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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━[2004/1/7 第91号]━━
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12月15日は、朝のテレビ放送で、生徒会主催のクラス自慢が発表
されました。各学級の個性がよく表れていました。

私(土井)は北中に来るまでに、小学校を9年、中学校を10年経験しました。
その経験から思うことは・・・・
小学校は学級担任がほとんどの教科を教えます。しかし、中学校では、
学級担任はせいぜい自分の教科と道徳、総合。
中学校の学級担任の影響は小学校に比べて小さいか?

いいえ、違うのです。
中学校でも、小学校に負けないぐらい、学級担任というのは大切なのです。

よく、学校と塾の違いが話題になります。どちらも勉強することでは同じですが、
私は、この質問に対してこう答えることにしています。
「学校は、人とかかわる力を学ぶところ」
だからこそ、どんなにITが発達しようと、通信教育が普及しようと、
今の形の学校はなくならないと思っています。

その人とかかわる力を学ぶ主な舞台が「学級」であり、それをコーディネート
するのが学級担任なのです。
このクラス自慢の発表はもちろんのこと、12月17日のドッジボール大会、
12月18日の「君は名探偵」の2年1組の研究授業・エンカウンター
どれも、「人とかかわる力」をつけるために行っているのです。

特に中学生の頃は、人との関係で悩みます。時には苦しみます。
しかし、これも立派な勉強です。こうした経験が、人を強くし、
人をやさしくします。

子どもから一歩離れて、しかし離れすぎずに、温かい目で見てやって
いただきたいと思います。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━[2004/1/11 第92号]━━
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昨晩は、新成人による「きらきら星〜夜の奇跡〜」花火大会が、無事
成功をおさめました。テレビ局も取材に来ており、ニュースで流れた
のではないでしょうか。
実は、初めにその企画を聞いたときには、「不可能に近い・・・」と
思いました。それだけのことができたのは、生涯学習課を初めとする
行政の支援もさることながら、新成人による実行委員の頑張りによる
ものです。賛辞を送りたいと思います。

このメルマガに何度も書いてきたことですが、一般に小学生までは
地域に根ざして生活しています。ところが、中学生から結婚して世帯を
もつまでの若者は、地域から離れていくのが実態です。
その間の若者をいかに地域に繋ぐかが、地域の大きな課題なのです。

その貴重な機会のひとつが、成人式です。
しかし、その実態は、テレビ報道などでみなさんもご存じの通り。
一昨年、韓国へ行った時にも、日本の成人式の愚行が大きな話題に
なっていました。韓国の人から、「日本の若者はどうしてあんなに幼稚なの?」
と質問されたくらいです。
既成のやり方で、ただ出席するだけの受け身の姿勢では、意識が高まらない
のも無理はありません。

しかし、少なくとも、明日行われる大口町の新成人には無用の心配です。
あれだけのことを成し遂げたのですから・・・

昨年、12月21日のダンス&ミュージックフェスティバルも、
文化的なイベント(得に音楽関係)が少ない大口町に、新しい文化を
根付かせようとするもので、とくに青少年が多世代の人と交流することを
目的に昨年から始めたものです。若者を地域と繋ぐ方策の一つです。
その様子はここに・・・
http://www.tcp-ip.or.jp/~syaraku/bandfes2.htm 
中には、一昨年の紅白歌合戦にバックで出演したチームが参加したり、
プロの演歌歌手がボランティアで踊りチームのオリジナル曲を歌うなど、
当初の予想外の展開になりましたが、とても良い雰囲気の中、
盛り上がった会になりました。
若者が繋がれば・・・・と願います。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━[2004/1/22 第93号]━━
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 講堂工事が終盤に入ってきました。
 外の足場に続いて、昨日より内部の足場を解体しています。
天井もきれいに貼り替えられました。ここまで順調に進んで
いますので、完了検査を経て、予定通り2月20日午後に校内の
完成式・こけら落としができそうです。
 こけら落としでは、安藤正太郎さんをお招きし、2年生・堂地さん
の伴奏でバイオリンコンサートを開催します。もちろんどなたでも
お越しいただけます。今からご予定いただけると幸いです。

