文化財保護法



第1章  総  則 (第1条〜第4条)
第2章  削  除 (第5条〜第26条)
第3章  有形文化財 (第27条〜第56条の2の12)
第3章の2  無形文化財 (第56条の3〜第56条の9)
第3章の3  民俗文化財 (第56条の10〜第56条の21)
第4章  埋蔵文化財 (第57条〜第68条)
第5章  史跡名勝天然記念物 (第69条〜第83条)
第5章の2  伝統的建造物群保存地区 (第83条の2〜第83条の6)
第5章の3  文化財の保存技術の保護 (第83条の7〜第83条の12)
第5章の4  文化財保護審議会 (第84条〜第84条の4)
第6章  補  則 (第85条〜第105条の3)
第7章  罰  則 (第106条〜第112条)

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第1章   総  則      
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(この法律の目的)
第1条  この法律は、文化財を保存し、且つ、その活用を図り、もつて国民の文化的向上に資するとともに、世界文化の進歩に貢献することを目的とする。
 
(文化財の定義)
第2条  この法律で「文化財」とは、次に掲げるものをいう。

建造物、絵画、彫刻、工芸品、書跡、典籍、古文書その他の有形の文化的所産で我が国にとつて歴史上又は芸術上価値の高いもの(これらのものと一体をなしてその価値を形成している土地その他の物件を含む。)並びに考古資料及びその他の学術上価値の高い歴史資料(以下「有形文化財」という。)
演劇、音楽、工芸技術その他の無形の文化的所在で我が国にとつて歴史上又は芸術上価値の高いもの(以下「無形文化財」という。)
衣食住、生業、信仰、年中行事等に関する風俗慣習、民俗芸能及びこれらに用いられる衣服、器具、家屋その他の物件で我が国民の生活の推移の理解のため欠くことのできないもの(以下「民俗文化財」という。)
貝づか、古墳、都城跡、城跡、旧宅その他の遺跡で我が国にとつて歴史上又は学術上価値の高いもの、庭園、橋梁、峡谷、海浜、山岳その他の名勝地で我が国にとつて芸術上又は観賞上価値の高いもの並びに動物(生息地、繁殖地及び渡来地を含む。)、植物(自生地を含む。)及び地質鉱物(特異な自然の現象の生じている土地を含む。)で我が国にとつて学術上価値の高いもの(以下「記念物」という。)
周囲の環境と一体をなして歴史的風致を形成している伝統的な建造物群で価値の高いもの(以下「伝統的建造物群」という。)
 2   この法律の規定(第27条から第29条まで、第37条、第55条第1項第4号、第84条の2第1項第1号、第88条、第94条及び第115条の規定を除く。)中「重要文化財」には、国宝を含むものとする。
 3   この法律の規定(第69条、第70条、第71条、第77条、第83条第1項第4号、第84条の2第1項第5号及び第6号、第88条並びに第94条の規定を除く。)中「史跡名勝天然記念物」には、特別史跡名勝天然記念物を含むものとする。
 
(政府及び地方公共団体の任務)
第3条  政府及び地方公共団体は、文化財がわが国の歴史、文化等の正しい理解のため欠くことのできないものであり、且つ、将来の文化の向上発展の基礎をなすものであることを認識し、その保存が適切に行われるように、周到の注意をもつてこの法律の趣旨の徹底に努めなければならない。
(国民、所有者等の心構)
第4条  一般国民は、政府及び地方公共団体がこの法律の目的を達成するために行う措置に誠実に協力しなければならない。
 2   文化財の所有者その他の関係者は、文化財が貴重な国民的財産であることを自覚し、これを公共のために大切に保存するとともに、できるだけこれを公開する等その文化的活用に努めなければならない。
 3   政府及び地方公共団体は、この法律の執行に当つて関係者の所有権その他の財産権を尊重しなければならない。
 
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第2章  削            
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第5条から第26条まで 削除

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第3章 有形文化財      最初
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第1節  重要文化財 (第27条〜第56条)
第2節  登録有形文化財 (第56条の2〜第56条の2の11)
第3節  重要文化財及び登録有形文化財以外の有形文化財 (第56条の2の12)
 
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第3章 有形文化財
 第1節 重要文化財     

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第1款  指  定 (第27条〜第29条)
第2款  管  理 (第30条〜第34条)
第3款  保  護 (第34条の2〜第47条)
第4款  公  開 (第47条の2〜第53条)
第5款  調  査 (第54条〜第55条)
第6款  雑  則 (第56条)
 
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第3章 有形文化財
 第1節 重要文化財
  第1款 指  定
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(指定)
第27条  文部大臣は、有形文化財のうち重要なものを重要文化財に指定することができる。
 2   文部大臣は、重要文化財のうち世界文化の見地から価値の高いもので、たぐいない国民の宝たるものを国宝に指定することができる。
 
(告示、通知及び指定書の交付)
第28条  前条の規定による指定は、その旨を官報で告示するとともに、当該国宝又は重要文化財の所有者に通知してする。
 
 2   前条の規定による指定は、前項の規定による官報の告示があつた日からその効力を生ずる。但し、当該国宝又は重要文化財の所有者に対しては、同項の規定による通知が当該所有者に到達した時からその効力を生ずる。
 
 3   前条の規定による指定をしたときは、文部大臣は、当該国宝又は重要文化財の所有者に指定書を交付しなければならない。
 
 4   指定書に記載すべき事項その他指定書に関し必要な事項は、文部省令で定める。
 
 5   第3項の規定により国宝の指定書の交付を受けたときは、所有者は、30日以内に国宝に指定された重要文化財の指定書を文部大臣に返付しなければならない。
 
(解除)
第29条  国宝又は重要文化財が国宝又は重要文化財としての価値を失つた場合その他特殊の事由があるときは、文部大臣は、国宝又は重要文化財の指定を解除することができる。
 
 2   前項の規定による指定の解除は、その旨を官報で告示するとともに、当該国宝又は重要文化財の所有者に通知してする。
 
 3   第1項の規定による指定の解除には、前条第2項の規定を準用する。
 
 4   第2項の通知を受けたときは、所有者は、30日以内に指定書を文部大臣に返付しなければならない。
 
 5   第1項の規定により国宝の指定を解除した場合において当該有形文化財につき重要文化財の指定を解除しないときは、文部大臣は、直ちに重要文化財の指定書を所有者に交付しなければならない。
 
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第3章 有形文化財
 第1節 重要文化財
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  第2款 管  理
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(管理方法の指示)
第30条  文化庁長官は、重要文化財の所有者に対し、重要文化財の管理に関し必要な指示をすることができる。
 
(所有者の管理義務及び管理責任者)
第31条  重要文化財の所有者は、この法律並びにこれに基いて発する文部省令及び文化庁長官の指示に従い、重要文化財を管理しなければならない。
 
 2   重要文化財の所有者は、特別の事情があるときは、適当な者をもつぱら自己に代り当該重要文化財の管理の責に任ずべき者(以下この節及び第6章において「管理責任者」という。)に選任することができる。
 
 3   前項の規定により管理責任者を選任したときは、重要文化財の所有者は、文部省令の定める事項を記載した書面をもつて、当該管理責任者と連署の上20日以内に文化庁長官に届け出なければならない。管理責任者を解任した場合も同様とする。
 
 4   管理責任者には、前条及び第1項の規定を準用する。
 
(所有者又は管理責任者の変更)
第32条  重要文化財の所有者が変更したときは、新所有者は、文部省令の定める事項を記載した書面をもつて、且つ、旧所有者に対し交付された指定書を添えて、20日以内に文化庁長官に届け出なければならない。
 
 2   重要文化財の所有者は、管理責任者を変更したときは、文部省令の定める事項を記載した書面をもつて、新管理責任者と連署の上20日以内に文化庁長官に届け出なければならない。この場合には、前条第3項の規定は、適用しない。
 
 3   重要文化財の所有者又は管理責任者は、その氏名若しくは名称又は住所を変更したときは、文部省令の定める事項を記載した書面をもつて、20日以内に文化庁長官に届け出なければならない。
氏名若しくは名称又は住所の変更が重要文化財の所有者に係るときは、届出の際指定書を添えなければならない。
 
(管理団体による管理)
第32条の2  重要文化財につき、所有者が判明しない場合又は所有者若しくは管理責任者による管理が著しく困難若しくは不適当であると明らかに認められる場合には、文化庁長官は、適当な地方公共団体その他の法人を指定して、当該重要文化財の保有のため必要な管理(当該重要文化財の保有のため必要な施設、設備その他の物件で当該重要文化財の所有者の所有又は管理に属するものの管理を含む。)を行わせることができる。
 2   前項の規定による指定をするには、文化庁長官は、あらかじめ、当該重要文化財の所有者(所有者が判明しない場合を除く。)及び権原に基く占有者並びに指定しようとする地方公共団体その他の法人の同意を得なければならない。
 3   第1項の規定による指定は、その旨を官報で告示するとともに、前項に規定する所有者、占有者及び地方公共団体その他の法人に通知してする。
 4   第1項の規定による指定には、第28条第2項の規定を準用する。
 5   重要文化財の所有者又は占有者は、正当な理由がなくて、第1項の規定による指定を受けた地方公共団体その他の法人(以下この節及び第6章において「管理団体」という。)が行う管理又はその管理のため必要な措置を拒み、妨げ、又は忌避してはならない。
 6   管理団体には、第30条及び第31条第1項の規定を準用する。
 
第32条の3  前条第1項に規定する事由が消滅した場合その他特殊の事由があるときは、文化庁長官は、管理団体の指定を解除することができる。
 2   前項の規定による解除には、前条第3項及び第28条第2項の規定を準用する。
 
第32条の4  管理団体が行う管理に要する費用は、この法律に特別の定のある場合を除いて、管理団体の負担とする。
 2   前項の規定は、管理団体と所有者との協議により、管理団体が行う管理により所有者の受ける利益の限度において、管理に要する費用の一部を所有者の負担とすることを妨げるものではない。
 
(滅失、き損等)
第33条  重要文化財の全部又は一部が滅失し、若しくはき損し、又はこれを亡失し、若しくは盗み取られたときは、所有者(管理責任者又は管理団体がある場合は、その者)は、文部省令の定める事項を記載した書面をもつて、その事実を知つた日から10日以内に文化庁長官に届け出なければならない。
 
(所在の変更)
第34条  重要文化財の所在の場所を変更しようとするときは、重要文化財の所有者(管理責任者又は管理団体がある場合は、その者)は、文部省令の定める事項を記載した書面をもつて、且つ、指定書を添えて、所在の場所を変更しようとする日の20日前までに文化庁長官に届け出なければならない。
但し、文部省令の定める場合には、届出を要せず、若しくは届出の際指定書の添附を要せず、又は文部省令の定めるところにより所在の場所を変更した後届け出ることをもつて足りる。
 
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第3章 有形文化財
 第1節 重要文化財
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  第3款 保  護
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(修理)
第34条の2  重要文化財の修理は、所有者が行うものとする。但し、管理団体がある場合は、管理団体が行うものとする。
 
(管理団体による修理)
第34条の3  管理団体が修理を行う場合は、管理団体は、あらかじめ、その修理の方法及び時期について当該重要文化財の所有者(所有者が判明しない場合を除く。)及び権原に基く占有者の意見を聞かなければならない。
 2   管理団体が修理を行う場合には、第32条の2第5項及び第32条の4の規定を準用する。
 
(管理又は修理の補助)
第35条  重要文化財の管理又は修理につき多額の経費を要し、重要文化財の所有者又は管理団体がその負担に堪えない場合その他特別の事情がある場合には、政府は、その経費の一部に充てさせるため、重要文化財の所有者又は管理団体に対し補助金を交付することができる。
 2   前項の補助金を交付する場合には、文化庁長官は、その補助の条件として管理又は修理に関し必要な事項を指示することができる。
 3   文化庁長官は、必要があると認めるときは、第1項の補助金を交付する重要文化財の管理又は修理について指揮監督することができる。
 
(管理に関する命令又は勧告)
第36条  重要文化財を管理する者が不適任なため又は管理が適当でないため重要文化財が滅失し、き損し、又は盗み取られる虞があると認めるときは、文化庁長官は、所有者、管理責任者又は管理団体に対し、重要文化財の管理をする者の選任又は変更、管理方法の改善、防火施設その他の保存施設の設置その他管理に関し必要な指定を命じ、又は勧告することができる。
 
 2   前項の規定による命令又は勧告に基いてする措置のために要する費用は、文部省令の定めるところにより、その全部又は一部を国庫の負担とすることができる。
 
 3   前項の規定により国庫が費用の全部又は一部を負担する場合には、前条第3項の規定を準用する。
 
(修理に関する命令又は勧告)
第37条  文化庁長官は、国宝がき損している場合において、その保存のため必要があると認めるときは、所有者又は管理団体に対し、その修理について必要な命令又は勧告をすることができる。
 
 2   文化庁長官は、国宝以外の重要文化財がき損している場合において、その保存のため必要があると認めるときは、所有者又は管理団体に対し、その修理について必要な勧告をすることができる。
 
 3   前2項の規定による命令又は勧告に基いてする修理のために要する費用は、文部省令の定めるところにより、その全部又は一部を国庫の負担とすることができる。
 
 4   前項の規定により国庫が費用の全部又は一部を負担する場合には、第35条第3項の規定を準用する。
 
(文化庁長官による国宝の修理等の施行)
第38条  文化庁長官は、左の各号の一に該当する場合においては、国宝につき自ら修理を行い、又は滅失、き損若しくは盗難の防止の措置をすることができる。

所有者、管理責任者又は管理団体が前2条の規定による命令に従わないとき。

国宝がき損している場合又は滅失し、き損し、若しくは盗み取られる虞がある場合において、所有者、管理責任者又は管理団体に修理又は滅失、き損若しくは盗難の防止の措置をさせることが適当でないと認められるとき。

 2   前項の規定による修理又は措置をしようとするときは、文化庁長官は、あらかじめ、所有者、管理責任者又は管理団体に対し、当該国宝の名称、修理又は措置の内容、着手の時期その他必要と認める事項を記載した令書を交付するとともに、権原に基く占有者にこれらの事項を通知しなければならない。
 
第39条  文化庁長官は、前条第1項の規定による修理又は措置をするときは、文化庁の職員のうちから、当該修理又は措置の施行及び当該国宝の管理の責に任ずべき者を定めなければならない。
 
 2   前項の規定により責に任ずべき者と定められた者は、当該修理又は措置の施行に当るときは、その身分を証明する証票を携帯し、関係名の請求があつたときは、これを示し、且つ、その正当な意見を十分に尊重しなければならない。
 
