校図書館法         

1953年8月8日制定
         最終改正 1997年6月11日

  第1章 総則
 (この法律の目的)

第1条 この法律は,学校図書館が,学校教育において欠くことのできない基礎的な設備であることにかんがみ,その健全な発達を図り,もつて学校教育を充実することを目的とする。
 (定義)
第2条 この法律において「学校図書館」とは,小学校(盲学校,聾学校及び養護学校の小学部を含む。),中学校(盲学校,聾学校及び養護学校の中学部を含む。)及び高等学校(盲学校,聾学校及び養護学校の高等部を含む。)(以下「学校」という。)において,図書,視覚聴覚教育の資料その他学校教育に必要な資料(以下「図書館資料」という。)を収集し,整理し,及び保存し,これを児童又は生徒及び教員の利用に供することによつて,学校の教育課程の展開に寄与するとともに,児童又は生徒の健全な教養を育成することを目的として設けられる学校の設備をいう。
 (設置義務)
第3条 学校には,学校図書館を設けなければならない。
 (学校図書館の運営)
第4条 学校は,おおむね左の各号に掲げるような方法によつて,学校図書館を児童又は生徒及び教員の利用に供するものとする。
 1 図書館資料を収集し,児童又は生徒及び教員の利用に供すること。
 2 図書館資料の分類排列を適切にし,及びその目録を整備すること。
 3 読書会,研究会,鑑賞会,映写会,資料展示会等を行うこと。
 4 図書館資料の利用その他学校図書館の利用に関し,児童又は生徒に対し指導を行うこと。
 5 他の学校の学校図書館,図書館,博物館,公民館等と緊密に連絡し,及び協力すること。
2 学校図書館は,その目的を達成するのに支障のない限度において,一般公衆に利用させることができる。
 (司書教諭)
第5条 学校には,学校図書館の専門的職務を掌らせるため,司書教諭を置かなければならない。
2 前項の司書教諭は,教諭をもつて充てる。この場合において,当該教諭は,司書教諭の講習を修了した者でなければならない。
3 前項に規定する司書教諭の講習は,大学その他の教育機関が文部大臣の委嘱を受けて行う。
4 前項に規定するものを除く外,司書教諭の講習に関し,履修すべき科目及び単位その他必要な事項は,文部省令で定める。
 (設置者の任務)
第6条 学校の設置者は,この法律の目的が十分に達成されるようその設置する学校の学校図書館を整備し,及び充実を図ることに努めなければならない。
 (国の任務)
第7条 国は,学校図書館を整備し,及びその充実を図るため,左の各号に掲げる事項の実施に努めなければならない。
 1 学校図書館の整備及び充実並びに司書教諭の養成に関する総合的計画を樹立すること。
 2 学校図書館(国立学校の学校図書館を除く。)の設置及び運営に関し,専門的,技術的な指導及び勧告を与えること。
 3 前各号に掲げるものの外,学校図書館の整備及び充実のため必要と認められる措置を講ずること。
  第2章 削除
第8条から第12条まで 削除
  第3章 国の負担
 (国の負担)

第13条 国は,地方公共団体が,その設置する高等学校(盲学校,聾学校及び養護学校の高等部を含む。)の学校図書館の設備又は図書が政令で定める基準に達していない場合において,これを当該基準にまで高めようとするときは,これに要する経費の2分の1を負担する。
(負担金の返還等)
第14条 文部大臣は,前条の規定により負担金の交付を受けた者が左の各号の1に該当するときは,当該年度におけるその後の負担金の交付をやめるとともに,すでに交付した当該年度の負担金を返還させるものとする。
 1 この法律又はこの法律に基く政令の規定に違反したとき。
 2 負担金の交付の条件に違反したとき。
 3 虚偽の方法によつて負担金の交付を受けたとき。
 (政令への委任)
第15条 前2条に規定するものを除く外,第13条の規定による国の負担金の交付に関し必要な事項は,政令で定める。
   附 則 〔抄〕
 (施行期日)
1 この法律は,昭和29年4月1日から施行する。
 (司書教諭の設置の特例)
2 学校には,平成15年3月31日までの間(政令で定める規模以下の学校にあつては,当分の間),第5条第1項の規定にかかわらず,司書教諭を置かないことができる。
   附 則〔昭和33年5月6日法律第136号〕
1 この法律は,公布の日から施行し,昭和33年4月1日から適用する。
2 昭和32年度までの国庫負担金については,なお従前の例による。
   附 則〔昭和41年6月30日法律第98号〕〔抄〕
 (施行期日)
1 この法律は,昭和41年7月1日から施行する。
   附 則〔平成9年6月11日法律第76号〕
 この法律は,公布の日から施行する。


