標識調査・「レッグフラッグ」



標識調査とは?

鳥は、それぞれ固有の個性を持っていますが、人間が一目見ただけでは、個々の鳥の区別はつきません。人の目では、あるスズメと別のスズメの違いがわからないのです。そこで、鳥に何らかの印をつけて、ある鳥と別の鳥を区別して鳥を調べる調査が始まりました。これを「標識調査」と言っています。

標識調査には、付ける印の種類によって、足に輪を付けるリング(金属リングとプラスチックのカラーリング)、直接羽に色を付けるマーキング、足に小さな旗状のテープを付けるレッグフラッグなどの方法があります。また、近頃では非常に軽い鳥用の電波発信機などをつけて動きを衛星で追跡する方法もあります。

尚、標識調査を行うには鳥を捕まえなくてはいけません。鳥を捕まえるには、環境庁の定めた法律に従って、講習を受けて試験に合格し、バンダー(鳥を捕まえて標識をつける人)の資格を得た上で、鳥を捕まえる地域の都道府県知事の許可がいるなど、厳密な手続きを経なくてはなりません。(詳しい手続きについては環境庁に問い合わせましょう)

調査の目的は?

一羽一羽の鳥が区別できると、どんなことが分かるでしょう?我が家の電線に止まっているスズメと隣の屋根に止まるスズメの区別が付けば、いつ餌を食べていつ水浴びをして、いつヒナを育ててと言う生活や行動などが詳しく分かるようになります。これまで、単に「スズメが餌を食べている」と言うだけだった情報が、印を付けることによって「私の家に住んでいるスズメのピーコが餌を食べている」となるわけです。このようにして様々な鳥の生活が調査されて、例えばオナガのように群で生活する鳥がどの様な社会生活を営んでいるかが解明されてきました。

一方、鳥の多くは「渡り」と言う移動をします。渡り鳥がどこから来て、どこに行くのかは、昔から人々の興味を引いてきました。春に日本に来て、秋には姿を消すツバメの行き先を知りたいと思っている人は多いでしょう。移動先を解明するためには、国内でツバメに印をつけて離し、移動先で見つけてもらうのです。このためには、国際的な協力は不可欠。ツバメは、フィリピンなどの東南アジアで冬を過ごすことが分かってきました。

標識調査の究極の目的は

究極の目的は、鳥を保護して生態系を守ることです。

ツバメは、害虫を食べる鳥として大切にされてきました。軒先に巣を作り、私たちの共に生きてきた鳥です。国内でどんなにツバメを大切にしても、移動先の東南アジアでツバメが、うまく冬を越すことができなければ、ツバメの数はどんどん少なくなってしまいます。地球上から消えてしまうかも知れません。

標識調査によって移動先を調べ、その地域の環境を守ることは、鳥を保護する上で欠くことのできないことです。

特に汐川干潟を利用するシギやチドリなどの渡り鳥は、何千キロと移動します。シギやチドリを保護するためには、その移動経路を詳しく調べてシギやチドリが利用している全ての地域、繁殖地であるシベリアやアラスカ、中継地である日本の干潟、そして越冬地である東南アジアやオーストラリアなどを守って行かなくてはなりません。

レッグフラッグについて

標識調査の一つの形として足に旗状のカラーテープ「レッグフラッグ」を付けての調査が、1991年から始まりました。「レッグフラッグ」の良いところは、ごく普通の観察者が、通常の方法で鳥を観察している時に発見できることです。

これまでのリングを用いた調査では、小さな鳥の場合足が小さいので小さなリングしかつけることができず、鳥を再捕獲する、或いは死んでしまった鳥を回収する時にしか、標識がついているかどうか分かりません。「リング」には、固有の番号が打ってあり、この番号を読めばその鳥の以前の体重や年齢など非常に細かな事が分かると言う利点もあるのですが、このような調査では、たくさんの結果が集まってこそ意義があるのにもかかわらず、調査結果がなかなか集まらないのです。

誰にでも簡単に発見できる「レッグフラッグ」は、「リング」に比べて2倍以上のデータが集まっているそうです。汐川干潟へ「レッグフラッグ」のついたシギを探しに来ませんか?

レッグフラッグの秘密

「レッグフラッグ」は、その色でどこでフラッグをつけたかを区別しています。

レッグフラッグに使われる色は、「オーストラリア鳥類及びコウモリ類標識計画」に従って決められます。そして、アジア湿地局がその他の地域と連絡を取り合って、間違って同じ色のフラッグをつけてしまわないように調節しています。


汐川干潟での「レッグフラッグ」発見記録
東三河地区での「レッグフラッグ」発見記録
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汐川干潟を守る会(eriko@tcp-ip.or.jp)