瀬戸市立品野台小学校視察報告
文 責・ 土 井 謙 次
1 視察日時 9月20日(木)13:30〜15:30
2 視 察 校 瀬戸市立品野台小学校
3 感 想
品野台は、日本を代表する陶器のまち・瀬戸のそのまた本場である。
6割以上が三世代同居で、山も多く、校区も広い。7km離れている子もいる。
旧の校舎がバイパスのコースになり、休耕田に移転するのを契機に、企画された。設計は公募(プロポーザル)形式で57点集まり、日建設計に決まった。平成9年末に建設が始まり、11年に開校した、現在3年目の学校である。
設計段階では、週1回の会議で、先生や地域の人が集まり、細かな調整が行われた。
200名規模の会議もあったそうである。こうした会がきわめて大切である。設計図、模型、できればパソコンでバーチャルリアリティとして表現したものを、いろいろな立場で見てほしい。施設活用委員会として、瀬戸市内の先生の会も開かれていた。
建設費は18億円。土地を含めて30億円。移転費用と市の持ち出しで建てられた。補助金は、太陽光発電装置のみである。
敷地面積 約31,000u、延床面積 5,600uの平屋建てである。
学校の特色は、オープンスクール、エコスクール、陶器の町、防災の拠点
の4点だ。
1 オープンスクール
「器が変わると、教育内容も変わる」
伊藤校長の実感である。
教室の広さ同様のワークスペースが確保され、活動の幅が大きく広がる。雁行型に並んだ教室は、隣の声を聞こえにくくすると言う効果もあり、よく考えてある。子供ははじめは落ち着かなかったそうだが、今ではすっかり落ち着いているそうだ。確かに、どの子も先生の顔をしっかり見ている。
伊藤校長は、「何より先生がのびる」と言う。いつも見られているから、いい加減な授業はできない。
また、校則もないそうだ。
ルールがないから指導は大変である。それがいいのである。一人一人にあった指導ができる。児童も、自主・自律の意識が育ってくる。チャイムもほとんどなく、音楽で動いている。学校が移転したことをきっかけに、とにかく子供の自由にして、その中から生まれる秩序を大切にしているところがすばらしい。子供は学んでいくものだ。
2 陶器
瀬戸の中でも品野は特に窯元が集中しているところである。その地域の特性を、学校に取り入れている。
運動場にはのぼり釜がある。1300度まで上がるそうだ。窯業室にも釜があり、地域のサークルの人が毎週活動している。地域に開放されている。
中庭には、陶壁が作られていた。
3 エコスクール
エコスクールパイロットモデル認定校のため、いろいろな手だてがとられている。
太陽光発電は、最高30kW。5000万円(通産省から2500万円の補助)かかったそうだ。学校で使う電気の4分の1をまかなっており、買電も行われる。
床暖房は、深夜電力で蓄熱し、昼に放熱をする方式である。しかし維持費がかかるので、床暖房は6分の1しか使っていない。
雨水は中水として、便所の水、散水に利用される。
給食の残飯は肥料になる。
自然光がふんだんに取り入れられ、室内照明が全くなくても十分やっていける。風の流れも考えてある。
学校ビオトープでは、黒メダカが育てられている。水田では餅米が植えられ、子供たちが管理している。
省エネ型蛍光灯だそうだが、いくつかは管が抜いてあり、節電につとめている。
「エコスクールをどうやって子供におろすか?」が大きな課題になっている。
4 防災の拠点
500名が避難できるように、体育館の2階には防災備蓄倉庫がある。プールの水は、濾過して飲み水に変えることができる装置もあるそうだ。
その他学校施設で気づいたこと
・ 教室の黒板が上下に動くのがいい。
・ 地下へ降りる階段があり、デンスペースとなっている。子供たちの遊び場だ。
・ 強化ガラスがふんだんに使われ、室内は明るい。
・ 職員室もガラス張りだ。給湯スペース、くつろぎスペースは目隠しがほしい。また、 ちょっと横になれるスペースも必要だ。
・ 各教室には掃除機が2つ備えられている。
・ トイレは、和洋半々。ドライ式、自動洗浄。給食室も当然ドライシステムである。
・ 理科室の机が優れものである。前を向けるように向きが変わる。おそらく日本でここだけだろう。
・ 保健室は、当然温水シャワーがある。
・ 焼き物窯の煙突のようなものがある。こういったものは,学校の視覚的特色としてとても重要だ。
「今度作るとしたらどこを工夫するか?」の質問には、物置が必要。児童会室のような余分な部屋も必要だそうだ。