(1)震災時の倒壊被害による賠償責任
(2)震災時に港に漂着するゴミの総量と対策
(3)天井川の数と地震対策
(4)防災士制度
(5)県内のエレベ−タ−の基数と地震対策
(6)災害時要援護者台帳の整備率向上策
(7)学校防災に関する実態調査結果
(8)富士川河口断層帯と東海地震 |
○浜井
ただいま質問のあった宮城県沖地震の際のブロヅク塀の倒壊による人的被害についてです。
看板が落ちたという事故は、所有者に善良な管理者としての注意義務違反があれば、これは当然、賠償義務があると思いますが、天変地変の場合のブロツク倒壊による被害については、宮城県沖地震以降はその賠償義務があるというただいまの総室長の回答だったと思うんです。そこのところを確認しておきたいと思います。
私は、紛争地域だとか天変地変の場合は賠償義務の対象になりにくいと思うんです。それでないと、例えば要改築Eランクの公的施設が改築前に被災した場合は、これはも.う全部公的な賠償義務が生ずるということと同じになってしまいますね。だから、先ほどの回答について再度確認をしておきたいと思います。
○榊原都市住宅部建築住宅総室長
災害時の工作物等の倒壊の責任間題ですが、宮城沖地震ではブロック塀について訴訟がありまして、これは瑕疵がないという判断で一審で原告敗訴になっております。その後、控訴してないものですから、そのまま確定しております。その後、阪神・淡路大震災とか新潟県中越地震では裁判例がありませんので、宮城沖の判例が、現時点でどの程度有効なのかが少し定かでない点がありますが、解説等によると、震度5ぐらいで実際にそれが瑕疵がないと言い切れるのかということも、法律学者の間で議論がされている点がありまして、実際は地震の際にもう1度しっかり争っていただかないと結論が出ない間題かもしれません。
私が、先ほど答弁させていただいたのは、宮城沖地震ではそれで済んだが、もう今後は人災ですということで私どもは説明を受けていますので、多分そうだろうというふうに理解しています。何分、判例が本当にありませんので、所有者にはそういう言い方で所有者責任が問われますよということで、耐震改修、改善を勧めさせていただいていますので、先ほどの答弁をぎせていただきました。
それから、先ほど10番委員からもありましたが、落下物については私どもは判例を全然持っておりません。屋外広告物の担当にも伺ったんですが、そういうトラブルはないということです。落下物については、道路の上へ出ている場合とかいろいろなケ−スがありますので、必ずしも先ほど私が言ったように、所有者責任だという簡単なことで済まない例もあるかもしれませんが、これからそういうトラブルの例を、判例を収集しまして研究していきたいと考えております。
答弁になっておりませんけれども、少し公物管理の場合はまた別になりますが、民間の工作物ということで答弁させていただいております。
○浜井
これは大事なところですね。要するに、免責にならないからという理由で本来直さなければいけないものを直さないという不作為を助長するので、あんまりここのところは大げさにする必要はないと思うんですが、ただやづぱり損害保険で、天変地変の場合は免責になっているはずですよ。だからさっきのブロヅク塀の所有者に賠償責任があるという答えは必ずしも正しくないのではないかと思います。
それでは次に、瓦れきの話が出てましたけれども、この前の台風14号で広島県の漁港に大量の流木類が浮かびました。これを一般廃棄物として処理するのか、あるいは産業廃棄物にするのかという結論がなかなか出なかったと聞きました。
先ほどの委員とのやりとりは、地震による地上の瓦れきを想定しているんではないかと私は思うんですね。ところが、東海地震では間遠いなく大きな津波が来ますから、すべて地上のものを港なり河口部なり海岸に運び去っていくわけです。
そうすると、これらを全て瓦れきというには少し無理があると思うんですが、要するに、流木類、地上の廃物ですね。これの想定数量を、瓦れきとは別に算定しているのかどうか。そして、今回14号で、広島で間題になったように、海上あるいは河口部に集積した、そういう地上の流木類をどういう形でストックするのか、また、これをストックするようなストックヤ−ドなどを想定しているのかどうかということを教えてください。
○杉山環境森林部廃棄物リサイクル室技監
震災時における海、河口部のごみについてであります。先ほど、瓦れき量が3,600万トンと答弁いたしましたけれども、その内訳は、住宅系が2,600万トン、それから公共系が1,000万トンで、これはコンクリ−トの瓦れき、木造の残骸物を含みます。ということで、木造の残骸物については、津波等で海岸や河口部に押し寄せると考えられますので、その3,600万トンのうちに合算されていると理解しております。
