質問項目
1 90分アクセスのネットワ−クについて
(1)使命を終えたTSL
(2)リ−ジョナルジェットとジェットフォイル船による 伊豆への空と海の90分ネトワ−ク構築
(3)空飛ぶミッション
2 PFIについて
(1)県内業者への配慮
(2)サ−ビス購入部分の契約解除
(3)20年後の少子化によるリスク
4)20年契約期間満了後の管理
3 指定管理者制度について
(1)制度導入へのスケジュ−ル
(2)地域性 県内業者への配慮
(3)透明性、公平性に配慮した評価システム
(4)指定管理者施設へのネ−ミングライツ導入
4 重度身体障害者授産施設三幸協同製作所の整備について |
○浜井
私は自民党所属議員として、 知事並びに関係部長、 教育長に質問いたします。
まず、 静岡空港についてのうち、 90分アクセスのネットワ−クについて伺います。
本県が空港建設に向けて本格的に始動したのは昭和62年のこと。 全国有数の人口や産業を擁しながら、 直近の空港に90分以内で到達できない 「90分アクセス人口、 320万人」 は、 当時全国最多でありました。 今も最多であります。
全世界が予測した空の大交流時代への流れは、 同時多発テロやSARS騒動などで一時的に落ち込んだものの再び増加し続けており、 去る2月2日、 国連の世界観光機関は、 昨年の海外旅行者は世界全体で前年比6千9百万人増、 7億6千万人を超えて過去最高。
地域別では北東アジアが30%増、 東南アジアが33%増となって、 空の大交流時代が着実に進んでいることを裏づけました。
中部国際空港開港の活況を見るとき、 静岡空港建設地決定から18年、 今、 法の判断を仰がざるを得ない現況は残念と言うほかありませんが、 2年という開港の延期は、 開港時の90分アクセス確立のために与えられた時間と考えれば短いとも感じます。
空港から各地へ車での推定アクセス時間は、 舘山寺まで60分、 御殿場インタ−まで85分、 第22回世界ジャンボリ−の候補地として、 日本は本県朝霧高原を抱えてノミネ−トしました。
静岡空港とセットで、 これが静岡県の一次予選を勝ち抜きました。 これから世界を相手に朝霧高原における世界ジャンボリ−の開催に向けて、 さらなる活動を続けていきたいと思いますけれども、 マイカ−では、この朝霧高原まで100分、 熱海へ130分、 下田まで190分であります。 この所要時間では、観光による地域振興に期待する伊豆へのアクセスが最大の課題であります。
本県の海と言えばテクノス−パ−ライナ−ですが、 時価100億円といわれたこの実験船の払い下げ価格3億円、 フェリ−への改造費が19億円、 購入価格は22億円でありました。 「安物買いの銭失い」 ということわざがありますが、 平成9年からの保守点検とリ−ス料計約14億6千万円余。
平成11年度以降の防災船運営費とフェリ−事業委託費の6年間合計約50億円余と、 これまでに約100億円を投入済みでありますが、 今後も保有するとすれば、 なお毎年約9億円余を負担し続けることになります。
接岸可能な港が8港しかないこと、 発災時に期待された孤立地区からの負傷者等の移送、 支援チ−ムの派遣、 緊急物資の大量輸送などの防災船としての機能は、 東海地震の発災後必ず襲来する巨大津波の後には全く通用しないことがわかっています。
この間、 海上保安庁は平成9年、 10年に本県海域をカバ−する災害対応型巡視船2隻を、 海上自衛隊は平成10年、 14年、 15年に輸送船3隻をそれぞれ配備済みであり、 民間船舶との災害時の協力協定も進んでいることから、 現行フェリ−の代替機能さえ考えれば、 TSLは今やその使命を終えたと思いますが、ご所見を伺います。
次に、 今日、 全国の海路の主役は、 アメリカの航空機メ−カ−が開発したジェットフォイルが占めています。 燃費はTSLの1マイル当たり2百リットルに対し、 同58リットルで約四分の一。 ポンツ−ン式の桟橋があれば潮位の高低に関係なく、 また岸壁からの防舷材として、5メ−トルほどの空気式フェンダがあれば、 通常の岸壁に係留が可能、 発着が容易とされています。
