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H22年度一宮市中学校英語教育実践講座
一宮市教育委員会主催の「中学校英語教育実践講座」の講師として年間7回の講座を担当させていただきました。その内容の一部を紹介したいと思います。なお文中のァンダーランの部分にはリンクが付けてありますので、関連URLにジャンプします。
第1回講座 テーマ「フォニックス」 |
@英語の歌を歌ってみよう iTunesビデオクリップ「We Are the World」「We Are the World Tahiti」をダウンロードして教材として活用した。 手順1:歌詞カードに10か所の空欄を作って、リスニング活動を行う。一番に空欄を集中させ、3回繰り返し聞かせる。生徒の実態に合わせて、半分以上答が書けるように分かりやすい問題も入れ、1つか2つは上級者用の問題も入れておく。空所を近づけすぎると、答えを書いている間に次を聞き逃してしまうので、ある程度の間隔も必要になる。リスニングテストのための活動というよりも、何度も英語を聞かせるための手立てとしての活動と考えたほうがよい。何度も聞くことで、英語のリズムが耳に残る。それをねらいにする。 手順2:答合わせはシンプルに、さらっと行う。あくまでも何度も聞かせることが主目的。 手順3:英語の歌を全員で歌う。立って歌わせたほうが、声がでて気分が良い。毎時間、授業の最初に歌うようにするが、曲全部を謳っているとかなり時間がかかるので、慣れるまでは一番のみを歌うなど配慮がいる。しつこくやりすぎると、肝心の本時の授業内容ができなくなる。 手順4:生徒の気持ちを動かすために、「We Are the World Tahiti」をさらにビデオで見せる。オリジナルの「We Are the World」は生徒にとってあまりなじみがないが、タヒチ版では災害のことを知っているので、生徒の心を動かす可能性がある。ビデオクリップを見ながらも、ついついWe Are the World....と口づさんでしまう。 手順5:心が動いたら、英作文のチャンス。感じたことを、英語で書かせる課題へと発展させたい。 A中1用「フォニックス・タイム」をためしてみる 小学校外国語活動で子どもたちは英語をたくさん聞いてくる。その耳慣れた英語の音声を利用して、中学校で始まる文字に効率的にリンクさえることができないか考え、フォニックス教材を開発した。教材「フォニックス・タイム」は、フォニックスのルールを一から教えるための教材ではない。あくまでも、音声を文字につなげ、英単語のつづりを覚えるときに負担軽減をねらったものである。したがって、内容は次の2つを主に扱う。 ステップ1 フォニックス・アルファベットを知る アルファベットのそれぞれの文字と、音声の関係を学ぶ。ABCDは、「エイ」「ビイ」「シー」「ディー」という名前と、「ア」「ブ」「ク」「ドゥ」という発音があることを知らせる。練習としては、英単語を聞き、その単語の最初の文字を書かせる練習。その単語の最後の文字を書かせる練習。3文字単語の真ん中の文字を書かせる練習などを行う。聞こえたように、文字を書くことができるようにする練習になる。 ステップ2 アルファベット2文字で1つの発音のもの ch、sh、thなど、2文字で1つの音になる単語を扱う。ステップ1同様、単語を聞いてその最初の2文字や、最後の2文字を書かせる練習などを行う。 その他、マジックeの法則と呼ばれるルールは紹介するが、それ以上のフォニックスルールは扱わない。 パワーポイント教材の紹介:教材フォニックス・タイムをjパワーポイント化し、音声ファイルを組み込んで授業で使えるデジタル教材を開発した。音声ファイルは人口音声合成ソフトを使って作成したが、ALTに発音をしてもらったものを録音しておいて使うこともできるであろう。 BWebサイト「わくわくワークシート・ホームページ」の紹介と活用 文科省の教育情報化促進事業の研究委託で作成したWebサイトを紹介した。キーワードを入れると、該当するワークシートのデジタルファイルを取り出すことができるデータベース・サイトである。英語教育実践講座の先生方も登録し、以後の課題で提出してもらうわーうシートも順次このサイトにアップロードしていくことにした。 収録コンテンツ紹介例) 英語の発音ピラミッド 英語で道案内 など Cグループ・ワーク 4人グループを7つ作った。グループ内で、自己紹介をしてもらった後、「今、授業で困っていること」というテーマで話し合いをしてもらった。7回の講座でこのグループは固定し、仲間作りと互いの課題の共有をはかった。 |
