V 公務員制度
1 政治的行為の制限

(1)公立学校の教員は地方公務員ですが,その政治的行為の制限については,他の地方公務員と異なる取扱がなされています。どのように相違するか,法令上の根拠を示しながら説明してください。 
 
【 解 答 】
 国家公務員身分の教育公務員には,国家公務員法102条とこれに基づく人事院規則14−7(政治的行為)が適用される。一方,地方公務員である教育公務員は,本来ならば地方公務員法36条の適用があり,その職員が属する地方公共団体の区域内において政治的行為を制限することを規定しているが,地方公務員法に優先する教育公務員特例法18条の規定によって,国家公務員と同じ扱いを受けることになり,制限を受ける地域が全国に及び,制限される行為も,国家公務員同様詳細に規定されている。
 この趣旨は,教育公務員の職務とその責任の特殊性に鑑み,教育公務員が妥当な限度をこえて政治に介入することを防止し,その公務たる教育の公正な執行を保障しようとすることである。
 このように,教育公務員は,一般の公務員よりも強い制限が課せられている。なぜならば,教育公務員が全体の奉仕者であって一部の奉仕者ではなく,その職務は,教育を通じて国民全体に奉仕することにあり,教育は不当な支配に服することなく行われるべきものであって,一地方限りの利害に関するものではないからである。さらに,「教育者」として職務の公正を維持し,住民や児童生徒等に悪影響を及ぼすことがないよう政治的中立性が求められているからである。
 
【 法的根拠等 】
○日本国憲法
 第15条2項 すべて公務員は,全体の奉仕者であって,一部の奉仕者ではない。
○教育基本法
 (政治教育)
 第14条2項 法律に定める学校は,特定の政党を支持し,又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない。
 (教育行政)
 第16条 教育は,不当な支配に服することなく,この法律及び他の法律の定めるところにより行われるべきものであり,教育行政は,国と地方公共団体との適切な役割分担及び相  互の協力の下,公正かつ適正に行われなければならない。
○教育公務員特例法
 (この法律の趣旨)
 第1条 この法律は,教育を通じて国民全体に奉仕する教育公務員の職務とその責任の特殊性に基づき,教育公務員の任免,給与,分限,懲戒,服務及び研修等について規定する。
 (公立学校の教育公務員の政治的行為の制限)
 第18条 公立学校の教育公務員の政治的行為の制限については,当分の間,地方公務員法第36条の規定にかかわらず,国家公務員の例による。
 2 前項の規定は,政治的行為の制限に違反した者の処罰につき国家公務員法第110条第1項の例による趣旨を含むものと解してはならない。
○国家公務員法
 (政治的行為の制限)
 第102条 職員は,政党又は政治的目的のために,寄付金その他の利益を求め,若しくは受領し,又は何らかの方法を以てするを問わず,これらの行為に関与し,あるいは選挙権  の行使を除く外,人事院規則で定める政治的行為をしてはならない。
 2 職員は,公選による公職の候補者となることができない。
 3 職員は,政党その他の政治的団体の役員,政治的顧問,その他これらと同様な役割を持つ構成員となることができない。
罰則
 第110条 左の各号の一に該当する者は,3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
 19 第102条第1項に規定する政治的行為の制限に違反した者
○地方公務員法(政治的行為の制限)
 第36条 職員は,政党その他の政治的団体の結成に関与し,若しくはこれらの団体の役員となってはならず,又はこれらの団体の構成員となるように,若しくはならないように勧  誘運動をしてはならない。
 2 職員は,特定の政党その他の政治的団体又は特定の内閣若しくは地方公共団体の執行機関を支持し,又はこれに反対する目的をもって,あるいは公の選挙又は投票において特定の人又は事件を支持し,又はこれに反対する目的をもって,次に掲げる政治的行為をしてはならない。ただし,当該職員の属する地方公共団体の区域外において,第一号から第三号まで及び第五号に掲げる政治的行為をすることができる。
   一 公の選挙又は投票において投票をするように,又はしないように勧誘運動をすること。
   二 署名運動を企画し,又は主催する等これに積極的に関与すること。
 三 寄付金その他の金品の募集に関与すること。
 四 文書又は図画を地方公共団体又は特定地方独立行政法人の庁舎,施設等に掲示し,又は掲示させ,その他地方公共団体又は特定地方独立行政法人の庁舎,施設,資料又は資金を利用し,又は利用させること。
 五 前各号に定めるものを除く外,条例で定める政治的行為
(懲戒)
 第29条 職員が次の各号の一に該当する場合においては,これに対し懲戒処分として戒告,減給,停職又は免職の処分をすることができる。
  一 この法律若しくは第57条に規定する特例を定めた法律又はこれに基づく条例,地方公共団体の規則若しくは地方公共団体の機関の定める規定に違反した場合。
  二 職務上の義務に違反し,又は職務を怠った場合
  三 全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあった場合
 4 職員の懲戒の手続及び効果は,法律に特別の定がある場合を除く外,条例で定めなければならない。
 

(2)勤務時間外においては,教員も一人の私人であるので,政治的行為の制限は及ばず自由に政治的活動を行えるとの主張について,どのように考えるか,説明してください。
 
【 解 答 】
 教員も一私人として,思想の自由,表現の自由に基づく政治活動の自由が保障されるべきである。しかし,教員の場合には,心身ともに未成熟な児童生徒等に対して強い影響力があり,こうした教育の性格に由来する特別の性格から,教員という立場に着目し,そのかぎりにおいて一定の政治活動が制限される必要がある。
 教育公務員に対しては,身分上の服務義務の一つとして政治的行為の制限が課されている。つまりは,教育公務員という身分を有している以上,勤務時間の内外を問わず,政治的行為が制限されている。それは@教特法18条の規定により国公法102条及びこれに基づく人事院規則14−7(政治的行為)による政治的行為の制限,A公職選挙法136条の2による公務員としての地位を利用して行う投票の周旋勧誘等の一定の行為の禁止や,政治資金規正法22条の9による政治活動に関する寄附又はパーティーの対価の支払いへの公務員の関与等の制限,がある。
 一方,教育における政治的中立の要請から,@教基法14条第2項の,学校が党派的政治教育を行うことの禁止及びこれに伴う教員の教育活動として行われる政治活動の制限,A義務教育諸学校における教育の政治的中立の確保に関する臨時措置法(中確法)による党派的な政治教育が義務教育諸学校で行われないことを保障するための外部からの教唆又はせん動の禁止,B公職選挙法137条による教育者(学教法に規定する学校の校長及び教員)の地位利用の選挙運動の禁止,がある。
 人事院規則14−7には,公務員としての身分を有する限り,勤務時間の内外を問わず政治的行為が制限されること,また,それが臨時職員,休暇,在籍専従を含む休職中の職員にも適用されることが明記されている。
 したがって,勤務時間外であるからといって,自由に政治的活動を行えるという主張は誤りである。
 
【 法的根拠等 】
○義務教育諸学校における教育の政治的中立の確保に関する臨時措置法
 (この法律の目的)
 第1条 この法律は,教育基本法の精神に基づき,義務教育諸学校における教育を党派的勢力の不当な影響又は支配から守り,もって義務教育の政治的中立を確保するとともに,こ  れに従事する教育職員の自主性を擁護することを目的とする。
 (特定の政党を支持させる等の教育の教唆及びせん動の禁止) 
 第3条 何人も,教育を利用し,特定の政党その他の政治的団体の政治的勢力の伸長又は減退に資する目的をもって,学校教育法に規定する学校の職員を主たる構成員とする団体の組織又は活動を利用し,義務教育諸学校に勤務する教育職員に対し,これらの者が,義務教育諸学校の児童又は生徒に対して,特定の政党等を支持させ,又はこれに反対させる教育を行うことを教唆し,又はせん動してはならない。
○人事院規則14−7(政治的行為)
(適用の範囲)
 1 法及び規則中政治的行為の禁止又は制限に関する規制は,臨時的任用として勤務する者,条件付任用期間の者,休暇,休職又は停職中の者及びその他理由のいかんを問わず一時的に勤務しない者をも含むすべての一般職に属する職員に適用する。ただし,顧問,参与,委員その他人事院の指定するこれらと同様な諮問的な非常勤の職員が他の法令に規定する禁止又は制限に触れることなしにする行為には適用しない。
 2 法又は規則によって禁止又は制限される職員の政治的行為は,すべて,職員が,公然又は内密に,職員以外の者と共同して行う場合においても,禁止又は制限される。
 3 法又は,規則によって職員が自ら行うことを禁止又は制限される政治的行為は,すべて,職員が自ら選んだ又は自己の管理に属する代理人,使用人その他の者を通じて間接に行う場合においても,禁止又は制限される。
 4 法又は規則によって禁止又は制限される職員の政治的行為は,第6項第16号に定めるものを除いては,職員が勤務時間外において行う場合においても,適用される。
(政治的目的の定義)
 5 法及び規則中政治的目的とは,次に掲げるものをいう。政治的目的をもってなされる行為であっても,第6項に定める政治的行為に含まれない限り,法第102条第1項の規定に違反するものではない。
  一〜八
(政治的行為の定義)
 6 法第102条第1項の規定する政治的行為とは次に掲げるものをいう。
  一〜十七
  十五 政治的目的をもって,政治上の主義主張又は政党その他の政治的団体の表示に用いられる旗,腕章,えり章,服飾その他これらに類するものを製作し又は配布すること
  十六 政治的目的をもって,勤務時間中において,前号に掲げるものを着用し又は表示すること
○公職選挙法
 (公務員の立候補制限)
 第89条 国若しくは地方公共団体の公務員又は特定独立行政法人,特定地方独立行政法人若しくは日本郵政公社の役員若しくは職員は,在職中,公職の候補者となることができない。ただし,次の各号に掲げる公務員は,この限りでない。(後略)
 (立候補のための公務員の退職)
 第90条 前条の規定により公職の候補者となることができない公務員が,(中略)公職の候補者となつたときは,当該公務員の退職に関する法令の規定にかかわらず,その届出の日に当該公務員たることを辞したものとみなす。
 (公務員等の地位利用による選挙運動の禁止)
 第136条の2 次の各号のいずれかに該当する者は,その地位を利用して選挙運動をすることができない。
 1.国若しくは地方公共団体の公務員又は特定独立行政法人,特定地方独立行政法人若しくは日本郵政公社の役員若しくは職員 (後略)
 (教育者の地位利用の選挙運動の禁止)
 第137条 教育者(学校教育法(昭和22年法律第26号)に規定する学校の長及び教員をいう。)は,学校の児童,生徒及び学生に対する教育上の地位を利用して選挙運動をすることができない。
 

