幼保一元化?(2003/7)

6月27日にTV朝日系「ニュースステーション」の特集で『幼保一元化』が放映されました。皆さん見られましたか?

幼保一元化とは、平たく言えば「幼稚園と保育園を同じような施設にしよう」って事なのですが、

元々、管轄が違うだけではなく入っている子どもの家庭環境も違い、

(幼稚園には、乳児さんの受け入れ施設はもちろんなく調理室もありません)

施設面・職員の配置基準など違う部分も多く、難しい問題もたくさんあります。

この特集では、待機児解消の特効薬である幼保一元化の論点が、

「厚生労働省・族議員の『給食の設備が整っていない施設は、保育園と見做さない。』という抵抗で実現できない」

というニュアンスだけが強かったように思えます。

見た方の感想を代弁すると

「たぶん普通に見られている一般の方は、、、

厚生労働省VS文部科学省みたいな受け止め方をされていたのではないでしょうか?

また、保育所は保育所で自分のテリトリィーを侵されたくないみたいな・・・印象を受けました。」とのことです。

幼保一元化は、待機児が深刻な都市部と、

少子化で保育園・幼稚園が余剰化しつつある地方都市では、少し意味合いが違ってきます。

都市部においては、「保育園が足りないのであれば、似たような施設を使ってしまえ!幼稚園も園児が減っているし」ってな感じ?で

地方都市では、「余剰化した幼保を一体化して効率アップ!」ってなことでしょうか。

保育園・幼稚園のメリット・デメリットを考えて幼保一元化が両方のメリットを取り入れたものになるなら大賛成ですが、

むしろその逆になりそうな気が・・。

調理室の問題は、その象徴です。

保育園基準に合わせればいいのに、幼稚園には、調理室がないから外部委託でもかまわないという考え。

アトピーさんの除去食を始め、乳幼児期の“食”の大切さは、誰でも分かっているはず。

みなさんの中で幼稚園で出されている仕出し弁当を食べた方っていますか?

僕は、自分の子どもには、食べさせたいとは思いませんでしたよ。

外部委託になれば、手作りおやつもなくなってしまうし、みんなで育てたナスを給食に入れるなんて事は、夢のまた夢。

離乳食だって、一人一人の体調に合わせたものが必要だと思いますよ。

第一、調理員さんとの触れ合いもないのでは、作る人の気持ちを考える機会もなくなってしまいます。

作る人だって、食べる子どもの顔が見えるからこそ、残り物が多かったら「どうしてかな?」って考えると思うのです。

“食”を通して学ぶことって多いと思いますよ。

先生の配置基準も幼保では違うようだし、

(5歳児なら保育園の30:1に対して35:1?と聞いたことがある)

効率化・コスト削減のための幼保一元化なら賛成できません。

実際、保育園側で賛成という意見はあまり聞いたことがありません。

それだけ、保育園と幼稚園に落ちてくる補助金が違うと言うことでしょうけど。

もし、うちが私立の幼稚園なら30歳以上の職員は全員クビです。

ちなみに当園の平均年齢は、3?歳!

20歳から67歳までの老若男女がいます。

(僕は素晴らしいことだと思っています)

しかし、その保育園ですら改革という名の経費削減が続いています。(当市も、補助金削減に動き出しました)

給食の外部委託や運営費の一般財源化(これはとんでもないです!)の話しも聞きます。

待機児解消を錦の旗に

東京都のように、認証保育園を認可保育園に近づけるのではなく

認可を認証に近づけるという発想も増えてくるでしょう。

ヤフーの掲示板でもこのニュースステーションを見た感想が載っていたけど

ニュースステーション側の思惑通りの意見が多数でした。

なんで調理室が必要なの?ってのが多かったのにもびっくり。

今までは、母親の就労如何で区分けしていた幼保ですが、

本来は、子どもや親にとって必要な施設を選べることの方が大切でしょう。

人間形成にとって大切なこの乳幼児期を効率やコスト優先で考えるべきではなく、

子どもたちにとってどんな環境が幸せで

親御さんたちにとってどんな施設が必要かを一番に考えた議論になって欲しいと思います。

口だけ番長の小泉さん、この乳幼児期にこそ“米百俵の精神”が必要なのでは?

PS

ニュースステーションを始めとしたマスコミも

“小泉改革路線 VS 族議員と厚生労働省の抵抗”という“絵”になる一面のみを追わず、もう少し多面的な批評をしてくださいよ。