誰のための保育園?(2001.9)

保育園は、親のためにあるのではありません。(もちろん、制度的には、働く親御さんのためです)

やはり、第一には 子どものためにあると考えています。

保育園は、子どもの成長にとって必要な場所なのです。

親が働いているとかいないとか、こどもの面倒が見られないとかではなく、

子どもが成長していく上で必要な体験が出来る場だと思います。

(それに値しない園は、確かにありますが・・)

もちろん制度的には「保育に欠ける子」を預かる施設ですが僕はそのように考えています。


保育者は、子どものことを第一に考えています。

親の都合のことばかりを考えているようでしたら保育者ではありません。

それと同時に、子どもという存在が、単独で存在するのではなく、

それぞれが違う家庭環境の中で育っていることも理解していなければいけません。

残念ながら子育ての楽しさに気づいていない親もいます。
(近年、特に増えてきました)

そのような親には、どうしたら、子育てをもっと楽しんでもらえるか、

素晴らしさに気づいてもらえるかをあらゆる方法で提案し続けなくてはいけません。


良い保育者は、子どもの気持ちをいつも考えています。

この子はどうしてこんなことをするのだろう?

自分を表現できているのかな?

何が嬉しいの?何が悲しいの?


良い保育者は、親御さんの気持ちも理解しようとします。

どうしてこんな事を言うのかな?

何を不安に思っているのかな?

今、自分に出来ることは何かな?


親に文句を言うことは簡単です。先生に不満を感じることも簡単です。

しかし、お互いが自分の立場しか考えられないなら、出会った意味がありません。

せっかく子どもという「素晴らしい架け橋」で出会った意味がありません。


親は、子どもを産めば「親」になれるわけではありません。

子どもと共に喜び、泣き、振り回されながらも、しっかり向かい合って生きていく、

お互いに成長しあいながら一緒に生きていく、

そんな積み重ねがあってこそ、親になれるのです。


保育者も、資格を取ったから「保育者」になれるわけではありません。

子どもたちに、そして親御さんから「せんせい!」て呼ばれるためには、
それに見合った努力が必要です。

それに見合った、子どもと親御さんを「思いやる心」が必要なのです。


保育園は、親のためにあるのではありません。

しかし、保育園は、子どもの成長に必要な場所であると共に、


子育ての楽しさ、素晴らしさを再確認する場でもあるのです。

勇気づけられ、励まされ、 子どもを産んで良かったと再確認できる場でなければならないのです。


子どもが成長していく上で必要な体験が出来る場だけでなく、

親御さんにとっても、子育てがより楽しくなるような素敵な体験が出来る場でなくてはならないのです。