2010.1.20






















先年、東京へ出たついでに板橋宿から白山まで、旧中仙道周辺をうろついてみた。全体の写真はこちら。 面白かったのは山手線から200m程であろうか、駒込六義園からほど近い、染井墓地に向う通りで、田んぼをやっている人達がいる。

染井といったところで、柳沢吉保が六義園に綱吉を迎えてガーデンパーティーをやろうと張り切っていた頃の面影は無い。ソメイヨシノのふるさとも今は超過密都市東京のど真ん中なのだ。そこへ通りに木陰が落ちているので、どこぞの屋敷の庭木だろうと思ったら、そうではなかった。

今風の大型マンションの工事現場の向いに、そこだけ家がとれて、一軒分が昔風の「空き地」になっているのだ。

掲げられた案内を読むと、市民有志が管理している「私の庭・みんなの庭」なのだそうだ。まあ庭と言えば庭、空き地と言えば空き地であって、高そうな敷石を敷き詰めて、放ったらかしでも文句は言われまい、という構えの、一昔前の「公園」とは趣が違う。

後で話を聞くと、数年来高層マンションに悩まされて来た近隣住民が、ここに建っていた家が取りのけられたのを見て、このままでは地上げ屋の餌食だ、という訳で区役所に買い上げさせたものだと言う。しかしこれまでの公園は面白くない、という住民の想いと、行政改革で公園予算など到底望めない、という行政側の事情が出会い、「しかるべき管理組織があれば自主管理をしてみては。」ということになったのだそうだ。

早速有志が集まって組織を作り、目出度く「私の庭・みんなの庭」と相成ったそうだ。見ると6畳間程の「田んぼ」まであって、大張り切りのおやじが子供と遊んでいる。

浜松でもそろそろこうした作戦が当る時代になっているかもしれない。

面白かったのは向かいの高層マンションを買った人の中に、「向いに素敵な空き地があるから。」というのが購入理由だった、という人がいるそうで、マンションが嫌な為に汗水垂らして「空き地」の草取りをしてきた人の中には、心中複雑な向きもある様だ。