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長坂ファンのための掲示板 -特捜最前線-


[No.1〜100] [No.101〜181→]

No.100 (2000/05/12 00:53) title:長坂No.72 「逮捕志願!」
Name:蒲生亭
Email:ZAP07546@nifty.ne.jp

本放送No.260 (脚本・長坂秀佳 監督・藤井邦夫 助監督・三ツ村鐵治)1982.5.22放映

<あらすじ>
ある日、叶が知り合った老人・笹垣は自分は十五年前に息子を殺したと語り、逮捕してくれと頼む。だがその事件は既に犯人が居て、裁判も終了し解決済のもので、所轄は笹垣の言葉を信用せず、彼の自首を何度も突っぱねていた。
叶は老人のひたむきな目を忘れる事が出来ず、神代に頼んで一人事件の再捜査を開始した。しかし事件は15年前のもの、当然困難な状況だった。しかも、事件の時効成立までふと6日に迫っていた――。

<私的解説>
まず、長坂氏のアイデアが何よりも斬新で素晴らしい。「時効寸前の殺人者」という素材を、「彼は無罪ではなく、有罪の証拠を得たいと願っている」というアイデアに昇華させたその手腕。正直、このアイデアと設定だけで既に本作は成功を収めたといいきっても過言ではない。この時期は「虫になった刑事!」、そして本作と内容が濃くて、丁寧で見事な味わいのある佳作が連続している。長坂特捜常連の織本順吉氏をゲストに迎え、長坂特捜ミステリーモード全開の叶の活躍が冴えわたる、見逃せない必見作。


No.99 (2000/05/12 00:12) title:長坂No.71 「虫になった刑事!」
Name:蒲生亭
Email:ZAP07546@nifty.ne.jp

本放送No.256 (脚本・長坂秀佳 監督・藤井邦夫 チーフ助監督・三ツ村鐵治 助監督・北浜雅弘)1982.4.14放映

<あらすじ>
金貸しをしている、ある一人の老女が殺された。被疑者として逮捕されたのが、二浪の予備校生・大川豊。彼は暴れたり、平気で嘘をついたりと、特命課の刑事たちを散々てこずらせる。駄々っ子の如く手のつけられない男……どうしようもなく救いようのない男・大川の容疑は揺るぎ無いものに思えた。
だが、ある事実に引っ掛かりを覚えた橘は、事件をもう一度洗い直そうと神代に進言、再捜査に着手する――。

<私的解説>
老女殺しという地味な設定である。容疑者はどうしようもなく、救いようのない男。一見、ケレンのない事件だが、長坂氏は橘の「職業としての刑事観」を描きつつ、緻密に、そして見事な脚本を作り上げた。正直、作品を見るまではあまりタイトルに魅力を感じなくて、この作品に対する期待感はさほどなかった(失礼!)。しかし、ハードボイルド橘の面目躍如たる活躍(先述した橘が吉野に自身の「職業としての刑事観」を語るシーンは絶品。特捜全作品でも屈指の名シーンであり、コクのあるセリフ。いやはや、素直に長坂氏に脱帽)、場面場面で意表を突かれる展開を万遍なく施した見事な構成、容疑者・大川の印象深い人物造型、そして彼が吐く意外性のあるセリフの数々、橘との微妙な関係図……全てがハマリに嵌まって、これは超傑作。ラストシーンも非常に余韻を残し(さりとて不快なものでもない)、藤井監督の見事な演出とあいまって最高の出来に仕上がった。個人的には長坂×橘編ではベストとして挙げておきたい。
長坂氏もこの作品には思い入れがあったのか、終幕三部作の橘編「父と子の十字架」は本作を意識した作りとなっている気がするのだが、いかがなものか。たとえば、「金貸しをする女が殺される」という設定が共通しているし、「絶対的にクロに近い男」が容疑者というのも同じで、橘が疑問を覚え無実を信じて捜査をするという点でも一致している。ただ、本作がその無実の証明に「容疑者のアリバイを証明」する方法をとっているのに対し、「父と子の十字架」では、「真犯人の犯行を証明」することによって明らかにしており、微妙な変化はつけている。


No.98 (2000/05/07 01:16) title:長坂No.70 「午後10時13分の完全犯罪!」
Name:蒲生亭
Email:ZAP07546@nifty.ne.jp

本放送No.251 (脚本・長坂秀佳 監督・松尾昭典 助監督・三ツ村鐵治)1982.3.10放映

<あらすじ>
少女売春で辞職に追い込まれた元区議会議員・富岡が何者かによって銃殺された。富岡はその夜、東新宿署副署長・浦部と待ち合わせの予定があった。
手際よく捜査を指揮する浦部。そのあまりの手際のよさに疑問を抱く特命課の桜井警部補――。

<私的解説>
「長坂氏のラストシーン・リベンジ」が印象深い本作。本作のラストは、桜井が浦部をぶん殴ったところでストップモーション――である。実はこの情景は「東京・殺人ゲーム地図!」でシナリオ指定されているシチュエーションと同一のものである。が、「東京――」では、田中秀夫監督が独自の演出でそのシーンを変更した。だが、長坂氏は「刑事が殴る。犯人が吹っ飛ぶ。ストップモーションになる」に余程拘りたかったのか、本作のラストは先述の通りになった。おそらく長坂氏のシナリオ通りであったと思われる。それにしても、「東京――」と本作で最後に殴られる犯人役が、同じ田口計氏というのは偶然なのか、それとも……。


No.97 (2000/05/07 00:55) title:長坂No.69 「殺人クイズ招待状!」
Name:蒲生亭
Email:ZAP07546@nifty.ne.jp

本放送No.248 (原案・岸牧子 脚本・長坂秀佳 監督・藤井邦夫 助監督・三ツ村鐡治)

<あらすじ>
帰りを急ぐ紅林を誰かが尾行している……紅林は背後で闇に身を潜めている何者かに問い掛けた。「誰だ、俺に何か用か!」
男の笑い声。続けざま男は自分で「救世主(メシア)の使い」と名乗り、スーパースターを殺すと予告する。
翌日特命課に、男から一通の手紙が届く。謎の暗号がそこにはあった……「メシアの使い」から紅林への挑戦の始まりであった。紅林、そして特命課は男の殺人予告にどう立ち向かうのか――?

<私的解説>
「私の青空」「ひらり」「あしたがあるから」などの作品のシナリオを手掛ける人気脚本家・内舘牧子氏(当時は岸牧子名義)の原案をもとに長坂氏が書き下ろした作品。長坂×紅林編では……個人的な好みだと「特命ヘリ102、応答せず!」と双璧でベストとして挙げたい。紅林は叶のミステリーモードの如く颯爽と活躍。最後の爆発寸前のダイナマイトを阻止するシーンなども気合いが篭っていた。が、最後の最後、犯人に止めを刺すシーンは(詳細は省く)神代が美味しい部分をそっくり持っていってる気がしないでもない……まあ、「スパイ衛星が落ちた海!」程の持って行き方ではないが。
この作品に横溢する暗号趣味とクイズは強引といえば強引すぎるし、こじつけがすぎるキライも確かにある。が、細かい部分を恐れず、とことんエンターテイメントに拘ったダイナミックな作劇はやはり賞賛されるべき。しかし、この作品、内舘氏と長坂氏のそれぞれのアイデアがどこら辺りまで融合しあったのか、その境界線が気になっている。
そして、本作は印象的なカットを効果的に織り交ぜて、斬新な演出で「特捜最前線」を盛り立てた藤井邦夫監督の長坂特捜初演出作。昭和21年生まれ、「特捜」では脚本と監督の両輪で活躍し続けた藤井氏は、長坂特捜でも「虫になった刑事!」等数々の傑作を世に輩出する。演出代表作では他に「特捜」の姉妹編とも言うべき(?)「ビジネス最前線」も手掛けていて、脚本では「特捜」と併行して「超電子バイオマン」「電撃戦隊チェンジマン」「超新星フラッシュマン」と続く東映戦隊シリーズにも参加し人気を得た。そして「特捜」終了後も、特撮、時代劇、刑事モノとさまざまなジャンルのシナリオを発表し続け、現在に至っている。


No.96 (2000/05/05 00:55) title:長坂No.68 「消えた聖女・恐怖の48時間!」
Name:蒲生亭
Email:ZAP07546@nifty.ne.jp

本放送No.244 (脚本・長坂秀佳 監督・天野利彦 助監督・小笠原猛)1982.1.20放映

<あらすじ>
国際的慈善家、マザー・ラーサが特命課の高杉婦警と共に何者かによって誘拐された。
マザー・ラーサには静脈の病があり、八週間に一度、常に病院で薬剤注入を施さなければならなかった。その注入の日は今日にあたる……医者の話では最大限に見積もっても一日以内に薬剤を注射しなければ、彼女の命はないという。リミットは24時間――。
その頃特命課に犯人からの身代金要求の電話。要求金額は三億円也。犯人は奇手を駆使して三億円強奪を計画していた――それに立ち向かう特命課。

<私的解説>
長坂氏お得意の誘拐を取り扱った作品。ヘリが飛び、鳩は舞う……空中戦が特に印象深い派手な内容の作品に仕上がっている。特命課VS犯人の頭脳戦もたっぷりと描かれていて、ミスター特捜・長坂氏ならではのテンポよい傑作。また、マザー・ラーサを介した24時間以内に制限されたタイムサスペンスは、話を盛り上げるのに十分すぎる効果を発揮した。
ところで本作には、非常に気になる箇所が存在する――たったの一ヶ所だけなのだが、物語の展開の流れからして完璧に不自然なカットがあるように思う(ヘリでの鳩の追跡シーンにて)。さすがの名手・天野利彦監督もちょいとミスってしまったのでは? と思わずには居られない今日この頃……しかし、ともあれ本作は傑作デス。


No.95 (2000/05/05 00:19) title:長坂No.67 「トランプ殺人事件の謎!?」
Name:蒲生亭
Email:ZAP07546@nifty.ne.jp

本放送No.243 (脚本・長坂秀佳 監督・辻理 チーフ助監督・坂本太郎 助監督・中島匡)1982.1.13放映

<あらすじ>
ある夜、地裁判事補、都議会議員、大学教授が何者かによって襲撃された。奇妙な事に犯人はそれぞれの現場にトランプのクラブのカードをバラ撒いていった。おそらく、同一犯人によるこの奇妙なトランプ猟奇事件。大学教授は事件のさ中、命を落とした。
犯人がトランプのカードに込めた復讐の怨念とは――?

<私的解説>
1982年度初回の長坂特捜は、叶主役のミステリーテイストの内容。「東京・殺人ゲーム地図!」や「雪国から来た逃亡者!」、「深夜の密告ファクシミリ!」と同じ系譜の作品といえる。当時、実際にあったらしいジャック・ニクラスのゴルフクラブ盗難事件をモチーフに長坂氏がシナリオを書いたとか。
個人的には、都議会議員・木曽の女性秘書役(演・鹿沼エリ氏)のキャラ造型が印象深い。主役と堂々とタイで渡り合う度胸、全体的に気取ったセリフ口調、不敵な笑顔……そういった要素が諸々似合って、とても魅力的な女性キャラに思えてしまう。その他の人物造型も個性的に描かれてあり、構成やセリフも十分に練られている作品である。


No.94 (2000/05/01 11:07) title:華麗といえば名物炊き出しカレー(バカ;) //
Name:ごーしー
Email:goshii@mx.tcp-ip.or.jp

>蒲生亭さん
早速の情報提供、どうもありがとうございました。
でも華麗なるって・・・華麗なのか?(笑)
このリストも少しでも情報量のあるものにしていきたいと思いますので、情報があればぜひよろしくお願いいたします。


No.93 (2000/04/29 23:58) title:長坂No.66 「リンチ経営塾・消えた父親たち!」
Name:蒲生亭
Email:ZAP07546@nifty.ne.jp

本放送No.234 (脚本・長坂秀佳 監督・辻理 助監督・長谷川計二)1981.11.11放映

<あらすじ>
二人の男が行方不明の状態にあった。その内一人は河原で撲殺死体として発見される。もう一人の男の行方は未だ不明のままであった。
二人の男には共通点があった。共に中小企業の経営者、資金繰りに奔走している、十月から出かけるといって行き先を言わず家を出る……そして何故か経営塾「三望会」の影。だが、「三望会」と男達のはっきりとしたつながりはまだわからない。
橘はその関係を探るべく、自ら「三崎和夫」と称して入塾、「三望会」の潜入捜査を試みようとするが――。

<私的解説>
昭和56年ラストの長坂特捜を飾るのは、長坂氏お得意の橘潜入シリーズ。その頃の話題になっていたスパルタをモチーフにしたシナリオで、森山周一郎と戸浦六宏といった胡散臭さには定評(?)のある役者たちを迎えて繰り広げられるストーリー。橘は最初から最後まで活躍のし通しで、ラストも派手なアクションで話を盛り上げた。
そして、辻理監督の長坂特捜初演出作でもある本作。辻監督は昭和23年生まれ。45年に東映テレビプロダクションに入社以降、大泉撮影所で助監督として数々のテレビ作品の現場に従事。長坂作品でも「ザ・ボディガード」「人造人間キカイダー」「快傑ズバット」と現場を経験、「特捜最前線」も番組当初より助監督として活躍。1980年、塙五郎脚本の「男達のセプテンバーソング!」で監督デビューを飾り、以降天野利彦監督に次いで特捜演出陣の要となった(特捜演出本数は59本と天野監督に次ぐ数)。「特捜」と併行しながらは、その腕を見込まれ「大戦隊ゴーグルファイブ」「宇宙刑事シャリバン」「宇宙刑事シャイダ−」「巨獣特捜ジャスピオン」などの特撮作品でも活躍、「時空戦士スピルバン」では初のパイロット監督も務めた。また昭和58年にフリーになって以降は、東映作品以外でも作品を手掛けるようになり、「西部警察PARTV」「どうぶつ通り夢ランド」などにも参加、現在に至っている。
ワタシ的には長坂×辻コンビだと「少年はなぜ母を殺したか!」やはり印象深い(ダントツ!)。で、特捜全体の辻作品になるとおそらく皆も認める、塙五郎作品「哀・弾丸・愛 七人の刑事たち」であろう、やはり。


No.92 (2000/04/29 23:31) title:2つばかり
Name:蒲生亭
Email:ZAP07546@nifty.ne.jp

>ごーしーさん
毎度毎度華麗なる新企画、さすがです。剋目してすべて拝見させて頂きました。
とりあえず2つばかりを……。

・内舘牧子 「ひらり」(テレビドラマシナリオをオリジナル文庫化)講談社文庫
1993.1 @.A
1993.2 B
1993.3 C
・阿井渉介 「夜明けまぢかに殺されて」は1998.6に発刊

……あと、重箱の隅をつつくようで恐縮ですが、林誠人氏の項目の「愛と罪と」は大久保昌一良氏も執筆という事で、大久保氏の項目も独自に是非追加を(笑)

――また何か分かりましたら、お知らせできたらと思います。


No.91 (2000/04/29 21:44) title:あっ、忘れてた・・・;
Name:ごーしー
Email:goshii@mx.tcp-ip.or.jp
URL:http://www.tcp-ip.or.jp/~goshii/n5toku/n5_Hkyak.htm

下の書きこみですが。
アドレスは上です・・・って言っておきながらないじゃん(爆)
今度こそアドレスは上です。失礼いたしました。
ま、特捜のTOPページからも行けるのですが(言い訳;)


No.90 (2000/04/29 21:39) title:特捜脚本家執筆の小説
Name:ごーしー
Email:goshii@mx.tcp-ip.or.jp

蒲生邸改め蒲生亭さん(都会の森のアパッチけん?(笑))、毎度毎度、すばらしい考察・解説をどうもです。レスできなくてすみません。数が多くてとてもレスしきれませんです(爆)
これからも期待しておりますので、ぜひともがんばって下さい。

ところで、特捜最前線の脚本家の押川國秋さんや竹山洋さん執筆の小説の新刊が最近発売されましたが、そこで「特捜の脚本家って結構小説とか執筆しているのだろうか?」って気になりはじめ・・・で、ついいつものごとく(苦笑)ちょっと調べてリストにしてみようかなと(爆)また、病気;
ということで「特捜脚本家の小説・出版物リスト」なるもののプロトタイプをとりあえずページにアップしました。(アドレスは上です)
まだまだ情報不足だと思いますので、リスト掲載ネタ以外のネタをご存知の方は教えていただけると助かります、です。


No.89 (2000/04/28 00:02) title:長坂No.65 「ストリップスキャンダル!」
Name:蒲生亭
Email:ZAP07546@nifty.ne.jp

本放送No.230 (脚本・長坂秀佳 監督・野田幸男 助監督・藤井邦夫)1981.10.14放映

<あらすじ>
現職のエリート警部補・曽根弘がストリップ小屋で、通称”泡踊りショー”の相手方となり、舞台に上がっていたところを公然猥褻で現行犯逮捕された。
何故エリート警部補がこんな失態を――? 疑問に感じた船村一平は捜査を開始する。捜査が進むにつれ、やがて事件は思わぬ方向へと発展していく。曽根の真意は? そして、悲しい真実が明らかとなり……。

<私的解説>
遂に「少女・ある愛を探す旅!」と並び、長坂特捜”幻”の逸品の登場である。「少女――」と本作は放送コードの問題上、現在、地上波ではオンエアー不可能の状態にある作品で、おそらく今後も余程の天変地異が起こらぬ限り放送は望む事ができないであろう。
欠番理由がどうにもはっきりとしない、いまいち曖昧模糊な「少女――」に対し(まあ、その筋にはかなりの危険に映る内容なのであろう。詳しくはその項で)、「ストスキャ」(以後は、この明快な略法で)の欠番理由は実に単純明快。以下列挙すると、

