頃は、 子どもの心に素直に入っていける最後の時ような気がしています。

まだ、子どもの心が残っていて、そして大人の心も育ちつつある、そんな微妙な年頃のような気がします。

どんなに僕ががんばっても、 あのような関わり方は出来ないと思わせる中学生たちでした。

帰り際にある女の子の手を見たら、 マジックでいっぱいの名前が書いてありました。

「どうしたの?」と聞く僕に 「今日、仲良くなった子どもの名前、忘れないように」と言ってお部屋を覗きながら手を振っていました。

お部屋からは、「また来てねー!」と子どもたち。

そして、園の行事予定を聞いてまた、腕に書いて帰っていきました。 さあ、明日はどうなりますか?

先生の話では、登校拒否の子が二人、 この時だけ来るかもしれないということです。

来てほしいなー。そうすれば、オレ、人生かたっちゃうんだけどなー。(お前はいらんわい!!)←ツッコンで下さい。

楽しみ、楽しみ。



昨日が、体験学習の最後の日でした。

不思議なもので、2クラスづつ、3日間の体験学習だったんですが、その日によって雰囲気が違うんですね。 (2クラスずつ来たのです)

一日目の子たちは、とにかく緊張していました。

後で、考えてみればこちらも(子どもたちを含めて)緊張していたと思いますけど。

この緊張感がとれて、調子が出てきたと思う頃には、遊戯室に集まる時間になってしまいました。

二日目の子たちは、最初からリラックスモードで、こちらもツッコミやすかったです。

三日目の子たちは、何故か個性的な子が多くいました。

(こいつはウケを狙っているのか?それとも変わり者か?)

(やけに元気な女の子!!)

(お部屋の自己紹介で、自分の名前をグリーンピースと言い張るやつ)

(眉毛がない二人組)

でも、子どもたちと遊んでくれる姿には、 そんなに変わりはありませんでしたけど・・。

(やけに元気な女の子)は、 最後に「2年の時の職業体験の時に、お母さんが働いている幼稚園に行ったら、

年長の子どもたちにからかわれてイヤだった、でも今日は楽しかった」と話してくれました。

「そんなこと気にするような子に見えないのに」と外見だけでは判断出来ないなと改めて思いました。

今日は最後の日だからか?心配な子が多いのか?不登校の子がいるからか? 校長先生も顔を出してくれました。

「受け入れてくれる園にご迷惑を掛けないかと心配で」と話されていましたが、

「こちらも毎年楽しみにしているので、是非続けてほしい」という園長先生の言葉に頷いていました。

不登校の子のことが気になって、先に席を立って覗きに行きました。

本人の希望か、先生の判断かは分かりませんが、この二人の女の子は、他の中学生がいない0,1歳児のクラスに入っています。

(さすがに、0,1歳児の中には人見知りする子がいるので除外されています)

遠くから覗くと、何人かの子どもが、すでに二人に近づいて遊んでいました。

しかし、僕の存在に気づくと、凄く気にしているようでした。

一人の子の顔には見覚えがありました。 卒園児のきみちゃん(仮名)です。

お母さんが高齢になってやっと出来た子で、とっても繊細な優しい子でした。

もうひとりの子も、神経質そうな子に見えました。

遊びを邪魔してはいけないとすぐにその場を離れましたが、きみちゃんがニコニコしながらお母さんと登園してくる姿が浮かんできました。

「優しすぎるかもしれないよね」 きみちゃんがいたことを話すと、みなこ先生が言いました。

グリンピース君を始め、眉毛なしやウケねらいの子もよく子どもたちと遊んでくれていました。

ただ、最初の集会の時に、それなりに聞いていたと思われる子たちが、

自分たちばかりで固まって、子どもたちとあまり関わっていないようでした。

その姿を見て、校長先生が最後に言っていたことを思い出しました。

「上手く関われなくても、遊んであげようと言う気持ちがある子は良いのです、 でも、そんなことさえ思わない子がいると申し訳ない」

その言葉を聞いて、 「いろいろな子がいますが、その子なりに何か感じてくれればいいです、

特に中学生という年頃には、園児たちの心が届きますし、何かを感じられるんじゃないですか」 と言ったのを思い出しました。

今度は、コソコソ覗くのではなく、ちゃんと見に行こうと、0,1歳児のお部屋に行きました。

「よー!きみちゃん久しぶり」 僕の声に、隣の子はびくっとしましたが、きみちゃんは微笑んでくれました。

隣の子の膝には、たっちゃんが座っていました。

「たっちゃんは、このお姉さんが良いの?」という僕に

隣からかおり先生が「たっちゃんは、若い子がいいじゃんねー」と合いの手を入れてくれました。

「私より、えつこ先生の方が好きだもんねー」

「ほんとに、若い方がいいんだ」という僕の言葉に、その子の緊張した顔が少し緩みました。

これ以上はお邪魔虫になると、退散してきました。

あっという間に、お遊戯室に集まる時間になってしまいました。

この時の中学生の顔は、最初の時とはだいぶ雰囲気が違います。

一日目など、興奮さめやらぬ女の子が園長先生の話も聞かずに、隣の子に園児と遊んできたことをしゃべりまくっていました。

園長先生は、その子の近くに行き、 「とっても楽しかったんだ、でも、今はお話を聞いてね」

その子、最後まで興奮して話はあまり入っていないみたいでしたが・・。

最後の中学生を前に園長先生は、 「これで終わりではありません、私たちは、これが始まりだと思っています」という殺し文句を言っています。

「作品展も、クリスマス会のお餅つきも、来てくれて良いですよ」みなこ先生が続きます。

ここで、僕に振ってくれたのですかさず 「作品展に来たら、オレ、作品展、語っちゃうよー」

とお笑いを取ろうと言いましたが、見事にはずしました。中学生は難しいです。

ここで、怯んでいるわけにはいきません。

どうしても言いたいことがあったのです。(きみちゃんは、一番後ろにいました)

「君たちぐらいの年頃は、心が柔らかいから、どんどん吸収できるんじゃんね、良いことも悪いことも。

でも、その心はとっても繊細で、傷つきやすい時期でもあるじゃん。

親や先生などの大人の一言で傷ついたたり、友だちの一言で悩んだりすることもあると思うよ、

オレは人から見たら、ろくでもない生き方をしてきたけど、でも38年生きてきて分かったことがあるじゃんね、

人生って面白いよ、人生って素晴らしいよ、これほんとだよ!」ここまで言ったところで、後が続かなくなりました。

ちょっとした沈黙の後、「まあ、がんばってね」と尻切れトンボのように終わってしまいました。

すかさずみなこ先生が上手くまとめてくれて今年度の中学3年生の体験学習が終わりました。

少し落ち込んでいる僕の前を、 中学生が「ありがとうございました」と挨拶をしながら帰っていきました。

今日は、保育科の子たちが7人来ます。 どうなりますか?