平成7年2月議会 県議会質問
   
 1 震災の本県経済への影響と税収見通しについて
       ・ 6月補正予算の財源
 2 防災対策について
     1)新幹線の安全性
     2)災害ボランティア対策
 3 新世紀創造計画について
     1)地域連携軸の強化
     2)災害対策連携軸の構築
 4 環境行政について
     1)地球温暖化対策
     2)
被災後のゴミ対策
 5 福祉行政について
     1)中高年後期障害者対策

     2)被災時の災害弱者対策
 6 保健医療行政について
     1)難病対策

     2)被災後のメンタルケア−
 7 農業行政について
     1)認定農業者の育成
     2)グリ-ン・ツ-リズムと農山村のホ−ム・ステイ
 8 土木行政について
      ・
自然環境アドバイザ−制度と道路整備
 9 住宅行政について
      ・ロ−コスト住宅
10 教育行政について
     1)
スク−ルサポ−ト推進事業
     2)
教職員の避難生活対応マニュアルの作成
11  警察行政について
     1)障害者に配慮した警察活動
     2)障害者に優しいソフト面の警察活動
     3)地震発生後の交通規制における警察活動
○浜井
 質問に先立ち、先の阪神・淡路大震災の痛ましくも悲しい死者5千4百21人の方々の御冥福をお祈り申し上げるとともに、約3万5千人の負傷者、約17万8千戸を超える建物損壊、そして今なお21万人を超す避難者、すべての披災された皆様方に対して心からお見舞いを申し上げます。
 震災発生から1カ月余りが経過する間に、マスメディァによって、あらゆる角度から問題点が明らかにされているように恩われますが、震災関連事項を盛り込みながら、以下の質聞を致します。
 
まず、震災による本県経済への影響と税収見通しについてであります。
バブル経済の崩壊は、国内からおよそ8百兆円にも達する土地と株の価値を消し去りました。
 本県の県税収人実績は、バブル簸盛期の平成3年をビークに、4年、5年と連続して前年割れを続け、昨年度は2月補正対応分も含めた県債およそ7百億円の前倒し発行を強いられるなど、期末は厳しい財政運営となったことは、まだ記憶に新しいところであります。
 昨年12月の記者会見で、知事は、7年度の税収に関連して大きな期待は持てず、税収増に期待をかけるのは危険との見通しを述べられました。
 今回の大震災は、いずれにしても景気動向を左右する大事件であると思われます。そんな心配を打ち消すように、日銀総裁は去る1月25日の記者会見で、現在の景気回復力がこの地震でとぎれることはないと断言しました。
 しかし、デバ−ト、ス−パ−などの売り上げは、防災用品や食料品を除いて買い渋りの傾向が見られ、被災地と取引のある家家具、サンダル業界などでは、部材の調達を巡っての不安感が広がっているように見えます。
 確かに中長期的には、復輿需要が景気の底上げを図っていくことのプラス面と、流通の停滞や一極集中的な復興投資などによる短期的なマイナス面も少なからずあると考えられます。
 経済企画庁の2月10日の月例経済報告では、「阪神・淡路大震災が経済に与える影響に十分留意する必要がある」と、初めて明確に指摘をいたしました。
 この震災による本県経済への影響と新年度の税収見通しについて、知事はどのように考えておられるか、伺うものであります。


○浜井

 次に、新年度予算案は、新世紀創造計画への対応を初め、ウルグァイラウンド、産業空洞化、環境、マルチメディア対策などにその軸足の大半をかけ、実質7,1%増の予算となりましたが、税収に一抹の不安を持ちながらも積極的な予算編成を行った知事の基本的な考え方を伺います。
 また、国の防災計画は5月をめどに改定されることになったと理解していますが、東海地震の危険性が去らない本県も、当然補正予算を編成して、新たな課題に対応していかなげればならないと患うのであります。
 そのためには、6月にも予想される補正予算への財源措置について、今から配慮しておく必要があると思いますが、知事はどのように考えておられるか、あわせて伺います。
 

○浜井
 
 次に、防災対策について伺います。
まず、新幹線の安全性についてお尋ねいたします。東海地震被害が県土の全域に及ぶとされる本県が、平成5年に策定した第2次被害想定結果報告書によれば、予知ありの場合の死者は376人、予知なしの場合は1、574人と推計されました。
 今回の震災で問題となった高速道路の崩落、新幹線鉄道橋や線路の損傷等による死者は、ここでは想定外であります。橋の耐震基準を定めた建設省の道路橋示方書には、1971年の基準改定で外されるまで、垂直耐震基準0,1という強度が明示されていたといわれています。道路橋と同様の垂直方向荷重基準を持たせていた鉄道の高架橋も、1996年開通した山陽新幹線の建設に際しては全く顧みられなかったといわれています。
 「上越新幹線の高架橋は震度5までなら耐えられる」と、JR東日本は語りました。これは、震度6には耐えられないとも解釈できるのであります。
 震災直後に、「今回程度の規模の地震が起きても東海道新幹線は大丈夫。こちらは山陽新幹線とは違う」としたJR東海の幹部の発言が物議を醸しましたが、その談話の裏づけとなる科学的根拠は明確に示されていないように感じます。
 東海道新幹線が東西約150キロにわたって通過する本県の想定震度は、一部を除く県内全域で6とされており、静岡、清水、富士、沼津,、浜松などの一部での想定震度は7とされています。
 第二次被害想定結果では、想定外であった東海道新幹線の高架橋やトンネルなどの総体的な安全性について、どのように考えているか伺うものであります。

○浜井

 防災対策について、次は災害ボタンティア対策についてであります。
阪神・淡路大震災の翌日、本県からの救援物資を積み込んだトラックが被災地へと向かいました。同じように全国津々浦々から、善意の救援物資が続々と被災地へ送り込まれていきました。
 ところが神戸市長は、「物資はたくさん届いているが、人手不足で運べない」と記者会見で語り、西宮市でも物資の山を前に「公平に分配したいけれども、職員不足と車不足で思うようにはかどらない」と、市役所職員が嘆いていました。そんな自治体の苦悩を救ったのが、「何かをしてあげたい」「何かを手伝いたい」と応募に応じ、あるいは自発的に休暇をとって被災地へ向かったボランティアたちでした。中には、家族にも学校にも無断で披災地へ飛んだ学生ボランティアなどもいたということでした。
 今回の被災直後の段階でのボランティアの活躍は、多くの国民の共感を呼び、ボランティアは誰にでもできる社会貢献事業として、初めて国民に認知されたように思われます。
 さて、現実的な教訓として、仕事の内容が多種多様にわたるボランティアを一元的にまとめ、総合判断に基づく人員配置や作業指示などを行う機関は、行政、民問の双方の側にないことがわかったことは収穫でした。民間のボランティアコ−ディネ−タ−の役割は非常に高いものがありますが、ポランティア活動が長期にわたる場合には、行政の調整力が必要とされてきます。
 こうした反面、「善意だけに頼っていては長期間は続かない」と、避難先の学校の教頭先生をまとめ役に、教室ごとに避難住民が自主的に自治会を結成し、食料配分やトイレの水くみを始めたという記事が印象的でした。
 被災者とボランティアの立場の違いを埋めるのは、心理的に大変難しいことなのだそうです。被災者の気持ちを本当にわかり合えるのは、実は被災者同士であるという説には強い説得力があります。
 本県における災害ボランティアの養成と被災時のボランティアの一元化についてのご所見を伺います。