@ 物語序盤の泡踊りショーのシーンがシナリオの指定以上に、極めて露骨に仕上がっている(野田監督のバイオレンス趣味が冴え渡った演出といえる)
A 作中でヤクザが女の手首を切り取って、トルコに売り飛ばすというとんでもなく残酷な設定
B そして最大の理由にして、致命的なのが「トルコ」の看板・言葉が頻繁に登場

――とまあ、これだけトリプルに原因が出揃うと、地上波での再放送は一生望めないであろう……残念な事に(なので、ファミリー劇場には否が応にも期待が高まる)。
で、「ストスキャ」の肝心の内容について。上記の@Aの理由もあるが、内容的にはかなり救いのない話で、結構見るのに根気を要する作品ではある。が、実話をモチーフにしたという長坂氏のシナリオは意外性のある内容に纏められていて、大滝秀治氏と風間杜夫氏の雨の中での格闘も迫力十分。余韻を残す痛烈なラストシーンなど、全編見応えたっぷりの傑作――なのである。
欠番は本当に勿体無い……。


No.88 (2000/04/26 23:50) title:長坂No.64 「警視庁を煙にまく男!」
Name:蒲生亭
Email:ZAP07546@nifty.ne.jp

本放送No.227 (脚本・長坂秀佳 監督・田中秀夫 助監督・木戸田康秀)1981.9.23放映

<あらすじ>
「爆弾を仕掛けた」……特命課に一本の爆破予告電話。特命が電話元を割り出し駆けつけると、現場の電話ボックスでは一人の老人が病で既に事切れていた。
老人の言葉は嘘でも酔狂でもなく、爆弾はどうやら本当に仕掛けたらしい。爆弾は果たしてどこに? 紅林は老人の知り合いで、通称「パンパカの平三」に接触するが、奴は一筋縄では行かぬ男で――。

<私的解説>
魁三太郎氏の登場、そして彼のいわゆる「ハジけた」演技、紅林がメインでラストは爆弾の爆発を阻止させようとする趣向――ストーリー展開はともかくとして、器的に「非情の街・ピエロと呼ばれた男!」の姉妹編として考えられる作品。シナリオも巧く纏められていて安定感が抜群の作品だが、「パンパカの平三」というニックネームが印象的(というか奇抜)で目を惹く。長坂氏のニックネーム好きはつとに知れ渡っているが、このセンスは異色。


No.87 (2000/04/23 01:12) title:長坂No.63 「殺人鬼を見た車椅子の婦警!」
Name:蒲生亭
Email:ZAP07546@nifty.ne.jp

本放送No.221 (脚本・長坂秀佳 監督・松尾昭典 助監督・坂本太郎)1981.7.29放映

<あらすじ>
カラスの夢を見た高杉婦警は、不吉な予感が頭からこびりついて離れない……。そしてその不吉な予感は不幸にも的中する。幹子は白昼、偶然通り魔がナイフで男を突き刺す現場を目撃してしまった。そして通り魔を追いかける幹子は、運悪く暴走族のバイクに撥ねられて右足を負傷する。
最近連続して発生している通り魔事件のうち一件であった。入院する幹子は、通り魔の現場近くに赤い自転車がパークされてあったのを思い出しつつ、事件のことを考え続ける。そして友人のアパートの隣の家に、たまたま記憶の自転車が停められてあった事を知った幹子は、犯人がその家の浪人生である事を確信するが――。

<私的解説>
高杉婦警ホラーシリーズ第二弾は、一連の長坂ホラーの中ではもっともサスペンス性を重視した作品となった感がある。ミステリー的な仕掛けは「亡霊・帰って来た幽子!」「高層ビルに出る幽霊!」には敵わないけれども、ラスト付近の幹子と犯人との攻防戦は緊張が途切れず、ハラハラドキドキの展開で見逃せない。
……それにしても、劇中の「ノーパン喫茶」とやらの登場は、何と言うか時代を偲ばせるアイテムといえなくもない。


No.86 (2000/04/22 00:00) title:長坂No.62 「深夜の密告ファクシミリ!」
Name:蒲生亭
Email:ZAP07546@nifty.ne.jp

本放送No.217 (脚本・長坂秀佳 監督・野田幸男 助監督・木戸田康秀)1981.7.1放映

<あらすじ>
深夜の特命課に届いた一枚のファクシミリ。それは、二ヶ月前にとあるラブホテルで大学教授夫人が絞殺された新聞記事のコピーであった。事件はいまだ未解決……。
何故特命課にこの新聞記事が? そしてファクシミリを送信したのは果たして誰か? そしてこの人物の真意とは――?

<私的解説>
当時は最先端であったろう、ファクシミリというハイテクアイテムを駆使した作品。長坂氏のこうした「今はともかく、当時としては時代の先取り」特捜作品となると、他にはクロマキー=「誘拐・ホームビデオ挑戦状!」、留守番電話=「暗闇からのテレフォンコール!」、サーモグラフィ=「銃弾・神代課長撃たれる!」などが代表例だろう。
本作はそんな道具を駆使しつつも、親子の愛情を描きつつ、密室トリックや入れ替わりトリックも物語に組み込んだ、とても凝縮された内容。叶メイン作品である。


No.85 (2000/04/21 23:47) title:長坂No.61 「バラの花殺人事件!」
Name:蒲生邸(改め)蒲生亭
Email:ZAP07546@nifty.ne.jp

本放送No,214 (脚本・長坂秀佳 監督・天野利彦 助監督・藤井邦夫)1981.6.10放映

<あらすじ>
公園で一人の男の死体が発見された。後頭部を石で殴打され、トドメに腹部をナイフで一突き……そして死体の側には一輪のバラが添えられてあった。
容疑者として船村の知り合いの花屋の娘が連行される。彼女の無実を信じ、捜査を開始する船村――。

<私的解説>
1978年後半より続いた長坂特捜量産体制も前回の「特命ヘリ102応答せず!」までで落ち着いた感がある。この時期は、長坂氏が特捜以外の仕事にも重点を置きはじめたという事情があるにはある。が、作品の数が少なくなったせいかは分からないが、本作以降の長坂特捜は、どれもこれまでの作品より時間がかけられて執筆されている気がする。アイデアの斬新さは1979・1980年度の作品が頂点を極めていたが、セリフやストーリーの完成度はその頃の作品より飛躍的に高まったと感じた。
本作は老人達の事情なども織り交ぜた社会派タッチの雰囲気を漂わせた作品だが、何よりラストシーンの鮮やかさに舌を巻く。おやっさんファンも納得の一作ではないか。


No.84 (2000/04/16 00:34) title:長坂No.60 「特命ヘリ102応答せず!」
Name:蒲生邸
Email:ZAP07546@nifty.ne.jp

本放送No.210 (脚本・長坂秀佳 監督・村山新治 助監督・藤井邦夫)1981.5.13放映

<あらすじ>
長野で犯人逮捕の巻き添えを食って一人の少年が負傷した。手術にはさしたる危険はなかったが、少年の血液型は特殊なタイプで、東京中央血液センターにしか輸血用血液のストックは存在しなかった。一刻も早く東京から長野に血液を運ぶべく、紅林はヘリで血液を空輸しようとする。
ヘリを発進させる紅林。が、直後無線で「その血液は誤り」と男の声。男の誘導に従ってヘリを着陸させると、警官姿の男は紅林に銃を突き出した! 偽警官に成りすました男によってヘリはジャックされる。果たして男の目的とは? 操縦する紅林の運命は? そして少年の元に無事血液は到着するのであろうか――?

<私的解説>
長坂×紅林編の最高峰を選ぶとなると、私にとっては「殺人クイズ招待状!」と並んで双璧なのがこの作品。何といってもこの回の紅さんはハードボイルドで、カッコイイことこの上なしである。颯爽とヘリの操縦をする紅さん。犯人の理不尽な要求に対し時に屈辱にも耐える紅さん。最後の最後のヘリ内で犯人と死闘を繰り広げる紅さん――全てにおいて横光克彦氏の魅力満載の作品である……傑作。また、長坂特捜ヘリ活躍編としては他に「特命ヘリ緊急発進!」という姉妹編も存在する。
さて、こういった主役側の魅力に対抗するには、悪役側にも力量ある俳優のキャスティングが要求される。魅力的なワルが配されてこそ、対する主役の存在感も尚一層輝きを増すのである。で、この回の悪役を見事に演じきったのは山本昌平氏。特捜では他にも「硝煙の中に立つ女」にも出演されておられるが、悪独特の美学や論理を感じさせる、個性的で説得力のある大迫力の演技は特筆に値する。


No.83 (2000/04/16 00:05) title:長坂No.59 「フォーク連続殺人の謎!」
Name:蒲生邸
Email:ZAP07546@nifty.ne.jp

本放送No.208 (脚本・長坂秀佳 監督・野田幸男 助監督・三ツ村鐵治)1981.4.29放映

<あらすじ>
橘の警察大学院の14期同期生が殺害された。凶器は、先端が鋭利に研ぎ澄まされたフォーク――それで胸を一突きされたのだ。
それ以降も次々と発生する謎のフォーク殺人。しかも狙われるのは全て警察のエリート幹部達だった。捜査を開始する橘達。果たして犯人の目的とは? そしてフォークに秘められた秘密とは――?

<あらすじ>
何故凶器はフォークなのか、そして何故男達は狙われるのか……こういった不可思議な謎が示され、それを解き明かしていくというまさに長坂特捜ミステリーモードのお手本のような作品。
また、橘の警察大学院時代の同級生が次々と殺害されるというシチュエーションは、仲間を次々と失っていく橘の、刑事としてではなく一人の人間としての、傷や痛みも鋭く描写される結果となった。従って、長坂氏の橘に対する思い入れの深さも、同時に図ることのできる作品といえる。


No.82 (2000/04/15 00:41) title:長坂No.58 「雪国から来た逃亡者!」
Name:蒲生邸
Email:ZAP07546@nifty.ne.jp

本放送No.205 (脚本・長坂秀佳 監督・宮越澄 助監督・坂本太郎)1981.4.8放映

<あらすじ>
バイクに轢かれそうになった子供を助けようとして、身代わりに男が死んだ。その男は叶の知り合いだった。叶は男の自宅を訪ねたが、男は身元を騙っていて、履歴書での申告とは別人であった。宙に浮いた男の本当の身元……。
捜査を続ける叶。やがて男は福島の生まれだと判明する。そして浮かび上がってくるのは10年前、雪が舞い落ちる冬の福島猪苗代で発生した不可解な謎の殺人事件――。

<私的解説>
長坂×叶編となると、やはりミステリー色の強い作品がぴたりと当て嵌まる。本作では、雪の猪苗代を舞台としたロケーション編であるが、10年前の謎の殺人事件の真相はトリッキーなことこの上なしで、非常に魅力的なものであった。人によっては怒り出すかもしれない真相ではあるけれど、私は大いに評価したい。
また、決してパズルのみのタッチの作品でもなく、母と子、父と子、それぞれの絆や複雑な関係もしっかりと描かれている。まさに長坂氏でしか書けない特捜作品である。


No.81 (2000/04/15 00:10) title:長坂No.57 「包帯をした銀行ギャング!」
Name:蒲生邸
Email:ZAP07546@nifty.ne.jp

本放送No.202 (脚本・長坂秀佳 監督・野田幸男 助監督・三ツ村鐵治)1981.3.18放映

<あらすじ>
三件の不可解な銀行強盗事件――いつも顔をすっぽりと隠し、手に包帯を巻き、歩き方に特徴があり、首を不自然に横に曲げる男。そしていつも盗む金額は少額。しかもそれらの金は、最近頻繁に発生している「現金投げ込み事件」で使用されているふしがある……。
犯人の男像は昨年発生し、いまだ未解決の銀行強盗事件の犯人像と共通していた。その点に着目した橘は捜査を開始する――。

<私的解説>
「マニキュアをした銀行ギャング!」に続く(?)長坂特捜銀行ギャングシリーズ第二弾。「銀行ギャング」とタイトルに付されてはいるが、ストレートに「銀行強盗」を扱うわけでなく展開を一捻りしている部分は「マニキュア――」と共通しているが、世界観につながりはない。
ただ、どちらの話も事件の中心人物が「女」である点で通じている気がして、そこら辺りに長坂氏の作品に対する思いはあったのかも。ま、それは単なる偶然で、私が勝手に深読みしているだけかもしれないけど……。


No.80 (2000/04/14 23:52) title:長坂NO.55・56 「ローマ→パリ 縦断捜査!T」「ローマ→パリ 縦断捜査!U」
Name:蒲生邸
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本放送No.200・201<放送4周年・200回記念作品>(脚本・長坂秀佳 監督・天野利彦 助監督・T−藤井邦夫 U−辻理)1981.3.4・11放映

<あらすじ>
ローマのポポロ広場、一人さまようイタリア留学生の女――香川晶子。彼女は記憶喪失の状態で保護された。
一方、パリのセーヌ川を流れるトランク――中身は、首と手足を切断された腐乱状態の人間の胴体……。調査の結果、この死体はICPO捜査官の岡本警部と推定された。また、岡本は香川晶子と婚約関係にあったという――。
インターポールから特命課に捜査依頼が。海を越え、異国の地で刑事達が捜査を開始する(おやっさんと幹子以外)!

<私的解説>
200回記念。長坂×天野とゴールデンコンビが堂々とコンビを組み、チーフ助監督も前編が藤井邦夫氏、後編が辻理氏(氏はこの回が最後の助監督作品)の二人体制で、当時の助監督ローテーションでは最強のお二人が携わった。まさに、制作スタッフは盤石の布陣が整えられた。ローマ・パリ二都市の雰囲気をとにかく前面に出そうと長坂氏は心掛けたのか、旅情色の濃い作品で、長坂特捜としては異色。また、香川晶子の「記憶」の問題がサスペンスを盛り上げている。


No.79 (2000/04/14 00:13) title:長坂No.54 「殺人メロディーを聴く犬!」
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本放送No.195 (脚本・長坂秀佳 監督・野田幸男 助監督・三ツ村鐵治)1981.1.28放映

<あらすじ>
ある夜、叶が町で拾った犬――その犬は衰弱しきって、いつ命が果てるとも分からない状況であった。叶はその弱り果てた犬に自分の人生をオーバラップさせていた。彼は思う。この犬を死なせはしない……叶の必死の思いと治療が報われたのか、犬は奇跡的に回復した。叶はその犬に「テツタロウ」と名づける。団地住まいの叶は犬が飼えなかったので、叶はテツタロウを知り合いの家に預けた。
だが、犬を預けたその知人は何者かによって殺害された。一体何故? テツタロウには何か「事件」にまつわる謎が秘められているようだった――。

<私的解説>
長坂特捜犬シリーズ第一弾。この他に昭和59年の疑惑前後編や「殺人警察犬MAX」などの作品が書き継がれるが、犬シリーズではやはり元祖・本家である本作が一番の人気を獲得しているようだ。噂によると叶刑事役の夏夕介氏自身もこの作品には愛着を感じているとのこと。
物語の序盤に叶がテツタロウを特命課に連れてきて、刑事たちの前で披露するシーンがある。殺伐とした(?)話が長坂特捜には多い中、なかなか微笑ましく思える場面なのだが、やはり後半に進むにつれ話の展開は坂道を転がるが如くダークゾーンに突入していく。後半のハードなストーリーは、前半の和やかムードとのギャップを余計に際立たせた。それによって、「救いの無さ」が余計に際立った感があり、長坂氏の高度な物語作法が窺い知れる作品に仕上がったと感じた。


No.78 (2000/04/09 01:31) title:長坂No.53 「判事・ラブホテル密会事件!」
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本放送No.194 (脚本・長坂秀佳 監督・天野利彦 助監督・坂本太郎)1981,1.21放映

<あらすじ>
特命課へのある密告電話が事件の始まりであった……桜井刑事の長兄であり、東京地裁の桜井修一郎判事が、ある公判中の女性被告人とある特殊な関係にあるというのだ。
そして間もなくマスコミ各社には、修一郎判事が女性被告人とラブホテルから出てくる写真がバラまかれて――。

<私的解説>
昭和56年度の初回の長坂特捜は桜井三兄弟の物語。長男に福田豊土氏、次男に岸田森氏、そして三男・藤岡弘氏……この他脇役に左時枝氏、田中浩氏と役者が固まっていてキャスティングは豪華である。長坂氏が桜井の家族について書いたシナリオはこの作品と、終幕三部作の「桜井警部補・哀愁の十字架」の計二本。今回の作品では兄弟を描いているが、「哀愁――」では父と子の関係図を書き上げた。「哀愁――」は傑作だが、できることなら本作以降の桜井と兄弟との関係も、後にどのように展開されていたのか見たかった気もした。


No.77 (2000/04/09 01:01) title:長坂No.52 「プラットホーム転落死事件!」
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本放送No.188 (脚本・長坂秀佳 監督・村山新治 助監督・三ツ村鐵治)1980.12.3放映

<あらすじ>
去年の12月20日に一家七人殺しの容疑をかけられた男は、自らの潔白とアリバイを主張した。自分は駅前北口に駐車していた車の中で仮眠をしていて、近くの運送屋の青年がそれを目撃したはずだというのだ。
紅林があたると青年はそれを否定した。が、調査の結果青年が嘘をついていたことが分かる。彼は何故嘘を……?
調査が進むにつれ、去年の12月20日には駅で一つの事件が発生していたことが分かった。それはヤクザから痴漢に遭っている女性を救うために否応なく発生してしまった転落死事件の悲劇――。

<私的解説>
電車内での出来事が引き金になって事件が起きる、というパターンは「ナーンチャッテおじさんがいた!」と通じる部分もあり、「ナーンチャッテ」同様人情系スタイルの内容ではあるが、紅林の刑事としてだけでなく人間の思いなどもしっかりと描かれていて、これは秀作。「東京・殺人ゲーム地図!」と時期が接近していて、「東京――」の派手さが目立ってあまり目立たない(と私は勝手に思っているが)作品だが、大変勿体無い話であると思う。
昭和55年の長坂特捜は全16本。津上殉職編、バリコン爆弾編、そして前述の「東京――」とメガトン級の傑作が多く目立ち、その他佳作、秀作、意欲作がマシンガンの如く連発。また叶登場編といったターニングポイントとなる話もあったりして、長坂氏の充実ぶりが特に目立つ年であった。


No.76 (2000/04/08 17:35) title:長坂No.51 「東京・殺人ゲーム地図!」
Name:蒲生邸
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本放送No.186 (脚本・長坂秀佳 監督・田中秀夫 助監督・辻理、木戸田康秀)1980.11.19放映

<あらすじ>
東京の町中で発生した不可解な通り魔事件が発生していた。……オートバイに乗った全身黒革服姿の男が、男性と女性を襲って服のボタンを切り取るという謎の事件。
この事件を新聞紙上にて予言していた元警視庁幹部・鹿沼護国。叶は彼に早期の事件解決を宣言するが、謎の通り魔事件は手口をエスカレートさせながら次々と発生するのであった――。叶は果たして事件を解決することができるのであろうか?