 3   前条第1項の規定による修理又は措置の施行には、第32条の2第5項の規定を準用する。
 
第40条  第38条第1項の規定による修理又は措置のために要する費用は、国庫の負担とする。
 
 2   文化庁長官は、文部省令の定めるところにより、第38条第1項の規定による修理又は措置のために要した費用の一部を所有者(管理団体がある場合は、その者)から徴収することができる。
但し、同条第1項第2号の場合には、修理又は措置を要するに至つた事由が所有者、管理責任者若しくは管理団体の責に帰すべきとき、又は所有者若しくは管理団体がその費用の一部を負担する能力があるときに限る。
 
 3   前項の規定による徴収については、行政代執行法(昭和23年法律第43号)第5条及び第6条の規定を準用する。
 
第41条  第38条第1項の規定による修理又は措置によつて損失を受けた者に対しては、国は、その通常生ずべき損失を補償する。
 
 2   前項の補償の額は、文化庁長官が決定する。
 
 3   前項の規定による補償額に不服のある者は、訴をもつてその増額を請求することができる。
但し、前項の補償の決定の通知を受けた日から3箇月を経過したときは、この限りでない。
 
 4   前項の訴えにおいては、国を被告とする。
 
(補助等に係る重要文化財譲渡の場合の納付金)
第42条  国が修理又は滅失、き損若しくは盗難の防止の措置(以下この条において、「修理等」という。)につき第35条第1項の規定により補助金を交付し、又は第36条第2項、第37条第3項若しくは第40条第1項の規定により費用を負担した重要文化財のその当時における所有者又はその相続人、受遺者若しくは受贈者(第2次以下の相続人、受遺者又は受贈者を含む。以下この条において同じ。)(以下この条において、「所有者等」という。)は、補助又は費用負担に係る修理等が行われた後当該重要文化財を有償で譲り渡した場合においては、当該補助金又は負担金の額(第40条第1項の規定による負担金については、同条第2項の規定により所有者から徴収した部分を控除した額をいう。以下この条において同じ。)の合計額から当該修理等が行われた後重要文化財の修理等のため自己の費した金額を控除して得た金額(以下この条において、「納付金額」という。)を、文部省令の定めるところにより国庫に納付しなければならない。
 
 2   前項に規定する「補助金又は負担金の額」とは、補助金又は負担金の額を、補助又は費用負担に係る修理等を施した重要文化財又はその部分につき文化庁長官が個別的に定める耐用年数で除して得た金額に、更に当該耐用年数から修理等を行つた時以後重要文化財の譲渡の時までの年数を控除した残余の年数(1年に満たない部分があるときは、これを切り捨てる。)を乗じて得た金額に相当する金額とする。
 
 3   補助又は費用負担に係る修理等が行われた後、当該重要文化財が所有者等の責に帰することのできない事由により著しくその価値を減じた場合又は当該重要文化財を国に譲り渡した場合には、文化庁長官は、納付金額の全部又は一部の納付を免除することができる。
 
 4   文化庁長官の指定する期限までに納付金額を完納しないときは、国税滞納処分の例により、これを徴収することができる。
この場合における徴収金の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぐものとする。
 
 5   納付金額を納付する者が相続人、受遺者又は受贈者であるときは、第1号に定める相続税額又は贈与税額と第2号に定める額との差額に相当する金額を第3号に定める年数で除して得た金額に第4号に定める年数を乗じて得た金額をその者が納付すべき納付金額から控除するものとする。

当該重要文化財の取得につきその者が納付した、又は納付すべき相続税額又は贈与税額

前号の相続税額又は贈与税額の計算の基礎となつた課税価格に算入された当該重要文化財又はその部分につき当該相続、遺贈又は贈与の時までに行つた修理等に係る第1項の補助金又は負担金の額の合計額を当該課税価格から控除して得た金額を課税価格として計算した場合に当該重要文化財又はその部分につき納付すべきこととなる相続税額又は贈与税額に相当する額

第2項の規定により当該重要文化財又はその部分につき文化庁長官が定めた耐用年数から当該重要文化財又はその部分の修理等を行つた時以後当該重要文化財の相続、遺贈又は贈与の時までの年数を控除した残余の年数(1年に満たない部分があるときは、これを切り捨てる。)

第2項に規定する当該重要文化財又はその部分についての残余の耐用年数

 6   前項第2号に掲げる第1項の補助金又は負担金の額については、第2項の規定を準用する。
この場合において、同項中「譲渡の時」とあるのは、「相続、遺贈又は贈与の時」と読み替えるものとする。
 
 7   第1項の規定により納付金額を納付する者の同項に規定する譲渡に係る所得税法(昭和40年法律第33号)第33条第1項に規定する譲渡所得の金額の計算については、第1項の規定により納付する金額は、同条第3項に規定する資産の譲渡に要した費用とする。
 
(現状変更等の制限)
第43条  重要文化財に関しその現状を変更し、又はその保存に影響を及ぼす行為をしようとするときは、文化庁長官の許可を受けなければならない。
ただし、現状の変更については維持の措置又は非常災害のために必要な応急措置を執る場合、保存に影響を及ぼす行為については影響の軽微である場合は、この限りでない。
 
 2   前項但書に規定する維持の措置の範囲は、文部省令で定める。
 
 3   文化庁長官は、第1項の許可を与える場合において、その許可の条件として同項の現状の変更又は保存に影響を及ぼす行為に関し必要な指示をすることができる。
 
 4   第1項の許可を受けた者が前項の許可の条件に従わなかつたときは、文化庁長官は、許可に係る現状の変更若しくは保存に影響を及ぼす行為の停止を命じ、又は許可を取り消すことができる。
 
 5   第1項の許可を受けることができなかつたことにより、又は第3項の許可の条件を付せられたことによつて損失を受けた者に対しては、国は、その通常生ずべき損失を補償する。
 
 6   前項の場合には、第41条第2項から第4項までの規定を準用する。
 
(修理の届出等)
第43条の2  重要文化財を修理しようとするときは、所有者又は管理団体は、修理に着手しようとする日の30日前までに、文部省令の定めるところにより、文化庁長官にその旨を届け出なければならない。
但し、前条第1項の規定により許可を受けなければならない場合その他文部省令の定める場合は、この限りでない。
 
 2   重要文化財の保護上必要があると認めるときは、文化庁長官は、前項の届出に係る重要文化財の修理に関し技術的な指導と助言を与えることができる。
 
(輸出の禁止)
第44条  重要文化財は、輸出してはならない。
但し、文化庁長官が文化の国際的交流その他の事由により特に必要と認めて許可した場合は、この限りでない。
 
(環境保全)
第45条  文化庁長官は、重要文化財の保存のため必要があると認めるときは、地域を定めて一定の行為を制限し、若しくは禁止し、又は必要な施設をすることを命ずることができる。
 
 2   前項の規定による処分によつて損失を受けた者に対しては、国は、その通常生ずべき損失を補償する。
 
 3   前項の場合には、第41条第2項から第4項までの規定を準用する。
 
(国に対する売渡しの申出)
第46条  重要文化財を有償で譲り渡そうとする者は、譲渡の相手方、予定対価の額(予定対価が金銭以外のものであるときは、これを時価を基準として金銭に見積つた額。以下同じ。)その他文部省令で定める事項を記載した書面をもつて、まず文化庁長官に国に対する売渡しの申出をしなければならない。
 
 2   前項の書面においては、当該相手方に対して譲り渡したい事情を記載することができる。
 
 3   文化庁長官は、前項の規定により記載された事情を相当と認めるときは、当該申出のあつた後30日以内に当該重要文化財を買い取らない旨の通知をするものとする。
 
 4   第1項の規定による売渡しの申出のあつた後30日以内に文化庁長官が当該重要文化財を国において買い取るべき旨の通知をしたときは、第1項の規定による申出書に記載された予定対価の額に相当する代金で、売買が成立したものとみなす。
 
 5   第1項に規定する者は、前項の期間(その期間内に文化庁長官が当該重要文化財を買い取らない旨の通知をしたときは、その時までの期間)内は、当該重要文化財を譲り渡してはならない。
 
(管理団体による買取りの補助)
第46条の2  国は、管理団体である地方公共団体その他の法人が、その管理に係る重要文化財(建造物その他の土地の定着物及びこれと一体のものとして当該重要文化財に指定された土地に限る。)で、その保存のため特に買い取る必要があると認められるものを買い取る場合には、その買取りに要する経費の一部を補助することができる。
 
 2   前項の場合には、第35条第2項及び第3項並びに第42条の規定を準用する。
 
(管理又は修理の受託又は技術的指導)
第47条  重要文化財の所有者(管理団体がある場合は、その者)は、文化庁長官の定める条件により、文化庁長官に重要文化材の管理(管理団体がある場合を除く。)又は修理を委託することができる。
 
 2   文化庁長官は、重要文化財の保存上必要があると認めるときは、所有者(管理団体がある場合は、その者)に対し、条件を示して、文化庁長官にその管理(管理団体がある場合を除く。)又は修理を委託するように勧告することができる。
 
 3   前2項の規定により文化庁長官が管理又は修理の委託を受けた場合には、第39条第1項及び第2項の規定を準用する。
 
 4   重要文化財の所有者、管理責任者又は管理団体は、文部省令の定めるところにより、文化庁長官に重要文化財の管理又は修理に関し技術的指導を求めることができる。
 
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第3章 有形文化財
 第1節 重要文化財
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  第4款 公  開  
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(公開)
第47条の2  重要文化財の公開は、所有者が行うものとする。但し、管理団体がある場合は、管理団体が行うものとする。
 
 2   前項の規定は、所有者又は管理団体の出品に係る重要文化財を、所有者及び管理団体以外の者が、この法律の規定により行う公開の用に供することを妨げるものではない。
 
 3   管理団体は、その管理する重要文化財を公開する場合には、当該重要文化財につき観覧科を徴収することができる。
 
(文化庁長官による公開)
第48条  文化庁長官は、重要文化財の所有者(管理団体がある場合は、その者)に対し、1年以内の期間を限つて、国立博物館その他の施設において文化庁長官の行う公開の用に供するため重要文化財を出品することを勧告することができる。
 2   文化庁長官は、国庫が管理又は修理につき、その費用の全部若しくは一部を負担し、又は補助金を交付した重要文化財の所有名(管理団体がある場合は、その者)に対し、1年以内の期間を限つて、国立博物館その他の施設において文化庁長官の行う公開の用に供するため当該重要文化財を出品することを命ずることができる。
 3   文化庁長官は、前項の場合において必要があると認めるときは、1年以内の期間を限つて、出品の期間を更新することができる。
但し、引き続き5年をこえてはならない。
 4   第2項の命令又は前項の更新があつたときは、重要文化財の所有者又は管理団体は、その重要文化財を出品しなければならない。
 5   前4項に規定する場合の外、文化庁長官は、重要文化財の所有者(管理団体がある場合は、その者)から国立博物館その他の施設において文化庁長官の行う公開の用に供するため重要文化財を出品したい旨の申出があつた場合において適当と認めるときは、その出品を承認することができる。
 
第49条  文化庁長官は、前条の規定により重要文化財が出品されたときは、第100条に規定する場合を除いて、文化庁の職員のうちから、その重要文化財の管理の責に任ずべき者を定めなければならない。
 
第50条  第48条の規定による出品のために要する費用は、文部省令の定める基準により、国庫の負担とする。
 
 2   政府は、第48条の規定により出品した所有者又は管理団体に対し、文部省令の定める基準により、給与金を支給する。
 
(所掌者等による公開)
第51条  文化庁長官は、重要文化財の所有者又は管理団体に対し、3箇月以内の期間を限つて、重要文化財の公開を勧告することかできる。
 
 2   文化庁長官は、国庫が管理、修理又は買取りにつき、その費用の全部若しくは一部を負担し、又は補助金を交付した重要文化財の所有者又は管理団体に対し、3箇月以内の期間を限つて、その公開を命ずることができる。
 
 3   前項の場合には、第48条第4項の規定を準用する。
 
 4   文化庁長官は、重要文化財の所有者又は管理団体に対し、前3項の規定による公開及び当該公開に係る重要文化財の管理に関し必要な指示をすることができる。
 
 5   重要文化財の所有者、管理責任者又は管理団体が前項の指示に従わない場合には、文化庁長官は、公開の停止又は中止を命ずることができる。
 
 6   第2項及び第3項の規定による公開のために要する費用は、文部省令の定めるところにより、その全部又は一部を国庫の負担とすることができる。
 
 7   前項に規定する場合のほか、重要文化財の所有者又は管理団体がその所有又は管理に係る重要文化財を公開するために要する費用は、文部省令で定めるところにより、その全部又は一部を国庫の負担とすることができる。
 
第51条の2  前条の規定による公開の場合を除き、重要文化財の所在の場所を変更してこれを公衆の観覧に供するため第34条の規定による届出があつた場合には、前条第4項及び第5項の規定を準用する。
 
(損失の補償)
第52条  第48条又は第51条第1項、第2項若しくは第3項の規定により出品し、又は公開したことに起因して当該重要文化財が滅失し、又はき損したときは、国は、その重要文化財の所有者に対し、その通常生ずべき場失を補償する。
ただし、重要文化財が所有者、管理責任者又は管理団体の責に帰すべき事由によつて滅失し、又はき損した場合は、この限りでない。
 
 2   前項の場合には、第41条第2項から第4項までの規定を準用する。
 
(所有者等以外の者による公開)
第53条  重要文化財の所有者及び管理団体以外の者がその主催する展覧会その他の催しにおいて重要文化財を公衆の観覧に供しようとするときは、文化庁長官の許可を受けなければならない。
ただし、文化庁長官以外の国の機関若しくは地方公共団体があらかじめ文化庁長官の承認を受けた博物館その他の施設(以下この項において「公開承認施設」という。)において展覧会その他の催しを主催する場合又は公開承認施設の設置者が当該公開承認施設においてこれらを主催する場合は、この限りでない。
 
 2   前項ただし書の場合においては、同項に規定する催しを主催した者(文化庁長官を除く。)は、重要文化財を公衆の観覧に供した期間の最終日の翌日から起算して20日以内に、文部省令で定める事項を記載した書面をもつて、文化庁長官に届け出るものとする。
 
 3   文化庁長官は、第1項の許可を与える場合において、その許可の条件として、許可に係る公開及び当該公開に係る重要文化財の管理に関し必要な指示をすることができる。
 
 4   第1項の許可を受けた者が前項の許可の条件に従わなかつたときは、文化庁長官は、許可に係る公開の停止を命じ、又は許可を取り消すことができる。
 
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第3章 有形文化財
 第1節 重要文化財
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  第5款 調  査  
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(保存のための調査)
第54条  文化庁長官は、必要があると認めるときは、重要文化財の所有者、管理責任者又は管理団体に対し、重要文化財の現状又は管理、修理若しくは環境保全の状況につき報告を求めることができる。
 
