4 だれがしてくれるの?

(1) 学習者と民間と行政と

 これまでは、社会において何か新しいことを振興するのは行政であることが多く、住民の自発性や自主性を重んじた運動にはなっていない傾向がありました。生涯学習は学ぶ人の自発性に基づくものですから、生涯学習こそ学ぶ人が社会においてその推進役を果たすことが期待されます。

 さらに、生涯学習の機会を提供しているのは行政だけでなく学校、大学や専修学校や各種学校等の教育機関やカルチャーセンターや生花教室、着付教室といった民間教育事業者もあります。こうした機関が学ぶ人の学習したい内容、言い換えれば「学習ニーズ」を把握し、積極的に学習機会を提供していくことが重要です。行政の役割はむしろ学ぶ人の自発性を最大限に尊重しその活動を側面から支援するという限定的な性格を有するべきであり、理想から言えば行政は「黒子役」に徹することが望ましいと考えられます。
 しかし、一般にはまだ生涯学習に対する意識が十分に高まっておらず、学習者や民間教育事業者が十分な推進主体として機能することは困難ですから、当面は行政にも相当の役割が期待されると考えます。

(2) 県と市町村の役割分担

 多くの人々は身近な施設で気軽に学習したいと考えています。こうした結果を踏まえると、生涯学習が日常生活の中に位置づけられ、それが学ぶ人の身近なところで行えることが最も重要と考えられます。これまでも市町村においては、図書館、公民館、博物館等の社会教育施設を設置するなど住民の学習の場を整備してきたほか、青年団や子ども会等の社会教育団体と協力しながら地域の社会教育活動を支援するなど学習や活動の機会を提供してきたことから、行政において生涯学習を推進する場合には、市町村がその中心的役割を果たすことが求められます。

 一方、県の果たすべき役割としては、市町村単独では困難な事柄や広域で実施することがふさわしい事業などが考えられ、具体的には、県内の生涯学習情報の提供や市町村では難しい指導者研修等の人材育成、市町村間のネットワークづくりなどのコーディネート機能が挙げられます。

   ※コーディネート;調整すること、釣り合いをとること


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