浜井
富士山静岡空港についてのうち、まず、国際線の確保策についてであります。
去る五月、政府の規制改革会議は、「アジア・ゲ−トウェイ構想と、空港の効率的運営整備」についてまとめ、「オ−プンスカイ政策」の導入を提言しました。
運航路線や便数を航空会社が自由に決められる「オ−プンスカイ」への政策転換は、空の大交流時代を迎える中で、我が国が世界の空のネットワークから取り残される不安を払拭します。
昨年我が国を訪れた外国人は、約733万人と過去最高を記録しました。韓国からの212万人、台湾の131万人が群を抜き、香港が35万人と、意外に健闘しています。韓国、台湾とともに、超過密都市香港人は、日本の情報収集に熱心だと聞きますから、富士山静岡空港と本県の観光や経済効果を考えれば、いずれにしてもこの三つの、国と地域には大きな可能性が期待できます。
これまでの知事の積極的で意欲的なトップセ−ルスは、各国の航空会社から一様に好感をもって迎えられているように見え、成果も期待されます。
ところで、開港と時を同じくして上海便の開設を果たした北九州空港を視察したおり、その路線開設の陰に、多くの政財界人の支援と協力があったと聞いています。
国際便開設後の搭乗率の確保などを考えたとき、「これは自分たちが汗をかいた路線だ」というように、多くの人たちに愛着を持ってもらうことも必要な気がします。富士山静岡空港就航促進協議会の会員はもちろんですが、会員以外の現地進出企業のトップの人たちや、知日派といわれる現地の人たちの属人的なネットワ−クを最大限に活用することも必要だと思いますが、ご所見を伺います。
石川知事
浜井議員にお答えいたします。はじめに、富士山静岡空港についてのうち、国
際・線の確保策についてであります。
先月、政府が発表しました「アジア・オ−プンスカイ」への航空政策の転換は、富士山静岡空港をはじめとする地方空港の国際化を推進するものでありまして、本県にとって、誠に時宜を得たものであると考えております。
国際線の就航を確実なものとするためには、県のみならず、市、町、経済団体、企業等の一丸となった取組が今後重要になってまいります。
とりわけ、昨年現在で考えますと'、県内企業379杜が1,213の海外事業所を展開しておるわけであります。
これらの企業は、路線就航後の航空利用者として期待されるのみならず、現地で航空会社や関係機関への働き掛けをする上で、富士山静岡空港の国際化に重要な役割を果たしていただくことが期待されます。
このため、県といたしましては、こうした現地進出企業と連携して、現地の航空会杜や関係機関に路線就航の要望書を提出していただくなど、路線確保の取組を進めていきたいと'考えます。
また、浜井議員の御指摘のとおり.、現地の知日派の方々とのネットワークの活用も、国際線の誘致活動に効果的であると思いますので、上海、シンガポ−ルにおける駐在員事務所に加え、今月末にオープンするソウル事務所の機能も最大限活用しつつ、人的ネットワークの構築による国際線の確保につなげてまいりたいと考えております。
浜井議員に御紹介いただきました、竹内静岡総研理事長の「空港部長など、外国人を採用したらどうか」ということは、なかなかなるほどと、刺激的な提案であります。
現状では、管理職に外国人を採用することについてはできないわけでありますが、例えば、顧問とかスタッフ職であれば、外国人をお願いすることは何の制約もありませんので、そういう面で目からうろこが落ちるような感じのお話でありましたので、研究していきたいと思います。
浜井
次に、CIQ体制の確保に向けた取組について伺います。
昨年、韓国の二つの航空会社と知事との会談の中で「一日一便も可能」と、定期便就航に意欲的な発言があったと報道されました。
現在の法体系では、この定期便就航にはCIQ関係法に基づく指定空港化が必要であり、日本政府と相手国との間の協定締結が前提となっています。
しかし、「アジア・ゲ−トウェイ構想」では、地方空港についても、二国間交渉妥結前の路線開設や増便等の暫定的な認可や、定期便の前段階となる国際チャ−タ−便の運行促進について、積極的に認めていく方針が示されました。富士山静岡空港にとって「オ−プンスカイ政策」は、まさに追い風になります。
ところで、国家公務員削減計画が着実に実行されている現況で、増員につながるCIQ関係職員の確保には困難も予想されます。