○浜井

 次に、新世紀創造計画についてのうち、まず地域連携軸の強化について伺います。
冷戦構造の終えんに伴って、既存の社会を支えてきた枠組みや軸組みが大きく変革を遂げる中で、平成7年度から10年を見通す新総合計画の策定費が計上されました。東京一極集中是正と多極分散型の国土づくりを目指してきた四全総も8年が経過し、国においても次期計画の策定作業が始まりました。いわゆる五全総策定に当たっては、少子時代と高齢化社会の到来が、西暦2000年の推計人口を四全総の見込みより380万人も下回るとしたのが特徴的であります。
 そのための対応策として、地域が互いの活性化を目指す交流人口と地域連携軸という考え方が打ち出されました。
 私はこれまで、国の総合開発計画において、東京圏と名古屋圏のはざまにある本県の位置づけが明確でないとの印象を持ち続けてきました。今年度、富山、岐阜と愛知の三県は、推進協議会をつくって予算を出し合い、日本中央横断軸構想を策定し、国に対して次期全総への正式な採択を強く求めているということを聞いて、なるほどと思いました。
 ここ数年は、三遠南信道を主軸にした愛知県、長野県との連携と交流は、官、民ともに盛んに行われるようになりました。しかし、中部横断自動車道が接する山梨県と、東名、第二東名が結ぶ神奈川県との連携が少し少ないのではないかと思います。
 これら両県に対して、本県が主体性を持った連携の方策を考える必要があると思いますが、ご所見を伺います。

○浜井

 次に、災害対策連携軸の構築についてであります。
今度の震災では、今もって21万人余の人々が不自由な避難生活を送っています。春まだ浅い寒さの中で、当面用意される仮設住宅は3万戸であり、なおまだおよそ3万戸を超える住宅が必要とされているのであります。
 本県の防災計画による仮設住宅計画は、県外工場の生産能力を含め、県内の工場、倉庫に被害がなかったとして、避難生活開始後3カ月間で建設可能な戸数が8千7百戸であります。東海地震による本県の建物被害は、予知ありの場合でも修理不可能な大破建物数は9万3千7百77棟、予知なしの場合は15万5千2百53棟に達し、今回の震災で必要とされている以上の仮設住宅が必要になることは必至の状況になります。
 しかし、本県の仮設住宅計画は、単独では誠に心もとない限りであるといわざるを得ませんが、これまで全国の仮設住宅の通常在庫数は千五百戸、現在、今回の震災に関連して増産中の仮設住宅はリ−スのため、業界は2年後には大量の在庫を抱え込むことになるともいわれています。本県が必要量の仮設住宅を本県だけで備蓄することは、経済的にも物理的にも不可能であります。
そこで・被災後に必要とされる仮設住宅・機材、資材などにっいては、広域的、補完的に協力し合うことが必要なことだと思います。東海地震の危険性を共有する近隣県のみならず、距離のいかんを問わず幾つかの都道府県との間で、災害対策などを目的とする連携軸の構築について、伺います。

○浜井

 次に、環境行政についてのうち、まず地球温暖化対策について伺います。
私たちが呼吸している空気はおよそ78%の窒素と12%の酸素、残りの1%の中にアルゴン、二酸化炭索、オゾンなどを含んでいます。この99%を占める窒素と酸素の構成比は、上空約10キロメ−トルまでは一定の値を示しているといわれています。
 産業革命以降、エネルギ−利用が増大し始めると、地球内部に固定されていた炭素が二酸化炭素として大気中に放出され、地球はゆつくりと温暖化への道を歩き出しました。
 もちろん、化石燃料が温暖化の唯一の元凶であるとの説には異論もありますが、1850年代には260PPMだつた二酸化炭素が、19890年代には350PPMにまで上昇し、それに伴つて0,5度も気温が上昇しています。さらにこの状態のまま今後30年間推移するとすれば、気温は摂氏1,5度から3,5度ほど上がると予想されているのであります。
 人的要因で排出された二酸化炭素の量は、炭素換算で59,6億トン、アメリカの22,3%、旧ソ連の17,4%、中国の10,9%に次いで、日本はこの狭い国土の中で4,8%を排出し、温暖化に貢献してしまったのであります。
 二酸化炭素の排出出量については、気候変動に関する国際連合枠組み条約の締結によって、.日本も2000年を目標に1人当たりCO2排出量を1990年レベルまで抑制する義務を負いました。
 国の方針を受けて、県段階での地球温暖化防止計画が必要になると患われますが、県はこの地球温暖化防止計画にどのように取り組んでいくのか、伺うものであります。

○浜井

 次に、被災後のごみ対策について伺います。大震災から早くも1カ月が過ぎ去りました。都市の復興に向けた建設のつち音の陰で、壊れた家具、ガラス、食器類、救援物資をこん包した段ボ−ルなど、想像を絶するほどの残骸物が排出されました。
 大阪などからの応援部隊も含めて、現地には被災直後から1日5百台を超えるごみの収集車が稼働しているということでありますが、交通渋滞などで、1日の収集量は通常の半分以下、大半はお手上げ状態だといわれています。
 東海地震に伴う本県の残骸物発生量については、予知ありの場合の試算で、可燃物、不燃物ともおよそ4百万立方メ−トルに及ぷとされています。予知の有無で大きく推計値は分かれますが、予知なしの場合は、この量をはるかに超え、さらに津波の分が上乗せされることは確実であります。
 阪神地区では、既に残骸物の撤去が開始され、近隣府県の焼却施設や埋立地への受け入れなどの支援を仰いでいるようでありますが、処理能力を超える分については仮置きで対応せざるを得ない状況にあるといわれています。
そこで、仮置き場などの確保を含めた被災後のごみについて、本県はどのような対策をお考えなのか伺います

○浜井

 次に、福祉行政についてのうち、まず、中高年後期障害者対策について伺います。
一家の大黒柱が突然倒れてしまう。子供はちょうど高等教育の真っ最中、決して若くはないその妻にとっての再就職の道は険しい。ここ数年の間にこんな人生模様を幾つか耳にいたしました。
 第2次大戦凌の1955年の死亡原因のトップは脳血管障害でありました。1992年には、トップの座を悪性新生物、いわゆるがんに譲りはしたものの、脳血管障害も相変わらず高い死亡率を示しています。
 医療の発達に伴い、今日ほとんどの病気は早期治療を施せぱ延命が図られるようになってきましたが、そのことによる後期身体障害者が増えるという新たな問題が出てきました。 平成5年度の身体障害者手帳交付状況を見てみますと、交付総数6143件のうち、およそ30%に当たる1593件が脳障害に起因し、中でも特に目につくのは、40歳代から60歳代の働き盛りの年齢層が50%近くに及んでいること。つまり、中高年の後期身体障害者が急激に増え続けているということであります。
 現在、県内にはリハビリ可能な方を対象にした施設としては、日常生活訓練を主体とした重度身体障害者厚生援護施設や、酒楼自立を目指す方を対象にする重度身体障害者授産施設など13の施設が整備されており、それぞれの施設に於いて、自立に向けた訓練に励まれているところであります。
 しかし常時介護を必要とし、自宅での介護が困難な重度の後期障害者を対象にする身体障害者療護施設は、県下に9施設、定員600人までは整備されているものの、まだまだ需要に追いつかない状況にあると聞いております。
 県は、こうした中高年重度後期障害者に対する人所施設の整備について、どのような計画を持っておられるか伺うものであります。

○浜井

 福祉行政についてのうち、次は災害弱者対策について伺います。今回の震災の死者の2人に1人は年齢が60歳以上の方々でありました。本県の防災計画によれば、災害弱者は原則として家族が介護を行うものとし、1人暮らしの災害弱者などについては対応可能な組織をつくっておく必要があると記されているだけであります
 。今回の経験では、災害弱者は、食事、排便、自主的な役割分担などの面で長期の避難所生活に溶け込めず、こうした社会的弱者だけを対象とした避難所の必要性が指摘されたところであります。
 確かに、こうした災害弱者の避難所は、医療や介護といった面から考慮されるべきであると思われます、.災害弱者は、それぞれの居住する地域の近くにある既存の社会福祉施
設、もしくはその近辺に収容してあげることがより実効的であると考えるのであります。 防災計画では、社会福祉施設の入所者などを地震災害から守るための整備事業を、県、市、町、社会福祉法人の合わせて120カ所において実施することとしていますが、現在までの整傭状況はどのようになっているのか、まず伺います。

