takahara さんの出題(三角関数)の解答      このページは Internet Explorer では表示できません. MicroSoft Edge などでご覧ください。)

出題者 takahara 自身による解答

この正解を明示して証明を求める出題形式もあったが、
あえて、より難しくなる出題形式を採用した。

ここは、解きやすい問題を解いて安易な満足感にひたるのではなく、
1ヶ月、2ヶ月かかっても一つの問題を考え続け、その結果解答を得ることができれば幸せ。
というおよそ学校教育からはかけ離れた趣味の数学を追究する場だと考えるからである。

前置きが長くなったが、この解答を導く手順を示す。

まず、内接円の半径 r が使われる公式はあまり多くは知られていない。有名なのは、

\[S=\frac{1}{2}(a+b+c)r\]

であろう。もう一つの面積の公式

\[S=\frac{1}{2}ab\sin C\]

と、正弦定理を利用すると、

\[S=Rr(\sin A+\sin B+\sin C)=2R^2\sin A\sin B\sin C\]

これを変形すると、

\begin{align*} \frac{r}{2R}&=\frac{\sin A\sin B\sin C}{\sin A+\sin B+\sin C} =\frac{\sin A\times\dfrac{1}{2}\{\cos(B-C)-\cos(B+C)\}}{\sin A+2\sin\dfrac{B+C}{2}\cos\dfrac{B-C}{2}} &(\because 和積, 積和)\\ &=\frac{\sin A\times\dfrac{1}{2}\{\cos(B-C)+\cos A\}}{\sin A+2\cos\dfrac{A}{2}\cos\dfrac{B-C}{2}} &(\because A+B+C=\pi)\\ &=\frac{2\sin\dfrac{A}{2}\cos\dfrac{A}{2}\times\dfrac{1}{2} \left(2\cos^2\dfrac{B-C}{2}-2\sin^2\dfrac{A}{2}\right)} {2\cos\dfrac{A}{2}\left(\sin\dfrac{A}{2}+\cos\dfrac{B-C}{2}\right)} &(\because 倍角)\\ &=\sin\dfrac{A}{2}\left(\cos\dfrac{B-C}{2}-\sin\dfrac{A}{2}\right) \leqq\sin\dfrac{A}{2}\left(1-\sin\dfrac{A}{2}\right)&(\because 0<{A}<\pi)\\ &=-\left(\sin\dfrac{A}{2}-\dfrac{1}{2}\right)^2+\dfrac{1}{4}\leqq\dfrac{1}{4} \end{align*}

よって、$r\leqq\dfrac{R}{2}$ (等号成立は $B=C,~\dfrac{A}{2}=\dfrac{\pi}{6}$ すなわち正三角形の時)■