どうも、事務屋青龍です。
タイトル通り11月14日から再開されました。
ぜひこのまま順調に最終回まで放映してほしいものです。
はじめまして。
私の職場の先輩が学生時代に特捜のエキストラに出演したそうです。そのときの記憶が
1.警察署で立ち番している制服警官の役
2.ロケ現場に長門博之と桜木健一がいた
3.刑事から拳銃を手渡された
ということで・・・
話の内容から先週CSで放送された、「警視庁窓際族!」ではないかと思いビデオをみせたところ大正解でした。
城西署の玄関前でのシーン以外に、蒲生刑事が逮捕されるシーンも新宿でその日に撮影され、日給は6000円だったそうです。
当時としては結構な金額だったそうですが、一日拘束されてさすがに疲れたといってました。また、ロケではパトカーはサイレンを鳴らさないことを知ったと教えてくれました。
どうも、久々に参上の事務屋です。
…タイトル通り「恐怖のタクシードライバー!」を最後に9月いっぱいで打ち切られました。なんと中途半端なところで!
で、後番組は藤田ま○と主演の…刑事ドラマなら全部同じだとでも考えてるんでしょうか、IATの担当者は。
早期再開を心から望んでいる今日このごろです。
なんか5分くらい切れてたので、まだ捜査中だってのに録画終了…プロレスめー!!
長坂先生の脚本4連投も前半2本見逃すし、特捜運は最近悪いなあ…
ZAT様
先日、送金したら、一週間もしないうちに到着しました。
「映画芸術」。いやぁ、編集部の皆様の迅速な対応に感謝です。
大原清秀氏の「吸血鬼ドラキュラ神戸に現る」や(今年地元で放送)、高久進氏の「吸血鬼ゴケミドロ」や「キイハンター」のオカルト編の回想等、とても楽しめました。
ただ、フィルモグラフィーで、『キャプテンウルトラ』劇場版は、正しくは第2話と第5話(この本では1.2話と記載)の編集であったり、
『ぐるぐるメダマン』の「妖婆の森の学芸会」が記載漏れでしたが、『メダマン』の詳細迄は流石の「映画芸術」スタッフ迄チェックは出来ないか…。
>T.Yoshikiさん
私は確かに特撮オタクですがZATというのは本名の一部で
特にタロウ・ファンではありません。(現在部屋に不二家の
「ウルトラ怪獣大決戦」のオマケのタロウ人形(キックしてる奴)を
飾ったりしてますが(笑)
特撮といえば『特捜』に造詣の深い評論家の切通理作さんが「別冊宝島・怪獣学入門」に書いた評論をアンケート・ハガキで絶賛したところ『怪獣使いと少年』が出版された時にワープロ打ちですがお礼状をもらってビックリしたことがあります。
阿井作品では154話『オルフェの歌った演歌!』ですね!
実は当時特番で『特捜』が潰れると民放2局のわが県では9時からは
テレ朝の番組を放送していない関係で、10時からは『特捜』の再放送
という今考えたら贅沢な編成をしていて、その再放送で観たのがこれ!
黒人俳優さんが吹き替えだし、子役時代は日本人が黒塗りしてるし、
ツッコミどころは多いですが泣ける作品です。吉野が嘆くように言う「ニッポン人!?」というセリフが忘れがたい。ちなみにタイトルのオルフェがコクトーの『黒いオルフェ』から来ていることに気が付いたのはつい最近です。
>大吉GUY
『新宿ナイトインフィーバー』懐かしいですね!『特捜』が始まった当時は私は中学生だったこともあり初期の作品は記憶が曖昧なのですが、この作品でトラボルタのコスプレをした赤塚真人の姿はいまだに脳裏に焼き付いて離れません。できればもう一度観たいものです。
(ちなみに当時の友だち同志の話題はもっぱら「西田敏行が『特別機動捜査隊』の後の番組で刑事役やるんだってよ!」ってことでしたね。当時は役者業むしろバラエティで人気で、今でいえば出川哲郎がシリアスな刑事役やるくらいのインパクトはありました)
最後になりましたが青木義朗さんのご冥福をお祈りします。(『特捜』にゲスト出演してましたかねぇ?)
大原氏なら107話「射殺魔・1000万の笑顔を砕け!」(佐藤監督作品です)がなんと言っても最高です。これぞ特捜!の後味の悪さ。必見の傑作。
阿井氏はあんまり印象に残った作品がない・・・強いて言えば津上が吼える122話「痴漢になった警官!」かなぁ。でも佐藤監督とのコンビ作品って無いような気がしますが。
ちなみに長坂&佐藤作品では50,51話凶弾前後編もさることながら80話「新宿・ナイト・イン・フィーバー!」なんてのも忘れがたいです。
佐藤 肇監督と言えば、私は中学生の頃買った「STARBOYエクストラNO.1・日本SF映画大集合!!」という本
(笠倉出版刊「ウィンクル」という雑誌の'79年6月号増刊)に収録されていた、SF評論家の児玉数夫さんと
佐藤監督の対談記事を読んで以来「日本SF映画監督の重鎮的存在」(そう紹介されていた)として、
そのお名前を意識するようになりました。
日本の怪獣映画では『ゴジラ』には感銘を受けず、むしろ『モスラ』に感心したという佐藤監督の意見が
どこか自分と共通する部分が有ったんです。「女性が悪魔にとり付かれたら『エクソシスト』みたいに
醜くはならない。むしろ、もっと美しくなるはずだ」というお言葉も、非常に面白いと思いました。
佐藤監督+長坂さんコンビの『特捜』では、私は何と言っても第74話「死体番号044の男!」、
第86話「死んだ男の赤トンボ!」の2本が好きです。
>ZATさん
「ZAT」って『ウルトラマンタロウ』に登場する防衛隊の名前ですよね? ひょっとして『タロウ』のファンですか?
あの番組では、『特捜』にも参加されてる大原清秀さんや阿井文瓶さんがドラマチックな話を沢山お書きになっていますよね。
例えば大原さんが「牙の十字架は怪獣の墓場だ!」「血を吸う花は少女の精」(この2本は木戸愛楽≠フペンネームで執筆)、
「あぶない!うそつき毒きのこ」「幻の母は怪獣使い!」、
阿井さんが「僕にも怪獣は退治できる!」(これが阿井さんの脚本デビュー作!)、「木枯し怪獣!風の又三郎」、
「ひきょうもの!花嫁は泣いた」「母の願い・真冬の桜吹雪!」「怪獣を塩漬けにしろ!」などなど、
スキャンダラスなタイトルがどことなく『特捜』風!?
ところで、このお二人が書いた『特捜』の代表作というと、どの話になるのでしょうう?
