岐阜大学教育学部付属小中学校研究発表会参加報告  
平成14年10月22日(火)

 これはいつものようにモバイルでメモしたもので、すべての文責は土井にあります。誤解や曲解のないように気をつけますが、学校や授業者にはいっさい責任はありません。

研究発表会は昨日にも行われている。土井は22日のみの参加である。参加者は285名。福島から山口まで全国から集まっている。授業公開が午前中に2コマ、午後には全体会のあと授業公開が1コマ、その後、教科ごとの分科会となる。

【第1時】
 小学校6年生理科の授業を参観する

 学習課題:塩酸に溶けたアルミはどうなったか。
 黒板前に集まって活発に議論が行われている。教師の語り方がうまい。
 その後実験。児童の動きから、目的意識の高さがわかる。それにしても、背が高い子が多い。6年生っこんなもんだったっけ?児童の準備は、全員が動いているので気持ちがいい。たいていは何をして良いのかわからない子がいるものだが・・・・
 塩酸をさわるために、全員ゴーグルをかけている。

 黒板の前に掲示がある。次のように書かれている。
課題づくり:ふしぎだな!なぜだろう?前の時間の疑問は?〜を調べるとわかるね!
予想する:前の学習をもとにする、事実をもとにする、生活体験をもとにする、〜だから、〜だと思います。
実験を考える:何と何を比べる、そろえる条件は?、他の方法は?
   もし〜なら、〜となるはず! 〜を言うためには、〜すればよい!
実験する:正しいか、確かか、納得できるか
   やっぱりそうだ!、 あれ、おかしい!
結論づける:納得できたことは?、納得できないことは?
  課題に対して〜だと言うことがいえます。
ひろげる:なっとくできたことは?
   だから、くらしの中の〜もこうなんだ!
     :納得できないことは?
    こういうことも、もっと調べたい

 これを見るだけでも、学び方のプロセスがわかる。
 実験に戻る。アルミを塩酸に溶かした溶液を蒸発させて、残った粉を手分けして調べている。水に溶かしてリトマス紙につける者、顕微鏡で見る者、再び塩酸にとかす者・・・・
 当然、実験器具は何を使おうと自由だ。児童はそれぞれ理科室の中のことは知り尽くしている。

 最後の礼で、係の児童が感想を述べていた。その中で、「次の時間にはわからない物質が何か確かめてみたいと思います」と述べていた。みごとにねらいが達成されていたことになる。

【第2時】
中学校社会科 
学習課題:消費者の権利を守るために消費者自身にできることは何か

 授業の様子は略

【土井の感想】
 前回見た授業とスタイルは同じである。
 テーマについて生徒が発表し、それについて他の生徒が質問や付け足しにより練り上げ、膨らませていく流れである。今日も3名がパワーポイントで発表をした。学級全体で、共につくっていく授業だ。
 全員がパワーポイントを使ってのプレゼンを完成させており、サーバにしまってある。
 授業のスタイルもユニークだが、その他気のついた点をまとめてみたい。

1 山口先生の効果的な助言が目に付いた。
 「何で調べたの」「証拠ありますか」「みじかなところか調べようとしたんだね」など、ねらいをもった言葉かけが左荒れている。
2 すぐに資料を開く生徒
   発表が進むにつれて、他の生徒がすぐに資料を開いていく。学びの姿勢ができている証拠だ。
3 発表用に資料を準備している生徒
   ペットボトルやアルミ缶、説明書を机上に準備している。いつ自分があたってもいいように、また、他の生徒の発表に対して意見を言う事ができるように準備してきている。
4 自分用に資料を加工して、自分の資料ができている。
   資料で調べた事を、わかりやすい短い言葉に置き換えている。
5 コンピュータリテラシーが身に付いている
   パワーポイントはもちろん、電子辞書まで使う生徒がいた。 

 後で聞いた話だが、この子どもたちはメーリングリストをつくっている。その中で、持ち物を聞いた入り、教室での議論の続きを続けている。これは学習がつながる新しい形だ。    

【全体会】
校長挨拶
来賓挨拶、来賓紹介 略
研究発表
 研究主題
  自ら創造的に学ぶ児童生徒の育成 −今、求められる「基礎・基本」の定着−
テーマ設定の理由
 教育の今日的な課題
  様々な変化のもとに求められる新しい教育は
 ゆとりの中で生きる力を 
教育内容の過多、詰め込み驚異宇久の弊害は子へまでにも指摘された。