北海道では、道州制特区の指定を受けて、国との連携・共同事業として「CIQ業務への地方公共団体職員派遣事業」を実現させました。すでに道市の職員3名が、札幌入国管理局での研修に入っています。2年目の今年は、研修の一環として自治体職員の身分のまま空港の出入国審査業務にも就いていると聞きました。さらに特区承認がなくても、こうした制度の活用は可能だということです。
富士山静岡空港が、海外の航空会社にとって魅力ある空港となるためには、需要拡大策とともに国際便就航に併せた体制の整備が必要です。
県職員の研修派遣を含めたCIQ体制の確保について、ご所見を伺います。
岩崎空港部長
富士山静岡空港についてのうち、はじめにCIQ体制の確保についてお答えします。
富士山静岡空港は、国際定期路線の就航を目指しており、開港時からCIQ体制を確保することが必須であります。
このため、国の関係機関に対して、要望活動や行政連絡会を通じ、国際線就航に合わせたCIQ体制の整備について働き掛けを行っているところであります。
現在のところ、国の関係機関からは、富士山静岡空港への国際定期便の就航が決定した場合には、CIQ関係法令に基づく空港に指定し、必要な体制を整備していただけるものと伺っております。
こうした中、議員御指摘のとおり、国の出入国審査におきましては、地方自治体職員が、研修の一環として出入国審査業務の支援を行っている事例もありますことから、県職員を派遣する方向で入国管理当局と調整を行い、出入国審査の迅速化を図ってまいりたいと考えております。
県といたしましては、引き続き、CIQ体制の確保に向けて積極的に取り組とともに、空港利用者にとづて利便性の高い空港づくりに努めてまいります。
浜井
次に、空港周辺の「にぎわい」の創出について伺います。
地方が、競うように地方空港を整備した大きな目的の一つは、東京便を持つこととその便数の確保によって首都圏との経済的連携を図ることにありました。
しかし、規制緩和や原油価格の恒常的高騰など航空業界を取り巻く大きな変化の中で、大手航空会社は経済性や効率性を求めて機材の集中をはかり、地方の不採算路線から撤退し始めました。
当初から東京便を想定しない富士山静岡空港は、東京に近いという立地性を有利に働かせるチャンスが到来しました。
先般報道された、あえていわせてもらえば、知事自ら解禁した「新駅構想」が実現すれば、ナリタエクスプレスと同じアクセス条件で、富士山静岡空港は首都東京と結ぶことができますが、課題は、どれだけの乗降客を確保できるかにかかってきます。
先月、静岡で「ホビ−ショ−」が開催され、一般公開日には世界中から約七万人が集まりました。主催者の田宮理事長は、「規模拡大したいが会場が狭い。広い会場さえあれば」と某紙のコラムで語っていました。
この記事から私は即座に、バ−ミンガム空港を思い出しました。2002年のフロリア−ドに、県議会代表として知事とともに参加した後訪れて、強い印象を持ったまちでした。
バ−ミンガム市は産業革命発祥の地でありながら、内陸部に位置していたこと、在来型工業への依存度が高かったことなどから、都市の−セが三つも入るほど巨大な国際コンベンションセンタ−の建設にありました。
以降、同市には、一般観光客やビジネス・ツ−リストが集中し、バ−ミンガム空港は大陸の各都市に40以上の路線を擁し、年間乗降客1,000万人に迫る国際空港に成長を遂げます。
富士山静岡空港も、成長めざましいアジア大陸を視野に入れれば、バ−ミンガム空港と同じような図式が浮かび上がります。
空港周辺の市町において、「にぎわい」の創出、例えば国際見本市が開催できるようなコンベンション・センタ−の整備構想などが見えてこないように思います。
空港を核とする「にぎわい」を創出すれば、新幹線新駅は、向こうから近づいてきます。バ−ミンガムしをまねろとはいいませんが、富士山静岡空港関連の「にぎわい」の創出について、県の強いリ−ダ−シップが必要ではないかと思いますが、ご所見を伺います。
石川知事
にぎわい創出についてであります。
海外や国内の空港周辺におきましては、空港の持つ人、物、情報の交換・交流機能を生かして、コンベンション施設やアウトレットモールなどの施設が整備され、賑わいの創出が図られている状況が見られますが、富士山静岡空港においても、空港を核とした地域づくりを図っていくためには、全港の機能を生かした集客施設の立地は、大変有効な方策であると考えております。