どなたか、「これは!」っていうのがあったら教えて欲しいです。
ZAT様
小生も佐藤肇監督のファンで、『キャプテンウルトラ』『キイハンター』のオカルト編が特に好きです。
「映画芸術」特集号、これは知りませんでした。
これは即効探さなきゃ。
それから、佐藤監督のポルノ小説翻訳の件ですが、以前平山亨さん
(『キャプテンウルトラ』をはじめ『仮面ライダー』等特撮作品の
プロデューサー)がおっしゃってたのは、「あの人は語学に堪能な
んだよね」との事で、晩年はそのお仕事もやっていらしたそうです。
その時「最近あってないんだよね。あいたいねぇ」とおっしゃった
数ヶ月後に亡くなられたそうです。
晩年は、監督業よりも、前述の翻訳や文筆の方面の活動が多かった
のですが、後年活躍する小林義明氏(宇宙刑事や戦隊物)や村石宏實
氏(ウルトラマンティガ〜ガイアの監督)、脚本家塙五郎氏(本名館
野彰)も佐藤監督の薫陶を受けて育ち、日本の映像世界の向上に貢献
した事は忘れてはならないでしょう。
どうもすみません。好きな監督故長々と……。
ZAT様
小生も佐藤肇監督のファンで、『キャプテンウルトラ』『キイハンター』のオカルト編が特に好きです。
「映画芸術」特集号、これは知りませんでした。
これは即効探さなきゃ。
それから、佐藤監督のポルノ小説翻訳の件ですが、以前平山亨さん
(『キャプテンウルトラ』をはじめ『仮面ライダー』等特撮作品の
プロデューサー)がおっしゃってたのは、「あの人は語学に堪能な
んだよね」との事で、晩年はそのお仕事もやっていらしたそうです。
その時「最近あってないんだよね。あいたいねぇ」とおっしゃった
数ヶ月後に亡くなられたそうです。
晩年は、監督業よりも、前述の翻訳や文筆の方面の活動が多かった
のですが、後年活躍する小林義明氏(宇宙刑事や戦隊物)や村石宏實
氏(ウルトラマンティガ〜ガイアの監督)、脚本家塙五郎氏(本名館
野彰)も佐藤監督の薫陶を受けて育ち、日本の映像世界の向上に貢献
した事は忘れてはならないでしょう。
どうもすみません。好きな監督故長々と……。
初めまして。いや〜こんな素晴らしい掲示板があったとは・・・。感激です。
ところで『特捜』で佐藤肇監督といえば後半の大原清秀さんとのコンビが有名ですが、佐藤監督が亡くなった時に「映画芸術」誌377号で『知られざるカルトの鬼才』と題した追悼特集が組まれています。(佐藤監督は毎年東京ファンタの全作品を観てレビューを書くという偉業を成し遂げてました。ちなみにビル・デューク監督の潜入刑事もの『デイープ・カバー』を絶賛してました。)
この中で脚本家桂千穂さんと高久進さん(『ゴケミドロ』の脚本家)と大原さんが追悼対談を行って『特捜』の話もしてます。
要約すると−
@佐藤監督とはプロデューサーの深沢道尚さんの紹介で組むことになった。
A初コンビの『強奪!花のスーパーヤング』の時は、老人問題をやりたいという大原さんに「僕は乗らないけど、君がやりたいのなら書きたまえ」と言われ、ストーリーを書くと「そりゃ、面白い、いけるぜ」と佐藤監督も乗った
Bなぜ信頼されたのか?という桂さんの問いには「分からない。こればっかりは、分からない」「佐藤さんは趣味性が強く、モノマニアックなところがある(中略)登場人物の中にモノマニアックな人物を出すのが好きなんですよね。強いていえばそういうことかな」とのこと。
C当時、桂さんが「あんなに(大原さんを)拘束していいんですか?」と訊いたら、佐藤監督は「いいんだ。脚本料も余分に出るようにオレが交渉してるんだ」と威張っていた。
D大原さんによると佐藤監督に脚本を急かされたことがなく、仕事は楽だった、とのこと。大原さんはさすが東条英機の甥と思ったとか。
(ちなみに佐藤監督は東条英機の甥で満鉄の理事の息子とのこと)
また佐藤監督の知られざる趣味にポルノの翻訳があり(出身大学は慶応だが学部は経済なので英語は個人的に得意だった?)で
『特捜』撮影中にスタッフの一人が佐藤肇訳のポルノ小説を見つけて「同姓同名でこんな本を出している奴がいます」と御注進におよんだ時「それは俺だよ」といったら、スタッフが腰を抜かした・・・
というエピソードを交友のあったフランス書院の編集者の方が追悼文の中で紹介しています。
以上長くなりましたが参考までに。
ちなみに『映画芸術』のバックナンバーの在庫に377号があるので、興味のある方は直接編集部に申し込むと入手可能です。(追悼特集は22ページで映画・TVの詳細なフィルモグラフィもあり(映画のみスチール写真あり))
郵便番号160−0004東京都新宿区四谷4−30黒坂ビル3F
映画芸術BN係 ナンバー・冊数・住所・氏名・電話番号を明記して
現金書留で。代金は1500円+送料1冊310円とのことです。
(別に私は「映画芸術」の回し者ではありません)
>KBS京都スキップNo.15
No.154 「オルフェの唄った演歌!」――飛びました。
相変わらずしゃれにならないほど遅いレスで、まったく情けない管理人であります;
>蒲生亭さん
とうとう全109本完結させてしまいましたね。
凄い!本当にお疲れ様でした。また、他の作品とかお願いしますね(爆)
たとえば「刑事くん」とかいかがですか?(さらに爆)
私もなんとか他の作品のあらすじ・解説とかをやらねば・・・。
ということで、とりあえず「アクマイザー3」をスタート。
ペースはかなり遅いと思いますが、CS放送中ということで、CS組で盛り上げようという企画の一つであります。
で、いずれは全長坂作品(連続TVドラマ)あらすじ・解説達成をと思いますので、皆様ぜひぜひご協力を。
とてもひとりではあの膨大な作品の数々をまとめることは到底不可能だと思いますので、原稿を大募集します。
だれか、この作品ならあらすじ・感想(他、作品のデータ等とかも大歓迎)等書きたいなという方がいましたら、ぜひぜひ。
メール、掲示板、なんでもかまいませんので・・・ということで、よろしくです。
>Codaさん&ひよにゃあさん
Codaさん、はじめまして。
ひよにゃあさん、じゃんじゃん宣伝してやってください。(笑)
>森川 由浩さん
名古屋テレビといい、KBSといい、欠番が多すぎますね、まったく。
どういう基準で飛ばされるのかまったく不明な話も多いです。
このHPの特捜のページで再放送で飛ばされる作品のリストを一応まとめてますが、いまだ理由不明なものが多いです。う〜む。
Codaさま
はじめまして。俳優・横光HPのひよにゃあと申します。
横光さんは議員になられて7年になるのですが、今期からテレビ中継が
される予算委員会の委員になられたので、これからも予算委員会があれ
ばテレビで活躍されている様子をみる機会が多いと思います。
でもって、横光さんについてのことでしたら、よろしかったら是非、
横光HPの掲示板にも遊びにおいでくださいませ。議員としての横光さんについてのコメント、大歓迎しておりますし、掲示板を通じて横光さ
んの方に書き込まれた皆さんの感想など、お伝えしております。
中津の後援会事務所にいらしたことがおありとか(^^)。しかも、横光さ
んの後輩さんというのもポイント高いですね。是非是非、書き込みにい
らしてくださいね。
ごーしーさん、宣伝しちゃってごめんなさい(^^;)。
はじめまして。
現在特捜再放送中の県に在住しております。
結構長い間ここのHPを眺めてはいたんですが、書く内容がなかった
ので、ずっとROMってました。
で、今回書きこもうとしたきっかけは…
『横光克彦氏、衆議院予算委員会で代表質問』
議員になってからの横光氏を見るのは初めてだったんですが、紅林の
頃とほとんど変わってなくてビックリ。
「高校生の1番なりたくない職業は政治家」という企業のリサーチ結果を元にして、「俳優時代も、政治家が黒幕というドラマが多かった」と
いう発言が。森首相に結構噛み付いてました。
ただ、「更迭」を「こうそう」と読んでたのは…忘れるべきでしょう
か??(^^;。そういえばこの方の後援会事務所を、中津に行ったときに見ました。あと、こないだの衆院選の当選者プロフィールで、初めて私と同じ大学出身という事を知りました。中津から大学に通っていた後輩が、「文化祭で横光を呼ぼう」とか言ってたのはこういう理由だったのか、と納得。
「長坂ファンのための掲示板」に書くべき内容だったのかと迷いながらも書いてしまいました。いいんかいな。
ここの掲示板に見合った人間かどうかわかりませんが、しばしばお邪魔しようと思っています。
では。
>メリーさんの羊さん、ひろこさん
当方如きにわざわざ有難いお言葉……誠に痛み入ります。ありがとうございました。
ようやく終りました、「長坂特捜109本勝負」――約半年間に亘り、ごーしーさんの特捜掲示板を一人で殆ど不法に占拠して(爆)勝手に連載を開始。文章は支離滅裂、内容は意味不明の箇所もあり、推敲も徹底せず、誤字脱字のオンパレード……それでも、これまで長坂特捜全作品を網羅したレビューはかつてなかったのではと思い、とりあえず自分なりに是非やってみたかった企画であったのです。また同時にこれらの書き込みは、私のストレス解消法でもありました(笑)。
とりあえずこれにて私のぶんは完結……私以外の長坂特捜フリークの方のご参戦を心から願う次第であります。
今、とある女優さんのサイトを見てましたら、名古屋TVの『特捜』再放送、本日(7/31)放映予定の422話「姑誘拐・ニッポン姥捨て物語!」が欠番になったそうで。
高齢化社会を迎え、介護問題が叫ばれる中、こうした作品も放映出来ないとは……。
蒲生亭さん>
こちらでははじめまして。
とうとうおわりましたね。
わたしもちょくちょくのぞいては
みていました。
(↑ひらがなばっかりでごめんなさい)
いや、109本全部かかれるなんてすごいですね。
私も、HPでこちょっとはかい
てますが最近挫折しそうです。(笑)
それでは!
>蒲生亭さん
長坂特捜全作レビュー達成、おめでとうございます&お疲れ様でした。
毎回、楽しみに読ませて頂いてました。自分のような不精者にはとても
真似ができないです・・・。蒲生亭さんの文章で新たに発見させられた
事なんかもあったりして、自分以外の人の観点というものを興味深く
見せて頂いた感じです。
>長坂氏のシナリオ通りに映像化されていたら、と悔やんでも悔やみき
>れないポイント
シナリオ集2冊読んだだけでも、そういうのってあります。「子供の
消えた十字路!」でもちょっとだけありましたが、「爆破60分前の女」「津上刑事の遺言!」の2作は「なんでシナリオ通りにしてくれなか
ったんだあ」と今も思う箇所があって、傑作は傑作なんだけど、どうも
割り切れない思いが残ります。
本放送No.508<最終話>(脚本・長坂秀佳 監督・宮越澄 チーフ助監督・竹安正嗣 助監督・三好雄大、保坂直輝)
<あらすじ>
上岡巡査の殺人、また桜井正規弁護士の行動がきっかけとなって特命課は新宿東署内の強制捜査に着手した。結果、新宿東署の腐敗の構図が明るみに出て、大量の署員が摘発を受けた。だが、キャリア組の署長・銀城の処分は諭旨という形式的なものだった――逆に特命課の捜査が行き過ぎではないかとの警察上層部内での批判が巻き起こり、課の長である特命課・神代恭介警視正が査問会に呼び出された。そしてその後特命課解散、神代課長解任との噂が流れ出した――。
やり場のない怒りを抑えることの出来ない特命課の面々。すると課に神代が戻ってきた。だが様子がおかしい。神代は橘や桜井達には目もくれず、ロッカーから拳銃を取り出すとさっさと特命課を飛び出していくのだった……直後、神代は新宿東署を襲撃し、銀城署長を殴り飛ばしたとの知らせが! 神代の目的は一体……?
