退院間際に渡された一つのアクセサリー。
私の病室に落ちていたものらしいが、 結局落とし主がわからず私のところへ来た。
それは私には見覚えがあったが、 持ち主の事はうまくごまかして 私が預かる事にした。
・・・まだ手元にある。
数年後ある病院にて・・・ 「女の子ですよ」 看護婦からそう聞かされても不思議と驚きは無かった。 「名前は決めてあるんですよ」 そう、名前は決めてあった。ずっと前から・・・ 春が近い。窓から差し込む光は、それを感じさせるに十分だった。