学校図書館法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(衆議院)

(1997年6月3日)

 政府及び地方公共団体は,次の事項について特段の配慮をすべきである。
1 学校図書館は次世代の知と生きる力を育む宝庫であり,政府及び地方公共団体は不断の努力でその充実に取り組み,学校教育における図書館の重要性を広く啓蒙するとともに,今後中長期の学校図書館の在り方を総合的に検討すること。
2 政府及び地方公共団体は,この法律の趣旨を体し,司書教諭の計画的養成・発令に努めるとともに,小規模校への設置についても配慮すること。
3 政府は,司書教諭講習について,講習内容の現代化及び教員免許状取得前の受講を可能にするなど受講資格の弾力化を図り,時代の進展に応じたものとなるよう努めること。
4 政府は,学校教育における学校図書館の意義・機能,司書教諭の果たす役割等を勘案し,司書教諭の教諭としての職務の在り方に関し,担当授業時間数の軽減や司書教諭の専任化を含め,検討を行い,その結果に基づいて所要の措置を講ずること。
5 政府及び地方公共団体は,司書教諭の設置及びその職務の検討に当たっては,現に勤務するいわゆる学校司書がその職を失う結果にならないよう配慮するとともに,職員配置を含めた,学校図書館整備のための地方公共団体独自の施策を,より一層充実するよう配慮すること。
6 政府及び地方公共団体は,ひきつづき,学校図書館資料の充実を図るとともに,マルチメディア時代に向けた学習情報センターとしての機能の充実に努めること。


学校図書館法の一部を改正する法律

(1997年6月11日公布)

 学校図書館法(昭和28年法律第185号)の一部を次のように改正する。
 第5条第3項中「大学」の下に「その他の教育機関」を加える。
 附則第2項中「当分の間」を「平成15年3月31日までの間(政令で定める規模以下の学校にあつては,当分の間)」に改める。
   附 則
 この法律は,公布の日から施行する。


学校図書館法附則第2項の学校の規模を定める政令

(1997年6月11日)

 内閣は,学校図書館法(昭和28年法律第185号)附則第2項の規定に基づき,この政令を制定する。
 学校図書館法附則第2項の政令で定める規模以下の学校は,学級の数(通信制の課程を置く高等学校にあっては,学級の数と通信制の課程の生徒の数を300で除して得た数(1未満の端数を生じたときは,1に切り上げる。)とを合計した数)が11以下の学校とする。
  附 則
 この政令は,公布の日から施行する。


学校図書館法の一部を改正する法律等の施行について(通知)

((1997年6月11日)

(附属学校を置く各国立大学長・各都道府県教育委員会・各都道府県知事・国立久里浜養護学校長あて)