<私的解説>
終幕三部作完結編は十年もの長きに亘った「特捜」の歴史に終止符を打つ作品で、そしてこれまで数々の傑作を世に送り出してきた「特捜」メインライター長坂秀佳氏にとっても当然、ラストの作品となる。長坂氏にとって「特捜」109本目の作品。
三部作ラストの主役は当然、番組全体のメインの神代に巡ってきた。「哀愁の十字架」の中盤以降で浮上してきた”警察内部の悪”に対する神代なりの挑戦が本作ではメインプロットとして描かれる。重い社会派テーマを長坂氏がどういう切っ先で料理しているのかに要注目。また終幕三部作各ブロックは、過去の長坂特捜作品での元ネタが存在しているが、本作の「怒り、暴走する神代。無茶苦茶な行動。誰もが神代の常軌を逸した行動に戸惑う。しかしそれらの行動には意味がある。で、最後にやっぱり無茶をする神代」という内容はどう考えても昭和53年の「夏子凶弾編」を痛烈に意識したものだと思われる。作品中盤には神代夏子の墓前を神代が訪れ、生前の夏子や射殺時の夏子を回想するシーンがあった。また回想といえば、特命課現メンバーの活躍場面、元メンバーの殉職・退職シーンも用意されていた――最終回に相応しく、それぞれのキャラクターの躍動感が凝縮された映像の数々は、いよいよ本当に「特捜」の終りを改めて予感させるのである。
閑話休題。
さて実は当方、今年になってひょんなことからこの「神代警視正・愛と希望の十字架」のシナリオを読むという貴重な機会を得た。改めて言うことでもないが、「特捜」に限らずあらゆうテレビドラマは、シナリオと完成作品は当然別物である。シナリオ通りに映像が仕上がるケースなど稀で、これまでの数々の長坂特捜作品においても脚本と映像の差異はかなり見受けられる。しかしこの作品、「神代警視正・愛と希望の十字架」に限っては……その差異について特に二点、記しておきたい。長坂氏のシナリオ通りに映像化されていたら、と悔やんでも悔やみきれないポイントが二つ、存在する。
@ 高杉と幹子――これは以前からネット上でもかなり有名な話かもしれないが、特命課元メンバーの回想録には西田敏行氏演じる高杉陽三刑事の姿が何故か、ない。長坂氏のシナリオにはちゃんと「高杉」の指定はある。だが、高杉の代わりに映像では関谷ますみ氏演じる高杉幹子婦警の退職シーンがあった。少なくとも長坂氏のこれまでのシナリオのト書きでは幹子婦警は「幹子」と称されているので、これは明らかに「高杉」と「幹子」をとり間違えた演出サイドのミスではないだろうか。確かに監督・ブロデューサー共に「特捜」への参加は高杉退職以降であるので、そもそも高杉の存在を把握していなかったかもしれない。ただ幹子婦警の回想はシナリオに指定はなかったが、挿入して正解ではあったと思う。幹子は在職年数ナンバー1の婦警で、番組に対する貢献も計り知れないものがある。ただだからといって、高杉刑事の回想が抜けてしまったというのはどうにも;
A 神代、娘を想う――ラスト近く、崖に車をパークし、カメラに向かって一人語る神代の場面は本作でも屈指の肝となるシーンだ。そしてやがて犯人の乗った車が近づいてくる……長坂氏のシナリオではここで、神代の「ふしぎなものだ……こういていると、死んだ娘のことしか思い出さない」と亡き娘・夏子に対する切ないモノローグの指定がある。そして神代と夏子の回想場面の指定もあった後、「夏子……もうすぐお前のところに行く」という神代の感動的な台詞が用意されていたのだった!
――しかし、本編をご覧になればお分かりのように、そんなシーンの片鱗すら窺えないし、余韻すらない。本作が「夏子凶弾編」の内容を意識している以上、このシーンの下りのカットは誠に惜しまれる。ラスト直前のクライマックスに向けて、テンションが最高潮に盛り上がる、格好の長坂氏渾身の語りであると私は思ったものだが。
で、話を元に戻しますと。
――物語が最終局面に差し掛かると、後期長坂特捜のキーマンだった西岡刑事の意外な正体が明かされる。これまでの西岡の(怪しい・悪そう→でも実は良い人)という過去のパターンから察すれば、本作での西岡の位置も見る者は自ずと見当はつくはずのだが、私はすっかり騙されてしまった。長坂氏の筆がスリリングかつ、巧妙であるからこその、これも一つのトリックであった。氏が本作に仕掛けた企みは油断極まりない。緻密な台詞の数々や構成の妙はいうまでもなく長坂節だった。終幕三部作は野心的で挑戦精神溢れる作劇だったが、長坂特捜ファン並びに特捜ファンも納得の質の高い作品群ではなかっただろうか。
――感動の大団円のシーン。ラストの特命課の始まりを予感させる、新たなる旅立ち。神代の感無量の表情……「完」マーク。
全509本(特番含む)「特捜」のうち、長坂氏は全体の5分の一以上を占める109本もの作品を執筆した。無論「特捜」には長坂氏以外のライターも数多く参加し、見事な傑作・佳作を世に送り出している。しかし長坂氏が「特捜」を代表する名脚本家の一人であることはやはり間違いのないところであろう。
長坂特捜の数多くの傑作群は時代を越えて、今も多くの視聴者やファンを心を掴んで魅了し続けており、その面白さはいつまでも色褪せずに輝き続けている……と最後は綺麗(?)に纏めてみました;
『「特捜最前線」終幕――』
本日、バスで東京・渋谷付近を通りかかりました所、
『特捜』で「警視庁特命課があるビル」(二代目)としてレギュラーで使用されていた、
あの「東邦生命ビル」が改名したという事実を発見いたしました。
(ビルの名前の所が垂れ幕≠ナ隠されてて、そこに「名前が変わりました。ヨロシク」云々といった文面が書いてあったのです!)
その名も、「渋谷クロスタワー」! クロス=「十字架」とは、何だか出来すぎた名前だと思いませんか!?