○浜井

 次に、この施設整備によって救済されることになる入所者定員10,573人であります。一方で、県が災害弱者とみなしているのは、社会福祉施設入所者や入院患者はもとより、寝たきり老人、痴呆性老人、重度障害者、乳幼児、妊産婦などでありますが、重度の身体障害者は、およそ35,000人、在宅の寝たきり老人はおよそ8,000人、ひとり暮らし老人は29,000人を数えます。
 こうした災害弱者に対する対応について、県はどのように考えておられるのか、あわせて伺います。

○浜井

 次に、保健医療行政についてのうち、難病対策について伺います。
厚生省は昨年、難病対策要綱策定後20数年を経過した今日の社会状況を踏まえた難病事業の見直しについて中間報告を出しました。
 難病の患者さんが長期の療養を要するため入院を拒否されたり、病院での呼吸器装着を拒まれて死亡したりする事例に対処するため、厚生省は平成6年度から、在宅の難病の患者さんの病状の急変に備えて、各都道府県に空きベッドの確保を求めるとともに、人工呼
吸器貸し出しの診療報酬のアップを図ったところであります。
 しかし、これは国が難病と認定した36の特定疾患、およそ27万人の患者さんが対象となっるだけで、患者数が少なく、治療法が見つからない難病は、これ以外に約150疾患に及ぶともいわれ この対策は残念ながら未だに十分ではないのであります。
 先日、私のところに3歳の男の子を連れた親子が訪ねてきました。その子の病名は先天性無痛無汗症。針で突いても骨折しても一切の痛みを感ぜず、汗を全くかかないため、簡単に日射病や凍傷にかかってしまう病気であります。この3年間に、この子は骨髄炎で3回も手術を繰り返し、回復の見込みのない進行性のこの病気は、成長に従い関節に負担がかかり、自らの体を支え切れなくなるとされています。
 この子の将来には、車いすの生活が待っているだけであります。こうした場合の医療費補助は、国もしくは県の認定する特定疾患でないと実行されないことになっています。
 残念ながら、本県の単独指定特定疾患は橋本病、下垂体機能障害、突発性難聴の3疾患だけであり、この子の病例では適用されません。
 東京都では、国とは別に独自に17の難病疾患に対する単独補助制度を設けており、この病気は遺伝性ニュ−ロパチ−という分類で補助の対象になる場合もあると聞きました。 私は、原因がわからない、治療法が確立されていない、将来にわたって治癒する見込みがない病気が難病だと、普通に考えます。
 こうした難病に対して、県はどのように取り組んでいかれるのか伺います。

○浜井

 保健医療行政のうち、次は被災後のメンタルケアについて伺います。
阪神・淡路大震災を経験した被災者の1人は、ド−ンという衝撃音とともに、寝ていた体が1メ−トルも浮き上がったと話してくれました。
大地がうなりを上げ、逃げ惑う人々の悲鳴とサイレンの音、炎が夜空を焦がし、ガスのにおいが充満する中で、被災しながらも命を拾った人々は、しばらくの間は覚め切れぬ興奮と安堵の気持ちが交差する複雑な感情の中で過ごしたようでした。
 その後、一定の期日が過ぎると、家族や財産を失った精神的な痛手や長引く避難生活からくるストレスなどで、心に後遺症を持つようになることがわかりました。
 災害が発生した場合、県及び巾町村は、負傷者等を救援するため医療救護計画を策定しており、県計画では、市町村で対応できないような事態に備え、広域的な救護病院の設置や医薬品等の確保をする方法等について定めています。
 しかし、この中には、心理面でのケアを担当する精神科救護所については全く触れられておりません。今回の教訓から、被災後の心の病に対する、精神科の医師を中心とするメンタルケアについて、どのようにお考えになっているか、伺います。

○浜井

 次は、農業行政であります。
 農業行政についてのうち、認定農業者の育成について伺います。平成5年8月に施行された農業経.営基盤強化促進法は、法人化の推進、農地集積、そして、それらの主体となる、経営感覚にすぐれ地域農業を引っ張る農業経営体としての認定農業者制度を創設いたしました。
 しかし、この制度は市町村段階で、農家の選別政策ではないかとの指摘を受けたことも影響して、昨年末現在、認定農業者の総数は3、174人、全国単位で1市町村当たり1人という結果となり、農水省の期待は外れました。
 制度は、都道府県の区域または自然的、経済的、社会的諸条件を考慮し、区域を分けて農業経営基盤強化の促進に関する方向と経営基本指標、農地集積目標などについて、都道府県知事が基本方針を定めることになっています。
 また、市町村の基本構想は、地方自治法第2条第5項の基本構想に則するものとして、知事の承認を必要とし、県の基本方針との整合性も必要とされています。
 本県における市町村の基本構想の策定状況、認定農家の認定の動向はどのようになっているのか伺います

 また、認定に当たっては、経営改善計画が基準に適合しない場合であっても、営農意欲があり、将来性が見込めるものについては、弾力的に考えていくべきであると思いますが、ご所見を伺うものであります。

○浜井

 次に、中山間地域におけるグリ−ン・ツ−リズムと農山村におけるホ−ムステイについて伺います。
 敗戦国日本が廃嘘の中から立ち上がり、目覚ましい経済成長を続けていた時代、日本人の資質としての勤勉性は諸外国の非難を買いました。週休2日制は圏際化の進展と軌を一にしているのであります。
 高度経済成長は一方で、国土のおよそ7割を占める中山間地域の過疎化を促し、高齢化は山林の荒廃を招こうとしているのであります。
 グリ−ンツ−リズムは、都市に住む住民が農山漁村に滞在し、自然環境の中で生活文化を共有、交流することを目的に導入されたものであります。
 国においては、さらに一歩を進めて、農林漁業体験民宿業、いわゆる農家民宿に対する経営指導、登録、組織化、都市における集客システムの研究を支援しようとしています。 本県のグリ−ンツ−リズムを将来にわたって定着させるためには、例えば都市地域に生活する住民や児童・生徒も含めて、中山間地域の農家にホ−ムステイさせるなどの試みが必要だと考えます。
 本県におけるグリ−ンツ−リズムを、どのように展開させていこうとしているのか伺います。
 また、こうした交流を続けることによって、万一災害が発生した場合、一時的な避難所生活から応急仮設住宅に入居するまでの期間をホ−ムステイによって凌ぐことができると思います。高齢化が進む中山間地域にとっても、こうした交流は心強く感じるに違いありません。
 そこで、中山間地域の体験宿泊施設や農家民宿などを避難居住施設として活用することについてのご所見を伺います。

○浜井

 次に、土木行政について、自然環境アドバイザ−制度と道路整備の取り組みについて伺います。
 今回の大震災は、自然の猛威の前に、人間社会が持つもろさをまざまざと見せつけてくれました。
 それは、自然との共生の許容範囲を超える開発や、社会資本の整傭と人間の生命の安全が必ずしも両立しないということでもあります。また、街路樹のある一定の幅員の道路や公園などが火災の延焼防止に極めて大きな役割を果たしたことも今回実証されました。
 平成5年5月に閣議決定された第11次道跨整備5箇年討画では、「生活者の豊かさを支える道路整傭の推進」、「活力ある地域づくりのた目の道路づくり」と並んで「良好な環境創造のための道路整備の推進」が掲げられ、地球温暖化防止、自然環境との調和が基本的なコンセプトとなりました。
 地球規模での自然環境保全という、現代工業社会が抱えた大きな課題の解決に向けて、近年は、特に自然環境に配慮した土地利用の推進や公共施設の整備において、中でも道路の建設に際しては、けもの道の確保など、自然環境との調和を図るエコロ−ドやビオト−プなどの整備手法が強く求められるようになりました。
 こうした国の考え方を受けて、昨年9月、本県も静岡県適路環境計画を策定し、世界遺産登録運動が高まりつつある富士山を初め、多くの景勝地に恵まれた本県の自然環境に配慮した遣路整備への取り組みを始めたところであります。
 建設省中部地建では、こうした趣旨に沿った道路整備を推進するため、道路の建設に当たって、現地での専門的、技術的な指導、助言を行う自然環境アドバイザ−制度を創設し、中部地建管内で17人、うち本県からは4人が委嘱されていると聞き及びます。
 本県の道路整備においても、このアドバイザ−制度を活用すべきだと考えますが、ご所見を伺います。 また、本県の自然環境に配慮した道路整備の取り組みについてどのように進めていこうとしているのか、あわせて伺います。