第55条  文化庁長官は、次の各号の一に該当する場合において、前条の報告によつてもなお重要文化財に関する状況を確認することができず、かつ、その確認のため他に方法がないと認めるときは、調査に当たる者を定め、その所在する場所に立ち入つてその現状又は管理、修理若しくは環境保全の状況につき実地調査をさせることができる。

重要文化財に関し現状の変更又は保存に影響を及ぼす行為につき許可の申請があつたとき。
重要文化財がき損しているとき又はその現状若しくは所在の場所につき変更があつたとき。
重要文化財が滅失し、き損し、又は盗み取られる虞のあるとき。
特別の事情によりあらためて国宝又は重要文化財としての価値を鑑査する必要があるとき。

 2   前項の規定により立ち入り、調査する場合においては、当該調査に当る者は、その身分を証明する証票を携帯し、関係者の請求があつたときは、これを示し、且つ、その正当な意見を十分に尊重しなければならない。
 
 3   第1項の規定による調査によつて損失を受けた者に対しては、国は、その通常生ずべき損失を補償する。
 
 4   前項の場合には、第41条第2項から第4項までの規定を準用する。
 
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第3章 有形文化財
 第1節 重要文化財
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  第6款 雑  則
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(所有者変更等に伴う権利義務の承継)
第56条  重要文化財の所有者が変更したときは、新所有者は、当該重要文化財に関しこの法律に基いてする文化庁長官の命令、勧告、指示その他の処分による旧所有者の権利義務を承継する。
 
 2   前項の場合には、旧所有者は、当該重要文化財の引渡と同時にその指定書を新所有者に引き渡さなければならない。
 
 3   管理団体が指定され、又はその指定が解除された場合には、第1項の規定を準用する。
但し、管理団体が指定された場合には、もつぱら所有者に属すべき権利義務については、この限りでない。
 
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第3章 有形文化財
 第2節 登録有形文化財
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(有形文化財の登録)
第56条の2  文部大臣は、重要文化財以外の有形文化財(第98条第2項に規定する指定を地方公共団体が行つているものを除く。)で建造物であるもののうち、その文化財としての価値にかんがみ保存及び活用のための措置が特に必要とされるものを文化財登録原簿に登録することができる。
 2   文部大臣は、前項の規定による登録をしようとするときは、あらかじめ、関係地方公共団体の意見を聴くものとする。
 3   文化財登録原簿に記載すべき事項その他文化財登録原簿に関し必要な事項は、文部省令で定める。
 
(告示、通知及び登録証の交付)
第56条の2の2  前条第1項の規定による登録をしたときは、速やかに、その旨を官報で告示するとともに、当該登録をされた有形文化財(以下「登録有形文化財」という。)の所有者に通知する。
 
 2   前条第1項の規定による登録は、前項の規定による官報の告示があつた日からその効力を生ずる。
ただし、当該登録有形文化財の所有者に対しては、同項の規定による通知が当該所有者に到達した時からその効力を生ずる。
 
 3   前条第1項の規定による登録をしたときは、文部大臣は、当該登録有形文化財の所有者に登録証を交付しなければならない。
 
 4   登録証に記載すべき事項その他登録証に関し必要な事項は、文部省令で定める。
 
(登録有形文化財の登録の抹消)
第56条の2の3  文部大臣は、登録有形文化財について、第27条第1項の規定により重要文化財に指定したとき、又は第98条第2項に規定する指定を地方公共団体が行つたときは、その登録を抹消するものとする。
 
 2   文部大臣は、登録有形文化財についてその保存及び活用のための措置を講ずる必要がなくなつた場合その他特殊の事由があるときは、その登録を抹消することができる。
 
 3   前2項の規定により登録の抹消をしたときは、速やかに、その旨を官報で告示するとともに、当該登録有形文化財の所有者に通知する。
 
 4   第1項及び第2項の規定による登録の抹消には、前条第2項の規定を準用する。
 
 5   第3項の通知を受けたときは、所有者は、30日以内に登録証を文部大臣に返付しなければならない。
 
(登録有形文化財の管理)
第56条の2の4  登録有形文化財の所有者は、この法律及びこれに基づく文部省令に従い、登録有形文化財を管理しなければならない。
 
 2   登録有形文化財の所有者は、特別の事情があるときは、適当な者を専ら自己に代わり当該登録有形文化財の管理の責に任ずべき者(以下この節において「管理責任者」という。)に選任することができる。
 
 3   文化庁長官は、登録有形文化財について、所有者が判明せず、又は所有者若しくは管理責任者による管理が著しく困難若しくは不適当であることが明らかである旨の関係地方公共団体の申出があつた場合には、関係地方公共団体の意見を聴いて、適当な地方公共団体その他の法人を、当該登録者形文化財の保有のため必要な管理(当該登録有形文化財の保存のため必要な施設、設備その他の物件で当該登録有形文化財の所有者の所有又は管理に属するものの管理を含む。)を行う団体(以下この節において「管理団体」という。)に指定することができる。
 
 4   登録有形文化財の管理には、第31条第3項、第32条、第32条の2第2項から第5項まで、第32条の3及び第32条の4の規定を準用する。
 
 5   登録有形文化財の管理責任者及び管理団体には、第1項の規定を準用する。
 
(登録有形文化財の滅失又はき損)
第56条の2の5  登録有形文化財の全部又は一部が滅失し、又はき損したときは、所有者(管理責任者又は管理団体がある場合は、その者)は、文部省令で定める事項を記載した書面をもつて、その事実を知つた日から10日以内に文化庁長官に届け出なければならない。
 
(登録有形文化財の修理)
第56条の2の6  登録有形文化財の修理は、所有者が行うものとする。
ただし、管理団体がある場合は、管理団体が行うものとする。
 
 2   管理団体が修理を行う場合には、第32条の2第5項、第32条の4及び第34条の3第1項の規定を準用する。
 
(登録有形文化財の現状変更の届出等)
第56条の2の7  登録有形文化財に関しその現状を変更しようとする者は、現状を変更しようとする日の30日前までに、文部省令で定めるところにより、文化庁長官にその旨を届け出なければならない。
ただし、維持の措置若しくは非常災害のために必要な応急措置又は他の法令の規定による現状の変更を内容とする命令に基づく措置を執る場合は、この限りでない。
 
 2   前項ただし書に規定する維持の措置の範囲は、文部省令で定める。
 
 3   登録有形文化財の保護上必要があると認めるときは、文化庁長官は、第1項の届出に係る登録有形文化財の現状の変更に関し必要な指導、助言又は勧告をすることができる。
 
(登録有形文化財の管理又は修理に関する技術的指導)
第56条の2の8  登録有形文化財の所有者、管理責任者又は管理団体は、文部省令で定めるところにより、文化庁長官に登録有形文化財の管理又は修理に関し技術的指導を求めることができる。
 
(登録有形文化財の公開)
第56条の2の9  登録有形文化財の公開は、所有者が行うものとする。ただし、管理団体がある場合は、管理団体が行うものとする。
 
 2   前項の規定は、登録有形文化財の所有者及び管理団体以外の者が、所有者(管理団体がある場合は、その者)の同意を得て、登録有形文化財を公開の用に供することを妨げるものではない。
 
 3   管理団体が行う登録有形文化財の公開には、第47条の2第3項の規定を準用する。
 
 4   登録有形文化財の活用上必要があると認めるときは、文化庁長官は、登録有形文化財の所有者又は管理団体に対し、登録有形文化財の公開及び当該公開に係る登録有形文化財の管理に関し、必要な指導又は助言をすることができる。
 
(登録有形文化財の現状等の報告)
第56条の2の10  文化庁長官は、必要があると認めるときは、登録有形文化財の所有者、管理責任者又は管理団体に対し、登録有形文化財の現状又は管理若しくは修理の状況につき報告を求めることができる。
 
(所有者変更に伴う登録証の引渡し)
第56条の2の11  登録有形文化財の所有者が変更したときは、旧所有者は、当該登録有形文化財の引渡しと同時にその登録証を新所有者に引き渡さなければならない。
 
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第3章 有形文化財
 第3節 重要文化財及び登録有形文化財以外の有形文化財  
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(技術的指導)
第56条の2の12  重要文化財及び登録有形文化財以外の有形文化財の所有者は、文部省令の定めるところにより、文化庁長官に有形文化財の管理又は修理に関し技術的指導を求めることができる。

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第3章の2 無形文化財  最初
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(重要無形文化財の指定等)
第56条の3  文部大臣は、無形文化財のうち重要なものを重要無形文化財に指定することができる。
 
 2   文部大臣は、前項の規定による指定をするに当たつては、当該重要無形文化財の保持者又は保持団体(無形文化財を保持する者が主たる構成員となつている団体で代表者の定めのあるものをいう。以下同じ。)を認定しなければならない。
 
 3   第1項の規定による指定は、その旨を官報で告示するとともに、当該重要無形文化財の保持者又は保持団体として認定しようとするもの(保持団体にあつては、その代表者)に通知してする。
 
 4   文部大臣は、第1項の規定による指定をした後においても、当該重要無形文化財の保持者又は保持団体として認定するに足りるものがあると認めるときは、そのものを保持者又は保持団体として追加認定することができる。
 
 5   前項の規定による追加認定には、第3項の規定を準用する。
 
(重要無形文化財の指定等の解除)
第56条の4  重要無形文化財が重要無形文化財としての価値を失つた場合その他特殊の事由があるときは、文部大臣は、重要無形文化財の指定を解除することができる。
 
 2   保持者が心身の故障のため保持者として適当でなくなつたと認められる場合、保持団体がその構成員の異動のため保持団体として適当でなくなつたと認められる場合その他特殊の事由があるときは、文部大臣は、保持者又は保持団体の認定を解除することができる。
 
 3   第1項の規定による指定の解除又は前項の規定による認定の解除は、その旨を官報で告示するとともに、当該重要無形文化財の保持者又は保持団体の代表者に通知してする。
 
 4   保持者が死亡したとき、又は保持団体が解散したとき(消滅したときを含む。以下この条及び次条において同じ。)は、当該保持者又は保持団体の認定は解除されたものとし、保持者のすべてが死亡したとき、又は保持団体のすべてが解散したときは、重要無形文化財の指定は解除されたものとする。
この場合には、文部大臣は、その旨を官報で告示しなければならない。
 
(保持者の氏名変更等)
第56条の5  保持者が氏名若しくは住所を変更し、又は死亡したとき、その他文部省令の定める事由があるときは、保持者又はその相続人は、文部省令の定める事項を記載した書面をもつて、その事由の生じた日(保持者の死亡に係る場合は、相続人がその事実を知つた日)から20日以内に文化庁長官に届け出なければならない。保持団体が名称、事務所の所在地若しくは代表者を変更し、構成員に異動を生じ、又は解散したときも、代表者(保持団体が解散した場合にあつては、代表者であつた者)について、同様とする。
 
(重要無形文化財の保存)
第56条の6  文化庁長官は、重要無形文化財の保存のため必要があると認めるときは、重要無形文化財について自ら記録の作成、伝承者の養成その他その保存のため適当な措置を執ることができるものとし、国は、保持者、保持団体又は地方公共団体その他その保存に当たることを適当と認める者に対し、その保有に要する経費の一部を補助することができる。
 
 2   前項の規定により補助金を交付する場合には、第35条第2項及び第3項の規定を準用する。
 
(重要無形文化財の公開)
第56条の7  文化庁長官は、重要無形文化財の保持者又は保持団体に対し重要無形文化財の公開を、重要無形文化財の記録の所有者に対しその記録の公開を勧告することかできる。
 
 2   重要無形文化財の保持者又は保持団体が重要無形文化財を公開する場合には、第51条第7項の規定を準用する。
 
 3   主要無形文化財の記録の所有者がその記録を公開する場合には、国は、その公開に要する経費の一部を補助することができる。
 
(重要無形文化財の保存に関する助言又は勧告)
第56条の8  文化庁長官は、重要無形文化材の保持者若しくは保持団体又は地方公共団体その他その保有に当たることを適当と認める者に対し、重要無形文化財の保存のため必要な助言又は勧告をすることができる。
 
(重要無形文化財以外の無形文化財の記録の作成等)
第56条の9  文化庁長官は、重要無形文化財以外の無形文化財のうち特に必要のあるものを選択して、自らその記録を作成し、保存し、又は公開することができるものとし、国は、適当な者に対し、当該無形文化財の公開又はその記録の作成、保存若しくは公開に要する経費の一部を補助することができる。
 
 2   前項の規定により補助金を交付する場合には、第39条第2項及び第3項の規定を準用する。
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第3章の3 民俗文化財      最初
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(重要有形民俗文化財及び重要無形民俗文化財の指定)
第56条の10  文部大臣は、有形の民俗文化財のうち特に重要なものを重要有形民俗文化財に、無形の民俗文化財のうち特に重要なものを重要無形民俗文化財に指定することができる。
 
 2   前項の規定による重要有形民俗文化財の指定には、第28条第1項から第4項までの規定を準用する。
 
 3   第1項の規定による重要無形民俗文化財の指定は、その旨を官報に告示してする。
 
(重要有形民俗文化財及び重要無形民俗文化財の指定の解除)
第56条の11  重要有形民俗文化財又は重要無形民俗文化財が重要有形民俗文化財又は重要無形民俗文化財としての価値を失つた場合その他特殊の事由があるときは、文部大臣は、重要有形民俗文化財又は重要無形民俗文化財の指定を解除することができる。
 
 2   前項の規定による重要有形民俗文化財の指定の解除には、第29条第2項から第4項までの規定を準用する。
 
 3   第1項の規定による重要無形民俗文化財の指定の解除は、その旨を官報に告示してする。
 
(重要有形民俗文化財の管理)
第56条の12  重要有形民俗文化財の管理には、第30条から第34条までの規定を準用する。
 
(重要有形民俗文化財の保護)
第56条の13  重要有形民俗文化財に関しその現状を変更し、若しくはその保存に影響を及ぼす行為をし、又はこれを輸出しようとする者は、現状を変更し、若しくは保有に影響を及ぼす行為をし、又は輸出しようとする日の20日前までに、文部省令の定めるところにより、文化庁長官にその旨を届け出なければならない。
ただし、文部省令の定める場合は、この限りでない。
 
 2   重要有形民俗文化財の保護上必要があると認めるときは、文化庁長官は、前項の届出に係る重要有形民俗文化財の現状変更若しくは保有に影響を及ぼす行為又は輸出に関し必要な事項を指示することができる。
 
