カタログで見るシンセサイザの裏歴史

シンコー・Adonis






おそらく、このキットをご存知の方は少ないと思います。
電子展望やトランジスタ技術、I/O誌などでのシンセの製作記事が発表されると、マイコン・レーザー・シンセが自作の3大流行になりました。
このシンコーのシンセサイザキットは、後発のものです。
今となっては回路もわかりませんし、温度補償の方法なども分かりません。
いずれにせよ、パネルデザインから、SK-307やAdonis7700はKORGの、Adonis2700やMINI Adonisはローランドのデザインの影響を感じます。
当初は、大阪本社扱いでしたが、後に東京にも営業所が出来、やがて姿を消していきました。

Wave kit・Micro wave synthesizer


シンコーのそれがローランドのSH-1/SH-2といったアナログ後期のシングルボイスシンセとの価格差が1万円程度だったことを考えると、このウェーブキットシンセは非常に安価でした。
当初はモジュールキットとして発売されていたものに、パネルなどを付けたものです。
これも温度補償などを行っていたかどうかなど、詳細は不明です。
映画「さよならジュピター」の宇宙船内の操作パネルに、このキットパネルが使われていました。
ウェーブキットは、1980年代まで秋葉原に店を構えており、今では貴重なSSMのICなどの販売も手掛けていましたが、その後、撤退したようです。
しかし、会社そのものはウェーブコーポレーションとして1990年代まで存続して、CAD用PC(FM-RのOEM?)などを販売していたようです。
東京では秋葉原エレクトリックパーツなど複数の店舗で、名古屋では専門電機で販売されていました。

PAX・LOG CARDシリーズ


これは他社とは性格が異なり、セミキットでの販売でした。
また、これをまとめてアッセンブリした完成品もイケベなどで販売されていたようです。
調整済みでこの値段は、現在のDoepfer並みです。
販売されていた年代を考えると、驚異的な安さと言えます。

元のページに戻る