(きっと本当は「場所が交差点に位置するから」とか、そういった意味なんでしょうけどね・・・・)
本放送No.507(脚本・長坂秀佳 監督・田中秀夫 助監督・宮坂清彦)1987.3.19放映
<あらすじ>
柏山不動産女社長殺しは尾崎ではなく、新宿東署警邏課本庁交番巡査・上岡の犯行だった。上岡巡査は、不動産業という表の顔とは別にモグリで金貸しをしていた柏山に100万の借金があった。柏山の留守中に出来心で借用書探しをしていたところ、その現場を目撃され、頭に血が上った上岡は女社長を突き飛ばしたのだった……。
だが殺しについては認めたものの、それ以外の話になると上岡は黙秘を通し、特命課・桜井哲夫警部補らをてこずらせるのだった。まだこの事件に関しては二つの疑問が残っている。@なぜ上岡は100万の借金の必要があったのか、Aホンボシの上岡しか知らない事実をどうして尾崎が知っていたのか――これらの謎が解明されない限り、まだ事件は終りを迎えられない。
更に取調べを行おうとした矢先、上岡の担当弁護士が特命課に訪れた。その人物は法曹界の重鎮・桜井正規弁護士で、桜井警部補の父親であった――驚愕する桜井。意外なる大物の出馬は、この事件がただの巡査の殺人事件ではない事を予感させる。特命課刑事たちは桜井の指示の元、桜井弁護士の足取りを追っていった。やがて、事件は予想もつかない方向へと走りはじめていった――。
<私的解説>
終幕三部作第二作目は前作の橘から、桜井が主役を引き継いでいる。そのあたりの事情説明も、前話の上岡巡査による殺人でまだ解決されていない謎を冒頭で示し視聴者に改めて謎や興味を喚起させた後、桜井の父親である正規弁護士が登場して、本作の主役が桜井である事を知らしめて――と非常にスムーズな流れで、冒頭のサブタイトルテロップまでに凝縮して語られる。長坂氏は冒頭部にこだわる作家だが、視聴者の”掴み方”はさすがにうまい。
さて本作は、桜井親子の関係図がある一つの事件を通してどのように変遷していくのかがポイントなのだが、それと同時に日本の警察機構が抱える問題点・矛盾点にも果敢にメスを入れようとする長坂氏のチャレンジャー魂が冴えている。警察キャリア官僚の存在や、警察内部の不祥事といったテーマは昨今の日本で大問題となっている事項だが、これらの問題を既に13年前に長坂氏は社会派テーマとして問題提起している。氏の先見性のある筆さばきにはただただ感服する次第である。そういった重い内容の作品ではあるものの、当然本作はエンターテイメントであって、長坂氏もその辺り抜かりなく、名台詞を要所要所で惜しみなく配置した、小気味良いストーリー展開であることは言うまでもない。また、”悪徳弁護士”そのものとして描かれていた正規弁護士が、その些細な言動の数々から、やがて彼の本当の目的や心が次第に浮き上がっていく展開は、かの長坂特捜殿堂入りの名作「掌紋300202!」を意識したのではと思う(終幕三部作は長坂氏が各話、それぞれ母体となった話を下敷きにして書いているのでは?)。――桜井の深い哀しみが心に痛む手錠の場面、ラストの公園での会話など、最後まで目が離せない、実に緻密な作品。本作のシナリオの完成度は恐ろしくレベルが高い。
そしてその見事なシナリオに、重厚な演出で応えたのは「特捜」では久々の登板となった田中秀夫監督。「特捜」の演出本数自体はそんなに多くないが、長坂特捜ではこれまで「掌紋300202!」「東京・殺人ゲーム地図!」といった超傑作を手掛けてきた。この終幕三部作当時、田中監督はフジテレビの「スケバン刑事」シリーズに参加していて、南野陽子主演の劇場版「スケバン刑事」の撮影を終えて編集作業を終えた直後とのこと。「掌紋300202!」を意識した作品の演出もということで「掌紋」を手掛けた田中監督に依頼があったのだろうか? それはさておき、田中監督は細かなカットの積み重ねでドラマを描くテンポ良い演出が特徴だが、本作は映画を取り上げた直後のせいか長回しの映像も目立っている。とはいっても一定のリズム感が巧く醸し出されたと良い意味でのメリハリの利いた演出はさすがで、ベテランの貫禄を見せつけた堂々たる演出ぶりだった。特に桜井の運転する車が父親の車を追いかけるラストシーンは絶品で、おそらく脚本の指定であったとは思うけれど、巧みに映像化した素晴らしいカットだ。脚本と演出が高いレベルで見事に調和した本作が、個人的には終幕三部作のなかではもっとも好みである。
……しかし物語はまだ終らない。特命課が真に対決するのは、警察そのものである。この複雑な問題への神代なりの挑戦が終幕三部作完結作品のテーマであり、「特捜」終幕への鍵となる。
終幕は目の前に近づきつつある。
『「特捜最前線」終幕まで――あと1回』
KBSの「脱走爆弾犯を見た女」、録画漏れしちゃったのかなぁ・・・
10年近く前に3倍速で録画していたテープが痛み始めてきたので 今回のKBSの再放送で
全話とまではゆかないまでも 可能な限り標準で録画しておこう・・・という目論みが脆くも・・・
結局 昔のテープでも消せなくなったものがのこってゆくのでした。嗚呼!
本放送No.506(脚本・長坂秀佳 監督・宮越澄 助監督・竹安正嗣)1987.3.12放映
<あらすじ>
新宿東署にたまたま立ち寄っていた特命課・橘剛警部は、管内で発生した強盗殺人事件の犯人・尾崎の逮捕に立ち合った。尾崎は日本各地で発生し、いまだ未解決のままだった六件の強盗殺人事件についても犯行を自供した。だが、橘は柏山不動産女社長殺しに関する尾崎の犯行については疑問を抱いていた。さしたる根拠は特になかった。だが、長年の刑事生活に裏打ちされた勘が、女社長殺しだけは尾崎の犯行ではないと橘に訴えかけている。――所轄署の迷惑も顧みず、橘は一人捜査に黙々と没頭していた。
しかし橘は最近、長年一緒に同居していた長男・信一が橘と別居中の妻のいる長崎に帰り、また妻から離婚届が送られてきたりと――捜査以外の家庭の問題にもいろいろと頭を悩ませていた。
そんな折、長崎にいるはずの橘の次男・健二が、新宿で暴れて警官に逮捕されるという知らせが特命課に舞い込んできた……。
<私的解説>
「特捜」史上最大の作戦・いよいよ長坂秀佳終幕三部作のスタートである。終幕三部作は各々「特捜」で長年中心メンバーとして活躍してきた神代・桜井・橘の名を付し、それぞれ彼らがどういった十字架を背負っているのかを象徴させてみせる印象深いサブタイトル群である。
終幕三部作最初を飾るのは橘。本作の大まかな筋立ては長坂×橘編で名作と名高い「虫になった刑事!」をある程度踏襲していて、絶対的にクロの男の無実を橘だけが信じ、一人捜査に打ち込むという構図が相似している。また本作では、長坂脚本ではこれまで「死体番号044の男!」のみにおいてかすかに触れられていた、橘と息子のエピソードにも鋭く、深く踏み込む目的も持合せている。結局、「死体番号――」は展開が事件中心となり、息子との問題はほとんど収束されないまま終ってしまっていて、その後の長坂特捜では、橘の家庭問題には殆ど触れられていない(ただ「虫になった刑事!」にて容疑者の予備校生の無実を信じる橘に神代が「(容疑者が)息子さんに似ているのか?」と尋ねるシーンがある)。だがようやく本作において、「死体番号――」にて披露された消化不良の父と子のエピソードを、「虫になった刑事!」の衣を纏いつつも解答を出す――時が訪れたのだ。実に9年ぶり、大河的ドラマな展開。長坂氏の奥深い計算が何となく伺える興味深い筋立てだ。
長坂氏はこの話で、橘の息子に対する父親の思いを実に深く、濃く、丁寧に描写してみせている。長坂氏が年齢的に最も近しい特命刑事は橘なのだが、やはりそれだけに気合いが篭ったのだろうか。長坂氏永遠のテーマ「父と子」を改めて実感させる充実の内容である(この三部作のなかでは、本作が最も「父と子」のテーマを強く実感できた)。緊密な台詞運び、橘の息子と紅林・叶との絡みなど物語の計算もぬかりなく、一級の人間ドラマとして堪能できること請け合いだ。また人間ドラマの魅力だけでなく、長坂氏お得意のトリッキーなアイデアも満載。特に特命課刑事が、複数のモニターカメラを駆使して真犯人を指摘する場面は長坂氏ならではの冴えを見せた。
といったわけで、橘は尾崎の内一件の強盗殺人だけは無実である事を証明できた。嗚呼、めでたしめでたし……とは終らないのが終幕三部作の油断の出来ないところ。ラスト近くの神代と桜井のやりとりのなかで、事件は解決してもまだ謎は残っていると、視聴者にそれとなく知らしめた。――終幕三部作は各話独立しているのではなく、それぞれ関連しているのだと暗に仄めかしている場面だ。やがて話が進むごとに徐々に謎や闇は拡大していき、主役はリレー方式でバトンタッチしていく――長坂氏は最後の「特捜」で実に野心的で挑戦精神に溢れる壮大な試みを目論んでいたのだった。……素直に長坂氏に脱帽である。まさに「特捜」史上最大の作戦! ……事件はこの後意外な方向へと発展していくのであった。
――さて、本作のラストでは橘と息子達のあいだに、ある一定の和解が成立する。ラストの夕焼けの丘で歩く橘を息子達が追いかけるシーンは、かなりの余韻と感動を見る者に残した。ひとまず特命課・橘剛警部の十字架の物語は決着を見せて、終幕三部作第一の物語は幕を閉じた。
『「特捜最前線」終幕まで――あと2回』
いつも蒲生亭さんのストーリー紹介楽しみにしています.
で、ここのOP紹介で気付いた事が1つ。
神代課長のOP映像、131話か132話で1度変わったような気がするのです(それまでは部屋で電話を取るシーンでそれ以後は空港で車から出てくるシーン)。
みなさん、はじめまして。
4〜5月まで「特捜最前線」が新潟でも再放送
されていたのですけど、(1話から放送。でも、話はとびとび)
名古屋や、京都みたいに長く続かずに残念でした。
現在は「ファミリー劇場」でしか放送が観られず、
西田 敏行の高杉刑事の活躍が観れなくなったのが
非常に残念です。
それに、もう少ししたら「ファミリー劇場」でも
船村刑事が1回、退職してしまう。
何故。こんな素晴らしい作品をすぐに再放送を
終わらせたんだ。新潟テレビ21よ!