(3)放課後に特定の候補者を支援するためのビラを街頭で配布したり,選挙対策のた  めの会議を学校内で開催することはどうですか。
 
【 解 答 】
 いずれの行為も政治的行為として制限される。
 
 「放課後に特定の候補者を支援するためのビラを街頭で配布」するという行為は,
人事院規則14−7
6(政治的行為の定義)
 七 政党その他の政治的団体の機関紙たる新聞その他の刊行物を発行し,編集し,配布し又はこれらの行為を援助すること。
にあたり,また,「選挙対策のための会議を学校内で開催する」という行為は,
 五 政党その他の政治的団体の結成を企画し,結成に参与し若しくはこれらの行為を援助し又はこれらの団体の役員,政治的顧問その他これらと同様な役割をもつ構成員となること。
 六 特定の政党その他の政治的団体の構成員となるように又はならないように勧誘運動をすること。
にあたり,いずれも政治的行為として制限される。
 
【参考・判例等】
 国家公務員法102条において,政治的行為が禁止されているが,さらに,人事院規則14−7は,次のような行為を禁止している。@政治的目的のために職名,職権又はその他の公私の影響力を利用すること,A政治的目的のために寄付金,会費,その他の金品を求め,受領し,これらの行為に関与すること,B政党その他の政治的団体の結成を企画し,参与し,援助し又は役員や顧問等の構成員になること,C政党その他の政治団体の機関紙たる新聞その他の刊行物を発行・編集・配布等をすること,D政治的目的をもって,多数の人の行進その他の示威運動を企画・組織・指導・援助すること,E集会その他多数の人に接し得る場所で又は拡声器,ラジオその他の手段を利用して,公に政治的目的を有する意見を述べること等々。 
 これに加えて,公職選挙法137条は教員の地位を利用した選挙運動を禁止している。 
 教職員等の選挙運動の禁止等については,文部省教育助成局長通知(平8.9.30,文教地57)によれば,具体例として,次のようなものを挙げている。@候補者の推薦等A投票の依頼又は勧誘B署名運動Cデモ行進D新聞,雑誌,ビラ等E広告,ポスター,あいさつ状F演説等G資金カンパ,その他。
 具体例 1 候補者の推薦等(2)校長・教員の地位を利用して投票の周旋運動(いわゆる票の割り当て等)を行うとか,あるいは,演説会の開催その他の選挙運動の企画に関与し  たりすること。
 5 新聞,雑誌,ビラ等 特定の政党や候補者などを支持し又は反対するために書かれた新聞,雑誌,ビラ等に関して,次のような行為をすること。ア 発行すること。イ 回覧に供すること。ウ 掲示し又は配布すること。エ 多数の人に朗読して聞かせること。オ以上のように供するために著作し又は編集すること。(第四次前訂新学校管理読本P466)
 なお,公選法第136条の2及び第137条の場合にあっては,刑事上の処罰の対象となるものである(公選法第239条1項1号及び239条の2第2項)。
 
 
 

4) 地方公務員の服務には,政治的行為の制限の他にどのようなものがありますか。
 
【 解 答 】
地方公務員は住民の全体の奉仕者として公共の利益のために勤務し,かつ,全力をあげて職務に専念すべきことが服務の根本基準である(憲法15A,地公法30)。
また,条例の定めるところにより服務の宣誓をしなければならない(地公法31)
地方公務員の服務には,
○法令等及び上司の職務上の命令に従う義務(地公法32)
○信用失墜行為の禁止(地公法33)
○秘密を守る義務(地公法34)
○職務に専念する義務(地公法35)
○争議行為等の禁止(地公法37)
○営利企業等の従事制限(地公法38)
がある。
これらの服務義務に違反する行為に対しては,懲戒処分として戒告,減給,停職又は免職の処分をすることができる(地公法29@)。
 
【 法的根拠等 】
憲法
第15条 公務員を選定し,及びこれを罷免することは,国民固有の権利である。
A すべて公務員は,全体の奉仕者であつて,一部の奉仕者ではない。
地方公務員法
(懲戒)
第29条 職員が次の各号の一に該当する場合においては,これに対し懲戒処分として戒告,減給,停職又は免職の処分をすることができる。
 一 この法律若しくは第57条に規定する特例を定めた法律又はこれに基づく条例,地方公共団体の規則若しくは地方公共団体の機関の定める規定に違反した場合
 二 職務上の義務に違反し,又は職務を怠つた場合
 三 全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあった場合  (後略)
(服務の根本基準)
第30条 すべて職員は,全体の奉仕者として公共の利益のために勤務し,且つ,職務の遂行に当つては,全力を挙げてこれに専念しなければならない。
(服務の宣誓)
第31条 職員は,条例の定めるところにより,服務の宣誓をしなければならない。
(法令等及び上司の職務上の命令に従う義務)
第32条 職員は,その職務を遂行するに当つて,法令,条例,地方公共団体の規則及び地方公共団体の機関の定める規定に従い,且つ,上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない。
(信用失墜行為の禁止)
第33条 職員は,その職の信用を傷つけ,又は職員の職全体の不名誉となるような行為をしてはならない。
(秘密を守る義務)
第34条 職員は,職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も,また,同様とする。
(職務に専念する義務)
第35条 職員は,法令又は条例に特別の定がある場合を除く外,その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い,当該地方公共団体がなすべき責を有する職務にのみ従事しなければならない。
(争議行為の禁止)
第37条 職員は,地方公共団体の機関が代表する使用者としての住民に対して同盟罷業,怠業その他の争議行為をし,又は地方公共団体の機関の活動能率を低下させる怠業的行為をしてはならない。又,何人も,このような違法な行為を企て,又はその遂行を共謀し,そそのかし,若しくはあおつてはならない。
2 職員で前項の規定に違反する行為をしたものは,その行為の開始とともに,地方公共団体に対し,法令又は条例,地方公共団体の規則若しくは地方公共団体の機関の定める規程に基づいて保有する任命上又は雇用上の権利をもって対抗することができなくなるものとする。
(営利企業等の従事制限)
第38条 職員は,任命権者の許可を受けなければ,営利を目的とする私企業を営むことを目的とする会社その他の団体の役員その他人事委員会規則で定める地位を兼ね,若しくは自ら営利を目的とする私企業を営み,又は報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならない。
地方教育行政の組織及び運営に関する法律
(服務の監督)
第43条 市町村委員会は,県費負担教職員の服務を監督する。
2 県費負担教職員は,その職務を遂行するに当つて,法令,当該市町村の条例及び規則並びに当該市町村委員会の定める教育委員会規則及び規程に従い,かつ,市町村委員会その他職務上の上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない。
 