 安藤さんの紹介をしましょう。
 安藤さんは、江南市古知野町にある私(土井)のかかりつけの
歯科医の長男として生まれました。
 1歳の頃視力を失い、目が見えた記憶は本人にはありません。
 幼少の頃からバイオリンを習い、今では、プロとして演奏活動を
行っています。日本国内はもとより、世界各地で演奏しています。
 私との付き合いも古く、10年以上前から、毎年のように吹奏楽部と
共演してきました。大口町では私と2人でロビーコンサートを行った
こともあり、月に1度は会う飲み仲間でもあります。
 また、僧侶の資格を持ち、お盆の頃は引っ張りだこ。さらに、
鍼灸師の資格も持ち、独立した鍼灸院として3月より開業する予定です。

 安藤さんは目が見えません。しかし、私以上に鋭い観察眼を持って
いることにいつも驚かされます。人は、視覚以外からも多くの情報を
得ることができることを実感します。
 また、一度食べたり飲んだりした味は忘れません。世界各地の料理にも
通じています。その他、各所で見せる豊富な知識には驚かされます。
 (私よりずいぶん若いのですが)人生経験という尺度で見ると、
どっちが年長かと思うほどで、正直、恥ずかしくなる時もあります。

 目が見えないというのは、確かにハンディであることは否定できません。
しかし、それ以上に、その人の個性であって、人として全体を見る時には
たいしたことではないと、安藤さんを見ていると思います。 

 次のアドレスは、私のサイトにある安藤さんの紹介です。
 http://www.tcp-ip.or.jp/~syaraku/andousyoukai.htm

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━[2004/1/23 第94号]━━
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 又聞きの話で申し訳ないのですが・・・
 
 加山雄三さんがトーク番組で出演していた時、2人の娘さんの話に
なりました。
 家に彼氏を連れてきた時のこと。
 「こんにちは」のあいさつの一言で、「これはいいやつだ」とか、
「たいしたやつではないな」とおおよそわかるそうです。
 女の子は上手?で、場面に応じたあいさつができるのですが、こと
あいさつに関しては男の子は不器用で、だからこそ、あいさつの一言に、
人物が表れると言うことでした。
 
 わかる気がしませんか?
 私(土井)でもそう思うのですから、俳優として人の観察力に優れた
加山さんならなおさらでしょう。
 私たち教師は、毎年、多くの生徒との出会いがありますが、確かに、
第一印象とその後で大きく見方が変わったということは、あまり経験が
ありません。

 昨日、3年生の面接の練習をしました。最も印象に残ったことは、
日ごろできないことはできない、ということです。
 たった数分という短い時間ですが、扉の開け閉め、挨拶、相手の目を
見ての話し方・聞き方など、どんなにつくろうとしても、ついその人となり
が出てしまうのです。もっとも、だからこそ面接をする意味があるの
ですが・・・
 結局、面接の練習は、毎日の家庭生活・学校生活の中で時間をかけて
やっていくしかありません。家庭でも、来客時や電話の応対、相手の
目を見ての会話、何よりさわやかな挨拶など、じっくりと鍛えてあげて
ください。

 第一印象は、時として人生を左右するほど大きなものなのです。
 加山雄三さんに会う時だけでなく・・・・ 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━[2004/1/26 第95号]━━
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 現在、2年生は総合や学活の時間に、進路学習と絡めて、修学旅行で
の東京班別研修の計画を立てています。
 将来の夢や希望別に分かれてグループを作り、実際に関連する事業所を
訪問し、そこで働く人に直接ふれることにより、より適切な職業観を
身につけることができることをねらっています。

 尾張北部地域では当たり前のようになっている東京の職場訪問ですが、
全国どこでも行っているわけではありません。なぜなら、訪問依頼の電話をすると
「愛知の学校ですね」とよく言われることからわかります。愛知県が中心で、
特に丹葉地区ではさかんです。
 それには理由があるのです。
 名づけて、「班別行動物語」。