<私的解説>
長坂×叶モノ――私の場合、やはり最高作となると「掌紋300202!」となってしまうのだが、本作の出来だってやはり素晴らしいのである。「掌紋――」は大々傑作だが物語後半で橘が美味しい(?)部分を少し持って行く部分があったが、本作では最初から最後まで叶の魅力が満載で、夏夕介氏のファンにはやはり応えられない作品であろう。
本作はシナリオ集に収録されている。高橋正樹プロデューサーが「外国小説でチェスを使った殺人ゲームがあるが、それを東京で応用できないか」と長坂氏に相談し、それに応えて本作が仕上がったとあとがきにはある。日本を舞台にするということで、チェスを××に置き換えるという長坂氏のアイデアには素直に舌を巻くし、トリックメイカーとしての長坂氏の想像の翼は圧倒的な広がりを見せている。犯人役も長坂特捜常連の小林昭二・田口計各氏の豪華ダブル共演、一時間ものに凝縮するには勿体無いぐらい贅沢に詰め込まれた内容、田中秀夫監督のサスペンスフルでスピーディーなテンポ良い演出――非の打ち所のない、まさに大傑作!
あと、本作のラストは脚本と映像では異なりを見せている。シナリオでは叶が犯人・宗家を殴る部分でストップモーション――なのだが、田中演出バージョンでは変化を見せている。個人的な意見を言わせてもらうと、シナリオより映像のラストを私は評価したいのだが、長坂氏は「刑事が殴って、ストップモーション」に余程のこだわりがあったのか、「午後10時13分の完全犯罪!」のラストにて……あ、この続きは長坂No.70の項にてまた改めてまして。


No.75 (2000/04/08 17:35) title:長坂No.49・50 「ダイナマイトパニック・殺人海域!」「ダイナマイトパニック・望郷群島!」
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本放送No.180・181 (脚本・長坂秀佳 監督・天野利彦 助監督・藤井邦夫)1980.10.1・8放映

<あらすじ>
三重県鳥羽。カーフェリー最終便の船上からある一人の男が消えた。捜索の結果、やがて男は海上で死体となって発見された。男はどうやら何者かに殺害された様子だった。
フェリー内の男の車からはダイナマイト、ヘッセの詩集、一枚の記念写真が見つかった。――これらの奇妙な取り合わせの意味するものは? 特命課は写真で男と共に映っていた化学薬品取扱運転手・氷川を訪ねる。が、トラックで大量のダイナマイトを運搬中だった彼の車の無線からは、数人の男から銃で脅されていると切羽詰まった声で救いを求める氷川の叫びが! ……氷川のトラックは崖に転落、爆発炎上する。そして、300キロにも及ぶ大量のダイナマイトは何者かによって盗まれていることがわかった!

<私的解説>
長坂特捜旅情編(ロケ編ということデス)。すべて挙げてみると、北陸編の「北陸路七年後の女」、北海道編の「追跡」前後編、三重鳥羽編の本シリーズ、ローマ・パリ編の200回記念シリーズ、会津編の「雪国から来た逃亡者!」、瀬戸内編の「退職刑事失踪の謎! 瀬戸内に架ける愛!!」となる。本前後編ではロケーション以外にもヘリは飛ぶは、船も出てくるわ、爆発はやたらとあるわととにかく予算のかかった作品であることが伺え、作品のスケールも長坂氏らしく奇想に富んでいる。10月しょっぱなの作品&そして長坂特捜50本目といろいろと区切りの話であることから、長坂氏も相当気合が入ったのであろう。


No.74 (2000/03/31 00:20) title:長坂No.48 「天才犯罪者・未決囚1004号!」
Name:蒲生邸
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本放送No.177 (脚本・長坂秀佳 監督・青木弘司 助監督・木戸田康秀)1980.9.10放映

<あらすじ>
新潟生まれ、49歳の男・小田島――これまで三度結婚し、いずれも妻が不審な死を遂げ、その度警察にマークされるも証拠不充分でなかなか尻尾を掴ませない男。
その小田島が妻である貴金属店女社長を殺害したと自ら警察に自首した。彼は何故今回に限ってそういった真似を? 不審を抱いた橘は、その目的を探るべき行動を開始する。天才犯罪者・小田島VS橘の頭脳対決!

<私的解説>
長坂氏のフェイバリット刑事は叶である――そう以前に書いた。だが、叶に次いでこの橘をメインに据えたストーリーも長坂特捜には多く、またかなりの確率で傑作も多い。「虫になった刑事!」にしろ、「少女・ある愛を探す旅!」にしろ、「6000万の美談を狩れ!」にしろ、そしてこの作品にしろ――本作品では長坂氏お得意の「橘の変装」もしっかりと堪能できる。
ただこの作品の最初のうちは当方も「なんだ、単なる潜入モノかい」と油断していた部分があった……が、長坂氏はやはり一枚も二枚も三枚も四枚も上手であった。次々、二転三転と長坂氏は予想もつかないトリッキーな展開を炸裂させ、物語を未知の世界に持っていってしまった。そして最後のシーンの橘のカッコよさに全てが結実するのであった……お見事。ただ、この作品では船村が最初から最後まで思い切り間抜けな役どころを演じているので、おやっさんファンには不評かも知れぬ(爆)。
天才犯罪者・小田島を小憎たらしく見事に演じきったのは梅野泰靖氏。氏は最近では三谷幸喜作品の常連で映画「ラヂオの時間」、テレビドラマ「今夜、宇宙の片隅で」「古畑任三郎」なとで存在感を見せ付けている。


No.73 (2000/03/30 23:59) title:長坂No.47 「高層ビルに出る幽霊!」
Name:蒲生邸
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本放送No.174 (脚本・長坂秀佳 監督・村山新治 助監督・三ツ村鐡治)1980.8.20放映

<あらすじ>
特命課メンバーは事件で出張、世間は夏休み――特命課の入っているビルはほとんど無人であった。高杉婦警は気のせいか、不吉な予感に苛まれ続けていた。
高杉婦警を襲う恐怖の連続!――衝撃(?)のホラーストーリー。

<私的解説>
長坂特捜夏の風物詩(?)、高杉婦警ホラーシリーズ第一作である。作品は全体的にミステリー調。「亡霊・顔のない女!」でホラーに開眼(?)した長坂氏が高杉婦警を主役に据えて企んだホラーミステリー。テンポも良く、快調な出来に仕上がっている。
尚一つ訂正を。「午前0時に降った死体!」の項で村山新治監督の生年を当方大正12年と記したものの、正確には11年でした……謹んで訂正いたします。


No.72 (2000/03/30 23:43) title:長坂No.46 「乙種蹄状指紋の謎!」
Name:蒲生邸
Email:ZAP07546@nifty.ne.jp

本放送No.172 (脚本・長坂秀佳 監督・天野利彦 助監督・辻理)1980.8.6放映

<あらすじ>
連続ビル荒らし――既に三人もの犠牲者を出していた。事件を追う特命課だが、犯人のものかもしれない一個の指紋が現金強奪された後の手提げ金庫の底から発見された。その指紋は極めて特徴のある乙種蹄状紋だった。
その指紋の持ち主は森田源三という名で、金庫破りの常習犯でかつて船村が逮捕した男。そして更生した男……無実を訴える森田。その森田を信じる船村――。

<私的解説>
前々回より特捜復帰の船村役こと大滝秀治氏に捧げる長坂氏の渾身の力作。長坂×船村の黄金パターンともいえる「おやっさん執念の捜査」を緻密に書いた作品で、この時期の長坂氏の充実ぶりが窺える内容だ。この作品は後に「一億円と消えた父!」というリメイク版も生み出している。
そして特筆すべきは織本順吉氏の長坂特捜初出演作が本作であるという点。以後「逮捕志願!」「摂氏1350度の殺人風景!」「退職刑事失踪の謎! 瀬戸内に架けた愛!!」と長坂特捜のセミレギュラーとなる織本氏。西田健、小林昭二、田口計各氏など長坂特捜に欠かせぬゲスト役はそれなりにいるが、織本氏が他の出演者に比べて違いがあったのは、全て「父親」役での登場であったということか。長坂氏が「父子」モノになみなみならぬこだわりを見せるのは周知の通りだが、織本氏が長坂特捜の父親役常連であったという事実から、長坂氏がイメージする父親像(理想であるとか、ないとかは置いておいて)にわりと近しい位置にいたのが織本氏だったのでは、とついつい考えてしまう今日この頃である。


No.71 (2000/03/29 00:03) title:世ニモ奇妙ナ物語……。
Name:蒲生邸
Email:ZAP07546@nifty.ne.jp

>T.Yoshikiさん
お読み頂いてるとのこと、ありがとうございます。是非T.Yoshikiさんの特捜紹介も読んでみたいです(笑)。私ばかりで管理人のごーしーさんに申し訳ないんで……他の長坂特捜フリークの方々の参戦を信じつつ、私の分は今世紀中の完結を目指したいと思っています。

で、見逃したんです、今度の「奇妙」(爆)。再放送を期待するしかないです……でも「銃男」、そういう内容なら確かに気になりますね。あ、でも、今月の「ドラマ」には確かシナリオが掲載されていたと思うんでチェックしてみます。果たしてその作品は「あの」特捜名作を超える出来なんでしょうかねえ。


No.70 (2000/03/28 08:48) title:草なぎ剛 版「新宿ナイト・イン・フィーバー」?
Name:T.Yoshiki
Email:dolmen@pop02.odn.ne.jp

>蒲生邸さん
エピソード紹介、毎回楽しく拝見させていただいています。
ところで昨日、フジテレビ系で放映されていた『世にも奇妙な物語・春の特別編』の
第1話「銃男」って、『特捜』の「新宿ナイト・イン・フィーバー」ソックリの話でしたね(!?)。


No.69 (2000/03/25 18:34) title:長坂No.45 「地下鉄・連続殺人事件!」
Name:蒲生邸
Email:ZAP07546@nifty.ne.jp

本放送No.169 (脚本・長坂秀佳 監督・宮越澄 助監督・藤井邦夫)1980.7.2放映

<あらすじ>
東京の地下鉄駅構内で連続殺人事件が発生していた。被害者は各々自分達の切符とは別に、犯人によって裏が赤く塗りつぶされた切符を持たされていた――。
被害者同士につながりはなく、犯人の目的も分からない。果たして事件の真相とは? 滝二郎巡査、最後の物語。

<私的解説>
長坂×滝編の前回「上野発“幻”駅行!」は人情色の強い内容だったが、本作はその人情色+トリックを融合させた試みがなされた。長坂氏らしい「地下鉄連続殺人」というケレンのある設定のなかにも、「父と子」「母と子」の愛を綴ったストーリーで、この作品を長坂特捜ベストに推す方も多い。そして滝は「午前0時に降った死体!」と同じく刑事として致命的なミスを犯してしまう……彼にとっては最後の事件となった。この作品の長坂氏の筆はいつもにも増して非情――のような気がした。尚、本作ラストはシナリオと映像ではあまりにも違いがあるらしい。
それにしても、物語終盤で明かされる「地下鉄連続殺人」の“トリック”のビジュアルやカタルシスは圧倒的に壮大である。「東京・殺人ゲーム地図!」でも感じたことだが、東京地図や地下鉄路線図という「素材」から人々をアッと驚かせるアイデアを披露してみせる長坂氏のテクニシャンぶりにはただただ感服する次第だ(余談だが、推理作家・島田荘司氏の代表作に「糸ノコとジグザグ」という傑作短編があるのだが、「地下鉄」「東京殺人ゲーム」を評価する方にはこの短編を是非オススメしたい。何となく作品の方向性が共通している気がする)。


No.68 (2000/03/24 00:32) title:長坂No.44 「マニキュアをした銀行ギャング!」
Name:蒲生邸
Email:ZAP07546@nifty.ne.jp

本放送No.167 (脚本・長坂秀佳 監督・田中秀夫 助監督・小笠原猛)1980.6.18放映

<あらすじ>
何の接点もない逃亡中の凶悪犯三人が突如集結して企てた銀行強盗は失敗に終った。彼らを背後で操る者とは一体誰か?
彼らは強奪失敗に終った銀行をもう一度襲撃しようとしていた。ある一人の女が銀行を訪れて――。

<私的解説>
長坂秀佳×田中秀夫×叶モノ……「東京殺人ゲーム地図!」「掌紋300202!」とこれらの超傑作が有名だが、本作の出来だってなかなかのもの。長坂氏は「銀行ギャング」といったタイトルからは想像からは掛け離れた変わり種の強奪手口を鮮やかに展開させてみせ、田中監督もテンポのある演出でそれに応え、叶の颯爽とした活躍も同時に描かれた佳作といえる。尚、本作の成功を踏まえてか「包帯をした銀行ギャング!」というタイトル類似長坂特捜もあるが、世界観につながりはない(ただしあるテーマで共通してはいる)。詳しくはその時に。
田中監督は昭和8年生まれ。ずっと東映のテレビドラマ一筋に歩んでこられた監督で長坂氏とは「特捜」以外に「ザ・ボディガード」「怪傑ズバット」「忍者キャプター」と付き合いも長い。他に仕事を抱えていたせいで(「仮面ライダー」「レッドビッキーズ」「宇宙刑事」「スケバン刑事」各シリーズ……)、特捜は16本のみ、長坂特捜も5本のみの参加にとどまった。が、前述した通り長坂×叶の代表作、また「桜井警部補・哀愁の十字架」といった長坂特捜区切りの作品は田中監督によるもので、私にとっては特捜演出陣では天野利彦監督に次いで愛着のある方である。30分もののドラマを多く手掛けているせいか、歯切れの良いカットの冴えやスピーディーなドラマ運びに長けた演出が魅力的だった。


No.67 (2000/03/18 01:01) title:長坂No.42・43 「復讐T・悪魔がくれたバリコン爆弾!」「復讐U・五億円が舞い散るとき!」
Name:蒲生邸
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本放送No.160・161 (脚本・長坂秀佳 監督・天野利彦 助監督・辻理)1980.4.30・5.7放映

<あらすじ>
東亜銀行の二支店で同日、連続して爆破事件が発生する。爆破に使用された爆弾は時限式ではなく、しかし複雑な機密の爆弾であるという――。
一方特命課に届けられた謎の小包。中に入っていたのは爆弾……犯人の無線によるとそれは「周囲の動きを敏感に感じ取り、動きを察知すると爆発」するバリコン爆弾であるという。連続爆破事件に使用されたのはこのバリコン爆弾であった。しかも特命課のあるビルには各所に消化器型の爆弾もセットされているのだ!
身動きできない神代と高杉婦警。果たして彼ら二人の運命は? そして犯人は一体何をやらかそうとしているのか。特命捜査課、創設以来最大のピンチ――。

<私的解説>
二話連続で書かれる長坂氏お得意の爆弾シリーズ。緻密に考えられたストーリー、バリコン爆弾という魅力的(というか圧倒的なアイデア!)な設定、卓越したサスペンス描写――どれをとっても一級で文句無しの超傑作である。本作は「爆破60分前の女」の「身動きできない刑事」というシチュエーションを利用したリメイク版でもあるが、神代だけでなく高杉婦警と共にダブルで身柄拘束されたり、「60分前」とは違い拘束されながらも自力で爆弾処理をする姿を丁寧に綴ったりと変化をつけている。本家とはまた違った面白さを、そして元祖を超える面白さをと長坂氏のエンターティナーぶりが窺えた。「父と子」の関係や、警察や企業のコトナカレ主義を鋭く書いたりと社会派ドラマとしても鑑賞できる秀作である。……ところで滝はどうして欠席なのだろう?
キャストについて。犯人役は三ツ木清隆――言わずと知れた犬養巡査部長。またTには高杉婦警の友人役で原日出子女史の姿も(的場の奥さん・爆)。そして長坂特捜常連の田口計も胡散臭さは健在で(←誉め言葉)、しっかりと脇を固めている。


