[ルールって何?]('10/12)
 
 小学校の先生から「ルールを守れない子が増えた!」と聞いた事があります。
みんなで鬼ごっこをやっていても鬼になると怒って止めてしまう、
ドッチボールでもボールに触れないとルールを無視してしまう、そんな子が増えているようです。
そんなトラブルが続くと、やがて初めからみんなでやることに参加しなくなるそうです。

その子たちに共通している事は、「ルールを守らなければいけない!」という事を頭では分かっているのですが、
気持ちや感情を押さえる事が出来ないという話でした。
この子たちは、小さな頃からお母さんにイヤというほど「お友達と仲良くしなさい、ルールを守りなさい!」と言われ続けています。
でも、気持ちや感情がついてこないのです。
どうしてか?
この子たちには、小さな時からの子ども同士で関わり合う経験が少ないからです。

家庭や地域から子どもの群れがなくなっている現在、
小さな子どもを連れた母親は、公園や児童館等で他の親子と遊ぶ機会が多くなってきました。
しかし、ここでの多くの母親の一番の悩み事は、子ども同士のトラブルです。
子ども同士のトラブルが親同士のトラブルに発展することも少なくありません。

しっかりした母親に見られたいために、子どもがちょっと他の子のおもちゃを取っただけで母親が飛んできます。
母親達は、子どもたちのちょっとしたトラブルにも敏感なのです。
おもちゃの取り合いやケンカを始めとした子ども同士のトラブルを見守るためには、
余程の信頼関係があるお母さん同士でなければ無理でしょう。
ケンカをする機会を奪われた子どもは、友達と本気で関わり合う経験をも奪われているのです。

子どもたちは、子ども同士の十分な関わりの中でこそ身につけていくことも多いものです。
「ルールを守りなさい」「友だちと仲良くしなさい」と母親に口だけで言われてもなかなか理解出来ません。
子どもたちは、子ども同士の様々な体験を通して成長していく部分も多いのです。
そして、様々な体験をするためには、小さな時からの同年齢や異年齢のお友達が必要なのです。
子どもの成長にとって、じゃれつき遊びの必要性を指摘する人もいます。 (本園でも保育の中でじゃれつき遊びを取り入れています) 小さな時からのじゃれつき遊びが、相手に対しての手加減を覚えたり、相手の表情からその子の気持ちを推し量る能力を身につけるようです。 ケンカとじゃれ合いの狭間を肌と肌とのふれあいを通して学んでいきます。 人間に近い猿の仲間では、こうしたじゃれつき遊びのような経験が少ない猿は、 仲間との情緒的・社会的な関係が上手く作れなくなるという報告があります。 ルールとは、「守らなければならない」ものではなく、「みんなが気持ちよく遊び、生活するために必要なもの」であるはずです。 ただ単に「守らなければならない」ものならば、「ルールに書いてない事」や「ルールの隙間」を見つける事にも繋がります。 このような子どもや大人が増えている気がします。 ルールは、「みんなが気持ちよく遊び、生活するために必要なもの」なので、 それを体と気持ちで理解するためにも 小さな時から子どもたち同士でいろいろな経験を積み重ねる必要があります。