岡崎市立矢作西小学校 自主研究発表会 参加報告
                                                 文責・土 井
平成13年9月28日に行われた岡崎市立矢作西小学校の研究発表会の報告をします。

公開授業   有田先生講演   矢作西小のHP

テーマ
自然や人に進んでかかわっていく感性豊かな子の育成
−みどりチャレンジタイム(生活科・総合的な学習)をとおして−


13時30分より公開授業であった。
・全クラス、植物か環境問題についてのものであった。生活科・総合的な学習である。
特徴はゲストティーチャーがいること、漬け物づくり、綿を結う、ポスターセッション、いちご、らっかせい、かぼちゃ、ケナフ、赤トンボ、テーマはいろいろで、全クラス違う。継続して一つのものを追っているようだ。フェスティバルの準備と位置づけているクラスも多い。

感想
・児童による掲示物が多い。
・中庭には、果実のなる木が17種類植えてある。
梅、ブルーベリー、柿、ブドウ、スモモ、ザクロ、ユスラウメ、イチジク、キウイ、
なつぐみ、栗、桃、ビワ、リンゴ、ナツメ、みかん、きんかん
これはうらやましい環境だ。手入れは大変だが・・・・・。地域の人の協力があるようである。
・いたる所にある鉢植え 世話をしている子の名が書いてある。これもいいことだ。
・フェスティバルには保育園の子を招待するようだ。高学年用や低学年幼、保育園児用の出し物を考えていた。
・矢西学区名人マップ  参考にしたい。
・矢西の木ベスト50 学習環境に力を入れている。
・デジカメ、カラー印刷を使いまくっている。どのクラスにも、大型写真がふんだんに掲示されている。
・観察の絵がうまい 観察力が育っている。継続の成果だ。
・子供の発表がいわゆるうますぎ。なかには練習をかんじさせたものもあった。そんなことをしなくても価値は下がらないのに・・・・
・先生の表現力もかなり高い。プレゼンの画面、読み共にうまい。子供が実際に朗読する場面もあった。これも上手であった。
・PTAの人も多数応援に出ている。
・紀要も読みやすいが、発表に比べると物足りない。文字を削りすぎるのも問題だ。発表はすばらしかった。プレゼンの画面は,近年見た中では最高だ。ソフトを知りたい!メールで聞こうかな?
・毎年どのクラスもまとめのパネルを作っている。体育館には平成8年以降のものが展示してあった。後の参考になり、大切なことである。
・有田和正先生も平成4年から継続してかかわっている。駅からいっしょに歩いてきたが、「あれは矢西の畑」と指を指して教えてくれた。
・西三河地区130名の初任者研修も兼ねている。新任が多くてうらやましい。
・この学校は、平成3年 全国学校環境緑化コンクール文部大臣賞をきっかけに、有田先生を招いて研究を開始、平成5年より自主研究発表会を行っている。環境づくりを教育内容に切り替えたところが見事である。
・児童は、登校するとすぐに花の世話にいく。全校で取り組んでいるので、きわめて自然に当たり前のような行動である。このように全校で統一した学習活動が一つあると、6年間で継続して見に付く能力もあるだろう。
・地域の名人を 57名登録している。これも見習いたい。
・教室背面にみどり単元学習の足跡を常掲 1年間の流れがわかる 
 これも全クラスやっているから違和感はない。
 全クラスで取り組む、研究の良さを感じる。



講演「基礎・基本と総合的な学習のあり方」
 講師 有田和正先生
 
平成4年度からこの学校にかかわっている。
管理職や研究主任が替わっても研究が継続されているのがすごい。
どの教室でも先生も子供もリラックスしている。教材と子供を把握しているからであろう。

指導案には 4つの条件がある。
 子供の実態把握だから、こんな教材を使って、こんな指導をして、こんな力を付けたい 

特に4つ目が大事。
それがないと学力低下がおきる。
世の中は学力低下が問題になっている。
 
小学校の基礎・基本は学ぶ楽しさである。

1971年実施の学習指導要領では
  4教科の総授業時数 3941時間(6年間)であった。

2002年実施の学習指導要領では 2941時間である。
   ちょうど1000時間マイナスだ。
 この数字を見ると,物理的に学力が低下しない保証はない。
 ほぼ1年分に相当する。1年間学校へ全く行かなかったと同じだ。

