2007.8.18

米国での債権不安から世界同時株安、為替相場変動へと拡がった一週間であった。1990年代後半から最近までの10年程で、住宅価格が2倍になってしまった、という住宅バブルの揺れ戻しであろう。80年代まで米国のフツーの人にとって住宅価格は年収の3倍、というのが相場であったが、これが年収の5倍、ということになってしまった。ビンボー人の多い米国では大変であろう。経済誌の様子はとFinancial Times を覗いてみた。ニューヨークの通勤電車でネクタイ締めたやつが読んでいる新聞だ。「市場心理はファンダメンタルズではなく、心理的不安感に動かされていて」うんぬんとある。読者の不安を一時沈静化させる例文集からの引用であろうが、これは肝心なところがちょっとおかしい。

新聞でFundamentalsと言っているのはFundamental economic indexes-経済基礎指数の事でああろう。これをFundamentalsとつづめて呼ぶと如何にもそれらしく見えるのだが、Fundamental economic structures-経済基礎構造には言及しないのがミソなのだね。

現在の国際為替市場取引高は、貿易決済等実体経済の7-8倍に達する、と読んだことがある。世界貿易を成り立たせる為ではなく、それをネタに博打をうって不労所得を得ようとするやつを排除出来ないといおうか、そうした連中に世界経済全体が牛耳られてしまっているのだ。

為替市場と同様債権市場も実体経済で成り立つのではなく、「住宅バブルの行き過ぎで、ホームローンを払えないビンボー人が増えそうだ、」といったファンダメンタルズ-経済基礎指数の先行予測を博打のネタにしているのが現状であろう。FRBが抜き打ち的金融緩和を行って市場は沈静化、利率の下がったドルが買われる、というのもなんだか変態的である。そんな姑息な手段を構ずるまでもなく、博打を取り締まった方が良いと思うのだが、先物博打というのが譲ることの出来ない市場主義経済のFundamental economic structures-経済基礎構造なのだろうか。

2007.8.22

代表的なファンダメンタル-Fundamental economic index-経済基礎指数である石油価格にしても、国際博打市場で賽の目に使われる原油価格と、消費者が実感するガソリンの小売り価格とでは相当な違いがあるようだ。

2007.8.26

今回の波動の背景となるファンダメンタルズの解説では25日付けの「住宅価格下落の徴候」というニューヨークタイムズの記事が分かりやすかった。ここ10年程の住宅価格の高謄はラスヴェガス、フェニックス、マイアミといった博打銘柄が主体であり、デトロイト、クリ-ヴランドなどは「脳死」、少し前まで博打の対象であったデンヴァーも「失速」なのが面白い。DIY大手のHomeDepoも身売りを急いで商品ならぬ経営権を15%引きだそうな。