県議会代表質問
  平成11年6月議会  
    

1 公共事業の効果について
    1)景気対策としての公共事業の効果
    2)景気対策のための補正予算の考え方
    3)赤字地方債の考え方

2 景気対策について
    ・ 経済財政連絡会議

3 ベンチャ−企業育成策について
4 地元中小建設業対策について
     1)土木工事の地元受注機会の徹底
     2)建築工事の地元受注機会の徹底
     3)農林水産工事の地元受注機会の徹底
5 資源管理行政について
    1)県産材活用状況と林野行政の将来展望
    2)
公共建築物における木材の活用
    3)洋菜の種子の確保
    4)水産資源としてのアサリの確保

6 環境行政について
    1)合併処理浄化槽対策
    2)建築確認行政における浄化槽の取り扱い
7 大規模プロジェクトの課題について
     ・音楽公園計画と万歳坂の整備
8 教育行政について
    
1)超高齢社会に臨む学校教育
    2)高校生の中途退学者対策
    
9 警察行政について

    
1)ハイテク犯罪対策室
    2)ハイテク犯罪対策広域ネットワーク化

 

○浜井
  当面する県政の諸課題について、 知事、 副知事、 関係部長、 教育長、 警察本部長にお尋ねします。

 まず、 景気・雇用対策の県の施策のうち、 公共事業の効果について伺います。
 さきに発表された平成10年度の県税収入決算は、 対前年度決算額の93,5%にとどまり、 5年ぶりの減収となりました。
 本年5月末の徴収実績は、 法人2税が当初予算計上時の見込みを上回ったとはいうものの、 浜松信用金庫がまとめた県西部の中小製造業の4月ないし6月期の景況のよいと答えた割合から悪いと答えた割合を引いた値がマイナス43,2で、 1月ないし3月期に比べて0,9ポイント下回ったとしています。
 その一方、 静岡経済研究所が28日にまとめた本年下期の景気見通し調査では、 2000年上期の景気を上昇と見る割合から下降と見る割合を差し引いた値が17ポイント上回って、 雇用なき景気回復の可能性があるとしています。 さらに、 景気回復には財政の下支え、 つまり追加的な景気浮揚策が必要であるともしています。
 さて、 県民の要望を聞くまでもなく、 道路、 河川、 橋梁などの現況を見る限り、 本県の社会資本整備はおくれています。 公共事業はそれなりの効果があると思いますが、 近年、 従来型の公共事業は景気対策として実効性がないという意見も聞かれます。 景気対策としての公共事業の効果について、 知事はどのような考え方を持っておられるか、 まず伺うものであります。
 また、 平成11年度末の財政五基金の一般会計残高見込みは、 およそ532億円にまで落ち込みます。 収入のウエートが高い法人2税の徴収実績も、 スタート台を下げてもなお低迷中であります。 国は5,200億円程度の雇用対策を中心とする第1次補正予算を実施しようとしていますが、 民需の動向を見て、 公共事業の積み増しを含む第2次補正予算の編成も視野に入っているようです。
  公共事業積み増しを含む補正予算編成を国が実施する場合、 本県はどのように対応していこうとお考えか、 伺うものであります。

 次に、 昨年、 政府内においては、 全国的な税収不足の中で、 減収補てん債の発行可能額を超える自治体が出ることを想定して、 1975年の石油ショック時以来2度目の特例となる地方債、 つまり使途を建設事業に限定しない、 いわゆる赤字地方債の発行を模索する動きがあり、 数県がこれを容認する方向を示しております。 当面、 本県には関係がないとは思いますが、 景気の動向次第では検討せざるを得ない場面も想定されます。
 そこで、 発行の可能性も含め、 赤字地方債に対する知事の御所見を伺うものであります。
 景気雇用対策についてのうち、 経済対策連絡会議について伺います。
 五月の企業倒産件数は一千三百六十件で、 前月比一六・六%の増、 負債総額は一兆六千億円余で戦後最悪を記録いたしました。 失業者の数は三百三十四万人、 企業のリストラや倒産による非自発的失業者は百六万人に達しました。 政府の緊急雇用対策、 産業競争力強化策に呼応するため、 本県にも経済対策連絡会議が設置され、 協議が続けられています。 政府案は、 国と地方自治体で三十万人の雇用を目指していますが、 全国の自治体が行政改革に取り組んでいる中で、 この数は多いのではないかという感じがいたします。
 財源など国の次の方針が示されるまでは不確定要素が多いと思いますが、 報道によると、 会議では、 ユニバーサルデザイン関係の仕事、 NPOへの事業委託や外国語やパソコン技能を生かした公立学校の非常勤講師への採用など、 それらの案が出されているようです。 今回交付される緊急地域雇用特別交付金は、 二年間で打ち切られることになっていますから、 交付期間内の不安定雇用というだけでは、 単なる失業を二年間先送りするだけということで終わってしまいます。
 このような問題点を考慮しながら、 雇用対策として国に対しどのような具体の要望をしていくのか。 これは実は昨日の新聞で一部報道されておりますけれども、 経済対策連絡会議の議論も踏まえて、 労働問題のエキスパートであります経済対策連絡会議議長というんでしょうか、 会長というんでしょうか、 御意見を伺いたいと思います。
 次に、 ベンチャー企業育成策について伺います。
 今回の政府の景気・雇用対策の中に、 ベンチャー企業の育成、 支援のための人材ネットワークや資金提供策が盛り込まれました。 しかし、 昨年度、 四十七都道府県と十二政令市のベンチャー支援財団に対する某新聞社の全国調査によると、 投融資額は前年を四三%下回り、 消化率二七%にとどまったことがわかりました。 同様に、 全国のベンチャーキャピタル、 いわゆる投資会社百五十七社を対象とした調査では、 銀行系の投資会社が三八%の減、 証券系が三五%の減となるなど、 金融機関関係会社のリスク回避の姿勢が顕著になっています。
 県内四カ所に置かれたインキュベートセンター入居企業三十五社のうち、 企業活動を中断した会社は一社、 ランクアップした会社一社ということになっています。 今年度中に賃借期限が到来する入居工場など六社の中で、 まだ大きく飛躍した企業はないようです。 平成三年以降、 杉山基金やそれらの意思と基金を引き継いで設立された科学技術振興財団の研究助成対象事業テーマ数は二百九件ありました。 それらのうち、 今回の県の調査で実用化済みと回答をしたテーマは六十一件、 そのうち販売実績のあるものはわずか三十八件と、 回答企業の半分にも満たないことがわかりました。
 通産省によれば、 ベンチャー企業の資金調達の次の関門は、 マーケットや販売ルートだということであります。 ホームページ上に県産品バーチャル情報館を開設することなどを考えてみましたが、 これは既に企業技術、 製造品情報として、 商工労働部の方で、 この夏掲載を目指して工事中というように県のホームページ上で予告されていますから、 これは少しでも早く進めていただきたいと要望しておきます。
 そこで、 全県的、 各階層の委員から成るベンチャー製品販路開拓協議会――仮称――のような組織をつくるとか、 問題はあるものの、 市町村も含めた県下の自治体による積極的な物品調達などについても、 雇用創出のために再度検討する必要があると思われますが、 御所見を伺うものであります。

 次に、 地元中小建設業者対策のうち、 土木事業の地元受注機会の徹底についてお尋ねします。
 建設業とその関連業界は、 これまで幾たびか訪れた不況時の失業者を吸収し、 雇用を維持する役割を担ってきました。 バブル後も、 建設労働者は増加を続け、 三年前のピーク時には六百八十五万人を数えましたが、 その後は十八カ月連続で減少を続け、 ことし四月には、 ついに六百五十万人にまで落ち込み、 中高年を中心に三十五万人の雇用がはじき飛ばされた勘定になります。 ある建設会社の社長さんは、 「今までは年間に四、 五件の仕事があったが、 去年はたったの一件だけ。 我々のようなランクの低い業者は上がったりだよ」 と、 肩を落としながら話す言葉を聞かされました。
 平成六年の県内十一の土木事務所の発注件数は九千八百八十六件、 金額は一千六百十一億七千五百万円余、 同様に昨十年度の発注件数は七千五百七十九件、 二千三百七件の減少であります。 金額は一千五百四十九億八千万円余、 六十一億九千四百万円余の減でありました。 金額で三・八%の減、 件数では二三・三%の減となりました。 平成十年、 県内業者が受注した総額は一千二百七億二千万円余、 件数は六千八百八十件、 九年度に比べて件数は五%増、 金額は一四%増であります。 したがって、 工事一件当たりの金額が上がっていることになりますから、 コスト削減という観点からは好ましいとは言えますが、 地元の中小業者から見れば、 受注機会の減少につながっていると言えなくもありません。  景気・雇用対策として、 地元建設業に対する受注機会の徹底についての御所見を伺うものであります。