第2回講座 テーマ「効果的なワークシート」 |
@英語の歌(1班の発表) A動画「sign」を見て YouTubeで見ることができる「sign」という動画を見た。主人公の男性が、窓越しに隣のビルで働く女性と、紙に書かれた文字を通しての会話をしていくストーリー。 手順1:動画を見る。 手順2:ペアで画像と同じように「紙で英語で筆談」してみる。(無言で会話) 手順3:活動の感想を英語で書いてみる。(英作文) Bグループ・ワーク「一番良かったワークシート」 課題のワークシートを交換した後、グループ内で自分の持ってきたワークシートの使い方をお互いに紹介しあった。そして、その中で一番良かったと思うワークシートについて、別の4人グループを再構成して、そこでさらに情報交換をさせた。そこでお互いが前のグループの発表(つまり4人の発表)の中で一番よかったワークシートを紹介し合う。その中でさらに一番良いものを、もとのグループにもどって報告をする。 この活動を通して、良いワークシートとは、について考えてもらった。 C良いワークシートとは (1)生徒の興味を喚起するもの ちょっとしたイラスト、学校の先生の写真など生徒が目をとめる工夫をする。 (2)進歩の度合が分かるもの 毎回時間をはかって1分以内にいくつ読めたかなどを記録し、その伸びが分かるようにする。 (3)コミュニケーション活動で使えるインフォメーション・ギャップを生む教材 |
第3回講座 テーマ「ワークシートの改善」 |
@英語の歌(2班の発表) A動画「フェアトレード」を見て YouTubeで見ることができる「fair trade」という動画を見た。小学生がアフリカのコーヒー園とフェアートレードについて語っている。 Bワークシートの作り方・改善の仕方 わくわくワークシート・ホームページに収録されているワークシートから、いくつかの例を紹介し、その改善方法についても考えた。 Cグループ・ワーク「ワークシートの紹介と改善案」 |
第4回講座 テーマ「動機付け」 |
@英語の歌(3班の発表) Aグループ・ワーク「動機付け実態アンケート調査から見えてくること」 課題として、各学校で1クラス分、動機付けに関するアンケート調査をしてきてもらった。そのデータを見ながら、グループで「やる気がでるポイント」「やる気がなくなるポイント」について付箋を使ってキーワードをまとめてもらった。その後全体発表をしてもらったが、結果は以下の通りであった。 やる気がでるポイント 1班 分かるとき、テスト前とテストの結果が良かったとき、英語でコミュニケーションができたとき、ゲームのとき(友だちと取り組むとき)、本文の音読をするとき 2班 簡単な(分かる)とき、テスト前、テストの点が上がったとき、テストの点が悪いとき、外国に行って色々な人と話したいとき 3班 テストで良い点取れたとき、良い点取りたいと思ったとき、文法理解できたとき、ALTが来るとき、新しい単元に入るとき 4班 テストの点数が良かったとき、コミュニケーション活動をしたとき、授業で学んだことが理解できたとき、友だちよりも速く読めたとき、知っていることが出てきたとき 5班 てウsとの点数が良かったとき、問題が分かったとき、テスト前、英語が使えるようになったとき(使いたいと思ったとき)、ゲームをしているとき 6班 分かったとき、テストの点が良かったとき、楽しいとき、英語を使いたいと思ったとき、簡単なとき 7班 分かったとき、テスト前後、ほめられたとき、ALT(アクティビティ)のとき、知っていることがでてきたとき やる気がなくなるポイント 1班 分からないとき、英語を勉強する意味が分からない、頑張りがテストの点数につながらない、眠たいとき、先生が怒ったとき 2班 難しくて分からないとき、結果が出なかったとき、課題が多いとき、長文が出たとき、お母さんに怒られたとき 3班 