【 補 足
地公法第31条の服務の宣誓は,公務員関係に入ることを受諾したことによって生じた職員の服務義務に従うことを住民に対し宣言するものであり,職員の倫理的自覚を促すことを目的とする制度である。服務の宣誓は,身分の属する地方公共団体の住民に対し行うものであるから,県費負担教職員については,それぞれ市町村の条例の定めるところにより,市町村教育委員会の指示により服務の宣誓を行うことになる。
地公法第32条にいう「職務上の上司」とは,教育委員会,校長,,更に,校長以外の教職員に対しては教頭がこれに当たる。職務命令の範囲については,学校運営上必要な一切の仕事いわゆる校務をさし,更に職務の遂行に必要と認められるかぎり,制服や名札の着用,宿泊研修の場合の宿泊など私生活に関連する行動をも含むものである。
地公法第33条は,地方公務員である教職員にも,当然に適用される。職員が職の内外において非行を犯した場合には,その職員個人の信用を損なうのはもちろんであるが,ひいてはその職員が行っている食自体の信用を傷つけ,更には職員の職全体の信用を損なうおそれがある。このため,職員についてはそれぞれの行為については行為規範以上に,職員の公務員としての身分による行為への悪影響についても法律上の規範として信用失墜行為が禁止されている。
地公法第34条の「秘密」とは,一般に了知されていない事実であって,それを一般に了知せしめることが一定の利益の侵害になると客観的に考えられるものである。具体的に職員が職務において知り得た事柄のうち,どれが秘密に当たるかは,それぞれ実態に即して判断することになるが,秘密と言い得るためには,非公知の事項であって,実質的にもそれを秘密として保護するに価すると認められるものをいうと解されている。
地公法第35条にいう「特別の定」によって例外が認められる場合としては,休職,停職,育児休業,休日及び休暇など多種にわたるが,問題となるのは,教特法第22条第2項の職務専念義務の免除を受けて行う研修と勤務時間中の組合活動である。この研修の場合,勤務場所を離れて行う研修といえども研修である以上,職務専念義務が免除された期間中は当然研修に専念すべきものであり,自己の用務,休養等にあてるなど逸脱した行為は許されない。次に,勤務時間中の組合活動は,一般的には認められずその間の給与は支給されないのが原則である。勤務時間中の組合活動が認められるのは,いわゆるながら条例で定められている休日,年次有給休暇及び休職の期間と,服務監督権者の承認を得て適法な交渉を行う場合である。
地公法第37条においては,憲法第28条の労働基本権は地方住民全体ないしは国民全体の共同利益からの制約を免れず,地公法務員については,その地位の特殊性と職務の公共性がある一方,法律及び条例によりその主要な勤務条件が定められていること等から,その労働基本権に対し必要やむを得ない制限を加えることは十分合理的な理由があること,他方,地方公務員の労働基本権の制限に見合う代償措置は,法定の勤務条件の保障,人事委員会・公平委員会による保障等その必要を満たしていることから,地公法第37条の規定による争議行為の禁止は,地方住民全体ないしは国民全体の共同利益の見地からするやむを得ない制約というべきであって,憲法第28条に違反するものではない。
地公法第38条第1項は,職員が従事することを制限される行為として,@営利目的とする私企業を営むことを目的とする会社その他の団体の役員その他人事委員会規則で定める地位を兼ねること,A自ら営利を目的とする私企業を営むこと,B報酬を得て事業若しくは事務に従事すること,を規定している。教育公務員については,教特法により「教育公務員は,教育に関する他の職を兼ね,又は教育に関する他の事業若しくは事務に従事することが本務の遂行に支障がないと任命権者において認める場合には,給与を受け,又は受けないで,その職を兼ね,又はその事業若しくは事務に従事することができる。」とされている(教特法17@)。また,任命権者が許可を与える場合にも,人事委員会が定めた許可の基準によることを要しないとされている(教特法17A)。この結果,教育公務員が教育に関する他の職を兼ね,又は教育に関するほかの事業若しくは事務に従事する場合には,特別な扱いがされることになる。なお,県費負担教職員については,任命権者とあるのは,市町村教育委員会である。 (新学校管理読本p52〜68,p77〜115)
 
2 研 修

(1) 教員が研修に参加する場合の服務の取扱いとして,どのようなものがあります
 夏季休業期間中の研修について,その取扱いを職務専念義務免除による研修(いわゆ「職専免研修」,「承認研修」等)としている場合も含めて説明してください。
 
【 解 答 】
  教職員が研修を行う場合の服務上の取扱いは,次の3つに分類される。
  (1)勤務時間外に自主的に行う場合(自主研修
  (2)職務専念義務を免除されて行う場合(職専免研修
  (3)職務そのものとして行う場合(職務研修
  ある研修をこのいずれとして扱うかの判断は,研修制度を左右する重要性を持っている。したがって,その判断を行うに当たっては,職務との関連性を考慮して,慎重に取 扱うことが要請される。 
                               
(1)勤務時間外に自主的に行う場合(自主研修
  勤務時間外に教職員が自発的に研修に参加し,あるいはみずから研修することは,法 律上の問題はない。教職員はその職責遂行のために,絶えず研究と修養に努めなければ ならないものであり(教特法21@),勤務時間外にあっても,このような自主的研修 が期待されている。
  なお,年次有給休暇をとって研修に参加する場合も考えられるが,その際には,服務 監督権者が,学校運営上特段の支障がないかどうかを判断することとなる。
                                 
(2)職務専念義務を免除されて行う場合(職専免研修
  公務員は,地公法第35条により,その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその 職務遂行のために用いなければならない義務が課せられており,この義務が免除される には法律又は条例の特別の定めが必要である。各地方公共団体では「職務に専念する義務の特例に関する条例」を制定し,条例上「研修を受ける場合」には職務専念義務が免 除されている。しかし,教員については,このような条例を待つまでもなく,教特法第22条第2項の規定が地公法第35条にいう「法律の特別の定め」に該当し,直接に職務専念義務が免除されている。                 
 ※「夏季休業期間中の研修について」
  この職務専念義務の免除による研修は,特に夏休み等の長期休業期間中に,勤務場所 を離れて行う研修として利用されているところである。しかし,右の趣旨から見て,研修内容が適切なものであるかどうかを,あらかじめ研修計画書を提出させて吟味する必要があり,また,研修後には報告書の提出を求めるべきである。なお,自己の用務・休 養にあてる等の研修の実体を伴わない場合は,年次有給休暇で処理すべきであり,研修に名を借りた違法行為は許されない。             
 
(3)職務として行う場合(職務研修
  研修に従事することが職務の遂行である場合で,服務監督権者の職務命令により行われる。勤務場所を離れて行う場合は,公務上の出張として処理される。
  研修を命ずることは自由裁量事項であり,服務監督権者は,研修内容が教職員の職務と密接な関連があり,職務遂行上も有益であって職務と同等の内容のものと評価できるかを判断し,更に学校運営への支障の有無を配慮した上で研修を命じることとなる。
  職務研修の場合は,自由研修や自主研修の場合と異なり公務そのものであるので,研修中に事故にあった場合には公務災害の適用がある。       
  研修への参加を職務として命じられた場合,参加しないときは職務命令に従わない点において職務命令違反となり,懲戒処分の対象となる。       
 
【 法的根拠等 】
 ・教育公務員特例法
(研修)
第21条 教育公務員は,その職責を遂行するために,絶えず研究と修養に努めなければならない。
2 教育公務員の任命権者は,教育公務員の研修について,それに要する施設,研修を奨励するための方途その他研修に関する計画を樹立し,その実施に努めなければならない。
(研修の機会)
第22条 教育公務員には,研修を受ける機会が与えられなければならない。
2 教員は,授業に支障のない限り,本属長の承認を受けて,勤務場所を離れて研修を行うことができる。
3 教育公務員は,任命権者の定めるところにより,現職のままで,長期にわたる研修を受けることができる。
 ・地方公務員法  
(職務に専念する義務)
第35条  職員は,法律又は条例に特別の定めがある場合を除く外,その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い,当該地方公共団体がなすべき責を有する職務にのみ従事しなければならない。
(研修)
第39条 職員には,その勤務能率の発揮及び増進のために,研修を受ける機会が与えられなければならない。
2 前項の研修は,任命権者が行うものとする。
3 地方公共団体は,研修の目標,研修に関する計画の指針となるべき次項その他研修に関する基本的な方針を定めるものとする。
4 人事委員会は,研修に関する計画の立案その他研修の方法について任命権者に勧告することができる。
 

(2)ある教員が,教員の研修について次のように主張しています。
  @ 研修は教員の権利であり,職務命令によって強制されるべきものではない。
  A 夏休みは授業にも支障がないことから,教員から職専免研修の申請があれば,校長   は必ず承認しなければならない。
  B 研修内容は教育内容にかかわることであり,教員が自由に決めることができるので   あることから,職専免研修を申請するに当たり,校長に事前に説明する必要なければ   事後に報告する必要もない。
    これらについて,どのように考えるか,説明してください
 
【 解 答 @ 】職務命令によって強制される研修もある。
 
 地公法第39条の規定は教職員にも適用される。また,教特法第21条第2項は任命権者に対して,研修に関する計画を樹立しその実施に努めるべきとの義務を課しているため,教育委員会としては,教職の各段階,各分野等に必要な研修の体系的整備を図り,教職員に対して一定の時期に職務として研修する機会を与えることとなる。市町村教育委員会や校長等の上司からの研修への参加を職務として命ぜられた場合,研修に参加すること自体が職務遂行であり,通常の職務命令と同様,教職員はそれに従う義務がある。
 教特法第22条第2項の規定は,教員に研修権を付与したものではなく,この規定はむしろ授業に支障があるかぎりは,校長は研修を承認できないものとして校長の承認権を拘束しているものであり,仮に授業に支障がない場合であっても,校務運営上の支障の有無等諸般の事情を勘案して自由裁量により承認を与えることができるものである。 
 以上のことから職務命令によって強制される研修もあるといえる。
 
【 法的根拠等 】
 ・地方公務員法  
(法令等及び上司の職務上の命令に従う義務)
第32条 職員はその職務を遂行するに当つて,法令,条例,地方公共団体の規則及び地方公共団体の機関の定める規定に従い,且つ,上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない。
(研修)第39条・・・前掲
 ・教育公務員特例法
(研修)第21条・・・前掲
 
【補 足】(昭四四・三・五 松江地裁判決)
  研修,出張は職務命令で,それぞれなされるものである。研修命令で職員の勤務の態様, 勤務場所に変更をきたし,またその将来の身分関係および地位に影響を及ぼすような内容 の命令を発することもできる。            (新学校管理読本p187)
 
 
解 答 A 校長は必ず承認しなければならないというものではない。
 
[前掲] 教特法第22条第2項の規定は,教員に研修権を付与したものではなく,この規定はむしろ授業に支障があるかぎりは,校長は研修を承認できないものとして校長の承認権を拘束しているものであり,仮に授業に支障がない場合であっても,校務運営上の支障の有無等諸般の事情を勘案して自由裁量により承認を与えることができるものである。
教特法第22条第2項の規定は,研修が教育公務員の職責遂行上,不断に行われる必要があることに照らして特に設けられている規定であり,現行の運用では,単に職務専念義務が免除されるのみでなく,給与条例上その間は勤務したのと同様に有給の取扱いとされている。したがって,この研修は教員が自主的に企画するものではあるが,職務研修に準ずる内容をもつことが要求されていると考えるべきであり,研修内容が不適当なものまで安易に承認を与えるべきではない。            
  以上のことから教特法第22条第2項は,教員の研修権を付与したものではなく,校 長の承認権を拘束しているものと解釈され,夏季休業中のように授業への支障がない時 期に職専免研修の申請があったからといって,必ず研修を承認しなければならないとい うものではないといえる。                        
 
