道路法第45条は、道路管理者は道路の構造を保全しまたは交通の安全と円滑を図るため必要な場所に道路標識又は区画線を設けなければならないと規定しているが、広告看板を道路標識等に添加して設置することについての明文規定はない。また県の屋外広告物条例は、「道路標識に広告物を設置してはならない」としながら、但し書きで「県が公共目的で設置する広告物や道路標識の寄贈者名は設置できる」と規定する。
 私は昨年2月議会で、税収増を図るために、公共が保有する道路標識等に着目して、これらに有料広告を募ったらどうかという質問をした。
現在、県が設置している道路案内標識の数は、12,696件、これらの標識に仮に月額2千円の有料広告看板の添加を認めれば、年間収入は3億円余に達するという計算に基づく質問だった。
 この年、3千3百億円余の市営地下鉄事業の累積赤字に悩む札幌市交通局は、路線中乗降客数が最大の「大通駅」構内に65本ある柱の全面を2週間単位で貸し出す「アドピラ−」事業を始めている。
「携帯電話の新商品のキャンペ−ン」など、短期間の印象広告で勝負したい企業などが、このアイデアに乗って昨年15年度の決算では約3千万円と、順調に売り上げを伸ばしている。今年度はさらに、エスカレ−タ−の手すりに目をつけて、広告媒体としての活用法を検討中のようだ。
さて、先の質問に対する当局側の回答は、「道路標識や案内標識は、走行に当たっての規制や道路情報を短時間で的確に運転者に伝えるために設置するものだから、道路法の設置目的に照らして適切ではなく困難である」というものだった。しかし、先進国で既に実施されている「道路里親(Adopt Road)制度」に倣って、遊休化した道路敷などを活用して企業の広告看板を認め、その対価を、特定区間の道路の清掃や美化などを担ってくれる地域コミュニティなどに交付する仕組みをできるだけ早い機会に実現できるようにしたいとの答弁も合わせて引き出した。本会議は質問時間、再質問回数などの制約があり、なかなか突っ込んだ議論はしにくい。ここはいったん引き下がった。
国と地方の税収が、10年余の長期にわたって、しかも大幅な落ち込みが続く中で、従来のような国からの交付税や補助金頼みの地方行政、地方財政制度では、もはやたち行かなくなっている。
 地方に、自立と自律と自決権が求められようとしていいる時代だからこそ、効率のいい行財政運営を行うための大胆な発想の転換、企画力、そしてそれを実現する強固な実行力が必要であることはいうまでもない。 

公共物の有料広告