オーストラリアへ行こう! 第1時 授業記録

1 実施日  平成10年7月9日(木)
2 実施学級 第2時 6組、 第3時 5組、第5時 4組、第6時 2組
3 授業時間 45分
4 授業者  土井 謙次

5 授業のようす(3限 5組)
 起立 礼
 黒板に時間割を貼る
T これはある国の中学2年生、君たちと同じ年齢の生徒の時間割です。
S 日本語がある
T そう、日本語が4時間あるね
S 何分授業ですか?
T 40分です。
S スポーツが3時間連続、いいな。体育とどう違うの?
S 宗教って何?

   中略

T ではこれは、どこの国の時間割でしょう
S マレーシア、タイ、シンガポール、インドネシア、中国、韓国…口々に
指名
(午後の授業では、すぐに“オーストラリア”の答えが出る。午前のクラスから噂が伝わったため。)
S シンガポールです。(なぜそう思った)日本との貿易を大切にしているからです。S 韓国です。理由は同じです。歴史的にも日本と関係があるし…
同様の意見が2人

T なるほど、実は違います。この国からの輸入が止まると、先生の背広はこんな風になります  
SS笑い
S オーストラリア
T そう、オーストラリア。では、オーストラリアでは、なぜこんなに日本語を学習しているの?
S 日本と貿易が多く、もっとたくさん買ってもらいたいから。
S 観光客が多いから。
T なるほど、いずれにしろ、日本との関係を大切にしたいと考えていることの表れだろうね。では我々日本人は、オーストラリアのことをどれだけ知っているのでしょう。
(沈黙)
実は1月19日に3クラスでやったアンケートがあります。
S あっ、あれだ!
T もう一度やってもらいましょう。手を挙げて。
  第1問 面積は日本の何倍だと思いますか。5倍単位で聞くね。
  1〜5倍   3人
  6〜10倍 11人
  11〜15倍 16人
  15倍〜20倍 5人
  それ以上    2人
  正解は20倍ちょっと (S あー)
  そのときは、114人中5人正解、正解率4.4%

中略(以下、日本からの距離、人口、独立国になった世紀、白人の割合、貿易相手国、首相について質問)
  
T オーストラリアの人はこんなに日本を理解しようとしているのに、日本人はオーストラリアのことを全然知らないね。どうしたら理解できるだろう。
S 行けばいい(どのクラスでもこの言葉は冗談半分にすぐに出た)
T よーし、じゃオーストラリアへ行こう!
SS エー
T ただ行くだけならつまらないので、いまからある人になりきってもらいます。

表を掲示してそれぞれの課題を説明。
その他、自分の夢があれば変えてもいい、できれば班で重ならないようにしたい
ことも加える。班で相談4分

ノート配布 記名指示 
T 自分で決めたものに右端に○を打ちなさい。その他の人は( )に書こう

机間巡視

T では、条件を言います。
  出発日は、都合の悪い人もいるかもしれませんが、8月1日にしてください。
 名古屋空港から出発します。
S 本当に行くの? 
T 持ち物リスト、予算書も出してもらいますのでそのつもりで。
S 先生出校日どうするの?

T パスポート持っている人は? 3人挙手
  その他の人には、パスポートを申請する書類を配ります。
S えっ、本当に行くの!
T 5年と10年有効のものがありますが、未成年者は5年有効のものしかとれません。
  例を見ながら書いてください。
S これが本当の社会勉強だ。
S 先生、サッカーの合宿があるのですが…
T たとえ行けなくても、計画だけでもしっかり立てるんだ。
S お金ないもん
S ばか、ハネムーンで8万9千円で行けるんだぞ
S 1人4万5千円なら何とかなるな。
S 1人8万9千円だよ。

T これが先生の以前のパスポート。今のはもう少し小さい。
SS 見せて!見せて!  (まわす 古い写真を見て爆笑)

T ここで計画を立てるための資料を紹介します。

 ガイドブック等を簡単に紹介

T でも、これだけでは、実際の細かいことはわかりません。そこで、電子メールで日本語でも質問できる先生のオーストラリアの友達を紹介します。
グリフィス大学の日本語学部の学生さんです。
  
「おっぱいの大きいフリーボディ」などと一人ずつ紹介しながら、プリントアウトした学生のレポートを配る。真剣に読み出す。顔だけを中心に見まわるものもいる。
このあと、質問の仕方を紹介

(ここまで40分)
T では、今日の授業の感想、今後の抱負を書こう。

チャイム 
大勢前へ駆け寄ってくる
S どうして先生は、オーストラリアへ行こうなんて発想が出てくるの!
S パスポートの写真見せて!
S びっくりした。本当に行くかと思った。

6 生徒の感想
○ 突然でびっくりした。でも、オーストラリアのことを知りたいから、できる限りがんばって、できればオーストラリアへ行ってみたいと思いました。それと、オーストラリアの人と友達になりたいし、いろいろオーストラリアについて調べたいと思っています。(5組 森)
○ 布袋高校教師の立場に立って、しっかり勉強になる修学旅行コースをつくりたいです。パスポートの「紙」を書いているときに本当に行けたらいいなと思いました。もしいけたら、しっかりしたコースができると思います。(5組 桑山)
○ 難しそうな課題だけど、おもしろそう。行きたい。オーストラリアの自然のことなんて全然知らないけれど、がんばろうと思う。そしていろいろ学びたい。(5組 宮川)
○ オーストラリアへ行こう?最初は先生が何を行っているのかわからなかった。わからないことばかりだけど、アンナさんとケイトさんとマーニさんにメールを送っていろいろとやりとりをしてがんばっていきたい。(5組 辻)
○ オーストラリアへ行ってみたい。お金さえあれば必ず行く。1週間くらい行きたい。
外国の人といろいろ話してみたい。(5組 吉田)
○ 私の夢はニュースキャスターで本当に実現したくなった。パスポートの表を書いているうちに行きたくなった。それから、メールも早くやりたいなと思った。(2組大島)
○ はじめは全然興味がなかったけど、だんだん楽しみになってきた。オーストラリアのいろいろな歴史を知って論文を書きたいと思う。(2組 伊藤)
○ ぼくは前回の調べ学習でうまく調べることができなかったので、今回は大学の人にたくさん聞いて調べたい。(4組 高木)
○ 大学の人に聞くことや、前回の調べ学習を生かしたい。現場に行くのが一番いいけど、無理だから聞こう。オーストラリアへ行った人の話も聞きたいです。真野先生などの方に。(4組 寺田)
○ がんばろうと思う。オーストラリアへは行けないけど、資料を探して計画を立てようと思います。将来やりたいことなので練習と思ってやりたいと思います。(2組大倉)
○ 本当に計画を立てるところがリアルでおもしろそうだと思った。少々手間がかかる課題だけど、楽しんでやっていきたい。(6組 暮石)
○ これからは国際社会だから、こういうことをたくさんやって国際理解をすることは
いいと思いました。(6組 今井)
○ 変わったことをやり始めたので、今後の授業でどういうことをやるのかとても楽しみです。他の国も同じように学習してみたい。(6組 兼松) 

7 授業者の感想
・ リアルすぎて、本当にオーストラリアへ行くと信じたものが各クラスで数人出てし まった。親の許可を得たきたものもいる。
・ 学生のレポートを配布したのが、オーストラリアへの興味・関心を高めるのに最も 効果があった。生徒との距離を近くしたと同時に、日本語で質問できる安心感がそう させたと思われる。 
・ パスポートの申請書を書かせたのも効果的だった。
・ 指導案をかなり変更したが、単元の第1時としては大成功だったと思う。