また、 新たな運航形態として浮上したリ−ジョナルジェット機を伊豆に向けて飛ばそうという構想もあります。 滑走路は1,750メ−トルあればどこでも離発着が可能で、 飛行時間は伊豆まで10分、 タキシングといわれる誘導路から移動して離陸する時間に7分、 全部で30分あれば 「ようこそ伊豆半島に」 ということになりますが、 課題は半島側の飛行場であります。
現在、 調査によれば、 土工事主体で百数十億円、 メガフロ−トという浮体工法で建設するとすれば二百数十億円という巨大建設費が、 正直のところネックであります。
ただ、 世界の潮流は800人乗りのエアバス、 そしてもう一つはリ−ジョナルジェット。 これはアジアの製造拠点として、 北海道の苫小牧東の一大工業団地に誘致しようという動きが、 今盛んになっています。 そして、 ホンダがリ−ジョナルジェットエンジンの製造に乗り出したという報道もあります。
これからの世界の流れは二つに収斂されていく。ひとつは飛行機の大型化、 そしてもうひとつはリ−ジョナルジェット化という流れを見る中で、 こうした巨大な建設費、 離着陸に要するこうした問題も、 いずれもう少し経費が安くできるような方向で研究が進められていくというように考えます。
ジェットフォイルの新造船価格は約40億円、 リ−ジョナルジェット機1機約20億円。 県所有という選択肢もありますが、 県民有志の浄財を集めた県民ファンドなどで購入し、 県民の船、 県民の翼として、 指定管理者制度などをうまく活用すればリ−ス料が稼げます。 海と空の90分アクセスネットワ−クの可能性についてご所見を伺います。
次は、 空飛ぶミッションについてであります。
静岡空港ができても飛行機は1機も飛んでこないといった軽佻浮薄の前国会議員、 空港建設には5千億円もかかると、 根拠のない数字を憶面もなくホ−ムペ−ジ上で開陳した軽率短慮の知事選の候補者もいました。 また今日なお、 「需要予測が過大だ」 と主張し続ける頑迷固陋、 悲観論者の人たちがいます。
交通需要予測の分野における我が国の第一人者である大学教授は、 「交通需要予測は土木計画学の学問領域の一つであり、 その分野の技術を駆使したはずの実務上の行為に、 一部のマスコミや国民から疑義を投げかけられているのだから学問の危機につながると言わざるを得ない。
バブル崩壊前後の経済や人口変化、 テロによる航空旅客の減少など、 予想を超える大きな変化を反映した正確な予測は困難である。 しかし、 過去と比べて最近の交通需要予測の技術はかなり高い精度に到達していると思う」 と述べています。
ここまで事業が進捗した今、 最先端の学問を駆使して予測した数値の正否について、 後ろ向きの議論を繰り返すのでなく、 前向きの議論を展開すべきです。
平成14年2月7日午前10時、 同時多発テロの余波で旅行者が激減した沖縄に向けて、 名古屋空港から沖縄を励ます静岡空港ミッションが飛び立ちました。
知事を初め、 県の空港、 観光、 商工などの各部局、 遺族会などの民間団体からの参加を得、 当時副議長だった私も加わり総勢206人。
那覇空港に到達したのは午後1時35分。 沖縄県知事ほか現地関係者500人もの出迎えを受け、 沖縄観光コンベンションビュ−ロ−主催の歓迎セレモニ−、 夕方五時からの沖縄県・静岡県交流の夕べに臨み、 翌日からは各班に分かれて、 県庁、 民間団体、 空港、 観光についての説明会や情報交換会、 現地調査を実施しました。
部次長級の参加者は9人、 交流会が終了した後の反省会で、 静岡空港ができたらこんなミッションを編成して、 各都道府県と積極的に連携、 交流しようと全員の意見が一致しました。
その時々の国内外の行政テ−マに基づいて集中的に調査研究する。 あるときは 「空飛ぶ部長会」、 あるときは 「空飛ぶ環境部会」、 また目的地を決め、 そこに全方位の課題を求めて全委員会が一斉に移動する 「空飛ぶ常任委員会」 でもいいのではないかと思います。
こうした開港後の空飛ぶミッションの実施に向けて今から準備をし、 試験的に実行していく必要があると思いますが御所見を伺います。