【 法的根拠等 】
 ・[前掲] 教育公務員特例法 第22条(研修の機会)第2項 
 
【補 足昭五二・二・一〇 札幌高裁判決
  教特法第20条(現22条)第2項は,「本属長の承認」とは別に,「授業に支障のない限り」との要件をとくに規定していることに鑑みると,同法は公務の中でも教員の中核的職務たる授業についてはこれをまず優先せしむべく,授業に支障がある限りは研修参加の承認を許さないものとして本属長の承認権を拘束しているものと解される。しかしまた同法は,研修を本属長の承認にかからしめているのであり,本属長は当該学校運営全般にわたりこれを総括する責務を有し,個々の教員の勤務場所での職務内容も授業のみではなく,他の学年,学級との関連を考慮した教育課程の編成,これに基づく諸計画の立案,学級運営,課外での児童の生活指導,学校運営上の公務分担等に伴う各種業務があることはいうまでもなく,授業以外のこれら公務運営上の支障を無視して職務専念義務免除をなし得ないことも自ら明らかである。のみならず,校長は教員に対する服務監督権者として研修であるが故に職務専念義務を免除するものである以上,社会的に多義的評価を受ける研修行為については客観的にこれを相当とする事由があると認め得て初めてその承認をすべきものであり,右公務の支障をこえて更に行為の態様,場所等を勘案し,あるいは教育公務員としての身分に伴う参加の相当性等についても諸般の事情を配慮してその当否の判断をすることが必要であるというべきである。教特法第20条(現22条)第2項の承認は,この意味において本属長に研修の承認に伴う授業以外の諸影響を教員の服務監督者の立場において比較考量せしめるための裁量判断を付与しているものといわなければならない。 (新学校管理読本p188〜189)
 
 
解 答B校長に事前・事後に報告する義務がある。
 
勤務場所を離れて行う研修といえども研修である以上,職務専念義務が免除させた期間は当然研修に専念すべきものであり,自己の用務,休養等にあてるなど逸脱した行為は許されない。このため,校長が研修を承認するに当たっては,事前に「研修計画書」を,事後に「研修報告書」を教員に提出させて,教員が実際に研修を行っているかどうかを把握する必要がある。                     
  以上のことから報告義務があるといえる。
【 法的根拠等 】
 ・学校教育法第28条第3項  第51条高等学校準用規定 
校長は,校務をつかさどり,所属職員を監督する。
 ・[前掲] 教育公務員特例法第22条(研修の機会)第2項 
 
 
3 労働基本権総論・年次有給休暇

(1)地方公務員である教育公務員については,労働基本権が制約されているが,一般の   企業等の労働者と地方公務員の違い,一般の地方公務員と教育公務員の違いに留意して,日本国憲法・地方公務員法・公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法の関係条文を示しながら,簡略に説明しなさい。
 
【 解 答 】
 憲法第28条において「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は,これを保障する。」と規定されており,これは労働基本権(労働者の団結権,団体交渉権及び争議権)を保障したものであると解される。しかし,これが適合するのは民間の使用者と労働者の関係においてであり,公務員については,全体の奉仕者として公共の利益のために勤務するという特殊性を有し,法律及び条例によりその主要な勤務条件が定められていることなどから,基本権が一定の制限を受けることはやむを得ないと解されている。すなわち,公務員は,法律(地公法第37条第1項,同第55条第2項)により団結権は認められるが,団体交渉権と争議権は制限されている。その理由を端的に述べると次のようになる。
 ○ 公務員の地位の特殊性と職務の公共性
 ○ 勤務条件法定主義(勤務条件が法律や条例によって定められること)
 ○ 市場の抑制力の欠如(公務員の争議行為には市場原理が作用する余地がないこと)
 ○ 争議行為の制約に見合う代償措置がとられていること(人事委員会や公平委員会)
 また,地方公務員法第58条第1項においては「労働組合法,労働関係調整法及び最低賃金法並びにこれらに基づく命令の規定は,職員に関して適用しない」とされ,労働組合を結成し,団体協約の締結を含む団体交渉を行うことはできないが,地方公務員法第52〜56条により,職員団体の制度が認められている。
 労働基本権のすべてを保証されている労働組合法上の労働組合と,労働基本権を制限されている地方公務員法上の職員団体との本質的な差異はどこにあるかを整理してみると,次のようになる。

 

職 員 団 体

労 働 組 合






 

 争議権は否定されており,勤務条件は公務員の使用者としての住民の意思の発現たる議会による法令,条例で定められるために当局とは対等の位置にはない。実質的には勤務条件に関する意見,不満,希望等の申し出という性格である。

 争議権を裏付けとして使用者と実質的に対等。
(用務員や調理従業員などの単純労務職員は,特例が設けられ,職員団体のほか,労働組合を結成することができる。[地公労法])





 団体協約締結権がなく,職員の勤務条件に関する意見,不満等を民主的な手続きによって,正当に当局に伝える機関たる性格を有するにとどまる。

 使用者と団体協約を結び,それによって組合員たる労働者の勤務条件を規制できる。
 






 

 職員団体を結成するか否か,また,これに加入するかしないかは職員の自由とされており,いわゆるオープン・ショップ制を採用。

 

 ユニオン・ショップ協定あるいはクローズド・ショップ協定を使用者と締結することによって,その使用者に雇用される労働者を強制的に組合に加入させることが可能。 
 
                 (参考『第四次全訂 新学校管理読本』P687~688)
 公立学校の教職員は,都道府県教育委員会に任命されることにより,都道府県立学校の教職員は地方公共団体である都道府県の,また,都道府県費負担教職員である市町村立学校の教職員はその市町村の地方公務員としての地位を得て勤務に就くことになる。したがって,教育公務員は,一般の公務員同様,地方公務員法の適用内にある。
 義務教育諸学校の教員の給与や勤務時間などの勤務条件は法により都道府県の条例で定められことになっているが,一般の公務員に比較して必要な優遇措置を財政上計画的に実施することによって,教育職員がその情熱を安んじて教育に傾注することができるようにするとともに,優秀な教育職員の確保に資するために,「学校教育の水準維持向上のための義務教育諸学校の人材確保に関する特別法(人材確保法)」が制定された。この法律により「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法(給与特別措置法)」の中で,教育職員の勤務と勤務形態の特殊性に基づき,教員については,超過勤務手当制度を適用せず,勤務時間内外を問わず包括的に評価して本俸の4%相当の教職調整額を一律に支給するという制度が定められている。
 
【 法的根拠等 】
・日本国憲法第28条
  勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は,これを保障する。
・地方公務員法第14条(情勢適応の原則)
  地方公共団体は,この法律に基づいて定められた給与,勤務時間その他の勤務条件が社会 一般の情勢に適応するように,随時,適当な措置を講じなければならない。
・地方公務員法第24条(給与,勤務時間その他の勤務条件の根本基準)
  職員の給与は,その職務と責任に応ずるものでなければならない。
 2〜5 略
 6 職員の給与,勤務時間その他の勤務条件は,条例で定める。
・地方公務員法第37条(争議行為等の禁止)
  職員は,地方公共団体の機関が代表する使用者としての住民に対して同盟罷業,怠業その他の争議行為をし,又は地方公共団体の機関の活動能率を低下させる怠業的行為をしてはな らない。又,何人も,このような違法な行為を企て,又はその遂行を共謀し,そそのかし,若しくはあおってはならない。」
・地方公務員法第52条(職員団体)
  この法律において「職員団体」とは,職員がその勤務条件の維持改善を図ることを目的として組織する団体又はその連合体をいう。
 2 略
 3 職員は,職員団体を結成し,若しくは結成せず,又はこれに加入し,若しくは加入しないことができる。(以下略)
 