○浜井

 次に、住宅行政について伺います。、
ロ−コスト住宅の研究開発についてであります。昔は、「衣食足りて礼節を知る」といいました。戦後も半世紀を経過する間に豊かな時代が到来し、飽食の時代とまで今日では、衣食が充足し過ぎて・かえって礼節を忘れ去ってしまつたように思われます。
 また、衣食に住を加えれば、人間の生活に最低限必要な要素はそろうのでありますが、狭い国土の中で、1億2千万人余の総ての国民、3百74万県民が豊かさを実感できる住生活の実現を図ることは、政府並びに本県にとっての大きな命題のひとつであります。
 また今回の震災に関連して、3,3平方メ−トル当たり平均55万円、アメリカの2倍といわれる住宅建設コストが、復興の歩みを遅らせるのではないかとの懸念も聞こえてきます。
 建設省は既に昨年の3月、平成6年度から3カ年の計画年次を決めて、住宅建設コスト低減に関するアクションプログラムを策定し、従来の土地政策に加加え、各種規制の見直しなどを通じた土地の有効利用の推進・開発許可の弾力化・定期借地権制度の活用などの検討を始めました。
 通産省も昨年9月から、省エネルギ−住宅や地球環境に配慮したリサイクル住宅などの研究を進め、西暦2000年までに住宅建設コストを30%削減する「ハウスジャパン構想」を実現することとしています。
 県が新年度に計上したロ−コスト住宅普及促進事養は、住宅コストと性能に関する情報提供を行うこととしています。住宅建設コストの直接的な低減のため、県として実施できる施策は限定されているとはいうものの、間伐材の利用促進、中小建設業者を対象とする異業種交流や資材・部品の共同調達、産直購入などを諮る共同化の推進などについて研究していく必要があると思いますが、ご所見を伺います。


○浜井

 次に、教育行政について、まずスク−ルサポ−ト推進事業について伺います。
昨年12月に愛知県で起きた大河内清輝君のいじめによる自殺事件は、小・中学生の子供を持つ親と教育関係者の双方に大きなショックを与えました。
 その記憶もまだ覚めないうちに、今度は浜松市で同じような痛ましい事件が再発してしまいました。
 文部省専門家会議は、登校拒否は、特定の性格傾向を持つ子供に起こるとした従来の見解を、登校拒否はどの児童・生徒にも起こり得るものに改め、学校が子供にとって精神的に安定できる心の居場所になるよう求める資料を作成したのは、つい昨年のことでありました。いじめに遭って死を決意するに至った子供たちにとって、学校は決して心の居場所ではなかったということであります。
 それにしても、な普こうも簡単に命を捨てる子供ができるのか理解に苦しむところがありますが、高度経済成長路線を駆け抜けてくる過程で、子供たちは高度惰報化や高学歴社会の犠牲となって、心身ともに疲れ果ててしまったのかもしれません。
 静岡県全体のいじめは、平成5年度が516件、6年度は649件と報告されています。浜松市内の小・中学校における平成5年度のいじめは143件、平成6年度は89件であったため、浜松市では、いじめはやや鎮静化の傾向にあると認識していたようであります。 新年度予算に計上されたスク−ルサポ−ト推進事業は、臨床心理士などのカウンセリングの専門家に、主としていじめに対応する活動を委嘱するものであると承知しています。 文部省においても新年度予算の中で同様のカウンセラ−派遺事業を予定しているということでありますが、本県のスク−ルサポ−ト推進事業と連携できるものであるのか、あるいは、相違点があるとすればどこにあるのか、まず伺います。

 いじめは深く潜行し、深刻な状況にあると指摘する大人の声はあちこちから聞こえてきます。しかし、事件があるたびに感じることは、教師にも学校にも家族にも、地域社会を構成している周囲の大人たちも含めて、子供たちの本当の叫び声を受けとめるチャンネルがどうしてないのだろうということであります。
 今回、スク−ルサポ−トを実行するカウンセラ−は、とりあえず4人と聞いておりますが、余りにもこれは少なすぎると思うのであります。
 将来の課題として、各学校に1人程度のカウンセラ−もしくはカウンセリング教員を養成し、きめ細かな対応を図るべきだと思いますが、ご所見を伺います。

○浜井

 教育行政のうち、次は教職員の避難生活対応マニュアルの作成について伺います。
被災して数日後、避難所となったある学校では、恐怖の体験に打ちひしがれている大人達ではなく、子ども達が真っ先にジュニアボランティアを結成し、率先してトイレや避難所の掃除に取り組み始め、こうした子ども達の後ろ姿に、負うた子に浅瀬を教えられるように、大人達も元気を奮い起こされたとの報道記事に接したときには、何か明るい気持ちになったものでした。
 そして、今回の震災で避難所となった多くの学校施設などでは、校長、教頭をはじめとする教職員が重要な役割を担って活躍したことは、特筆すべきことであります。
 地震発生後に避難所となるものの大半は小・中学校であります。特に本県の場合は、避難生活計画、運営は自主防組織にゆだねることになっています。
 避難所となる学校の関係者も、避難生活についての計画策定に参画し、施設管理者、そして教育者としての意見を計画の中に組み込んでおく必要があると思うのであります。
 それぞれ地域性が異なりますから、一律にというわけにはいかないと思いますが、提供する避難所の管理権者である教育委員会として、教職員の避難生活対応マニュアルの作成について、教育長のご所見を伺います。

○浜井

 次に、警察行政についてのうち、障害者に配慮した警察活動について伺います。
まず、ファックス110番について伺います。今回の震災における死傷者の過半数は高齢者でありました。車いすの被災者が、近所の住民に励まされながら瓦れきの中で生き抜いていこうとする報道写真に心を打たれましたが、震災時であれ平時であれ、心身が健常な者も、そうでない者も、ひとしく生きていける社会づくりは大切な課題であると思います
 さて、県警が平成5年の5月から設置した110番に電話することが困難な聴覚・言語機能障害者のためのファックス110番制度は誠に好企画であるとは思いますが、開設1年間の通報件数は少なかったと聞きました。通報がなかったということは、相談するだけの悩みなどがなかつたと、これを善意に理解したいと思います。
 そこでファックス110番のその後の活用状況はどのようになつているか。また、今後の積極的な活用方法について伺います。

○浜井

 次に障害者に優しいソフト面の警察活動についてです。昨年度から警察庁は、障害に優しい警察活動を推進するため、こうしたソフト面の整備に加え、第一線に立つ警察官などを対象にした手話通訳の資格取得への配慮とか、ボランティァ活動参加への助成などについての対策を進めているとききます。
 本県では、障害者の気持ち重視した警察活動のどのような対策を実施しているのか伺います。

○浜井

 次に地震発生後の警察活動についてであります。警戒宣言が発令された場合は、およそ五千人の警察官が避難誘導、道路通行制限などを行うことになっており、地震が発生した場合の警察官の大きな任務は、まず住民の安全のための避難路の確保、次に、火災消火活動と死傷者の搬送のための道路の確保にあると思います 地震発生後の通行規制については、今回の震災の場合、決して成功したとは思いません。
hんけんの場合は、通行規制の方策として、緊急輸送を行う車両を事前に登録する制度を全国に先駆けて導入することにしていますが、現場で混雑する交通を円滑に処理する信号の予備電源の確保がまず必要になります。次に、配傭につく総ての警察官の対応に乱れがあってはいけないということであります。
 その一方では、地域牲も考慮した規制と誘導も求められるものと恩われます。現実的には、登録車両以外の車両が避難路等に入り込んできた場合、迂回も退避も困難なスペ−ス内での規制の実効性には疑問を感じます。
 警察本部長は、地震発生後の交通規制を中心とする警察活動について、どのような問題意識を持ち、どのように対応されていこうとしているのか伺います。