第56条の14  重要有形民俗文化財の保護には、第34条の2から第36条まで、第37条第2項から第4項まで、第42条、第46条及び第47条の規定を準用する。
 
(重要有形民俗文化財の公開)
第56条の15  重要有形民俗文化財の所有者及び管理団体(第56条の12で準用する第32条の2第1項の規定による指定を受けた地方公共団体その他の法人をいつう。以下この章及び第6章において同じ。)以外の者がその主催する展覧会その他の催しにおいて重要有形民俗文化財を公衆の観覧に供しようとするときは、文部省令の定める事項を記載した書面をもつて、観覧に供しようとする最初の日の30日前までに、文化庁長官に届け出なければならない。
ただし、文化庁長官以外の国の機関若しくは地方公共団体があらかじめ文化庁長官から事前の届出の免除を受けた博物館その他の施設(以下この項において「公開事前届出免除施設」という。)において展覧会その他の催しを主催する場合又は公開事前届出免除施設の設置者が当該公開事前届出免除施設においてこれらを主催する場合には、重要有形民俗文化財を公衆の観覧に供した期間の最終日の翌日から起算して20日以内に、文化庁長官に届け出ることをもつて足りる。
 
 2   前項本文の届出に係る公開には、第51条第4項及び第5項の規定を準用する。
 
第56条の16  重要有形民俗文化財の公開には、第47条の2から第52条までの規定を準用する。
 
(重要有形民俗文化財の保存のための調査及び所有者変更等に伴う権利義務の承継)
第56条の17  重要有形民俗文化財の保存のための調査には、第54条の規定を、重要有形民俗文化財の所有者が変更し、又は重要有形民俗文化財の管理団体が指定され、若しくはその指定が解除された場合には、第56条の規定を準用する。
 
(重要無形民俗文化財の保存)
第56条の18  文化庁長官は、重要無形民俗文化財の保有のため必要があると認めるときは、重要無形民俗文化財について自ら記録の作成その他その保有のため適当な措置を執ることができるものとし、国は、地方公共団体その他その保有に当たることを適当と認める者に対し、その保存に要する経費の一部を補助することができる。
 
 2   前項の規定により補助金を交付する場合には、第35条第2項及び第3項の規定を準用する。
 
(重要無形民俗文化財の記録の公開)
第56条の19  文化庁長官は、重要無形民俗文化財の記録の所有者に対し、その記録の公開を勧告することができる。
 
 2   重要無形民俗文化財の記録の所有者がその記録を公開する場合には、第56条の7第3項の規定を準用する。
 
(重要無形民俗文化財の保存に関する助言又は勧告)
第56条の20  文化庁長官は、地方公共団体その他重要無形民俗文化財の保有に当たることを適当と認める者に対し、その保存のため必要な助言又は勧告をすることができる。
 
(重要無形民俗文化財以外の無形の民俗文化財の記録の作成等)
第56条の21  重要無形民俗文化財以外の無形の民俗文化財には、第56条の9の規定を準用する。

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第4章 埋蔵文化財       最初
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(調査のための発掘に関する届出、指示及び命令)
第57条  土地に埋蔵されている文化財(以下「埋蔵文化財」という。)について、その調査のため土地を発掘しようとする者は、文部省令の定める事項を記載した書面をもつて、発掘に着手しようとする日の30日前までに文化庁長官に届け出なければならない。
ただし、文部省令の定める場合は、この限りでない。
 
 2   埋蔵文化財の保護上特に必要があると認めるときは、文化庁長官は、前項の届出に係る発掘に関し必要な事項及び報告書の提出を指示し、又はその発掘の禁止、停止若しくは中止を命ずることができる。
 
(土木工事等のための発掘に関する届出及び指示)
第57条の2  土木工事その他埋蔵文化財の調査以外の目的で、貝づか、古墳その他埋蔵文化財を包蔵する土地として周知されている土地(以下「周知の埋蔵文化財包蔵地」という。)を発掘しようとする場合には、前条第1項の規定を準用する。この場合において、同項中「30日前」とあるのは、「60日前」と読み替えるものとする。
 
 2   埋蔵文化財の保護上特に必要があると認めるときは、文化庁長官は、前項で準用する前条第1項の届出に係る発掘に関し、当該発掘前における埋蔵文化財の記録の作成のための発掘調査の実施その他の必要な事項を指示することができる。
  《改正》平11法087
(国の機関等が行う発掘に関する特例)
第57条の3  国の機関、地方公共団体又は国若しくは地方公共団体の設立に係る法人で政令の定めるもの(以下この条及び第57条の6において「国の機関等」と総称する。)が、前条第1項に規定する目的で周知の埋蔵文化財包蔵地を発掘しようとする場合においては、同条の規定を適用しないものとし、当該国の機関等は、当該発掘に係る事業計画の策定に当たつて、あらかじめ、文化庁長官にその旨を通知しなければならない。
 
 2   文化庁長官は、前項の通知を受けた場合において、埋蔵文化財の保護上特に必要があると認めるときは、当該国の機関等に対し、当該事業計画の策定及びその実施について協議を求めるべき旨の通知をすることができる。
 
 3   前項の通知を受けた国の機関等は、当該事業計画の策定及びその実施について、文化庁長官に協議しなければならない。
 
 4   文化庁長官は、前2項の場合を除き、第1項の通知があつた場合において、当該通知に係る事業計画の実施に関し、埋蔵文化財の保護上必要な勧告をすることができる。
 
 5   前4項の場合において、当該国の機関等が各省各庁の長(国有財産法(昭和23年法律第73号)第4条第2項に規定する各省各庁の長をいう。以下同じ。)であるときは、これらの規定に規定する通知、協議又は勧告は、文部大臣を通じて行うものとする。
 
(埋蔵文化財包蔵地の周知)
第57条の4  国及び地方公共団体は、周知の埋蔵文化財包蔵地について、資料の整備その他その周知の徹底を図るために必要な措置の実施に努めなければならない。
 
 2   国は、地方公共団体が行う前項の措置に関し、指導、助言その他の必要と認められる援助をすることができる。
 
(遺跡の発見に関する届出、停止命令等)
第57条の5  土地の所有者又は占有者が出土品の出土等により貝づか、住居跡、古墳その他遺跡と認められるものを発見したときは、第57条第1項の規定による調査に当たつて発見した場合を除き、その現状を変更することなく、遅滞なく、文部省令の定める事項を記載した書面をもつて、その旨を文化庁長官に届け出なければならない。
ただし、非常災害のために必要な応急措置を執る場合は、その限度において、その現状を変更することを妨げない。
 
 2   文化庁長官は、前項の届出があつた場合において、当該届出に係る遺跡が重要なものであり、かつ、その保護のため調査を行う必要かあると認めるときは、その土地の所有者又は占有者に対し、期間及び区域を定めて、その現状を変更することとなるような行為の停止又は禁止を命ずることができる。
ただし、その期間は、3箇月を超えることかできない。
 
 3   文化庁長官は、前項の命令をしようとするときは、あらかじめ、関係地方公共団体の意見を聴かなければならない。
 
 4   第2項の命令は、第1項の届出があつた日から起算して1箇月以内にしなければならない。
 
 5   第2項の場合において、同項の期間内に調査が完了せず、引き続き調査を行う必要があるときは、文化庁長官は、1回に限り、当該命令に係る区域の全部又は一部について、その期間を延長することかできる。
ただし、当該命令の期間が、同項の期間と通算して6箇月を超えることとなつてはならない。
 
 6   第2項及び前項の期間を計算する場合においては、第1項の届出があつた日から起算して第2項の命令を発した日までの期間が含まれるものとする。
 
 7   文化庁長官は、第1項の届出がなされなかつた場合においても、第2項及び第5項に規定する措置を執ることができる。
 
 8   文化庁長官は、第2項の措置を執つた場合を除き、第1項の届出がなされた場合には、当該遺跡の保護上必要な指示をすることができる。前項の規定により第2項の措置を執つた場合を除き、第1項の届出がなされなかつたときも、同様とする。
 
 9   第2項の命令によつて損失を受けた者に対しては、国は、その通常生ずべき損失を補償する。
 
 10   前項の場合には、第41条第2項から第4項までの規定を準用する。
 
(国の機関等の遺跡の発見に関する特例)
第57条の6  国の機関等が前条第1項に規定する発見をしたときは、同条の規定を適用しないものとし、第57条第1項又は第58条の2第1項の規定による調査に当たつて発見した場合を除き、その現状を変更することなく、遅滞なく、その旨を文化庁長官に通知しなければならない。
ただし、非常災害のために必要な応急措置を執る場合は、その限度において、その現状を変更することを妨げない。
  《改正》平11法087
 2   文化庁長官は、前項の通知を受けた場合において、当該通知に係る道路が重要なものであり、かつ、その保護のため調査を行う必要があると認めるときは、当該国の機関等に対し、その調査、保存等について協議を求めるべき旨の通知をすることかできる。
 
 3   前項の通知を受けた国の機関等は、文化庁長官に協議しなければならない。
 
 4   文化庁長官は、前2項の場合を除き、第1項の通知があつた場合において、当該遺跡の保護上必要な勧告をすることができる。
 
 5   前4項の場合には、第57条の3第5項の規定を準用する。
 
(文化庁長官による発掘の施行)
第58条  文化庁長官は、歴史上又は学術上の価値が特に高く、かつ、その調査が技術的に困離なため国において調査する必要があると認められる埋蔵文化財については、その調査のため土地の発掘を施行することができる。
 
 2   前項の規定により発掘を施行しようとするときは、文化庁長官は、あらかじめ、当該土地の所有者及び権原に基づく占有者に対し、発掘の目的、方法、着手の時期その他必要と認める事項を記載した令書を交付しなければならない。
 
 3   第1項の場合には、第39条(同条第3項において準用する第32条の2第5項の規定を含む。)及び第41条の規定を準用する。
 
(地方公共団体による発掘の施行)
第58条の2  地方公共団体は、文化庁長官が前条第1項の規定により発掘を施行するものを除き、埋蔵文化財について調査する必要があると認めるときは、埋蔵文化財を包蔵すると認められる土地の発掘を施行することができる。

《追加》平11法087
 2   前項の規定により発掘を施行しようとする場合において、その発掘を施行しようとする土地が国の所有に属し、又は国の機関の占有するものであるときは、教育委員会は、あらかじめ、発掘の目的、方法、着手の時期その他必要と認める事項につき、関係各省各庁の長その他の国の機関と協議しなければならない。

《追加》平11法087
 3   地方公共団体は、第1項の発掘に関し、事業者に対し協力を求めることができる。

《追加》平11法087
 4   文化庁長官は、地方公共団体に対し、第1項の発掘に関し必要な指導及び助言をすることができる。

《追加》平11法087
 5   国は、地方公共団体に対し、第1項の発掘に要する経費の一部を補助することができる。

《追加》平11法087

(返還又は通知等)
第59条  第58条第1項の規定による発掘により文化財を発見した場合において、文化庁長官は、当該文化財の所有者が判明しているときはこれを所有者に返還し、所有者が判明しないときは、遺失物法(明治32年法律第87号)第13条で準用する同法第1条第1項の規定にかかわらず、警察署長にその旨を通知することをもつて足りる。
  《改正》平11法087
 2   前項の規定は、前条第1項の規定による発掘により都道府県又は地方自治法(昭和22年法律第67号)第252条の19第1項の指定都市若しくは同法第252条の22第1項の中核市(以下「指定都市等」という。)の教育委員会が文化財を発見した場合における当該教育委員会について準用する。

《追加》平11法087
 3   第1項(前項において準用する場合を含む。)の通知を受けたときは、警察署長は、直ちに当該文化財につき遺失物法第13条において準用する同法第1条第2項の規定による公告をしなければならない。
  《改正》平11法087
(提出)
第60条  遺失物法第13条で準用する同法第1条第1項の規定により、埋蔵物として差し出された物件が文化財と認められるときは、警察署長は、直ちに当該物件を当該物件の発見された土地を管轄する都道府県の教育委員会(当該上地が指定都市等の区域内に存する場合にあつては、当該指定都市等の教育委員会。次条において同じ。)に提出しなければならない。ただし、所有者の判明している場合は、この限りでない。
  《改正》平11法087
(鑑査)
第61条  前条の規定により物件が提出されたときは、都道府県の教育委員会は、当該物件が文化財であるかどうかを鑑査しなければならない。
  《改正》平11法087
 2   都道府県の教育委員会は、前項の監査の結果当該物件を文化財と認めたときは、その旨を警察署長に通知し、文化財でないと認めたときは、当該物件を警察署長に差し戻さなければならない。
  《改正》平11法087
(引渡し)
第62条  第59条第1項に規定する文化財又は同条第2項若しくは前条第2項に規定する文化財の所有者から、警察署長に対し、その文化財の返還の請求があつたときは、文化庁長官又は都道府県若しくは指定都市等の教育委員会は、当該警察署長にこれを引き渡さなければならない。
  《改正》平11法087
(国庫帰属及び報償金)
第63条  第59条第1項又はに規定する文化財又は第61条第2項に規定する文化財(国の機関が埋蔵文化財の調査のための土地の発掘により発見したものに限る。)で、その所有者が判明しないものの所有権は、国庫に帰属する。この場合においては、文化庁長官は、当該文化財の発見された土地の所有者にその旨を通知し、かつ、その価格の2分の1に相当する額の報償金を支給する。

《改正》平11法087
    《1項削除》平11法087
 2   前項の場合には、第41条第2項から第4項までの規定を準用する。
  《改正》平11法087
(都道府県帰属及び報償金)
第63条の2  第59条第2項に規定する文化財又は第61条第2項に規定する文化財(前条第1項に規定するものを除く。)で、その所有者が判明しないものの所有権は、当該文化財の発見された土地を管轄する都道府県に帰属する。この場合においては、当該都道府県の教育委員会は、当該文化財の発見者及びその発見された土地の所有者にその旨を通知し、かつ、その価格に相当する額の報償金を支給する。

《追加》平11法087
 2   前項に規定する発見者と土地所有者とが異なるときは、前項の報償金は、折半して支給する。

《追加》平11法087
 3   第1項の報償金の額は、当該都道府県の教育委員会が決定する。

《追加》平11法087
 4   前項の規定による報償金の額については、第41条第3項の規定を準用する。

《追加》平11法087
 5   前項において準用する第41条第3項の規定による訴えにおいては、都道府県を被告とする。

《追加》平11法087
(譲与等)
第64条  政府は、第63条第1項の規定により国庫に帰属した文化財の保存のため又はその効用から見て国が保有する必要がある場合を除いて、当該文化財の発見された土地の所有者に、その者が同条の規定により受けるべき報償金の額に相当するものの範囲内でこれを譲与することができる。
  《改正》平11法087
 2   前項の場合には、その譲与した文化財の価格に相当する金額は、第63条に規定する報償金の額から控除するものとする。
  《改正》平11法087
 3   政府は、第63条第1項の規定により国庫に帰属した文化財の保存のため又はその効用から見て国が保有する必要がある場合を除いて、当該文化財の発見された土地を管轄する地方公共団体に対し、その申請に基づき、当該文化財を譲与し、又は時価よりも低い対価で譲渡することができる。
  《改正》平11法087
 