 次は、 建築工事の地元受注機会の徹底について伺います。
 昨年十二月議会、 今回の私と同趣旨の質問に対して、 当局は、 前年比件数で一・五ポイント、 金額で三・三ポイント上回っていると回答されています。 この数字を聞くと、 いかにも地元業者の受注機会が増大しているようにも感じます。 しかし、 例えば都市住宅部の建築及び営繕工事の本庁発注分は、 七年度県内業者が受注した件数は百六十一件、 金額は百三億円余、 九六・六%、 県外業者の受注は十九件、 金額は三億六千三百万円余、 全体の三・四%でありました。 昨年十年度は、 県内業者受注件数百八十九件、 受注金額は百三十八億二千六百万円余、 県外業者の受注件数四十七件、 七年度は約一〇・六%でしたから、 十年度はほぼ倍増ということになっています。 十年の総発注金額に対する受注金額は、 県内業者の六九%に対し、 県外業者は三一%の割合となります。 しかし、 これもJV工事、 いわゆるジョイントベンチャー工事参加が、 地元企業にとって単なるペーパージョイント、 発注権を持たないジョイントということでしかすぎないとすれば、 この数字の持つ意味は大きなものになってくると思います。
 建設業経営環境改善対策では、 県内企業への発注の徹底や経常JVの活用促進が示されています。 複数の県内経常JVによるJV企業への発注、 特殊な工法を必要とする工事の場合は、 そのノウハウを持つ大手建設会社を、 県内業者を主幹事会社とするJVにして発注するなどの工夫も必要だと思いますが、 当面は、 JV内における県内業者の地位の向上について強い指導を求めておきたいと思います。
 今回の緊急避難的な景気・雇用対策の中で、 大型建築工事の地元建設業者への発注機会の拡大についてどのように考えておられるか、 御所見を伺うものであります。

 次は、 農林水産工事の地元受注機会の徹底についてであります。
 平成十年度の県内業者への発注件数は、 九年度比で一%、 工事金額も一%、 それぞれ増加しています。 しかし、 平成八年度と比較してみると、 同年の県外業者への発注件数は六五%、 発注金額では八・四%の割合を示しています。 八年度と九年度を比較すると、 県外業者の場合、 件数で〇・八%、 金額で五%伸びていますから、 県内業者は発注件数で〇・二%の増、 発注金額で四%の減ということになります。
 農林水産部として、 地元建設業者に対する受注機会の徹底についてどのように考えておられるのか、 伺うものであります。

 次は、 資源管理行政についてのうち、 県産材活用状況と林野行政の将来展望についてであります。
 森林は、 収穫、 植林、 育林、 そして収穫の循環型資源であり、 環境に優しい貴重な資源であります。 本県の林野面積は五十万三千ヘクタール、 森林率は六四・七%、 民有林の人工林面積は全国第九位、 全国平均を上回る人工林率六〇%のうち五六%が樹齢三十年から五十年の伐期を迎えようとしています。
 平成八年、 「重要な林産物の需要及び供給に関する長期見通し」 の中で、 国は平成十七年の自給率は二八ないし二九%に、 平成二十七年には三〇ないし三二%に達するとする極めて楽観的な見通しを述べながら、 他方で、 時代の趨勢を基礎にすると、 それが平成十七年には一八%、 平成二十七年には一五%になるとする対照的に悲観的な数字を併記しています。 その国産材シェアは、 昨年二〇%を切って、 国の見通しは既に大きく外れてしまっていますから、 県産材の振興が、 きょうも午前午後、 この森林資源の振興について議題になりましたけども、 一向に進まないというのも無理はないと思います。 このまま推移していくとすれば、 遠からずして森林の適切な管理は放棄されていくことになります。
 国の林野行政は三年前に破綻をし、 緑のオーナー制度もことしになって中止されるなど、 お先真っ暗の感がしますが、 本県における現下の県産材の活用状況と林野行政の将来展望について伺うものであります。

 次に、 公共建築物における木材の活用について伺います。
 地球規模で環境破壊が進んでいる今日、 環境資源としての森林資源の活用は、 次の世代に引き継ぐ重要な課題であります。
 先日、 ある建具屋さんたちの会合で、 「日本ってのは木の文化じゃないのかね。 今、 建築中の文化芸術大学ってのは、 教室もたくさんあるが、 木製扉はたった三本だけ。 文化何とか大学が聞いてあきれるね」 と、 これは多少愚痴ぎみの話を聞かされました。 関係者の説明では、 予算を切り詰めていく中でそのように変わったということでありました。 アルミのドアがすべて悪いということではありませんが、 大学のパンフレットにうたう、 「人間が持つ感性、 美意識、 想像力を錬磨しつつ、 暮らしに豊かさ、 美しさを付与する文化、 芸術、 技術の探求」 という概念もさることながら、 長期的な環境コストという面から考えますと、 資源消費型のアルミより、 資源循環型の木材を活用する方が得策ではないかと私は考えます。 公立の幼稚園や学校の木造化に対し一千万円を限度に建築費の十分の一を補助する事業を実行している県、 あるいは、 木の文化圏構想を策定して、 市町村とともに県産木材の活用を推進している県もあります。
 例えが本題と少しずれるかもしれませんが、 今、 文部省では、 建築用の新建材に起因するシックハウス症候群対策として、 学校環境基準の見直しに入っているとも聞きます。 県の財政が極めて窮屈であることは承知していますが、 単価を切り詰める余り、 昔のことわざにある 「安物買いの銭失い」 にならないよう願いたいものであります。
 さて、 一般論に返って、 公共事業に伴う森林資源としての木材の活用について当局はどのように考えておられるのか、 伺うものであります。

 次に、 洋菜の種子の確保について伺います。
 平成九年度の本県の洋菜類の作付面積は千三百三十ヘクタールで、 前年に比べて十ヘクタールの減、 収穫量は三万六千四百トンで一千二百トン、 三%の減少であります。 平成十年度、 実はけさ、 これは関東農政局静岡統計情報事務所から私の会派の控室に、 わざわざファクスを送っていただきました。 平成十年度の主要野菜二十九品目の作付面積は前年比に比べて三百ヘクタール、 三%減少、 収穫量は対前年比一万八千二百トン、 六%減少したという資料であります。 それらの原因は、 高齢化や作付面積の減少、 そして天候などが挙げられていますが、 私には別の要因も思い当たるのであります。
 私の知人は、 キャベツの仲間であるレッドカンランの栽培を主体とする農家であります。 その知人は、 三年ほど前から、 種子がない、 種がないとぼやいていました。 農協の洋菜部会の役員をしていましたから、 農協と連携して種苗大手会社とかけ合ってみたらどうですかと言いましたが、 思うようにいかないということでした。 一昨年は前年の半分、 そして昨年は手に入らなかったようでした。 そこで昨年、 作柄をセルリーにかえてみたところ、 今度は種子の種類が今までと違うもので、 どんな作況になるか心配だと言っているのを聞いて、 大変だなあと同情してしまいました。 とぴあ浜松管内の洋菜農家全員の問題ではないと思いますが、 種子の確保という根本的な部分で苦労しているとなると気がかりであります。
 掛川市にあるサカタのタネ総合センターは、 同社の国内六カ所の研究拠点中最大規模を誇り、 花では約七十種、 野菜と果物で約三十種の種子を取り扱っています。 もちろん、 カンランやブロッコリの種子も扱っていて、 アメリカで生産されているブロッコリの種子の八〇%はこのサカタのタネ社が提供していると聞きます。 また、 こちらは稲の種子ですけれども、 日本たばこ産業とイギリスの大手農薬メーカーが新品種開発のための合弁会社を設立して、 豊田町に本社を置くことも決まりました。 アメリカの企業には地域再投資という考え方があり、 企業が置かれた地域にはサービスを施しているということを聞いたことがあります。
 種子の確保は、 基本的には農業者と種子会社の民間契約の範疇であります。 しかし、 本県の農業は、 お茶と野菜の二品目で生産額の過半数を占めているわけでありますから、 行政として本県に立地する種子会社との連携を図りながら、 本県の主要作物の生産活動を支援していくことも必要ではないかと思っております。
 洋菜の種子の確保策についての行政の役割はどうか、 そして、 県内に立地する種子会社などとの連携についてどのように考えておられるのか、 御所見を伺うものであります。

