涙の秘密(2004/11)
2〜3歳くらいになるとお友達とも段々と遊べるようになります。
ゆなちゃんは、生まれも早く2歳児(2〜3歳)にしてはしっかりしていた子でした。
そんなゆなちゃんが、お友達に意地悪を言うようになったのは9月ぐらいのことです。
ちょっと気に入らないことがあると回りに当たり散らすことも多くなりました。
0歳児で入園したゆなちゃんでしたが、こんな事は初めてでした。
そういえば、2歳児さんのクラスになってからは、下着が汚れたままだったり、忘れ物も多くなっていました。
お母さん自身も余裕がなくなっているように感じられました。
ゆなちゃん自身もそんなに手の掛かる子ではないし「どうしたんだろ?」と先生たちも心配していました。
ある日、お友達とオママゴトをしていたゆなちゃんは、また意地悪を言い始めました。
「りなちゃんなんかあっちいって、りこんだよ」
それを聞いた先生は、ゆなちゃんに聞いてみました。
「ゆなちゃん、離婚ってどういう事か知っている?」
「??」ゆなちゃんは首をかしげました。
「お友達にあっち行ってとか離婚とか言っちゃダメだよ」と
言いながらもひょっとしてゆなちゃんの荒れている原因?と考えました。
そのことをお母さんに説明すると大きな目がみるみる涙でいっぱいになりました。
その日から先生たちは、ゆなちゃんに注意することより、
その分、思いっきり抱きしめてあげたり、甘えさせてあげるようになりました。
ゆなちゃんに落ち着きが戻ってきた頃、お母さんから名字が変わると告げられました。
そういえば、お母さんに説明してから下着が汚れていたり忘れ物もなくなりました。
きっと、お母さんも感じるものがあったのでしょう。
自分のことで精一杯でゆなちゃんのことまで考える余裕がなくなっていたのかもしれません。
今では、ゆなちゃんやお母さんにも笑顔が戻ってきましたが、
あの時の涙は、お母さんがゆなちゃんと真剣に向き合って生きていこうという決意だったのではないかと思いました。