○石川知事

 浜井議員にお答えをいたします。
まず、財政運営についてのうち、震災による本県経済への影響についてであります。
本県経済は、全国の経済状況と同様、一部に懸念材料はありますものの、総じて緩やかながら回復に向けた動きが広がっていると考えております。しかしながら、こうした中で発生いたしました阪神.淡路大震災によりまして、関西地域の経済活動は大きな打撃を受けており、本県経済への影響につきましても懸念されるところであります。
 県におきましては、県内の商工団体や下請中小企業などを対象に、県内企業の地震による影響を調査いたしましたところ、食品等緊急物資などでは被災地への需要が増加している面も見られますけれども、関西方面からの資材や部品の調達が困難になったり、同方面への出荷が減少するなど、マイナス影響の出ている企業があるとの報告を受けております。
 例えは、本県の地場産業でありますサンダル業界では、主要材料供給地であります神戸からの人荷がストップするなど、生産面に影響が出ている企業もございますし、また、自動車・輸送関係の企業では、タイヤの入荷が見込めずに、一部、今後へ不安が残るというような企業もございます。また、観光地では、団体客を中心に各地でキャンセルが発生していると伺っております。なお、この観光地の団体客中心のキャンセルは、その後、場所によっては、大阪方面の方からは回復をしてきている兆しがあるという例も聞いております。県といたしましては、こうした影響を受けます中小企業に対しまして、災害対策資金の緊急融資を実施しているところでありますが、関西地域におきます県内地場産品等の需要の減少や、下請企業等における親企業からの受注減少や支払代金の遅延などにより、今後、影響が更に顕在化してくる懸念もございますことから、引き続き地震の影響には十分留意をして、的確かつ機動的な施策を展開してまいりたいと考えております。

○石川知事

 次に、新年度予算の基本的な考え方と今後の補正対応でございます。
平成7年度当初予算は、景気が緩やかながら回復基調にありまして、それを反映して、県税も若干の増収が見込まれますものの、依然、6年前の水準にとどまっております。
 一方で、社会基盤整備や阪神淡路大震災を教訓とした防災対策の充実など、財政需要も山積しておりますことから、昨年度に引き続き、厳しい財政環境の中での編成ということになりました。
 このため、行財政改革の一層の徹底に努めますとともに、中長期的な財政運営に十分配慮しつつ、国庫支出金等特定財源の確保や、基金、県債の活用など、財源の確保に最大限の努力を払いました。
 その上で、新世紀創造計画を着実にスタ−トさせることを念頭に、年間総合予算として編成したところでございます。
 浜井議員ご指摘の防災対策の推進につきましては、今回の阪神淡路大震災の経験から、新たな課題も出てきておりますので、当初予算におきましては、とりあえず県、市町村、自主防災組織が一体となって震災対策の総点検を行う、そのための予算をお願いしておりますし、また、その調査の結果を早急に取りまとめまして、緊急に実施をし得るものが出てまいりましたものについては、基本的には枠設定単独事業に計上いたしました臨時地震対策整備事業20億円等によって当面対応していく考えでございます。
 しかしながら、この総点検の結果、あるいは国の防災計画の改定が出てまいります
と、補正の措置も必要となることも十分考えられますことから、そうした場合には、国庫支出金や地方交付税等の確保に一層努めながら、県債や基金のさらなる活用も図りつつ、できれば6月の県議会にもお諮りしてまいりたいと考えております。


○石川知事

 次に、防災対策についてのうち、災害ボランティア対策でございます。
 今回の兵庫県南都地震によります被災地では、全国、さらには海外からの数多くのボランティアが訪れ、避難生活の支援や救援物資の配送など、さまざまな分野で活躍していると伝えられております。
 本県では、東海地震の発生直後には、まず自主防災組織が応急対策を実施するとの考え方のもとに、これまで自主防災組織の育成を鋭意図ってまいりました。しかしながら、今回のような深刻な被災、災害を考えますと、避難所の運営や長期にわたる避難生活を支えるためには、市町村職員、自主防災組織の活動に加えまして、ボランティアの活躍に期待するところが大変大きいと受けとめております。
 我が国では、米国などに比べてボランティア活動の歴史が浅いことから、現状では受け入れ体制の不備などが指摘されています。
 最近の雲仙を初め北海道奥尻島、あるいは釧路地震、あるいは今回の大震災等でも、特に初期段階でのボランティアの受け入れにいろいろ円滑さを欠くというようなことから、大変混乱や批判が生じています。
 本県としては、特に今回のボランティァ活動を調査分析し、ボランテイアの要請と期待する役割、県外からのボランティア数の想定、受け入れ窓口などについて十分検討し、できるだけ早い時期に受け入れ体制を整備して参りたいと考えております。
 また、特に東海地震が発生した場合には、披害が県下全域に及ぶものと想定されておりますことから、県内9カ所にある県行政センタ−の防災活動中核拠点としての機能、この機能のより一層の充実強化を図る必要があると考えております。
 その重要な任務の一つとして、ボランティアの受け入れと活動の調整などの業務も担う必要があろうかと考えておりますが、しかし、実際の被害発生状態を想定いたしますと、これもすべて県の職員、行政ですべてそのボランティアの受け入れ窓口役を果たし得るとも考えにくい面もございます。
 そこで今後、県の役割は、例えばボランティアに関していえば、県の役割は、被災状況、応急対策の必要性、必要とする種類や量や、どこの場所でそういう活動が必要か、そういう情報をまず収集をすると。その上で、その中でさらにボランティアに依存する分野とか、業務量は、あるいは場所はどういうとこかという振り分けをいたしまして、その上でボランティァによる、ボランティアの人たちによって、今度はボランティアの受け入れとか手配はボランティアにしていただくと。そういう連絡口をボランティアでもつくってもらうというようなことを含めて考えていきたい。そのためには、この行政センタ−以外にも、そのための拠点となる場所が必要だと考えます。
 そこで、場所と、そういう活動していただくための日ごろからの一種の訓練といいますか、常時体制の整備も必要になってくると思いますので、これは例えば、そういう拠点の整備を行政センタ−単位に行っていくということも必要になろうかと、今検討をいたしております。
 この拠点は、災害のないとき、平常時は、高齢者対策でありますとか、あるいは文化、青少年活動でありますとか、あるいは、その他各種のいろいろボランティア活動が国際交流も含めまして盛んになっておりますので、そういうボランティアもしくは地域の交流拠点という場として活用していただくと。災害時には防災ボランティア活動の拠点になると、そういうふうなことも整備をする必要があろうかと、いろいろ検討をいたしております。

○石川知事

 次に、新世紀創造計画についてのうち、地域連携軸の強化についてであります。
県づくりを進める上で、国内外との人・物・情報などの活発な交流や産業、文化など幅広い分野における連携を通して地域ににぎわいと活力をもたらしていくことが、今後一層重要になってくるものと認識をしております。このため、新世紀創造計画におきましても、「交流と連携」を基本的な理念の一つとして掲げ、本県の将来の県土構造の中に、地域連携軸、交流軸を明確に位置づけたところでございます。
 またこれまで、長野、愛知両県と3県知事会議や東西県境地域におきます県際シンポジウムの開催、あるいは本県から神奈川県に通じる国道246号沿線のサミットの実施など隣接県との県際交流にも積極的に取り組んで参りました。
 今後とも、山梨県につきましては、太平洋と日本海側を結び、さらには関東大環状軸を構成することとなる中部横断自動車道の建設促進につきまして連携を深めて参りたいと考えております。
 また、これまでに実施をされて参りましたシンポジウムなどの交流事業に加えまして、広域的な物流や産業技術の交流の展開なども図ってまいりたいと考えております。
 神奈川県につきましては、ともに太平洋ベルト地帯を構成する隣接県として、これまでも活発に交流して参りましたが、今後、第二東名自動車道の建設や観光のネットワ−ク化などを通じまして、産業、経済、文化、防災などの一層幅広い分野で両県の関係を深めて参りたいと考えております。