・地方公務員法第55条(交渉)
  地方公共団体の当局は,登録を受けた職員団体から,職員の給与,勤務時間その他の勤務条件に関し,及びこれに附帯して,社交的又は厚生的活動を含む適法な活動に係る事項に関 し,適法な交渉の申入れがあった場合においては,その申入れに応ずべき立場に立つものとする。
 2 職員団体が交渉することのできる地方公共団体の当局との交渉は,団体協約を締結する権利を含まないものとする。
 3 地方公共団体の事務の管理及び運営に関する事項は,交渉の対象とすることができない。
 4 職員団体が交渉することのできる地方公共団体の当局は,交渉事項について適法に管理し,又は決定することできる地方公共団体の当局とする。
 5〜8 略
 9 職員団体は,法令,条例,地方公共団体の規則及び地方公共団体の期間の定める規定にてい触しない限りにおいて,当該地方公共団体の当局と書面による協定を結ぶことができ  る。 
・地方公務員法第56条(不利益取扱の禁止)
  職員は,職員団体の構成員であること,職員団体を結成しようとしたこと,若しくはこれ に加入しようとしたこと又は職員団体のために正当な行為をしたことの故をもって不利益な 取扱を受けることはない。
・地方公務員法第57条(特例)
  職員のうち,公立学校の教職員,単純な労務に雇用される者その他その職務と責任の特殊性に基づいてこの法律に対する特例を必要とするものについては,別に法律で定める。但し, その特例は,第一条の精神に反するものであってはならない。
・地方公務員法第58条(他の法律の適応外)
  労働組合法,労働関係調整法及び最低賃金法並びにこれらに基く法令の規定は,職員に対して適用しない。
・地方公務員法第61条(罰則)
  左の各号の一に該当する者は,三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
 1〜3 略
 4 何人たるを問わず,第三十七条第一項前段に規定する違法な行為の遂行を共謀し,そそのかし,若しくはあおり,又はこれらの行為を企てた者
・教育公務員特例法第13条(校長及び教員の給与)
  公立の小学校等の校長及び教員の給与は,これらの者の職務と責任の特殊性に基づき条例で定めるものとする。
・地方教育行政の組織及び運営に関する法律第42条(県費負担教職員の給与,勤務時間その他の勤務条件)
  県費負担教職員の給与,勤務時間その他の勤務条件については,地方公務員法第24条第6項の規定により条例で定めるものとされている事項は,都道府県条例で定める。
・労働組合法第2条(労働組合)
  この法律で「労働組合」とは,労働者が主体となって自主的に労働条件の維持改善その他 経済的地位の向上を図ることを主たる目的として組織する団体又はその連合団体をいう。
 (以下略)
 
・労働組合法第6条(交渉権限)
  労働組合の代表者又は労働組合の委任を受けた者は,労働組合又は組合員のために使用者又はその団体と労働協約の締結その他の事項に関して交渉する権限を有する。
 
・労働組合法第7条(不当労働行為)
  使用者は,次の各号に掲げる行為をしてはならない。
 1 略
2 使用者が雇用する労働者の代表者と団体交渉をすることを正当な理由がなくて拒むこと。(以下略)
・労働組合法第8条(損害賠償)
  使用者は,同盟罷業その他の争議行為であって正当なものによって損害を受けたことの故をもって,労働組合又はその組合員に対し賠償を請求することができない。
・労働組合法第14条(労働協約の効力の発生)
  労働組合と使用者又はその団体との間の労働条件その他に関する労働協約は,書面に作成 し,両当事者が署名し,又は記名押印することによってその効力を生ずる。
・学校教育の水準維持向上のための義務教育諸学校の人材確保に関する特別措置法第1条(目的)
  この法律は,学校教育が次代をになう青少年の人間形成の基本をなすものであることにかんがみ,義務教育諸学校の教職員の給与について特別の措置を定めることにより,すぐれた人材を確保し,もって学校教育の水準の維持向上に資することを目的とする。
・学校教育の水準維持向上のための義務教育諸学校の人材確保に関する特別措置法第3条(優遇措置)
  義務教育諸学校の教職員の給与については,一般の公務員の給与水準に比較して必要な優遇措置が講じられなければならない。
・公立の義務教育諸学校の教職員の給与に関する特別措置法第1条(趣旨)
  この法律は,公立の義務教育諸学校の教職員の職務と勤務形態の特殊性に基づき,その給与その他の勤務条件について特例を定めるものとする。
・公立の義務教育諸学校の教職員の給与に関する特別措置法第3条(教職員の教職調整額の支給等)
  教育職員(校長及び教頭を除く)には,その者の給料月額の百分の四に相当する額を基準として,条例で定めるところにより,教職調整額を支給しなければならない。
 2 教育職員については,時間外勤務手当及び休日勤務手当は,支給しない。
 
【補 足】
  地公法第37条第一項の規定について,「禁止されるべき争議行為の種類や様態,また処 罰の対象とされるべきあおり行為等の様態や範囲についても,自ずから合理的な限界がある」 とする限定解釈が必要であると判断されていた時期もあったが,最高裁の判例において,公務員の地位の特殊性と職務の公共性,公務員の勤務条件決定方式,代償措置の三点を争議行為の禁止理由としてあげて,国家公務員,地方公務員について,公務員の争議権の禁止規定を限定解釈なしに全面的に合憲とする判断がなされた。
        (最高裁 昭和48年4月25日大法廷判決「全農林警職法事件」)
        (最高裁 昭和51年5月21日大法廷判決「岩教組事件」)
 
 

(2)年次有給休暇(年休)の法的性格について,校長による休暇取得の「承認」手続きの 法律上の意味合いや,年休の取得目的と時季変更権の行使に留意しながら,説明しなさい。
 
【 解 答 】
 年次有給休暇とは,労働基準法に基づいて,労働者がその目的を問われることなく使用者から年間の一定日数与えられる有給休暇のことである。国家公務員については,「年次休暇」の付与日数などが「一般職の職員の勤務時間,休暇等に関する法律」で定められるが,公立学校教員など地方公務員については,労働基準法の規定を下回らない範囲で各地方公共団体の条例で定められる。
 公立学校の教職員の年次有給休暇は,教職員の心身の疲労を回復させ労働力の維持培養を図るため,週休日以外に年間一定日数の休みを事由に限らず原則として教職員の請求する時季に与え,かつ,その実行を期するために有給とする休暇である。
 労基法第39条第1項及び第2項の規定は,半年又は1年ごとの継続勤務と全労働日のうち8割以上の出勤を要件として,継続勤務年数に応じて最低10日(6箇月間継続勤務した者)から最高20日(10年6箇月以上継続勤務した者)までの有給休暇の付与義務を定めており,法定休暇といわれている。
 昭和48年3月2日の最高裁判決(白石営林署事件)によれば,年次有給休暇は,労働者がその有する休暇日数の範囲内で,具体的に休暇の始期と終期を特定して時季指定したときは,客観的に「事業の正常な運営を妨げる」ことが認められ,かつこれを理由にして時期変更権を行使しない限り成立するものとされている。
 要するに,労働者が年休の時季を指定したときは,客観的に事業に支障がある場合のみ,使用者(校長)はその時季を変更させることができるが,使用者(校長)が時期変更権を行使しない限り,年休は勤労者の指定により有効に成立するというのである。
 年次有給休暇の法的性格についてはいくつかの解釈がある。労働者が一方的に休暇を取る旨を事前に通告すれば使用者の許可を必要とせずに休暇が成立するという「形成権説」
 また,労働者の申し出に対して使用者が承認することによって休暇が成立すると考える「請求権説」,そして使用者の時季変更権の行使がなければ労働者の指定した休暇が成立すると見なす「時季指定権説」である。昭和48年3月2日の最高裁判決によれば,年次有給休暇は,労働者がその有する休暇日数の範囲内で,具体的に休暇の始期と終期を特定して時季指定したときは,客観的に「事業の正常な運営を妨げる」ことが認められ,かつこれを理由にして時期変更権を行使しない限り成立するものとされている。前述の最高裁判決に見られるように,現在もっとも有力な説であると考えられている。
 現在,ほとんどの地方公共団体においては,職員が年休を取ろうとする場合には,一定の様式の書類に所用の事項を記入の上,所属長にその書類を提出することで請求し,それによって所属長が承認または不承認といった手続きをとっている。原則として,年休は職員の請求する時季に与えなければならず,請求されて時季に与えることが公務の正常な運営を妨げる場合は,他の時季への変更ができる旨を定めている。
 学校において年休の承認に当たっては,次のような要件を考慮すべきである。
 ○ 学校の規模,当該教職員が学校においてしめる職務上の地位,その担当する職務の内容,休暇時期における校務の繁閑,代替要員確保の難易等
 ○ 争議行為の手段として,学校における正常な運営を阻害するために請求した場合には,年休関係が成立しないこと
 ○ 休暇を与える日は,週休日や休職期間中などのように職員の職務専念義務が存在しない状態と重複しないこと
 なお,年休をどのように利用するかは,管理者の干渉を許さない職員の自由であり,請求の際,その利用目的を明示することは強制できないが,使用者が利用目的を聞くことまで禁止されているわけではない。例えば,年休の請求が重なり,その請求をすべて承認すれば校務の運営に支障をきたすような場合や,違法行為参加等の事情がうかがわれる場合には,その利用目的を聞くことは許されると考えられる。
 
