東郷町グリーンベルト


アオジ
 チーチュルリーとのんびりしたさえずりを響かせる小鳥。雄は頭部が濃い灰緑色で目先は黒く、下面は黄色で縦斑がある。雌は色が淡く、淡黄色の眉斑がある。北海道と本州で繁殖し、北日本では平地から山地の草原に広く、西日本では高原に局地的に分布する。繁殖期には明るい落葉広葉樹林や林縁部に生息する。冬は低地に漂行し、川原のやぶや下生えのある林に生息し、地上で草の実をついばむ。地鳴きはジッと濁った声。
イソシギ
 チーリーリーと細くて澄んだ声で鳴きながら、川面を低く飛ぶ小型のシギ類。夏羽では上面は暗い灰褐色で白い眉斑がある。飛ぶと翼帯と、尾の両側と先端が白いのが目立つ。下面は喉から上胸に細かい縦斑があり、下胸から腹は白い。下面の白が翼の前にくいこんで上に伸びているのが、よい特徴になる。くちばしは短く、足は灰緑色。冬羽は、胸の縦斑がやや少なく中央部は白い。川や湖沼に生息し、岸辺を歩き回って、昆虫などの小動物を捕らえる。
イカルチドリ
 早春の川原をピョッピョッとにぎやかに鳴きながら飛び回るチドリ類。コチドリと似ているが、二回り大きく、くちばしが長いこと、目の縁が淡黄色であること、淡色の翼帯があること、足が長く淡黄色であることで区別できる。留鳥として本州から九州に生息する。年間を通して川の中流域の砂礫の川原に生息し、歩きながら地上をついばんで昆虫などの小動物を捕らえる。
カルガモ
 雛の群れを引き連れて川面を泳いでいる褐色のカモ類。全身褐色で斑模様があり、くちばしが黒く先が鮮やかに黄色い。顔には2本黒線が走り、三列風切が白い。飛ぶと白い下雨覆目立ち、翼鏡は青くその上下にマガモのような白線はない。雄雌はほぼ同色だが、雄は上下尾筒が黒っぽい。全国で普通に繁殖し、冬に結氷する地方のものは暖地に移動する。繁殖期には平野部に生息し、草むらに営巣する。雛が巣立つと川や池に誘導してそこで生活する。秋から冬にかけては、池沼や湖で大きな群れを作り、海上に出ることもある。湿地を歩きながら草の実をついばんだり、泳ぎながら水中の藻を食べたりする。グェッ、グェッと鳴く。
カワセミ
 川岸の枯草にとまる、コバルト色の背中とオレンジ色の腹をした鮮やかな色の鳥。体色と長いくちばしが確認できれば他の鳥と見間違えることはない。雄のくちばしは黒く、雌は下くちばしが赤い。留鳥として全国に分布する。川の中下流や池などに生息し、ダイビングで魚や水生昆虫を捕らえる。飛ぶときにチーという細い声を出す。春先には雄が雌に求愛給餌する光景を目にする。
カワラヒラ
 冬枯れの川原からキリキリコロコロと鳴き交わしながら飛び立つ黄色い翼の小鳥。スズメ大の全身暗いオリーブ色の鳥で、オスは頭に緑色味が強い。肌色のくちばしと鮮やかに黄色い翼帯が目立つ。北海道から九州までで繁殖する。平地から低山帯の林や集落付近に生息し、市街地の庭木や街路樹にもよく営巣する。川原や水田などで採餌し、草にとまったり地上を跳ね歩いたりして草のみを食べる。ひまわりのような固い実を割って食べるのも得意である。繁殖期にはビュイーンという声を出し、キリッキリックルクルなどと軽快にさえずる。
キジバト
 デデッポッポーとのんびり鳴く中型のハト類。頭から下面は淡い紫褐色で、首には黒と淡い青色の小さな縞模様がある。背と翼の上面は濃褐色で、赤褐色と灰色の羽縁が鱗模様を作っている。腰から尾は灰色で、中央を除く尾羽の先端は白い。全国で繁殖し、平地から山地の明るい林に広く生息し、樹上に営巣する。おもに地上を歩きながら草の実などをついばんで食べる。
クイナ