>HATAさん
いや、KBSは「脱走爆弾犯を見た女!」は飛ばなかったんですよ。正直時期的には、内容は「誘拐」よりも差し障りがあったのではという気もしていたのですが。
それはそうと、昨日は「殺人伝言板・それぞれのクリスマス!」だったのに、本日のKBSは津上殉職編が放送されていたようで、またもや一気に二本も飛んでしまいました。
『KBS京都スキップ第13弾・第14弾』
No.144「ヨーコ・二人だけの新春哀歌!」
No,145「凶器が歩く街!」
――巨人軍の王貞治選手の背番号並みの永久欠番指数を誇る「ヨーコ」はさておいたとしても、まさか「凶器」までが飛ばされてしまうとは……大原清秀&佐藤肇コンビでも、もう一度見返してみたいと思っていた作品だったのですが(涙)。本当にKBSは飛びまくり……。
本放送No.502(原案・永井道子、野口小春 脚本・長坂秀佳 監督・宮越澄 助監督・宮坂清彦)1987.2.12放映
<あらすじ>
ある晩、叶は娘を連れて線路に飛び込み、無理心中を図ろうとした女と遭遇する。叶は間一髪、それを阻止した――その女・可奈子と叶との出会いの夜だった。
その後しばらくして、特命課の叶の元に可奈子からの電話が。娘が何者かに誘拐されたとの連絡だった……。
<私的解説>
長坂秀佳シリーズ。一般視聴者プロット入選作第二弾である本作は、同時に「特捜」における長坂氏最後の単発作品であり、長坂氏がもっとも愛した刑事(多分;)叶のファイナルメインストーリー。また長坂氏は”誘拐”というテーマを長年お得意としてきたが、本作をもって誘拐ネタは最後である。これまでの長坂特捜誘拐編では、人質救出がメインストーリーでその解決シーンをクライマックスに持ってきた内容がほとんどだったが、本作では物語が中盤に差し掛かる前に誘拐事件そのものは解決し、それ以後の展開が肝である。ミステリー色が全体的に強い作品で、捻りの利いたプロットの妙、細かだが味わいのある伏線の数々が楽しかった。さすが選りすぐりの視聴者プロット入選作だけに、一筋縄ではいかない。
こうして「特捜」のシナリオ最前線に舞い戻ってきた長坂氏復帰記念の四連チャンは幕を閉じた。
そしていよいよ――多くの人々の奥深い感動を呼び(?)、壮大にして華麗、大興奮の連続にして波瀾万丈の一大絵巻、見事なまでに完成度の高いシナリオに話題騒然(?)、長年「特捜」のメインライターを勤めてきた作家の意地とパワーが炸裂する渾身の超絶傑作スぺクタル――「長坂秀佳終幕三部作」へと突入するのである。
『「特捜最前線」終幕まで――あと6回』
KBSのスキップ・・・ですが、
「ハナコ・少女売春の街!」だけじゃなくて、「脱走爆弾犯を見た女!」も飛んでません?
「援助交際」がらみなのかなぁ・・・「脱走爆弾犯」は確かバスジャックの話じゃなかったでしたっけ?
時速40キロ以下だと爆発するとかなんとか・・・
かなり神経質にスキップしているような気がするなぁ・・・
本放送No.501(原案・会川昇 脚本・長坂秀佳 監督・辻理 助監督・長谷川計二)1987.2.5放映
<あらすじ>
特命課の犬養刑事がかつて飼っていた愛犬「アマデウス」は現在は優秀な警察犬「マックス」として第一線で活躍していた。そんな中、最近になって警察犬が次々と何者かに攫われる謎の事件が発生し、捜査にマックスも参加する事となった。
ところが、マックスも同じ誘拐犯人によって攫われてしまった……マックス自身が”誘拐された警察犬”のうちの一頭になってしまった。
そして、スーパーで客が犬に噛み殺される事件が発生する。店内の防犯カメラによると、どうやらその噛み殺した犬はマックスのようだった――。
<私的解説>
長坂秀佳シリーズ。一般視聴者から募った入選プロットを長坂氏が脚色する特別シリーズの第一弾。原案者の会川昇氏はこれ以前より、朝日ソノラマ社刊の長坂氏のシナリオ集「さらば斗いの日々、そして」や氏の代表作「快傑ズバット」コレクション本の編集に携わってこられた方。長坂氏とは師弟関係にあるという話も聞くが、詳細は分からない。当時からシナリオライターとして活動していて、現在でも主にアニメの脚本やラジオドラマ、小説などで活躍している。尚、プロット原案題は「殺人警察犬レオ!」だそうで、何故「マックス」に摩り替わったのかは不明である。もしかして、「レオ」というコトバからはレオがシンボルマークの球団・西武ライオンズをイメージさせ、しかもテレビ朝日は西武球団と密な関係だから、そのタイトルはNGだったのかなあ――と、無責任に勝手な憶測をしてみたものの、多分違うでしょう。
さて本作は長坂特捜で最初で最後の犬養メイン。物語で取り扱われるモチーフは「犬」で、これまでの長坂特捜で”犬”モノとなると(=叶)の図式が定着していたが、本作ではその専売特許を犬養が譲り受けている(というか、次回作の「黄色い帽子の女」が叶メインなので、主役刑事のバランスを考えた結果だったのかも)。
名前が犬養だから、”犬”モノの主役は犬養――だったのだろうか。まあ、単純にそういう理由だったのかもしれない。ただ長坂氏の後期作品を見ると、時田・犬養・杉の新メンバー三人のなかでは、犬養が特に目立って印象深く描かれていた気がした。たとえば、「挑戦」編では蒲生と二人きりのシーンが一番多くあったし、「退職刑事船村」編・後編では西岡と殴り、殴られの応酬も繰り広げた。――後期には多く参加していない長坂氏だが、犬養はやっぱり目立ってたなあと改めて思った次第。でも杉だって「挑戦」編・前編ラストにて「神代の”カ”だ!」「蒲生の”ガ”だ!」といったトンチンカン推理で独特の存在感が醸し出されていた気も(爆)。でもまあ個人的には、時田メインの話を一本で良かったから長坂氏に書いて頂きたかったと悔やまずにはいられない……時さんファンとしては、やはり。
それはさておき本作に話を戻すと、会川氏が原案したであろう「犬の脳手術」という奇抜なアイデアに、まずは唸らされた。その案に長坂氏の巧みな筆が加わり物語の展開・筋立てはまさに波瀾万丈、印象深い一本に仕上がった。ゲストとして、長坂特捜常連の小林昭二氏が最後の登板。「退職刑事船村」編に出演の同じく長坂特捜常連の田口計氏と合わせ、”「東京殺人ゲーム」犯人コンビ”が連続しての登場と相成った。
「特捜」も終幕に近づいてきたせいで、総動員態勢であったのだろうか……。
『「特捜最前線」終幕まで――あと7回』
>しけちゃんさん
――そういえば、あのサブタイトルの「仏」「鬼」はインパクトありまくりでしたね。あの毛筆体は気合が満点で……天野監督じゃなくて、長坂さんが書かれたんじゃないでしょうか(笑)。
それとKBSはまたもや飛んで……。
『KBS京都スキップ第12弾』
No.140 「ハナコ・少女売春の街!」
♪ なぜなぜ どうして〜(涙)
蒲生亭さんの解説も終幕を迎えそうで、ちとさびしい今日この頃。
後期特捜に入り、ちゃちゃを入れたくなってしまうのは、
何やかんやいっても、後期特捜が気になってしょうがないというか。やはりリアルタイムで見た効用は大きいのです(笑)
「退職刑事〜」で圧巻なのは、あのオープニングのおどろおどろしい文字でしょうな。あんなフォントあるのか。それとも天野監督ご自身が書かれたとか(爆)。むちゃどうでもいいことなんですが、
ラスト、西岡と紅林が犯人を捕まえ、拳銃を向けるのですが、
ここでもうまいこと紅林がレフティであることを生かしたカメラワークになっていて感心してしまいます。それにしても、あのBGMは一体何なんでしょうね。
本放送No.499・500<500回記念作品シリーズ@A>(脚本・長坂秀佳 監督・天野利彦 助監督・竹安正嗣)1987.1.22・1.29放映
<あらすじ>
”呑む覚醒剤”が日本社会に蔓延し、汚染していた――覚醒剤の密売組織撲滅を狙う警察だったが、組織に内部情報を流す警察関係者の存在があって、事はそううまくは進まなかった。内部密通者を探り当てるためには、その警察関係者を知る人物・通称”ヤシマ”に接触を持つ必要があった。しかし”ヤシマ”の顔を知る者は今の警察には誰一人としていなかった。ただし、元・警察の人間になら一人いる。その人物とは……元特命課刑事・船村一平であった。船村なしには捜査は始まらない。
神代は、今は一般の民間人に戻った船村に捜査協力を求めることに否定的な立場だが、橘と桜井は船村に協力要請を行うのだった。だが、船村はその要請を頑なに拒み続ける。だが、四課の西岡良介刑事に覚醒剤被害に遭って自殺した者の家族の写真を見せられ、心が動き……遂に捜査協力を承諾した。
だがその矢先、船村に”ヤシマ”と接触されては困る組織が、先手を打って船村の孫・太平を誘拐した――!