 次は、 水産資源としてのアサリの確保についてであります。
 平成十年度浜名湖の漁獲量は二千六百十六トン、 このうち二千三百十八トンを占めるアサリは、 漁種別で浜名漁協全体の八六・九%、 金額で全体の四五・七%を占めています。 去る五月二十六日、 細江湖から採取されたアサリの検体から貝毒の原因であるアレキサンドリウム・カテネラが基準値を超えて検出されたことから、 出荷自主規制が行われ、 生産者、 消費者、 そして商工会や観光業界までが混乱をいたしました。
 今回の貝毒の原因となったアレキサンドリウム属のプランクトンは、 表層水温が一定の温度に達すると水中で発生し、 その後、 休眠するため種子のようなものに変わり、 湖底の泥の中に沈滞し、 そして再び発芽するという生態まではわかっているようです。 アサリはそうした泥の中でも生育しますから、 一定の条件が整えば、 貝毒の発生は繰り返されることになります。 湖底の泥の中には有益なプランクトンも生息していますから、 ただ単に泥をしゅんせつしてしまえば済むという問題ではありません。
 平成八年の貝毒騒動の翌年施行された浜名湖貝毒対策実施要領に基づいて設置された貝毒監視連絡会は、 生産者と業界、 そして行政機関が定期的に調査、 監視を行い、 食品としての安全確保と浜名湖産貝類の信頼イメージを高めることを目的に掲げています。
 調査し監視して規制を促すだけではなく、 本県の貴重なアサリという漁業資源の維持のため、 海中生物農薬の研究開発を初め、 あらゆる角度から再発防止のための調査研究を進める必要があると思いますが、 水産資源としてのアサリの確保について御所見を伺うものであります。

 次は、 環境行政についてのうち、 合併処理浄化槽対策について伺います。
 浄化槽には、 し尿だけを処理する単独処理浄化槽と、 し尿と生活雑排水を一緒に処理する合併処理浄化槽があります。 水質汚濁原因のおよそ七割を占める生活排水対策として、 下水道整備が困難な地域においては、 合併処理浄化槽を設置することが望ましいことはもちろんであります。 平成七年六月、 厚生省の諮問機関、 単独処理浄化槽に関する検討会は、 水洗化の大きな役割を果たした単独処理浄化槽は、 生活排水対策が急務となる中で歴史的役割を終えつつあり、 設置と使用を廃止する時期に至った、 おおむね三年後に、 単独処理浄化槽の新設を廃止し、 二十一世紀初頭には、 既設分も含めてすべて合併処理浄化槽に転換することを目標とするよう報告しています。
 ちなみに、 全国に設置されている単独処理浄化槽の数は、 平成十年三月末現在、 七百三十六万一千九十二基あり、 同様に十年度末で、 本県に設置済みの単独処理浄化槽は約五十五万六千基、 これに対し合併処理浄化槽は約二万七百基、 普及率は三・四%であります。 平成九年八月、 厚生省生活衛生局水道環境部は、 各都道府県浄化槽行政主管部局長あてに、 単独処理浄化槽新設廃止自主活動推進プログラムの開始を通知し、 内容了知の上、 各保健所及び市町村に周知するよう求めました。 単独処理浄化槽の全国シェアのおよそ九七%を占める浄化槽工業会は、 厚生省の要請を受けて、 本年三月をもって単独処理浄化槽の製造を全廃いたしました。
 本県の浄化槽取扱要綱は、 市町村の生活排水処理計画等で整備区域に定められた地域内は、 原則として合併処理浄化槽とすること、 また、 市町村長は、 浄化槽の設置状況を把握するとともに、 生活排水処理計画に基づき、 合併処理浄化槽の計画的な設置促進を図ることとしているだけであり、 整備区域外では、 五十人槽以上の場合を除いて単独処理浄化槽の申請が出されれば、 単独処理浄化槽でもいいということに、 いまだになっています。
 他県では既に、 国や業界の積極的な合併処理浄化槽の普及策に呼応して、 例えば滋賀県では、 条例を改正し、 「合併処理浄化槽の設置は県民の責務とし、 下水道法に規定する区域以外における浄化槽の設置と、 住宅新築に伴って浄化槽を設置しようとする者は、 合併処理浄化槽の設置をしなければならない」 と規定しています。 その他の府県でも要綱の改正を図って対応を始めていますが、 本県の対応はおくれているように思われます。
 要綱もしくは条例改正も含めて、 どのように対応していこうとしているのか伺うものであります。

 次に、 建築確認行政における浄化槽の取り扱いについて伺います。
 今日の単独処理浄化槽の市場価格は、 五人槽で15万円程度、 合併処理浄化槽は40万円程度と言われます。 単独処理浄化槽の50人槽は約120万円、 同じく合併処理浄化槽は約700万円と、 価格に大きな開きがあります。 したがって、 建築を依頼する側にとって、 単独処理浄化槽でも許可されるということになれば、 選択の結果は明らかであると思います。 しかし現在、 市場に出回っている単独処理浄化槽は、 浄化槽工業会加盟各社の在庫分と、 あとはわずか3%のシェアを持つ地方のほんの数社の製造品だけになっていますから、 市場単価は当然高騰を続けています。 浄化槽施工業者と建築会社、 そして建築主間に混乱が生じているとも聞いています。 県内に粗製乱造品がはんらんしたのでは、 県土の水質保全どころではありません。
 ところが、 単独処理浄化槽廃止自主活動推進プログラムは、 あくまでも厚生省が主導するプログラムという建前をとっていますから、 建設省も農林水産省も協力的な法整備を進めていません。 したがって、 本県で単独処理浄化槽の設置申請が出されれば、 建築基準法第六条、 同第18条に基づいて、 これを受け付けなければならないということになります。
 建築確認行政においての合併処理浄化槽の取り扱いについて、 現下のような状況をかんがみる中で、 どのように対応していこうとしておられるのか、 伺うものであります。

 次に、 大規模プロジェクトの課題、 音楽公園構想にかかわる課題について伺います。
 平成元年12月20日、 マスコミ各社は、 県音楽堂構想懇談会が、 県が計画している音楽堂を音楽公園として整備することや浜名湖畔を建設地とすることなどを内容とする基本構想をまとめ、 知事に提言したと、 一斉に報道いたしました。 さらに、 音楽公園は、 複合機能を持った音楽文化ゾーンや世界的楽器産業の集積の活用などを目指し、 事業面での統一的イメージを設定すること、 自主事業専門スタッフによる音楽創造センターの創設、 同公園を活動拠点とする演劇団体を育成することなども提唱したと記事は続けています。 世界に発信する県民文化の拠点施設をつくるというコンセプトは、 どこかで聞いたことがあるような気がします。
 平成3年10月には、 県の担当参事名で、 「世界に誇る音楽公園には、 地元の街づくり、 周辺整備などを総合的に進めなければならない」 と質問書に答えており、 同年12月には、 県の担当者が基本計画の説明に訪れ、 建設に理解と協力を求めた席で、 出席者から、 「まちづくりや農業者の生活確保と周辺環境整備などが空手形にならないように」 などとくぎを刺されています。
  反対論が強かった地元の調整のため音楽公園対策協議会が設置され、 最終的に県の事業を受け入れることになりました。 平成六年十二月九日、 静岡県音楽公園――仮称――建設事業に関し、 音楽公園対策協議会会長を甲、 浜松市長を乙、 静岡県知事を丙とする六条から成る覚書が交わされ、 同時に、 一体不可分の細目として、 対策協議会会長を甲、 浜松市助役を乙、 県環境・文化部長を丙とする覚書も取り交わされたのであります。
 今日までに、 代替地に関する事項、 地域農業振興対策は、 ほぼ覚書に基づいて履行され、 県当局の努力は大きく評価をされていますが、 県道舘山寺弁天島線と県道村櫛三方原線の共用区間、 通称万歳坂の分離については、 これまで担当部局から、 「音楽公園が中長期的に継続検討していくという状況下で、 音楽公園の建設に伴うアクセス道路の整備だけを先行させて検討できない。 また、 音楽公園に先駆けて実施される園芸博の交通計画の中で検討しているが、 財政状況が逼迫している折、 早期事業化は難しい」 という説明が繰り返しなされるだけで、 何らの進展がないまま推移をしてきました。
 当事者乙である浜松市とも連絡をとりながら、 しかるべき対策を地元に示すべきだと思いますが、 御所見を伺うものであります。