第64条の2  都道府県の教育委員会は、第63条の2第1項の規定により当該都道府県に帰属した文化財の保存のため又はその効用から見て当該都道府県が保有する必要がある場合を除いて、当該文化財の発見者又はその発見された土地の所有者に、その者が同条の規定により受けるべき報償金の額に相当するものの範囲内でこれを譲与することができる。

《追加》平11法087
 2   前項の場合には、その譲与した文化財の価格に相当する金額は、第63条の2に規定する報償金の額から控除するものとする。

《追加》平11法087
(遺失物法の適用)
第65条  埋蔵文化財に関しては、この法律に特別の定のある場合の外、遺失物法第13条の規定の適用があるものとする。
 
第66条から第68条まで 削除
 
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第5章 史跡名勝天然記念物        最初
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(指定)
第69条  文部大臣は、記念物のうち重要なものを史跡、名勝又は天然記念物(以下「史跡名勝天然記念物」と総称する。)に指定することができる。
 
 2   文部大臣は、前項の規定により指定された史跡名勝天然記念物のうち特に重要なものを特別史跡、特別名勝又は特別天然記念物(以下「特別史跡名勝天然記念物」と総称する。)に指定することができる。
 
 3   前2項の規定による指定は、その旨を官報で告示するとともに、当該特別史跡名勝天然記念物又は史跡名勝天然記念物の所有者及び権原に基く占有者に通知してする。
 
 4   前項の規定により通知すべき相手方が著しく多数で個別に通知し離い事情がある場合には、文部大臣は、同項の規定による通知に代えて、その通知すべき事項を当該特別史跡名勝天然記念物又は史跡名勝天然記念物の所在地の市(特別区を含む。以下同じ。)町村の事務所又はこれに準ずる施設の掲示場に掲示することができる。
この場合においては、その掲示を始めた日から2週間を経過した時に前項の規定による通知が相手方に到達したものとみなす。
  《改正》平11法087
 5   第1項又は第2項の規定による指定は、第3項の規定による官報の告示があつた日からその効力を生ずる。但し、当該特別史跡名勝天然記念物又は史跡名勝天然記念物の所有者又は権原に基く占有者に対しては、第3項の規定による通知が到達した時又は前項の規定によりその通知が到達したものとみなされる時からその効力を生ずる。
 
 6   文部大臣は、第1項の規定により名勝又は天然記念物の指定をしようとする場合において、その指定に係る地域が自然環境の保護の見地から価値の高いものであるときは、環境庁長官の意見を聞かなければならない。
 
(仮指定)
第70条  前条第1項の規定による指定前において緊急の必要があると認めるときは、都道府県の教育委員会は、史跡名勝天然記念物の仮指定を行うことができる。
 
 2   前項の規定により仮指定を行つたときは、都道府県の教育委員会は、直ちにその旨を文部大臣に報告しなければならない。
 
 3   第1項の規定による仮指定には、前条第3項から第5項までの規定を準用する。
 
(所有権等の尊重及び他の公益との調整)
第70条の2  文部大臣又は都道府県の教育委員会は、第69条第1項若しくは第2項の規定による指定又は前条第1項の規定による仮指定を行うに当つては、特に、関係者の所有権、鉱業権その他の財産権を尊重するとともに、国土の開発その他の公益との調整に留意しなければならない。
 
 2   文部大臣又は文化庁長官は、名勝又は天然記念物に係る自然環境の保護及び整備に関し必要があると認めるときは、環境庁長官に対し、意見を述べることができる。
 
(解除)
第71条  特別史跡名勝天然記念物又は史跡名勝天然記念物がその価値を失つた場合その他特殊の事由のあるときは、文部大臣又は都道府県の教育委員会は、その指定又は仮指定を解除することができる。
 
 2   第70条第1項の規定により仮指定された史跡名勝天然記念物につき第69条第1項の規定による指定があつたとき、又は仮指定があつた日から2年以内に同条同項の規定による指定がなかつたときは、仮指定は、その効力を失う。
 
 3   第70条第1項の規定による仮指定が適当でないと認めるときは、文部大臣は、これを解除することができる。
 
 4   第1項又は前項の規定による指定又は仮指定の解除には、第69条第3項から第5項までの規定を準用する。
 
(管理団体による管理及び復旧)
第71条の2  史跡名勝天然記念物につき、所有者がないか若しくは判明しない場合又は所有者若しくは第74条第2項の規定により選任された管理の責に任ずべき者による管理が著しく困離若しくは不適当であると明らかに認められる場合には、文化庁長官は、適当な地方公共団体その他の法人を指定して、当該史跡名勝天然記念物の保存のため必要な管理及び復旧(当該史跡名勝天然記念物の保有のため必要な施設、設備その他の物件で当該史跡名勝天然記念物の所有者の所有又は管理に属するものの管理及び復旧を含む。)を行わせることができる。
 
 2   前項の規定による指定をするには、文化庁長官は、あらかじめ、指定しようとする地方公共団体その他の法人の同意を得なければならない。
 
 3   第1項の規定による指定は、その旨を官報で告示するとともに、当該史跡名勝天然記念物の所有者及び権原に基く占有者並びに指定しようとする地方公共団体その他の法人に通知してする。
 
 4   第1項の規定による指定には、第69条第4項及び第5項の規定を準用する。
 
第71条の3  前条第1項に規定する事由が消滅した場合その他特殊の事由があるときは、文化庁長官は、管理団体の指定を解除することができる。
 
 2   前項の規定による解除には、前条第3項並びに第69条第4項及び第5項の規定を準用する。
 
第72条  第71条の2第1項の規定による指定を受けた地方公共団体その他の法人(以下この章及び第6章において「管理団体」という。)は、文部省令の定める基準により、史跡名勝天然記念物の管理に必要な標識、説明板、境界標、囲さくその他の施設を設置しなければならない。
 
 2   史跡名勝天然記念物の指定地域内の土地について、その土地の所在、地番、地目又は地積に異動があつたときは、管理団体は、文部省令の定めるところにより、文化庁長官にその旨を届け出なければならない。
 
 3   管理団体が復旧を行う場合は、管理団体は、あらかじめ、その復旧の方法及び時期について当該史跡名勝天然記念物の所有者(所有者が判明しない場合を除く。)及び権原に基く占有者の意見を聞かなければならない。
 
 4   史跡名勝天然記念物の所有者又は占有者は、正当な理由がなくて、管理団体が行う管理若しくは復旧又はその管理若しくは復旧のため必要な措置を拒み、妨げ、又は忌避してはならない。
 
第72条の2  管理団体が行う管理及び復旧に要する費用は、この法律に特別の定のある場合を除いて、管理団体の負担とする。
 
 2   前項の規定は、管理団体と所有者との協議により、管理団体が行う管理又は復旧により所有者の受ける利益の限度において、管理又は復旧に要する費用の一部を所有者の負担とすることを妨げるものではない。
 
 3   管理団体は、その管理する史跡名勝天然記念物につき観覧料を徴収することができる。
 
第73条  管理団体が行う管理又は復旧によつて損失を受けた者に対しては、当該管理団体は、その通常生ずべき損失を補償しなければならない。
 
 2   前項の補償の額は、管理団体(管理団体が地方公共団体であるときは、当該地方公共団体の教育委員会)が決定する。
 
 3   前項の規定による補償額については、第41条第3項の規定を準用する。
 
 4   前項で準用する第41条第3項の規定による訴えにおいては、管理団体を被告とする。
 
第73条の2  管理団体が行う管理には、第30条、第31条第1項及び第33条の規定を、管理団体が行う管理及び復旧には、第35条及び第47条の規定を、管理団体が指定され、又はその指定が解除された場合には、第56条第3項の規定を準用する。
 
(所有者による管理及び復旧)
第74条  管理団体がある場合を除いて、史跡名勝天然記念物の所有者は、当該史跡名勝天然記念物の管理及び復旧に当るものとする。
 
 2   前項の規定により史跡名勝天然記念物の管理に当る所有者は、特別の事情があるときは、適当な者をもつぱら自己に代り当該史跡名勝天然記念物の管理の責に任ずべき者(以下この章及び第6章において「管理責任者」という。)に選任することができる。
この場合には、第31条第3項の規定を準用する。
 
第75条  所有者が行う管理には、第30条、第31条第1項、第32条、第33条並びに第72条第1項及び第2項(同条第2項については、管理責任者がある場合を除く。)の規定を、所有者が行う管理及び復旧には、第35条及び第47条の規定を、所有者が変更した場合の権利義務の承継には、第56条第1項の規定を、管理責任者が行う管理には、第30条、第31条第1項、第32条第3項、第33条、第47条第4項及び第72条第2項の規定を準用する。
 
(管理に関する命令又は勧告)
第76条  管理が適当でないため史跡名勝天然記念物が滅失し、き損し、衰亡し、又は盗み取られる虞があると認めるときは、文化庁長官は、管理団体、所有者又は管理責任者に対し、管理方法の改善、保有施設の設置その他管理に関し必要な措置を命じ、又は勧告することができる。
 
 2   前項の場合には、第36条第2項及び第3項の規定を準用する。
 
(復旧に関する命令又は勧告9
第77条  文化庁長官は、特別史跡名勝天然記念物がき損し、又は衰亡している場合において、その保存のため必要があると認めるときは、管理団体又は所有者に対し、その復旧について必要な命令又は勧告をすることができる。
 
 2   文化庁長官は、特別史跡名勝天然記念物以外の史跡名勝天然記念物が、き損し、又は衰亡している場合において、その保存のため必要があると認めるときは、管理団体又は所有者に対し、その復旧について必要な勧告をすることができる。
 
 3   前2項の場合には、第37条第3項及び第4項の規定を準用する。
 
(文化庁長官による特別史跡名勝天然記念物の復旧等の施行)
第78条  文化庁長官は、左の各号の一に該当する場合においては、特別史跡名勝天然記念物につき自ら復旧を行い、又は滅失、き損、衰亡若しくは盗難の防止の措置をすることができる。

管理団体、所有者又は管理責任者が前2条の規定による命令に従わないとき。

特別史跡名勝天然記念物がき損し若しくは衰亡している場合又は滅失し、き損し、衰亡し、若しくは盗み取られる虞のある場合において、管理団体、所有者又は管理責任者に復旧又は滅失、き損、衰亡若しくは盗難の防止の措置をさせることが適当でないと認められるとき。

 2   前項の場合には、第38条第2項及び第39条から第41条までの規定を準用する。
 
(補助等に係る史跡名勝天然記念物譲渡の場合の納付金)
第79条  国が復旧又は滅失、き損、衰亡若しくは盗難の防止の措置につき第73条の2及び第75条で準用する第35条第1項の規定により補助金を交付し、又は第76条第2項で準用する第36条第2項、第77条第3項で準用する第37条第3項若しくは前条第2項で準用する第40条第1項の規定により費用を負担した史跡名勝天然記念物については、第42条の規定を準用する。
 
(現状変更等の制限及び原状回復の命令)
第80条  史跡名勝天然記念物に関しその現状を変更し、又はその保存に影響を及ぼす行為をしようとするときは、文化庁長官の許可を受けなければならない。
ただし、現状変更については維持の措置又は非常災害のために必要な応急措置を執る場合、保存に影響を及ぼす行為については影響の軽微である場合は、この限りでない。
 
 2   前項但書に規定する維持の措置の範囲は、文部省令で定める。
 
 3   第1項の規定による許可を与える場合には、第43条第3項の規定を、第1項の規定による許可を受けた者には、同条第4項の規定を準用する。
 
 4   第1項の規定による処分には、第70条の2第1項の規定を準用する。
  《改正》平11法087
 5   第1項の許可を受けることができなかつたことにより、又は第3項で準用する第43条第3項の許可の条件を付せられたことによつて損失を受けた者に対しては、国は、その通常生ずべき損失を補償する。
 
 6   前項の場合には、第41条第2項から第4項までの規定を準用する。
 
 7   第1項の規定による許可を受けず、又は第3項で準用する第43条第3項の規定による許可の条件に従わないで、史跡名勝天然記念物の現状を変更し、又はその保有に影響を及ぼす行為をした者に対しては、文化庁長官は、原状回復を命ずることができる。
この場合には、文化庁長官は、原状回復に関し必要な指示をすることができる。
 
(関係行政庁による通知)
第80条の2  前条第1項の規定により許可を受けなければならないこととされている行為であつてその行為をするについて、他の法令の規定により許可、認可その他の処分で政令に定めるものを受けなければならないこととされている場合において、当該他の法令において当該処分の権限を有する行政庁又はその委任を受けた者は、当該処分をするときは、政令の定めるところにより、文化庁長官(第99条第1項の規定により前条第1項の規定による許可を都道府県又は市の教育委員会が行う場合には、当該都道府県又は市の教育委員会)に対し、その旨を通知するものとする。
  《改正》平11法087

(復旧の届出等)
第80条の3  史跡名勝天然記念物を復旧しようとするときは、管理団体又は所有者は、復旧に着手しようとする日の30日前までに、文部省令の定めるところにより、文化庁長官にその旨を届け出なければならない。
ただし、第80条第1項の規定により許可を受けなければならない場合その他文部省令の定める場合は、この限りでない。
 
 2   史跡名勝天然記念物の保護上必要があると認めるときは、文化庁長官は、前項の届出に係る史跡名勝天然記念物の復旧に関し技術的な指導と助言を与えることができる。
 
(環境保全)
第81条  文化庁長官は、史跡名勝天然記念物の保有のため必要があると認めるときは、地域を定めて一定の行為を制限し、若しくは禁止し、又は必要な施設をすることを命ずることができる。
 
 2   前項の規定による処分によつて損失を受けた者に対しては、国は、その通常生ずべき損失を補償する。
 
 3   第1項の規定による制限又は禁止に違反した者には、第80条第7項の規定を、前項の場合には、第41条第2項から第4項までの規定を準用する。
 
(管理団体による買取りの補助)
第81条の2  管理団体である地方公共団体その他の法人が、史跡名勝天然記念物の指定に係る土地又は建造物その他の土地の定着物で、その管理に係る史跡名勝天然記念物の保有のため特に買い取る必要があると認められるものを買い取る場合には、国は、その買取りに要する経費の一部を補助することができる。
 
 2   前項の場合には、第35条第2項及び第3項並びに第42条の規定を準用する。
 
(保存のための調査)
第82条  文化庁長官は、必要があると認めるときは、管理団体、所有者又は管理責任者に対し、史跡名勝天然記念物の現状又は管理、復旧若しくは環境保全の状況につき報告を求めることができる。
 
第83条  文化庁長官は、左の各号の一に該当する場合において、前条の報告によつてもなお史跡名勝天然記念物に関する状況を確認することができず、且つ、その確認のため他に方法がないと認めるときは、調査に当る者を定め、その所在する土地又はその隣接地に立ち入つてその現状又は管理、復旧若しくは環境保全の状況につき実地調査及び土地の発掘、障害物の除却その他調査のため必要な措置をさせることができる。
但し、当該土地の所有者、占有者その他の関係者に対し、著しい損害を及ぼす水のある措置は、させてはならない。