本県は全国有数の観光県であることから、空港周辺に賑わいを生む各種施設が立地して空港の魅力を高めるということが、空港のイメージアップと情報発信の
増大にもつながってまいりますし、ひいては、空港利用者の拡大に寄与するものと考えます。
こうしたことから、県といたしましては、何としても空港周辺において賑わいの創出を図りたい思いから、国内外の先進的な取組や民間の集客施設の成功事例等も参考に、富士山静岡空港にふさわしい施設の立地可能性を模索をしております。
ご紹介いただいたイギリスのバーミンガム空港なども、行ってみれば、すぐこういうものの重要性が実感できる場所でもあります。できるだけいろんな機会にその種のところを、県の要路の方々にも、情報提供して視てきていただいて、今後の静岡空港利活用にあたってのいろいろ助言とか応援いただくように努力をしてまいりたいと思いますし、私、空港部;企画部など中心に空港利活角のための、その種の施設整備の方策についても、いろいろ案をまとめて、またおはかりをして理解、ご支援をお願いしたいと思います。
浜井
次は、昨年の議会でも取り上げました飛行船の富士山静岡空港への係留基地化についてであります。
日本飛行船の約59パ−セントの株を持つ日本郵船が、様々な理由により飛行船事業からの撤退を決めたことで、この3月、日本の空から飛行船が消えてしまうという衝撃が走りました。
さいわい、全株を取得してこの事業を受け継ぐ会社が現れ、私は胸をなでおろしました。
従来の広告宣伝事業に加え、つい先頃飛行船の遊覧飛行の許可がおりたことで、新たな展開が可能になりました。
飛行船の開発国ドイツで実施されている遊覧飛行は一時間約四万六千円、ちょっと高い料金体系となっていますが、一年先まで予約で埋まっています。
この秋にも始まる飛行船の遊覧は、たとえば富士山や伊豆まで1時間30分、浜名湖まで1時間となります。
料金体系については、広告事業収入との関連で、低額に抑えることは可能だと会社は説明しています。
富士山観光は、地上300メ−トルを時速25キロで浮遊する飛行船が最適です。
国民や県民の多くが、夢を失いかけている今日、「富士山静岡空港で飛行船に逢える・乗れる」というキャッチフレ−ズは、間違いなく富士山静岡空港のイメ−ジアップにつながるものと確信します。
富士山静岡空港における飛行船の係留基地化について伺います。
岩崎空港部長
次に、飛行船の係留基地化についてであります。
低高度、低速かつ長時間の滞空性などの特性を有する飛行船には、広告媒体や地震などの災害時の救助活動、観光遊覧など多様な活用方法が考えられます。
特に、富士山、南アルプス、伊豆半島、浜名湖などの豊かな観光資源を有する本県は、変化に富んだ景観を空から堪能する飛行船の観光遊覧に大変適した地域であると考えております。
しかしながら、空港には航空機の離着陸や旋回のため、空域に一定の制約があり、また、係留基地として使用する場合には十分な広さの平地が必要となるなど、富士山静岡空港を飛行船の係留基地とするためには、解決すべき多くの課題があります。
県といたしまレては、このような課題を踏まえつつ、飛行船の基地化の可能性について研究を進めてまいりたいと考えております。
浜井
私は、今回の選挙のマニフェストの最初に「命を大切にする社会をつくる」ことをあげました。虐待やいじめによって失われる幼い命、毎年三万人を超える自殺者、高齢者の孤独死など、「命」がこれほど軽んじられる時代は、戦国の世を除けばなかったと思います。
最初に、児童虐待対策について伺います。
虐待は児童の心身の健全な成長を妨げるだけでなく、その児童が親になったとき、同じような虐待に走る「世代連鎖」を引き起こすとされ、深刻な社会問題の一つになりました。
全国の児童相談所への虐待相談件数は、七年間で約3倍の34,000人余に及び、この間に虐待で命を落とした子どもたちは200人を超えました。
平成12年に施行された児童虐待防止法は、教員や医師などに「虐待を受けた児童」の早期発見を義務付け、16年には「虐待を受けたと思われる児童」を発見した全ての国民に通告義務を課した改正がなされました。