No.66 (2000/03/18 00:24) title:長坂No.41 「完全犯罪・350ヤードの凶弾!」
Name:蒲生邸
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本放送No.155 (脚本・長坂秀佳 監督・天野利彦 助監督・加島忠義)1980.3.26放映

<あらすじ>
ある代議士がライフルで狙撃され、殺された。全ては大物代議士・渡来十全の行った完全犯罪であった。渡来に不審を抱いた橘は彼をマークするが、それに渡来が激怒。
一歩も引かない橘は「三日以内に犯罪を立証してみせる」と宣言した。橘は果たして渡来の仕組んだ殺人トリックを暴くことが出来るのであろうか――。

<私的解説>
長坂特捜には「完全犯罪」とタイトルのつく作品が全部で3本ある。「完全犯罪・ナイフの少女!」、「午後10時13分の完全犯罪!」、そして本作……これらの中ではやはり本作の出来が一歩抜きんでているような気がする(ワタシ的に)。
この作品のシナリオはライフルが趣味の本郷功次郎氏が、脚本の長坂秀佳氏と綿密な打ち合わせを行った末に完成したものだという。「完全犯罪」とタイトルに銘打つだけあって、いつもの「特捜」とは違い「刑事コロンボ」のような倒叙スタイルを採用するなど長坂特捜の新たな一面を感じさせた作品だ。「事件を解決できない場合は首を差し出す」と大物政治家相手に堂々と渡り合うハードボイルド・橘。彼の魅力がいつも以上に醸し出された作品で、ファンにとっては堪らないことこの上なしだ。
(追伸――それにしても渡来十全とはまた、長坂特捜らしい胡散臭いというか、いかにも悪そうな大袈裟な政治家の名前である)


No.65 (2000/03/17 00:59) title:長坂No.40 「上野発幻駅行!」
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本放送No.153 (脚本・長坂秀佳 監督・青木弘司 助監督・藤井邦夫)1980.3.12放映

<あらすじ>
男にさんざん貢がされ、挙句捨てられ、絶望し、悲嘆し飛び降り自殺をした女……取り調べにもその男・白川はのらりくらりと交わし、証拠は見つからなかった。結婚詐欺を立証するためには相手側の女の証言が必要になってくるのだ。
自殺した女は死ぬ直前「風烈布」という言葉を口にしていたという。北海道のオホーツク海に面した小さな町。その地名に滝は引っかかる。滝が思いを寄せる女が、また同じく「風烈布」と口にしていたからだ。捜査の結果、彼女もまた、白川に騙された女の一人であることが分かる――。

<私的解説>
滝メインの長坂特捜人情編。これは長坂氏の作品らしくない――という言葉は語弊があるかもしれないけれど、そういった肌触りの作品で「長坂特捜っぽくない」という点で逆に新鮮に感じた。多くの長坂特捜に共通してこの作品のラストもハッピーエンドという訳にもいかなかったが、余韻を残す最後でこの締め括りは評価したい。この長坂×滝の人情路線にトリックが加わった作品が滝ラストの「地下鉄・連続殺人事件!」という感じがする。従って本作は「地下鉄〜」の前段階とも言える。ストーリーは全く違うが。
最後に本作の監督・青木弘司氏について。氏は昭和16年生まれ。「特捜」では番組当初より助監督を務め、藤井邦夫脚本の「ハナコ・少女売春の街!」が初メガホン。長坂特捜においては本作含め「警視庁番外刑事!」「天才犯罪者・未決囚1004号!」を手掛けた(個人的には「天才犯罪者」が最も好みである)。「特捜」以外では大映ドラマの「乳姉妹」等を担当、また「深見弘」という変名でテレビアニメ「ドラえもん」のシナリオも書いていた。


No.64 (2000/03/17 00:40) title:長坂No.39 「警視庁番外刑事!」
Name:蒲生邸
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本放送No.148 (脚本・長坂秀佳 監督・青木弘司 助監督・藤井邦夫)1980.2.6放映

<あらすじ>
東京では奇妙なライフル狙撃事件が連続して発生していた。事件を捜査する特命課は、事件直後の110番通報の声、写真、目撃者の証言……これらの証拠から奇妙なことに全ての現場には同じ男が居合わせていることを突き止めた。
その男を追いつめる特命課。男は新宿中央署捜査一係の刑事だった――叶旬一警部補・鮮烈なる登場編!

<私的解説>
夏夕介氏演じる叶刑事の登場編である。特捜10年の歴史のなかでもターニングポイントとなる重要な話であるだけに見逃せない。アンチエリートを剥き出しにするアウトロー刑事という初期設定を存分に生かした、長坂氏らしい野心的なストーリー展開に仕上がっている。
長坂特捜において、叶は一番主役話が多い(次いで橘。従って長坂氏にとって愛着というか、思い入れのある刑事はこの二人になるのであろう)。現に叶編では「東京殺人ゲーム地図!」「掌紋300202!」など傑作も数多い。この叶の加入によって、長坂特捜はまた新たなる局面を迎えたのだ。
(あとこれは私の勝手な蛇足だが、それぞれの脚本家の思い入れ刑事を作品から考察してみると一番有名なところで塙五郎氏→船村、他には藤井邦夫氏→桜井、大原清秀氏&佐藤五月氏→紅林、竹山洋氏→吉野、石松愛弘氏→神代……といった案配になるのであろうか。まあ筆者は「特捜」を全て見ていないので、他にもペアは存在するのかも知れぬ)。


No.63 (2000/03/16 00:28) title:長坂No.37・38 「殉職T・津上刑事よ永遠に!」「殉職U・帰らざる笑顔!」
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本放送No.146・147 (脚本・長坂秀佳 監督・天野利彦 助監督・北本弘)1980.1.23・30放映

<あらすじ>
荒木しげる氏演じる津上刑事の最後の物語――。
結婚式で発生した50人以上も亡くなった集団食中毒が事件の幕開けだった。その食中毒は計画的に仕組まれた事件で、尚「第二の実験」と称した犯行が予定されているらしい……しかもその毒とは極めて殺傷性の高いボツリヌス菌という細菌。その細菌の拡散を防がねば未曾有の大殺戮へと発展してしまう!
捜査の結果、「山崎」という男が事件に絡んでいることが分かり、津上は山崎の女が勤めるクラブにドラマーとして潜入するが――。

<私的解説>
津上殉職編。本作は「細菌爆弾」というともすればリアリティーから外れた道具立てを大胆に物語に取り込んだ長坂氏の豪腕を堪能できる作品であり、母と子・父と子・妹と弟とそれぞれの肉親の情、愛の関係を丁寧に綴った作品であり、涙なくしては見ることのできない感動と興奮の作品であり――ともかく超絶傑作である。「殉職」という制約されたシチュエーションのなかで試みられたチャレンジャー・長坂氏の特捜魂が織り成す一大スぺクタル。スゴスギル。
津上は華々しく(という形容はおかしいかもしれないが)散っていった。荒木氏は時代劇俳優の道を選んで「特捜」を降板したとのことだが、こういった見事な作品で「殉職」できたのだから、それはそれで幸せなことだったのではないだろうか。それを囲む特命課の面々も気合いの篭もった演技で荒木氏の花道を飾った。恥ずかしながら、私はこの作品を見て何度も大いに泣いてしまったものである。最後に繰り返す。この作品はただものではない。傑作だ。
――そしてこの殉職から五年、「津上刑事の遺言!」というストーリーが長坂氏によって書かれた。この殉職編のいわゆる続編というわけでもないが、つながりを持った作品になっており、「遺言」で津上の回想に助けられて捜査が進展していくという手法は、「殉職U」で使用されていた。その手法の共通性から察するに「遺言」はその作品自体、長坂氏が「殉職」編に捧げた壮大なるオマージュであるのだ……と私は勝手に想像する次第である。


No.62 (2000/03/14 00:16) title:KBSスキップ第七弾
Name:蒲生邸
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No.48 「惜別・指のない焼死体!」――飛びました。

今日明日とKBSは「夏子凶弾編」!
名古屋は(多分)「殺人トリックの女!」!
長坂特捜の傑作が相次いで登場です!!


No.61 (2000/03/11 19:10) title:長坂No.36 「脱走爆弾犯を見た女!」
Name:蒲生邸
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本放送No.141 (脚本・長坂秀佳 監督・宮越澄 助監督・小笠原猛)1979.12.12放映

<あらすじ>
連続爆破事件の主犯、通称「爆殺の帝王(オーソリティー)」矢尾崎が裁判所への護送の最中、脱走した。矢尾崎はきっと復讐のために爆弾を使ってくる……そう神代は確信していた。
爆殺の帝王は果たしてどんな奇手で復讐を果たそうとしているのか――?

<私的解説>
この話はタイトルにもあるように長坂氏お得意のバクダンものである。そして、本作に登場するコンピュータ爆弾は長坂特捜爆弾シリーズのなかでも一、二を争う大胆で意表を突いた「バスの走行速度が時速30KM以下になったら爆発」というもので、長坂氏の豊富な発想力を窺い知ることの出来る設定になっている。そして併行して紅林と「ウソツキ」と評判の女との交流も味わい深く書かれた。……といったわけで本作は紅林がメイン。1979年度の長坂作品は全部で19本(年間脚本家別では最多量)だが、これらの作品群では紅林メインがうち4本と主役話は最も多く廻ってきた。
さて次回の長坂特捜は――特捜のみならず幾多の刑事ドラマ史に残る金字塔、殉職ものの不朽の名作――「あの」超絶傑作編のいよいよ登場である。


No.60 (2000/03/11 19:10) title:長坂No.35 「消えた子連れ刑事!」
Name:蒲生邸
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本放送No.139 (脚本・長坂秀佳 監督・宮越澄 助監督・小笠原猛)1979.11.28放映

<あらすじ>
警察に「闇のN資金」事件の証言をしにいく最中に殺された男。その現場には父親の息子がいたが、少年は飼ってるうさぎと共に姿をくらました。
一年後。「闇のN資金」事件を追う桜井たちは影の黒幕と目される代議士の車を追跡していた。男が到着したのは福島県郡山のとある児童保護施設で、そこには一年前に行方不明となった少年の姿が。少年は男が引き取るつもりだという……。男は少年が一年前の殺人を目撃したと考え、口を封じるつもりだ――そう確信した桜井は、少年を連れてその場から姿を消した!

<私的解説>
私はこの作品、すっかりサブタイトルに騙されてしまった。「子連れ」という言葉だからか、「死んだ男と赤トンボ!」や「ナーンチャッテおじさんがいた!」系の人情話を勝手に連想してしまったのだ(そういえば長坂氏は「子連れ狼」という作品を書いているが、きっとそのテイストで攻めてくるのだろうなと妄想した次第)。しかし昨年初めてこの作品を見たのだが、予想に反して爆破あり、カーアクションあり、桜井演じる藤岡弘氏のアクション大満載、桜井の濃い(?)魅力が大炸裂するバトルストーリーであった。
しかし、決してアクション一辺倒のハラハラドキドキだけではなく、長坂氏お得意の「父と子」の関係や、逃走劇を通じて桜井と少年との心の交流も鋭く書かれている。「誘拐」と「殉職」に挟まっている話だけあって、なかなかの佳作である。


No.59 (2000/03/11 00:14) title:長坂No.33・34 「誘拐T・貯水漕の恐怖!」「誘拐U・果てしなき追跡!」
Name:蒲生邸
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本放送No.136・137 (脚本・長坂秀佳 監督・天野利彦 助監督・坂本太郎)1979.11.7・14

<あらすじ>
医師・朝倉の長男が誘拐され、身代金5000万が要求された。その誘拐事件に携わった所轄は身代金は朝倉一人に持たせろという要求を無視し、金の受け渡し現場で派手な張り込みを敢行。その時点で事件を知った特命課の神代は直ちに張り込みの撤回命令を出すが、犯人は現場には現れなかった。
犯人は報復に出る。犯人から電話で指定された場所に朝倉たちが行くと、ドラム缶のなかですでに溺死していた長男・一也の死体が! 残虐極まりない犯人の手口。しかもその後間髪入れず次男・草太が誘拐された――!

<私的解説>
この頃の長坂特捜が質量共に最も充実していた時期だと言える(この「誘拐」編を皮切りに一年の間に「殉職」編、「バリコン爆弾」編、「ダイナマイトパニック」編と傑作前後編が集中している)。そのはじめを飾る本作を長坂特捜のベストに挙げる方も多く、長坂氏自身もシナリオ集にセレクトしたほどの作品だ。長坂特捜の一連の誘拐シリーズのなかでは文句なしに史上最強のカードに挙げられるべきタイトルであろう。しかしまあこの作品は観るのにとことんパワーを要する作品だ。Tのサブタイトルに入る前までの一也の死のシーンは、やはり見ていて辛すぎるものがあって、見る者に相当の覚悟が要求される。それ以降も手に汗握るスリルやサスペンスが目白押しで全く油断がならない。
山本学の名演、特命課刑事のいつも以上にアブラギッシュ、ダイナミックな演技合戦――名作である。名作ではあるが、しかし疲れる……。


No.58 (2000/03/05 00:34) title:長坂No.32 「六法全書を抱えた狼!」
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本放送No.133 (脚本・長坂秀佳 監督・野田幸男 助監督・坂本太郎)1979.10.17放映

<あらすじ>
吉野は街で偶然車の中から「助けて」と救いを求める女と遭遇した。が、直後車が走り去り、吉野が彼女に再び会った時は、既に男に性的暴行を受けた後だった……。
エリート中のエリート・司法修習生の男――彼女を陵辱したその男に吉野は接触するが、その男・五条は予想以上に手強い相手だった……。

<私的解説>
数少ない長坂特捜の貴重な吉野メインのお話。犯人キャラを努めるのは叶こと夏夕介氏で(どうやらこの作品が特捜レギュラーに向けてのテスト出演だったとのこと。したがって本作の演技でそのテストに見事パスしたということか)、誠直也氏と夏氏の熱い戦いが、さまざまな法律知識の対決と共に繰り広げられる異色作(前回は「橘VS桜井」の構図だったが、この時期長坂特捜では対決形式が連続している)。ラストのハードな殴り合いのシーンは、野田幸男監督のバイオレンスのセンスが光っている。


No.57 (2000/03/05 00:19) title:長坂No.31 「6000万の美談を狩れ!」
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本放送No.131 (脚本・長坂秀佳 監督・宮越澄 助監督・坂本太郎)1979.10.3放映

<あらすじ>
大学のキャンパスで深夜、一人の男が建物の屋上から転落死した。男は死の直前「泥棒だっー」と叫んだり、屋上には人と争った形跡があったりと、誰かに突き落とされた痕跡があった。これは殺人――橘はそう考えていた。
しかし、桜井は男の死は自殺と断じた。桜井が自殺と考えた根拠とは? 橘とは真っ向から捜査方針が対立する。他殺か、自殺か。橘VS桜井。真相は果たして――?