分からなくなったとき、テストの結果が出ない、文章が長いとき、覚えることが多いとき、すでに知っていることを習うとき 4班 書くのがめんどくさいとき、難しいと感じたとき、テストの点が悪いとき、プリント(ワークシート)が多いとき、覚えることが多いとき 5班 テストの点数が悪かったとき、問題が分からなかったとき、単語が覚えられないとき、長文問題、周りの雰囲気が悪かったり、うるさかったりしたとき 6班 分からないとき、テストの点が悪いとき、単語がたくさん出てきたとき、授業のペースがあわないとき、文法が難しいとき 7班 結果がでないとき、よく分からないとき、やるべきことが多いとき、当てられて間違えたとき、気持ちがのらないとき これらの結果からも、授業内容が分かるとやる気がでるし、分からないとやる気がなくなる、テストの点数が良いとやる気になるし、悪いとやる気がなくなる、コミュニケーション活動など楽しい活動はやる気がでるが、長文問題や難しい文法問題だとやる気がなくなる、宿題が多すぎたり、怒られたりすることでやる気がなくなることが分かった。 |
第5回講座 テーマ「リーディング授業」 |
@英語の歌(4班の発表) A多読体験 「100万語多読」で紹介されているような多読用の英語の本(1ページに1文程度)のものから子ども用の本まで、簡単な英文で書かれた本をたくさん用意し20分間多読を体験してもらいました。「100万語多読」では、1.辞書は引かない (引かなくてもわかる本を読む)2、分からないところは飛ばして前へ進む (わかっているところをつなげて読む) 3、つまらなくなったら止める (1 2 の原則で楽しく読めない本は読まない)の3原則で読書を楽しむ学習法です。英文の中に5%以上意味のわからない単語が含まれると、意味を推測しながら楽しく読み進めることができないと言われていますが、5%未満の状態の読書を体験してみると、何度も出てくる意味の分からない単語の意味を文脈から推測できることに気付きます。 Bリーディング授業の紹介 市販教材の長文問題を使って、どんな風に授業が展開できるか紹介しました。 手順1:挿絵だけを見せて、生徒とインタラクションをする。What's this? Do you like rice balls? 会話を通して必要な語彙を何気なく何度も使いながら、生徒のスキーマの活性化をします。 手順2:ペアで挿絵を見て自由に会話をさせる。「おにぎり」をテーマに会話をすることで、必要な表現(こんなこと言いたい)を実感できます。 手順3:英文を読み、質問に答えます。その後、ペアで答え合わせをします。 手順4:関連したWeb資料「ニューヨークのおにぎりカフェ」の資料を配布し、読ませる。 手順5:まとめのペア会話。再度、「おにぎり」をテーマに自由に会話をさせ、学習した表現や単語などを使う機会を作ります。 リーディングの授業は、教科書だけを使っていると、塾ですでに内容を知っている生徒もいてなかなか行うことができません。どの生徒にも初めて読む英文を使って授業を仕組む必要があります。インプットは、耳からの音声によるインプットはよくありますが、この目からの文字によるインプットも確保する必要があります。そのためには以下のステップを踏んだ指導に心がけます。 ステップ1 Pre-reading 今から読む英文のテーマなどについての背景知識(スキーマ)を活性化させます。そして、英文を読んでみたいという動機付けをします。 ステップ2 While-reading 英文を読みます。読解ポイントを示して、その回答を意識しながら読み進めます。トップダウンで概要を把握させ、ボトムアップで細かい情報にも注意を向けます。 ステップ3 Post-reading 菅連したテーマなどで、「書く」「話す」さらに「聞く」「読む」などの活動につなげていき、同じテーマを使って、学習した表現・語彙を使う機会を作り、定着を促します。 Cグループ・ワーク「リーディング授業用のワークシート」 課題として浜島書店発行「じゃれマガ」冊子を教材としてワークシートを作ってきてもらった。お互いに作ってきたワークシートの使い方を紹介し合い、改善点についても話し合った。 |
第6回講座 テーマ「語彙学習」 |
@英語の歌(5班の発表) |
第7回講座 テーマ「ライティング授業」 |
@英語の歌(6・7班の発表) |