 次に、 教育についてのうち、 超高齢社会に臨む学校教育について伺います。
 本年の我が国の高齢者人口は二千五十一万人となり、 高齢化率は一六・二%に達しました。 厚生省人口問題研究所は、 平成二十二年の超高齢化社会は、 人口一千人当たりにして年少人口百八十六人、 生産年齢人口六百十四人、 高齢者は二百人となり、 一人の高齢者を三・一人の働き手で支える社会になると推計しています。 こうした超高齢社会は、 施設や医療、 介護保険システムなどとともに、 何よりも人間によって支えられる社会になると言うことができるのであります。 文部省は、 核家族化に伴って、 子供たちと老年者の交流が希薄になっているとし、 交流を促す学校施設の整備、 例えば、 空き教室を地域の高齢者との触れ合いの場に改造するなどの施策展開を求め始めています。 世間には、 顔じゅうしわだらけの老人を初めて見て泣き出してしまう幼稚園児もいるという話を聞いたことがあります。 介護する側、 される側の人権問題は、 新しいテーマになりつつあります。
 そうしたさまざまな課題を見つけ出しながら、 長期的な教育の視点に立って、 やがてやってくる超高齢社会を担う子供たちに必要とされる教育を今から用意していかなければならないと思いますが、 御所見を伺うものであります。

 次に、 高校生の中途退学者対策について伺います。
 県内の公立高校の中途退学者数は、 平成八年一千七百十一人、 平成九年一千七百十五人、 平成十年一千七百三十八人と微増を続けています。 学校生活の不適合、 学業不振などが主な理由となっており、 学校選択の誤りが子供たちの貴重な人生の出発点を狂わせていると思われます。 中途退学後の進路を見ると、 八・二%の生徒が再入学を果たしているほかは、 五六%の生徒が就職、 また職業を持たない無業、 あるいは不明となっている生徒の割合は合わせて約三二%に及んでいます。
 私は、 この春、 浜松で開催された産業フェアの会場に展示されている一尺四方ほどの畳に目がとまりました。 聞くところによると、 その畳は、 中継ぎ畳といって、 イグサの原草を使って畳を織る技術だということですが、 その技術者は、 今では広島県にたった一人残っているだけで、 この人とともにやがて消えていく技術だということでありました。 恐らく本県にも、 後継者がいなくて消えかかっているこうした技能や技術があるのではないかと思いました。
 そのとき私の頭の中に、 高校中退者のことが一瞬浮かびました。 義務教育ではない高校では、 教科の弾力的運用を図ることができるのではないかと思ったのであります。 県内の専門高校の気に入った授業や実技への参加、 あるいは専修学校の授業への参加、 病院や福祉施設などでのボランティア活動、 そして、 ただいま申し上げたような伝統工芸などの、 後世に残していきたい技能や技術を継承するための工房での研修など、 多様な幅広い選択肢を用意して、 それらの履修単位について考慮することができないだろうかと考えたのであります。
 そうした行動や思考の中から、 今まで気づかなかった才能の芽を見つけ出すことで、 中途退学という悲しい選択をしないで済むことができるのではないかと思います。 教育長の御所見を伺うものであります。

 次は、 警察行政について、 ハイテク犯罪対策室について伺います。
 平成十一年版通信白書は、 平成十年度の国内インターネット利用者数を前年度比四六・六%増の一千六百九十四万人、 従業員三百人以上の企業での普及率は八〇%、 以下の事業所の普及率が一九・二%、 世帯普及率一一%と、 電気通信市場でインターネット革命が急速に進んでいると指摘いたしました。 一方で、 コンピューターの損壊等の業務妨害、 ディジタル記録の不正作出や毀棄、 あるいは、 コンピューターシステムの機能の阻害や不正使用、 パソコン通信を使った覚せい剤や毒劇物等の違法販売、 他人のパスワードを使用し、 その者に成り済まして物品や代金をだまし取るなどの、 いわゆるハイテク犯罪が急増中であります。
 こうした犯罪に対応するため、 ことし四月三十日、 県警本部にハイテク犯罪対策室が設置され、 三十四名のスタッフによって対策、 捜査、 技術支援、 サイバーパトロールの四班体制が整えられたということであります。 しかし、 国内には既に三千万ものホームページが存在し、 しかもなお毎日これは増加をし続けているのであります。 そうした膨大な情報の中から犯罪を予防し、 検挙することは非常に難しいことだと思います。
 こうした情報社会に対して、 対策室がどのように対応されており、 また対応していこうとしているのか、 伺うものであります。
 次に、 ハイテク犯罪対策広域ネットワーク化について伺います。
 今国会では、 警察庁と郵政省が共同提出した不正アクセス行為の禁止等に関する法律案の成立が見込まれております。 同法案によれば、 不正アクセス行為にかかわる特定電子計算機にかかわるアクセス管理者から援助申請があった場合、 都道府県公安委員会は、 当該不正アクセス行為から防御するため必要な助言、 指導その他の援助を行うこととされています。
 インターネットは国境のない世界であり、 必要とされる情報や資料を本県の対策室だけで対応することは不可能に近いということであります。 この法案の成否にかかわらず、 ハイテク犯罪に対応するには、 他都道府県との間はもちろんのこと、 海外とも結んだ情報や資料のネットワーク化が必要になると思いますが、 どのように考えておられるのか、 警察本部長に伺うものであります。
 以上でひとまず私の質問を終わります。 (拍手)

○石川知事
 浜井議員にお答えをいたします。
 初めに、 景気・雇用対策についてのうち、 県の施策についてであります。
 まず、 公共事業の効果についてでありますが、 バブル経済崩壊以降の公共投資を中心とした経済対策は、 景気を本格的な回復軌道に乗せるには至らなかったものの、 社会資本の整備や景気の下支えとして一定の効果はあったものと考えております。
 また、 最近の我が国経済の動向を見ますと、 景気は下げどまり、 おおむね横ばいで推移しているとされておりますが、 これは平成十年度に国が実施した二度にわたる経済対策の効果があらわれ始めたものと受けとめております。 これは、 これまでの道路、 河川、 農業基盤整備など従来型の公共事業の追加発注などに加えまして、 金融システムの安定化や恒久減税、 雇用対策などと相まって、 従来型を一歩踏み出した二十一世紀を見据えた社会資本の整備を拡大するなど、 我が国経済の再生に向けた総合的な取り組みの結果であると考えております。
 今後、 日本経済が民間需要の拡大を背景とした本格的な景気回復を図っていくためには、 各方面にわたり全力を挙げて総合的な施策に取り組む必要があると考えております。 そのため、 従来型の公共事業にとどまらず、 緊急雇用対策や産業競争力強化対策を初め、 二十一世紀型社会の構築に資する情報通信、 科学技術、 福祉、 環境などの新規・成長分野における社会資本の整備にも取り組んでいく必要があると考えております。
 次に、 補正予算への対応についてであります。
 平成十一年度当初予算は、 年間総合予算として編成したところでありまして、 現下の厳しい経済状況を勘案いたしますと、 今後の補正予算は必要最小限のものにならざるを得ないと考えております。 そうした中で、 九月補正予算につきましては、 国の補正予算の内容や地方財源措置の状況を十分見きわめながら、 雇用対策などを中心に適切に対応してまいる考えであります。 さらに、 国が公共事業の積み増しを含む補正予算を編成すると仮定した場合でありますけれども、 その内容を十分に把握した上で、 今後の景気の動向を注視しながら、 県税収入の動向や普通交付税の配分状況などの補正財源を精査するとともに、 県議会の皆様の御意見を伺う中で、 適切な補正予算を編成してまいる考えでございます。

