峰の原レースレポート

1998年2月1日

 2月1日の日曜日に、峰の原高原スキー場で「ワイルドターキーカップ」テレマークスキーレースが開催された。今回は、これに先立つ金・土曜日に同スキー場で、TAJ(日本テレマークスキー協会)主催の技術講習会が開かれたせいもあって、多くのテレマーカーが集まり、にぎやかなイベントとなった。
 峰の原は、ペンション街に隣接し、ペンションの宿泊客のためのゲレンデとしてスタートした比較的小規模のスキー場だが、日本のテレマークスキーレースの発祥の地として知られている。長野道・須坂長野東ICおよび上信越道・上田ICから1時間足らずで行けるという、交通アクセスに恵まれた場所にある。

Helico-turn  今回のレースは、「スプリントクラシック」という形式でおこなわれたが、これは1分程度の短いクラシックレースを2走合計タイムで競うというものだ。今回の目玉として、アドバイザー望月が投入したのが「ヘリコターン」だった。簡単に言えば、旗の周りをぐるりと360度まわるというものだが、その見かけがなかなかおもしろい。右図のように、ゲレンデの真ん中に直径7mあまりの洗面器が出現したと思っていただければいいだろう。ここに図の右手の矢印のところから進入し、反時計回りに一周して出てくるわけだ。
 従来にも、単にゲレンデにたてた旗の周りをテクテク歩いてまわるという例はあったが、このような本格的なバンクつきのヘリコターンは本邦初公開である。皆、練習もナシに突入するので、さまざまな結果となり観客を沸かせてくれた。
 最良のこなし方は、ちょうどオートバイのレースのように、遠心力を利用してバンクの腹を高速で回るというもの。こうするとほとんど瞬時に通過できる。次善の策は、入り口の反対側の縁あたりまで直進してほとんど停止し、あとは傾斜を利用して出口に滑り降りるというもの。しかし、一つ間違うと、洗面器から飛び出してしまうのはいうまでもない(実際にレース中に二人が飛び出した)ので、うまくいった人は偶然かもしれない。入り口でスピードを殺しすぎて、洗面器の中で止まってしまうと、中が狭い上にすこし登りになっていたので、大変時間がかかる。スキーがこんがらかって、猛烈なタイムロスになった選手も多々見受けられた。まさにアリ地獄である。今回のレースの勝敗は、ほとんどこのヘリコターンのこなし方で決まったと言ってもいいだろう。

SprintClassic Race Course  レースバーンは、ゲレンデの下から見上げて、従来のバーンから狭い谷をひとつ挟んで右手の尾根の上に設けられた。ここは、以前は小さな狭い尾根だったが、先々シーズンに大きく広げられ、最大傾斜約27度のすばらしいレースバーンとなったところだ。出だしの急斜面を、大きく振ってセットされた旗門に従って押さえ気味に降りた後、1mあまりの高さのジャンプを飛んで、ほとんど直線の3旗門を高速でこなした後に例のヘリコターンが控えている。
 明暗を分けた選手たちは、この後廊下状の部分をすべりながら、最後に短い上り坂を駆け上がってゴール。最も速い選手で40秒そこそこだったので、スプリントクラシックとしてはやや短めであったが、蔵王でのカルデロンカップが天候のために変則的な運用になったため、事実上日本での初のスプリントクラシックレースとしては、選手にも観客にも楽しめるものに仕上がったのではないだろうか。
 エントリー数は全クラス通じて70名弱と、一時期を思えば小ぶりだが、今シーズンのレースとしては盛会というべきだろう。白馬で、3位までを制したY、M、Fの3氏がエントリーしながらそろって欠場してしまったのは残念だったが、選手達はひそかに喜んだことだろう。

Mens Point Class Winners  結果は、男子ポイントクラスは、従来3位入賞記録のない3名が1−3位を制した。1位のY氏にいたってはテレマークスキーをはいて5日目!前日までの講習会でメキメキと上達した結果の優勝だけに、主催者側としてはうれしいような、今までの努力はナニなのというか、複雑な心境であろう。3位H氏は、ここしばらくワンピ姿で奮闘してきたがなかなか結果につながらなかっただけに、よろこびもひとしおという感じ。自らが勤務する会社が輸入している板をかついで表彰式にのぞむなど、愛社精神を発揮した。多くの参加者が、講習会から3日間行動をともにしてきたとあって、パーティー・レース・表彰式を通じて大いに親睦の深まった大会だった。このような形のイベントを通じた会員間の交流を、TAJとしても推進していってほしいと思う。

 オリンピックの影響もあって、このところ毎週レースが開催され、参加者もやや疲労がたまっているのかもしれない。この後、来週の秋田八幡平およびハチ北でのレース、裏磐梯でのオールジャパンと続いて、3月には、ふたたび長野でのレースが開催される。第一週の朝日プライムは塩尻周辺、その次のパタゴニアカップは奥志賀ときて、シリーズレースも打ち止めだ。中部地区のレーサーの皆さん、誘い合って是非ご参加ください。


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