【 法的根拠等 】
・労働基準法第1条(労働条件の原則)
  労働条件は,労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなけらばならない。
 2 この法律で定める労働条件に基準は最低のものであるから,労働関係の当事者は,この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより,その向上を図るよう  に努めなければならない。
・労働基準法第2条(労働条件の決定)
  労働条件は,労働者と使用者が,対等の立場において決定すべきものである
・労働基準法第39条(年次有給休暇)
  使用者は,その雇入れの日から起算して6箇月間継続し全労働日の8割以上出勤した労働者に対して,継続し,又は10労働日の有給休暇を与えなければならない。
 2〜3 略
 4 使用者は,前3項の規定による有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。ただし,請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合に  おいては,他の時季にこれを与えることができる。
・地方公務員法第24条(給与,勤務時間その他の勤務条件の根本基準)
 1〜5 略
 6 職員の給与,勤務時間その他の勤務条件は,条例で定める。
・職員の勤務時間,休暇等に関する条例第12条(年次有給休暇)
  年次有給休暇は,一の年ごとにおける休暇とし,その日数は,一の年において,次の各号に掲げる職員の区分に応じて,当該各号に掲げる日数とする。
  一 次号及び第3号に掲げる職員以外の職員 20日
  二 次号に掲げる職員以外の職員であって,当該年の中途において新たに職員となるもの人事委員会規則で定める日数
 (以下略)
 2 年次有給休暇は,人事委員会規則で定める日数を限度として,当該年の翌年に繰り越すことができる。
 3 任命権者は,年次有給休暇を職員の請求する時季に与えなければならない。ただし,請求された時季に年次有給休暇を与えることが公務の正常な運営を妨げる場合においては, 他の時季にこれを与えることができる。
・職員の勤務時間,休暇等に関する規則第9条(年次有給休暇の日数)
  条例第12条第1項第2号の人事委員会規則で定める日数は,次の各号に掲げる職員の区分に応じ,当該各号の掲げる日数とする。
  (1) 当該年の中途において,新たに職員となるもの 20日
  以下略
・職員の勤務時間,休暇等に関する規則第10条(年次有給休暇の繰越し)
  条例第12条第2項の人事委員会で定める日数は,一の年における年次有給休暇の20日を超えない範囲内の残日数(1日未満の端数があるときはこれを切り捨てた日数)とする。
・職員の勤務時間,休暇等に関する規則第11条(年次有給休暇の単位)
  年次有給休暇の単位は,一日又は半日若しくは一時間(再任用短時間勤務職員及び任期付短期時間勤務職員にあっては一日又は一時間)とする。
・職員の勤務時間,休暇等に関する規則第18条(年次有給休暇の届出)
  職員は,年次有給休暇を請求しようとするときは,あらかじめ任命権者に届け出なければならない。
・福島県立学校の管理運営に関する規則第23条(休暇等の手続)
  校長及び職員は,年次有給休暇を受けようとするときは,年次有給休暇届により,あらか じめ,校長は教育長に,職員は校長に届け出なければならない。この場合において,教育長又は校長は,その年次有給休暇の時季を変更するときは,年次有給休暇時季変更通知書により,その旨を校長又は職員に通知しなければならない。
・福島県市町村立学校職員の給与等に関する条例第10条(勤務時間,休日及び休暇)
  勤務時間,休日及び休暇については,県立学校職員の例によるものとする。
 
【補 足】
  年次有給休暇をどのような目的で利用するかは労働者の自由であり,年次有給休暇を承認するかどうか(時季変更権を行使するかどうか)判断するに当たって,その利用目的を考慮することはできない。このことは,最高裁判決(昭和48年3月2日「白石営林署事件」) において「年次有給休暇の利用目的は労働基準法の関知しないところであり,休暇をどのように利用するかは,使用者の干渉を許さない労働者の自由であるとするのが法の趣旨である」 と述べられている。
  また,最高裁判決(昭和62年7月10日「弘前電報電話局職員戒告事件」)においても, 「年次有給休暇の利用目的は労基法の関知しないところであるから,勤務割を変更して代替勤務者を配置することが可能な状況にあるにもかかわらず,休暇の利用目的のいかんによってそのための配慮もせずに時季変更権を行使することは,利用目的を考慮して年次休暇を与 えないに等しく,許されないものである」として,成田闘争に参加する目的で年次有給休暇 の時季指定を行った職員に対する時季変更権の行使は無効であると判示されている。
 
 
 
 
 
4 勤務時間の割り振り

1) あなたの学校の勤務時間はどのように割り振られているか,紹介してください。
 
【 解 答 】
 栃木県足利市立A小学校の場合
 8:20    9:35~40 10:25~45  11:30~35    13:30~55  14:55~15:00  16:30~45 17:05
     

 



 
休息

 



 



 



 
休息

 



 



 



 



 



 



 



 
   
 
 
 
  栃木県足利市立B中学校の場合
 8:15        10:40~50  11:45~50    13:50~14:35  15:35~40 16:25~35 17:00
  


 



 
休息

 



 
休息

 



 



 



 



 



 



 



 
   
 
                      
【 法的根拠等 】
労働基準法(労働時間)
第三十二条  使用者は,労働者に,休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて,労働させてはならない。
2  使用者は,一週間の各日については,労働者に,休憩時間を除き一日について八時間を超えて,労働させてはならない。
地公法(給与,勤務時間その他の勤務条件の根本基準)
第二十四条  職員の給与は,その職務と責任に応ずるものでなければならない。
6  職員の給与,勤務時間その他の勤務条件は,条例で定める。
地公行法(県費負担教職員の給与,勤務時間その他の勤務条件)
第四十二条 県費負担教職員の給与,勤務時間その他の勤務条件については,地方公務員法第二十四条第六項の規定により条例で定めるものとされている事項は,都道府県の条例で定める。
栃木県の場合
学校職員の勤務時間その他の勤務条件に関する条例
平成七年三月十七日 栃木県条例第五号
(一週間の勤務時間)
第二条 職員の勤務時間は,休憩時間を除き,四週間を超えない期間につき一週間当たり四十時間とする。
(週休日及び勤務時間の割振り)
第三条
2 任命権者は,月曜日から金曜日までの五日間において,一日につき八時間の勤務時間を割り振るものとする。
(休憩時間)
第六条 任命権者は,一日の勤務時間が,六時間を超える場合においては少なくとも四十五分,八時間を超える場合においては少なくとも一時間の休憩時間を,それぞれ勤務時間の途中に置かなけれ ばならない。
2 前項の休憩時間は,教育委員会規則の定めるところにより,交替で与えることができる。
(平一一条例八・一部改正)
(休息時間)
第七条 任命権者は,第二条から第五条までの規定による勤務時間(以下「正規の勤務時間」という。) のうちに,教育委員会規則の定めるところにより,休息時間を置くものとする。
学校職員の勤務時間その他の勤務条件に関する規則
平成七年三月三十一日 栃木県教育委員会規則第三号
(休息時間)
第五条 条例第七条の休息時間は,四時間の正規の勤務時間(同条に規定する正規の勤務時間をいう。 以下同じ。)ごとに十五分の割で置くものとする。
 

2)公立学校の教職員には,一部の規定を除いて労働基準法が適用されます(地方公務員法58第3項)が,次の事項について,労働基準法にはどのように規定されていますか。
  また,あなたの地方公共団体では,これらに関して,条例,規則等の法令上,どのように定られていますか。
  @ 一日当たりの勤務時間数
 A 週当たりの勤務時間数
 B 休憩時間
 
【 解 答 】
 @ 8時間                                     
 A 40時間                                    
 B 勤務時間が6時間を超える場合は(少なくとも)45分,勤務時間が8時間を超える場合は(少なくとも)1時間,いずれも,勤務時間の途中に置く。              
【 法的根拠等 】
 @ 一日当たりの勤務時間数
 労働基準法 (労働時間)
 第三十二条
 2 使用者は,一週間の各日については,労働者に,休憩時間を除き一日について八時間を超えて,労働させてはならない。
 栃木県の場合
 学校職員の勤務時間その他の勤務条件に関する条例 (週休日及び勤務時間の割振り)
 第三条
 2 任命権者は,月曜日から金曜日までの五日間において,一日につき八時間の勤務時間を割り振るものとする。
 
 A 週当たりの勤務時間数
 労働基準法(労働時間)
 第三十二条  使用者は,労働者に,休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて,労働させてはならない。
 栃木県の場合 (一週間の勤務時間)
 第二条 職員の勤務時間は,休憩時間を除き,四週間を超えない期間につき一週間当たり四十時間とする。
 
B 休憩時間
 労働基準法(休憩)
 第三十四条  使用者は,労働時間が六時間を超える場合においては少くとも四十五分,八時間を超える場合においては少くとも一時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。
 2  前項の休憩時間は,一斉に与えなければならない。
 3  使用者は,第一項の休憩時間を自由に利用させなければならない。
 栃木県の場合 (休憩時間)
 第六条 任命権者は,一日の勤務時間が,六時間を超える場合においては少なくとも四十五分,八時間を超える場合においては少なくとも一時間の休憩時間を,それぞれ勤務時間の途中に置かなければならない。
 2 前項の休憩時間は,教育委員会規則の定めるところにより,交替で与えることができる。

(3)地方公共団体では,通常,休憩時間のほかに休息時間が設けられています。休息時間と休憩時間は,どのような点において相違しているか,説明してください。
 また,国家公務員については,平成18年7月1日から休息時間がなくなりましたが,あなたの地域ではどのような取り扱いになっていますか。

 
【 解 答 】
1 休憩・休息時間の相違について(P.140〜)
  どちらもある程度の労働時間を継続した場合に蓄積された労働者の心身の疲労の回復をは
 かり,勤務能率の増進,不注意による災害の予防を図るものである。










 

○休憩時間:(労働基準法34条に規定)正規の勤務時間に含まれず給与支給の対象にならない。
・時間数  1日の勤務時間が6時間を超える場合には,少なくとも 45分、8時間を超える場合には,少なくとも 1時間
 ・与え方  @労働時間の途中 A原則として一斉に与えなければならない。
        B自由に利用させなければならない。
○休息時間:(勤務時間条例準則6)休息時間は,条例・規則によって定められる。勤
   務時間に含まれ給与支給の対象となる。
  ・時間数 おおむね4時間の連続する正規の勤務時間ごとに,15分の休息を置く。
 
2 本県における休息時間について
群馬県では,午前8時半から午後5時15分の勤務時間中,午後0時15分からの45分の休憩時間と,午後0時と午後3時から15分の休息時間(計30分)がある。
  平成19年4月1日からは,休憩時間を15分延長し1時間とし,それにより閉庁時間は1
 5分延び午後5時30分とする予定である。








 

現 在】 勤務時間 8時30分〜12時15分,13時〜17時15分
        休憩時間 12時15分〜13時 
        休息時間 12時〜12時15分,15時〜15時15分
【改正後】 勤務時間 8時30分〜12時,13時〜17時30分
        休憩時間 12時〜13時 
        休息時間 廃止
       ※学校については,従来どおり休憩時間を45分とする予定。
 