<私的解説>
長坂秀佳シリーズ。「特捜最前線」も丸十年、放送回数も500回を数えようとしていた頃、三月末をもっての放送終了がとうとう決定した……。昭和62年度に入っての特捜はいよいよ終幕の気配が強く漂ってくる。放送500回目前になって、「特捜」を長期離脱していたメインライター・長坂秀佳氏が不死鳥の如く舞い戻ってきたのだ。そして500回を記念した前後編が制作されることとなり、ゲストとして「特捜」元レギュラーの船村一平こと大滝秀治氏、吉野役だった誠直也氏も吉野とうりふたつの暴力団員役として出演するという豪華作品に完成した。また、後期長坂特捜キーパーソンの四課西岡役の蟹江敬三氏も相変わらずの胡散臭さで楽しませてくれている。……久々の長坂「特捜」節はやはり快調な筆さばきであった。
あと本前後編は長坂氏の見事さもさることながら、天野利彦監督の華麗なる演出ぶりにも拍手。あの耳に残って仕方のない印象的な和太鼓の(ようなもの? 曲目不明!)BGMを随所に散りばめたり、前編ラストの余韻を残す幕切れのカットの素晴らしさ、大滝氏の迫真の表情の数々の描写、ラストの廃工場での緊張感――長坂氏との「特捜」での顔合わせは本前後編が最後となったが、それに相応しい巧みな演出だった。直後、天野監督は「特捜」は504話が最後の担当。その後1年ほどのブランクを経て、「特捜」の後継である「ベイシティ刑事」以降、「はぐれ刑事純情派」「さすらい刑事旅情編」「風の刑事・東京発!」に参加。現在も尚、「はぐれ〜」を手掛けていて、東映の刑事ドラマ路線を支える第一人者として活躍している。また長坂氏とは「特捜」終了後に、藤岡弘氏主演の「オジロの海」という作品でもコンビを組んだ。
さて個人的な感想だが、ラストの神代のナレーション「これがおやじさんにとって、本当に最後の事件となった」が印象深い。”最後の事件”というコトバに何故だかジンと来る。船村だけじゃなく、神代達特命課にとっても”最後”は目前に迫ってきている……私はそう勝手に思ってしまい、一人悲しくなってしまうのだった。ともあれ長坂氏復帰という一大事があった本作をもって、「特捜」も本格的に終幕へのカウントダウンが始まってしまったと実感した次第である。
『「特捜最前線」終幕まで――あと8回』(←元ネタは明かさぬが華・爆)
『KBS京都スキップ第10・11弾』
No.136「誘拐T・貯水槽の恐怖!」
No.137「誘拐U・果てしなき追跡!」
――不朽の名作、長坂No.33・34が飛びました。
理由は一切不明……確かにいろいろと人情的にはツライ場面も混じってはいるんですが……嗚呼、無念。
ここまで来ましたか、蒲生亭さん。
ちょうど小学生にしてリアルタイムで見ていたときでして、母とともに、この懸賞クイズに応募した記憶があります。ちなみに、4課の西岡って書きましたわ。あの蟹江氏は、初登場だったにもかかわらず、むちゃくちゃ胡散臭くて、ましてやあの最終回のような展開になるとは夢にも思いませんでした。いまだに母と特捜の話をしても、いつもこの前後編が話題にのぼります(この話、本放送のこれっきりしか見ていないのに;)。
ただ、最終回において登場した「海藤?」役の鈴木瑞穂氏のインパクトのなさを考えると、どういう事情があったかは知りませんが、ここで蒲生さんを殺すことはなかっただろうと思います。もしも殺されてしまうなら、案外、蒲生さんが殺され、その復讐に燃えて暴走する神代課長という最終回もおもしろかったのではないかと。
今から思うと、個人的には、前編のラスト、長坂さんのうまさを感じますね。
蒲生亭さん,とうとうそこまで来ましたか・・・
ところで考えてみりゃ蒲生さんは可哀想なキャラですね。登場人物を不幸にしなきゃ気が済まないのは長坂氏の持ち味(^^;)ですけど,左遷されて(これは長坂氏のせいじゃないけど)隠し子まで作らされて挙句の果ては殉職ですからねぇ。ひどい話や。
それから四課の西岡ですが,見事なレッド・ヘリングでしたね。劇中,神代がいやにかばってるので,最終回に至る遠大極まる伏線だったと思いたいですね。あ,こいつも犯人役から刑事になった人ですよ>奈哉★さん。
「挑戦・この七人の中に犯人は居る!」──この犯人当てクイズがオンエアされた当時、私は専門学校生でしたが、『特捜』好きの友人たち
と大いに盛り上がったものです。「とにかく、あの長坂脚本≠セからマトモに考えたら解けんぞ」と(笑)。
前編のラストで、例のガイシャが残したダイイング・メッセージ(=「カ」の字)を見た杉刑事が、
「蒲生のガ≠セ!」「神代のカ≠セ!」など視聴者を煙にまくような発言を連発するのですが、それを見た友人の一人が
「きっと、あの杉のセリフがキーだ」とか言い出して(笑)、そこで出た推理が
「わかった! 蟹江のカ≠セから4課の西岡が犯人だ」(笑)。
果ては、「わかった!代貸の大鑓四郎だ」「なぜ?」「キャスティングが堀田真三だから」(笑)など、もうムチャクチャ。
結局、翌週明かされた回答を予測できたものは誰一人おりませんでした。でも、今にして思えば第125話「亡霊!帰ってきた幽子」の
カコの謎≠フくだりを事前に見てさえいれば、回答はピンと来たような気がします。
蒲生亭さんの投稿を読んで、そんな昔のことを色々と思い出しました。
本放送No.459・460<放送9周年記念作品シリーズ@A>(脚本・長坂秀佳 監督・天野利彦 助監督・宮坂清彦)1986.4.3・4・10放映
<あらすじ>
フィリピンから流れた大量の銃器密輸事件を捜査する特命課は、さる情報をもとに銃器が眠っているという操車場のある貨車を急襲する。が、何者かによって銃は既に持ち去られた後だった。
一方その頃――血相を変えた蒲生大助警視が特命課の神代を訪れた。蒲生は神代に自分の代理で、「冬木心子」という女性に会ってくれと頼み込んだ。冬木心子は妻子ある蒲生が十数年前、他の女性に産ませた隠し子であった。出産以降、その女性と心子は蒲生の前から姿を消し音沙汰がなかったものの、最近になって急に心子が蒲生に会いたいと言い出した……心子に済まなくて合わせる顔のない蒲生。そのために神代に代理を申し込んだのだが――。
やがて事件は思わぬ方向に発展した。冬木心子が銃器密輸事件に関与している事実が明らかになる。そして、神代と待ち合わせの公園に一人佇んでいた心子は何者かによって銃殺されたのだ……。
果たして犯人は、誰?
<私的解説>
あの「退職刑事失踪の謎! 瀬戸内に架けた愛!!」から約四ヶ月――少々のブランクを置いて長坂氏が特捜に帰ってきた。今回の長坂氏は放送9周年を記念した前後編の担当。また「懸賞付き犯人当てクイズ」という新機軸がみどころである。前編が問題編で、「犯人は果たして誰か?」との挑戦がある。翌週の後編のオンエアーまでに視聴者から解答のハガキを募り、解決編の放送……という当時としては画期的な企画であったのだろう。因みにクイズの商品はメインスポンサー日産自動車からのサニーが一台、それとハワイペア旅行六名三組分であったという。
さて、あの昭和59年の「新春」編から約三年と三ヶ月――長門裕之氏演じる蒲生警視が特捜に帰ってきた。長門氏だけでなく、今回の前後編には他にも豪華なゲスト陣が彩りを添えている。名バイプレイヤーの蟹江敬三氏、当時フジテレビを退職したばかりの元アナウンサー・山村美智子氏、その他北村総一朗、大谷朗、堀田真三各氏……とりわけ蒲生の娘婿・西岡良介刑事役の蟹江氏は後期の長坂特捜のキーマンとなった。本作、そして「退職刑事船村」編にて胡散臭さを存分に発揮した魅力ある演技を経て、あの特捜最終回での華々しい活躍! ――西岡があそこまでの重要なポジションを占めるとは視聴者の誰しもが予想し得ない事態だったのでは?(もしかして創造主の長坂氏自身も?・爆)。余談だが、長門氏と蟹江氏は当時「特捜」と同じ曜日に放送されていた東映制作「スケバン刑事U」にも上司と部下の関係で出演していた。「特捜」では父と子……。
そして蒲生はこの前後編で殉職を果たす。滅多に殉職者を出さないことで有名な特捜であったのだが……(因みに、この前後編にて蒲生は正式な特命課員に任命される。従って彼は最後は特命課の一員として命を散らした。つまり特捜最終回においての紅林の「(特命課の)刑事は二人死んだ」という台詞は???)。何はともあれ、長門氏の迫真の名演技は見る者の心を打った。――長坂氏はこの前後編にてミステリーを主題とした謎解きを緻密に書きつつも、父と子の関係を丁寧に書き、蒲生のキャラクターも物語に強烈に印象づけさせている。当方にとって初めて見た長坂特捜はこの前後編なので(リアルタイムで小学四年になる前の頃!)、実のところこの作品には人一倍の愛着がある。
それにしても、長坂氏にはもっと後期作品を書いて頂きたかった……長坂氏の昭和61年度の特捜は結局、この2本のみであった。以後、翌年の一月まで特捜に関しては9ヶ月の沈黙を守る。もしかしたら、この間は長坂氏は特捜を降板していたのだろうか……真実は長坂氏と番組制作スタッフのみぞ知るである。後期特捜のシナリオは藤井邦夫・佐藤五月・宮下隼一各氏が中心となってローテーションを組んでいた。
こうして昭和61年度の「特捜最前線」は終っていった。
――そして。
――遂に。
――伝説は最終章に辿り着こうとしていた。
お答えしましょう奈哉★さん。五条は後に改心して叶になったのです(←大嘘)。
レギュラー候補の役者をテストするのにゲストに使うというのはよくあることのようで『太陽にほえろ!』でも松田優作がジーパンとしてレギュラー入りする前にゲスト出演してた(と何かで読んだ)。『特捜』でも犯人役で出た人が後に刑事役で出てくるというのは叶だけじゃありません。犬養刑事こと三ツ木清隆氏も同じパターンをやっとります。でもまぁリアルタイムで見てない者(私も含めて)にとっては,ちょいと複雑ですよね(特に強姦魔の叶なんてね)。
それはさておき来週放送予定の「誘拐」前後編はスゴイよ!お楽しみに!ビバKBS京都!