 昭和の時代までは、修学旅行というのはバスガイドの後をぞろぞろついて
歩くというのが常識でした。
 多くの生徒は受身で、問題意識もなく、見てほしいものも見ないで
過ぎていってしまうことがよくありました。皆さんもご経験があるのでは
ないでしょうか?
 それを改善しようと、班別行動が始まったのが昭和の終わりごろでした。
丹葉地区では、江南西部中が最初に始めたのではないかと思います。NHKや
東京タワー、浅草寺など、あらかじめ決められたポイントをコースを考えて
まわってくるだけでしたが、それまでと比べて大きな進歩だったと思います。
 
私(土井)が最初の中学校へ赴任したのが平成元年。当時は、生徒指導が
困難な学校として有名でした。
 1年生の教師集団は、とにかく生徒を動かして、生徒の主体性を伸ばして
学校を立ち直らせようとしました。綿と藍を育てて、糸を紡ぎ布を織り藍で
染めるをするという今の総合的な学習のようなこともしていました。
 2年生になると、グループ別に愛知県各地に散らばって職業体験のような
ことを行いました。牛小屋で、朝の6時から牛の世話をするグループもありました。
 そして、3年生では・・・・
 次号のお楽しみ。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━[2004/1/27 第96号]━━
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 今2年生が取り組んでいる東京での班別研修(東京職場訪問)の計画
作り。その裏には、私たち教師の熱い思いがあります。
 今回は、その誕生秘話−その2−です。

 生徒主体の行事により学校を立て直す試み。
 3年生の修学旅行では次の条件を与えようと考えました。
◎ 基本的に、行き先は次の条件の下で自分達で考える。
 ○ 働く人と直接ふれ合える東京ならではの所、修学旅行でしか
  見学許可がおりないような所へ1箇所は必ず行く。
 ○ 昼食は訪問先の社員食堂か大学の学生食堂で食べる。
 ○(原則、予備交渉を教師が行った上で)訪問依頼も生徒が行う。

 しかし、待てよ?具体的にどんな訪問先があるのか?中学生を受け入れて
もらえるか?中学生が大東京の街中を探して行けるのか?迷路のような
地下鉄・バスを乗りこなせるか?
 プランを出しては見たものの、確証はありませんでした。なにしろ、
実績も前例も何もありません。
 そこから私(土井)の東京通いが始まったのです。平成2年のことです

 公式の下見は1泊2日しか許されません。あとは自腹です。冬休みや春休みは
新宿のサウナに何日も止まりました。家族旅行も東京、学年旅行も東京・・・・

 当時の1府12省もすべて回りました。それぞれで班別研修の意義を説明し、
受け入れをお願いしました。しかし、そのほとんどがお断りです。
許可が下りたのは法務省と自治省のみ。後は、「前例がない」「中学生では無理」
 現在、こうした活動を積極的に勧めている当時の文部省でさえ、断られた
ほどです。
 大学も回りました。東京、御茶ノ水、早稲田、慶応、上智、明治、法政・・・
併せて、学生食堂にお願いに行きました。
 国会図書館は許可が下りたのですが、年度が替わると突然不許可。 
 逆に大歓迎のところもありました。九重部屋や二子山部屋、井筒部屋といった
相撲部屋です。
 「ちゃんこを食べていきなさい」
 アスファルトの上を歩きすぎて、足の裏の皮がめくれて痛がっていた私にとって
天使の言葉のようでした。
 (続く・・)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━[2004/1/28 第97号]━━
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 東京班別研修(東京職場訪問)の誕生秘話−その3−です。
 
 私(土井)は、平成2年までは東京へ行った経験がそれほどありませんでした。
社会科教師として、知らないものを教えることは心が痛みます。
 やはり官公庁などは自分の目で見ておく必要があります。修学旅行の
担当者としも、社会科教師としても、東京をくまなく歩いておくことは
大きな意義があると考えたのです。
 最高裁判所や警視庁、東京地裁などの官公庁、麻布や青山の数々の大使館、
ホテルニューオータニなどの高級ホテル、集英社などの出版社、自衛隊、
放送局、新聞社、4月に完成予定の東京都庁、機体整備工場、ガラス工場・・
これらは、趣旨を説明し、生徒の受け入れをお願いして回った所です。
 当時は、ほとんどの事業所が中学生のグループ訪問を受け入れた経験がなく、
「自分は誰もやっていないことをやっているんだ」ということを実感しました。 
 まさに、プロジェクトXの世界です。