(参考)
 「職員の勤務時間,休日及び休暇の運用について(H18.4.25)」人事院規則の改正
「同」一部改正等について(総務省通知H18.4.28),「同」一部改正等について(文科省通知H18.6.2)
 

(4)休憩時間又は休息時間を一日の勤務時間の最初又は最後に置くことができるか,法
  律,条例,規則等の法令上の根拠を示しながら説明してください。

 
【 解 答 】
 労働基準法34条に,「休憩時間は,労働時間の途中に,一斉に与えなければならない」と定め,また県条例(県学校職員の勤務時間,休暇等に関する条例第7条)においても「勤務時間の途中に置かなければならない」と定められている。途中に与えるとは,勤務時間と勤務時間の間にさしはさんで与えるという意味から,休憩時間を一日の勤務時間の最初又は最後に置くことは許されないと言える。(P.142)
また,「職員の勤務時間,休日及び休暇の運用について」の一部改正等について(文科省通知H18.6.2)においては,「勤務時間の開始時刻や終了時刻の至近に休憩時間を置き実質的に勤務時間の短縮を図るような運用についても,勤務時間の途中に休憩を与え職員の勤務能率の増進や不注意による災害防止の予防等に資するという休憩時間の趣旨を没却するものであり許されないものであること」と通知されている。
 休息時間については,条例,規則に定めなければ,勤務時間の最初,最後に置くことができる。群馬県では,条例(同8条)で「教育委員会規則で定める基準により休息時間を置くものとする」とし,さらに教育委員会規則第5条で,「4時間の連続する正規の勤務時間ごとに,少なくとも15分の休息時間を途中に置かなければならない。」と定めているので,一日の勤務時間の最初又は最後に置くことはできない。
  休憩 休息
労働基準

法34条
○休憩時間は,労働時間の途中に,一斉に与えなければならない

 
群馬県条例    
(県学校職員の勤務時間,休暇等に関する条例)

 
○勤務時間の途中に置かなければならない
(第7条第1項)
一斉与えないことができる。(第7条第2項)
○人事委員会規則で定める基準により休息時間を置くものとする(第8条)

 
群馬県教育委員会規則(県学校職員の勤務時間,休暇等に関する規則)

 
○教育委員会は,休憩時間を一斉に与えなければならない。ただし,職務の都合上やむを得ない場合は,分割して与えることができる。(第4条1項) 4時間の連続する正規の勤務時間ごとに,少なくとも15分の休息時間を途中に置かなければならない。
(第4条2項)
 

(5)ある学校においては,正午頃に休憩・休息時間が置かれていても,給食指導や外部からの電話への対応等のために,休憩・休息を十分に取ることができない,との声が寄せられています。
 あなたの学校においては,休憩・休息時間の取得のために何か工夫が行われているか,紹介して下さい。また,法令上,どのような工夫が可能か説明してください。

 
【 解 答 】
1 学校の工夫について(P.143)
 給食指導時間を食事時間として,休憩時間に含ませることは,給食指導が教育課程にとりいれているなどの実態から判断し難しいので,下記の学校のように交代制を採用し,担任と副担任で別々に休憩をとっている。
 
 A小学校・・・担任の休憩時間を,20分と25分に分割して置く。
       担任と副担任の休憩,休息時間が重ならないように置く。
担 任  8:15  10:30〜10:50     13:15 〜13:30〜13:55    16:00〜16:15  17:00
          休憩20分        休息15分 休憩25分    休息15
 
担任外  8:15  10:30〜10:45  12:30 〜13:15        15:45 〜16:00     17:00
          休息15分   休憩45分           休息15分   
 
 
 
2 休憩・休息時間の工夫について(P.143) 
労働基準法では,少なくとも45分の休憩時間を与えなくてはならないと定めている。休憩時間の全体が,45分を下ることができないという意味であり,分割して与えることまで禁止したものではないと解される。地方教育行政の組織及び運営に関する法律第42条により,その勤務時間その他の勤務条件については,都道府県の条例によることとされており,公立学校に勤務する教職員の休憩時間については,昼休み中においても児童生徒の安全管理,生徒指導等が必要である教職員の特殊性をかんがみ,一般の公務員とは異なる取り扱いができる。
 
○工夫例
・ 休憩・休息時間を児童生徒が帰宅した放課後に配置する。
・ 教職員の休憩・休息時間の設定を変えて交替で休憩をとる。
・ 休憩時間を分割して配置する。(2分割か3分割程度)
※ 休憩時間は,一斉が原則であるが,学校という特殊性により,一斉に与えないことができる。ただし,児童生徒への指導及び外部との対応や,安全等が確保できる体制をとりつつ,休憩をとれる時間設定を行う。
 
 
5 時間外勤務

(1)次の場合に,教員に時間外勤務を命ずることができるか,説明してください
 
  時間外勤務に係る法令等は次のとおりである。
 ○労基法 第33条(災害等による臨時の必要がある場合の時間外労働等)
   災害その他避けることのできない事由によって,臨時の必要がある場合においては,〜労働時間を延長し,又は休日に労働させることができる。
 ○地公法 第24条(給与,勤務時間その他の勤務条件の根本基準)第6項
   職員の給与,勤務時間その他の勤務条件は,条例で定める。
 ○地教行法 第42条(県費負担教職員の給与,勤務時間その他の勤務条件)
   県費負担教職員の給与,勤務時間その他の勤務条件については,地方公務員法第24条第6項の規定により条例で定めるものとされている事項は,都道府県の条例で定める。
 ○給特法 第3条(教育職員の教育調整額の支給等)及び同条第2項
   教育職員には,その者の給料月額の100分の4に相当する額を基準として,条例で定めるところにより,教職調整額を支給しなければならない。
   教育職員については,時間外勤務手当及び休日勤務手当は,支給しない。
   第6条第1項…〜正規の勤務時間を超えて勤務させる場合は,政令で定める基準に従い条例で定める場合に限るものとする。また,同条第2項では,〜教員の健康と福祉を害することのないよう勤務の実情について十分な配慮がなされなければならない。
 ○公立の義務教育諸学校等の教育職員を正規の勤務時間を超えて勤務させる場合等の基準を定める政令
   この基準に従い,以下の条例で勤務時間や時間外勤務について定めている。
 ○学校職員の勤務時間,休暇等に関する条例(埼玉県・さいたま市)第3条・第4条
 ○義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置に関する条例(埼玉県)第7条
   義務教育諸学校等の教育職員については,正規の勤務時間の割振りを適正に行い,原則として時間外勤務は命じないものとする。
 ○同条第2項(歯止め4項目)
   義務教育諸学校等の教育職員に対し時間外勤務を命ずる場合は,次に掲げる業務に従事する場合であって臨時又は緊急のやむを得ない必要があるときに限るものとする。
    1 校外実習その他生徒の実習に関する業務
    2 修学旅行その他学校の行事に関する業務
    3 職員会議に関する業務
    4 非常災害の場合,児童生徒の指導に関し緊急の措置を必要とする場合その他やむを得ない場合に必要な業務
 



 

@ 勤務時間終了後に,生徒が警察に補導されたとの連絡があったため,急遽警察にいく場合
 
【 解 答 】
  ■時間外勤務を命ずることができる。
※ 設問の「勤務時間終了後に,生徒が警察に補導されたとの連絡があったため,急遽警察にいく場合」は,上記歯止め4項目の4の「非常災害の場合,児童生徒の指導に関し緊急の措置を必要とする場合その他やむを得ない場合に必要な業務」に当たり,時間外勤務を命ずることができる。その時間外の勤務に対し,勤務時間の割振り変更必要ない。なお,緊急の補導業務は勤務した時間によって,教員特殊業務手当が支給される。また,教員の健康と福祉を害することのないよう勤務の実情について十分配慮する必要がある。
 


 

A 日曜日に,対外運動競技のため生徒を引率する場合
 
【 解 答 】
  ■時間外勤務を命ずることができない。
  ■根拠
  ・給特条例第7条の「臨時又は緊急のやむを得ない必要があるときに限る」ものには該当しない。
 ※ 週休日は勤務時間を割り振らない日であり,勤務を要しない日である。しかし,場合によっては勤務を命ずる場合もある。「日曜日に,対外運動競技のため生徒を引率する場合」であるが,生徒にとって参加することが望ましいと校長が判断したときは出張としてその参加を認めることができる。従って,週休日の振替が必要となる。
 ○週休日の振替…勤務時間条例 第6条,同規則 第4条第1項
   「勤務することを命ずる必要がある日を起算日とする4週間前の日から当該勤務することを命ずる必要がある日を起算日とする16週間後の日までの期間」に週休日の振替措置を行わなければならない。なお,「勤務時間規則の運用について」によると,「原則として,勤務を命ずる必要がある日と週休日に変更される勤務日が同一週内にある場合に行うこと」とある。
   しかし,振替日の措置をとらせることが学校運営上支障をきたすと校長が考える場合は,事前に職員と話し合いの上,特殊業務出張扱いとし,週休日の振替措置ではなく「教員特殊業務手当」の支給によって措置することができる。
 ○教員特殊業務手当…学校職員の特殊勤務手当に関する条例 第2条,第7条第3号
   「埼玉県教育委員会が定める対外運動競技等において児童又は生徒を引率して行う指導業務で泊を伴うもの又は学校職員の勤務時間,休暇等に関する条例第4条,第1項〜の規定に基づく週休日〜学校職員の休日若しくはこれらに相当する日に行うもの」に従事した場合,1日につき1,700円が支給される。(同規則第6条第3号)
   従って,週休日の振替で措置するのか,又は特殊業務手当で措置するのかについて,学校の管理・運営上からも考慮する必要がある。
 


