「三河湾・汐川干潟フォーラム」報告
鳥たちの渡りから世界を知り、地元の自然「汐川干潟」を考えよう
去る8月3日、汐川干潟を守る会を中心に、地元の環境保護団体と経済界の協力を得て「三河湾・汐川干潟フォーラム」を開催しました。
ご承知の通り、汐川干潟は、シギチドリの渡来地として、越冬地として、全国有数の規模を誇っています。しかしながら、未だに銃猟禁止地区(干潟と後背地の一部)となっているだけで、何ら保護対策が高じられておりません。汐川干潟は、現在は水路でしか三河湾と繋がっておらず、閉鎖された水系と言われている三河湾の中でも最も閉ざされた位置にあります。そのため、自然に任せておいたのでは、いつまで今のシギチドリの渡来地・越冬地としての状態を保ち続けられるのか、懸念されます。
今年の2月には、長く続いた干潟の所有権を争う裁判も終わり公有水面であることが確定しました。また、環境庁は、第8次鳥獣保護事業計画で、汐川干潟の国設鳥獣保護区特別地区指定を、愛知県及び関係市町に打診してきています。そのような情勢の中で、汐川干潟を守る会では、一刻も早く国設鳥獣保護区特別地区に指定され、ラムサール条約登録地となるように運動を進めています。そして、生物の多様性に合致するような干潟の管理計画を作成しいつまでもシギチドリの群れる干潟であるようにと願っています。その為には、より一層地元住民に汐川干潟の存在をアピールしていかなくてはなりません。その運動の一環として、このようなフォーラムを企画、開催しました。
フォーラムでは、〜鳥たちの渡りから世界を知り、地元の自然「汐川干潟」を考えよう〜をテーマに、国際湿地連合オセアニア事務所・東アジアシギ・チドリ類フライウェイ担当官のダク・ワトキンス氏と山階鳥類研究所、標識研究室長の尾崎清明氏をお招きしました。
渡り鳥観察会
フォーラムの前日にエキスカーションとして、汐川干潟の鳥を観察しました。
- 日 時:8月2日 午前7時半〜11時半
- 集合場所:境川河口
フォーラム
- 日 時:平成9年8月3日(日)午後1時〜午後5時
- 場 所:豊橋商工会議所3階・大講堂(豊橋駅から北に向かい徒歩5分TEL(0532)53-7211)
- スケジュール
- 来賓挨拶、前豊橋技術科学大学・学長、佐々木愼一氏
- 「インターネットによる汐川干潟紹介」−藤岡エリ子
- 「渡り鳥と湿地の保全に関する多国間協力」−ダグ・ワトキンス氏
シギチドリの様な渡り鳥には、渡りの途中に休息し、餌を補給する中継地が不可欠であ り、その中継地を保護することは、中継地を擁する地域に国際社会から求められる使命 である。国際的な視野に立て、中継地をいかに保護していくかをその地域で考えていか なくてはならない。
自らが鳥となってしてシベリアとオーストラリアを行き来する真似をするなど、ユーモア溢れる講演でした。
PHOTO:講演するワトキンス氏
- 10分間休憩
- 「スライドによる汐川干潟のシギ・チドリ紹介」−山形則男氏
四季に渡り汐川干潟で見ることのできる鳥たちの美しい姿、ユーモラスな仕草を撮影したスライドをたくさん見せてもらいました。
- 「標識調査が解明するシギ・チドリ類の渡り」−尾崎 清明氏
近年、シギチドリにリングだけでなく、フラッグ(色の付いたビニールテープ、色によって地域や国が分かる)を付けて放鳥し、渡りのルートを調べる研究が進んでいます。標識を付ける時にシギチドリを捕獲する様子や作業のスライドを見ながらお話を聞き、研究によって明らかになってきたルートをOHPの地図に図示していただきました。トウネンには、西オーストラリアから西シベリア地区に渡るものと東オーストラリアからアラスカ方面に渡るものとの2つのルートがあることなど、調査結果か明らかになるのが待ち遠しいお話でした。
- 「汐川干潟の重要性と保全のあり方」
ワトキンス氏、東梅貞義氏(WWFJ自然保護担当)、鈴木マギー氏(日本湿地ネットワーク国際担当)の3氏に汐川干潟の保護をめぐる提言をいただきました。
地元NGOは、十分にその役割を果たしており、後は行政がそれにどの様に答えていくかが問題であるとのことでした。(ワトキンス氏)
<講師紹介>
- 藤岡エリ子
- 当ページの運営を担当している汐川干潟を守る会の会員。汐川干潟のホームページを見て様々な方から励ましのお言葉をいただきました。ホームページにまつわるいろいろなことを話しました。
- ダグ・ワトキンス氏
- Shorebird Flyway Officer,Wetlans International - Oceania
- 山形則男氏
- 超有名な野鳥写真家。汐川干潟の鳥たちの写真を撮り続けて、30年。今回も素晴らしい写真を披露してくれました。
- 尾崎清明氏
- (財)山階鳥類研究所・標識研究室長
- 東梅貞義氏
- (財)世界自然保護基金・日本委員会 自然保護担当
- 鈴木マギー氏
- 日本湿地ネットワーク・国際担当。通訳として活躍していただきました。
主 催:三河湾・汐川干潟フォーラム実行委員会(委員長・汐川干潟を守る会 小柳津 弘)
後 援
愛知県、豊橋市、田原町、豊橋教育委員会、田原町教育委員会、(社)豊橋青年会議所、(社)田原青年会議所、(社)東三河地域研究センター、東三河開発懇話会、WWFJ、JAWAN
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汐川干潟を守る会(eriko@tcp-ip.or.jp)