しかし、児童相談所に強制権がないため、保護者の拒否で立入り調査ができなかったりして、救える命を救えないという状況が続いていました。
来年4月から施行される改正法では、虐待の恐れのある場合、裁判所の令状によって児童相談所職員が強制的に立ち入り調査ができることとなり、強制権が付与されました。 児童相談所は、児童の安全確認、強制調査、保護、児童養護施設や里親への委託、保護者と児童の心のケアーに至るまで、仕事量は増大し、その責任がより重くなりました。
本県内の児童相談所の職員体制は、配置基準のある児童福祉司が63名、相談員14名、児童心理司31、保健師7名、7名の所長などを加えても122名という規模ですが、この人数で、増加し続ける児童虐待に対処できるのか心配です。
法が施行される4月に向けて、専門職の増員を含めたこれまでの体制の見直しが必要だと思いますが、ご所見を伺います。
藁科厚生部長
命を大切にする杜会についてのうち、はじめに、児童虐待対策についてお答えいたします。
全国的にも本県においても児童虐待が増えており、本県の平成18年度の相談件数が816件と、同じ統計を取り始めた平成8年度の5,8倍に増加するなど、深刻な状況にあるものと認識しております。
県では、増加する相談に適切に対応するため、これまで児童相談所のスタッフの増員等に努めてきたところでありますが、相談件数が増加しているだけでなく、親と子どもの心のケアを必要とする対応の難しいケースが増えてきており、さらに、来年4月には児童虐待防止法の改正法が施行されることに伴い、強制的な立入り調査など新たな業務が生じることから、児童相談所の機能強化が求められているところでもあります。
県といたしましては、児童相談所の専門性の向上のため体系的な研修を更に充実し、職員の資質を高めていくとともに、法改正等に伴う業務の増加については、スタッフの確保を図るなど、県警察との連携も含め、児童相談の体制の充実について検討していきたいと考えております。
浜井
次にいじめによる自殺対策についてであります。
平成17年9月、滝川市内の小学6年生の女の子がいじめを苦に自殺しました。残された遺書には「悲しくて苦しくて、耐えられません」と書かれていました。滝川市教育委員会も学校も、いじめを否定していま10月、福岡県筑前町立三輪中学校2年生の男の子が自殺しました。ポケットには「いじめられて、もう生きていけない」などの複数の遺書が残されました。その後の調査で、元担任教師がいじめに加担していたことが明らかにされました。とんでもない話で、怒りが脳天を突き抜ける思いがします。
滝川市の学校や教育委員会の、いじめをいじめとして認めたがらない現実逃避の姿勢にも、筑前町の毎日子どもたちに接し、子どもたちの心の変化に気づかないばかりか、いじめを助長した教師にも問題があります。
首相官邸のホームページ「キッズルーム」の「ストップいじめ」のページには、
「君たちは、決して一人ではありません。
一人だけで苦しまず、誰かに話す勇気を持ってください。悩みを受けとめてくれる人は必ずいます。どうか、たった一つしかない命を大切にしてください」と書かれています。
いじめによって、子どもたちが自ら命を絶つような悲劇を繰り返すことがあってはなりません。悩みを受け止められる立場に一番近いのは教師です。
本県教育委員会のホームページを見ると「いじめ・暴力対策」メールコーナーが開設されていますが、携帯電話やパソコンを自由に使える小学生や中学生でなければ、このコーナーを見る機会はないでしょう。
本県の教育現場において、「いじめによる自殺」という課題にどのように対応しているのか、どのように「命を大切にする教育」を行っているのか伺うものであります
遠藤教育長
命を大切にする杜会についてのうち、いじめによる自殺対策についてお答えいたします。
いじめにより相手の人格を傷つけることや、追い詰めて死に至らしめるということは決して許されないことであります。
学校では、一人づとりの児童生徒と日常的に日記のやりとりや面接を行うなど、あらゆる活動を通して、児童生徒との信頼関係を築くことを第一に考え教育活動を行っており、このことがいじめによる自殺を防止することにつながると捉えております。
また、教育委員会といたしましては、スクールカウンセラーを配置したり、ハロー電話「ともしび」を始めとする各種相談機関の一覧を児童生徒に配布したりして、いつでも、どこでも相談できる態勢を整え、いじめの早期発見・早期対応に努めているところでありますも
