以下は、舞阪中学校の講演会で使用した資料の一部です。

今、中学生の親として・・・
                           
H15.2.24
                         大口町教育委員会
                             土 井 謙 次
1 中学校は(    )が(    )になるところ


2 「○○しなさい」には反発するが「       」には取り組む


3 菊の苗の根を伸ばすには?


4 夢と希望に向かって、明日を切り拓く力を育てる

資料  脱!教育ポピュリズム
                                               宮崎県高鍋町立高鍋東小学校教諭 嶋田雄一

 教育ポピュリズムとは、「学校運営研究」という雑誌の平成14年1月号で取り上げられた言葉である。「子どもの思いを大切に」などという美辞麗句を隠れ蓑にして、指導すべきこと、叱るべき事から目をそむける、迎合主義的な考え方のことを言う。私は、そのような考え方では、やがて日本はダメになると思う。
 教育ポピュリズムに関することで嶋田が書いた文をここに集めてみる。

★ 1  万引き死亡事件 ★
 夕方のフジテレビスーパーニュースを見ていたら、すごいニュースがあった。
 中学生が本屋で万引きをした。本屋は中学生を捕まえ、事情を聞いた。中学生は何も言わないため、本屋は警察に通報。警察が中学生をパトカーに乗せようとしたところ、中学生が逃亡。踏み切りに進入し、列車にはねられ、中学生が死亡。
 すごいのは、この後だ。本屋には「人殺し」「パトカーに乗せるまでちゃんと見張っていないのが悪い」「親のような愛情をもって接するべきだった」などの苦情が集まったという。本屋はそれを受けて、廃業するとの貼り紙を出した。死亡した中学生の親もインタビューを受けていた。「廃業すると聞いて、うれしいです。あそこを通るたびにいやなことを思い出す。うちの子も無念だったろう。一生懸命謝ったと思います。なのに警察に言われたりして…。」
 テレビを見ていて、情けなくなった。日本は本当にダメになるなあと思う。一生懸命謝った者が、名前を隠し、逃亡するか!?親のコメントは、信じがたいものだ。本屋になんの落ち度があるのか。フジテレビは、この件について、中学生やその親に批判的なコメントを出していた。この件を取り上げること自体批判的に思うから出したのだろうが。大多数の人は、この中学生、親に対して批判的であることを信じたいと思う。

 万引きをしたらどう対応すべきか。いい話を聞いたことがある。以下に紹介する。嶋田の懇談での話である。(テーマ「H先生に学ぶ」 ※ H先生は児童相談所で勤務されている方)
 H先生は次の話をしてくださいました。
「私は子どもが万引きした時に、こうしよう、と仕掛けを考えていたんです。とうとうその機会はありませんでしたが。」
 みなさんでしたら、お子さんが万引きした時にどうされるでしょうか。どんな言葉かけをされるでしょう。H先生は次のようにしようと考えておられたそうです。
「私なら子どもの手を引っ張って店に連れていきますね。今は親がお金を払いに行く、そんな人もいますけどね。それじゃ、子どもの心は育たないでしょうね。そして私なら店の中でも一番人が多い所、レジの前で土下座をして頭を下げるでしょうね。親が私のために恥をかいている、それを子どもの心に一生残すために。そして帰るときには、肩を抱いてやって言うでしょうね。『お父さんも恥をかいたけどね、こんなことはこれ一回で終わらせようね。』」
 H先生の話を聞いて、H先生に電話が来たそうです。
「私は暴走族でした。母一人子一人の家族でした。母が何を言っても耳も貸さずにいました。そんなある日、警察に呼び出され帰る道でのこと。人通りも多い夕方の踏み切り。そこで母が大きな声で泣き出し、私に言いました。『お前は何度言っても分らないから、ここで一緒に死のう。』私は母を突き飛ばして帰りました。でも、1日たち2日たち、母の言葉が胸に突き刺さってきた。私はそこで暴走族から身をひいたのです。」
 暴走族の息子にも届く言葉があるんですね。それはどこからくるのか。親の真剣さだと思いました。言葉のテクニックが良かったのじゃなくて、真剣さが伝わったんだと思います。

 H先生が娘さんに「お父さんは子育てをしている時お前をたたいたことはないがねえ。」と言うと娘さんは言ったそうです。
「お父さんには叩かれんかったけど、お母さんには1回叩かれたことがある。私が6歳の時スーパーに買い物に行った。その時小人症の人がいて、お母さんに「あん人見てん!あん人見てん!」と言った。お母さんは血相変えて飛んできて、張り倒された。そしてその人のところに連れていかれ、「すみませんでした、すみませんでした。」と謝った。そして家に帰ってから、母は泣きながら話をしてくれた。『体の不自由な人を指差して言うようなことは1番いかん。』」
 ほめること、その子をよく見て、その子の成長を見つけること。一番大切だと思います。それとあわせて、子どもと過ごす中で起こるいろんな出来事に親が真剣に対応することが大切だと思います。時には叱り、時には励まし。言葉は言葉だけで力を持つのではなく、その人が今まで何をしてきたかによって、言葉の効果も変わるものだと思います。
 お互いに、真剣に子どもと向き合っていきましょう。

(以下略)

□関連ホームページ□
 嶋田のホームページ『教師修業通信スプリンター』
  http://homepage2.nifty.com/sima-yuuiti/ 
       【出 典】 日刊 小学校教師用ニュースマガジン  NO 1091 ◇◆◇