 水際に姿を現したかと思うと、すぐに草の間に逃げ込んでしまうシャイな鳥。キジバトよりやや小型で、体が左右に平たい形をしている。上面は褐色で黒い縦斑があり、顔は灰色でくちばしは繁殖期にはほぼ赤く、冬期には黒ずむ。下面は灰色で脇に黒と白の横斑がある。北海道と本州中北部で繁殖し、湿原で営巣する。冬期は本州以南に広く見られ、アシ原、休耕田、湿地などに生息する。繁殖期には雄はジックジックという濁った声を出すといわれ、越冬地ではまれにキョッと小さく鳴く。
コガモ
 ピリピリッと鳴きながら小さな池から群れで飛び立つ小型のカモ類。雄は頭部が赤褐色で目の後ろが幅広く緑色をしている。腰の両側は三角形に黄色い。雌は全体褐色で、斑模様がある。北海道と本州の山地では少数が繁殖するが、多くは冬鳥として渡来する。
コサギ
 干潟に集まり魚の群れを追い回す小型のシラサギ類。全身が白く、くちばしと足は一年中黒く、指だけが黄色い。夏羽では頭に2本の長い飾り羽があり、背中にもふわっとした飾り羽が出る。目先と指は一時的に赤みを帯びる。本州から九州に分布し、平地の林にゴイサギなどとともにサギ山と呼ばれるコロニーを作って繁殖する。北方のものは冬は暖地に移動する。川、水田、干潟で採餌し、待ち伏せなど色々な方法で魚を捕らえる。
ジョウビタキ
 冬の陽を浴びてピクンピクンと尾を振っている赤っぽい小鳥。スズメ大の小型ツグミ類で、雄の頭は白っぽい灰色、顔と喉は黒く、下面は橙色で翼にある白い紋が目立つ。雌は全体に淡い茶色で下腹から尾が橙色、翼に白斑がある。冬鳥として全国に渡来し、林の縁や農耕地に生息し、市街地でも見られる。雄も雌も1羽1羽が縄張りをもって生活し、渡来直後には2羽が争うのがよく観察される。ヒッヒッと澄んだ声がクワッと聞かれる声を出す。
スズメ
 瓦屋根にとまってチュンチュンと鳴く茶色い小鳥。体長14cmで野鳥観察の大きさの基準となる。頭上は栗色、背は褐色で黒い縦斑があり、白い頬に目立つ黒斑がある。喉も小さく黒い。留鳥として全国に分布し、人里近くに限って繁殖する。
セグロセキレイ
 石のごろごろしている川で、翼の白と黒の鮮やかな模様を見せて飛び回るセキレイ類。頭部から背中は黒く、白い眉斑が目立ち、喉にも小さな白い部分がある。雄雌、夏冬による羽色の差は少ない。ジュッ、ジュンッと濁った声で鳴き、他のセキレイ類とこの点だけで区別できる。留鳥として九州以北に生息し、日本列島の特産種である。おもに大きな川の中流域に生息するが、畑や市街地にも現れることがあり、建物や資材の間など人工物によく巣を作る。一年中昆虫を探して餌にしており、冬期にはしばしば堆肥で採餌している。地上から飛び立って飛んでいる虫を捕らえることも多い。厳冬期から早春にかけて、ジュビジュビジュビッ・・・とさえずる。
ドバト
 カワラバトをもとにヨーロッパで作られた愛玩用や食用などの人工品種。中でもレース用のものが逃げ出したりして半野生化したハトのこと。神社仏閣やビル街、川原、農耕地などで増加している。灰色は個体変異が非常に多い。鼻の部分が白いのが特徴。
ハクセキレイ
 ゆったり流れる大きな川の岸で泥池を歩き回っている灰色のセキレイ類。雄の夏羽は頭から背中が黒く胸に大きな前掛けのような黒斑があり、幼鳥では全体にぼやけた灰色で旨の黒斑は小さい。雄雌、年齢によって、この中間の様々な色合いの個体がある。顔が白く、細く黒い過眼線があるのが特徴になる。チュチュッと澄んだ声で鳴くことでセグロセキレイと区別できる。かつては東北地方以北で繁殖していたが、現在では関東地方まで普通に繁殖し、さらに分布が広がりつつある。冬期は関東以南に普通。また別亜種のホオジロハクセキレイも西南日本での繁殖例が増えている。川の下流域に生息し、市街地の芝生や空き地、海岸でも見られる。秋冬には橋桁や工場の建物、街路樹などに集団ねぐらを作る。