次は、 PFIについてであります。
経済のグローバル化、 情報化、 諸国家財政の悪化、 何よりも先進諸国で進む少子・高齢化社会の到来は、 社会システムの変革を誘発し、 1992年にイギリスで最初に導入されたPFI制度は、 燎原の火のごとく世界じゅうに広まっていきました。
今日、 世界標準となっているイギリス型PFIは、 事業のリスクを官民で分担し、 官が投資する金額に見合う価値の確保と民の利益確保を同時に行う官民のパ−トナ−シップにより、 常にガイドラインを修正しながら最高の相互にとってのバリュ−・フォ−・マネ−を創出していると聞きます。
平成12年、 「我が国におけるPFI導入の展望と課題」 という講演の後、 私は 「PFIの導入が進むと、 海外のPFI事業などで経験を積んだ大手商社や大手ゼネコンなどに事業を独占されてしまわないか」 と質問しています。
講師の宮脇北海道大学教授は、 「現状、 日本のPFIでノウハウを先駆的に持っているところがあるかということはわからないが、 地元にノウハウがなければ大手商社などがわっと入ってくるのは仕方がないのではないか」 と、 既に地元企業者参入の難しさを指摘しています。
本県のPFI第1号となった県立浜松大平台高校は、 大手ゼネコンを主幹事会社とする応募グル−プが落札し、 県内企業で構成する応募グル−プは無惨に散りました。
今後実施されるほとんどのPFI事業は、 経験にまさる大手ゼネコンなどの主導する応募グル−プの手のうちに入ってくることが容易に予想されます。 我が国におけるPFIのバリュ−・フォ−・マネ−は、 参加応募グル−プ間の入札価格の値引き競争の結果でしかなく、 官民双方のバリュ−・フォ−・マネ−ではないということが、 応募側関係者の共通認識のようであります。
今回の入札価格決定は、 主幹事会社、 つまり大手ゼネコン主導で行われ、 地元企業が口を挟む余地はなかったと言われていますから、 地元企業にとってこの20年という長い契約期間の中で、 それぞれのバリュ−・フォ−・マネ−を得ることは難しいと思われます。
今後も地元企業による応募グル−プが、 大手企業が主導するグル−プに対抗していくためには、 その体力、 とりわけ資金力が問題になります。
つまり、 PFI事業に参加するためには1,500万円から2,000万円の提案費用が必要であり、 落札できなければこれらの投資は回収不能になります。
したがって、 県内企業が何度も挑戦するということは無理であります。
さて、 東海地震の発生を控える本県にとって、 被災後の復興の担い手として、 また一方では雇用の受け皿として、 県内建設関連産業の一定数の維持とその健全な発展を目指す施策は必要であるという前提に立って、 次の4点について伺います。
PFIの導入は、 収益性や成長性という分野で民間ノウハウを活用し、 改善していくという効果を求めています。 私は教育という領域で、 成長性はともかく、 収益性を向上させるという概念が必要なのかという点において疑問を感じます。 これまで、 県立高校百校の校舎や体育館建設工事は、 ほとんど県内業者が請け負ってきましたが、 今後の改築計画を進める中で、 PFIを導入した際の県内業者の取り扱いについて、 どのような配慮が可能であるかご所見を伺います。
次に、 これは恐らく今後学校にPFI方式を導入する場合、 ほとんど大差がないと思いますが、 現在の契約では、 食堂、 売店、 生涯学習講座のたった3つのサ−ビスを購入する契約になっています。 サ−*ビスの向上がない、 あるいは質が低下したまま改善が図られないような場合、 サ−ビス購入部分だけの契約解除が可能であるか、 あわせてサ−ビス提供を放棄された場合はどのように対応するのかご所見を伺います。
3点目、 教育委員会が策定する県立高等学校長期計画の期間はほとんど10年です。 我が国の合計特殊出生率の動向、 少子社会の進展など、 将来の社会状況は予見不可能な部分が数多くあります。 20年という長期契約の中で、 双方のリスクでもある少子化による定員減などの事態への対処をどのように考えているのかご所見を伺います。