史跡名勝天然記念物に関する現状変更又は保存に影響を及ぼす行為の許可の申請があつたとき。

史跡名勝天然記念物がき損し、又は衰亡しているとき。

史跡名勝天然記念物が滅失し、き損し、衰亡し、又は盗み取られる虞のあるとき。

特別の事情によりあらためて特別史跡名勝天然記念物又は史跡名勝天然記念物としての価値を調査する必要があるとき。

 2   前項の規定による調査又は指定によつて損失を受けた者に対しては、国は、その通常生ずべき損失を補償する。
 
 3   第1項の規定により立ち入り、調査する場合には、第55条第2項の規定を、前項の場合には、第41条第2項から第4項までの規定を準用する。
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第5章の2 伝統的建造物群保存地区      最初
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(伝統的建造物群保存地区)
第83条の2  この章において「伝統的建造物群保存地区」とは、伝統的建造物群及びこれと一体をなしてその価値を形成している環境を保存するため、次条第1項又は第2項の定めるところにより市町村が定める地区をいう。
 
(伝統的建造物群保存地区の決定及びその保護)
第83条の3  市町村は、都市計画法(昭和43年法律第100号)第5条の規定により指定された都市計画区域内においては、都市計画に伝統的建造物群保存地区を定めることができる。
この場合においては、市町村は、条例で、当該地区の保存のため、政令の定める基準に従い必要な現状変更の規制について定めるほか、その保存のため必要な措置を定めるものとする。
 
 2   市町村は、前項の都市計画区域以外の区域においては、条例の定めるところにより、伝統的建造物群保存地区を定めることができる。この場合においては、前項後段の規定を準用する。
 
 3   都道府県知事は、第1項の伝統的建造物群保存地区に関する都市計画についての都市計画法による同意に当たつては、あらかじめ、当該都道府県の教育委員会の意見を聴かなければならない。
  《改正》平11法087
 4   市町村は、伝統的建造物群保存地区に関し、地区の決定若しくはその取消し又は条例の制定若しくはその改廃を行つた場合は、文化庁長官に対し、その旨を報告しなければならない。
 
 5   文化庁長官又は都道府県の教育委員会は、市町村に対し、伝統的建造物群保存地区の保存に関し、必要な指導又は助言をすることができる。
 
(重要伝統的建造物群保存地区の選定)
第83条の4  文部大臣は、市町村の申出に基づき、伝統的建造物群保存地区の区域の全部又は一部で我が国にとつてその価値が特に高いものを、重要伝統的建造物群保存地区として選定することができる。
 
 2   前項の規定による選定は、その旨を官報で告示するとともに、当該申出に係る市町村に通知してする。
 
(選定の解除)
第83条の5  文部大臣は、重要伝統的建造物群保存地区がその価値を失つた場合その他特殊の事由があるときは、その選定を解除することができる。
 
 2   前項の場合には、前条第2項の規定を準用する。
 
(管理等に関する補助)
第83条の6  国は、重要伝統的建造物群保存地区の保存のための当該地区内における建造物及び伝統的建造物群と一体をなす環境を保存するため特に必要と認められる物件の管理、修理、修景又は復旧について市町村が行う措置について、その経費の一部を補助することができる。
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第5章の3 文化財の保存技術の保護      最初
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(選定保存技術の選定等)
第83条の7  文部大臣は、文化財の保存のために欠くことのできない伝統的な技術又は技能で保存の措置を講ずる必要があるものを選定保存技術として選定することができる。
 
 2   文部大臣は、前項の規定による選定をするに当たつては、選定保存技術の保持者又は保存団体(選定保存技術を保存することを主たる目的とする団体(財団を含む。)で代表者又は管理人の定めのあるものをいう。以下同じ。)を認定しなければならない。
 
 3   一の選定保有技術についての前項の認定は、保持者と保存団体とを併せてすることができる。
 
 4   第1項の規定による選定及び第2項の規定による認定には、第56条の3第3項から第5項までの規定を準用する。
 
(選定等の解除)
第83条の8  文部大臣は、選定保有技術について保存の指定を講ずる必要がなくなつた場合その他特殊の事由があるときは、その選定を解除することができる。
 
 2   文部大臣は、保持者が心身の故障のため保持者として適当でなくなつたと認められる場合、保存団体が保存団体として適当でなくなつたと認められる場合その他特殊の事由があるときは、保持者又は保存団体の認定を解除することができる。
 
 3   前2項の場合には、第56条の4第3項の規定を準用する。
 
 4   前条第2項の認定が保持者のみについでなされた場合にあつてはそのすべてが死亡したとき、同項の認定が保存団体のみについてなされた場合にあつてはそのすべてが解散したとき(消滅したときを含む。以下この項において同じ。)、同項の認定が保持者と保有団体とを併せてなされた場合にあつては保持者のすべてが死亡しかつ保存団体のすべてが解散したときは、選定保存技術の選定は、解除されたものとする。
この場合には、文部大臣は、その旨を官報で告示しなければならない。
 
(保持者の氏名変更等)
第83条の9  保持者及び保存団体には、第56条の5の規定を準用する。この場合において、同条後段中「代表者」とあるのは、「代表者又は管理人」と読み替えるものとする。
 
(選定保存技術の保存)
第83条の10  文化庁長官は、選定保存技術の保有のため必要があると認めるときは、選定保存技術について自ら記録を作成し、又は伝承者の養成その他選定保存技術の保有のために必要と認められるものについて適当な措置を執ることができる。
 
(選定保存技術の記録の公開)
第83条の11  選定保存技術の記録の所有者には、第56条の19の規定を準用する。
 
(選定保存技術の保存に関する援助)
第83条の12  国は、選定保存技術の保持者若しくは保存団体又は地方公共団体その他その保存に当たることを適当と認める者に対し、指導、助言その他の必要と認められる援助をすることができる。

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第5章の4 文化財保護審議会       最初
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(設置及び所掌事務)
第84条  文部省に、文化財保護審議会を置く。
 
 2   文化財保護審議会(以下この章において「審議会」という。)は、文部大臣又は文化庁長官の諮問に応じて文化財の保存及び活用に関する重要事項を調査審議し、並びにこれらの事項について文部大臣又は文化庁長官に建議する。
 
(審議会への諮問)
第84条の2  文部大臣は、次に掲げる事項については、あらかじめ、審議会に諮問しなければならない。

国宝又は重要文化財の指定及びその指定の解除

の2.登録有形文化財の登録及びその登録の抹消(第56条の2の3第1項の規定による登録の抹消を除く。)

重要無形文化財の指定及びその指定の解除
重要無形文化財の保持者又は保持団体の認定及びその認定の解除
重要有形民俗文化財又は重要無形民俗文化財の指定及びその指定の解除
特別史跡名勝天然記念物又は史跡名勝天然記念物の指定及びその指定の解除
史跡名勝天然記念物の仮指定の解除
重要伝統的建造物群保存地区の選定及びその選定の解除
選定保存技術の選定及びその選定の解除
選定保存技術の保持者又は保有団体の認定及びその認定の解除

 2   文化庁長官は、次に掲げる事項については、あらかじめ、審議会に諮問しなければならない。

重要文化財の管理又は国宝の修理に関する命令
文化庁長官による国宝の修理又は滅失、き損若しくは盗難の防止の措置の施行
重要文化財の現状変更又は保存に影響を及ぼす行為の許可
重要文化財の環境保全のための制限若しくは禁止又は必要な施設の命令
国による重要文化財の買取り
重要無形文化財以外の無形文化財のうち文化庁長官が記録を作成すべきもの又は記録の作成等につき補助すべきものの選択
重要有形民俗文化財の管理に関する命令
重要有形民俗文化財の買取り
重要無形民俗文化財以外の無形の民俗文化財のうち文化庁長官が記録を作成すべきもの又は記録の作成等につき補助すべきものの選択

の2.遺跡の現状変更となる行為についての停止命令又は禁止命令の期間の延長

文化庁長官による埋蔵文化財の調査のための発掘の施行
史跡名勝天然記念物の管理又は特別史跡名勝天然記念物の復旧に関する命令
文化庁長官による特別史跡名勝天然記念物の復旧又は滅失、き損、衰亡若しくは盗難の防止の措置の施行
史跡名勝天然記念物の現状変更又は保存に影響を及ぼす行為の許可
史跡名勝天然記念物の環境保全のための制限若しくは禁止又は必要な施設の命令
史跡名勝天然記念物の現状変更若しくは保存に影響を及ぼす行為の許可を受けず、若しくはその許可の条件に従わない場合又は史跡名勝天然記念物の環境保全のための制限若しくは禁止に違反した場合の原状回復の命令
第99条第1項の政令(同項第2号に掲げる事務に係るものに限る。)の制定又は改廃の立案
《改正》平11法087
(委員等)

第84条の3  審議会は、文化に関し広くかつ高い識見を有する者のうちから、文部大臣が内閣の承認を経て任命する5人の委員で組織する。
 
 2   専門の事項を調査審議するため必要があるときは、審議会に専門委員及び臨時専門委員を置くことができる。
 
(政令への委任)
第84条の4  この章に定めるもののほか、審議会の内部組織、所掌事務及び委員その他の職員については、政令で定める。
 
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第6章 補  則      最初
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第1節  聴聞、意見の聴取及び不服申立て (第85条〜第85条の8)
第2節  国に関する特例 (第86条〜第97条の5)
第3節  地方公共団体及び教育委員会 (第98条〜第105条の3)
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第6章 補  則
 第1節 聴聞、意見の聴取及び不服申立て
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    《節名改正》平11法087
(聴聞の特例)
第85条  文化庁長官(第99条第1項の規定により文化庁長官の権限に属する事務を都道府県又は市の教育委員会が行う場合には、当該都道府県又は市の教育委員会。次項及び次条において同じ。)は、次に掲げる処分を行おうとするときは、行政手続法(平成5年法律第88号)第13条第1項の規定による意見陳述のための手続の区分にかかわらず、聴聞を行わなければならない。

第45条第1項又は第81条第1項の規定による制限、禁止又は命令で特定の者に対して行われるもの

第51条第5項(第51条の2(第56条の16で準用する場合を含む。)、第56条の15第2項及び第56条の16で準用する場合を含む。)の規定による公開の中止命令

第57条第2項の規定による発掘の禁止又は中止命令

第57条の5第2項の規定による同項の調査のための停止命令若しくは禁止命令又は同条第5項の規定によるこれらの命令の期間の延長

第80条第7項(第81条第3項で準用する場合を含む。)の規定による原状回復の命令
《改正》平11法087
 2   文化庁長官は、前項の聴聞又は第43条第4項(第80条第3項で準用する場合を含む。)若しくは第53条第4項の規定による許可の取消しに係る聴聞をしようとするときは、当該聴聞の期日の10日前までに、行政手続法第15条第1項の規定による通知をし、かつ、当該処分の内容並びに当該聴聞の期日及び場所を公示しなければならない。
 
 3   前項の聴聞の期日における審理は、公開により行わなければならない。
 
(意見の聴取)
第85条の2  文化庁長官は、次に掲げる措置を行おうとするときは、関係者又はその代理人の出頭を求めて、公開による意見の聴取を行わなければならない。

第38条第1項又は第78条第1項の規定による修理若しくは復旧又は措置の施行

第55条第1項又は第83条第1項の規定による立入調査又は調査のため必要な措置の施行

第58条第1項の規定による発掘の施行

 2   文化庁長官は、前項の意見の聴取を行おうとするときは、その期日の10日前までに、同項各号に掲げる措置を行おうとする理由、その措置の内容並びに当該意見の聴取の期日及び場所を当該関係者に通告し、かつ、その措置の内容並びに当該意見の聴取の期日及び場所を公示しなければならない。
 
 3   第1項の意見の聴取においては、当該関係者又はその代理人は、自己又は本人のために意見を述べ、又は釈明し、かつ、証拠を提出することができる。
 
 4   当該関係者又はその代理人が正当な理由がなくて第1項の意見の聴取に応じなかつたときは、文化庁長官は、当該意見の聴取を行わないで同項各号に掲げる措置をすることができる。
 
(不服申立ての手続における意見の聴取)
第85条の3  次に掲げる処分についての審査請求又は異議申立てに対する裁決又は決定(却下の裁決又は決定を除く。)は、審査請求又は異議申立てを受理した日から30日以内に、審査請求人若しくは異議申立人及び参加人又はこれらの者の代理人の出頭を求めて、公開による意見の聴取をした後でなければ、してはならない。

第43条第1項又は第80条第1項の規定による現状変更又は保存に影響を及ぼす行為の許可又は不許可

第71条の2第1項の規定による管理団体の指定
《改正》平11法087
 2   前項の意見の聴取を行う者は、当該意見の聴取の期日及び場所をその期日の10日前までに審査請求人又は異議申立人及び参加人に通告し、かつ、事実の要旨並びに当該意見の聴取の期日及び場所を公示しなければならない。
  《改正》平11法087
(参加)
第85条の4  審査請求人又は異議申立人、参加人及び代理人のほか、当該処分について利害関係を有する者で前条第1項の意見の聴取に参加して意見を述べようとするものは、文部省令の定める事項を記載した書面をもつて、当該意見の聴取を行う者にその旨を申し出で、その許可を受けなければならない。
  《改正》平11法087
(証拠の提示等)
第85条の5  第85条の3第1項の意見の聴取においては、審査請求人若しくは異議申立人、参加人及び前条の規定により意見の聴取に参加した者又はこれらの者の代理人に対して、当該事案について、証拠を提示し、かつ、意見を述べる機会を与えなければならない。
  《改正》平11法087
(裁決又は決定前の協議等)
第85条の6  鉱業又は採石業との調整に関する事実に係る審査請求又は異議申立てに対する裁決又は決定(却下の裁決又は決定を除く。)は、あらかじめ公害等調整委員会に協議した後にしなければならない。
  《改正》平11法087
 2   関係各行政機関の長は、審査請求又は異議申立てに係る事実について意見を述べることができる。
  《改正》平11法087
(手続)
第85条の7  前4条及び行政不服審査法(昭和37年法律第160号)に定めるもののほか、審査請求及び異議申立てに関する手続は、文部省令で定める。
  《改正》平11法087
(不服申立てと訴訟との関係)
第85条の8  第85条の3第2項各号に掲げる処分の取消しの訴えは、当該処分についての審査請求又は異議申立てに対する裁決又は決定を経た後でなければ、提起することができない。
  《改正》平11法087
 
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第6章 補  則
 第2節 国に関する特例
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(国に関する特例)
第86条  国又は国の機関に対しこの法律の規定を適用する場合において、この節に特別の規定のあるときは、その規定による。
 