私はまだ18歳になったばっかりなんですけど、若くして9年前に特捜最前線の再放送を見てそこからハマっております。
で、最近ローカル局でまた再放送をやりだしているので、また見てるんですが昔見た印象で、叶さんがかなり強く残ってたんですよ。
昨日、再放送を見てめっちゃ驚いたんですけど、叶さん役の夏夕介さんが「五条」っていう犯人役で出てて焦りました。
毎日毎日、叶さんが出てくるのを楽しみにしてたんですけど、なんか犯人役で出てくるから、うちの勘違いかと思って今日色々HPで調べたら、やっぱり叶さんは夏さんなんです・・・どうゆう事なんでしょうか・・・犯人役だった人が後に刑事役として出てくるのってアリなの?
誰か真相を教えて下さい!!!!!!
本放送No.443(脚本・長坂秀佳 監督・宮越澄 助監督・宮坂清彦)1985.12.5放映
<あらすじ>
橘の知り合いの元刑事で、皆からかつて”鬼吉”と称され、恐れられた堂本に四国で発生した警官殺人の容疑がかかった。家族の元を数年前に飛び出して以来、時折気まぐれに送られてくる堂本の土産の品だけが彼の消息の唯一の手がかりだった。
――事件の捜査のため、特命課は四国に飛んだ。
<私的解説>
この放送の三週前に幹子ラスト&杉登場編、二週前に江崎愛子婦警登場と「1010」の余韻も冷めないうちに「新・特捜最前線」への大きなうねりを見せた時期の真っ只中の作品。後期スタートを祝してか、瀬戸大橋がまだ開通してない(昭和60年だから当たり前ですね……)高松などを舞台とした四国ロケを敢行。演出は長坂特捜は「雪国から来た逃亡者!」以来四年八ヶ月ぶりとなった宮越澄監督。そういえば「雪国……」も長坂特捜ロケ編だった。ゲストには長坂作品父親役常連の織本順吉氏を迎えている。
後期の長坂特捜の特徴として、長坂氏はその都度ポイントとなる重要作品を主に執筆した(後期スタート第一弾の二時間スペシャル、放送9周年記念犯人当て特賞付きでしかも蒲生殉職前後編、おやっさんと吉野もどき;復活の500回記念前後編、一般視聴者プロット入選作二編、そしてあの伝説の終幕三部作……)。しかしこの作品だけ単発モノなので、面白い面白くないは別にして、当方にとっては何故だか孤立した印象が残った。――そして、よくよく考えてみるならこの作品は長坂氏にとって記念すべき100本目の「特捜」なのであった。
最後に本作のサブタイトルについて。後期特捜はサブタイトルの決定をそれまでの担当者であったテレビ朝日・五十嵐文郎プロデューサーより同局の浅香真哉プロデューサーと交替したようなので、今迄のものとセンスが異なっている。一言でいうと、少し長くなっている。本作も長坂氏の命題と、サブタイトル担当の浅香プロデューサーのアイデアに違いがあると思う。長坂氏が考えた本作のサブタイトルが気になるところ。余談だがサブタイトルについては、個人的には後期までのあまり長めでない方が好みであった。「橘警部逃亡!」などは短く抑制されているのにインパクトがあり、「果たしてどんな内容か?」とワクワク期待させ、迫力を感じさせて、見事だったと思う。でも、このサブタイトルも後期風になると、「橘警部逃亡の謎! 桜井警部補に架ける愛!!」とかになってしまうのだろうか(爆)。あと「殺人メロディーを聴く犬!」は「殺人メロディーを聴いたテツゴロウの謎! 叶に架ける愛!!」へと……冗談です(笑)。
こうして昭和60年度の「特捜最前線」は終っていった。
相変わらず、レスがたまりにたまっております(汗)
>事務屋青龍さん
岩手朝日テレビでも特捜が始まったんですね。
CSをはじめ結構各地で放送してますね。
はたしてブームになるか?(笑)
>T.Yoshikiさん
岸田森さんの本ですか。
私、岸田さんのファンなもので、非常に見たいですね。
「特捜」がとりあげられているのも非常にうれしいところ。
あの回の岸田さん、ホントにかっこよかったです(特に登場シーン)
>T.Yoshikiさん&ジローさん
長坂作品のルーツ。面白いですね。
これなんかもまとめてみたいなぁ。ちょっと無謀な気もしますがやりたいぞ・・・。
>森川さん&ひよにゃあさん
非常に遅くなりましたが、横光さん当選おめでとうございます。
横光さんの演説、生で見てみたいなぁという気もしますが(笑)、やはり紅さんそのままなのだろうか?
横光さんって、紅さんのイメージしか浮かばないんですよねぇ・・・。
>大吉GUYさん&蒲生亭さん
蒲生亭さん、毎度毎度の大活躍(?)、どうもありがとうございます。
ついにゴールが近づいてきましたね。
>本当に管理人さんのごーしーさんに申し訳なくて――いろいろな方の長坂特捜感想集を一個の掲示板で募っていくという趣旨を目論んでおられたかと思うんですが、私ばかりが書き込んでしまいまして。
いやいや、蒲生亭さんには大感謝です。私、管理人のくせに全然参加してないし・・・。
>といったわけで、是非是非、大吉GUYさんもご参戦の程……。
そう。皆様ぜひご参戦を。(笑)
特捜最前線はもうすぐ完結しそうですが(ですよね、蒲生亭さん(笑))他の作品も大募集です。
私の中では、いずれ全長坂作品のあらすじ・解説をと思っているのですが、とてもひとりでは・・・。
という訳で、ぜひここに来てくださる長坂ファンの皆様のご協力を得られればと思っていたりします。
ぜひぜひ。
私の方は今、連続ドラマの各エピソードではなく、番組・作品ごとのあらすじ・解説をまとめているところですが、数は多いわ、見てない作品は多いわで、とてもまとめられないですねぇ。(涙)
現在、穴だらけの状態ですがとりあえず先ほどアップしてしまいました・・・。後からすこしづつ追加・修正していくということで、とりあえずご勘弁を。
特番(2時間スペシャル)<脚本・長坂秀佳 監督・野田幸男 チーフ助監督・北本弘 助監督・三好雄大、北川敬一>1985.10.10放映
<あらすじ>
――今、都内では二つの重要事件が進行している。一つはラジコン爆弾を使用して、次々と発生した連続爆破事件。もう一つは法曹界の重鎮である別所大造の一人息子・里司の誘拐事件だった。
そして10月4日、特命課のもとに「バクハ予告1010」と記された謎のテレックスが送られてくる。犯人は警察に対して挑戦をしてきた……。
所轄との合同会議において、特命課はこの「1010」の予告を足がかりに、一見無関係に見えた爆破事件と里司誘拐事件に関連がある可能性を指摘した。また神代は特命課の新メンバーとして時田伝吉警部補、犬養清志郎巡査部長を迎える。
やがて犯人から身代金と子供の交換条件が提示される。犯人の目的とは? 二つの事件のつながりは? 果たして特命課は事件の真実に迫ることが出来るのであろうか――?