<私的解説>
長坂氏の異常に「熱い」ストーリー。桜井と橘の対立を主軸に据えつつ(この二人の対決が見れるだけでも貴重なお話)、被害者の死の真相をさまざまな根拠や論理で覆したり、実証を重ねながら真実を追い求めていく骨太な名作。長坂氏永遠のテーマである「父と子の関係」も絡ませて、お話は二転三転と展開され、結末まで全く予断が許されないのである――しかし、この時期の長坂特捜の常、はっきりいって後味は悪い(爆)。しかし、傑作である。
それはさておき、本作には男がサラ金から借金をするという設定が出てきて、そのサラ金会社の一つは「クローバー金融」という会社になっている。この会社――あの「サラ金ジャック・射殺犯桜井刑事!」にも出てくる会社である。こういった部分で世界はつながっている。あとこれは「サラ金ジャック」の項で書き忘れたが、「サラ金ジャック」は実際の三菱銀行襲撃事件をモデルに描かれたシナリオだそうだが、「クローバー金融」という会社名称、私には何となく意味ありげに感じられて仕方ないのだが……。


No.56 (2000/03/04 18:51) title:長坂No.30 「非情の街・ピエロと呼ばれた男!」
Name:蒲生邸
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本放送No.129 (脚本・長坂秀佳 監督・天野利彦 助監督・藤井邦夫)1979.9.19放映

<あらすじ>
大津田組と水明会……暴力団同士の血で血を洗う抗争には数々の因縁が渦巻いていた。そんな中、水明会が大津田組に爆弾を使い復讐するという情報が特命課にもたらされた。
神代は水明会に呼ばれた爆弾マニア・ピエロの三次を捕らえた。取調室でシメあげるも、三次は一筋縄ではいかぬ独特な人間で、桜井さえも平気でおちょくってしまうのであった。そんな三次の癖や喋り方を観察する神代は、三次に誰かを化けさせて水明会に潜入させようと考えた。そして神代が三次に指名したのはよりにもよって紅林であった。吉野たちは「クソマジメ」な紅林に潜入は無理と反発したが――。

<私的解説>
この話の前回にて船村刑事が特捜を一旦降板(「裸の街」……塙五郎脚本、天野利彦監督)、今回から特命課刑事が六人編成となり、その第一弾の話がこれである。「死体番号044の男!」とアイデア的に通じている話だが、長坂氏お得意の爆弾も炸裂し、横光克彦氏のある意味これまでの役者イメージを思い切り捨て去ったキレのある迫真の演技が見物の快作(怪作?)である。長坂×紅林編の代表作として一般的に認知されているのはおそらくこの作品ではないか(長坂氏自身も思い入れがあるのか、シナリオ集に採った作品だ)。
また、「死体番号」が本作の原型になった作品だが、逆に本作のイメージアイデアを継承した「警視庁を煙にまく男!」という長坂作品も存在する。


No.55 (2000/03/04 00:10) title:長坂No.29 「亡霊・帰って来た幽子!」
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本放送No.125 (脚本・長坂秀佳 監督・宮越澄 助監督・加島忠義)1979.8.22放映

<あらすじ>
紅林の元に一通の手紙が届いた。差出人は紅林の知り合いの女子高生・幽子でそれには「助けてください。ゆくところにゆけません」と記されていた。
紅林は驚愕する。幽子は一年前車のスリップ事故で死んでいるのだ――。

<私的解説>
記念すべき(?)長坂特捜ホラー第一作。この作品を皮切りに長坂ホラーは毎年夏の風物詩(??)となり、以降「高層ビルに出る幽霊!」「殺人鬼を見た車椅子の婦警!」「水色の幽霊を見た婦警!」、そして形は少し異なるが「暗闇へのテレフォンコール!」と作品が書き継がれていく。また本作では紅林がメインだが、次作以降は高杉婦警の独壇場ホラーシリーズ(???)となった。したがって本作はホラーシリーズと婦警シリーズの共に基本・礎となったキッカケの作品である。
長坂氏のホラーシリーズにもそれぞれ色というか、テーマがあって、例えば「高層ビル」ならミステリー&トリック、「車椅子」がサスペンス、「水色の幽霊」がホラー性、「テレフォン」がドラマ性を意識した作品だと私は見ている(詳しくはまたその話の時に説明を試みたい)。で、本作――「幽子」は「高層ビル」と作劇は似ている気がする。不可解な出来事が全てトリックで割り切れる、といった辺りが。被害者のダイイングメッセージを一捻りする辺りなど、長坂氏のミステリースピリッツが感じられる作品。
また本作は後に特捜最終回(長坂特捜ファイナル)を演出した宮越澄監督の特捜初演出作品、並びに長坂特捜初演出でもあった。


No.54 (2000/03/03 23:46) title:長坂No.28 「豪華フェリージャック・恐怖の20時間!」
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本放送No.123 (脚本・長坂秀佳 監督・野田幸男 助監督・加島忠義)1979.8.8放映

<あらすじ>
一ヶ月前、ダムの工事現場から大量のダイナマイトが盗まれた。その犯人の車を追って、紅林は単身フェリーに乗り込んだ。
一方その頃特命課に、ダイナマイトを盗んだ男から爆破予告の電話がかかってきた――。

<私的解説>
爆弾と復讐――長坂氏お得意のアイテムにシージャックを織り交ぜたサスペンスな一本である。紅林がメインの話だが、この時期長坂特捜では紅林が三本連続で主役を務めている。この3本の中では、「非情の街・ピエロと呼ばれた男!」が最も注目を集めているようだ。
監督・野田幸男氏(現在は故人)は本作が長坂特捜初演出。特捜は57本、長坂作品だと9本演出した野田監督は昭和10年生まれ。「不良番長」などの東映の映画路線を支えた監督で「特捜」と併行した時期の仕事としては映画「ゴルゴ13」や2時間ドラマの演出などがある。
さて長坂×野田コンビで私が印象深い作品となると――長坂特捜二大幻の一つとして名高い(爆)「ストリップスキャンダル!」になるであろうか。「六法全書を抱えた狼!」もそうだが、野田演出の長坂特捜の場合、殴り合いや格闘のシーンに見せ場がある作品がワタシ的には印象に残った。


No.53 (2000/03/03 23:27) title:長坂No.27 「子供の消えた十字路」
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本放送No.118 (脚本・長坂秀佳 監督・天野利彦 助監督・青木弘司)1979.7.4放映

<あらすじ>
物がみな白く見えるある暑い夏の日……一人の子供が船村刑事の目の前で車に撥ねられた。運転手はすぐさま子供を車に乗せ、その場を走り去った。事故を目撃した十数人以上が子供は病院に運ばれたものと信じた。船村もそう信じた。
だが、子供は病院になど運ばれていなかった。そのまま行方不明に……船村は必死に事故の際の記憶を呼び戻そうとするが、一旦は子供が病院に運ばれたと安心したせいで、殆ど何も思い出せない――。

<私的解説>
一般的に長坂×船村編で代表作とみなされている作品。長坂氏自身もこの作品に愛着があるらしく、特捜のシナリオ集にも採られている作品だが、シナリオ集発刊前の85年9月号「ドラマ」収録の三本の特捜シナリオにもこの作品の脚本がある(他の二本は「爆破60分前の女」「少年はなぜ母を殺したか!」)。「殺人の起きない」スタイルの刑事ドラマを長坂氏は目指したかったという。おやっさんのテンションの高い名演も冴えわたる、文句なし長坂特捜珠玉の傑作である。


No.52 (2000/03/01 23:41) title:SKIP! No.6
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KBSは、「刑事を愛した女」以来、「シクラメンは見ていた!」が飛びました。


No.51 (2000/02/26 18:52) title:長坂No.26 「サラ金ジャック・射殺犯桜井刑事!」
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本放送No.114 (脚本・長坂秀佳 監督・天野利彦 助監督・藤井邦夫)1979.6.6放映

<あらすじ>
サラ金ローン・クローバー金融に散弾銃を持った男が強盗で押し入った。直後、警察が現場に急行。男と警察、双方は膠着状態にはいった。
事件発生より8時間後、神代は桜井に現場偵察を命じた。桜井は現場に急行したが、内部状況は一切判明せず、朝を迎えようとしていた。そのうち桜井は独断で「武器は持っていない」と宣言した上で建物内に突入した。――そして――直後、桜井が犯人に発砲。強盗は射殺された。
……事件解決後の記者会見で人質になっていた何人かが、犯人に撃つ意志はなかったのだ、桜井はすぐさま発砲した、彼の行為は「殺人」だ、と詰った。正当防衛か、否か? 桜井は査問会にかけられることになる――。

<私的解説>
――傑作である。しかし、非常に辛くて、暗くて、後味の悪い話である。従って、作品を見るのに根気をとても要する。私見だが、「救いのない長坂特捜ベスト10」を選ぶとするなら、第一位はこの作品になってしまう。因みにベスト10には他に「少年はなぜ母を殺したか!」「新宿・ナイト・イン・フィーバー」などがランクイン(?)している。
さて本作には「非情の罠、金、女、賭博!?」や夏子凶弾編などにも顔を出す保科警視正が登場していて、アイデア的には「非情の罠」と共通している部分も見受けられる。が、事件展開の妙、シナリオの質、推理展開、華麗なるアイデア、全てにおいてリベンジリメイク版の本作が遥か上をいっているのではないか。また作中、怒りの桜井が橘をブン殴るシーンがあるが、この遺恨(?)のエピソードが三ヶ月後の異色作「6000万の美談を狩れ!」を長坂氏が生み出す原動力になったのかも。


No.50 (2000/02/25 00:56) title:長坂No.25 「列車大爆破0秒前!」
Name:蒲生邸
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本放送No.110 (原案・渡辺栄次 脚本・長坂秀佳 監督・天野利彦 助監督・辻理)1979.5.9放映

<あらすじ>
警視庁110番センターに車の爆破予告の電話がかかってきた。そして予告通り30分後、滝の先輩刑事・和田が車ごと爆破された。直後、現場付近から逃走する不審な車を目撃した滝は、その車を追跡するのだが――。

<私的解説>
放送110回記念(110番ということで? ……ということらしい。私はよく分からない・爆)で一般視聴者よりプロットを募って、その入選作を長坂氏がシナリオ化したとのこと。冒頭いきなり110番センターの描写があるが、これも110回記念に合わせた長坂氏一流のしゃれなのであろうか。
「午前0時に降った死体!」の項で書いたが、この作品には特定の主役刑事はなく、全員主役のスタイルである――が、前々回から登場の滝に長坂氏は見せ場を作りたかったのか、わざわざ滝の先輩刑事を爆殺したりするなど、彼をやや重点的に書いたシナリオになっている(言ってみれば「新宿ナイト・イン・フィーバー」における吉野のような役回りなのか)。一方で、後半では復帰直後の桜井に見せ場を移動させたり、この回からスキー事故以来の復帰となる神代課長にポイントを置いたりと、復帰&新参の刑事に「見せ場」を多く用意したシナリオといえる。本作は、長坂氏お得意の爆破&復讐&ヘリといった小道具をふんだんに使用した、スリルとサスペンスに満ちた作品で、「一般視聴者プロット記念作」に相応しい出来。そして最後の最後にはミステリー好きの長坂氏らしい遊び心溢れる仕掛け(トリック)も登場した。「あんこが頭から尻尾までたっぷり詰まったタイヤキ」の如く内容が濃い一作。


No.49 (2000/02/25 00:31) title:長坂No.24 「午前0時に降った死体!」
Name:蒲生邸
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本放送No.108 (脚本・長坂秀佳 監督・村山新治 助監督・藤井邦夫)1979.4.25放映

<あらすじ>
滝二郎巡査登場編。午前0時頃、ビルの窓を破って会社重役が転落死した。自殺か、他殺か……。捜査を開始する特命課。現場の目撃者のなかには、刑事になることに憧れを抱く滝巡査がいた――。

<私的解説>
滝登場&玉井巡査ファイナルといったインサイドストーリー。高杉刑事離脱編と合わせて特捜が番組のスタイルを変化させていく上で絶対重要な話。――そしてこういった話はメインライターの長坂氏が書かねばならないのである。
長坂特捜における滝メインは本作、「上野発幻駅行!」「地下鉄連続殺人事件!」の以上三作である。これらの中だとやはり人気は「地下鉄〜」が一番高いだろうか。しかしまあこの三作、話は大変に面白いのだが見事に後味は全て悪かったりする――というか、この時期の長坂特捜はそういった話が多い(爆)。なお次回作の「列車大爆破0秒前!」では「誘拐・ホームビデオ挑戦状!」「消えた聖女・恐怖の48時間!」などと同じく全員主役のスタイルでありながら、やや滝がメインの扱いになっていた。詳しくは次項にて。
最後に監督・村山新治氏について。村山監督は大正12年生まれ。特捜以外では「キイハンター」「警視庁物語」「鞍馬奉行」や二時間ドラマなどで辣腕をふるい、特捜は56本、長坂作品に限ると本作含む6本を手掛けた――ワタシ的には長坂×村山コンビだと「特命ヘリ102、応答せず!」が印象深い。特捜終了後は東映・フジテレビの朝の特撮コメディーシリーズ(「美少女仮面ポワトリン」など)に移動、1993年のシリーズ終了まで全作品に携わった。


No.48 (2000/02/24 00:01) title:長坂No.23 「完全犯罪・ナイフの少女!」
Name:蒲生邸
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本放送No.106 (脚本・長坂秀佳 監督・天野利彦 助監督・藤井邦夫)1979.4.11放映

<あらすじ>
殺人の過去を持つ少女。刑期を終えて出所した彼女を暖かく見守る船村刑事は、就職の世話などをし少女の第二の人生を陰ながら支えようとした。
そんな時、少女の周りで殺人事件が起き容疑が彼女に。無実を信じる船村だが――。

<私的解説>
おやっさんのオープニングカットの印象的な絵というと、やはり傘を差しながら走ってきて、カメラ目線でにっこり笑いながら傘を畳む……であろう(京極夏彦氏の小説「どすこい(仮)」にもそういった記述が見られる)。しかし、この時期のオープニングはおやっさんが、バスケットボールのシュートを決めてにっこり……というバージョンで、本作ではそのバスケットが物語においてわりと大きな役割を示している。それにしても、船村がバスケットをするというイメージは中期・後期の特捜ではあまり考えられない。
それはさておき、本作はサブタイトルから察する通りミステリー色の強いトリッキーな作品となった。長坂特捜の船村メインだと絶対クロの容疑者の無実を信じて捜査をする――というパターンが間々あって、「乙種蹄状指紋の謎!」「一億円と消えた父!」、そして本作がそれに該当する(全て天野利彦演出作品である)。また、本作で犯人役を演じていた佐原健二氏は後の「一億円〜」でも犯人役として登場、大滝氏と対決を繰り広げた。

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最近特捜各種掲示板で話題騒然のファミリー劇場での「特捜」復活! 4月からの再開でどうやら本作がその第一弾とのこと。実にめでたい話であります(しかし一年間の沈黙はきつかった……今度はどこまで放送してくれるのやら)。


No.47 (2000/02/23 23:38) title:長坂No.22 「さようなら高杉刑事!」
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本放送No.105 (脚本・長坂秀佳 監督・天野利彦 助監督・藤井邦夫)1979.4.4放映

<あらすじ>
高杉陽三刑事のファイナルストーリー。自分は母親を殺したと供述する少女・ユカ。その少女の無実を信じる高杉は、栄転話がフイになるかもしれないのに、無実を証明するために奔走する――。

<私的解説>
この話より「特捜」は三年目に突入する。赤いを夕陽をバックにタイトルバックが現れるオープニングもこの回より初めて導入されりするなど、ターニングポイント的要素の高い区切りの作品である。西田敏行氏は初期はともかく中期は「西遊記」の撮影のためか登場機会は極端に少なかったが、本作を持ってリタイヤとなった。前回の「スキャンダル刑事」シリーズでの特捜復帰の藤岡弘氏と合わせ、この頃は「特捜」の変革期であったといえる。
また、助監督の藤井邦夫氏が本格的にローテーションに参加したのもこの回より。それまでは他番組に携わっていたのか、セカンド助監督で「特捜」に仕えていたのか定かではないが……。ともかく「特捜」ではチーフ助監督を務めた経験は18話の天野利彦監督組の一度きりであった。氏は昭和56年に監督昇進、脚本との二足のワラジで「特捜」を盛り立てた。時に長坂特捜では「虫になった刑事!」「殺人クイズ招待状!」「逮捕志願!」などの傑作群に好演出で応えた。


No.46 (2000/02/19 01:01) title:長坂No.21 「悲劇のシンデレラ・復讐0秒前!」
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本放送No.99 (脚本・長坂秀佳 監督・松尾昭典 助監督・服部和史)1979.2.21放映

<あらすじ>
五年前、アメリカの大富豪と結婚、後に夫は謎の急死を遂げその後、米国籍を取得した悲劇のシンデレラ……そう称されたキャシイ夫人が来日(帰国)した。夫人の来日の目的はある男への「復讐」にあった――。

<私的解説>
本作は津上がメイン。前作の長坂特捜津上メインタイトルの「ジングルベルと銃声の街!」がミステリーマインド溢れる作品だったが、今作も謎の洋館に男三人を呼びつけて、「復讐」目的の人物を炙り出すという既存の刑事ドラマでは滅多にお目にかかれない変化球の筋立てとなっている。長坂特捜109本の中では特に目立って高い評価を受けているという話を聞かないタイトルだが、ワタシ的には結構好みの作品である。


No.45 (2000/02/19 00:46) title:長坂No.19・20 「追跡T・白銀に消えた五億円!」「追跡U・愛と死の大雪原!」
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本放送No.97・98 (脚本・長坂秀佳 監督・天野利彦 助監督・辻理)1979.2.7・14放映

<あらすじ>
北海道・ルスツのスキー場で女性スキーヤーが死体を発見した。その死体は背中が十字に切られ、十字架に架けられた惨殺体だった。
一方、特命課はその死体が七年前の五億円強奪事件で確認された謎の指紋である事実を掴んだ。北海道に飛ぶ刑事達――。

<私的解説>
この前後編はこれまでに発表された長坂特捜の前後編に比べるとアクション的要素の高い作品となった。スキー場を舞台とした爆破あり、スキーあり、追跡あり、ヘリも飛び……というふうに派手なシチュエーションの作品になってはいる。
――が、この前後編では、ロケ地のスキー場での撮影中に二谷英明氏が大怪我をし、全治四ヶ月の重傷、「特捜」よりしばらく戦線離脱というアクシデントを生み、もはや「特捜」もこれまでか、といったピンチに見舞われた。結局、二谷氏はその後カムパックを果たしたが……まあ10年というロングランにもなると、こういった出来事が一つや二つは出てきてしまうものなのか。とにかく、皆さんもスキー場での事故には十分気を付けて頂きたい(因みに私はスキーはやらない←どうでもいい話……)。あと「怪我の功名」といってはアレだが、長門裕之氏演じる蒲生警視というキャラクターも、二谷氏のリタイヤがきっかけになったという事実もここに記しておきたい。
それと、長坂氏と天野利彦監督はこの北海道ロケが初めての顔合わせとなったようで、長坂氏はこの時の天野演出を「感動的」と形容している(「特捜」シナリオ集Uより)。


No.44 (2000/02/14 23:45) title:「プルトニュウム爆弾が消えた街」放映しました
Name:森川 由浩
Email:cuabm302@occn.zaq.ne.jp

2/14、KBS京都『特捜最前線』、欠番の心配のあった第29話「プルトニュウム爆弾が消えた街」放映されました。翌々年に沢田研二主演の映画『太陽を盗んだ男』で原爆を作る主人公を描いた作品が公開されましたが、その先をいくような作品で、元ネタはこちらではないか?とすら思える作品です。この作品の監督・佐藤肇氏は小生も昔から大好きな監督で、機会があれば監督の研究本を作りたい位の監督です。小林義明氏や村石宏實氏(旧名宏美)といった80年代から90年代の日本のTV特撮を支えた名匠は佐藤監督の薫陶を受けて今日の実力と地位を身に付けたのは決して忘れてはなりません。