4点目、 契約期間満了後の老朽化した学校施設、 当該施設の運営管理、 恐らくこのSPCは、 次は再契約しないというふうに私、 確信を持っていえると思います。 その20年後に返されるこの学校施設、 運営管理をどのように考えているのか伺います。
次は、 指定管理者制度について伺います。
規制緩和の大きな流れやPFI法などを背景として、 一昨年9月に地方自治法が一部改正されました。 従来、 地方公共団体の出資法人などの公共的団体に限って委託できることとされていた管理委託制度が廃止され、 かわって株式会社なども含んだ幅広い団体の中から、 地方公共団体が指定するものに公の施設の管理運営を代行させることが可能になりました。
この改正で、 公の施設はすべて指定管理者制度または直営で管理することになりますが、 法改正時に既に管理委託制度をとっている施設においても、 来年9月までにどちらの方式をとるかを決めなければなりません。 改正法が要求する期限は来年の9月2日ですが、 年度途中でもあり予算との関係もあって、 基本的には来年4月1日からのスタ−トとして考えるべきではないかと思います。
したがって、 現在、 県が管理委託している133の施設、 県が直営としている1,080施設のうち個別法で規制されているものを除いて、 早急に指定管理者制度にするのか直営にするのかについて、 管理体制の方式を決定する必要があります。
そこでまず、 今後の対応について伺います。
1点目は、 委託管理方式をとっている施設だけでも133施設に及びます。 これだけの数でありますから、 応募する側の準備期間を考慮して計画的に順次実施していく必要があると思いますが、 今後の決定のスケジュ−ルについて伺います。
2点目は、 PFI法が本制度導入の背景にあるとすれば、 ここでも県外大手資本の脅威が感じられます。 公募条件に地域性の配慮がないとPFIと同様に、 ノウハウを有する県外企業が優位に立つことになります。
先発の自治体によっては、 地元企業以外は応募を認めないというところもあると聞きますが、 今後本県において、 こうした地域性についてどのようなスタンスで臨もうとしているのか伺います。
3点目は、 評価についてであります。 本制度を既に導入または新年度から導入予定の七施設における契約期間は3年または5年であります。
契約期間内のサ−ビス水準の向上を図り、 住民の満足度を充足させるという目的を達成するためには、 綿密な評価を行うことが強く求められることになります。 設置目的が異なっている施設ごとに評価方法も評価組織も異なったものになると想定されますが、 透明性、 公平性に配慮した評価システムの確立をどのように考えているのか伺います。
4点目は、 ネ−ミングライツの採用による経費削減であります。 私は、 平成15年2月議会の行財政対策特別委員会委員長報告の中で、 地方自治法改正に伴う「エコパ」へのネ−ミングライツについて、 単一スポンサ−の確保が困難な場合は、 区割りして複数のスポンサ−にネ−ミングライツを認めたらどうかという提言をしました。
今議会では、 そのエコパへの指定管理者制度導入を検討するとする県の見解も示されたところであります。 今後、 指定管理者制度を導入するその他の施設にもネ−ミングライツを認め、 当該広告費相当分を相殺することで経費節減を図ることができると思いますが伺います。
最後に、 外郭団体の見直しであります。
指定管理者制度の導入は、 現在各種の公的施設を管理運営している自治体出資の財団にとって大きな転換点となります。 財団が公募の結果、 指定管理者の位置を確保したとしても、 契約期限到来後も引き続き指定管理者となれる保証はありません。 総合管理公社など、 外郭団体のあり方について見直しが必要になると思いますが御所見を伺います。
PFIあるいは指定管理者制度について述べてきましたが、 この制度がもっと早い時期に導入されていれば、 また違った方法があったのではないかと思います。
最後に、 このPFI、 指定管理者制度に関連する問題として、 三幸協同製作所の整備について伺います。