(重要文化財等についての国に関する特例)
第87条  重要文化財、重要有形民俗文化財又は史跡名勝天然記念物が国有財産法に規定する国有財産であるときは、そのものは、文部大臣が管理する。ただし、そのものが文部大臣以外の者が管理している同法第3条第2項に規定する行政財産であるときその他文部大臣以外の者が管理すべき特別の必要のあるものであるときは、そのものを関係各省各庁の長が管理するか、又は文部大臣が管理するかは、文部大臣、関係各省各庁の長及び大蔵大臣が協議して定める。
 
第87条の2  前条の規定により重要文化財、重要有形民俗文化財又は史跡名勝天然記念物を文部大臣が管理するため、所属を異にする会計の間において所管換え又は所属替えをするときは、国有財産法第15条の規定にかかわらず、無償として整理することができる。
 
第88条  国の所有に属する有形文化財又は有形の民俗文化財を国宝若しくは重要文化財又は重要有形民俗文化財に指定したときは、第28条第1項又は第3項(第56条の10第2項で準用する場合を含む。)の規定により所有者に対し行うべき通知又は指定書の交付は、当該有形文化財又は有形の民俗文化財を管理する各省各庁の長に対し行うものとする。
この場合においては、国宝の指定書を受けた各省各庁の長は、直ちに国宝に指定された重要文化財の指定書を文部大臣に返付しなければならない。
 
 2   国の所有に属する国宝若しくは重要文化財又は重要有形民俗文化財の指定を解除したときは、第29条第2項(第56条の11第2項で準用する場合を含む。)又は第5項の規定により所有者に対し行うべき通知又は指定書の交付は、当該国宝若しくは重要文化財又は重要有形民俗文化財を管理する各省各庁の長に対し行うものとする。
この場合においては、当該各省各庁の長は、直ちに指定書を文部大臣に返付しなければならない。
 
 3   国の所有又は占有に属するものを特別史跡名勝天然記念物若しくは史跡名勝天然記念物に指定し、若しくは仮指定し、又はその指定若しくは仮指定を解除したときは、第69条第3項(第70条第3項及び第71条第4項で準用する場合を含む。)の規定により所有者又は占有者に対し行うべき通知は、その指定若しくは仮指定又は指定若しくは仮指定の解除に係るものを管理する各省各庁の長に対し行うものとする。
 
第89条  重要文化財、重要有形民俗文化財又は史跡名勝天然記念物を管理する各省各庁の長は、この法律並びにこれに基づいて発する文部省令及び文化庁長官の勧告に従い、重要文化財、重要有形民俗文化財又は史跡名勝天然記念物を管理しなければならない。
 
第90条  次に掲げる場合には関係各省各庁の長は、文部大臣を通じ文化庁長官に通知しなければならない。

重要文化財、重要有形民俗文化財又は史跡名勝天然記念物を取得したとき。
重要文化財、重要有形民俗文化財又は史跡名勝天然記念物の所管換えを受け、又は所属替えをしたとき。
所管に属する重要文化財、重要有形民俗文化財又は史跡名勝天然記念物の全部又は一部が滅失し、き損し、若しくは衰亡し、又はこれを亡失し、若しくは盗み取られたとき。
所管に属する重要文化財又は重要有形民俗文化財の所在の場所を変更しようとするとき。
所管に属する重要文化財又は史跡名勝天然記念物を修理し、又は復旧しようとするとき(次条第1項第1号の規定により文化庁長官の同意を求めなければならない場合その他文部省令の定める場合を除く。)。
所管に属する重要有形民俗文化財の現状を変更し、若しくはその保有に影響を及ぼす行為をし、又はこれを輸出しようとするとき。
所管に属する史跡名勝天然記念物の指定地域内の土地について、その土地の所在、地番、地目又は地積に異動があつたとき。

 2   前項第1号及び第2号の場合に係る通知には、第32条第1項並びに同項を準用する第56条の12及び第75条の規定を、前項第3号の場合に係る通知には、第33条並びに同条を準用する第56条の12及び第75条の規定を、前項第4号の場合に係る通知には、第34条及び同条を準用する第56条の12の規定を、前項第5号の場合に係る通知には、第43条の2第1項及び第80条の3第1項の規定を、前項第6号の場合に係る通知には、第56条の13第1項の規定を、前項第7号の場合に係る通知には、第72条第2項の規定を準用する。
 
 3   文化庁長官は、第1項第5号又は第6号の通知に係る事項に関し必要な勧告をすることができる。
 
第91条  次に掲げる場合には、関係各省各庁の長は、あらかじめ、文部大臣を通じ文化庁長官の同意を求めなければならない。

重要文化財又は史跡名勝天然記念物の現状を変更し、又はその保存に影響を及ぼす行為をしようとするとき。
所管に属する重要文化財を輸出しようとするとき。
所管に属する重要文化財、重要有形民俗文化財又は史跡名勝天然記念物の貸付、交換、売払、譲与その他の処分をしようとするとき。

 2   各省各庁の長以外の国の機関が、重要文化財又は史跡名勝天然記念物の現状を変更し、又はその保存に影響を及ぼす行為をしようとするときは、あらかじめ、文化庁長官の同意を求めなければならない。
 
 3   第1項第1号及び前項の場合には、第43条第1項但書及び同条第2項並びに第80条第1項但書及び同条第2項の規定を準用する。
 
 4   文化庁長官は、第1項第1号又は第2項に規定する措置につき同意を与える場合においては、その条件としてその措置に関し必要な勧告をすることができる。
 
 5   関係各省各庁の長その他の国の機関は、前項の規定による文化庁長官の勧告を十分に尊重しなければならない。
 
第92条  文化庁長官は、必要があると認めるときは、文部大臣を通じ各省各庁の長に対し、次に掲げる事項につき必要な勧告をすることができる。

所管に属する重要文化財、重要有形民俗文化財又は史跡名勝天然記念物の管理方法
所管に属する重要文化財、重要有形民俗文化財又は史跡名勝天然記念物の修理若しくは復旧又は滅失、き損、衰亡若しくは盗難の防止の措置
重要文化財又は史跡名勝天然記念物の環境保全のため必要な施設
所管に属する重要文化財又は重要有形民俗文化財の出品又は公開

 2   前項の勧告については、前条第5項の規定を準用する。
 
 3   第1項の規定による文化庁長官の勧告に基いて施行する同項第2号に規定する修理、復旧若しくは措置又は同項第3号に規定する施設に要する経費の分担については、文部大臣と各省各庁の長か協議して定める。
 
 
第93条  文化庁長官は、左の各号の一に該当する場合においては、国の所有に属する国宝又は特別史跡名勝天然記念物につき、自ら修理若しくは復旧を行い、又は滅失、き損、衰亡若しくは盗離の防止の措置をすることができる。
この場合においては、文化庁長官は、当該文化財が文部大臣以外の各省各庁の長の所管に属するものであるときは、あらかじめ、修理若しくは復旧又は指定の内容、着手の時期その他必要な事項につき、文部大臣を通じ当該文化財を管理する各省各庁の長と協議し、当該文化財が文部大臣の所管に属するものであるときは、文部大臣の定める場合を除いて、その承認を受けなければならない。

関係各省各庁の長が前条第1項第2号に規定する修理若しくは復旧又は措置についての文化庁長官の勧告に応じないとき。
国宝又は特別史跡天然記念物がき損し、若しくは衰亡している場合又は滅失し、き損し、衰亡し、若しくは盗み取られる虞のある場合において、関係各省各庁の長に当該修理若しくは復旧又は措置をさせることが適当でないと認められるとき。
 
第94条  文部大臣は、国の所有に属するものを国宝、重要文化財、重要有形民俗文化財、特別史跡名勝天然記念物若しくは史跡名勝天然記念物に指定するに当たり、又は国の所有に属する国宝、重要文化財、重要有形民族文化財、特別史跡名勝天然記念物若しくは史跡名勝天然記念物に関する状況を確認するため必要があると認めるときは、関係各省各庁の長に対し調査のため必要な報告を求め、又は、重要有形民俗文化財に係る場合を除き、調査に当たる者を定めて実地調査をさせることができる。
 
第95条  文化庁長官は、国の所有に属する重要文化財、重要有形民俗文化財又は史跡名勝天然記念物の保存のため特に必要があると認めるときは、適当な地方公共団体その他の法人を指定して当該文化財の保存のため必要な管理(当該文化財の保存のため必要な施設、設備その他の物件で国の所有又は管理に属するものの管理を含む。)を行わせることができる。
 
 2   前項の規定による指定をするには、文化庁長官は、あらかじめ、文部大臣を通じ当該文化財を管理する各省各庁の長の同意を求めるとともに、指定しようとする地方公共団体その他の法人の同意を得なければならない。
 
 3   第1項の規定による指定には、第32条の2第3項及び第4項の規定を準用する。
 
 4   第1項の規定による管理によつて生ずる収益は、当該地方公共団体その他の法人の収入とする。
 
 5   地方公共団体その他の法人が第2項の規定による管理を行う場合には、重要文化財又は重要有形民俗文化財の管理に係るときは、第30条、第31条第1項、第32条の4第1項、第33条、第34条、第35条、第36条、第47条の2第3項及び第54条の規定を、史跡名勝天然記念物に係るときは、第30条、第31条第1項、第33条、第35条、第72条第1項及び第2項、第72条の2第1項及び第3項、第76条並びに第82条の規定を準用する。
 
第95条の2  前条第1項の規定による指定の解除については、第32条の3の規定を準用する。
 
第95条の3  文化庁長官は、重要文化財、重要有形民俗文化財又は史跡名勝天然記念物の保護のため特に必要があると認めるときは、第95条第1項の規定による指定を受けた地方公共団体その他の法人に当該文化財の修理又は復旧を行わせることができる。
 
 2   前項の規定による修理又は復旧を行わせる場合には、第95条第2項の規定を準用する。
 
 3   地方公共団体その他の法人が第1項の規定による修理又は復旧を行う場合には、重要文化財又は重要有形民俗文化財に係るときは、第32条の4第1項及び第35条の規定を、史跡名勝天然記念物に係るときは、第35条、第72条の2第1項及び第73条の規定を準用する。
 
第95条の4  第95条第1項の規定による指定を受けた地方公共団体は、その管理する国の所有に属する重要文化財、重要有形民俗文化財又は史跡名勝天然記念物でその指定に係る土地及び建造物を、その管理のため必要な限度において、無償で使用することができる。
 
 2   国有財産法第22条第2項及び第3項の規定は、前項の規定により土地及び建造物を使用させる場合について準用する。
 
第96条  文化庁長官は、第58条第1項の規定により発掘を施行しようとする場合において、その発掘を施行しようとする土地が国の所有に属し、又は国の機関の占有するものであるときは、あらかじめ、発掘の目的、方法、着手の時期その他必要と認める事項につき、文部大臣を通じ関係各省各庁の長と協議しなければならない。
ただし、当該各省各庁の長が文部大臣であるときは、その承認を受けるべきものとする。
 
第97条  第63条第1項の規定により国庫に帰属した文化財は、文化庁長官が管理する。ただし、その保存のため又はその効用から見て他の機関に管理させることが適当であるときは、これを当該機関の管理に移さなければならない。
  《改正》平11法087
(登録有形文化財についての国に関する特例)
第97条の2  国の所有に属する有形文化財で建造物であるものについて第56条の2第1項の規定による登録をしたときは、第56条の2の2第1項又は第3項の規定により所有者に対して行うべき通知又は登録証の交付は、当該登録有形文化財を管理する各省各庁の長に対して行うものとする。
 
 2   国の所有に属する登録有形文化財について、第56条の2の3第1項又は第2項の規定による登録の抹消をしたときは、同条第3項の規定により所有者に対して行うべき通知は、当該登録有形文化財を管理する各省各庁の長に対して行うものとする。
この場合においては、当該各省各庁の長は、直ちに登録証を文部大臣に返付しなければならない。
 
第97条の3  次に掲げる場合には、関係各省各庁の長は、文部大臣を通じ文化庁長官に通知しなければならない。

登録有形文化財を取得したとき。
登録有形文化財の所管換えを受け、又は所属替えをしたとき。
所管に属する登録有形文化財の全部又は一部が滅失し、又はき損したとき。
登録有形文化財の現状を変更しようとするとき。

 2   各省各庁の長以外の国の機関が登録有形文化財の現状を変更しようとするときは、文化庁長官に通知しなければならない。
 
 3   第1項第1号及び第2号に掲げる場合に係る通知には第32条第1項の規定を、第1項第3号に掲げる場合に係る通知には第56条の2の5の規定を、同項第4号及び前項に規定する場合に係る通知には第56条の2の7第1項の規定を準用する。
 
 4   第1項第4号及び第2項に規定する現状の変更には、第56条の2の7第1項ただし書及び第2項の規定を準用する。
 
 5   登録有形文化財の保護上必要があると認めるときは、文化庁長官は、第1項第4号又は第2項に規定する現状の変更に関し、文部大臣を通じ関係各省各庁の長に対し、又は各省各庁の長以外の国の機関に対して意見を述べることができる。
 
第97条の4  文部大臣は、国の所有に属する登録有形文化財に関する状況を確認するため必要があると認めるときは、関係各省各庁の長に対し調査のため必要な報告を求めることができる。
 
第97条の5  国の所有に属する登録有形文化財については、第56条の2の4第3項から第5項まで、第56条の2の8第2項及び第56条の2の9第3項の規定は、適用しない。
 
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第6章 補  則
 第3節 地方公共団体及び教育委員会
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(地方公共団体の事務)
第98条  地方公共団体は、文化財の管理、修理、復旧、公開その他その保存及び活用に要する経費につき補助することができる。
 
 2   地方公共団体は、条例の定めるところにより、重要文化財、重要無形文化財、重要有形民俗文化財、重要無形民俗文化財及び史跡名勝天然記念物以外の文化財で当該地方公共団体の区域内に存するもののうち重要なものを指定して、その保存及び活用のため必要な措置を講ずることができる。
 
 3   前項に規定する条例の制定若しくはその改廃又は同項に規定する文化財の指定若しくはその解除を行つた場合には、教育委員会は、文部省令の定めるところにより、文化庁長官にその旨を報告しなければならない。
 
    《2条削除》平11法087
(地方債についての配慮)
第98条の2  地方公共団体が文化財の保存及び活用を図るために行う事業に要する経費に充てるために起こす地方債については、法令の範囲内において、資金事情及び当該地方公共団体の財政状況が許す限り、適切な配慮をするものとする。
 
(都道府県又は市の教育委員会が処理する事務)
第99条  次に掲げる文化庁長官の権限に属する事務の全部又は一部は、政令で定めるところにより、都道府県又は市の教育委員会が行うこととすることができる。