No.43 (2000/02/13 02:17) title:長坂No.18 「恐怖のテレフォンセックス魔!」
Name:蒲生邸
Email:ZAP07546@nifty.ne.jp

本放送No.94 (脚本・長坂秀佳 監督・天野利彦 助監督・小笠原猛)1979.1.17放映

<あらすじ>
毎晩のようにかかってくる悪戯電話に悩まされる主婦。男の執拗なイタズラ電話の手口は日に日にエスカレート、女はノイローゼ寸前となる。
主婦は知り合いのつてを頼り、ある刑事に相談した。その刑事とは特命捜査課・船村一平――。

<私的解説>
本作で取り扱われる事件は冒頭の船村のナレーションにもあるように、これまでの長坂特捜作品内の事件に比べると規模は小さな、悪戯電話というものだ。が、そういった種類の犯罪も、他の巨悪犯罪と同じく平凡な市民にとっては悪質かつ強大な恐怖なのである――と長坂氏はシナリオのなかで問題提起を試みているように読める。氏独特の斬新で、一味違う角度からの鋭い切り口が本作のそのままテーマとなった。
悪辣な電話魔を演じるは西田健氏。長坂特捜ではプルトニウム爆弾で東京を無茶苦茶にかき回したり、不発弾を持ち出したり、区会議員でありながら異常な潔癖症の通り魔に扮したり……忙しい西田氏。そして本作ではテレフォンセックス魔――全く芸域が深い。大滝秀治氏との演技合戦も迫力たっぷりである。
あと、本作は予告編がスリラータッチで怪奇性を前面に推した演出で良く出来ている。予告編はその回のチーフ助監督が作っているのが通例とのこと。従ってその予告編は小笠原猛助監督の手腕が光ったといえそうだ(氏は後に東映特撮シリーズで監督に昇進、数多くの作品で辣腕を振るった)。


No.42 (2000/02/12 01:16) title:長坂No.17 「ジングルベルと銃声の街!」
Name:蒲生邸
Email:ZAP07546@nifty.ne.jp

本放送No.90 (脚本・長坂秀佳 監督・佐藤肇 助監督・服部和史)1978.12.20放映

<あらすじ>
クリスマスシーズンの到来で、街は活気付いていた。そんなさなか、一人の男の死体が橋の下で見つかった。特命課が出動、現場のすぐそばでトランペットを吹いていた男に容疑が向けられた――。

<私的解説>
「特捜」において年末&クリスマス編というと塙五郎氏の専売特許のイメージが強く、特にクリスマス編は氏の手で数多く執筆された。実際傑作も多く、「サンタクロース殺人事件!」などは筆者も大変好きな作品である。
本作は特捜メインライターである長坂氏が唯一執筆した年末&クリスマス編で、作品の傾向としては全体的にミステリー調。1978年度の11本の中では最もトリックメイキングに趣向を凝らした内容となっている(あと本作は某外国小説の本歌取りともなっているようだ)。あと長坂特捜の津上メイン初作品でもあった。――が、本作以後は「悲劇のシンデレラ・復讐0秒前!」、そしてかの名作殉職前後編と後続は僅かなので、「初」という表現は相応しくないようだ。
さて……この時期、長坂氏は子供番組の仕事をセーブしはじめ(一段落させ)、翌年一月以降「特捜」を活動のメインにと据えるようになった。次作の「恐怖のテレフォンセックス魔!」以降、特捜の量産体制が本格的となる――。


No.41 (2000/02/12 00:56) title:長坂No.16 「死んだ男の赤トンボ!」
Name:蒲生邸
Email:ZAP07546@nifty.ne.jp

本放送No.86(脚本・長坂秀佳 監督・佐藤肇 助監督・辻理)1978.11.22放映

<あらすじ>
犯人逮捕の巻き添えで一人の男が死んだ。その男は日本を代表する大財閥の社長だったが、何故か浮浪者の格好をしていた。そして男が死ぬ直前に口ずさんでいた赤とんぼの歌――。

<私的解説>
「殺しがおこる――捜査する――逮捕する」……「通常の刑事ドラマ」だと、このパターンはある種定番となっている感がある。長坂氏はそういったパターンには反撥し、「特捜」においては犯罪にしろ、語り口にしろ、犯人像にしろ、素材や題材のどこかに「通常の刑事ドラマ」とは違う「新しさ」を求めていたという。
本作では、「なぜ大会社の社長が浮浪者の姿で一人佇み、赤とんぼの歌を口ずさんでいたのか」という冒頭の謎を刑事が解くという「通常の刑事ドラマ」ではなかなかお目にかかれない異色の設定に挑戦した、味わい深い佳作である。長坂特捜人情編なら「ナーンチャッテおじさんがいた!」と並び初期の代表作だろう。ゲストの西村晃も名演で応えた。
また本作は、紅林刑事の長坂特捜初メインタイトルでもあった。


No.40 (2000/02/10 01:15) title:長坂No.15 「死刑執行0秒前!」
Name:蒲生邸
Email:ZAP07546@nifty.ne.jp

本放送No.85 (脚本・長坂秀佳 監督・天野利彦 助監督・小笠原猛)1978.11.15放映

<あらすじ>
山中で発見された指が三本しかない死体が発見された。その死体は船村刑事が長年探し求めていた男のものだった。その死体の存在が、14年前の高利貸一家殺人で尊属殺人の罪に問われた男・阿久根の無実を証明できる可能性があるのだ。「ホンボシに自白させて阿久根の無実を証明してみせる」と意気込む船村。
が、阿久根の死刑執行は翌日にと迫っていた。タイムリミットはあと一日と少し、残り僅か――。

<私的解説>
長坂特捜初のおやっさんメイン作品。以後「恐怖のテレフォンセックス魔!」「完全犯罪・ナイフの少女!」「子供の消えた十字路」「乙種蹄状指紋の謎!」「バラの花殺人事件!」「ストリップスキャンダル!」「一億円と消えた父!」とおやっさん作品は続く(筆者は「退職刑事船村」シリーズは船村がゲスト扱いの作品だと思うので、厳密にメイン作とは考えていない。人によって考え方は違うとは思うが……)。これらの作品群だと「十字路」「乙種蹄状」「ストスキャ」あたりが人気を獲得しているようだ。因みにワタシ的に長坂×船村ベスト3を挙げるとするならば「十字路」「一億円」、そして本作である。というか、長坂特捜のみならず「特捜」全体でも船村メインのベスト1はこれになってしまう。
この時期の長坂特捜はアイデア的には十年=109本のなかでももっともバラエティーに富み斬新だった時期のように思う。主役の娘をあっさりと手にかけたり、ラジコン爆弾を突っ込ませたり、スパイ衛星を登場させたり、「ナイトインフィーバー」のような大胆な衝撃作を書いたり……本作は死刑執行が間近に迫った男という設定を駆使したタイムサスペンスを迫力たっぷりに書きつつ、船村の執念の捜査を併行させながらも、更には真犯人の男の悲哀や家族の情、父親と娘の悲哀まで書き切ってしまうという見事な作品である。一時間で完結させるにはもったいない内容の濃さ。さすがは長坂氏、恐れ入りました……と唸らせてしまう傑作。
因みに参考データ。長坂特捜でタイトルに「0秒前」とつく作品は全部で四本。本作、「悲劇のシンデレラ・復讐0秒前!」「列車大爆破0秒前!」「爆破0秒前のコンピュータゲーム!」。二本ずつ天野監督と松尾昭典監督が分け合っているのはご愛敬か。


No.39 (2000/02/05 01:04) title:長坂No.13 「死体番号044の男!」
Name:蒲生邸
Email:ZAP07546@nifty.ne.jp

本放送No.74 (脚本・長坂秀佳 監督・佐藤肇 助監督・辻理)1978.8.30放映

<あらすじ>
修学旅行で東京に訪れた息子を訪ねる橘。だが息子からは冷たく拒絶された……。一方、吉野の津上は街で橘とうりふたつの男と遭遇した。が、男は直後に車に撥ねられ死亡する。男は何故か橘の写真を携帯していた――。

<私的解説>
長坂氏は変装&潜入モノは大得意なのか好きなのかは分からないが、とにかく「特捜」のシチュエーションには多用した。変装ものの代表作は「ラジコン爆弾を背負った刑事!」「誘拐」前後編あたりで、潜入モノの代表作となると津上殉職編、「非情の街・ピエロと呼ばれた男!」「天才犯罪者・未決囚1004号!」「リンチ経営塾・消えた父親たち!」「裸足の女警部補!」、そしてこの「死体番号044の男!」となる。従って、この作品が以降に続く長坂特捜潜入モノの基本となる作品だろう。長坂潜入ものは大半が橘メインの作品という事実は、少し興味深い(「橘警部逃亡!」も潜入ものの変奏曲といえるし)。
さて本作の直属の後継作としては、紅林のピエロの三次編「非情の街」が存在する。横光克彦氏の名演&シナリオ集にも掲載された作品とあって、「非情の街」のほうが「死体番号」より人気が高いとか。でも、話の展開的には明らかに「死体番号」のほうが無理がないと私は思う。本作では橘が成りすます男が、橘に良く似た人物という設定だ。従って橘の潜入に合理性がある。「非情の街」の場合は、変装する紅林と成りすます男との共通項が「同じ左利き」であるというだけでつながりが弱い気がする……重箱の隅をつつくようだが。
話を本作に戻すと、この作品では本郷氏の大阪弁が堪能できる。その名演に注目である。


No.38 (2000/02/05 01:04) title:長坂No.12 「スパイ衛星が落ちた海!」
Name:蒲生邸
Email:ZAP07546@nifty.ne.jp

本放送No.70 (脚本・長坂秀佳 監督・村山新治 助監督・辻理)1978.8.2放映

<あらすじ>
西伊豆の海上で某国のスパイ衛星が空中爆発。衛星の残骸は四散し、警察は部品の回収に努めたが、軍事機密が収められたマイクロフィルムは発見されなかった。捜査に乗り出す特命課――。

<私的解説>
長坂氏は「特捜」という番組においてさまざまな実験的試みを行っているが、その例の一つとして「刑事ドラマのなかでは敬遠されがちだった荒唐無稽寸前の大胆な設定を、堂々と作中に取り込む」というのが挙げられる。プルトニウム爆弾にしろ、細菌爆弾にしろ、不発弾にしろ、ともすればリアリティーの欠如につながる道具でも平気で作品に登場させ、視聴者の度肝を抜いた。で、今回のお話に登場するのはスパイ衛星――オドロキである。チャレンジャー長坂氏は常に一歩先を行く発想で「特捜」の屋台骨を支えつづけていた。
ただ話的は結構救いのない展開なので、ワタシ的にはリピートはちょいとキツイ……(詳細には触れないが)。


No.37 (2000/02/04 01:04) title:長坂No.11 「ラジコン爆弾を背負った刑事!」
Name:蒲生邸
Email:ZAP07546@nifty.ne.jp

本放送No.62 (脚本・長坂秀佳 監督・天野利彦 助監督・服部和史)1978.6.7放映

<あらすじ>
郊外で無人車ラジコン爆弾を使い、「黒の義勇軍」が要人暗殺のためのリハーサルを行った。その動きをいち早くマークした神代は、課員に義勇軍のアジトを見張らせるが――。

<私的解説>
この作品は「爆破60分前の女」のある程度裏返し的設定となっている。世界観もつながっておりSPの柳沢課長が引き続き登場するし、黒の義勇軍も「爆破〜」と同じ悪の組織だ(まあ「爆破〜」にはバリコン爆弾シリーズという直系が存在するが)。「爆破〜」では動きの封じられた神代だが、今作では神代以外の刑事全ての動きが封じられる仕組みになっており、常に新しいことにチャレンジする長坂氏らしい大胆でユニークなストーリーに仕上がった。ラジコン爆弾も斬新なイメージである。
あと本作のゲストキャラの岡本麗は結構体の張った(?)演技をしている。そういえば岡本は、演出の天野利彦監督とは「はぐれ刑事純情派」で今尚付き合いがあるが、22年にも及ぶ役者&監督の付き合いの最初の作品は本タイトルだったのかも。


No.36 (2000/02/02 00:05) title:スキップ第五弾&ルーツ
Name:蒲生邸
Email:ZAP07546@nifty.ne.jp

スキップNo.5 「刑事を愛した女」――予想通り×。

そういえば、最近ごーしーさんが始められた「特捜元ネタ集」ですが、長坂脚本第一弾の「愛の刑事魂」も、シナリオ集の後書きによると実在の事件をネタに作られているみたいですね。ただし、どういった事件かは不明ですが……。


No.35 (2000/01/29 19:00) title:長坂No.10 「ナーンチャッテおじさんがいた!」
Name:蒲生邸
Email:ZAP07546@nifty.ne.jp

本放送No.54 (脚本・長坂秀佳 監督・天野利彦 助監督・服部和史)1978.4.12放映

<あらすじ>
電車内で悪辣な乗車態度の限りを尽くすヤクザ三人組に注意を与えたサラリーマンの男性が、夜道に三人組にリンチを食らい、死んだ。
事件の捜査をする高杉たちはホンボシと思われる男を電車内でマークしていた。男に近寄ろうとする高杉。が、一人の老人が突如割り込む。老人は巷で有名な「ベロ出しおじさん」だった――。

<私的解説>
長坂特捜の高杉メイン作の三本のなかでは最も私の好きな作品。が、見るのに人情的には少々キツイ作品でもある。何せこの作品には救いが無さすぎだし、死んだ父親の息子・かつらとその姉の痛ましい演技や、「ベロ出しおじさん」の無常も真に迫っていて、見ていて非常に心が痛む……つまり、それだけ長坂氏の筆力が鋭く、素晴らしいという証明であると思うのだが。珍妙なタイトルとは裏腹に社会派の重い作品に仕上がっている。
また本作にて天野利彦監督がはじめて長坂特捜作品でメガホンを取った。「特捜」にて脚本・演出の最強コンビはやはりこのお二人であることは間違いないだろう――余談だが、お二人とも愛知出身というのは特捜王国・名古屋を象徴しているようでなんだか凄い(爆)。
ま、それはさておき、以後、長坂・天野コンビは「退職刑事船村・仏」まで43本ものタイトルでタッグを組み、世に傑作群を輩出したのである――。本作がその第一作。


No.34 (2000/01/29 19:00) title:長坂No.8・9 「兇弾・神代夏子死す!」「兇弾U・面影に手錠が光る!」
Name:蒲生邸
Email:ZAP07546@nifty.ne.jp

本放送No.50・51 (脚本・長坂秀佳 監督・佐藤肇 助監督・辻理)1978.3.15・22放映

<あらすじ>
――神代警視正の娘・神代夏子が殺される(T)。そして後編の(U)では神代の鬼気迫る捜査が描かれる。←あらすじになってませんが(爆)

<私的解説>
特捜の最初期一年間の締め括りに相応しい分岐点となる前後編。実際は次回の52話「羽田発・犯罪専用便329!」にて桜井離脱&紅林登場にて一区切りとなるが、この凶弾編もそれに付随したターニングポイントとなる話である。
長坂氏のチャレンジャー精神あふれる脚本にまず注目して頂きたい。あっさりと神代の娘を殺してしまう大胆さ、そして拳銃を構え人質を盾に抵抗する犯人に刑事が迫り、いとも簡単に人質救出に成功してしまう「刑事ドラマのよくあるパターン」に反発した精神、さらには後編にて神代課長に一言もセリフを語らせぬとままドラマを進めるという企み――「プルトニウム」編と並び初期の傑作シリーズである。無論、二谷氏のエネルギッシュな演技も見逃すことは出来ない。
夏子の死のエピソードは、これより後に九年間も続く「特捜」でいくつかの作品に影響を与えた。「渓谷に消えた女秘書!」「前略神代課長様・天使からの告発状!」や最終回では回想シーンが使用された。また後編の「暴走する神代」のパターンは長坂最終特捜作品である「神代警視正・愛と希望の十字架」のアイデアの一つに組み込まれたと思われる。余談だが、長坂秀佳終幕三部作ではそれぞれ橘編=「虫になった刑事!」、桜井編=「掌紋300202!」、と原型になったアイデアが存在するように思う。そしてラストの神代編が(=本作)なのでは、と思ってしまうのだが。


No.33 (2000/01/26 09:04) title:スキップ第四弾
Name:蒲生邸
Email:ZAP07546@nifty.ne.jp

予想通りというべきか、「過去を撃つ女」――やっぱり飛びました。


No.32 (2000/01/25 03:34) title:また無謀なことしてます・・・。
Name:ごーしー
Email:goshii@mx.tcp-ip.or.jp
URL:http://www.tcp-ip.or.jp/~goshii/n5toku/n5_Fmoto.htm

突然ですけど、みきりんさんのところの掲示板(http://bbs.towax.ne.jp/a52/zot.cgi)でちょっとネタになった特捜最前線の各エピソードの元ネタをちょっとまとめてみようかなと思います。
という訳で情報募集中です。(ぜんぜん元ネタ知らなかったりします、私;誰か助けて(苦笑))
とりあえず急造簡易版仕様のリストを急遽作ってみました。
まだぜんぜん中身がないですけど、とりあえず外枠は早いうちに作らねばと思いまして。
上のURLから飛べますので、よろしければどうぞ。
で、ぜひご存知の元ネタ情報がありましたら教えていただけるとうれしいです。
ぜひぜひお願いいたします。