平成3年の9月議会、 私は昭和45年、 県下で初めての重度身体障害者授産施設として県が整備した三幸協同製作所、 この施設について質問をしています。
この施設は、 県内の県有施設ではほかにない6人という大部屋、 そして採光不足など、 当時の施設の状況を見て、 障害者にとって快適な居住空間としての整備が必要だということを取り上げました。
当時の岩村民生部長は、 「建設後21年が経過し、 施設の老朽化とともに生活機能や作業環境が低下し、 入所者の処遇の面で十分に応じ切れなくなっている。 今後、 関係者の意見を聞きながら、 プライバシ−に配慮し、 居室を少人数化したり、 生活の場と仕事の場を分離して、 時代のニ−ズに対応した重度障害者の社会自立の中核施設となるよう、 改築について検討を行ってまいりたい」 と答弁されました。担当課からは、 浜松学園の移転改築が第1順位、 次順位で三幸協同製作所を整備したいとする方針が私に示されました。
しかし、 この県の約束は、 その後の財政的な問題とともに、 平成7年の地方自治法改正で中核市制度が導入されたこともあって紆余曲折することになります。 中核市との間の基本的な話し合いがないまま平成9年、 10年、 県は施設整備について調査費等の予算要求をしています。
しかし、 結局平成12年、 県は整備しない、 民立民営とする旨の意向が示され、 運営している法人は混乱をいたしました。
当該施設は、 その後も依然として県有の公共建築物として位置づけられていましたから、 当然県の耐震計画の対象施設となっており、 防災局の耐震診断においても、 食堂棟は耐震性能が劣る建物で倒壊する危険性があり、 大きな被害を受けることが想定されるランクV、 3つの寮と作業棟は倒壊する危険性は低いがかなりの被害を受けることも予想されるランクVであります。 県による耐震化計画は調整中となっていることも最終決断をおくらせる要因になっていました。
最終結論まで5年、 ようやく昨年11月、 現在の運営法人が整備していくこととして、 浜松市に対して平成18年度における施設整備の補助金の協議書を提出したと聞きました。
しかし、 当該法人の会長は、 当年78歳。 各団体の会長職などの当て職で、 浜松市内の居住者がほとんどいない現在の理事構成、 その平均年齢68.7歳ということを考えると、 この法人が20年計画で施設整備をしていくことに一抹の不安を覚えます。
三位一体改革や障害者自立支援法の施行などによる補助金制度の動向や介護保険制度との一元化など、 障害者や福祉施設を取り巻く環境は今後ますます厳しくなっていくものと思われます。
県は、 こうした法人の決定を容認した以上、 施設整備の実現性とその後の健全な運営などについて責任を持つべきだと思います。 やがて政令市となる浜松市との協議も含めて、 この施設に対してどのように対応されるのか伺い、 ひとまず私の質問を終わります。 (拍手)
○石川知事
浜井議員にお答えをいたします。
初めに、 静岡空港についてのうち、 90分アクセスのネットワ−クについてであります。
総延長500キロメ−トルの海岸線や伊豆半島を有する本県では、 海上高速交通は静岡空港へのアクセス手段としても重要であり、 県では平成9年度に高速船であるTSL 「希望」 を購入し、 防災船として活用するとともに、 駿河湾内の海上交通の充実に努めてまいりました。
この間、 TSL 「希望」 は、 平成15年8月の伊豆地域の豪雨災害の際には、 帰宅が困難な多数の観光客を輸送する等、 防災面を初め、 伊豆地域の地域振興や観光振興にも一定の役割を担ってまいりました。 一方、 導入後十年近くが経過し、 浜井議員御指摘のように防災面では海上自衛隊等との災害時の応援体制が整備されてきており、 また海上交通を取り巻く状況変化を踏まえ、 駿河湾内における新たな航路やそれに合わせた導入機材の検討の必要性も出てまいりました。
こうした中で、 東京―小笠原間で新たなTSLの就航が予定されておりますことから、 「希望」 につきましてもそのあり方について見直しし、 早急に結論を出す時期に来ていると考えます。