 次に、 赤字地方債についてであります。
 年度内の収支不均衡による一般財源の不足を地方債で補てんする、 いわゆる赤字地方債は、 経済対策のために行われた特別減税による地方税の減収補てんなど、 特別に法律で定めた場合を除き、 その発行は認められていないところであります。 昨年、 多くの都道府県で法人関係税の大幅な落ち込みから歳入不足が生じたことへの対応や、 経済対策としての減税や公共投資の追加が国債の大量増発とともに検討される過程において、 一部自治体や政府内で赤字地方債の発行が議論されたことは事実であります。 しかしながら、 後の世代に負担のみを転嫁する赤字地方債の安易な発行は、 これがたび重なることによって財政破綻を生じさせる危険性をはらんでおりますことから、 厳に慎むべきものと考えております。

 次に、 ベンチャー企業育成策についてであります。
 本県では、 平成七年度からしずおか夢起業支援事業により、 新製品や新技術の開発に取り組むベンチャー企業に対し、 研究開発段階から販路開拓に至るまで、 さまざまな支援に努めてきたところであります。 この結果、 平成九年度の段階で中小企業創造活動促進法に基づいて技術開発や新製品を行いました会社が百四十九社ございまして、 そのうち販売実績まで結びついたものは、 平成九年度十三社、 平成十年度は三十社に増加をしておりまして、 この数は今後増加していくものと思われ、 その成果は着実に上がっていくものと考えております。 しかしながら、 昨年度実施したベンチャー企業実態調査では、 行政に対して販路開拓面での支援の充実を期待する回答が最も多く出されたところであります。  このため、 県といたしましては、 今年度から、 創業間もないベンチャー企業の経営診断の実施や販売活動の経験が豊富なアドバイザーの派遣、 さらにはしずおか夢起業・新製品メッセや環境フェアに加えまして、 新たに福祉機器展を開催することとしたほか、 海外の主要都市や東京、 大阪などで開催される展示会情報も提供することといたしました。
 このほか、 インターネットを活用した支援策として、 八月下旬を目途に、 県のホームページに県内中小企業の新製品情報等を掲載することとしております。 これをもっと早められないかというお話もございましたが、 鋭意取り組みまして、 早められれば早めるように努力をいたしますけれども、 ちょっと今即答をいたしかねますので、 努力はいたします。 そういうことも含めて、 さまざまな方策を講じて、 ベンチャー企業等が望みます販路開拓に、 県としても積極的に対応しているところでございます。
 また、 自治体の物品調達などについての際の配慮等についてのお話ございましたが、 競争入札など会計制度の制約がありますけれども、 低価格で利便性の高い製品等については積極的に購入してまいりたいと考えておりますし、 さらに、 ベンチャー企業等が開発しました建設資材や工法等につきましても、 県としての技術評価などを踏まえまして、 より効果の高いものを公共工事などに採用するよう検討してまいりたいと考えております。
 販路開拓協議会の御提案がございましたが、 これらも早速検討いたしまして、 その実現の効用性等見込める場合には、 積極的に対応していきたいと考えております。
 今後とも、 中小企業の新たな分野への進出、 それの販路開拓については、 いろいろ有効と思われる方策が思いついた都度、 あるいは御提案をいただいた都度、 検討いたしまして、 どんどん取り組んでまいりたいと考えております。


 次に、 資源管理行政についてのうち、 公共建築物における木材の活用についてであります。
 県では、 庁内関係部局で木材需要拡大掘り起こし連絡会を組織して、 公共施設などにおける木材利用の促進に努めているところでございます。 公共建築物の営繕工事を担当する都市住宅部におきましては、 建築物の用途や目的に応じて、 温かさや親しみやすさ、 また断熱性、 吸湿性等、 木が持つすぐれた特性を生かして、 これらのよい面を引き出すように、 さまざまな工夫をしております。
 具体的には、 高等学校の整備に当たりましては、 生徒ホールや教室の壁、 床等に木材や木製品を多く利用することにより、 やわらかみのある空間の創出や、 県営住宅に木材をより多く使用することによる居住性の向上などにも努めてきております。 また、 昨年度整備いたしました島田市の農産物加工体験施設や、 全国植樹祭のために整備したあまぎの森のあずまやでは、 古来の伝統技術の活用や中山間地域の景観との調和等に配慮した魅力ある木造建築物となっております。 また、 今年度発注を予定しております県立総合水泳場は、 天井の鉄骨のはりを木材で覆い、 また、 県立総合武道館は、 玄関ホール床、 大道場の壁、 床に多くの木材を使用し、 木材のよさを十分にアピールした設計とすることとしております。 コストや建築基準法の内装の制限等の制約はありますが、 今後とも、 関係部局が連携し、 公共施設にできるだけの木材の活用を図ってまいりたいと考えております。
 さらに、 この木材の活用の際に、 県産材のさらに利用ということが、 もう一つ課題としてあるわけでございますが、 これも、 できるだけまた、 その県産材そのものが機能的な面とか、 将来にわたった維持管理、 そういう面でも、 他地域の材と比べて十分競争力があるように、 その競争力を高める努力もまた一方で県も支援をして行ってまいり、 活用が図られるようにしていきたいと考えております。
 なお、 その他の御質問につきましては、 坂本副知事、 関係部長、 教育長から御答弁を申し上げます。

○坂本副知事
 景気・雇用対策についてのうち、 経済対策連絡会議についてお答えいたします。
 現在の厳しい雇用情勢に対応するため、 過日の経済対策連絡会議において、 国に呼応した緊急経済雇用対策方針を決定したところであります。 この方針に即して、 現在、 具体的な施策の検討を進めております。 具体的には、 国の緊急地域雇用特別交付金を最大限に活用して、 例えばユニバーサルデザインの促進、 少子・高齢化対策の推進、 人材の育成や経営力、 技術力の向上支援などの産業振興策、 森林、 河川等の環境保全やリサイクルの促進などの環境対策の推進、 多彩なイベントの開催などによる文化の創出などの分野の百余の項目について、 費用対効果も勘案しながら、 臨時応急的な雇用・就業機会の創出を検討いたしております。 また、 国の特例交付金制度を活用して、 少子化対策を実施する市町村への支援や、 県独自で緊急に取り組む必要があり、 極めて効果の高い雇用・就業機会の創出にも取り組むこととしております。
 これら検討に当たりましては、 求職者の実態を十分分析した上で、 特にミスマッチの大きいホワイトカラーに対しては必要な能力開発、 意識転換も図りながら、 本県の実情に適した施策を構築する必要があると考えております。
 また、 今回の経済・雇用対策を確実なものにするため、 企業の雇用維持努力への一層の支援を図る雇用調整助成金の弾力的な運用のほか、 民間企業の訓練施設や職業高校を活用した離転職者の訓練実施制度の拡充など、 恒久的な雇用対策を進めるための具体的な手法についても国へ要望してまいることとしております。
 なお、 特別交付金による雇用・就業機会の創出事業につきましては、 その業務が円滑に執行できるよう、 的確な方針やスキーム等を国が早期に決定し、 地方自治体に十分な説明をすることもあわせて国に求めていくことにしております。
 いずれにいたしましても、 深刻な雇用情勢は県民の将来に対する不安を増大し、 県内の経済活動全般に与える影響も大きいことから、 国の緊急雇用対策及び産業競争力強化対策と連動し、 継続的、 安定的な雇用の確保に努めてまいりたいと考えております。

