数学教育に関する私の意見

数学教育を議論する場合われわれは次の視点を考慮に入れなくてはいけないと考えている。

それは数学には「実用のための数学」と「楽しみのための数学」があるということだ。


1.「実用のための数学」とは応用数学とイメージすればよい。
しかしいわゆる応用数学そのものではなく、問題解決のために利用される数学すべてを考えている。

それに対して

2.「楽しみのための数学」は純粋数学をイメージすればよい。
もちろんこちらもいわゆる純粋数学そのものではなく、数学の問題の解決(または解決する過程)に楽しみを見出すことと考えている。


高等学校までのいわゆる学校教育に期待されている数学は1.の数学である。受験に象徴されるように何かの問題を出題して、それについて解答させるということは問題を解決する力を要求している。
問題を解決するもっとも一般的な方法は似た問題の解法をその問題に当てはめてみることである。このためには種々の問題の解法を系統的に覚えることがもっとも効率が良い。

そのような学校教育に対して、昨今数学の楽しみを実感できるような内容を加えることが要求されている。

2.の数学それ自身を楽しみとする数学を教えなさいということだ。しかし、数学を解く過程それ自身を楽しみとするということは、極論すればその数学の問題は解けなくてもよいということだ。

例えば、出題から300年間解けなかった「Fermat-Wylesの定理」は、解けなかったが、それに挑戦したすべての人に何らかの楽しみを与えたと思われる。

このような数学の勉強の仕方は、問題を解決する力を持った人材を社会が求め、そのような人材を育成する使命を持った学校数学には実はなじまない。

むしろ2.の数学は学校教育を終えた人がそれぞれの数学の実力に合わせて趣味としてそれぞれ独自に勉強していく課程そのものと考えた方がよいであろう。


もちろん、1.と2.は完全に分離できるものではない。楽しみのために図形の問題を解こうとする人には幾何学の知識が要求される。また、その知識を得ること自体が数学の楽しみとなることもあるだろう。

以上のことを踏まえた上で、私は次の二つのプロジェクトを提案する。


1.に関しては、学校教育の全分野を網羅する参考書HomePageである。このHomePageを辿ることによって、小学校から大学までの数学の知識を得ることができるホームページのリンクが完成できれば数学教育上これほど好ましいことはないと考える。
私が試みに作ってみたホームページにリンクしているので、参照していただきたい。
そして、個人で作るホームページの量には限界があるので、賛同いただける学校の先生方に協力を仰ぎたい。

2.に関しては、各レベルにおける数学パズルのホームページのリンク集を作ってみたい。個々人が自分のレベルにあったパズルを検索、出題、解答することによって、昔の日本の算額のようなものがインターネット上に出現すれば愉快ではないか。
私が試みに作ってみたホームページにリンクしているので、参照していただきたい。


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