負け惜しみではありませんけれども、 このTSLについては、 浜井議員ご指摘のようなコストの面とか故障が頻発したとか、 新造船に伴っていろんな不具合もございましたけれども、 一方で駿河湾の海上交通の必要性、 これについて多くの幅広い方々の関心を呼び覚まし、 今後の駿河湾海上交通新時代を切り開く意味での啓発効果もあったというふうに思います。
しかし、 さまざまなコストの面とか、 あるいはもっといい交通手段も見えてまいりましたから、 これを見直しをして早く結論を出して、 新しい90分アクセス、 静岡空港開港とも関連した新しい海上交通体系の構築に向けて進んでいきたいと考えます。
また、 伊豆地域から要望のある小型旅客機による空のアクセスネットワ−クにつきましては、 伊豆の地形上の課題等も想定されますが、 静岡空港の利便性向上や地域振興の観点からも将来的には有効な方策と認識をしております。
静岡空港にてこずっている現状において、 伊豆地域に空港問題を公式に取り上げるのもいかがかと思って黙っておりますけれども、 問題は大変ポイントを突いた見識あるご意見だと同感でございます。
静岡空港へのアクセス向上につきましては、 陸・海・空の基盤だけでなく、 総合的なネットワ−クとしての整備が重要でありますので、 今後とも民間事業者の動向等も踏まえながら、 浜井議員ご提言の県民ファンドの活用等も含めて、 さまざまな視点から検討し、 その中の幾つかは実現をできるように期待しているところでございます。
次に、 空飛ぶミッションであります。
静岡空港からの路線就航を確実なものとして、 航空需要をつくり出していくためには、 観光を初めさまざまな分野において、 就航予定先との交流を拡大していくことが重要であると考えております。
浜井議員のご紹介になりました平成10年の沖縄訪問、 あれは大変大きな効果があったというふうに私も思います。
その際、 農林水産業や商工業など経済産業面の交流を加えていくことが、 今後の航空需要拡大のかぎを握るんではないかという思いを強くしたところであります。 このため県といたしましては、 これまで国内外の各地でポ−ートセールスを行ってまいりましたが、 その際に、 浜井議員御提案のように行政はもとより、 農林水産業、 商工業、 観光業などの幅広い関係者にも参加を呼びかけまして、 目的を持って一堂に会する言うなれば空飛ぶミッションを実施する機会を小規模ながら設けてまいりましたし、 今後もこれを拡大をしていきたいと考えております。
現在、 とりあえず訪問先や実施時期について確定したわけではありませんが、 来年度の早い時期、 例えば五月ごろを目標に、 まず北海道から具体化ができないかということで内々作業をしているところでございます。 もし案が固まってまいりましたら、 県議会初め県民の皆様にも御理解をいただくように呼びかけまして、 御協力をお願いしていきたいと考えております。
その他の御質問につきましては、 関係部長、 教育長から御答弁を申し上げます。
○橋本総務部長
PFIについてのうち、 初めに県内業者の取り扱いについてお答えいたします。
国、 都道府県、 政令指定都市が発注する事業規模が24億3千万円以上の案件については、 世界貿易の拡大、 自由化の観点から締結されましたWTO政府調達協定に基づく特例政令等により、 原則として一般競争入札により事業者の選定が行われており、 この場合には地元企業に対する特別な配慮として事業所の所在地要件を付加することは制度上認められておりません。
県といたしましては、 各種の施策を通して、 技術力とノウハウの蓄積による地元企業の体質強化に努めるとともに、 PFI研修会の実施など、 地元企業がPFI事業への理解を深め、 積極的に参画できるよう支援しているところであります。 PFI事業が広がる中で、 全国的には地元企業グル−プが受注する事例も出始めておりますので、 このような事例を研修会等を活用して情報提供してまいります。
また、 ご指摘の提案費用の軽減を図る観点から、 2段階選抜の導入など入札に参加しやすい環境づくりについても取り組んでまいります。