○山本生活・文化部長
 大規模プロジェクトの課題についてお答えいたします。
 音楽公園構想にかかわる課題についてでありますが、静岡県音楽公園(仮称)建設事業に関する覚書の履行につきましては、これまで県は浜松市とともに誠心誠意取り組んできたところであります。御指摘の県道舘山寺弁天島線と県道村櫛三方原線の共用区間となっている万歳坂につきましては、二〇〇四年に開催されますしずおか国際園芸博覧会の交通計画を策定する中でも検討してまいりました。その結果、園芸博会場への主要ルートとしては、機能面や経済面などを総合的に勘案しまして、新架橋と西部放射道路を軸とするルートと、浜名湖大橋を利用するルートの二ルートを主体にして検討を進めているところであります。
 こうした状況を村櫛町音楽公園対策協議会の皆様に御説明申し上げるとともに、万歳坂については、中長期的な課題として努力していく旨をお伝えし、御理解をいただくよう努めているところであります。こうした経過の中で、 万歳坂の生活道路としての安全を確保する当面の対策として、 昨年八月、 県と警察及び地元浜松市の三者による交通診断を実施し、交差点付近の樹木の枝打ちや看板の位置の工夫など、改善を図ったところでありますが、さらに関係部局並びに地元浜松市と密接な連携を図りながら、 調査検討をしてまいりたいと考えております。


○吉岡環境部長
 環境行政についてのうち、 合併処理浄化槽対策についてお答えいたします。
 県は、 公共用水域の水質保全対策として有効な合併処理浄化槽の普及を図るため、 昭和六十二年度には、 合併処理浄化槽を設置する者に補助する市町村に対し助成する制度を創設し、 さらに平成七年度には、 市町村が合併処理浄化槽の整備地域として定めた地域内において、 この設置が推進されるよう、 静岡県浄化槽取扱要綱を改正し、 助成措置と一体的な運用を図れるよう指導を行ってきたところであります。
 こうした中で、 議員御指摘のとおり、 本年度から浄化槽工業会では、 単独処理浄化槽の製造を中止いたしました。 そのため、 設置者にとっては負担増はあるものの、 合併処理浄化槽の設置が促進されるものと期待しているところであります。 一部の抽出調査ではありますが、 平成十年度に設置された浄化槽総数のうち合併処理浄化槽の割合は一七・八%であったものの、 平成十一年度に入った四月には、 その割合が約二二%、 五月には約四〇%と増加傾向にありますので、 その推移を注視しているところであります。
 要綱もしくは条例改正についての考え方でありますが、 義務化する場合には、 公共下水道整備区域と区域外の住民負担の関係、 規制されていない事業所排水とのバランス、 地域における水質汚濁の状況、 市町村の合併処理浄化槽の推進の考え方等との整合を図る必要も生じてまいります。 しかしながら、 県民の皆さんの取り組みを一層推進していくことが大変重要でありますことから、 先ほど都市住宅部長も申し上げました、 本年四月から施行の静岡県生活環境の保全等に関する条例におきまして、 公共下水道計画のない地域における合併処理浄化槽の設置について、 新たに県民の皆さんに努力義務を求めることとしたところであります。
 今後は、 条例の趣旨を広く周知してまいりたいと思います。 それとともに、 浄化槽工業会の対応状況、 単独処理浄化槽の製造と在庫等の状況、 合併処理浄化槽の普及の状況等を踏まえた上で、 総合的に判断し、 普及に向けた対策について検討してまいりたいと考えております。 以上です。



○久保田都市住宅部長
 景気・雇用対策についてのうち、 地元中小建設業者対策についてお答えいたします。
 建築工事の地元受注機会の徹底についてでありますが、 県内建設業者の受注件数と金額が平成十年度において特に増加した要因といたしましては、 平成九年度に予算の相当部分を占めます大型プロジェクトである小笠山スタジアム建設工事が発注をされ、 平成十年度以降も引き続き工事が行われていることによるものであります。 地元受注機会の徹底につきましては、 静岡県公共事業施行対策連絡会議で示されました 「中小建設業者の受注機会の確保」 の通知に基づきまして、 分離・分割発注の促進、 制限付き一般競争入札の参加条件の緩和等を推進し、 県内建設業者の受注機会の確保に努めてきたところであります。
 具体的な対策といたしましては、 コスト縮減及び効率的な事業執行の確保を基本として分離・分割発注に努めることとし、 建物が別棟となっている場合や、 技術的かつ合理的に分割できるものは、 工区を分けて発注を進めております。 さらに、 設備、 外構、 解体など専門性、 独立性の高い工事については、 同様な趣旨でそれぞれ分離発注するなど、 受注機会の確保を図っているところであります。 また、 大手建設業者が対象となる大規模で高度な技術を要する工事や、 WTO政府調達協定に該当する工事については、 共同企業体に発注し、 その構成員として県内建設業者が参加できるよう配慮しているところであります。
 なお、 共同企業体の運営に当たりましても、 先ほどの静岡県公共事業施行対策連絡会議から示されている適正な取引関係の確保に基づきまして、 経営方針、 技術力等の異なる複数の構成員による共同企業体が効果的な活動とその適正な運営が図られるよう、 契約時に文書をもって具体的に指導をしているところであります。 さらに、 経営の健全化や基盤の強化、 また技術力の結束を図る上からも、 経常的にJVを構成することも有効な手段であると考え、 県建設業協会等を通じ、 この経常JVの結成を促しているところであります。 こうしたさまざまな工夫を行いながら、 関係機関と連携をとる中で、 県内建設業者の受注機会の拡大を図ってまいりたいと考えます。
 次に、 環境行政についてのうち、 建築確認行政における浄化槽の取り扱いについてであります。
 建築基準法では、 浄化槽の構造や性能等について基準を定め、 五十一人槽以上の規模のものは合併処理浄化槽とすることを義務づけており、 これに基づき建築確認の審査を行っているところであります。 したがいまして、 住宅など五十人槽以下のものについては、 単独処理槽の設置もできることとなっています。
 しかしながら、 合併処理浄化槽の設置は、 水質汚濁の負荷の低減に大きな効果がありますことから、 五十人槽以下の小規模浄化槽につきましても、 設計者や施工者に対して各種講習会や説明会等を通じ、 できるだけ合併処理浄化槽とするよう指導に努めてきたところであります。
 今後は、 こうした取り組みとあわせ、 本年四月から施行されております静岡県生活環境の保全等に関する条例の制定趣旨に沿って、 市町村の建築確認申請の受け付け時や確認審査時において、 合併処理浄化槽設置の効果や助成措置等についての周知も行い、 建築主の理解と協力を得ていきたいと考えております。


○岡野土木部長
 景気・雇用対策についてのうち、 地元中小建設業者対策についてお答えいたします。
 土木事業の地元受注機会の徹底についてでありますが、 県では、 県内建設業者が施工可能な工事につきましては県内業者に発注していくことを基本として、 これまでも静岡県公共事業施行対策連絡会議等を通じて、 県内建設業者の受注機会の確保を各発注機関に求めてきたところであります。 昨年十二月には、 景気の低迷等により本県建設産業が厳しい経営環境に置かれていることから、 その改善を図るために、 建設業の経営環境改善対策を取りまとめ、 分離・分割発注の促進等による県内中小建設業者の受注機会の確保などを改めて要請したところであります。
 こうした中で、 平成十年度に土木部出先機関が実施した公共工事の平均一件当たりの発注金額は、 平成九年度の千九百十一万円から二千四十五万円へと、 平均すると百三十四万円ほど上昇しておりますが、 発注件数の増加を規模別に見ますと、 一億円以上の発注件数は二件の増加にとどまっているのに対し、 県内企業の受注が大半を占める一億円未満の工事の発注件数は二百八十六件の増加となっており、 この点では、 県内中小建設業者の受注機会の確保という趣旨が浸透しているものと認識しております。 その結果、 平成十年度におきます県内建設業者への発注は、 件数で全体の九〇・八%、 金額で七七・九%を占めることとなり、 平成九年度に比べて件数で一・三ポイント、 金額で二・三ポイント増加いたしました。
 今後とも、 コスト縮減及び効率的な事業執行の確保を基本とした分離・分割発注に努めるとともに、 公共工事の早期発注や、 きめ細かな箇所づけに配慮するなど、 県内中小建設業者の受注機会の確保に一層努めてまいります。