調べ魔(爆)の私としてはこういうネタはほっておけなくて・・・。
他にもやりたいこと・ネタはたくさんあるんだけど、時間ないし。
まぁ少しずつ地道にやって行こう。今までとおりに・・・。


No.31 (2000/01/24 01:51) title:長坂No.7 「非情の罠・金、女、賭博!?」
Name:蒲生邸
Email:ZAP07546@nifty.ne.jp

本放送No.44 (脚本・長坂秀佳 監督・村山新治 助監督・稲垣信明)1978.2.1放映

<あらすじ>
特命課の桜井刑事は金を受け取った、賭け麻雀をした、負けが込んだら拳銃で脅した、暴力を振るった、女性の服を引き裂いた……ある男女四人組がそう証言し、桜井は告発された。それは何者かが桜井の名を騙って企んだ策略だった。
「金、バクチ、女 三拍子揃った暴力刑事!!」と世間は叩く。罠に嵌まった桜井の運命は如何に――。

<私的解説>
桜井刑事が世間から非難の的になり、神代たち警察内部から調査を受けるという構図は翌年の傑作「サラ金ジャック・射殺犯桜井刑事!」に何となく似ているので、本作のアイデアは「サラ金ジャック」の発想の原点になったといえないこともない。


No.30 (2000/01/23 20:05) title:KBS,欠番多すぎ;
Name:ごーしー
Email:goshii@mx.tcp-ip.or.jp

皆様、KBSの放送状況の報告をどうもありがとうございます。
T.Yoshikiさん、再放送で話数が飛ばされる理由の詳細な解説、なるほど勉強になりました。
う〜ん、いろいろあるのですねぇ。
放送禁止(というか放送自粛)とされた作品とそうでない作品との区別は難しいですね。
なんとか解明したいものです。
それとKBSでの放送では1本でも飛ばされる話が少なくなるのを祈るばかりです(苦笑)


No.29 (2000/01/22 19:43) title:長坂No.6 「傷痕・夜明けに叫ぶ男」
Name:蒲生邸
Email:ZAP07546@nifty.ne.jp

本放送No.36 (脚本・長坂秀佳 監督・松尾昭典 助監督・青木弘司)1977.12.7放映

<あらすじ>
高杉刑事は朝のジョギング中、一人の浮浪者風の老人と知り合った。その老人は昨夜自分は殺人事件の現場を目撃したと言うが――。

<私的感想>
長坂特捜作品のなかでベストを選ぶとなった時、正直この作品が上位に来るというケースは少ないかもしれない。しかしこの作品では長坂作品(「特捜」に限らず)に欠かせぬテーマである「父と子」が初めて生々しく取り扱われた。従って、長坂特捜で以後書かれた「父と子」モノの数々の傑作の源流ともいえる作品ではなかろうか。あと、この作品のゲスト・小林昭二氏は長坂特捜で本作をキツカケにして数々のタイトルに出演している(その他は「東京殺人ゲーム地図!」「トランプ殺人事件の謎!?」「殺人警察犬MAX」)。余談だが、小林氏以外に長坂特捜には欠かせぬゲスト俳優としては筆者は織本順吉・西田健・田口計各氏らが印象深い。
本作でメインだった高杉の長坂特捜主役回は本作、「ナーンチャッテおじさんがいた!」「さようなら高杉刑事!」の以上三作。全て人情系の話で占められているのは(しかも三本とも親子のテーマが色濃い)、長坂氏の高杉に対する思い入れを象徴しているようで興味深い。


No.28 (2000/01/22 00:46) title:はじめまして!
Name:里見美岬
Email:hiyonya@nifty.com
URL:http://homepage1.nifty.com/saylets

ごーしーさま、皆様、はじめまして。
某所(^^;)で紅林刑事役横光克彦氏の公認HP開設してます里見です。
私も、みきりんさんのHPの紹介を見てやってきました(^^)。
内容が充実していて、読み応えがありすぎです。とても嬉しいです。
ただ、ご挨拶程度の発言をしてよいものやらと一瞬躊躇してしまいま
したが。

蒲生邸さま
レビュー、大変勉強になります。実は、先日、自分のHPで長坂脚本
である紅林メイン回の「非情の街・ピエロと呼ばれた男!」の
レビューを書いてみたのですが、掲載してから何だかこれでよかった
のかと悩むこと悩むこと……。修行が足りーん!と反省の日々だったり
しています。長坂さんの脚本含め、特捜の奥の深さを思い知らされて
ます。今はため息しか出せませんが…。

ごーしーさまには横光さん出演作関係でお世話になっていますし、一口
MEMOなど、できる限り協力できたらと思います。
どうぞヨロシクお願いします!では。


No.27 (2000/01/22 00:46) title:勉強になります
Name:蒲生邸
Email:ZAP07546@nifty.ne.jp

特捜掲示板初登場の(笑)T.Yoshikiさんの徹底解説、とても勉強になりました。さすがです。
みなさんも書かれてることで重複しますが、KBSのフイルムは確かに綺麗です。とても二十年以上前のものとはおもえないぐらいに……ファミリー劇場よりも鮮明ですし。どなたか詳細な事情、KBSに問い合わせてくれません(笑)?
名古屋の方は――昨年、名古屋で録画されたと思しき「特捜」のある回のテープを見る機会がありましたが、確かに異常に真っ赤っ赤な時がありました……。

あと実をいうとしけちゃんさんの放映期限の予感は当方も当初から危惧はしているのです……的中しないことを祈りますが。
でも再放送してくれるだけてもマシ! ということでKBSさんにはやはり感謝感謝なのであります。といったわけで、これからは極力話がスキップしないことを祈りつつ――。


No.26 (2000/01/21 13:46) title:Re: なるほど
Name:しけちゃん
Email:ishii@hi.h.kyoto-u.ac.jp

こんにちは。このような掲示板ができているなど
知りませんでした。ごーしーさん、お疲れさまです。
T. Yoshikiさんの書き込み、興味深く読ませていただきました。
(みきりんさん、掲示板で教えてくださりありがとう)
いろいろと事情があるわけですね。

KBSの特捜は、見た限り、そんな赤っぽくないように思います。
名古屋の再放送を録画したものに比べ、
少なくともオープニングの部分では、赤みを感じないような気がします。
正直いった感想、これは期間がかなり限られた再放送のように
思えます。例えば3月までとか。例えばno.50までとか。
しかし全然見る機会がなかったものとしては、大変うれしくて、
飛ばされても、ま、いいか〜という気がしないでもありません。
これはやはり、KBSにお礼の手紙を書かねば〜

それでは、また。


No.25 (2000/01/21 13:36) title:KBS『特捜』再放送状態&その他…。
Name:森川由浩
Email:cuadm302@occn.zaq.ne.jp

KBSの『特捜』のフィルムは20年以上前のフィルムにしては比較的綺麗です(ニュープリント版には多少劣りますが)。少なくても「真っ赤」ではないです。以前放送していたCSファミリー劇場の時よりも綺麗です。予告はなく、これはひょっとしたら過去の再放送で素材ごと予告がカットされている可能性も大です。関西では朝日放送が過去に『特捜』を再放送していましたが、いずれも予告無しの放送でした。月曜から金曜の放映とはいえ、話数が多い故放映消化には相当時間はかかりそうです。


No.24 (2000/01/21 11:48) title:なるほど。
Name:みきりん
Email:zot@geocities.co.jp
URL:http://www.geocities.co.jp/Hollywood-Kouen/4866/

>T.Yoshikiさん
なるほど、再放送の抜けにはそのような理由が考えられるのですね。私も名古屋の再放送をもう都合3回ほど繰り返して見ているわけですが、新たに抜かされる話がある一方で復活する欠番作品もあったりして、これは放送コード以外の理由もあるのかな、と思い始めていたところだったので、ご説明感謝です。

ちなみに名古屋の再放送はかなり色が赤いです(笑)。さらに縦線とか入ってます(爆)。OPとEDなんて画面がガタガタ揺れたりするし(EDはヘリからの撮影だから、という理由じゃなくて、本当に「ガタガタっ」とテープが折れているような絵になり、音もゆがむ)。それでも再放送する名古屋テレビって、根性があるなー(それは違うか)。

ところで昨日、なぜか「東京,殺人ゲーム地図!」のラストだけ見たんですが。ラスト叶が宗家をぶっとばしたあと、報告を受けた特命課でおやっさんが碁石をはらいのけるシーンと叶のナレーションは、長坂さんの脚本にはなかったんですね。ナレーションが入った方が特捜らしいけど、犯人殴ったところでストップモーション、の方が長坂さんっぽくって好きかもしんない(笑)。


No.23 (2000/01/21 10:45) title:飛・び・ま・す
Name:T.Yoshiki
Email:dolmen@pop02.odn.ne.jp

再放送で話数が飛ばされるのは、放送コードだけが原因とは限りません。
例えば、他にどういう原因が考えられるかというと・・・・

一、素材そのものが使える状態ではなかった。つまり、フィルムが擦り切れた、破損した等の理由で
  放送に耐えられないという場合です。
  作品も生き物であり、寿命があるのです。

  最近では、VTRに素材を落としたものを各局に貸し出すのが一般的らしいですが、昔のフィルム作品の
  場合、それには何がしかの費用が派生するわけで、それを捻出する口実が必要となってきます。
  特撮やアニメなどは、LD化、ビデオ化などをする際に「ニュープリント」を売りにする
  ことによって、それを上手く解決しているわけです。これだと、商品化と同時に作品のV素材化が
  行えるので、これを取っておけば後々CSなどの再放送に使えるという訳です。
  
  私は関東の人間なので確認できないのですが、KBSの『特捜最前線』の場合、フィルムの状態は
  どんなものでしょうか? (フィルムは古くなるにつれて画面が「真っ赤っか」になっていきます)
  
  また、素材の本数が限られていた場合、他の地区で再放送中(又は、その権利がまだ生きている)などの
  理由でこっちに回せない・・・・という場合も有ります。
  例えば1〜10、12〜13話は素材は2本ずつ有るが、11話だけは1本しか無いという場合、これを2つの
  テレビ局に同時セールスすると、片方は「11話欠番」ということに成るのです。

二、再放送枠の期間が、あらかじめ限定されている。つまり、今回の『特捜』の再放送の枠が
  「何月何日から何日まで」と、あらかじめ決められている場合です。
  この場合、作品がヤバい、ヤバくないに関わらず、作品が最初から何本か抜かれている
  可能性があります。つまり、素材を借りる段階で「○○本、貸してください」という具合に
  テレビ局が販売元に申し込んだ場合です。
  また、伝え聞いた所によると奇数話数の番組は編成上、敬遠される場合が多いらしく、
  そういう場合、セールスしやすいように製作元が売り込みの段階で1本抜いてしまうことも
  有るらしいです。

つまり、再放送されなかったから即「欠番になった」という訳では無い場合も有りうるという事です。
とくに「二」の場合、「この本数しか買えねえな」という先方の要求に折り合う形で、泣く泣く作品を
何本か落とす事と引き換えに『特捜』の再放送を実現させたという、名も無き営業マンの努力が陰に・・・・
というケースも大いに考えられます。(さらに、その人が『特捜』の大ファンということも)

どなたか、直接KBSに真相を聞いてみてはいかがですか。
そうそう、その時出来れば先方に「特捜を再放送してくれて有難う」みたいなメッセージも・・・・。
今回の再放送を実現した「名も無き誰か」が陰にいるとすれば、その人が喜ぶかもしれません。


No.22 (2000/01/20 19:00) title:また飛んだよ!
Name:kamesan
Email:ri-fa@geocities.co.jp
URL:http://www.geocities.co.jp/Hollywood-Kouen/6316

10話「母・その愛の標的」も飛びました。
本日は「傷だらけの兄弟愛」と新聞のテレビ欄に出ていました。
やはり当初に危惧したとおり、かなり飛ばされて放送されるようです。
来週・再来週のテレビガイドを見ても蒲生邸さんの書き込みの通り飛んでるしね。そうするとやっぱりプルトニウムは飛ぶのか?
飛んでほしくないんだけどなぁ。


No.21 (2000/01/20 00:26) title:欠番確定報告追加
Name:蒲生邸
Email:ZAP07546@nifty.ne.jp

>森川さん
はじめまして! ……そうなんですよねえ、「愛と復讐の銃弾」も飛んでしまいました。とにかく名古屋に比べてKBSのコード規制は半端ではないようです。このままだとあといくつ飛ばされてしまうんでしょうか?

で、テレビ情報誌の二週間分先の再放送予定を見てみるとやはりキケンゾーンの「過去を撃つ女」「刑事を愛した女」もしっかりと抜かされています。これら二本の欠番もほぼ確定のようです。ファンとしては何とか欠番撤回を祈願したいものですが……。
ただせめてもの救いは「爆破60分前の女」、並びに初期の名作と名高い「愛・弾丸・哀」が再放送プログラムに組み込まれていることでしょうか。
これら二本が無事再放送されることを祈りつつ――。


No.20 (2000/01/19 13:11) title:欠番追加
Name:森川由浩
Email:cuabm302@occn.zaq.ne.jp

この度、当方インターネット接続により「長坂ファンの掲示板」にたまたまリンクして貴サイトを知った者で森川と申します。さて現在のKBS京都の「特捜」の再放送で第8話「愛と復讐の銃弾」が欠番となりました。地上波の放送コードの半端でない厳しさを知らされています。
この調子ならどれだけの作品が飛ばされるか心配です。ちなみに今回の放映は次回予告編も未放映となってます。ああファミリー劇場での再開を一日も早く願う次第です。


No.19 (2000/01/19 07:42) title:今世紀中には……
Name:蒲生邸
Email:ZAP07546@nifty.ne.jp

>みきりんさん
当方の雑文お読み頂いているとのこと、誠に痛み入ります。
とはいえこの掲示板、当然のことながら私ばかりが好き勝手に書き散らすという形もなんですから、他の方にも是非長坂特捜レビュー&感想や長坂特捜脚本論を、とは思っているのですが(当然重複する話があってもいいでしょうし。「掌紋」の感想なんぞお前の意見は間違ってる! と思われた方もおられたでしょうし……)
「北陸路」で肝心の内容に触れていないのは――まあ時々そういうのもアリと(爆)。ともあれ私に限って言えば、今世紀中には長坂特捜全109本のレビューを書き終われればと思います。


No.18 (2000/01/18 02:21) title:長坂No.4・5 「プルトニウム爆弾が消えた街」「核爆発80秒前のロザリオ」
Name:蒲生邸
Email:ZAP07546@nifty.ne.jp

本放送No.29・30 (脚本・長坂秀佳 監督・佐藤肇 助監督・中津川勲)1977.10.19・26放映

<あらすじ>
核再処理工場に四人組のテロが押し入った。警官との銃撃戦の末、犯人グループの大半は死傷、事件は解決したかに思われた。
が、事件のどさくさに紛れてプルトニウムが消失。どうやら再処理工場班員の男が持ち出したらしい――かくして、東京を死の恐怖に叩き込もうとする犯人に特命課は立ち向かうこととなった。

<私的解説>
特捜にとっても長坂氏にとっても初の前後編だが、そのスケールは四話連続にしてくれてもいいほど(爆)壮大かつ波瀾万丈なものとなった。初期特捜のなかでは間違いなく傑作と称されてもおかしくない前後編といえる。
長坂氏お得意の爆弾を取り扱った作品だが、バクダン二作目にしてまさか「核爆弾」をテーマとして選択するとは……その辺りの発想・アイデアにまず驚かされた。そして作品のあちこちに散りばめられた「核」「戦争」に対するアンチテーゼの数々。それらの骨太なストーリー性にただただ視聴者は唖然とするばかりである。
そして西田健氏の「特捜」初登場作でもある。西田氏はこのプルトニウムシリーズを皮切りに、「特捜」という番組になくてはならないゲストキャラとなるが、長坂特捜だけに限って言えばこの後、「恐怖のテレフォンセックス魔!」「白い手袋をした通り魔!」「不発弾の身代金!」に登場する(「不発弾」はこの前後編と同じく爆弾を取り扱ったもの。プルトニウムシリーズのリメイク版といえなくもない作品構成に仕上がっている)。
いろいろな方が、それぞれ西田特捜作品には思いいれが深いようで人気も各タイトルに分散しているが、僭越ながら私個人の嗜好としてはこの前後編に一番の思いいれがある。後編ラストで東京の町中を失踪する西田健……小気味いいBGMに乗せて展開されるこのシーンは「特捜」屈指の名場面であると個人的に思ってしまう。この辺り、佐藤監督の辣腕が見事であった。
ただこの傑作シリーズには致命的に残念な弱点も一つ。それは桜井の欠席。おそらく藤岡弘氏のスケジュールの都合があっての事情なのだろうが、桜井が出演していれば特命課の捜査にも更に厚味が出て、物語は更に面白く仕上がったのではと感じた次第である。


No.17 (2000/01/17 00:20) title:すいません
Name:みきりん
Email:zot@geocities.co.jp
URL:http://www.geocities.co.jp/Hollywood-Kouen/4866/dog/d5.html

下記URLが間違っていました。正しくは上記のようになります。


No.16 (2000/01/17 00:19) title:殺人メロディーを聴く犬!
Name:みきりん
Email:zot@geocities.co.jp
URL:http://www.geocities.co.jp/Hollywood-Kouen/zot/d5.html

