アスピーテカップと焼山ツアー

1997年2月8日〜10日

 私たちが会員となっている日本テレマークスキー協会(TAJ)では、各地でレースを開催しています。秋田八幡平スキー場で開催されるアスピーテカップは、去年から始まった若い大会です。八幡平のスキー場といえば、岩手側のスキー場の方が大規模で知名度も高いのですが、この秋田八幡平スキー場は小さくて遠いけれども、ベースには後生掛(ごしょがけ)温泉という味わい深い温泉を抱えており、のんびりとスキーやツアーを楽しめるところです。なにしろ近所には地熱発電所もあるぐらいのロケーション、オンドル式に床下に循環する熱気で寝苦しいぐらい暖かい温泉を楽しみに、全国からテレマーカーが駆けつけました。

 愛知県から秋田八幡平へ行くとなると、まず問題となるのが交通手段です。今回は、東京まで新幹線で出て、池袋発能代行きの夜行バス「ジュピター号」を利用しました。池袋を10時に出て、東北自動車道をひた走り、朝6時過ぎには八幡平の玄関口、鹿角花輪駅に着きます(往復15、840円也)。今回は、天気も良かったのでスケジュール通りの運行でしたし、3列の独立したリクライニングシートで寝心地もまずまずでした。残念ながら、スキーバスではないのでスキー板は載せてくれず、前もって宅急便で送る必要があります。私たちは前もって聞いていたので助かりました( Thanks to "高橋軍曹")。

powder skiing contest

 初日(8日)のスケジュールは、午前がパウダーコンテストで午後がポールトレーニング。テレマーカーは堅いゲレンデよりもパフパフの深雪が好み。朝から、リフトの下やゲレンデの端の、ちょっとでも雪がたまっているところを滑って足慣らしです。ふだんは使われていない裏側のゲレンデを利用させてもらって、ひとりずつ膝ぐらいまである深雪斜面を滑って採点し、順位を決めます。仮装賞もあるとのことで、うさぎさんや、白鳥さんも飛び出して早くもお祭り気分があふれました。このときは写真のように青空が広がり、暑いくらいの好天だったのですが、午後には急に吹雪となり、スクール参加の皆さんは苦労していました。この辺の天気の変わりようは、さすがに東北と言うべきか。この夜は、宿泊した八幡平大沼荘の大広間で大宴会でした。宴会の前には、明日のレースに備えて秘伝のワックスをシコシコかける人が行列をつくっており、私もつられて借り物のワックスを塗りたくったことでした(Thanks to "内田泉様")。 夜行の疲れもでて早々と温泉に入って寝てしまいましたが、温泉のなかで聞いた秋田弁は、さっぱりわかんねがったー...


staff of the race

 9日は、いよいよアスピーテカップレース。ベレー帽がかっこいい奥州さくら組の皆さんをはじめ、秋田の皆さんがスタッフとして働いています。TAJからの派遣スタッフも負けてはおりません。ジャンプ台ひとつをふくんだ、気持ちよくとばせるコースができあがり、選手は横滑りでインスペクション(コースの下見)をします。ずいぶん久しぶりのレース参加で緊張します。昨年は、酷寒のレースとなり順番待ちが大変つらかったと聞いていましたが、今年は晴れたり曇ったりで寒さもほどほど。


forerun by Mr.

 まず、前走としてTAJ普及委員長の"ピーチク"川上先生、次いで秋田の誇る永遠の現役レーサー石川さんが出走、きれいな滑りを決めてくれます。レースの最初はシチズンクラス。これは、ジャンプ台を迂回したコースで一走だけするもので、ふつう初心者用レースの色彩が強いのですが、今回はずいぶん速い人が多く、結果的にもポイントクラス(経験者向き;ジャンプをして二走合計タイムで競う)の真ん中ぐらいの順位に相当するタイムを出す人が何人もいました。また、ポイントクラスの男子女子の差が少ないのも特徴的でした。女子1位の駒込さんのタイムは、男子の3位相当というわけで、恐れ入りましたよ、駒ネエさん。私は、二走とも気持ちよく滑れたのですが、結果としては全体の真ん中ぐらいでした。道具のせいもありそうですが、やはり、スキーを前に出して、なるべくずらさない減速しないというレース滑りになっていないのが原因でしょう。精進精進。


party in Gosho-gake onsen

 この夜の泊まりは、最初に紹介した後生掛温泉。6年前のツアーイベントで初めて来たときとはうって変わって、新築のこぎれいな建物に泊まりましたが、温泉は相変わらずの風情。湯気で全貌がさっぱりわからないのが面白さです。宴会場には、6年前に早朝の八幡平駅に到着した私たちを迎えてくれた横断幕が貼られていました。きりたんぽをメインに、「どぶ」での乾杯やスタッフの紹介を交えて、後生掛の夜はふけました。


Yakeyama tour

 明けて10日は、有志による焼山ツアー。後生掛温泉から南東に登れば八幡平ですが、北西に登れば「もうせん峠」を経て焼山です。6年前も途中まで登ったのですが、最初から最後まで雪降りで景色は全くなしでした。今回は、最初少し曇り気味だったのですが、どんどん晴れて、八幡平から焼山まできれいに見渡すことができ、こんなところにいたのかと納得する思いでした。しかし、慣れ親しんだ中部山岳とちがってこの辺は傾斜が緩いなだらかな山々がずうっと続いています。焼山は、外輪山の一角で、火口の中におりたところにある焼山山荘の前で昼食にしました。


spool contest in Yakeyama

 小屋の目の前にある手つかずの斜面をほおっておくのは申し訳がないと、何人かで登っていきシュプールを競いました。それほどパフパフの雪ではなく、実質上は20センチぐらい下にある「しまり雪」を滑ったような感じで、思うようなシュプールにはなりませんでした、残念。天気も良く、開放感が楽しい、昼休みの一時でした。帰りは、もうせん峠の少し下から樹林の中の滑り。傾斜が緩いのと、レース用の幅の狭い板がもぐりやすく、あまり楽しい滑りではありませんでしたが、温泉周辺の噴気孔などを観光しながら、無事後生掛温泉に帰り着きました。ふらふらと温泉に入り、またビール。この3日でいったいどれだけ飲んだことやら。秋田の奈良さんほかの最後の一踏ん張りで、また宴会。そばまでご馳走になってから、花輪の駅まで送っていただき(Thanks to 若菜さん、進藤さん)行きと同じバスに乗って帰ってきました。

とてもとても遠いのですが、やはりまた行きたくなる不思議な後生掛の魅力を、また思い知らされたイベントでした。


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