文部省初等中等教育局長

 このたび,別添のとおり,「学校図書館法の一部を改正する法律」(以下「改正法」という。)が平成9年6月11日法律第76号をもって公布され,同日から施行されました。
 また,「学校図書館法附則第2項の学校の規模を定める政令」(以下「規模政令」という。)が,平成9年6月11日政令第189号をもって公布され,同日から施行されるとともに,あわせて「学校図書館司書教諭講習規程」(昭和29年文部省令第21号)の一部が改正されました。
 これらの法令改正等は,学校図書館の重要性に鑑み,その運営の中心的な役割を担う司書教諭の計画的な養成・発令を促進し,もって学校図書館の一層の充実を図ることを目的としたものであります。
 改正法令等の概要及び留意事項は下記のとおりですので,今後,これらの改正法令等の趣旨に沿って司書教諭の計画的な養成・発令の促進等に努めるとともに,管下の学校に対して御指導願います。
 また,各都道府県教育委員会におかれては,管下の市町村教育委員会に対しこれらのことを通知し,改正法令等の趣旨を徹底されますよう御配慮願います。
            

1.改正法令等の趣旨
 学校図書館は学校図書館に欠くことのできないものであり,児童生徒の自発的,主体的な学習活動を支援し,教育課程の展開に寄与する学習情報センターとしての機能とともに,児童生徒の自由な読書活動や読書指導の場として,さらには創造力を培い学習に対する興味・関心等を呼び起こし豊かな心を育む読書センターとしての機能を果たし,学校教育の改革を進めるための中核的な役割を担うことが期待されている。特に,これからの学校教育においては,児童生徒が自ら考え,主体的に判断し,行動できる資質や能力等を育むことが求められており,学校図書館の果たす役割はますます重要になってきている。
 学校図書館法(以下「法」という。)においては,学校図書館の中心的な役割を担う司書教諭の設置を当分の間猶予することとされてきたが,今後の学校図書館の役割の重要性に鑑み,司書教諭の養成・発令を一層促進するため,学校(法第2条の「学校」をいう。以下同じ。)における司書教諭設置の猶予期間を,政令で定める規模以下の学校を除き,平成15年3月31日までの間とするとともに,司書教諭養成のための講習を行う機関の拡充を図ることとしたものである。
2.改正法令等の概要
(1) 司書教諭講習に関する事項(法第5条関係)
 司書教諭講習については,これまで文部大臣の委嘱を受けた大学で行うこととされていたが,大学に加えて大学以外の教育機関も,文部大臣の委嘱を受けて司書教諭の講習を行うことができることとしたこと。
(2) 司書教諭設置の猶予期間に関する事項(法附則第2項及び規模政令関係)
 司書教諭設置の猶予期間が平成15年3月31日までの間とされる学校を,学級の数(通信制の課程を置く高等学校にあっては,学級の数と通信制の生徒の数を300で除して得た数とを合計した数)が11以下の学校(以下,「11学級以下の学校」という。)を除くすべての学校としたこと。
3.留意事項
(1) 司書教諭については,これまでも昭和32年5月2日付け委初第165号,平成5年10月27日付け文初小第336号及び平成7年9月18日文初小第357号等により発令の促進を促してきたところであるが,改正法の趣旨を踏まえ,今後は,司書教諭有資格者の養成・確保及びその発令をより一層計画的に推進するよう努めること。
(2) 改正法令等では,11学級以下の学校においては当分の間司書教諭を置かないことができるとされているが,学校図書館における司書教諭の重要性に鑑み,これらの学校においても司書教諭の設置がなされるよう努めることが望まれること。
(3) 司書教諭がその職責を十分に果たせるよう,校内における教職員の協力体制の確立に努めること。その際,各学校の実情に応じ,校務分掌上の工夫を行い,司書教諭の担当授業時間数の減免を行うことは,従来と同様,可能であること。
(4) 司書教諭講習を実施する教育機関としては,例えば,各都道府県及び市町村の教育センター等が考えられること。
(5) 学校図書館担当の事務職員は,図書館サービスの提供及び学校図書館の庶務・会計等の職務に従事しているものであり,その役割は,司書教諭の役割とは別個のものであることに留意すること。
(6) マルチメディア時代に対応した学校図書館のより一層の充実と利用の促進を図るため,図書館資料や視聴覚機器,情報機器の整備に努めるとともに,公共図書館との連携や地域のボランティアの活用等による開かれた学校図書館づくりを推進するよう努めること。