なお、これらは産業廃棄物ではなくて、あくまでも一般廃棄物ということになっています。
○浜井
それから、この前ニュ−オ−リンズで水害がありましたけれども、低湿地ということで、堤防が決壊して冠水してしまったということですが、例えぱ浜松には安間川という川がありますが、県内の都市河川で、居住地のレベルより川底の方が高い天井川、河川というのは幾つぐらいあるでしょうか。そしてそれに対する堤防強化、その他の施策があるのかないのかということについて教えてください。
○土井土木都土木防災室長
安間川のような都市型河川で、居住地より川が高い河川が幾つあるかという御質間なんですが、川が居住地より高いといいますと、いわゆる天井川、あるいは大した水位でなくても、その水位が宅盤の高さよりも上がってしまうというような河川かと思いますが、そういった集計は今持ち合わせてございません。
ただ、平成13年の5月に第3次被害想定を出した際に、地盤の地表加速度というものが出されたことによりまして、各河川における耐震強度がいかほどあるかとという調査をしたことがあります。その調査の結果、耐震上、間題がある河川は県下に24河川、延長で21,9キロメ−トルであります。そういったところは、いわゆる液状化等によって堤防が地震で破壊されやすい現場でして、沈下すれば、出水の程度がそれほどでなくても、大雨の際に越水するとか、そういったことも考えられます。
こういった河川で、背後地に公共施設等重要な施設があるところについては、今その対策を少しずつすが、県単独事業でやっておるところでます。
○浜井
それから、今防災士の話題が出ていましたけれども、防災士というのは国家資格ではないんですね、まだNPO日本防災土機構が認定した資格なんです。9月14日付の新聞を見ると、認定された研修機関は民間業者や自治体など155機関となっているんですね。ところが、都道府県別防災士の集計を見ると、全国で6,584人、静岡県は431人という数字が出ているわけですけれども、本日の説明資料の中には237人とあります。ここら辺が、少し混乱するんです。いろいろな数字があるということなんですけれども、今回の300人は県内在住者もしくは勤務者となっています。
この手元にある新聞には、埼玉県では最年少11歳、小学6年生が母親と一緒に防災士の資格をとったと書いてあるんです。だからそういうことを考えていくと、この防災士制度そのものが、いろいろな思惑が交錯しているのではないかと思うんです。ここのところ、NPO日本防災士機構と本県がこれから養成しようとしている300人との関連、それと、防災士機構がまとめた431人という数字との違いについて説明をしていただきたいのです。
○岩田総務部防災局防災情報室長
まず防災士ですが、もともと静岡県防災士というものをまず静岡県が率先して始めたのが平成8年度から5年間の養成講座です。これについては全国組織ではなくて静岡県独自の発案で、防災の素養を持つ人たちを県内にたくさん養成しましょうということで発案しまして、知事認定の静岡県防災土237名を養成いたしました。
それがその後、こういういい試みはやっぱり全国に広げるべきだということで、全国的な組織として、日本防災士機構というものが発足しまして、日認定制度をつくりました。静岡県防災士のうち日本防災士として登録している人が、これはそれぞれ個人の意思で登録しておりますが、237名のうち110人です。
先ほど紹介がございました新聞記事の431名の日本防災士ですけれども、そのうち110名が静岡県防災士として登録されている方々がまた改めて日本防災士機構に登録されたものです。それ以外にも、各市町等で独自に日本防災土機構の指定を受けられる講習をそれぞれ行っております。
それから全国的な組織では特定郵便局の関係で、相当多数の方々が日本防災士機構の養成を受けております。
今回、改めて静岡県防災士の養成講座を始めますけれども、その方々も講座終了後は、個人の御意思でそれぞれ日本防災士機構の日本防災士に登録することも御自由ですので、日本防災士にも登録される方もいると考えています。
○浜井
次に東京で震度5強を観測したこの間の地震で、エレベ−タ−が約30万台止まったと報道されてました。東海地震の震度想定は6ないし7とされてますから、おそらく県内にあるエレベ−タ−は殆ど止まってしまわないか心配です。県内のエレベ−タ−の基数の把握、そしてその対応策について聞かせてください。
○榊原都市住宅部建築住宅総室長
県内のエレベ−タ−の設置台数ですが、約9000台です。7月23日の千葉県北西部の地震では、東京、神奈川、千葉、埼玉の4都県で6万7千台のエレベ−タ−が停止しています。