 4月に入り、将来の夢や希望別にグループを作り、さっそく生徒の調査
(今の2年生がこの段階です)と相手への依頼が始まりました。
 助言の中で、自分が事前交渉を終えている所を紹介すると、だいたい
決まっていきました。アニメ制作会社、レコーディングスタジオ、漫画の
出版社など、生徒が独自に探し出し、交渉をしてきた所もありました。
 その後、相手への依頼状と質問状を作成します。
 電話のかけ方や手紙の書き方は、2年生で経験しているので、ずい分
上手になりました。
 こうしたことは、ただ教えてもらうだけでは力がつきません。実際にやって
みて、成功して、初めて自分のものになるのです。
 彼らは、その後の人生で問題が起こったとしても、必要な相手を探して
電話をかけたり、手紙で依頼したりすることができるようになったのです。
これは、社会で生きていく上で必要なアイテムを2つ手に入れたようなものです。

 「生きる力」というのは、こうした経験の蓄積の総体なのだと思います。
 机上で学んだ知識は、自らの経験と融合して、はじめて生きて働く力になる。
 現在、日本中の学校が取り組んでいる総合的な学習の時間は、まさにこうした
発想から生まれました。
 今思うと、東京班別行動は、その先取りをしていたのです。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━[2004/2/12 第98号]━━
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 「教室でヤギを飼っている小学校」と、以前NHKで大きく取り上げられた
学校をご存じですか?
 長野県伊那市立伊那小学校です。
 
 2月7日に、山田先生、中村先生といっしょに、伊那小学校の公開学習
指導研究会へ参加してきました。朝6時30分に集合し、渋滞に遭いながら
2時間半かかって厳寒の地・伊那へ訪れました。プールの水は氷が張り、中庭
には手作りの天然スケート場もありました。

 この伊那小学校は、現在日本中の学校で行われている総合的な学習を導入
する上でのモデルになった学校のひとつです。児童・教師は1年生から3年間、
4年生から3年間それぞれ持ち上がります。3年というスパンで、子どもの意欲を
大切にした息の長い実践が行われます。
 たとえばある6年のクラスでは・・・・

 4年生では、まず自然の中でのびのびと活動させました。課題は、活動の中で
自然と生まれるものなのです。
 川で蟹を捕まえた子どもたちが教室で飼いたいと言い出しました。そこで教室へ
持ち帰り飼ったのですが、間もなく全部死んでしまいました。そこで、自分たちの
行いにより蟹を死なせてしまったことに気づいた子どもたちは、「死」というものを
強く意識するようになります。そこで、「自分たちで、蟹が生きていける環境を
つくろう」という課題が生まれ、「夏組サマーランド」という、学校に流れてくる
用水路を作って人工の川作りを行います。いわゆる、ビオトープです。
 ところが、上流からの水の汚れがひどくうまくいきません。
 5年生では、上流調査に出かけました。水源で水質を検査すると、飲めるほど
きれいであることがわかりました。子どもたちは、当然「どこで汚れるのだろう?」
という疑問をもちます。そこで調査を続けると、学校の周囲の田が水を汚す原因
であることを突き止めます。その原因も、農薬であることがわかりました。
 「蟹が死んでしまう農薬をなぜ使うの?」
 農家に聞くと、「農薬を使わないと農業が成り立たない。」と言われました。
現実の壁に子どもたちはぶつかります。
 