 

B 日曜日に,入学試験における受験生の監督や採点・合否判定を行う場合
 
【 解 答 】
  ■時間外勤務を命ずることができない。(ただし,合否判定会議については命ずることが   できる)
  ■根拠
  ・入学試験は,あらかじめ予定されていることなので,給特条例第7条の「臨時又は緊急のやむを得ない必要があるときに限る」ものには該当しないが,第7条の運用において,入学試験の選抜会議は時間外勤務を命ずることができる範囲に含まれるものとしてあげられている。よって,合否判定会議については,即日行うことが必要である場合に時間外勤務を命ずることができる。
※ 週休日の振替で措置するのが望ましい。
 ○週休日の振替…勤務時間条例 第6条,同規則 第4条第1項
   「勤務することを命ずる必要がある日を起算日とする4週間前の日から当該勤務することを命ずる必要がある日を起算日とする16週間後の日までの期間」に週休日の振替措置を行わなければならない。なお,「勤務時間規則の運用について」によると,「原則として,勤務を命ずる必要がある日と週休日に変更される勤務日が同一週内にある場合に行うこと」とある。
 ○教員特殊業務手当…学校職員の特殊勤務手当に関する条例 第2条,第7条第5号
「中学校若しくは高等学校の入学者又は幼稚園の入園者の選抜に関する業務で週休日等に行うもの」に従事した場合,1日につき900円が支給される。(同規則第6条第5号)
 


 

C 運動会の終了後,勤務時間終了後までテントの後始末等が残ってしまった場合
 
【 解 答 】
  ■時間外勤務を命ずることができる。
  ■根拠
  ・ 学校の行事に関する業務に該当する。条例第7条の運用について,埼玉県(さいたま市)のように,「学芸的行事,体育的行事については,停電,機器の故障及び天候の急変等,当初の計画になかった突発的事情によるものに限るものとする。」としている自治体もある。この場合も,事例の場合で,突発的な事情で運動会がずれ込み,終了時刻が延びてしまった場合は命ずることができる。
 


 

D 勤務時間終了後,職員会議の終了に引き続いて学年会議を行う場合
 
【 解 答 】
  ■時間外勤務を命ずることができない。
  ■根拠
  ・給特条例第7条の「臨時又は緊急のやむを得ない必要があるときに限る」ものには該当しない。職務命令でなく,学年などが任意に勤務時間を延長して行う場合でも,教育調整額で手当てされている。
 
 

(2)「長時間の時間外勤務の後には,回復措置として,長時間勤務に相当する時間分,勤  務時間の短縮を認めるべきである」との見解について,どのように考えますか,説明し  てください
 
【 解 答 】
 ■ 設問の見解については,充分な措置がされているため,回復措置は必要ない。
法令的には,教員の時間外勤務の回復措置としての調整は,地方公務員法に違反するという横浜地裁の判決(平成6年8月30日)がある。
 ■ 教育の特質上,教員については自発性,創造性に基づく勤務が期待される面が多く,正規の勤務時間及び超過勤務命令による定量的な勤務の把握にはなじまないことから,超過勤務手当制度にかわり,給料月額の100分の4に相当する額の教職調整額制度が適用されている。
 ■ 教育職員に対しては,「正規の勤務時間の割振りを適正に行い,原則として時間外勤務は命じないものとする。」ことから,学校運営上必要な業務であって,やむを得ない事情で勤務を命ずる場合は,学校職員の勤務時間,休暇等に関する条例等を適正に運用し,次のような措置を講ずるなど,適切に勤務時間の割振りを行うことが望ましい。
(1)週休日に勤務を命ずる場合には,あらかじめ振替を行う。
(2)1日8時間を超えて勤務を命ずる場合には,その勤務を命じた時間について勤務を命ずる日を含む週又は翌週等において調整する。特に,同一週における振替が行われるよう努める。
   このように,長時間勤務に相当する時間分の勤務時間の短縮を認めるというのではなく,勤務時間の割振り変更による振替対応すればよい。
■ やむを得ず時間外勤務を命ずるわけであるから,教育職員の健康と福祉を害することとならないようにするためにも,長時間にならないよう事前にその内容,開始時刻,終了時刻及び休憩時間を明確にして命令し,また事後確認もきちんと行う必要がある。
   労基法第34条の規定では,労働時間が6時間を超える場合においては少なくとも45分,8時間を超える場合においては少なくとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならないとされている。したがって,正規の勤務時間と合わせて8時間を超える勤務を命ずる場合は,必ずこの規定を満たす休憩時間を与える。
 
 
6 休 日

(1)労働基準法上の「休日」と,地方公務員法や各都道府県条例など公務員法政上の「週休日」及び「休日」との違いについて,教育公務員が祝日や年末年始に勤務することを要しない法令根拠に留意しながら,説明して下さい。
 
【 解 答 】
 ○ 労働基準法上の「休日」は,毎週少なくとも1日以上与えられる。
 ○ 一般職の職員の勤務時間,休暇等に関する法律により,週休日は,日曜日及び土曜日を原則とする。
 ○ 休日には,これ以外に条例上の「休日」として,国民の祝日及び年末年始の休日が加わる。 「国民の祝日に関する法律」に定める祝日は,休日とされているが,これは,この法律に定められている結果ではなく,公務員については,各地方公共団体の条例や規則で,国民の祝日を休日とする旨定めることにより初めて休日となるわけである。
   この休日は,勤務を要しない日とは異なり,本来正規の勤務時間が割り振られているけれども,特に勤務が命じられない限り勤務しなくてもよいという,いわば特典の休日である。 したがって,労働基準法上の休日と区別する意味でこの休日を,条例上の休日といっている。
【 法的根拠等 】                                 
 ○〔一般職の職員の勤務時間,休暇等に関する法律〕
  ・第6条 日曜日及び土曜日は,週休日とする。
  ・第14条 職員は,国民の祝日に関する法律(昭和23年法律第178号)に規定する休日(以下「祝日法による休日」という。)には,特に勤務することを命ぜられる者を除き,正規の勤務時間においても勤務することを要しない。12月29日から翌年の1月3日までの日(祝日法による休日を除く。以下「年末年始の休日」という。)についても,同様とする。
 ○〔地方公務員法〕 第24条第6項
   職員の給与,勤務時間その他の勤務条件は,条例で定める。
 ○〔地方教育行政の組織及び運営に関する法律〕 第42条
   県費負担教職員の給与,勤務時間その他の勤務条件については,地方公務員法第24条第6項の規定により条例で定めるものとされている事項は,都道府県の条例で定める。
 ○〔国民の祝日に関する法律〕
   第3条  「国民の祝日」は休日とする。           
2  「国民の祝日」が日曜日にあたるときは,その翌日を休日とする。
 

(2)以下のような取り扱いが可能かどうか,法的根拠を示して説明してください。
  ○ 祝日に運動会を行うこととし,翌日の平日を休日としたい場合

 
【 解 答 】
 祝日は勤務時間を割り当てられている日なので,休日代休制度により可能である。     
  ◎休日代休制度
    国家公務員については,勤務時間法において,新たに休日代休制度が導入されており(平成6年9月より),地方公務員についても,同様の制度を設けている地方公共団体が大部分となっている。
   休日代休制度は,職員が休日である勤務日等に割り振られた勤務時間の全部について特に勤務することを命じられ,割り振られた勤務時間について勤務した場合に,あらかじめ指定  された代休日に当該職員の職務専念義務を免除する効力を発生させるものである。
【 法的根拠等 】
 ○〔一般職の職員の勤務時間,休暇等に関する法律〕
 第15条 (休日の代休日)     
 各省各庁の長は,職員に祝日法による休日又は年末年始の休日(以下この項においては「休日」と総称する。)である勤務日等に割り振られた勤務時間の全部(次項において「休日の全勤務時間」という。)について特に勤務することを命じた場合には,人事院規則の定めるところにより,当該休日前に,当該休日に代わる日(次項において「代休日」という。)として,当該休日後の勤務日等(休日を除く。)を指定することができる。
   2  前項の規定により代休日を指定された職員は,勤務を命ぜられた休日の全勤務時間を勤務した場合において当該代休日には,特に勤務を命ぜられるときを除き,正規の勤務時間においても勤務することを要しない。            
 


 

○ 月曜日に運動会を行うこととし,その予行演習を前日の日曜日に行いたい場合
 
【 解 答 】
  可能であるが,日曜日は「週休日」であるので時間外労働となるため,週休日の振替をする ことが考えられる。                   
【 法的根拠等 】
○〔一般職の職員の勤務時間,休暇等に関する法律〕
 第8条(週休日の振替等)
   各省各庁の長は,職員に第六条第一項又は前条の規定により週休日とされた日において特に勤務することを命ずる必要がある場合には,人事院規則の定めるところにより,第六条第二項若しくは第三項又は前条の規定により勤務時間が割り振られた日(以下この条において「勤務日」という。)のうち人事院規則で定める期間内にある勤務日を週休日に変更して当該勤務日に割り振られた勤務時間を当該勤務することを命ずる必要がある日に割り振り,又は当該期間内にある勤務日の勤務時間のうち四時間を当該勤務日に割り振ることをやめて当該四時間の勤務時間を当該勤務することを命ずる必要がある日に割り振ることができる。