○石川知事

 次に、環境行政についてであります。
まず、地球温暖化対策についてでありますが、地球温暖化対策は、国際間の協力等国の取り組みが基本でありますが、地域の人々の日常生活や事業活動とも深くかかわりを持つ地域の環境問題でもありますことから、その解決には、県民、事業者の理解のもとに、民間と行政が一体となって取り組むことが重要であります。
 県といたしましては、平成4年度に静岡県における地球にやさしい実践行動計画を策定をし、その中で、県民、事業者、行政の取り組むべき項目を定め、市町村職員に対します
研修会や小・中学生向けの環境読本の作成など、環境教育の推進に努めてまいりました。 そのほか、温暖化やオゾン層の破壊の原因でありますフロンにつきましては、本年度から市町村の収集する、廃棄された家電製品からの回収を推進するなど、各般の施策を推進しております。
 温暖化の主な原因であります二酸化炭素につきましては、昨年度、県レベルでのマスタ−プランを作成するためのマニュアルが国から示されましたので、現在、これに基づき、1990年レベルの排出量を捕捉いたしますとともに、これを基準とした将来予測を行っており、平成7年度末までには、産業や民生、運輸といった部門別に、有効な排出抑制対策を明らかにした静岡県地球温暖化防止地域推進計画、仮称でありますが-この地域推進計画を策定をして、施策の具体化を図って参りたいと考えております。

○石川知事

 次に、被災後のごみ対策についてであります。静岡県地域防災計画におきましては、発災後のごみ処理対策は、市町村が速やかに仮集積所を定め、集められたごみを処理場へ搬入することとされており、一時的に、かつ大量に発生する残骸物等の処理につきましても、東海地震に伴う残骸物の応急処理計画作成指針により市町村が計画を定め、自主防災組織による仮置き場の確保、市町村による仮集積場及び運鍛輸送経路の設定など、非常時の処理体制を整えているところでございます。
 しかしながら、今回の阪神.淡路大震災におきましては、想定をはるかに超える大量の残骸物の発生、活動要員の不足、道路の大規模な損壊による大型車両の活動の制約、ごみ焼却施設の損壊など、円滑なごみ処理を妨げる多くの問題が発生をいたしております。
 また、本県のこれまでの想定をしてまいりましたごみの仮集積場も、河川敷でありますとか海岸をかなり期待をしておるわけでありますが、仮に地震が天候の比較的いい時期に発生すれば問題はないわけでありますが、洪水時とか、大雨が降れば、そういう場所も必ずしも集積場として利用できるとは限りませんので、その面での見直しも必要になってくると存じます。それらの見直しも含めまして、今後、場所の問題、処理運搬機具の問題、作業員の問題、これらすべてをも包含した、実効性が担保され得るようなものに見直しをして参りたいと考えております。


○石川知事

 次に、福祉行政についてのうち、災害弱者対策についてであります。
まず社会福祉施設の地震対策整傭事業でありますが、地震防災上、改築または補強を要する施設の耐震整備につきましては、いわゆる地震財特法に基づく地震対策緊急整備事業計画によりまして整備を進めて参りました。
 この計画では、昭和55年度から平成6年度までの間に、木造施設の改築を88カ所、非木造施設の改築を10カ所、非木造施設の補強を22カ所の、計120カ所について耐震整備を行うこととしております。
 このうち平成6年度までに113カ所の整備を行い、木造施設の改築が7カ所残っておる状態でございます。この7カ所につきましては、地震財特法の延長を国に要望をいたしておりまして、この延長が図られましたら、その法律の適用を受けて早期に整備をして参りたいと考えております。
 なお、社会福祉施設の耐震性につきましては、耐震診断実施後、既に15年ほど経過しており、その後も経年変化によります老朽化等も予測されます。そこで、社会福祉施設全般について改めて検討して参りたいと考えております。
 また、在宅におきます災害弱者対策についてでありますが、基本的には地域ぐるみの支援体制が不可欠でありますので、県といたしましては、市町村に対し、自主防災組織ごとに要介護者台帳や避難生活計画書などの作成に当たり、災害弱者に対する配慮についての指導をしているところであり、この徹底を図って参りたいと考えております。
 こういういろいろ対策を講じてまいります場合に、一方でプライバシ−の保護といいますか、プライバシ−への配慮、こういうこととのいろいろ対比で、なかなか進まない面もございます。
 今度の阪神淡路大震災の場合でも、淡路島のケ−スを聞きますと、かなり地域的な連携がとれておって、例えば、あそこのひとり暮らしのおばあさんはどこの部屋に寝ているから、すぐあそこを掘り返そうとか、そういうような情報がかなり消防団初め救援に携わっ
た人へ情報が的確に伝わって、大変迅速な救援ができたと。
 しかし、神戸市等の都市地域におきましては、隣は何をする人ぞというような日常の生活のゆえに、そういう面で大変いろいろ困難をきわめたということも聞いております。
 今後、そういうこともいろいろ見ながら、反省しながら、本県なりのいろいろな対応を工夫していかなければならないと考えております。

○石川知事

 次に、農業行政についてのうち、中山間地域におけるグリ−ン・ツ−リズムと農山村ホ−ムステイについてでございます。中山間地域におきますグリ−ン・ツ−リズムの推進は、農林業体験や農山村滞在などを通して、地域の活性化はもとより、都市と農村の共生に大いに貢献するものと期待をいたしております。
 こうしたことから、農家へのホ−ムステイにつきましては、年少のころから農林業と親しむ機会を持ち、農村・農業に対する理解を促進する意味で極めて重要であると考えております。
 このため、平成5年度から農業振興基金の助成によりまして、小学校高学年を対象とした夏休みのホ−ムステイを実施しているところでありますが、グリ−ン・ツ−リズムの将来の発展のためには、こうしたホ−ムステイを一層充実していくことが必要であると考えております。
 現在、学識経験者などで構成いたします研究会を設置いたしまして、本県の農山村地域の実情に即したグリ−ン・ツ−リズムのあり方について検討をいたしておりますが、この中でも、各種の農業体験や都市と農村の触れ合い拠点の整傭、農家民宿や体験宿泊施設の活用などとあわせ、ホ−ムステイを基礎としたツ−リズムの普及、推進の重要性について積極的に取り上げることといたしております。
 また、今後の展開については、本年4月に施行される農山漁村滞在型余暇活動のための基盤整備の促進に関する法律、いわゆるグリ−ン・ツ−リズム促進法に基づきまして、県の基本方針を作成するとともに、各種の助成事業により、宿泊施設を含む、ふるさと交流拠点の整備などを進める考えでございます。
 なお、ご堤言の緊急時の対応についてでありますが、農家民宿を初め体験宿泊施設などは、緊急時の避難地としても有効に活用できると、これは同感でございますので、法に基づく基本方針の策定に当たりましては、こうした視点にも十分留意しながら、静岡県にふさわしいグリ−ン・ツ−リズムを育てて参る所存でございます。
 なお、その他のご質聞につきましては、関係部長、教育長から答弁させていただきます。

○荒木総務部長

 財政運営についてのうち、税収見通しについてお答えいたします。
平成7年度の税収見通しに当たりましての阪神・淡路大震災の影響につきましては、当面は消費マインドに対する一般的な影響や、一部業種への販売・生産面での支障などが懸念されるものの、年後半には復興需要も出てくるものと予想され、プラス、マイナスの両面が交錯していくものと考えられるところでありますが、年間を通して見れば、景気そのものは緩やかに回複するという見込みに変わ利はない者と判断し、県税収乳を見込んだところであります。
 平成7年度におきましては、、各税目とも、かつての景気回復期のようなV字型の急速な回復は見込めず、前年度決算対比で見ますと、法人2税で4,2%増、その他の税で1,0%増、県税全体では2,2%増と、低い伸びにとどまるものと予測し、4千6百10億円を計上したところであります。
 いずれにしましても、阪神.淡路大震災の影響も含めた今後の経済動向を慎重に見きわめながら、当初予算計上額の確保に努めて参りたいと考えております。