命を大切にする教育については、いじめを受けていた子どもの作文を例にとって自分の心と向き合わせる授業を行うことや、花を育てたり、小動物を飼ったりすることにより命の尊さに触れる体験活動などを通して、自分も相手も大切にする心の育成に取り組んでおり、今後も一層の充実に努めてまいります。
浜井(再質)
昨日、教育関連三法が成立しましたけれども、この背景には、やはり、いじめを見逃してしまったということの一つのきっかけになっていると承知しいます。
命というものに対する教え方には、いじめられた子どもの作文を読んで聞かせるというお話がありましたけれども、命ってなんなんだ、ということを教師が全員共有しているかということになると少し疑問があります。
実は、日野原重明さん、昨年の厚生委員会でも紹介させていただきましたけれども、95歳、聖路加国際病院理事長、そして名誉院長、看護大学の理事長外6つぐらいの理事長職を兼任しております。
95歳で、文化勲章も受賞されていますが、70歳を超してから25年間全く報酬はゼロということで、去年から命の授業というものを全国で10箇所やっていると聞いています。
命というものは、聴診器を持っていって自分の心臓の鼓動を聞かせるんだ。
命というのは目に見えない空気と同じで目に見えないものだけれどち、実は一番大事なものというような事を心臓の鼓動を現実に聞かせながら教える。
実は日野原先生が・今年の7月に浜松市の小学校で命の授業をやることになっています、全国で去年から行っていますけれども、これを伝え聞いた大人も、私たちも聞きたいという声が多数寄せられているということですから、'これは浜松市になりますけれども、そうした情報収集をしっかりしていただいて、少なくとも命の大切さを、全教員が共通認識で、教えていけるそうした仕組みくっていただきたいと思います。このことに対するご答弁を戴きたいと思います。
遠藤教育長(答弁)
今、日野原先生のお話が出て、浜松市でよばれて講義をされるというお話で、子どもたちに対してのお話でしょうから大変分かりやすいものになろうか思いますので、私たちも職員を派遣して私も今、浜井議員もおっしゃっていましたけれども私も聞いてみたいと思います。
ただ命というものには対局に死があるわけですが、今まで私たちの生活の中に死というものがわりあい身近にあったと思います。
それはお年よりと一緒にくらしていたり、動物を飼っていたりといろいろな場面で死というものと隣り合わせになる中で、逆に命の尊さというものが理解されてきた部分があるのではないかと。
ところが誕生も含めて病院でそういうことが行われることになったことによって、子供たちに日常生活め中で命というものの大切さを知る機会が少なくなってしまったというのが、今の杜会状況ではないのかなと思います。
学校教育の中だけで命の大切さというものを教えるということは正直、道徳等の授業を通してやっておりますけれども、その仕組みというのは中々難しいかなと思っております。
浜井
次に自殺総合対策大綱への対応について伺います。
8年連続して自殺者が3万人を超えるという事態に、国は昨年「自殺対策基本法」を制定し、重要な社会問題として取組みを始めましたが、昨年の自殺者は3万2千人余と、相変わらず3万人を超えました。
今月初め、国は今後10年間で「自殺死亡率」を20%以上減らすとする「自殺総合対策大綱」をつくり、都道府県などに対して施策の一層の推進を要請したとされました。
残された遺書などさまざまなデータによれば、自殺者全体の約80パーセントの人たちは「死にたい」と悩んでいることを家族など周囲のものに全く相談していないという結果がでています。
一方、自殺未遂者に対する調査では、約75ーセントの人が自殺行動前に「うつ病」と診断されていたことも分かっていますが、我が国では「うつ病」に対する理解が全くありません。
競争社会、格差社会が顕著な現代において、人は誰でも失職、倒産、家族離散などの憂き目に会い、不治の病などに侵されないという保証はありません。人は誰でも「うつ病」になる可能性を秘めているといえます。
こうしたことを考え合わせると、本県が取り組もうとしている相談窓口を増やすことも必要ですが、それを増やして相談を待っているだけでは解決にはなりません。
