心の基地?(2004/11)
「ママ〜!」「おうちかえる―!!」 今年も2歳児さんの新入園児は大パニック。
無理もないですよね。
今までは、いつでもふり向けば必ずそこにいたお母さんという"心の基地"がどこにも見あたらないのだから。
安定した基地の心地よさを十分味わえている子は、「一時的」に大泣きして素っ裸になることで、
いつの間にかそこに新たに自分の基地をつくってしまうたくましさも育っているようです。
ただその「一時的」がどのくらいなのか、2〜3日か、1週間か、1か月…。
ある年、7月半ばになっても泣けてしまう子を抱え、担当の保育者が、自分のかかわり方に問題があるのではと、
ため息をついていたことがありました。
うちの園では、保護者の中に卒園児が数多くいるのですが、通りかかった前園長がその子を見てひと言、
「その子のお父さんは、卒園するまで泣いていたわよ。」(ちょっと大げさですが・・)
そのお父さんは、今や3人の子を持つ、照れ屋でやさしい、そしてりっぱな社会人。
保育者もそれを聞いて、あきらめ半分、安心もした様子。
泣ける期間、泣き方にもいろんな個性があるようですね。
子どもは本能的に感じます。
保育者がありのままの自分を肯定するのか、否定するのかを。
そして肯定してくれる者に心を開きます。
でも、子どもだってただ泣いているばかりでは絶対にありません。
泣きながら、この先生は私が泣くとどうしてくれるのかなとためしてみたり、あの子は何して遊んでるのかなと観察したり…。
そうこうしながら、自分の好きなもの(心の基地)を園の中に見つけていきます。
ぬいぐるみやおもちゃ、水槽の金魚やカメ、自分のロッカーのシール、おやつなどの食べ物、特定の保育者等々。
基地をみつけ、じっくりかかわり、心の安定が図れた子どもは、今度は驚くほど生活の中で意欲的になっていきます。
情緒の安定できる心の基地さえもてば、
やりたがりの2歳児にとって刺激ある園生活は、家庭と同じくらい魅力的なものになれそうです。
ひとりひとりの子どもの心を温かく受けとめ、信頼という心の基地をつくりたいですね。