ハシブトガラス
 ハシボソガラスより少し大きく、全身が黒く、羽には緑や青のかすかな光沢がある。ハシボソガラスとは、くちばしが太く、額からくちばしにかけてはっきりした段があることで区別できる。鳴き声は、カーカー。留鳥として全国に分布する。平地から山地の森林に生息するほか、市街地に多く見られ、農耕地周辺に多いハシボソガラスとのすみわけた見られる。他の鳥の巣を襲うので、カラスの増加は小鳥類にとっては脅威である。
ハシボソガラス
 体長約50cmで野鳥の大きさの基準になる鳥の一つ。全身が黒く、羽には緑や青のかすかな光沢がある。くちばしは細めで、額からくちばしにかけて段がないことでハシブトガラスと区別できる。ガーガーと激しく鳴いて縄張りを主張するときに頭を上下させ、尾を上下させるハシブトガラスとはこの点でも区別できる。留鳥として九州から北海道に分布し、農村集落を中心に生息する。
バン
 黒い毛糸玉のような雛を連れて水辺の草むらから顔を出す黒と白の鳥。キジバト大で、ほぼ全身が黒く、赤い額とくちばし、白い羽のある脇と下尾筒、黄緑色の足が目立つ。全国で広く繁殖し、関東地方以西では冬も残る個体が多い。平地の岸に草が茂った川、水田、湿地などに生息し、しばしば水面を泳ぐ。クルルッなどと鳴く。
ヒヨドリ
 庭に実った赤い木の実を群れでたちまち食べ尽くしてしまう中型の鳥。全身灰色で、頬は茶色く、下面には斑模様があって下尾筒の羽は白い羽縁が目立つ。くちばしはするどく尖り、頭には短い冠羽があり、尾は長めである。全国に分布、市街地で繁殖する個体が増え、公園や街路樹でも営巣するようになった。ヒー、ヒー、ヒーヨヒーヨ、ピールリピなど一年変化に富んだ声を出す。
ホオジロ
 ススキの草原からチチッと声を残して飛び立つ茶色い小鳥。スズメより一回り大きく尾が長い赤褐色の鳥で、雄は頭上が褐色で顔には黒と白のはっきりした縞模様がある。雌の顔は褐色のぼんやりした模様。屋久島から北海道まで広く繁殖し、林縁やまばらに木のはえた草原に生息する。繁殖期には昆虫を捕らえ、それ以外は地上や草の上で実を食べる。一筆啓上仕候とさえずり、地鳴きはチチッと2〜3声ずつ鳴く。
ムクドリ
 体長24cmで大きさの基準になる野鳥の一つ。全体に黒褐色で、くちばしと足が橙色、腰と尾の先が白い。顔の白い部分は個体差が大きく、雄の成鳥ではくっきり白いが、若鳥ではぼんやりしている。留鳥として九州から北海道で繁殖するが、四国と九州では個体数が少ない。積雪の多い地方のものは冬は暖地に移動するが、北海道では残留する個体が増える傾向にある。人里近くにすむ鳥で、屋敷林の樹洞や人家の戸袋などに営巣し、水田、畑、果樹園などで採餌する。地上を歩きながら、草の根際や枯れ草の間から昆虫を探して餌にする。木の実も好んで食べる。ジャージャー、ギュルギュルなど色々な声を出し、春先には複雑な声でさえずる。
モズ
 秋が近づくと梢や電線にとまってキイキイキイ・・・と鋭い声で高鳴きをする鳥。太く黒い過眼線と淡色の眉斑があり、頭部は赤褐色で、背中は青灰色、下面は脇が橙褐色で中央は色が淡い。雄は翼に小さな白斑がある。雌はぼんやりした色で、下面に細かい波模様がある。北海道から九州に分布し、北方のものは冬は南方に移動する。冬には雄雌とも1羽ずつ縄張りをもって生活し、捕らえた小動物の一部を枝などに刺して「はやにえ」にする。
《野鳥図鑑》より