○浜井
  まず、 静岡空港についてのうち、 90分アクセスのネットワ−クについて伺います。
 本県が空港建設に向けて本格的に始動したのは昭和62年のこと。 全国有数の人口や産業を擁しながら、 直近の空港に90分以内で到達できない 「90分アクセス人口、 320万人」 は、 当時全国最多でありました。 今も最多であります。
 全世界が予測した空の大交流時代への流れは、 同時多発テロやSARS騒動などで一時的に落ち込んだものの再び増加し続けており、 去る2月2日、 国連の世界観光機関は、 昨年の海外旅行者は世界全体で前年比6千9百万人増、 7億6千万人を超えて過去最高。
 地域別では北東アジアが30%増、 東南アジアが33%増となって、 空の大交流時代が着実に進んでいることを裏づけました。
 中部国際空港開港の活況を見るとき、 静岡空港建設地決定から18年、 今、 法の判断を仰がざるを得ない現況は残念と言うほかありませんが、 2年という開港の延期は、 開港時の90分アクセス確立のために与えられた時間と考えれば短いとも感じます。
 空港から各地へ車での推定アクセス時間は、 舘山寺まで60分、 御殿場インタ−まで85分、 第22回世界ジャンボリ−の候補地として、 日本は本県朝霧高原を抱えてノミネ−トしました。
 静岡空港とセットで、 これが静岡県の一次予選を勝ち抜きました。 これから世界を相手に朝霧高原における世界ジャンボリ−の開催に向けて、 さらなる活動を続けていきたいと思いますけれども、 マイカ−では、この朝霧高原まで100分、 熱海へ130分、 下田まで190分であります。 この所要時間では、観光による地域振興に期待する伊豆へのアクセスが最大の課題であります。
 本県の海と言えばテクノス−パ−ライナ−ですが、 時価100億円といわれたこの実験船の払い下げ価格3億円、 フェリ−への改造費が19億円、 購入価格は22億円でありました。 「安物買いの銭失い」 ということわざがありますが、 平成9年からの保守点検とリ−ス料計約14億6千万円余。
 平成11年度以降の防災船運営費とフェリ−事業委託費の6年間合計約50億円余と、 これまでに約100億円を投入済みでありますが、 今後も保有するとすれば、 なお毎年約9億円余を負担し続けることになります。
 接岸可能な港が8港しかないこと、 発災時に期待された孤立地区からの負傷者等の移送、 支援チ−ムの派遣、 緊急物資の大量輸送などの防災船としての機能は、 東海地震の発災後必ず襲来する巨大津波の後には全く通用しないことがわかっています。
 この間、 海上保安庁は平成9年、 10年に本県海域をカバ−する災害対応型巡視船2隻を、 海上自衛隊は平成10年、 14年、 15年に輸送船3隻をそれぞれ配備済みであり、 民間船舶との災害時の協力協定も進んでいることから、 現行フェリ−の代替機能さえ考えれば、 TSLは今やその使命を終えたと思いますが、ご所見を伺います。

○石川知事
  90分アクセスのネットワ−クについてであります。  総延長500キロメ−トルの海岸線や伊豆半島を有する本県では、 海上高速交通は静岡空港へのアクセス手段としても重要であり、 県では平成9年度に高速船であるTSL 「希望」 を購入し、 防災船として活用するとともに、 駿河湾内の海上交通の充実に努めてまいりました。
 この間、 TSL 「希望」 は、 平成15年8月の伊豆地域の豪雨災害の際には、 帰宅が困難な多数の観光客を輸送する等、 防災面を初め、 伊豆地域の地域振興や観光振興にも一定の役割を担ってまいりました。 一方、 導入後十年近くが経過し、 浜井議員御指摘のように防災面では海上自衛隊等との災害時の応援体制が整備されてきており、 また海上交通を取り巻く状況変化を踏まえ、 駿河湾内における新たな航路やそれに合わせた導入機材の検討の必要性も出てまいりました。
 こうした中で、 東京―小笠原間で新たなTSLの就航が予定されておりますことから、 「希望」 につきましてもそのあり方について見直しし、 早急に結論を出す時期に来ていると考えます。
 負け惜しみではありませんけれども、 このTSLについては、 浜井議員ご指摘のようなコストの面とか故障が頻発したとか、 新造船に伴っていろんな不具合もございましたけれども、 一方で駿河湾の海上交通の必要性、 これについて多くの幅広い方々の関心を呼び覚まし、 今後の駿河湾海上交通新時代を切り開く意味での啓発効果もあったというふうに思います。
 しかし、 さまざまなコストの面とか、 あるいはもっといい交通手段も見えてまいりましたから、 これを見直しをして早く結論を出して、 新しい90分アクセス、 静岡空港開港とも関連した新しい海上交通体系の構築に向けて進んでいきたいと考えます。
使命を終えたテクノス−パ−ライナ−

平成17年2月議会本会議