 伊那小の実践は、北部中で取り組んでいる総合的な学習の今後を考える上で
ヒントになります。次回は、6年生での実践を紹介します。

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 前号から、元祖・総合学習、伊那小学校の実践を紹介しています。
 蟹が住める環境をつくろうとした児童が、用水の水の汚れに気づきました。
その原因が農薬であることがわかり、農薬は米作りに欠かせないと農家から
言われます。
 その中で、児童は無農薬農家の小川さんに出会いました。さっそく無農薬の
お米を味わいますが・・・・味は大差ありません。
 小川さんに尋ねます。「なぜ無農薬なのですか?」
 小川さんは答えました。「たくさんの生き物と田んぼをつくるのは楽しい。」
小川さんに、「生きた水」という考え方を教わりました。
 児童は葛藤します。農家の人の生活も大事、しかし、きれいな水にしたい。
 そこで、「まず、自分たちで無農薬の米を作ってから考えよう。」という考えに
まとまります。
 児童は育苗から始めました。田植えをすると、稲の数が足りません。それでも
「自分たちで育てた稲だけで米を作りたい。」とこだわります。
 生き物調査をすると、害虫がいっぱい。命としての害虫と食べられる稲。
命を実感します。
 害虫の数をグラフ化したりして、別の田のデータと比べながら、自分たちの田を
具体的に調べていきます。
 確かに命にあふれています。しかし、収穫量は一般の農家の半分でした。
 これで、農薬をやめてといえるか?生き物の命を大事にしたいが、農家の人の
生活も大事ではないか?
 児童は悩みましたが、結論は出ませんでした。結局、「農薬をやめてと
言えないが、自分たちがやってきたことは伝えたい。私たちのお米を食べてほしい。」
 食べてもらうために、ご飯、七草粥、五平餅、甘酒といろいろなものに
挑戦しました。
 特に、甘酒の麹も無農薬で作った米から作りたいとこだわりました。麹を作る中、
麹も生きていることを実感します。
 参観日当日は、麹とお米の割合をいろいろと変えて作った甘酒を飲み比べて
いました。
 
 以上が主な流れですが、この間にも、関連したいろいろな学習をしています。 
旧暦と新暦の違い、藁を使った注連飾りづくり、虫の絵など、自分たちの課題に
関連した学習なので、意欲的に取り組みます。
  
 以上が、あるクラスの3年間の取り組みです。この取り組みをどう読み取ったら
よいのでしょうか?
 次号で解説します。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━[2004/2/17 第100号]━━
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 メールをいただきました。
 「自分の過去を振り返ってみると、机の上で学んだことはたかが知れている。
実際に経験したことがその後の糧になっている。」
 私(土井)も同感です。もちろん、机上で学ぶことも大切ですが、そこで学んだ
知識は、生きた知識とはいえません。実際にいろいろ経験し、知識と経験が結び
ついた時、始めて生きた知識となり、自分のものになると思います。
 総合的な学習も、まさにそのような発想で始まりました。そして、伊那小学校は、
20年以上も前から総合学習を実践し続けている学校です。

 伊那小の実践は、児童の意欲という点をとても大切にします。そのために、
1 課題作りに時間をかける
  児童にいろいろな体験をさせた中から生じた疑問を課題にまでふくらませています。
2 高まった意欲を、教科の学習でも利用する
  1年生では、飼っているウサギの糞を毎日数えることにより、大きな数を学習して
います。その他、グラフ作成、計算などに学習をつなげています。
また、どの学級も、学習内容を絵や文で表現しています。総合の活動を、絵や作文の指導
に生かしていることがわかります。
3 長期的・短期的の内容を組み合わせる
  長期間取り組む組むものだけでは、さすがの伊那小の子もだれてしまいます。
そこで、長期の取り組みとは別に、関連した短期の学習を組み合わせて、児童の
興味・関心を広げています。
  米作りの例では、わらでしめ縄をつくったり、稲作と暦の学習をしたりと、
関連学習を進めています。  

 北中では、1年生が「大口町」、2年生が「生き方−進路−」をテーマに
3年間を見越した取り組みを行っています。また、3年生は個人追究の発表を
終えました。
 それぞれ、体験的な学習を組み合わせながら、個々の興味・関心に
合った学習を進めてきました。今後も、ことあるごとに、学習の様子を
お知らせしていきます。