Ski Tour to Mt. Amakazari

雨飾山(長野・新潟県境)

1996年3月24日


平岩駅のすぐそばで、文字どおり分断された線路

 1995年7月の豪雨は、大糸線沿線に大規模な水害をもたらし、大糸線も南小谷と小滝の間で不通となっている。23日に時間があったので、不通区間の中にある平岩駅のあたりまで行ってみた。ここはスキーツアーでポピュラーな蓮華温泉から下山してきたところにある駅である。行ってみてあまりの被害の大きさに驚いた。後で、宿の人に聞いたところでは、やっと復旧にあたっての費用分担の話し合いがまとまりつつあるとかで、なかなか開通への道は遠そうだ。このような災害を契機に廃線となる鉄道も多いので、なんとか再開していただきたいと思う。(後記:たしか3年ぐらいしてめでたく復旧されました。)



 24日朝6時半に小谷温泉山田旅館を出発。最初はここから林道沿いに歩くつもりだったが、除雪が進んでいるとの情報を得て、車で行けるところまで行くことにする。結局、乙見山峠への分岐の少し先まで行けた。空は快晴。空気は冷えきっているが、春の気配がする。そういえば、今朝は小鳥のさえずりで目が覚めたっけ。歩き始めるとすぐに暑くなり、衣類の調節が忙しい。

P4P3間の鞍部。背景左が大渚山。

 北田紘一編の日本スキーツアー・ルート集の記事を参考に、ワセ沢をつめてP4P3の間の鞍部をめざす。急斜面では、固く凍った雪面の上に5cm位のサラサラの雪が乗っている状態の場所が多く、表面の雪にはシールが効かず、その下の氷にはエッジがたたずで、そうこうする内に表層全体が流れそうになるので、だましだまし登るのが結構難しい。P4−P3間の稜線の雪庇の低い箇所を越える(9時ごろ)。そこには、兎の足跡がいくつも通っていた。


P2手前から来た方を眺める。P3P4間の吊り尾根が美しい。

 P3からの登りでは、先ほどの「固い上にサラサラ」でますますシール登行は困難なので、ツボ足に切り替える。幸い、尾根上に先行者のワカンの足跡があり、アイゼンなしでも楽に登れたが、見上げるP2は、白い塔のようにそそり立っていて、やっぱりアイゼンを用意しておくほうが安全だったと反省。快晴無風の中、眼下の大渚山や、向こうの後立山連峰を眺めながら、暑い暑いとぼやきながら登る。


P2から見た雨飾山頂

 P2で登りは終了(11時頃)。前後して登った他のパーティーと雑談したり、雨飾山頂に至る岩壁をアタック中の3人パーティーの姿を遠くに眺めながら昼食。


無樹林斜面突入直後。左上の鞍部から入ったが
左手の樹林から様子を見て入るほうが安全か。
台地状部分から見上げた無樹林斜面

 下りは、途中まで登路に沿って滑るが、重く締まった雪質が結構滑りにくい。1700m付近から、登路の尾根の東側に広がる無樹林斜面に突入。前述のような状態なので、急なところでは小規模ながら表層が流れていく。他のパーティーのみなさんの顰蹙をかっていたかもしれない。もったいないと思いながらも、あっと言う間に真っ白な斜面を標高差400m下り、台地状の部分に着いて大休止。ここからは、ブナ林の中を斜面を選びながら、標高差150m下って奥ワセ沢出合いの河原に到着。

 林道まで、斜登行や逆八の字で上がるが、疲れた足にはこれがつらい。ウロコ付きの板にすれば良かったかなと思う。林道も傾斜が緩く、新雪ならば「下りラッセル」となって結構つらそうだ。汗だらけで車に到着(1時半頃)。当然のように、旅館にもどって汗を流し、至福のひとときを過ごす。宿で食べさせてもらった、「おから入りの温泉饅頭」は、まさに絶品だった。


Nifty ServeのFYAMAREPフォーラムに投稿した文章を改訂して掲載した。


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