第35条第3項(第36条第3項(第56条の14、第76条第2項(第95条第5項で準用する場合を含む。)及び第95条第5項で準用する場合を含む。)、第37条第4項(第56条の14及び第77条第3項で準用する場合を含む。)、第46条の2第2項、第56条の6第2項、第56条の9第2項(第56条の21で準用する場合を含む。)、第56条の14、第56条の18第2項、第73条の2、第75条、第81条の2第2項、第95条第5項及び第95条の3第3項で準用する場合を含む。)の規定による指揮監督

第43条又は第80条の規定による現状変更又は保有に影響を及ぼす行為の許可及びその取消し並びにその停止命令(重大な現状変更又は保存に重大な影響を及ぼす行為の許可及びその取消しを除く。)

第51条第5項(第51条の2(第56条の16で準用する場合を含む。)、第56条の15第2項及び第56条の16で準用する場合を含む。)の規定による公開の停止命令

第53条第1項、第3項及び第4項の規定による公開の許可及びその取消し並びに公開の停止命令

第54条(第56条の17及び第95条第5項で準用する場合を含む。)、第55条、第82条(第95条第5項で準用する場合を含む。)又は第83条の規定による調査又は調査のため必要な措置の施行

第57条第1項(第57条の2第1項において準用する場合を含む。)の規定による届出の受理、同条第2項の規定による指示及び命令、第57条の2第2項の規定による指示、第57条の3第1項の規定による通知の受理、同条第2項の規定による通知、同条第3項の規定による協議、同条第4項の規定による勧告、第57条の5第1項の規定による届出の受理、同条第2項又は第7項の規定による命令、同条第3項の規定による意見の聴取、同条第5項又は第7項の規定による期間の延長、同条第8項の規定による指示、第57条の6第1項の規定による通知の受理、同条第2項の規定による通知、同条第3項の規定による協議並びに同条第4項の規定による勧告

《改正》平11法087
 2   都道府県又は市の教育委員会が前項の規定によつてした同項第5号に掲げる第55条又は第83条の規定による立入調査又は調査のための必要な措置の施行については、行政不服審査法による不服申立てをすることができない。

《全改》平11法087
 3   都道府県又は市の教育委員会が、第1項の規定により、同項第6号に掲げる事務のうち第57条の3第1項から第4項まで又は第57条の6第1項から第4項までの規定によるものを行う場合には、第57条の3第5項又は第57条の6第5項の規定は適用しない。

《全改》平11法087
 4   都道府県又は市の教育委員会が第1項の規定によつてした次の各号に掲げる事務(当該事務が地方自治法第2条第8項に規定する自治事務である場合に限る。)により損失を受けた者に対しては、当該各号に定める規定にかかわらず、当該都道府県又は市が、その通常生ずべき損失を補償する。

第1項第2号に掲げる第43条又は第80条の規定による現状変更又は保存に影響を及ぼす行為の許可第43条第5項又は第80条第5項

第1項第5号に掲げる第55条又は第83条の規定による調査又は調査のため必要な措置の施行第55条第3項又は第83条第2項

第1項第6号に掲げる第57条の5第2項の規定による命令同条第9項

《全改》平11法087
 5   前項の補償の額は、当該都道府県又は市の教育委員会が決定する。

《追加》平11法087
 6   前項の規定による補償額については、第41条第3項の規定を準用する。

《追加》平11法087
 7   前項において準用する第41条第3項の規定による訴えにおいては、都道府県又は市を被告とする。

《追加》平11法087
 8   都道府県又は市の教育委員会が第1項の規定によってした処分その他公権力の行使に当たる行為のうち地方自治法第2条第9項第1号に規定する第1号法定受託事務に係るものについての審査請求は、文化庁長官に対してするものとする。

《追加》平11法087
(出品された重要文化財等の管理)
第100条  文化庁長官は、政令で定めるところにより、第48条(第56条の16で準用する場合を含む。)の規定により出品された重要文化財又は重要有形民俗文化財の管理の事務の全部又は一部を、都道府県又は指定都市等の教育委員会が行うこととすることができる。
  《改正》平11法087
 2   前項の規定により、都道府県又は指定都市等の教育委員会が同項の管理の事務を行う場合には、都道府県又は指定都市等の教育委員会は、その職員のうちから、当該重要文化財又は重要有形民俗文化財の管理の責に任ずべき者を定めなければならない。
  《改正》平11法087
    《1条削除》平11法087
(修理等の施行の委託)
第101条  文化庁長官は、必要があると認めるときは、第38条第1項又は第93条の規定による国宝の修理又は滅失、き損若しくは盗難の防止の措置の施行、第58条第1項の規定による発掘の施行及び第78条第1項又は第93条の規定による特別史跡名勝天然記念物の復旧又は滅失、き損、衰亡若しくは盗離の防止の措置の施行につき、都道府県の教育委員会に対し、その全部又は一部を委託することができる。
 
 2   都道府県の教育委員会が前項の規定による委託に基き、第38条第1項の規定による修理又は措置の施行の全部又は一部を行う場合には、第39条の規定を、第58条第1項の規定による発掘の施行の全部又は一部を行う場合には、同条第3項で準用する第39条の規定を、第78条第1項の規定による復旧又は措置の施行の全部又は一部を行う場合には、同条第2項で準用する第39条の規定を準用する。
 
(重要文化財等の管理等の受託又は技術的指導)
第102条  都道府県の教育委員会は、所有者(管理団体がある場合は、その者)又は管理責任者の求めに応じ、重要文化財、重要有形民俗文化財又は史跡名勝天然記念物の管理(管理団体がある場合を除く。)、修理若しくは復旧につき委託を受け、又は技術的指導をすることができる。
  《改正》平11法087
 2   都道府県の教育委員会が前項の規定により管理、修理又は復旧の委託を受ける場合には、第39条第1項及び第2項の規定を準用する。
 
(書類等の経由)
第103条  この法律の規定により文化財に関し文部大臣又は文化庁長官に提出すべき届書その他の書類及び物件の提出は、都道府県の教育委員会を経由すべきものとする。
 
 2   都道府県の教育委員会は、前項に規定する書類及び物件を受理したときは、意見を具してこれを文部大臣又は文化庁長官に送付しなければならない。
 
 3   この法律の規定により文化財に関し文部大臣又は文化庁長官が発する命令、勧告、指示その他の処分の告知は、都道府県の教育委員会を経由すべきものとする。
但し、特に緊急な場合は、この限りでない。
 
    《1条削除》平11法087
(文部大臣又は文化庁長官に対する意見具申)
第104条  都道府県及び市町村の教育委員会は、当該都道府県又は市町村の区域内に存する文化財の保存及び活用に関し、文部大臣又は文化庁長官に対して意見を具申することができる。
  《改正》平11法087
(地方文化財保護審議会)
第105条  都道府県及び市町村の教育委員会に、条例の定めるところにより、地方文化財保護審議会を置くことができる。
 
 2   地方文化財保護審議会は、都道府県又は市町村の教育委員会の諮問に応じて、文化財の保存及び活用に関する重要事項について調査審議し、並びにこれらの事項に関して当該都道府県又は市町村の教育委員会に建議する。
 
 3   地方文化財保護審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、条例で定める。
 
(文化財保護指導委員)
第105条の2  都道府県の教育委員会に、文化財保護指導委員を置くことができる。
 
 2   文化財保護指導委員は、文化財について、随時、巡視を行い、並びに所有者その他の関係者に対し、文化財の保護に関する指導及び助言をするとともに、地域住民に対し、文化財保護思想について普及活動を行うものとする。
 
 3   文化財保護指導委員は、非常勤とする。
 
(事務の区分)
第105条の3  第70条第1項及び第2項、第71条第1項並びに第70条第3項及び第71条第4項において準用する第69条第3項及び第4項の規定により都道府県が処理することとされている事務は、地方自治法第2条第9項第1号に規定する第1号法定受託事務とする。

《追加》平11法087
 
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第7章  罰  則     最初
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(刑罰)
第106条  第44条の規定に違反し、文化庁長官の許可を受けないで重要文化財を輸出した者は、5年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。
 
  第107条  重要文化財を損壊し、き棄し、又は隠匿した者は、5年以下の懲役若しくは禁錮又は30万円以下の罰金に処する。
 
 2   前項に規定する者が当該重要文化財の所有者であるときは、10年以下の懲役若しくは禁錮又は20万円以下の罰金若しくは科料に処する。
   
第107条の2  史跡名勝天然記念物の現状を変更し、又はその保有に影響を及ぼす行為をして、これを滅失し、き損し、又は衰亡するに至らしめた者は、5年以下の懲役若しくは禁錮又は30万円以下の罰金に処する。
 
 2   前項に規定する者が当該史跡名渉天然記念物の所有者であるときは、2年以下の懲役若しくは禁錮又は20万円以下の罰金若しくは科料に処する。
 
  第107条の3  次の各号の一に該当する者は、20万円以下の罰金に処する。

第43条又は第80条の規定に違反して、許可を受けず、若しくはその許可の条件に従わないで、重要文化財若しくは史跡名勝天然記念物の現状を変更し、若しくはその保存に影響を及ぼす行為をし、又は文化庁長官若しくはその権限の委任を受けた都道府県若しくは指定都市等の教育委員会の現状の変更若しくは保存に影響を及ぼす行為の停止の命令に従わなかつた者

第57条の5第2項の規定に違反して、現状を変更することとなるような行為の停止又は禁止の命令に従わなかつた者
《改正》平11法087
 
第107条の4  次の各号の一に該当する者は、10万円以下の罰金に処する。

第39条第3項(第101条第2項で準用する場合を含む。)で準用する第32条の2第5項の規定に違反して、国宝の修理又は滅失、き損若しくは盗難の防止の措置の施行を拒み、又は妨げた者

第58条第3項(第101条第2項で準用する場合を含む。)で準用する第39条第3項で準用する第32条の2第5項の規定に違反して、発掘の施行を拒み、又は妨げた者

第78条第2項(第101条第2項で準用する場合を含む。)で準用する第39条第3項で準用する第32条の2第5項の規定に違反して、特別史跡名勝天然記念物の復旧又は滅失、き損、衰亡若しくは盗難の防止の措置の施行を拒み、又は妨げた者
 
第107条の5  法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者がその法人又は人の業務又は財産の管理に関して前5条の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人又は人に対し、各本条の罰金刑を科する。
 
(行政罰)
第108条  第39条第1項(第47条第3項(第56条の14で準用する場合を含む。)、第78条第2項、第101条第2項又は第102条第2項で準用する場合を含む。)、第49条(第56条の16で準用する場合を含む。)又は第100条第2項に規定する重要文化財、重要有形民俗文化財又は史跡名勝天然記念物の管理、修理又は復旧の施行の責に任ずべき者が怠慢又は重大な過失によりその管理、修理又は復旧に係る重要文化財、重要有形民俗文化財又は史跡名勝天然記念物を滅失し、き損し、衰亡し、又は盗み取られるに至らしめたときは、30万円以下の過料に処する。
   
第109条  次の各号の一に該当する者は、30万円以下の過料に処する。

正当な理由がなくて、第36条第1項(第56条の14及び第95条第5項で準用する場合を含む。)又は第37条第1項の規定による重要文化財若しくは重要有形民俗文化財の管理又は国宝の修理に関する文化庁長官の命令に従わなかつた者

正当な理由がなくて、第76条第1項(第95条第5項で準用する場合を含む。)又は第77条第1項の規定による史跡名勝天然記念物の管理又は特別史跡名勝天然記念物の復旧に関する文化庁長官の命令に従わなかつた者
 
第110条  次の各号の一に該当する者は、10万円以下の過料に処する。

正当な理由がなくて、第45条第1項の規定による制限若しくは禁止又は施設の命令に違反した者

第46条(第56条の14で準用する場合を含む。)の規定に違反して、文化庁長官に国に対する売渡しの申出をせず、若しくは申出をした後同条第5項(第56条の14で準用する場合を含む。)に規定する期間内に、国以外の者に重要文化財又は重要有形民俗文化財を譲り渡し、又は同条第1項(第56条の14で準用する場合を含む。)の規定による売渡しの申出につき、虚偽の事実を申し立てた者

第48条第4項(第51条第3項(第56条の16で準用する場合を含む。)及び第56条の16で準用する場合を含むり)の規定に違反して、出品若しくは公開をせず、又は第51条第5項(第51条の2(第56条の16で準用する場合を含む。)、第56条の15第2項及び第56条の16で準用する場合を含む。)の規定に違反して、公開の停止若しくは中止の命令に従わなかつた者

第53条第1項、第3項又は第4項の規定に違反して、許可を受けず、若しくはその許可の条件に従わないで重要文化財を公開し、又は文化庁長官若しくはその権限の委任を受けた都道府県若しくは指定都市等の教育委員会の公開の停止の命令に従わなかつた者

第54条(第56条の17及び第95条第5項で準用する場合を含む。)、第55条、第56条の2の10、第82条(第95条第5項で準用する場合を含む。)又は第83条の規定に違反して、報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は当該公務員の立入調査若しくは調査のための必要な措置の施行を拒み、妨げ、若しくは忌避した者

第57条第2項の規定に違反して、発掘の禁止、停止又は中止の命令に従わなかつた者

正当な理由がなくて、第81条第1項の規定による制限若しくは禁止又は施設の命令に違反した者
《改正》平11法087
 
第111条  次の各号の一に該当する者は、5万円以下の過料に処する。

第28条第5項、第29条第4項(第56条の11第2項で準用する場合を含む。)、第56条第2項(第56条の17で準用する場合を含む。)、第56条の2の3第5項又は第56条の2の11の規定に違反して、重要文化財若しくは重要有形民俗文化財の指定書又は登録有形文化財の登録証を文部大臣に返付せず、又は新所有者に引き渡さなかつた者

第31条第3項(第56条の2の4第4項、第56条の12及び第74条第2項で準用する場合を含む。)、第32条(第56条の2の4第4項、第56条の12及び第75条で準用する場合を含む。)、第33条(第56条の12、第73条の2、第75条及び第95条第5項で準用する場合を含む。)、第34条(第56条の12及び第95条第5項で準用する場合を含む。)、第43条の2第1項、第56条の2の5、第56条の2の7第1項、第56条の5、第56条の13第1項、第56条の15第1項本文、第57条第1項、第57条の5第1項、第72条第2項(第75条及び第95条第5項で準用する場合を含む。)又は第80条の3第1項の規定に違反して、届出をせず、又は虚偽の届出をした者

第32条の2第5項(第34条の3第2項(第56条の14で準用する場合を含む。)、第56条の2の4第4項、第56条の2の6第2項及び第56条の12で準用する場合を含む。)又は第72条第4項の規定に違反して、管理、修理若しくは復旧又は管理、修理若しくは復旧のため必要な措置を拒み、妨げ、又は忌避した者

  第112条  削除