大変ご無沙汰しております。

……というわけで(?)、うちのHPに「殺人メロディ」のストーリー紹介をアップしました。
長坂氏お得意?の犬モノの傑作ですので、一度ご覧になってみて下さい。
でも今回のウリは、実はついでに書いた長坂−叶論だったりします(ほんとはこっちに書こうと
思っていた内容なんですが、なんせ長くなってしまったので)。直リンク書いておきますんで、
ぜひ長坂ファンのご意見を聞きたいです。ということで、ぜひぜひ。

>蒲生邸さん
いつも面白く読ませていただいておりますです。
しかし「北陸路」は、肝心の内容に触れてないのが……(笑)。いやいや。私も長坂吉野編なら、
「人妻を愛した刑事!」が好きですよ。物語の語り部が叶だし(笑:いや、そういうことだけ
ではないんですがー)。


No.15 (2000/01/13 02:26) title:長坂No.3 「北陸路七年後の女」
Name:蒲生邸
Email:ZAP07546@nifty.ne.jp

本放送No.25 (脚本・長坂秀佳 監督・松島稔 助監督・三村道治)1977.9.21放映

<あらすじ>
二人の男の死体が連続して発見された。そして、それぞれの死体の傍には何故か、山代太鼓の録音されたテープが置かれてあった――。

<私的解説>
さてこの作品は長坂氏執筆の吉野メイン作である。が、よくよく考えてみると長坂特捜において吉野メインタイトルは本作を含め僅か五作品と他の刑事たちに比べても極端に少ない(八年半もレギュラーだったのに……レギュラー一年半の滝にして長坂メイン話は四本あったのだが。まあその時期長坂氏が特捜量産体制の真っ最中であったという事実はあるにせよ)。
で、吉野メイン作品だが、それらは本作、「六法全書を抱えた狼!」「裸足の女警部補!」「殺人トリックの女!」「人妻を愛した刑事!」となる(「新宿ナイト・イン・フィーバー」では結構目立ってはいるが、あれは厳密なメインとは言い切れないだろう)。
だが、「裸足」「殺トリ」――「ストスキャ」みたいに流行らないかしらん(爆)――などはそれぞれメインゲストの<裸足の女警部補>(スンマセン、役名忘れました……)や冷前綾子教授のほうに物語の焦点が動いて、どうにも吉野のキャラが薄れてしまった気がする……あくまで私見ではあるけれど。
因みに当方、吉野メイン長坂特捜で個人的にベストを挙げるなら長坂No.98「人妻を愛した刑事!」を推す。シニカルな結末が待ち構えるものの、独特のカタルシスが味わえる佳作であると思う。詳しくはその項で触れてみたいと思う――果たしていつの日になることやら(笑)。


No.14 (削除済)
No.13 (2000/01/12 02:02) title:いきなり飛んだのですか?
Name:ごーしー
Email:goshii@mx.tcp-ip.or.jp

>蒲生邸さん
見事な先陣、どうもありがとうございます。
それにしても、いいところをセレクトしてますね。
この調子でまた大暴れ(?)していただけるとうれしいです。

ところでKBSではいきなり1話を飛ばしたんですか!!!
やってくれるぜKBS。
でもホントになんで飛ばしたのでしょうね?
名古屋で飛ばされた話とKBSで飛ばされた話を比較して、再放送未放送作品リストを完璧にしようかなとか企んでいたのに、これではさっぱり分からんぞ・・・。
まぁともかく、これからも未放送作品の情報をよろしくお願いしますね。
感謝、感謝です。


No.12 (2000/01/12 01:56) title:長坂No.2 「爆破60分前の女」
Name:蒲生邸
Email:ZAP07546@nifty.ne.jp

本放送No.17 (脚本・長坂秀佳 監督・佐藤肇 助監督・青木弘司)1977.7.27放映

<あらすじ>
群馬でラジコン爆弾が使用された殺傷事件が発生した。日本財界首脳会議の妨害を企む一味の仕業によるものだった。彼らは首脳会議妨害を謀るべく、計画の手始めに特命課にラジコン爆弾を送り付けた――。

<私的解説>
輝ける長坂特捜爆弾シリーズの第一弾。この作品の成功をキッカケに、以後の長坂特捜作品に「バクダン(もしくはダイナマイト)」は欠かせぬアイテムとして作中に君臨することになる。また作中の「身動きが取れない神代」というモチーフは後の1980年の傑作「バリコン爆弾」前後編に直接受け継がれた。作品の出来、質などはリメイク版のバリコンシリーズのほうが纏まっているかもしれないが、元祖には元祖の輝きや面白さはやはりある。
長坂特捜をもっとも多く手掛けた演出家は天野利彦監督だが(全43本)、初期の作品(〜1978まで)においては佐藤肇監督とコンビを組む機会が多く、この作品がその第一作である。以後、「プルトニウム」前後編、夏子凶弾編、「ナイトインフィーバー」など珠玉の傑作は長坂・佐藤コンビの手から生み出された。


No.11 (2000/01/12 01:36) title:一話、飛ぶ!
Name:蒲生邸
Email:ZAP07546@nifty.ne.jp

↓でkamesanが書かれておられますが、早速KBSは再放送アウト作の誕生です。

No.1 「愛の十字架」――×

後日放送説の噂もありますが、多分私としてはこれは再放送不可の波にひっかかってしまったんであろうな、と思ってしまいます。そんなに内容的にマズイ作品とも思えないんですが。これから続々と待ち構える放送コードスレスレの作品群に比べたら(爆)。
次に危ないのは……「過去を撃つ女」あたりでしょうか?


No.10 (2000/01/11 22:02) title:飛びました。
Name:kamesan
Email:ri-fa@geocities.co.jp
URL:http://www.geocities.co.jp/Hollywood-Kouen/6316

第1話からして飛ばされました。
理由は何なんでしょう。
いろいろと考えられますが、この調子だとどれくらい飛ばされるか不安です。最終回まで行き着くのかしら。


No.9 (2000/01/10 01:56) title:長坂No.1「愛の刑事魂」
Name:蒲生邸
Email:ZAP07546@nifty.ne.jp

本放送No.7 (脚本・長坂秀佳 監督・村山三男 助監督・三村道治)1977.5.18放映

<あらすじ>
ある貧しい家庭の少女が行方不明になった。捜査に乗り出す特命課。家族の境遇に人一倍心を痛める高杉刑事――。

<私的感想>
記念すべき長坂特捜脚本第一作。長坂氏もこの作品に愛着があるのか、1986年に出版されたシナリオ集にもこの話が採られた。
今後乱れ打ちにされる長坂傑作群に比べると地味な印象を免れえない本作ではあるが、刑事の心情などきちんとツボを抑えた描写がされてあって(取材を綿密に行ったらしい)、丁寧に書かれた脚本であるといえる。
ちなみにこの時期の長坂氏のメインワークは「怪傑ズバット」だった(その他にもいろいろと作品を書いている)。「特捜」の脚本ローテーションを見る限り、この時期まだ長坂氏は「特捜」のメインライターではなかったようである。


No.8 (2000/01/08 18:55) title:長坂No.14 「新宿ナイト・イン・フィーバー」(1978.10.11放映)
Name:蒲生邸
Email:ZAP07546@nifty.ne.jp

本放送No.80 (脚本・長坂秀佳 監督・佐藤肇 助監督・小笠原猛)

<あらすじ>
暴力団同士の抗争で使用された拳銃が偶然の積み重ねから、ある一人の平凡なサラリーマンの鞄に知らず、紛れ込んだ。やがて拳銃の存在に気づいたその男は――。

<私的感想>
長坂特捜全109本の中でも、この作品は最も衝撃度の高い作品といえる。昨年「掌紋300202!」を見るまでは、この作品が私の中での特捜最高傑作だった。
人によっては今でもこの作品を長坂特捜ベストに推す人も多いはずたが、あまりに救いのない展開に拒絶反応を示す人もきっといる筈。好き嫌いははっきりと分かれるが、やはりこの作品は紛れもない「傑作」であるといえる。
全16発の弾の発射プロセスにはテロップが多用されている。後期の長坂作品にはテロップが多用される傾向があるが、初期作のなかではこの作品が最も多く使用されたと思う。そして、そのテロップ多用は物語の締め括り方にある大きな意味を持たせている。これも長坂氏の計算の一つなのではないか。
物語には数々の挿入歌が使用された。なかでも余韻を残すのが「この空を飛べたら」――「特捜」において音楽を効果的に使用する監督としてはこの時期より「特捜」演出陣のメインとなった天野利彦監督が印象深いが、本作では長坂特捜初期において数多くのコンビを組んだ佐藤肇監督が味わい深い演出を見せた。


No.7 (2000/01/07 04:46) title:長坂No.82 「特命ヘリ緊急発進!」(1983.7.6放映)
Name:蒲生邸

本放送No.320 (脚本・長坂秀佳 監督・辻理)

<あらすじ>
神代課長は偶然ある外国人の男を目撃した。気になった神代は男を追跡する。やがて男の身元が判明、彼の正体は殺し屋だった――。

<私的感想>
この作品は特命ヘリを主題にしているという点で「特命ヘリ102、応答せず!」の姉妹編といえる。番組後半にて特捜の長坂作品では珍しく「刑事VS犯人」の構図の銃撃戦を展開させたりするなど、アクションを重視した作品となった。怪しい魅力(爆)の中田博久氏もいい味を出している。尚、この作品の雰囲気を継承したのが「銃弾・神代課長撃たれる!」だと個人的には思っている。外国人の暗殺者、神代のメイン話、辻理監督作……ま、これぐらいしか根拠はないのだが。
長坂氏はこの作品を最後に12時間ドラマの執筆に入ったため、また「特捜」を半年間お休みすることとなる。次に帰ってくるのが長坂No.83「新春・窓際警視の子守歌!」。

……なんか、ワタシばかり書いてしまいましたが、みなさんもどんどん書いてしまってくださいねー。


No.6 (2000/01/07 04:33) title:長坂No.81 「一億円と消えた父!」(1983.6.29放映)
Name:蒲生邸

本放送No.319 (脚本・長坂秀佳 監督・天野利彦)

<あらすじ>
とある銀行内より一億円を持ち逃げして失踪されたとされる男……船村はその男の娘が、父親の無実を訴える場面をたまたま目撃、捜査を開始するが、状況は決して平坦なものではなかった――。

<私的感想>
船村メイン、そして絶対的にクロである容疑者の無実を信じて捜査する、「指紋」が物語の核心の決め手になる、演出が天野利彦監督……ということで、昭和55年「乙種蹄状指紋の謎!」をある程度意識した作品といえなくもないが、ストーリーは全くの別物である。本格ミステリーを痛烈に意識した作品で、全編見応えたっぷりだ。
尚、この話が長坂作品で船村メインの事実上最終作である(まあ「退職刑事船村」前後編という特別作はあるのだが、「船村刑事の捜査」を主題としたものは、やはりこの話が最後といえる)。


No.5 (2000/01/07 04:18) title:長坂No.80「不発弾の身代金!」(1983.6.22放映)
Name:蒲生邸

本放送No.318 (脚本・長坂秀佳 監督・藤井邦夫)

<あらすじ>
工事現場から何者かによって不発弾が盗まれた! 果たして犯人の目的とは――。
(↑って、あらすじこれだけ……)

<私的感想>
昭和五十八年の長坂秀佳シリーズ第二弾。この話を含め「掌紋300202!」「一億円と消えた父!」「特命ヘリ緊急発進!」全四本は全て質が高く話として大変面白く仕上がっている(無論、演出陣の天野利彦、田中秀夫、辻理、藤井邦夫各氏の力も見逃せないが)。
長坂氏はこのシリーズ四本で、それぞれ「特捜」の長坂脚本でこれまで扱ってきた得意テーマを一本ずつ主題としているような気がする。具体的には「掌紋」で父と子、「一億円」ではトリッキーな本格ミステリーな作風、「特命ヘリ」ではヘリを扱ったアクション主体の作品、そして今回の作品では長坂氏名物の「爆弾」だ。それも「不発弾」をネタにしてしまうのだから、さすがは我らが長坂氏である。
そして犯人役には西田健氏が登板。昭和五十二年の「プルトニウム爆弾」前後編にも登場した西田氏が登場しているので(長坂=爆弾)つながりで、ストーリー的には「プルトニウム」編のリメイク版と言えなくもない。
どちらが優れているか、といった話は横におくとして、シナリオ的には明らかに「不発弾」のほうが時間をかけられて執筆されたのでは、と予想している。西田氏演じる犯人の取調室での神代との対決は実に緊密なセリフ運びとなっている。
あと、この作品では「特捜」最多(?)の子役エキストラが動員されたと思われる……おそらく。


No.4 (2000/01/07 04:17) title:はっ、早い;
Name:ごーしー
Email:goshii@mx.tcp-ip.or.jp

>蒲生邸さん
早い〜。
↓を書いてるうちに早速やってくれましたねぇ。
先陣、どうもありがとうございます。
それにしても第1弾はやはり「掌紋300202!」ですか。
名古屋テレビの再放送では近日放送予定ですので、まさにタイムリー。
愛知の特捜ファンはこの回を逃してはいけません。
超お薦めのこの作品、お見逃しのないように。

ちなみに感想集のフォーマットは下の感じでイイ感じですね。
内容もナイス。
この調子でこれからもやっていただけるとうれしいです。
他の方も思い入れの強い長坂作品がありましたら、ぜひに。


No.3 (2000/01/07 04:07) title:いつのまにやら…………
Name:ごーしー
Email:goshii@mx.tcp-ip.or.jp

先を越されてるじゃん(笑)

突然ですが、「特捜最前線」の掲示板を開設しました。
現在、数多くの「特捜」関連の掲示板がありますので、今更・・・なんですが、こちらの掲示板では、長坂脚本作品全109本、全あらすじ&解説を目指す「長坂特捜109本(番)勝負」(笑)というものをメインでやってみようという訳です。
相変わらず無謀なことばかりしてます、このページ(爆)
ということで原稿募集中です。
この場で全109作品制覇したいですね。
なお、この場のネタは随時、別に新設するページにまとめて掲載する予定です。

>蒲生邸さん
早いですねぇ。設置して30分もたってないんですけど、早すぎ。
>他掲示板のT.Yoshikiさんに対抗して長坂特捜の作品感想を書くのも手ですかね……。
おおぅ、では早速上の109番勝負の件をお願いします(爆)
とりあえず先陣をお願いしたいですねぇ。最近ここの管理人、体力ありません(爆)書きたいネタは山ほどあるのに(涙)
>この掲示板に再放送状況(第×話、放映されず)を記すのも良いかもしれません。
それは、いいですねぇ。
関西方面の方、ぜひともお願いいたします。

それと特捜のページの「特捜最前線一口メモ 各エピソード編」の一口メモのネタもこちらで募集したいですね。
あのメモも全話記入を目標にしてますんで、一応。(無謀;)

この掲示板、だらしない管理人がネタ集めのために設置したのがモロバレのような・・・。(超爆)


No.2 (2000/01/07 03:59) title:長坂No.79 「掌紋300202!」(1983.6.15放映)
Name:蒲生邸

本放送No.317 (脚本・長坂秀佳 監督・田中秀夫)

<あらすじ>
特命課はある政治事件の不正の証拠が詳細に綴られた「さくらノート」なるものを探していた。そのノートの所在には政治家・城所徳永が一枚噛んでいると特命課は睨む。
やがて城所が人を使って「昭和30年2月2日」生まれの男を探しているという事実を掴む。特命課はこの男が、事件に関係あるのではと捜査を開始するが――。

<私的感想>
長坂氏が七ヶ月の沈黙を破り(というか、映画「小説吉田学校」「ゴルゴ13」のシナリオを書いていたのだが)、「特捜」に帰ってきた。番組の冠には華々しく「長坂秀佳シリーズ」と銘打たれた記念すべき第一作でもある。
シナリオ制作には実に40日もの日数がかけられた。当時長坂氏が「特捜」脚本制作にかける日数は一本につきだいたい5日〜15日ぐらいだったと聞く。それだけにこの作品に賭ける労力・意気込みは半端なものではなかった。結果、大変見事な傑作に仕上がった。あくまで個人的な感想だが、この作品が私の長坂特捜ベストとなった。
この作品には私は賞賛の言葉を惜しまない。まずこの作品は全編セリフに隙が無い。一つ一つの言葉が非常に緻密で、心に残る。そして、特命課・叶刑事の出生の過去が明かされるという「特捜」ファンにとっては堪らない趣向も盛り込まれたサービス精神旺盛な作品だ。「父と子」のテーマは「特捜」のみならず長坂作品のなかでは切っても切れないものだが、全編シリアスな雰囲気を漂わせつつ、緊張感を持続したまま話を展開させ見事に成功を収めた本作品……是非一人でも多くの方に見て頂きたい。
尚、長坂氏自身、この話には愛着があったのだろう、終幕三部作の「桜井警部補・哀愁の十字架」は、「掌紋」の展開を踏襲したストーリーとなっている。監督は「掌紋」と同じく田中秀夫監督。


No.1 (2000/01/07 03:32) title:いつのまにやら……
Name:蒲生邸

いつのまにやら、「特捜」の掲示板が立ち上がってますね。
しかし「特捜」は長坂さんの自他共に認める代表作。やはりこの作品の掲示板が誕生したのは喜ばしい限りです。

関西地方では2000年1月11日より、KBS京都系で再放送が始まりますので、この掲示板に再放送状況(第×話、放映されず)を記すのも良いかもしれません。あと、当方は最近になって特捜の長坂作品全109本を全てチェックし終えたところなので、他掲示板のT.Yoshikiさんに対抗して長坂特捜の作品感想を書くのも手ですかね……。

といったわけで――。


[No.1〜100] [No.101〜181→]

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