平成17年11月、国交省は、当時一級建築士だった姉葉設計士が、10年にわたって99物件もの建築物の耐震強度を偽装していたと公表した。
本県でも姉葉関連のホテルが強度不足を指摘され、関係者が大変な混乱に陥ったことはまだ記憶に新しく、まだその後遺症を引きづり続けている。
この他にも、札幌市の浅沼元二級建築士による耐震偽装マンションや、富山市の田村水落設計事務所によるアパグル−プのマンションやホテルが偽装の指摘を受けている。
特にアパグル−プは、東京都3件、石川県で2件、愛知県、大阪府、京都府兵庫県などの合わせて11件のホテルが、営業休止に追い込まれた。
国内にある全ての建築物の耐震強度を調査することはまったく不可能といってもよく、一般の木造の欠陥住宅も含めれば、これら耐震強度不足の建築物は、氷山の一角に過ぎないのかもしれない。
さて、兵庫県宍栗市(しそうし)が実施していた公共建築物の耐震診断調査の結果、市立のある小学校の校舎が「欠陥建築物」と認定され、この7月5日から使用禁止になったというニュ−スには目を見張った。
調査結果を受けた兵庫県耐震診断改修計画評価委員会は、早々と「危険建物、耐震診断に値しない」と結論づけ、校舎の使用禁止が即実行された。全国初の出来事である。
この鉄骨造の校舎が建設されたのは、昭和42年だったということだから一連の耐震偽装事件とは少し違うが、二棟の校舎とも必要な溶接がされていなかったということだから、完全な手抜き工事である。工事の完了検査も実施されなかったのかもしれない。
少子化社会が到来し、た今日、大事な子どもたちの命は、社会全体で守ってやらなければならない。そうした子どもたちの学びの場が、これまで危険にさらされたままできたことにも驚くが、あの阪神淡路大震災による被害がなかったことは幸いだった。
せめて学校だけでも、子どもたちが安心して過ごせる場所にしてあげる義務が、行政にあることを忘れてはならない。 |
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