これからは学校5日制、厳選された内容のなく時綱拾得、総合的な学習

基礎学力は大丈夫?
各教科のっきそ・きほん どうとらえどう定着をはかるか

本校は人間教育、新しい時代を切り開く力を育てる教育

個性の発揮、他社や環境との強調・共存
自己実現の喜び

生き生きと主体的に問題を解決できる子

願う子供像
 学数の主体者としての自覚を持って
・耐えず、自分自身の



・自分で基礎・基本を身につける子供

今求められる基礎・基本
 読み書き算 知識や技能
 創造的に学ぶ資質や能力 が相互補完
  
相互補完の基礎・基本
 基礎的・基本的な知識や技能を獲得

研究の仮説
 評価と充実を研究対象に
創造的に学ぶ資質や能力を培う学習指導の究明

子供は学ぶ存在
 主体者意識 子供の作り出す学び 

子供自らが作り出す学習像
 子供一人一人が自分の節目で学びを見つめ自ら作り出す自分の学び

学びを見つめる
自分の目で学びを見つめる

本質に迫る観点

学習方略
 仲間との関わり コミュニケーション   
相互評価 自己評価を補強、人間関係に効果

学びを見つめる観点、学びを深める方略

【第3時】
 1年4組社会科授業  各務 至
1 単元名 都道府県の調査「岐阜県」
2 自分と同じことを調べた人と最低一人、自分と違う人と最低一人交流する。
同じ人とは
15分交流
発表
白川町 なぜお茶が作られたか 気候・地形
みかん 南濃町 和歌山県のように気温が暖かいから
美濃加茂のなし 水はけのよい温暖な土地
高山のだんご 盆地、山に囲まれた 情報が入ってこない
岐阜のバラ 神戸町、大野町 6割 豊富な水 
飛騨牛 高山市を中心にブランド化
  長い説明 、ただ読むだけでなく自分でたとえながら説明している、
 周囲はついていけない。
  教師はそれでも止めることなく真剣に聞いている
枝豆 岐阜市 2/3を占めている。
  標高、気温、水はけのよさのため

Q「岐阜県の農業がさかんな様子が分かったけどバラバラ。共通点は」
地域によって作られているものが違う
地形や気候が違うので、岐阜県の特色は地域によって作られるものが違う 

このほかに共通することは
人々の努力

【土井の感想】
 一人一人に話す力が付いている。聞く力はどうか。もう少し話を聞く工夫があってもよいかも。
 内容的にはやや物足りない。今日のテーマなら、岐阜県の特色を前に出しているのだから、産業も特色ある場所ごとに吟味してこそ特色になったのではないか。
 「地形や気候に応じて人々が工夫と努力をするのは世界中どこでも同じ。だから岐阜県はどうなんだ」と言うまとめがほしかった。

【分科会】
社会科部研究主題
「自分の資料」で社会的事象の意味を追求する児童生徒の育成

学校教育振興課 課長補佐 清水
岐阜大学 尾関先生より

発表
主体的な学びから創造的な学びへ

自ら調べ表現する能力
多面的多角的な学ぶ
自分の生活との関わりを
→自分の資料で追求
創造的な学び

3つの観点
根拠は明確か
多面的多角的
自分と社会との関わり

学びを見つめる観点

以下略

岐阜大学尾関先生
昨日は小学校で見せてもらった。小中共通テーマで取り組んでいる。発達段階の違いを感じた。
多面的・多角的は低学年には難しい。
消費者とPL法、企業、・・・の関係はむずかい。どう多面的多角的に交流ができるか

二つ目は各務先生
岐阜県を扱う。
小学校でも扱うし、中学校でも扱う。
高等学校の地理A、地理Bとのつながりを理解してほしい。

協議
1 都道府県は後どこを扱うのか
    岐阜県、新潟県、東京
     新潟は岐阜県との比較
     文化的にとらえること
       
2 絶対評価についてどう考えられたか
    生徒に評価基準を示してある
       
公民的資質をどうとらえるか
 小中一貫のカリキュラムをどう工夫しているか
   いじっていない
   どこに重点を当てて小から中でおさえるか
小3 事実をとらえさせる
小4 小では多面的 いろいろな視点から
    多角的へ
 自分の資料を考えながら

意見
 社会認識と学び方の二本立て
 社会認識とくっついているか 
 社会認識が弱すぎないか
 結論 どんなAを選ぶのかで結論が違う
      どんなAを選ぶのかを鍛えたい
 学び方を大事にしてほしいが、認識を切り離すことはできない。
何をやっているのかがわからない授業が多い。
並行してきちんとやってほしい。

指導助言
清水先生
小中学校7年間で付けたい力を大学の先生と共同研究をしている点はすばらしい。
1 学習の主体者としての自覚があった。
  
2 学びを見つめる3つの観点:重要
   6人の調査 → 確かな根拠を求めている
   鈴木 枝豆のじょうけんをきちっとすうちをだして説明していた。
   
観点については生徒が自ら見つめることをしたい。

社会認識と絡めてどう基礎基本を育てるか。
自分の生活を見つめる力
 単元構成もどうすると学びを見つめる観点が育つか
ほん時の課題おあり方についても、取り組みが社会認識の深まりにつながるか
多面的、多角的 中学校では特に歴史・地理・公民の本質が現れる。
小学校のカリキュラムを研究する必要がある。

この単元ではここを扱いたい。
山口先生:学習活動と支援 発表していない子 どうケアするか 一人一人の学びを成立させるためには、小集団の交流があるとよかった。
各務先生:交流だけで終わってしまった。交流のよかった点をはっきりさせたかった。

【土井の感想】   
 最後に大変厳しい意見が出た。「社会認識が乏しすぎる。学び方に偏りすぎている」という点である。
 ただ、自分はそう思わない。表面的にあつかった知識、教師からただ与えられただけの知識は、基本的に扱わなかったと同じではないかと思う。
 そうではなく、自分の理解できる知識を積み上げ、それがつながり連関したときに、初めて理解へと結びつき、生きる力になる。