PFIの導入に当たりましては、 従来手法とPFI手法について、 事業期間全体にわたっての財政負担額、 期待されるサ−ビス水準等を合理的に比較検証し、 メリットや課題等を総合的に評価した上で個々の事業ごとに慎重に判断したいと考えております。
次に、 サ−ビス業務の契約の取り扱いについてであります。
浜松大平台高等学校のPFI事業においては、 校舎等新設施設の整備と維持管理、 食堂、 売店や生涯学習講座の運営等を一体のサ−ビスとして民間事業者より購入していることから、 特定の一部分だけの契約解除は困難であります。
また本事業契約においては、 民間事業者から提供されるサ−ビスが要求水準を満たしているか県が確認することとしております。
サ−ビスが要求水準を下回った場合には、 県と民間事業者から成る関係者協議会での協議を経た上で、 サ−ビス購入料の支払いを減額することとしております。
サ−ビス購入料の減額後も、 なお改善が見られない場合には、 これらの業務を行っている協力会社の変更を要求するとともに、 最悪の場合には事業契約そのものを解除し、 民間事業者から違約金を徴収することとなります。
次に、 指定管理者制度についてのうち、 まず、 今後の対応についてであります。
今後のスケジュ−ルについてでありますが、 すぐれた提案を数多くいただくためには、 応募期間を十分に確保する必要がありますことから、 平成18年4月に指定管理者制度へ移行する場合には、 平成17年6月県議会で、 それぞれの公の施設の設置及び管理に関する条例の改正を行い、 募集と選定の手続を経て、 12月県議会で指定管理者の指定の議決をいただくことを標準的なスケジュ−ルとしたいと考えております。
また、 地域性への配慮については、 最も効果的で効率的な管理運営を行える団体を指定するため、 さまざまな経営能力を持つ団体に幅広く参加を求めることとしておりますが、 県民や地元団体とのパ−トナ−シップなど、 地域の資源を活用したすぐれた提案は、 指定管理者の選定過程において積極的に評価されるものと考えております。
さらに、 透明性、 公平性に配慮した評価システムの確立についてでありますが、 施設の適正管理を確保するため、 事業報告、 実地調査や指示、 指定の取り消しなど、 設置者としての権限を適切に行使するとともに、 必要に応じて外部評価組織の設置を検討するなど、 それぞれの施設の設置目的が確実に達成されるように対応してまいります。
ネ−ミングライツの採用につきましては、 企業にとっての命名権の価値や県民共有の財産である公の施設に企業名を冠することへの県民の理解、 スポンサ−企業等との権利関係などの課題がありますので、 個々の施設の実情に照らして個別に検討が行われるものと考えております。
次に、 外郭団体の見直しについてであります。
本県では、 平成14年3月に策定した外郭団体改革計画に基づき、 外郭団体が健全な経営を確保し、 行政を代替、 補完する質の高いサ−ビスを提供できるよう、 業務や組織の不断の見直しを行ってまいりました。
しかしながら、 指定管理者制度の導入は、 公の施設の管理を受託している外郭団体の運営に多大な影響を与えることも予想されますので、 それぞれの団体の設立目的や民間等との役割分担を再点検しながら、 事業内容のほか必要に応じて組織そのものの見直しに取り組んでまいります。
○鈴木教育長
PFIについてのうち、 20年後のリスクについてお答えいたします。
まず、 少子化による定員減についてでありますが、 20年という長期契約の中で想定できるリスクにつきましては、 県と民間事業者の責任分担を明確にするとともに、 少子化に伴う影響につきましても、 現在作成中の平成27年度までを想定した県立高等学校第二次長期計画の趨勢を踏まえ、 さらに人口推計や少子・高齢化動向、 高等学校の配置状況等、 現時点において予想し得る限りの情報を総合して対処することとしております。 なお契約後、 社会環境の変化等により当初予測できなかった事態が生じた場合には、 県と民間事業者から成る関係者協議会を設置し対応してまいります。
次に、 契約期間満了後の対策についてであります。
