とうかい食農研サポートクラブ教育部会 第1回学習会 参加報告

この報告は、土井が当日記録したものの要約です。聞き間違いや入力ミスもありますのでご了承ください。文責は土井にあります。
  

日 時   2001年12月8日 13:30〜16:00
場 所   ワーピアつるまい 
テーマ  
「総合的な学習の時間における食と農の体験や学習のもつ可能性について」
意見交換のテーマ「食教育に農が加わることでひろがる可能性」
座 長    西村敬子先生  愛知教育大学教育学部教授・本クラブ幹事・教育部会長

事務局長 山本 勲 農文協
 サポートクラブは12年2月に設立
 異業種の集まりによる任意団体で、教育部会、食生活啓発部会、都市と農村の交流部会、情報部会をもつ。

西村先生
 食と農とのかかわりをどう子供に伝えていくか、大人はどんな役割を果たしていけばいいのか?
 こうした会で愛教大家政科の教員として、いろいろな話を聞くのは魅力的。教育というのは現場を見ていくのが魅力。現場の先生方は感激が減っているかも?
 子供の感性は違う。上白糖とグラニュー等の違いがわかる。「ほかに甘いものもある」と聞くと、「花の蜜も甘い、レンゲの蜜も甘い」そうしたらある子が「えっ、ラーメン食べるものが?」
 周りの子が笑ったり、その発言を否定しないのは、学級経営がすごいから。
 子供には血液型で攻められた。「なぜお母さんから生まれたのにわたしの血液型が違うの?」返答に困った。
 今日も、楽しみだ。

自己紹介 略

西村先生
作ること、食べることがどのように生き方につながるかを語ってほしい。

1 外山先生
児童が1000名ほどのマンモス校。
大根を持っていったら、それ何?という子度たち。「カットした大根しか知らなかった」
理科の時間にキャベツを持っていったら、「レタス」「白菜だよ」知らないのである。
キャベツとわかった子が10人くらい。
キャベツはいつとれるか知っている子は1人。自宅で祖母が作っている子だけであった。

私のキャベツ、私の大根を作って、調理、廃棄まで2年間実践した。農家の方に、土作りまでやらなければいけないといわれた。
専門的なことは、先生たちも知らない。また、1年ごとに担任が替わるので1年こっきりの授業しかできない。年度をまたぐ作物は作れないので、どうしても限界がある。その意味で、食農を広げるのは難しい。
植物が育つシステムはわかってきたので、育てる方法をわかってくれることを目指した。

これまで、近くにある老人福祉センターなどと交流していた。自動は、そのなかで自分たちで何かできるのではないかと思うようになってきた。
そこで、サツマイモができたので、スイートポテトを作って持っていった。ある児童が言った「この前の人でなく悲しかった」という感想が印象に残っている。

味覚を育てたい。子供は見かけで「まずそう。きたない」そうではなく、適切な表現ができないかと思って、甘味料の実践をした。
いろいろな甘味料をなめた感想で、子供の表現力はすごい。感想の中の、
「必要としている人がいる。」という発想が、子供の幅を広げた。

デイサービスでの交流で、「おやつを作ろう」というのはだめだと言われた。もしも病気になったら、高齢者は抵抗力がないので大変なことになる。なかなか思うようにはいかない。

 早川先生
6年生は「食べ物の変身」として、大豆、いも、ヒヨコを扱った。

4月5月、大豆について調べて、加工食品について調べた。
味噌工場を見学。八丁味噌、マスズカ味噌を見学。

大豆の輸入輸出について調べる。
遺伝子組み替えの問題、輸入と国産の味の違い、市販されている大豆は国産ばかり、でも自給率は6%しかない。

国産と輸入品の味の比較をしたがわからない。炒るとわからない。そこでとうふをつくったがわからない。活動をしてみてわからないということがわかった。

味噌を作ったがおいしくなかった。でも、子供はおいしいおいしいといって食べた。自分たちで作ると、食べ物観が変わる。これが貴重だ。

鶏は食べるつもりだったが愛着がわき、食べられなかった。でも卵は食べた。


3 石川先生
山羊を飼っていたので、その餌として大豆を作った。私も子供たちも枝豆が大豆になることを知らなかった。

豆が大きくなるのを観察し楽しみだった。枝豆をどう食べるか、料理の本で調べて、6つのグループ毎に作った。
ずんだもち、枝豆パスタ、など、二人のPTAに手伝ってもらった。