○荒木総務部長

 次に、防災対策についてのうち、新幹線の安全性についてであります。
東海道新幹線の東海地震対策は、旧国鉄時代から進められ、民営化の後、JR東海に引き継がれたものであり、その基本的な考え方は、警戒宣言が発せられた場合は、最寄りの駅で運行を停止し、乗客の安全を図り、発災後の長期不通防止を図るため施設の安全性強化を推進するなどとなっております。これに基づき、JR東海では、橋梁、トンネル、斜面、盛り土など具体的な施設の安全性強化対策を平成4年度までにおおむね終了したと伺っております。
 しかしながら、今回の災害では、高架橋の落橋など、これまでの我が国の地震災害では見られなかった被害が発生しておりますことから、県としては、改めて構造物の安全点検を実施するようJR東海に対し申し入れを行ったところであります。一方、運輸省では、鉄道施設耐震構造横討委員会を設置し、新幹線を含む鉄道施設全般について新たに耐震基準を見直すと伺一ておりますので、東海道新幹線にっきましても、新しい基準に基づい.て地震対策の見直しが行われるものと考えております。

○荒木総務部長

 次に、新世紀創造計画についてのうち、災害対策連携軸の構築についてであります。
お尋ねの仮設住宅につきましては、本県では、東海地震が発生した場合に備えて、昭和54年に社団法人プレハブ建築協会と、災害時における応急仮設住宅の建設に関する協定を結びまして、同協会から供給可能戸数について毎年定期的に報告を受け、応急仮設住宅の円滑な供給を図ることとしております。
 しかしながら・現時点における震災後の供給可能戸数は、第2次被害想定の結果では不足しておりますことから、今回の震災を契機に、改めて仮設住宅の安定供給方策について、市町村と一体となって多面的に検討することとしております。
 また、現状で東海地震が発生した場合には、国を通して広域的に関係業界等に対し仮設住宅や建設資材の提供を協力要請するほか、公営住宅の確保、民間の貸し家、ホテル、旅館などの措り受け、さらに福祉施設やホ−ムスティの活用などによって、被災者用の住宅を確保しなければならないと考えております。
 震災時における他県等との連携につきましては、昭和52年に関東ブロツクの1都9県及び中部ブロックの9県1市との間で仮設住宅の確保の問題に限らず、人的、物的を含めて幅広い内容の応援協定をそれぞれ締結しておりますが、今回の地震の教訓なども踏まえ、今後は隣接県だけでなく、全国的な広域の連携、応援協力体制の構築が必要であると受け止めております。
 特に本県は、全国知事会の地震対策特別委員会の会長県でもありますので、今後、全国知事会の場で、地震災害時における各都道府県相互間の応援体制のあり方について早急に検討を行い、都道府県相互間の応援体制を確立するとともに、国の制度改正等を必要とするものにつきましては、国に対し強く働きかけて参りたいと考えております。

○飯塚民生部長

 福祉行政についてのうち、中高年後期障害者対策についてお答えいたします。
常時介護を必要とし、家庭での介護が困難な重度身体障害者の治療と療護を目的とした身体障害者療護施設は、平成元年度の6施設、定員440人でありましたものが、平成6年度には9施設、定員600人まで整備が図られて参りました。
 これらの施設の入所者の状況を見ますと、障害の重度化等に伴い、入所期間5年以上の方が60%を超える状況になっており、新たな入所需要のすべてについて対応できる状況には至ってない現状にあります。
 このため、県といたしましては、平成5年度に策定した「ふじのくに障害者プラン」において、障害の重度化に対応した施設整傭の促進を重点課題に位置づけ、積極的な推進を図ることとしております。
 このうち身体障害者療護施設につきましては、本年度建設中の一施設、定員50人に加え、平成7年度には2施設、定員100人の整備が図られる予定であります。
 今後とも、自立に向けた訓練を行う更生援護施設や授産施設、重度者に対応できる身体障害者療護施設の整傭の促進を図るとともに、医療との連携を図りながら、中高年後期障害者が個々の障害の状況に応じたリハビリを受けられるよう、施設機能の充実にも努めて参りたいと考えております。以上であります。

○鶴田保健衛生部長

 保健医療行政についてのうち、難病対策についてお答えいたします。
難病とは、原因が不明であって、治療方法が未確立であり、かつ後遺症を残すおそれが少なくない疾病や、経過が慢性にわたり、壊に経済的な問題のみならず、介護等に著しく人手を要するために、家庭の負担が重く、また精神的にも負担の多い疾病であります。
 このことから、国におきましては、昭和47年度に難病対策要綱を設定し、調査研究の推進、医療施設の整傭、医療費の自己負担の解消等の施策を進め、さらに平成元年度からは、相談事業や訪問診療など地域保健医療の推進を加え、その対策を行ってきたところであります。
 県におきましては、現在、国が指定している36疾患に加え、エンド久慈で3疾患を指定し、約1万4千人の患者さんに対し医療費の公費負担をするとともに、難病関係団体の皆さんの活動に対する支援、助成等を実施しているところであります。
 また、本年度からは、患者さんやその家族に対し、疾病等に対する不安の解消を図るとともに、地域における在宅医療を推進することを目的とした日常生活の相談や訪問診療の実施に加え、在宅で人工呼吸器を使用している患者さんを対象とし、病体の急変、機器の異常等により緊急に一時入院することが必要となった場合に対応するための事業を、他県
に先駆けて実施しているところであります。
 なお、国におきましては、難病対策専門委員会の中間報告を踏まえ、対象疾患の範囲の見直し等、その難病対策のあり方についての検討がなされているところであります。
 本県としましても、この国の動向を見ながら、静岡県特定疾患対策協議会の御意見を聞くなど、その取り組みについて検討して参る所存でございます。

○鶴田保健衛生部長
 
 次に、被災後のメンタルケアについてであります。本県の医療救護計画は、予想される東海地震発生後の負傷者等に対する応急拠眉がおおむね完了するまでの間の医療救護体制について定めているものであります。
 今回の阪神・淡路大震災におきましては、救護を必要とする疾病が、時間の経過とともに変わることが明らかになりました。
 その一つとして、議員ご指摘のように、精神的問題がクロ−ズアップされ、災害でダメ−ジを受けた方々に、余震恐怖、不安、不眠、めまい等の症状が見られました。
 特に、高齢者や子供におきましては、茫然自失や失語状態になってしまうなど、より心の痛手が大きいといわれております。
 また、集団避難を余儀なくされていることにより精神的苦痛も多く、メンタルケアが求められております。一方、行政的には、一元的な情報収集と調整能力が不十分なため、精神科医師を初め、専門スタッフの迅速かつ適正配置の遅れなどの問題が指摘されているところであります。
 本県で予想される東海地震における対応につきましては、今回現地に派遣した精神科医療救護班の実践報告を踏まえ、さらに、阪神・淡路大震災後の事例につきまして調査研究を行うな.ど、今後、メンタルケアの中枢機関であります精神保健センタ−の機能強化を含め、その対策について積極的に取り組む所存でございます。

○秋山農政部長

 農業行政についてのうち、認定農業者の育成についてお答えいたします。
市町村基本構想の策定状況につきましては、現在までに浜松市など9市町の承認を行い、16市町村について承認のための事前審査を行ったところであります。残りの市町村につきましては、現在、農林事務所と内容を協議中であり、年度内に承認をすべく鋭意努めております。
 また、基本構想に基づく農業者の認定の動向についてでありますが、に音程要領の作成や審査期間の設置の他、農業者への周知等に期間を要しましたことから、現在のところ、ごくわずかな認定件数にとどまっております。
 しかしながら、市町村には農業者からの要望や照会が多数寄せられておりますので、経営改善支援センタ−において、認定に必要な経営改善計画の作成指導や経営相談などを行うとともに、各地域ごとの集団的な申請を指導していることから、今後順次、認定農業者が増加してくるものと考えております。
 なお、この認定制度は、将来における一定経営規模の農業者を育成することを目的としたものでありますので、大規模農家に限らず、営農意欲があり、将来性が見込まれる農業者につきましても積極的に認定するよう、市町村を指導してまいる所存でございます。