浜松大平台高校のPFI事業は、 平成38年3月に契約期間が満了となりますが、 契約期間中の日常の維持管理や年度ごとの定期点検のほか、 15年目のエアコンの更新や20年目の外壁塗装、 照明器具の更新を事業者の負担と責任で行った後、 県が維持管理業務を引き継ぐこととしております。 引き継ぎ後も授業等教育活動に支障がないよう、 良好な教育環境の維持に努めてまいります。
○川口健康福祉部長
三幸協同製作所についてお答えいたします。
身体障害者授産施設三幸協同製作所は県が建設し、 静岡県身体障害者福祉会に土地、 建物を無償で貸し付けて運営が行われてきておりますが、 築後34年が経過し、 施設の老朽化が著しく居住環境も悪化しており、 一部が耐震性能に劣るランクVになっていることから、 早急な改築が必要になっております。
三幸協同製作所の整備のあり方については、 さまざまな議論を踏まえ検討してまいりました結果、 このほど関係者の合意が得られ、 地域に根差し民間の創意工夫を生かした施設とするため、 民立民営方式による施設整備を図ることとなりました。 改築に当たりましては、 設置運営主体の静岡県身体障害者福祉会と施設所在地の浜松市との協働が不可欠であり、 県、 浜松市、 法人の三者で平成18年度整備に向けて協議、 調整を行っているところであります。
県といたしましては、 三幸協同製作所が障害のある方の地域生活の拠点として早期に改築されるよう、 今後も施設整備に係る補助負担が生じる浜松市と連携を図りながら、 積極的に支援してまいりたいと考えております。
○浜井
再質問させていただきます。
西遠地区新構想高等学校整備事業へのPFI導入、 平成16年6月のペ−パ−です。 コスのト削減率2%、 20年間で2%ですね。 それで、 20年後にこれを引き取って直営にすると、 こういうことです。
売店等のサ−ビスは地域に公開をしていくとしていますが、しかし今、 学校施設というのは暴漢が乱入したり、 ある意味では安全面での確保という、 これ二律背反する行為ですね。
一方で地域開放していかないと、売店とか食堂とかというのは、 なかなか利益が上がらない。
この講評を見てますと、 Aグル−プは高校の食堂の実績及び売店の実績がないと、 こういう指摘を受けながら、他方で、サ−ビス購入料が一番安いということで満点をもらっているんですね。 しかし、 この業者は結果として落札してませんけども。
浜松市は、 市役所の食堂も撤退です。 それから、 浜松のほとんどの公の施設の食堂業務はほとんど成り立っていない。 全部赤字か、 あるいは要するに廃止しています。 そういう中で、 大平台高校だけが一人勝ち残れるかわかりません。 それについて、 もう一回お伺いをして終わります。
○鈴木教育長
再質問にお答えいたしますが、 この西遠地区に新たに構想しております学校は、 確かに地域に開かれました柔軟で多様な学校を理念として目指しておりまして、 そういった意味で民間のノウハウとか、 そういう手法をお借りしながら、 よりよい学校をつくりたいということが根底にありまして、 そういった部分もこの総合的な評価の一部分をなしていたということはいえると思います。 そして、 食堂等につきまして、 この部分ではマイナスで、 こちらではプラスというようなことも確かにありました。
それから、 この学校がこのPFIによって非常に私ども新しい学校のスタイルとしていいなと評価したのは、 保守点検とか警備業務が1日8時間学校に警備員が配置されて、 生徒の安全を管理してくれるといったことなどは、 これは非常に高い評価になりまして、 そういった面もあわせまして、 総合的な評価を最終的には序列いたしまして、 この業者に決定をしたということで、 確かにまだまだこれから改善、 研究すべき余地はあると思いますが、 この学校の開かれた柔軟な手法にぜひ民間の知恵も取り入れながらやっていきたいと、 このように思っておりますので、ご御理解いただきたいと思います。 |
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