Ski Tour on Mt.Tenguhara and Mt. Kanayama

天狗原山・金山

1996年5月3日-5日


 妙高山や火打山の南に広がる笹が峰の西の端に、雪の季節には真っ白な壁のようにそびえているのが天狗原山・金山の連山だ(右図は三田原山の斜面から2月上旬に撮ったもの)。どこからアプローチしてもなかなか遠いので、5月連休に行ってみた。今年(1996)は道路の除雪が遅く、杉の原のスキー場のあたりまで除雪されたところで、連休に突入してしまった。かなり歩かなければならないと予想していたので、Valmonte Xというウロコ付のちょっと古い板を使った。

 火打山では、高谷池ヒュッテをベースにしてテレマークの講習会が開かれることもあって、火打方面へ向かう人が多かった。長い長い笹が峰を一日かけて縦断する。国民休暇村を過ぎたところで、黒沢を渡る橋が1995年7月の豪雨で流されていて通れないので湖岸まで迂回する。最後の部分では、真川の右岸に沿って行ったが、ちょっと危なっかしい高巻きが2カ所ほど必要だった。結果的には、左岸を行って、最後にスノーブリッジを渡って右岸にでるのがよいようだが、行ってみないと渡れるかどうか分からないのが問題だ。人里離れた雪の原を静かにブラブラ歩いているときに、スノーモービルの爆音が迫ってくるのは、やはり興ざめだ。雪の河原でテントを張り、静かな夜を楽しむ。

 翌日(5月4日)は、薄曇りながら遠望の効くまずまずの天気。3人パーティーと10人ぐらいのパーティーと私たちの3組しかおらず、前後しながらいよいよ登りにかかる。出だしは板を脱いで雪の詰まった小滝をのぼり、さらに谷の側面をごそごそ登って小台地に登り着く。ここからは、尾根をたどってシール登行する。火打山の西面や、真川源流部はふだんあまり見る機会がないのでたくさん写真をとる。途中、やせ尾根の通過はちょっと緊張するが、何といってもだんだん近づいてくる天狗原の登りはすごい。斜面は、正面から見るとずいぶん急に見えるものだが、それにしても最後の登りはほとんど垂直に見える。木が一本も生えていない雪の斜面には、何カ所かばっくりと切れ目も入っていて、登ると崩れるんではと不安になる。軽量化のためアイゼンを持ってこなかったのが悔やまれる。

 いよいよ、最後の登りにさしかかると、ありがたいことに先行する3人パーティーのしっかりしたステップが刻まれている。それに、いったん取り付いてしまうと傾斜もまあまあである。板をひきずりながら何とか登ることができた。このあたり、雪の状況判断というのはホントに難しい。先行者もなく、何人もメンバーを連れてきていたら、引き返していたかも知れない。登り着いた天狗原山は、何とも穏やかな高原のようなところだ。西の方には低く雨飾山が見える。3月に滑った斜面が急な滑り台のように見える。あんなところを滑るのだから、クレージーだねと苦笑い。金山まで穏やかな稜線をたどると、北には日本海が眺められ、頚城の山々のギザギザした山容がおもしろい。焼山も間近に見られる。

 帰りは、例の3人パーティーのシュプールに誘われて、金山と天狗原山の間の鞍部(左図の矢印)から金山谷へ飛び込む。ここも木が一本もなく、厳冬期には雪崩の巣だろう。ようやく大きな木のあるところまでたどり着いて撮ったのが左図だが、スケールがわかりにくい。最初の図と比べてみるといいだろう。ほどほどのところで登りにたどった稜線に登り返す。最後のピーク手前で熊の足跡が稜線を横切って谷から谷へ消えていた。しかも、先行パーティーのスキーのシュプールの上を通っていたので、ついさっき通ったようだ。スキーヤーの出現に驚いて、別の谷へ避難したのか。出くわさなくてお互い良かったね。最後の小さな谷の滑降も大変楽しめた。

 もう一泊同じ場所で幕営し、翌朝ざんざん降りの雨の中を歩いて帰った。こんな時には、かんぽの温泉が本当に気持ちがいい。新赤倉のおなじみのペンションでもう一泊して、連休を満喫した。どこへ行っても人の多い連休を、こんなにのんびりと過ごせるのだから、山スキーは大変結構なものであります。


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