これは設置台数の約3割ですから、本県に当てはめますと2700台程度が停止すると考えられます。実際人が閉じ込められたのは76台ですので、本県とすれば、10台以下ではないかと考えています。
県の対策は2点ありまして、1点めは県の建築物の設計指針の地域係数を1,2にしています。全国的には1,0で設備の関係も設設計していますが、本県の場合は1,2です。
それと、条例で、5階以上、または高さ15メ−トル以上の階に着装する乗用エレベ−タ−及び寝台用エレベ−タ−には、地震時慣性運転装置の設置を義務づけていて、現在設置率が72%です。全国平均は60%と聞いています。
○浜井
次に、先ほどの5番委員に関連し質問します。災害弱者については、平成15年から「災害弱者支援ガイドライン」を本県はつくっています。ところが、要援護者台帳の整備率は52%ということなんですね。この間のある所の選挙で電話作戦をやったら、お前、おれの情報をどこで調べたと怒られたという話があるんですね。そういうことで、今、いわゆる個人情報保護法が施行されて以来、同法で保護されるのは5,000件上の情報量となっているはずなんですが、相当皆さん、もうごくわずかの情報でも秘匿する傾向にあります。
今年の100歳以上の高齢者の一覧表の中に111歳とするだけで名前も所在地も書いてない空白の人が1人いました。あれは要するに個人情報だからということで拒否されたと思うんです。そうすると、こういう趨勢の中で災害弱者、うちのおじいちゃんは痴呆だとか、放浪癖があるとかというようなことを正確に知らしめないという傾向がより強まってくると思うんですが、この52,2%を100%にしなければいざというとき役に立たないわけですから、台帳整備について、どのようにしてしていくかというその方策があれば聞かせてください。
○杉山総務部防災局長
災害弱者ガイドライン、要援護者台帳関係についてお答えします。
個人情報の関係につきましては、今、委員御指摘のとおりで、非常にある意昧では厳しく、個人が特定できるような情報はすべて個人情報とされるということでございます。
それから、法律上の規定を受けるのは5,000件を超える個人情報を所有する団体ということになりますので、町内会、自主防によってはそういったケ−スも考えられるのではないかと思っております。
したがいまして、件数は別にして、台帳を扱うときは何のために使うのかということをはっきりさせるというのが1点、それから直接その本人に通知して台帳をつくる、適正に情報を取得するということ、それから、安全にその台帳を管理すると、こういう大きな3つの視点で台帳を整備しなければいけないと思っております。
初期の救出・救助に非常に大事だということをかんがみますと、台帳の整備が一刻も早く待たれるところでありますが、今のような個人情報保護法との絡みもありますので、管理をしっかりやるとか、本人に確認をとるとか、こういったものは防災担当だけでそれぞれの世帯を回ってもなかなか効果が上がらないのではないかなと思っています。日ごろから、そういう方たちとおつき合いのある民生委員などといった人たちと連携をとりながら台帳の整備に努めることが大事だということから、これからも積極的に取り組んでいきたいと思っております。
○浜井
次に、全国防災まちづくりフォ−ラムというのが仙台市で開かれて、最優秀賞が、静岡市大岩町2丁目自主防災会。東海地震に備え町内に防災組織を編成し、訓練を見学型から体験型へと見直したということで最優秀賞をもらっております。これは「御近所の底力」だと思います。この詳細について、もし資料がありましたら、請求したいと思います。
○岩田総務部防災局防災情報室長
全国防災まちづくりフォ−ラムで最優秀賞を受けました大岩町2丁目の自主防災会の資料については、後ほど委員長を通じて提供させていただきます。
○浜井
教育委員会の資料の中で学校防災通信第2号というのがあります。その中に、県内の学校のうち約9%が津波の危険予想地域に含まれていること、約82%が予想される危険を踏まえた対策を実施していることなどがわかったと、こう書いてあります。そうすると、この82%というのは、9%の津波危険予想地域に含まれている学校のうちの82%なのか、あるいは県内の学校の82%が対策をしているということなのか、この記述の仕方ではどっちもとれるわけですね。だから9%の津波危険予想地域に含まれている学校は100%対策を実施しているのかということについて、ここの記述の正確な説明をお願いします。
○山本教育委員会事務局参事兼教育総務課長