5月5日 読売新聞 には次のように書かれた。

 学習指導要領は最低基準(これまでは到達目標)
 私立中学校入試で難問容認
 総合的な学習の時間を教科に使う
 ゆとりとゆるみは違う

9月21日 日本教育新聞 には驚きの記事があった。

 スーパーサイエンスハイスクール(大学の先生が理科の授業をする、エリート養成)
 スーパーイングリッシュハイスクール(理数系を英語で授業をする)

 時代の変化をつかむのは難しい。このところも,テロで一変した。

こういう実験がある。
 カエルの実験
  ゆっくり温度が上がると飛びでないで死んでしまう。対応できない。
  しかし,突然の変化には対応できる。びっくりして反応してしまうのだ。
  教師も同じだ。

総合的な学習の時間
  道徳、特活、教科ではない。総合的な学習の力にならなければならない。また、教科等に還らなければならない。

教科はねらいと内容と方法と時間が学習指導要領にきっちり明示されている。教科書も作る。
総合は、ねらいと時間はあるが、あとはない。 各学校が創意工夫すること。
  特色ある学校づくりがねらいの一つ
  これは特色ある子供を育てること
  
視点は3つ 1 国際理解、情報、環境、福祉・健康
        2 子供の興味・関心に基づく課題
        3 地域や学校の特色などl
  
基礎・基本は教科で育てる。
 18の学習技能(後述)

今日の発表は実践を積み重ねて作り上げたもの。仮説ではない。これが本当の研究。
総合的な学習にも基礎・基本がある。それは、学ぶ楽しさ、はてな発見、調べる力、表現する力の4つ。

本当におもしろい教材を使わないと、子供たちは熱中しないだろう。
サツマイモや落花生は肥料の袋が一番いい。温度が上がる。日当たりの良いところへ動かせばよい。カッターで切れば中の様子がすぐ分かる。
植木鉢2つに朝顔を入れて、片方にミミズ30匹入れ片方に入れないとどうなるか。ベゴニアでは大きな違いが出る。
支柱は4本たてる。どれが朝顔に優しいか。
 つるつる、左巻き、右巻き、縦線
朝顔は手段。ただ育てばいいのではない。観察力を育てるのがねらいなら、観察したくなるような状況を作り出せばよい。
 つぼみはどっちに巻いているか予想させる。
 何色の花が咲くか予想させる。茎の下の方を見ればわかる。
常に子供が工夫する、勉強する、見たくなる これが基礎の基礎
確かに知識は必要だが・・・・

世界で200ある水族館、日本に80ある。
海遊館が最大。 中央にはジンベイ鮫が泳いでいる。この前,お子さま用質問コーナーで1時間半質問した。
ジンベイ鮫はなぜ止まらないのですか。「生きてるからです」そんなこと誰でも分かる。調べに行って帰ってきてから,「えらぶたがないから泳ぐことで酸素を吸収する。」そうか!えらぶたがないのが見えなかった。
時速何キロで泳いでいるのですか「調べてきます」
水は何トンあるか? 5500トン

阪神大震災の時にも自家発電で浄化装置が動いていた。これも、知識がないと見えない。
海遊館では、1日で16万人の水を使っている。知識は大事だ。

ヘチマをぜひ調べてほしい。
 本葉の数を調べなさい。
 巻き髭の数 本葉より3少ない という公式が成り立つ
 巻き髭は3つに分かれる。しかし、風が強いと4つに分かれる。
 一つの巻き髭の中に、右ねじと左ねじが同数ずつある。台風でも倒れないため。
 巻き髭をバネばかりにつなぎ、何グラムまで耐えられるか実験
   直髭 300g
   巻き終わった髭 2000g
   枯れた髭   3000g 死んでなおかつ子孫を守っている

基礎かどうかを見分けるポイント
1 応用が利く
2 身に付きにくい     くずれやすい、
3 個性的になっていく  基礎が身に付いた姿が個性的になる

具体的な基礎
 はてな発見技能
 調べる 18
   ものを使って調べる
     辞典、事典、教科書、地図帳、資料集、参考書、コンピュータ、新聞、雑誌
   
   体験的に調べる
     見学、観察、実験、おたずね、聞く、
 
   両方に共通
     書く、考える、話し合う、表現

  プラス 知識、意欲 だ。

はてな発見技能で,子どもたちの力を伸ばして欲しい!
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 いつものようにジョークをちりばめた楽しい講演であった。
それでいてポイントをしっかり押さえており、さすがである。
とても有意義な会であった。