○農林水産部長 (山田勝平君)  景気・雇用対策についてのうち、 地元中小建設業者対策についてお答えいたします。
 農林水産工事の地元受注機会の徹底についてでありますが、 農林水産部では、 静岡県公共事業施行対策連絡会議の方針を受け、 農林水産部関係公共工事早期発注等推進会議において、 早期発注と中小建設業者の受注機会の確保など、 適切な執行管理に努めたところであります。
 御指摘の平成八年度と十年度の比較につきましては、 平成十年度にはダム工事、 橋梁上部工、 トンネルやしゅんせつ工事など特殊工事のため、 技術力や設備等から県内業者では対応できないものが多くあったことによるものであります。 しかしながら、 こうした工事においても、 極力指名に県内業者の参入機会の提供や、 技術力向上のため共同企業体の手法を取り入れるなど、 県内業者の受注機会の確保を図ったところであります。 ちなみに、 一億円未満の建設工事では、 金額ベースで県内業者が九三・三%と多くを受注しており、 平成八年度と比較しても〇・二ポイントと、 わずかながらも上回っております。
 このように農林水産部の公共事業につきましては、 地元中小建設業者の受注に適した比較的小規模な工事でありますが、 今後とも、 コスト縮減や効率的な事業執行を基本とした分離・分割発注など、 地元業者の受注機会の確保に努めてまいります。


 次に、 資源管理行政についてのうち、 まず、 県産材活用状況と林野行政の将来展望についてであります。
 本県の森林の蓄積は年々増加しており、 平成九年における民有林の蓄積量は六千九百二十八万立方メートルであり、 二十年前の蓄積量三千六百七十一万立方メートルと比較して一・九倍となっております。 一方、 民有林における丸太の生産量は三十五万六千立方メートルで、 二十年前の生産量五十六万一千立方メートルに比較して六三%の水準にあります。 この丸太は、 製材用に九割が使用されており、 そのうち八割が住宅用資材として供給されております。
 このように、 県産材の主な需要先は木造住宅への資材供給であることから、 県では、 全国に先駆けてプレカット工場建設を支援するなどして、 平成七年度にはプレカット加工棟数一万三千棟と、 全国シェアの一一%を占め、 第一位となっております。 また、 木と住まいの総合啓発事業などにより、 県産材の用途開発や商品の開発、 住宅展等における普及啓発にも努めてきたところであります。 しかし、 安定した品質、 数量の面で供給体制が整っている外材との競争や、 木材価格の低迷により、 伐採しても造林する経費が賄えないなど、 林業の採算性の悪化により、 丸太の生産量は低下しております。 今後は、 より消費者の視点に立った質のよい木造住宅を供給するため、 木材供給者、 建築士、 工務店等によるネットワークづくりを推進し、 流通改善に取り組むことにより、 県産材の利用拡大に努めてまいりたいと考えております。
 さらには、 林道、 作業道など基盤整備、 機械化などを推進し、 生産効率を高め、 コストダウンを図ることにより、 十年後には、 民有林の蓄積量の伸び率を勘案して、 現在の伐採量の一・二倍程度まで伐採量を増加させ、 持続可能な森林経営により環境と調和した循環型社会を構築し、 森林を健全な状態で引き継ぐとともに、 林業の振興を図り、 雇用機会の拡大や林業所得の増大を期してまいりたいと考えております。


 次に、 洋菜種子の確保についてであります。
 野菜の品種は毎年数多く発表されますことから、 産地の品種を統一し競争力を強めるために、 これまで県、 農業団体、 県内種苗会社などで構成する静岡県野菜品種選定協議会を設置し、 消費者ニーズに合った販売競争力のある優良品種の選定を進め、 産地形成の一翼を担ってきたところであります。 現在、 野菜の種子のほとんどは、 多くの種苗会社により専門的な技術を駆使して、 需要に応じ生産されていますが、 種とりは、 天候の影響、 品種の変異、 あるいは交配の失敗などにより計画どおりには生産できない年もあり、 希望の種子が毎年十分に確保されているとは言えない現状にございます。 特にレッドキャベツは、 全国的には産地規模が小さく、 種子の需要が少ないことと、 春先の雨天の影響も受けやすいなど、 種子の確保が不安定であると聞いております。
 しかしながら、 県といたしましては、 こうした種子の確保は、 多様な消費者ニーズにこたえる上でも大変重要であると認識しており、 地域農業の状況や、 販売戦略を熟知している農協、 経済連と種苗の生産者との連携を一層密にしてまいりたいと考えております。 とりわけ、 県内には全国的に有数な種苗会社や研究農場がありますことから、 産地情報の提供、 先端的育種情報、 優良種子の需給などについて情報の交流ができますよう配慮してまいりたいと考えております。


 次に、 水産資源としてのアサリの確保についてであります。
 今回、 浜名湖産アサリから麻痺性貝毒が検出され、 県の要請により、 浜名漁協では浜名湖全域での出荷自主規制が行われました。 幸い、 最初に貝毒が検出された以降は、 基準値を超える貝毒は検出されず、 原因プランクトンも終息状況となったため、 六月十一日に自主規制の解除を決定いたしました。 その後二回のプランクトン調査の結果でも、 新たな発生は見られませんでした。 しかし、 議員御指摘のとおり、 貝毒の原因となるアレキサンドリウム・カテネラというプランクトンのシスト、 いわゆる休眠するための種子のようなものが湖底の泥の中に存在することは、 県の調査でも確認されています。 このシストを完全に消滅させることができれば貝毒が発生しなくなるわけですが、 湖内に存在するシストをしゅんせつ等により物理的に除去することは、 広大な浜名湖では困難でございます。 また、 生物系薬剤などを開発し、 使用することも、 生態系への影響が懸念される上に、 外海とつながっている浜名湖で効果があるかどうかが問題でございます。
 このため、 農林水産部といたしましては、 貝毒監視体制をより強化して、 適時、 的確に対応していくほか、 環境部や健康福祉部と連携して、 未知の部分の多い原因プランクトンの繁殖状況や、 その発生メカニズム、 貝毒の発生の予知、 あるいは無毒化の仕組みについて調査研究してまいりたいと考えております。


