テレビが子どもの脳を壊す?(2002/8)

いきなりですが、私を育ててくれたのは「親、兄弟や友達、犬猫、テレビ」が25%づつと考えています。

「親と犬猫とテレビが一緒かい!」とおしかりも受けそうですが、本人の中では一緒です(笑)。

7/25日号の「アエラ」でショッキングな記事が掲載されました。

題名はズバリ「TVが子供の脳を壊す、新説(半ゲーム脳)という恐怖」です。

内容は、テレビはもちろんTVゲーム(パソコン)が脳に与える悪影響が書いてあります。

それもテレビもTVゲームも内容は関係ない、「見ることややること自体が良くない」といった衝撃的な内容です。

実際、教育熱心な母親が兄のために幼児教育ビデオを50本ほど揃え家で流しっぱなしにしていたら8ヶ月の妹の方がビデオ漬けになってしまい、

1歳9ヶ月の頃には保健婦さんから1歳程度の能力しかないと指摘され知的障害者の施設への通園も進められたというエピソードが載っています。

そして、テレビやビデオを一切見せないようにしたら一月もしないうちの症状が良くなったと書いてあります。


この場合、特に問題なのが乳幼児のテレビ漬けです。

アメリカの小児学会では2年前に2歳未満の乳幼児のテレビは禁止すべきと言う提言を出したそうです。

これも考えてみれば当たり前のことで本来、母親などから語りかけてもらう時期に一方的な情報を与え続けられていれば悪影響があるのは当たり前です。

テレビを子守代わりに使っている典型です。

それを母親が自覚していないどころか子どものためになっていると勘違いしているところも問題ですが・・。

乳幼児180人のテレビ・ビデオ視聴時間の調査も載っています。

半数近くが1歳までに見せ始めており視聴時間も3,4時間はざら。中には一日9時間も見せている人も。

特に長時間だった18人の子どもの共通点として「友達関係がもてない」「表情が乏しい」「視線が合わない」

「遊びが限られる」「話し言葉に抑揚がない」「子どもが近寄ると逃げる」・・等々

特徴の多くは自閉症傾向の子どもと似ているそうです。

『幼児と教育と脳』の著書もある北海道大学医学部の澤口俊之教授によると

脳構造は8歳から10歳までに決まる。「動物実験などで環境が脳を作る大きな要因になることは明らか。

でも『環境』は、一方的で自動的な刺激ではダメ。双方向で関われるものでしか、脳は育たない」

そうです。

澤口教授が問題としているのは、

「テレビそのものの影響以上に、テレビを見る間、母親から引き離されることだ、

脳の発達に必要な双方向の刺激、つまり母親とのコミュニケーションが取れなくなるからだ」

のようですし

「ADHDの急増などは、遺伝的要因だけでは説明がつかない。

いまやテレビ漬け環境が何らかの影響を及ぼしていると考えざる得ない」

と結論づけています。

この結論は至極当然のことと思われます。

テレビに4分の1は育てられたと思っている(笑)僕も思い当たる節があるのです。

テレビ自体が悪いはずがないのです。

見方や見せ方が悪いのです。

僕たちが育った時代は、一家に1台しかテレビがありませんでした。

2台もある家はお金持ちと言われていました。

そんな時代ですからいつも家族で見ていたんですよ。

それはワイワイと大騒ぎしながら。兄弟で見た「宇宙大作戦」家族で見た「8時だよ、全員集合!」

友達と見た「宇宙戦艦ヤマトやハイジ」これらの番組を思い出すと自然とその時に一緒に見ていた家族や兄弟、友達の顔も思い出します。

宇宙についてについて真剣に語っていた兄ちゃん、ものを粗末にすると怒っていたばあちゃん、

ヤマトに見せられた友達、ちょっとエッチな場面になるとニヤついていた父ちゃんなんてのも。

そんな育ち方をしたものですから、当然我が家のテレビ視聴はうるさいですよ。

テレビを見ながら議論しています(笑)

僕も語りまくっていますし。

当然、子どもたちには嫌がれますがそれがうちの見方ですからあきらめてもらうしかありません。

幸い、家は小さいしほとんどワンルーム。

でも、これは子どもが育つ環境としてはとっても良いと考えています(笑)。

子どもたちもいつしか、テレビを見ていると一言言いたくなるように育ちました。

これぞ、メディアリテラシー!(笑)

この後、『ゲーム脳の恐怖』を書いた日大の森教授がテトリスというゲームをした時の実験の結果が書かれています。

「ゲームは目からの刺激を直接手を動かす神経に伝えるので、前頭前野を経ない。

繰り返しているとゲームに特化した脳になり、前頭前野はは劣化していく」

「実験のきっかけにもなった脳波測定器の開発担当者らは全員、脳の前頭前野が活発に活動している際に出るβ波がほとんど出ていなかった。

1日中画面に向かって座り、誰とも口をきかず、指先だけ動かす状況はゲームと酷似している。相手がパソコンでも「劣化」は起きていたのだ。」

となっています。

心配な行動をする子どもたちには

@テレビ視聴で外遊びが減るなど、直接体験とのバランスが崩れている

A乳幼児の早い時期から

B一人で

C同じ内容を繰り返し

D一回に長時間

という共通の視聴スタイルがあるということです。

医師や脳科学者らは子どもをテレビ漬けにすることは「新たな虐待」

「子どもとその発達過程を無視するという意味でのネグレクト(育児放棄)」と警告しているようです。

しかし

「母親だけを責められない。

育児はすべて母親任せ、という状況で子どもと何をしたらいいか、どう話しかけて良いか分からない、

と追いつめられた母親たちがテレビやビデオに頼っているのですから」

とまとめられています。

この頃、保育業界でも昔ながらの遊びを取り入れるところが増えています。

昔から続いている遊びには、それなりの魅力があるし、子どもたちにとって必要としていることも詰まっているからなんですよね。

ただ、生まれた時からあやとりもコマもテレビゲームもパソコンもある子どもたちには、

昔ながらの古い遊び、新しい遊びといった区別はありません。

どちらも楽しい遊びの一つなんですよ。

ただ、ほっておくとどうしてもテレビやゲームに接する機会が増えてしまいます。

あやとりやコマ、お手玉に接しないために楽しさが分からないのでは可哀相ですよね。

ちなみに、お手玉は前頭前野を激しく使うそうです。

ですから、保育園ではこのような遊びを積極的に取り入れています。

年中さんくらいになるとあやとりも出来るようになります。

年長さんくらいになると毎年一度大ブームがやってきます。

テレビやTVゲーム・パソコンが悪いとか考えていません。

それらと子どもだけの繋がりになるのがいけないのです。

子どもたちには、いろいろな遊びを経験しながら“人との交流”を大切にしていってほしいものです。