学校防災通信の第2号で、県内の学校のうちの9%が津波危険予想地域に含まれている。それから、約82%が何らかの対策を実施しているという記述のところですけれども、非常に言葉足らずで申しわけありませんでした。具体的にこのパ−セントは、その前に書いてありますように、昨年12月に実施しました学校防災に関する実態調査で、市町村の定める地域防災計画において危険の予想される地域に学校が含まれているかどうかということを最初に聞きました。その結果、津波の危険予想地域に含まれているのが全体で9%という状況であります。
そのほかに山あるいはがけ崩れの危険予想地域に含まれているものが全体の13%、それから延焼火災の危険予想地域に含まれているものが6%、その他が7%という状況でした。その全体の、市町村が定める地域防災計両の中で危険が予想される地域に含まれている学校全体の中で82%が何らかの対策をとづているということです。
具体的にいいますと、学校の防災計画等に具体的な対応策を示しているものが38%、避難誘導などの防災訓練を実施しているのが55%。具体的な対応策について、保護者、市町村等と協議しているのが28%、その他4%と、これは複数回答になっていますので、そういう状況です。何もやってないのが18%ということで、残りの82%は何らかの対応をとっているという意味であります。
○浜井
次に、富士川河口断層帯についてです。かつて、平成9年か10年だと思うんですが、この當士川河口断層帯と東海地震との関連について議会質間があり、そのときのは、富士川河口断層帯について、調査委員会では「今後、数百年以内の比較的近い将来に活動する可能性がある」とし、「東海地震との連動の可能性については、必ずしも同時に活動するとは限らないというものの、その可能性は否定できない」としておりますとの、答弁でした。
前回いただいた資料の中では、「富士川河口断層帯は駿河湾内のプレ−ト境界断層(東海地震の震源域)に連続していると考えられている。政府の地震調査委員会は、平成10年10月、それまでの調査結果にもとづいて評価決定を発表し、断層帯の活動度は日本の活断層の中では最大級、そして次回の活動は地震時の延長7メ−トルまたはそれ以上、地震の規模でいうとマグニチュ−ド8以上、震源域は駿河湾内にまで及ぶと考えられる」としています。
要するに、東海地震に直結するというふうにも読み取れるんですが、ここの富士川河口断層帯、今後30年以内の地震発生確率は0,2%から11%となっていますが、連動する可能性があるのかということについての見解を改めてお尋しておきます。
○岩田総務部防災局防災情報室長
富士川河口断層帯について、前回の答弁で認識が違っているのではないかという御指摘でございます。若干補足的に御説明しますと、冨士川河口断層帯について、最終的な評価が、平成10年の地震調査研究推進本部の地震調査委員会で出ております。
ここでは、富士川河口断層帯単独としての動きについてのみ評価をしておりまして、おおむね1500年から1900年の平均活動間隔を持って當士川河口断層帯は活動しているということです。
それから最新の、要するに1つ前の活動は、地質年代ですので若干幅がありますけれども、約2100年から1000年ぐらい前に直近の活動をしているのではないかということ、それから今後30年以内の活動の評価としては0,2%から11%ということで、日本全国の活断層の中ではやっぱり活動度は高い部類だという評価が出ております。
これにつきまして、静岡県としてどのようにとらえるかということですが、直近の東海地震については切迫度は非常に高いということで、国の評価でも、参考値でありますけれども、30年以内に86%という評価が出ております。東海地震の震源域の北の延長がこの富士川河口断層帯につながっておりまして、地震の専門家の方々の御発言等によりましても、1854年の安政東海地震も富士川河口断層帯本体ではなく、富士川河口断層帯の南の端は実は東海地震の震源域の一部として活動している。現に蒲原、それから富士宮市の松岡のあたりで地震山というものができて、断層のズレが地表に若千姿をあらわしているということもあります。
ということで、富士川河口断層帯本体が活動するのではなくて、一部は東海地震と連動して活動をする。それが場合によっては、最悪の場合は富士ハ1河口断層帯本体と東海地震の連動ということも決して否定しているものではないと。ただし、それが次の東海地震であるのか、その次の東海地震であるのかということは、全くこれは地震学者も現状ではわからないという状況です。ということで、今、私どもは対策をしております。
○浜井
東海地震の逼迫性が言われる中で、本県が防災先進県として、全国に向かって自負している以上は、ハ−ドの整備を推進ことは勿論ですが、そんなに予算を伴わない、ソフト面の整備ですについては、積極的に進めていっていただきたいということをお願いして質問を終わります。
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