○杉田教育長
 教育行政についてのうち、 初めに、 超高齢社会に臨む学校教育についてお答えいたします。
 議員御指摘のように、 今や我が国は、 世界に例を見ない速さで高齢化が進んでおります。 その一方で、 核家族化の進展に伴い、 子供たちが高齢者と接する機会が少なくなっておりますことは、 今後の子供たちの教育のあり方を考える上で考慮すべき重要な視点であります。
 県教育委員会といたしましては、 これまで心の教育を基本に据え、 高齢者を含むすべての人に対する思いやりの心、 人権を尊重する心等を育てることを目標に、 さまざまな教育施策に取り組んでまいりました。 しかし、 やがて到来する超高齢社会を思うとき、 この社会を担う子供たちには、 心身のたくましさや粘り強さを育てるとともに、 介護の問題を初め、 高齢者の福祉に関する教育を一層充実させていくことが重要であると考えております。
 このような観点から、 県教育委員会といたしましては、 まず、 子供たちの指導に当たる教員の意識啓発が大切であると考え、 十年目を迎えた教員全員を対象に、 教員がみずから主体的に研修目的に沿った施設を求めまして、 受け入れ先を折衝して研修先を決定する社会貢献活動体験研修というものを実施しております。 また、 多くの小・中学校では、 老人福祉施設を訪問したり、 運動会等に高齢者をお招きしたりして、 児童・生徒と高齢者との交流を深めております。 なお、 各教科、 道徳、 特別活動においても、 少子・高齢化や介護福祉等に関する理解を深めるとともに、 たくましい体や思いやりの心が育つよう一層努めているところであります。 このほか、 福祉教育実践校を指定し、 介護体験や車いす等の体験を通して、 高齢者の思いを理解するなどの実践活動も行っております。
 今後は、 新学習指導要領で創設される総合的な学習の時間の中でも、 高齢者等の福祉に関する体験的な学習を積極的に取り入れる等、 高齢化の進展に対応する教育の充実を図ってまいりたいと考えております。
 次に、 高校生の中途退学者対策についてであります。
 御質問にもありましたように、 高等学校の中途退学者は、 平成十年度におきましては、 全日制、 定時制合わせて千七百三十八人であり、 その理由は、 進路変更が最も多く、 続いて学校生活・学業不適応、 学業不振、 問題行動等の順になっております。 このような状況の中、 生徒自身が今までに気がつかなかった才能の芽を見つけ出す機会をふやし、 充実した高校生活を送るためには、 多様な幅広い選択肢を用意し、 生徒一人一人の個性を重視した教育の実現を図ることが何よりも重要なことと考えます。 このため、 県教育委員会といたしましては、 従来から、 自分の学校で開設していない教科・科目を相手の学校で学習できる学校間連携という制度を実施しております。 具体的には、 普通科の森高校の生徒が専門高校である周智高校に行って、 農業基礎や製図の学習をしております。 また、 専修学校において取得した単位を、 生徒の所属する高等学校において卒業に必要な単位数に加算することや、 英語検定、 簿記検定などの技能審査の成果を単位として認定することも実施しております。
 一方、 昨年、 国におきましては、 新たに大学や公民館での学習、 さらにはボランティア活動や就業体験等につきましても、 学校の単位として認定できるよう省令を改正したところであり、 これを受け、 本県におきましても必要な規則改正を行い、 各学校に通知したところであります。
 議員御指摘の伝統工芸の技能技術を体験することにつきましては、 直接職人さんから技術指導を受ける一日工房入門講座を、 教育ルネッサンス21という推進事業の中で実施しておりまして、 今後、 この講座の期間、 内容をさらに充実させ、 就業体験として単位認定することについても検討していきたいと考えております。
 県教育委員会といたしましては、 生徒一人一人が自己実現を図れるよう、 多様な学習機会の充実に努めてまいりたいと考えております。


○小林警察本部長
 初めに、 御質問のハイテク犯罪対策室についてお答えいたします。
 まず、 ハイテク犯罪という言葉ですが、 まだ大変耳なれない言葉だろうと思います。 およそ新しい技術を使った、 利用した犯罪が、 すべてハイテク犯罪というわけではないのでありまして、 議員御指摘のように、 一言で言えば、 コンピューターを利用したコンピューター関連犯罪ということをハイテク犯罪としているわけであります。 定義を申しますと、 ハイテク犯罪とは、 政府・行政機関やライフライン施設のコンピューター等に侵入して、 そのデータを改ざん、 破壊する、 いわゆるサイバーテロなど、 電磁的記録そのものを対象とした犯罪が一つのカテゴリーであります。 もう一つは、 インターネットの掲示板にわいせつ画像を掲載したり、 あるいは薬物などの禁制品の売買を行うなど、 コンピューターネットワークを利用して行う犯罪、 この二つを総称してハイテク犯罪と、 こう言っているわけであります。
 これらハイテク犯罪は、 コンピューターの普及によるインターネット利用者の増加とともに急増しておりまして、 検挙件数も全国で平成六年、 五年前はわずか六十三件でありましたが、 昨年平成十年には四百十五件と、 約七倍になっております。 特にハイテク犯罪は、 インターネットという通信システム上の犯罪でありますことから、 匿名性とか、 犯罪の証拠を残さない無痕跡性、 さらには、 場所や時間の非制約性といった特徴を有する上、 犯人がコンピューターについての高度な知識と技術を持って敢行するところから、 警察の持つ従来の捜査手法では、 なかなか対処することが困難な状況となっているわけであります。
 このため、 本年の四月の三十日に、 コンピューターに関する知識、 技術を有する捜査員と情報管理部門、 通信部門の技術職員とを核といたしまして、 生活安全部に総勢三十四名から成る静岡県警察ハイテク犯罪対策室を設置いたしました。 ハイテク犯罪対策室におきましては、 インターネット上に存在する違法情報や有害情報を収集して事件化するためのサイバーパトロールの実施、 それからハイテク犯罪の取り締まりに関する部内教養の実施、 静岡県プロバイダー生活安全協議会などの産業界との連携強化によります防犯意識の高揚と、 インターネット利用者に対する被害防止広報の実施等に取り組んでいるところであります。


 次に、 ハイテク犯罪対策のネットワーク化についてでありますが、 御指摘のように、 ハイテク犯罪は、 県内はもちろん、 国境を越えて敢行される犯罪でありますことから、 当然のこととして、 警察庁のハイテク犯罪対策強化委員会事務局などと連携をとるとともに、 警視庁を初めとする他の都道府県警察との情報交換を密に行い、 また、 捜査状況によりましては、 国、 警察庁を通じまして外国警察との捜査共助をも視野に入れて捜査を進めることとなると思います。
 ハイテク犯罪につきましては、 これからさまざまなノウハウを蓄積し、 県民生活に重大な支障を生ずるような事案、 事態を生じさせないよう、 将来に向けて的確に対処してまいる所存であります。


○ 浜井
 景気・雇用対策、 幾つか挙げましたけれども、 非常に前向きな御答弁をいただきました。
 昨年の暮れにも百万人雇用政策をやったんですね。 それで今回七十万人。 経済対策連絡会議、 二度これで新聞報道されてます。 そうすると、 今、 失業者というのは一家の大黒柱が多いわけで、 そういう意味で、 この八月を越すと、 まあ言ってみれば通常のホワイトカラーはボーナスというのはないわけですね。 見込めないと、 こういうことですから、 県の経済対策連絡会議、 非常に関心を持って見ているというふうに私感じます。 そんな中で、 県の財政力指数が高いから、 三十万という国と自治体雇用の中では、 少なくとも数千人という想定しているわけですね。 それで、 三%県とすると九千人ということになりますが、 これは、 いわゆる財政力によってあんばいされるということになると、 一説にはですね、 この特別交付金は都道府県ごとに基金をつくるんだというような説があるんですけども、 そこら辺の対応という、 いわゆる県の側の対応については、 ここで議論されたんでしょうか。
 それから、 もしわかったら、 失業者の人数に応じて交付金の額が決まるという説もありますので、 いわゆる家計の大黒柱である男性の失業者、 県内何人なのか。 それから、 非自発的失業者、 これは県内何人いるのか。 この数字がもしわかったら教えていただきたいと思います。
 それからもう一つ、 最後にですね、 国から地方自治体に話を、 説明をするんじゃなくて、 県がですね、 これ九月補正を目指していくとすれば、 市町村も当然対応してもらわなきゃいかぬと思うんですね。 その市町村への働きかけはどのようにしていくのか、 そのスケジュール等があったら教えていただきたいと思います。
 以上で私の質問は終わります

○坂本由紀子副知事

 ただいま御指摘のありました国の緊急対策につきまして、 詳細については定まっておらない状況でございます。 県といたしましても、 できるだけ早期に、 国の動きが把握できるように情報収集に努めておりますし、 また、 国の決定がなされる前に、 県として望ましいものについて積極的な提案をしていきたいとも思っております。 したがいまして、 国がまだ未定という状況でもありますので、 市町村に対して、 県がこれからどのようなスケジュールでやっていくかということについても、 まだ詳細確定していないところであります。 ただ、 市町村にも、 できるだけ的確な対応をとってもらえるように、 早い時間的余裕を持って、 市町村の意向把握であるとか対応策の策定ができるような方向で、 県の対応を進めてまいりたいと考えております。
 なお、 県内の失業者の総数は、 職業安定所に登録されている有効求職者数六万六千人であります。 このうちの、 主たる家計の維持者についての詳細については、 ちょっとデータを把握しておりませんのと、 そのうちの非自発的失業者の詳細についても、 現在のところちょっと、 まことに申しわけありませんが、 数字を把握しておりませんので、 また後ほど御報告申し上げたいと思います。
副議長 (鈴木 尚君)  これで浜井卓男君の質問は終わりました。
 以上で本日の質疑及び一般質問を終わります。