食べきれない枝豆どうしよう、ということになり、枝豆が大豆になることを知り、大豆を料理しようということになった。
児童は、豆腐のラベル、納豆のパッケージを持ってきた。家で煮豆を作って持ってきたり、興味・関心が高まってきた。
大豆を身近に感じることができるようになり、
手作り豆腐工房へ見学に行ったり、給食調理場へ見に行ったりした。
栄養を考えながら料理を作れればいいね、と取り組んでいる。

荻野先生 大雨河小学校
小規模校のメリットを生かす。
「ふるさと総合学習」農文協という本を出版
全校児童13人

(ここで別紙と写真を用いて詳細な説明をいただいた。)

食 と 農がつながると
より深い勉強ができるんだな。


ケーキを作る自給自作の実践はすごいし、他校のヒントになる。
額田町立大雨河小学校4年生・山口敏恵先生の実践
【実践の内容】
 1年間のテーマを、「1年生にケーキをプレゼントしたい」という児童の思いから、材料から育ててケーキを作ることに決まる。材料は、小麦粉、卵、砂糖、イチゴが必要だ。
 卵は、鶏を育てているのでOK。
 小麦は育てるには時期がずれるので、岡崎の小麦農家を紹介してもらい、刈り取りをさせてもらった。それをおばあさんに使い方を教わり、足踏み脱穀機、千歯こき、麦たたきの3通りで脱穀、唐箕とふるいでひげを取り、乾燥後、石臼でひいて粉にした。
 砂糖は石垣島からさとうきびのポット苗を分けてもらい育てまた。児童の手紙に感激した石垣島の会社の人が、わざわざ学校まで砂糖を作る指導に来てもえた。(先生も家族で石垣島を訪問している。)
 イチゴも、指導を受け栽培することができた。 
 こうして自作の材料で作ったケーキを、1年生を初め、お世話になった人にプレゼントした。

【土井の考える成功のポイント】
○ 動機に「1年生にプレゼントしたい」と言う‘貢献’の気持ちがある。だから意欲が持続する。
○ 学習の向こうに、常に人がいる。
  石垣島から来てもらえるから、社会科の沖縄の調べ学習も真剣にできる。サトウキビの栽培も真 剣だ。いちごも
○ 題材が総合的である。  
  砂糖を煮る時の酸とアルカリの知識、成長記録を描く観察眼・描写力、作文力、植物・土づくり ・施肥の知識など、多くのことが身に付く。
○ 抜群の学習環境
子どもがやってみたいと思うことができる環境、これが最高の学習環境である。サトウキビを植えたいと思うと植える場所がある、話を聞きたい人がすぐに来てくれる、道具も手にはいる・・・
○ やらせてみてから考えさせている
  小麦の脱穀でも、いろいろな方法でやらせてみてよりよい方法を考えさせている。どうしてもう まく行ず子どもが困った時に、おばあさんに方法を聞きに行っている。この姿勢がよい。自然にお ばあさんに対する尊敬と感謝の心が生まれる。
ただし、失敗の許されないイチゴ栽培などは、初めから専門家に聞いている。それでよい。

1年がかりでケーキを作る。子供たちの笑顔が評価になる。
プロと出会えることも魅力である。

4 堀川さん
宏昌食糧研究所
指導事業から始まった会社

今の子は漬け物を食べない。
梅干しも甘いものを好む。
そこで、本物の手作り梅干しと、まがい物を比較させるために、学校へ指導に行き、梅干しをつくる実践をした。
梅を塩に漬けるが、真夏の教室でも越せるか心配だった。
赤紫蘇がでた頃には、色をつけた。 

児童は互いの樽が心配だった。9月は干し上がり、売ったが、けっこういい値でも、お年寄りに好評だった。

加工品と味と値段比べをした。おばあさんたちが高く評価したのは本物である証拠。

作ったものだから蓄えたいと思い、漬け物が生まれた。
買ったものでは愛情は生まれない。


5 MAFFとうかい食農教育応援団の紹介があった。
MAFFとうかい食農教育応援団は、出前教室をしてくれます。応援団の構成は次の通りです。
 東海農政局
  企画調整部次長、企画調整課長、消費生活課長、食品課長、総務課長、農産課長、園芸特産課長
  畜産課長、農村振興課長、設計課長、統計調整課長、企画情報課長
 名古屋食糧事務所
  企画調整課長、
 農林水産消費技術センター名古屋センター
  消費者情報課長、
 中部森林管理局名古屋分局
  企画調整官

問い合わせは食農教育相談窓口は、東海農政局企画調整部企画調整課(10:00〜17:00)
  TEL 052-201-7271  FAX 052-219-2673 
食農教育応援団 は http://www.tokai.maff.go.jp/ から

次回は平成14年2月9日 同じ時間と場所で