大多数の国民が、精神科医の門を叩くことには抵抗があると考えているということですから、市町が実施する健康診断の中で、「うつ病」に関連する精神科の項目を取り入れることを検討すべきではないかと思います。もちろん、プライバシーに最大の考慮を払ってです。
自殺総合対策大綱の推進について、本県の対応について伺います。
藁科厚生部長
自殺総合対策大綱についてであります。
本県においては、平成17年の自殺者数が800人を超えておりますが、自殺を図った人の直前の精神状態をみると、議員御指摘のとおり、多」くはうつ病等の精神疾患に罹患している状態であることから、自殺対策を推進するためには、働き盛りの世代を中心としたうつ病の早期発見・早期治療が重要であると考えられます。
このため、県では、昨年度から、電話相談事業の相談時間を休日・夜間へ延長するとともに、富士市において、うつ病が見られる患者を一般医から精神科医へ紹介するシステムを開始し、うつ病の早期発見・早期治療につなげるためのモデル事業を行っているところであります。
また、うつ病は、「十分に睡眠をとれているか」が第一の判断材料となるため、今年度から、「睡眠キャンペーン」と称して、睡眠状態の確認を通じて、うつ病を早期発見するためのキャンペーンを広く県民向けに行うことを計画しております。
この睡眠キヤンペーンを進めるにあたり、市や町、企業の健康診断は有効な手段と考えられることから、健康診断の活用方策についても、検討してまいりたいと考えています。
自殺につきましては、今後とも、地域の医師会を始め各分野の関係機関と連携して取組を進めてまいります。
浜井
次に、行政対象暴力対策についてです。
今年の統一地方選のさなかに、長崎市の伊藤前市長が射殺されるという信じられない事件が起きました。
殺人罪で起訴された暴力団幹部は、「車の事故をめぐって市とトラブルがあった」と供述しているようです。
この事件を見て私は、平成13年に起きた栃木県鹿沼市役所の職員が、産業廃棄物行政にからむ業者の恨みを受けて殺害された事件を連想しました。
平成4年の暴力団対策法の施行以後、資金源を絶たれた暴力団は、行政機関や公務員に対して、違法、不当な脅しや要求行動にでることが多くなりました。
ある調査によれば、全国の自治体の総務部門や公共事業部門の担当者のうち、暴力団などから、不当な要求を受けた経験があるとした割合が約30パーセントもありました。刃物をふるわれ、一歩間違えば命を奪われるようなケースもあったとされています。
今回の長崎事件を受けて、全国の自治体は、対応マニュアルなどの再検討を始めたということですが、本県における実態はどうなのか、またどのような対応策になっているのか伺います。
藤原総務部長
命を大切にする社会についてのうち、行政対象暴力対策についてお答えいたします。
本県では、平成17年11月に全職員に配布した「コンプライアンスハンドブック」の中で、行政対象暴力に対応する場合の基本的な心構えと具体的な対処方法を示して、職員一人ひとりに注意を喚起してまいりました。
また・長崎市長の事件発生葎、直ちに、全庁の職員に対して、r毅然とした態度」「信念と気迫」及び「冷静な対応」といいますこの基本的な心構え3か条などを改めて周知するとともに、本庁の室長や出先機関の次長等を対象とするコンプライアンス担当者研修会において、行政対象暴カヘの対応について徹底いたしました。
本県でも、最近の事例といたしまして、保健所職員が捕獲した犬の飼い主か暴行を受けたり、あるいは苦情処理のため県営住宅を訪れた職員が入居者に暴行を受けるといった事件が発生しております。
現在、職員に対する暴行、脅迫、暴力的威嚇等の行為や暴力団等による不当要求などの行政対象暴力の実態を正確に把握するため、議員からお話がありましたように、刑事事件に至らないものも含めまして、県の機関あるいは市や町に対する実態調査を実施しているところであります。
今後は、調査結果を踏まえた上で、情報を共有し統一的な対策を講ずるための庁内体制を整備し、行政対象暴力の未然防止に努めるとともに、警察との協力体制を緊密にしていくなど、個々の職員を孤立させない、組織的な対応策を講じてまいりたいと考えております。
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