ホメホメ作戦!(2005/1) 

 今日もあっくんのお母さんはイライラ。

3歳が近づいてきたあっくんは、一人っ子の長男でとびっきりののんびり屋さん。

自分で靴を脱いで下駄箱にしまう友達の横でお母さんにやってもらうまでじっと待っています。

この頃では、お母さんも友達と比べることが多くなってきました。

テキパキと準備をする友達を横目に見ながら、先生にやってもらうあっくんを見てはイライラ、

みんなが仲良く遊んでいる横でポツンと一人で遊んでいる姿を見てはイライラ。

「うちの子、どっかおかしいんじゃないですか?」

ついにこんな言葉まであっくんの前で出るようになりました。

あるお迎えの日、お母さんがあっくんに向かってあまりにきついことを言っているのを見かねた

○○先生が「お母さん、あっくんは頑張っています。


だからあっくんのことをダメな子って言わないでください。」と、

ちょっと強めの一言。

お母さんはムッとしたまま帰ってしまいました。

子どもたちが帰ったらすぐにスタッフミーティング、2歳児の担任6人がお母さんへの対応を話し合いました。

「お母さん、ずっと優等生で来ちゃったから人より劣ることが許せないのかな?」

「友達と比べるよりあっくんなりの成長を感じてもらうには?」

次から次へと意見が出る中、決まったのが「あっくんホメホメ作戦」。

あっくんの良いところをみんなでお母さんに伝えようという作戦です。

この作戦の成否は、如何に自然に伝えるかです。

さぁ、次の日から作戦開始。

まずは、お母さんにきつめの一言を言ってしまった○○先生が、謝りながらあっくんが頑張っている様子を伝えます。

「あっくんすご〜い」「あっくん、ありがと!」二人が話している後ろから先生たちの声が次々に聞こえます。

そして、数日後、あっくんのお母さんが笑いながら言いました。

「もう、先生たち露骨なんだから、こっちが恥ずかしくなっちゃいますよ」

「でも、嬉しかった、子どもの悪いところしか目がいかなくなっていたし・・、

家でも先生たちみたいに大袈裟に褒めてあげたり感動したりすると凄く嬉しいみたいで頑張っちゃうんですよ」

「え、大袈裟?いつも通りに自然にやっただけなのに??」

どうやらいつも子どもたちと一緒にいる先生たちは、俗世間の常識から離れてしまったようですよ(笑)。