○山田土木部長

 土木行政についてお答えいたします。
自然環境アドバイザ−制度と道路整備の取り組みについてでありますが、まず、自然環境アドバイザ−制度は、建設省中部地方建設局が、管内の自然環境と調和した道路整備を推進するに当たり、専門家の助言や指導を受け、その計画や立案に反映をするため、昨年12月1日に発足をさせ、本県の4名を含む学識経験者17名を12月14日に委嘱したものであります。
 県といたしましては、自然を生かした美しい県土を創造するという点から、自然の豊かな地域における道路整傭に当たりましては、自然と調和した環境に優しい道路整備が非常に大切であると考えております。このため、自然環境との調和や自然の再生という観点から、保全すべき動植物やその保全方法などについて具体的な指導をいただくために、この自然環墳アドバイザ−制度を積極的に活用してまいる所存であります。
 また、自然環境に配慮した道路整備の取り組みについてでございますが、本県の道路整備に当たりまして、豊かな自然と良好な環境を将来の世代に継承するため、静岡県道路環境計画を踏まえて、自然環境との調和、生活環境の向上、地球環境の保全の3つの視点から、人と自然に優しい道路環境の形成を図ることといたしております。
 このため、地域の自然環境を考慮した路線の選定、あるいは構造形式の採用などの配慮を行うとともに、のり面などにおきましても、地域に植生をしている樹木の利用による緑化に努めるなど、人と自然環境に配慮した道路整備に努めてまいる所存であります。


○石神都市住宅部長

 住宅行政についてお答えいたします。
口−コスト住毛の研究開発についてでありますが、これからの住宅政策を進める上におきましては豊かさを実感できる住宅の実現に向けて、住宅建設コストの低減のための施策の展開が必要になってきております。
 住宅コストの低減は、県民の住宅所得の負担軽減や居住水準の向上、さらに家具等の関連需要の喚起など、広い分野での経済波及効果をも期待できるものであります。
 特に、本県の持ち家建設戸数の7割を占める木造住宅について、質の高い住宅が低廉な価格で供給されることは、県.民の根強い持ち家志向への対応、さらには本県の木材産業の振興を図る上でも重要な政策課題であると認識しております。
 県といたしましては、これまで、地場産業の活性化やコスト削減効果の期待できる産直住宅の推進、中小工務店等に対する各種研修などに努めてきたところであります。
 平成7年度より実施することとしているロ−コスト住宅普及促進事業におきましては、木造展示モデル住宅の計画、建設等を通じて、県産材の活用、工法の合理化等を検討し、あわせて産直住宅の一層の推進、供給体制の整備、県民に対する住宅建設コストと性能に関するわかりやすい情報提供などに努めることとしております ご提案の異業種交流、部品の共同調達等につきましても、各界からのご意見をいただきながら.関係部局との連携を密にし、取り組んで参りたいと考えております。以上でございます。

○大野教育長

 教育行政についてのうち、スク−ルサポ−ト推進事業についてお答えいたします。
今回の浜松市の中学生の痛ましい事件は、本人の苦しみはもとより、ご両親、関係の方々のお気持ちを察しますと、誠に心が痛む思いでございます。再びこのような事件が起きないよう、事態を厳しく受けとめ、いじめ問題の解決に向け、きめ細かく指導して参りたいと存じます。
 さて、子供の心の変化はますます多様化、複雑化し、学校だけでなく、相談機関や専門家との密接な連携を図りながら、子供の立場に立って、さらに一歩踏み込んだ対応が求められてきております。
 そこで、いじめ問題や登校拒否対策として、文部省ではスク−ルカウンセラ−を調査研究校に専属配置することとしておりますが、本県ではそれに加え、臨床心理士などをスク−ルサポ−タ−として委嘱し、学校等の要請によって巡回指導、巡回相談を行い、できるだけ幅広く、多くの学校を支援する体制を整えて参ります。今後とも、カウンセリング講座や生徒指導講習会など、教職員研修の充実を図り、教職員が子供一人一人の心の内面まで見詰めて援助ができるよう、その資質の向上に努めて参る所存でございます。

○大野教育長

 次に、教職員の避難生活対応マニュアルの作成についてでございます。今回の阪神・淡路大震災の被害の状況を伺いますと心が痛み、.被災された方々に心からお見舞い申し上げる次第でございます。 本県の地域防災計画では、災害が起きた場合には、公園や小・中・高等学校などが避難地としてしていされており、住民の生命と安全を確保するための防災空間になるとともに、応急救護の活動拠点となります。
 また、災害発生後の避難所の管理運営につきましては、原則として市町村が自主防災組織の協力を得て組織運営することとなっておりますが、今回の被災地の状況から見ますと、教職員も市町村の職員や自主防災組織、罹災者と共同して、より適切に対応する必要があると考えております。
 県教育委員会といたしましても、今後予想される東海地震に向けて、被災時や避難所での教職員の対応について、関係機関と協力しながら、学校が避難所としての機能を十分発揮できるよう、マニュアルの作成に向けて鋭意検討して参りたいと考えております。


○泉警察本部長

 警察行政についてお答えいたします。
まず、障害者の気持ちに配意した警察活動の推進につきましては、職員一人一人が障害者の心情に対する理解を深め、障害者の立場に立って考える、これを基本として、施策の推進を図っているところであります。
 最初に、ファックス110番の利用状況でありますが、県内におきましては、昨年1年間で、盗難等の被害申告、パトロ−ルの要望など14件の利用がありました。ちなみに、本県を除いた関東各県の昨年1年間のファツクス110番の平均利用数は6,6件でありました。
 今後の積極的な活用という点につきましては、ファックスそのものの普及率の問題もありますが、引き続き県ろうあ福祉連合会、県中途失聴難聴者協会等を通じて広報するほか、警察独自でも広報紙、各種会合などを通じまして、ファツクス110番制度そのものについての広報、またそれが必要となった場合に積極的な活用をしてくださるよう、広報、啓発をしていきたいと考えております。

○泉警察本部長

 次に、障害者に優しいソフト面の警察活動につきましては、聴覚障害者が警察署を訪れた際に必要とする手話能力の向上を図るため、警察署単位で講習会を開催するなどの自主的活動を積極的に実施するとともに、車いす利用の疑似体験による保護対策の問題点の把握や、運転免許関係では、受験相談担当係の配置、運転適性アドバイス体制の確立などにより、障害者の立場に立った警察活動に努めているところであります。
 個々の職員の自主的活動につきましても、自主性、創造性を尊重しながら、積極的に奨励しているところであります。今後、手.話につきましては、県下的な講習会の開催により、通訳者の育成に努め、聴覚障害者に対する応接の向上を図って参りますとともに、他の障害者の方に対しましても、街頭における保護・誘導活動を積極的に展開し、障害者の気持ちに配意した警察活動の推進に努めていきたいと考えているところであります。
. 
 次に、地震発生後のの交通対策についてであります。地震発生後の緊急輸送路などの道路交通の確保にについては、あらゆる災害応急対策の前提として、最優先に対処すべきものであると認識しており、平素から地震発生時に予想される事態を想定し、具体的な手段、方法について実践的な訓練をするなど、各種対策を推進してきたところであります。
 地震発生後は、警察力を大量に投入し、災害応急対策のための道路交通の確保に努めることとしておりますが、被災の状況によっては相当の困難が予想されますので、今後、県当局の災害対策の見直しを踏まえ、また、今回の阪神・淡路大震災における交通状況の事例に学びつつ、地域の実情に即した実効ある交通対策の手法について検討し、地震発生後の交通対策に係る計画の見直しや、また、この実施に必要な資機材の整備、より一層実践的な訓練等を行ってまいりたいと考えております。また、発災時には、車の運転を極力抑止することが何よりも不可欠でありますので、この点について、県民の理解と協力を得るための啓発活動を推進していく所存であります。