中学生がやってきた(13年度版)(2001.8)
先日、職業体験学習で中学2年生の女の子が8人やってきました。
去年までは一日だったのですが、今年から丸二日間になりました。
「おはようございます」と挨拶をしながらやってきた中学生は元気いっぱいでした。
そんな中で集団から少し離れてちょこんと頭を下げる子が目に付きました。
各お部屋に入る前に主任のみなこ先生から一通りの説明がありました。
各自メモを取っている中、一人だけボーと聞いている子がいます。
さっきの子です。 すかさず班長らしき子に「メモらなきゃー」と注意を受けています。
「えんぴつ、わすれた」
その子がボソッと答えると すぐさま隣の子が「とろいんだから」とツッコミを入れています。
だんだんこの子が学校で置かれている立場が見えてきました。
班長らしき子も先生に頼まれたのか何かと注意しています。
自己紹介でも、きびきびと言う他の子に比べるとどうしても目立ってしまいます。
「○○です。よろしく・おねがい・します」
「○○ちゃんって言うんだ、良い名前じゃん」
みなこ先生はそう言うと話を続けました。
「みんながお部屋に行くとすぐに何人かの子が寄ってくると思います、
すぐに仲良く遊べたり、お話してくれる子もいます、
でも、せっかく二日間もいるのですから、 集まってくる子だけでなく回りにいるいろいろな子に気づいてあげて下さい。
遊びたいのになかなか入れない子、自分を上手く表現できない子、
興味のないふりをする子・・。
でも、みんなとってもいい子です。 一部の子だけと仲良く遊んで満足しちゃダメよ」
話が終わると中学生たちは、 事前に聞いていた希望のお部屋にわいわい言いながら入っていきました。
みなこ先生がぽつりと言いました。「なんとかあの子に自信をつけてもらいたいなー」
○○ちゃんは2歳児のお部屋に入りました。
かわいい2歳児さんならあの子の心を少しはときほぐしてくれるでしょう。
ボタンがはめれるようになっては喜び、 トイレでおしっこが出来たと言っては褒められ、
そして、お当番を得意になってやっている。
泣きたいときに泣き、笑いたいときに笑う。
そんな姿から何かを感じてくれるかもしれないと期待しました。
そして、あっという間に二日間が過ぎてしまいました。
今年の子たちも一生懸命に子どもたちと遊び、先生のお手伝いをしてくれました。
毎年、思います。「良いです、中学生」
二日目の3時から反省会がありました。
まずは感想から言ってもらいました。
・給食がおいしかった、おかわりしちゃった
・納豆が食べれんかった
・かんちょーされた
・とにかくかわいかった
・一日目は話し掛けても無視された子が、二日目にはいろいろな事をたくさん話してくれた
・クラスの全員の子の名前を覚えたよ
・一日目は汚いと思う事がたくさんあったけど、二日目はぜんぜん思わなかった
・耳が聞こえない子にどうやって話せばいいか分からなかったけど、なんとか出来たよ
・もう、言葉ではいえない事が胸の中でぐるぐるしている
○○ちゃんの番になりました。 上手く切り出せないようです。
「何でも良いんだよ、感じた事を教えて」そうみなこ先生が言うと
「みんな、うるさかった、でもきゅうしょく、たべてるときは、しずかだった」
「いえるじゃん、えらいえらい、それでいいんだよ」
そう言われると○○ちゃん、うつむきながらニコッと笑っていました。
その後は、各自いろいろな思いをワイワイガヤガヤ話してくれました。
「もう、ぜんぜん言う事聞いてくれんかったけど、かわいかった」
「先生たちがあんなに給食食べるのには驚いた」・・・
みなこ先生が言いました。
「本当によく子どもたちと遊んでくれてありがとうね、
自分の思い通りにならない子たちをかわいいと思える事はとっても大切な事だよ。
そして、そんなふうに思えるみんなもすごいよ。
みんなが小さいときもそうだったと思うけど、子どもって思い通りにならんことが多いよね。
みんなも子どもを生むと分かるけど、子育ても同じだよ。
でも、子どもってかわいいらー、その気持ちを忘れちゃダメだよ。」
やはり最後のシメは園長がやらなくてはいけません。
「先生たちが給食をいっぱい食べるのは、先生が食べているのではないんだ、
あれは仕事が食べているんだ、
子どもの元気さに負けないように、がんばって働いているからあんなに食べるんだ、
でもちょっと太り気味の先生もいるがな」
「あはははは・・」中学生が大笑いをしました。
ぜんぜんシメにならなかったのでみなこ先生がシメ直しました。
「子どもたちは、きっと明日もお姉ちゃんたち来ないかなーと思うよ。
この二日間は出会いです。道で園児たちに会うかもしれんよ。
でも、今までとは違うよね、夏休みには遊びに来ても良いよ。」
中学生たち目をキラキラさせて聞いていました。
「最初は汚いと思っていた事が、 二日目はぜんぜんそう思わなかったと言ってくれた子がいたよね、みんなはどうだった?」
「給食はこぼすし、外で遊べば泥だらけだし、出来ない事は多いし・・、
でも本当にかわいかったよ」
一人の子が答えると他の子も頷いていました。
「そう思ってくれると嬉しいやー」
4時になったので解散となりましたが 中学生たちは5時近くまでお部屋や園庭で子どもたちと遊んでいました。
11月ごろには、中学3年生240人が3回に分かれて家庭科の授業でやってきます。
さて、どうなりますか?