<私的解説>
時間枠変更第一弾。渡辺篤史氏、三ツ木清隆氏ら新レギュラーの加入や企画の高橋正樹プロデューサー以外の旧制作陣の五十嵐文郎・深沢道尚・武居勝彦各氏から、新制作陣である浅香真哉・阿部征司・東一盛各氏への交替など、本作にて「特捜」は最大の転換期を迎えることになった(註・本作のみテレビ朝日の五十嵐プロデューサーは制作に加わっている)。
本作は「特捜」では唯一無二の二時間スペシャル。長坂氏も気合いを込めたのか、試みとしてこれまで長坂氏がお得意とし、好んで使用してきた「誘拐」「爆弾」といった二大シチュエーションを合体させた。内容も放送日の10月10日を意識した「1010」の予告に始まり、21年前の未解決事件、「体育の日」にからめたオリンピックの話題、幼稚園バスジャックあり、カーチェイスも――と、とにかく相当スケールの大きな作品に仕上がった。
予算も相当かかっているようだ。再々登場と相成った冷泉役の白川由美氏、大場久美子氏や浅茅陽子氏といった豪華なゲストキャスティングに加え、サブタイトルにもある通り爆破は満載だし、ヘリも二台飛ぶし……(高速道路を走るバスをヘリが追跡する空撮シーンは現在のテレビドラマにおいては、予算の関係上なかなか成立し得ない画面作りであった)。制作陣も万全で、演出は長坂作品ではこれまで「ストリップスキャンダル!」「六法全書を抱えた狼!」などの異色作を手掛けた野田幸男監督(結果的には野田監督は本作が最後の長坂特捜担当となる)、チーフ助監督には後期特捜の演出陣の要となる北本弘氏がついている。
さて本作は再放送の際は、二時間バージョンを二分割した前後編バージョンで放送されている。オリジナルバージョンと違ってカットされている箇所がなきにしもあらず……のような気がするので、具体的にどの辺りに差異があるのか気になるところ。是非是非CSのファミリー劇場様にはオリジナルバージョンでの再放送を切に望みたいと思う(ただ数年前にフルサイズが特別枠で放送されたという噂もあるが、真実は定かではない)。
ともあれ本作をもって、「特捜」にまた新たなる伝説の1ページが刻まれることとなったのだが――。
本放送No.421(脚本・長坂秀佳 監督・辻理 助監督・北本弘)1985.6.26放映
<あらすじ>
吉野が人妻の堀尾伊久世に恋をした。伊久世の夫で人気カメラマンの堀尾喜明はある女優殺害の疑いで逮捕され、収監中の身だった。吉野はその事件捜査中に伊久世と知り合い、喜明の潔白を証明するための再捜査を決意するのだった。
「伊久世が好きだから、捜査をやる」――はっきりと神代にそう言いきる吉野。神代は吉野に五日間の猶予を言い渡した。吉野は五日の間に事件を解決せねばならない……。
<私的解説>
この6月の時期になると、既に10月からの時間枠変更も視野に入った状態であったと思うので、吉野役の誠直也氏の降板も確定していた時期だったのかもしれない――と私が勝手に思うのは、水曜10時ラストの長坂特捜が吉野メインであるからだ。これまでにも何度か書いてきたが、長坂氏が吉野メインで特捜を書いたのは過去数えるほどしかない。だが長坂氏のローテーションではこの421回目の作品を逃すと吉野出演の機会は二度とない。だから長坂氏は誠氏に捧げて主役編を書いた――という気がしてならない。
……という事情はさて置いたとして本作は――傑作であった。これまでの長坂×吉野編の中でも私はベスト作品として挙げたい。過去のメイン編である「裸足の女警部補!」や「殺人トリックの女!」ではもう一方の女警部補や女法歯学者にスポットが当たって、吉野が引き立て役に甘んじ、彼の存在が薄らいだ印象も少なからずあった。また、一般的に長坂×吉野編で最高作と認知されているであろう「六法全書を抱えた狼!」は確かに面白いが、では誠氏がイメージする吉野竜次のキャラクターと、長坂氏が作品で描写した吉野のキャラクターは双方、果たして一致したイメージであっただろうか。――誠氏的には複雑な思いであったかもしれないと私は思う(註。「新宿ナイト・イン・フィーバー」は私は吉野主役編と考えていないので、この作品は対象外としている)。
それら過去の作品群に比べ、本作の吉野は刑事としての恋を苦悩するシーンなど見応えがあるし、台詞も素晴らしく、吉野は「吉野らしい」魅力で颯爽と活躍していた。従って本作は長坂氏、誠氏両氏にとって幸せな作品であった気がする。また特筆すべき名場面として、吉野の知らないところで他のメンバーが捜査していた下りにおいて、橘が「堀尾のためじゃない、吉野、お前のために動いてみた」と吉野に告げるシーンが出色だ。吉野を思いやる橘の暖かい心情が浮き上がった感動的な台詞だった。
また長坂氏は殺人トリックの解明を主役の吉野ではなく、吉野以外のメンバー全員に託している。主役を助けて他のメンバーが推理する――という構図は後年の長坂氏の江戸川乱歩賞受賞作「浅草エノケン一座の嵐」における、エノケンとその仲間という構図に何となく似ているような、似てないような……。といったわけで「浅草エノケン――」のルーツが「人妻を愛した刑事!」だと一人勝手に想像してしまっている私だが、そんなわけはないか(爆)。エノケン(榎本健一)=誠直也――やっぱり無理がありすぎ? しかし「浅草」の単行本親本のカバーにあるエノケンの写真が誠直也氏に何となく似ているような、似てないような……。さて話が脱線してしまったが、本作の語り部を叶が担当している点も、密かにチェックすべきポイントであろう。
誠氏はこの後、水曜10時枠でのファイナルとなった「特命課・吉野刑事の殉職!」を最後に作品を降板した(その回の担当の脚本の竹山洋氏、演出の三ツ村鐵治監督は共に誠氏のリクエストであったらしい)。船村役の大滝秀治氏もその直前に「特捜」を降板している。「特捜」は時間枠変更という一大転機をキッカケにし、プロデューサー陣総交替、新レギュラー加入というイベントを経て、風雲急を告げ、新たなる時代の扉を徐々に開けようとしていた――。
1985年10月のことである。
本放送No.420(脚本・長坂秀佳 監督・天野利彦 助監督・吉野晴亮)1985.6.19放映
<あらすじ>
薬研真沙子は十数年連れ添った夫・孝介を刺殺した。その死体は油をかけて焼却するつもりだったと嘯く真沙子。特命課の捜査は完璧で、証拠もあり、動機もあり、本人も自白し、裁判まであと6日に迫り――何の問題もない事件のはずだった。
だが桜井だけはどうにも腑に落ちなかった。解決されない疑問は2つあり、凶器の刺身包丁から欠落した2つの疑問の謎、そして犯行直後真沙子が放心状態で妹宅に訪れて電話を借りる様子を目撃した、三歳の幼女・里美の謎の証言――「うン、あのネ、お電話がね、”メリーさんのひつじ”ッて。そう言ったの」。……これら2点が引っかかり、桜井は一ヶ月も真沙子に会うための拘置所通いを続けていた。
気の済むまでやってみろという神代の言葉を受けて、単身桜井は捜査の洗い直しを改めて開始した。……果たして、桜井の捜査は”完璧”だったのであろうか?
<私的解説>
長坂秀佳「女」シリーズB。「特捜」シナリオ集にも収められた作品で、あとがきによると長坂氏自身「特に好きな作品の一つ」だそうで、「たまには悪女を書きたかった」とのことだ。地味な設定で、母と子の関係を主題とし、テロップスーパーの多用、人情系でドキュメンタリータッチの構成……これらは同年の長坂作品「少女・ある愛を探す旅!」と共通しているテイストであると感じた。事件や物語は地味と言っても、台詞や内容は「少女……」と同じく見事に凝縮されている。何度見ても繰り返し楽しめる作品で、この長坂「女」シリーズでもおそらく「少年はなぜ母を殺したか!」と人気を二分しているであろう名作。当方にとっても長坂特捜の桜井主役編ベストとなると、「桜井警部補・哀愁の十字架」に次いでこの作品をベストに推したい。
「”心”が違う」という絶妙な長坂ゼリフが飛び出す下りのシーンも印象深いが、とりわけ素晴らしいのが”メリーさんのひつじ”の謎の仕掛けであろう。人間の音感に訴えかけるこのトリックの解明シーンは迫力十分。推理小説の「字」では表現できない、長坂氏が「音」で描いたインパクトありまくりの必殺トリックは、多くの視聴者のド肝を抜いたハズである。
>大吉GUYさん
はじめまして。ええと……すごいでしょうか、私(笑)。
と申しますか、本当に管理人さんのごーしーさんに申し訳なくて――いろいろな方の長坂特捜感想集を一個の掲示板で募っていくという趣旨を目論んでおられたかと思うんですが、私ばかりが書き込んでしまいまして。
といったわけで、是非是非、大吉GUYさんもご参戦の程……。
>ごーしーさん
今月は特捜脚本家で三人の方が新刊を出版されておられるようですね。
長坂秀佳 「彼岸花」 2000.6 角川書店
阿井渉介(文瓶) 「大断層の東」 2000.6 実業之日本社
長谷川公之 「犯罪捜査大百科」 2000.6 映人社
――これら是非是非、出版リストに追加ということで。
森川さま
はじめまして。俳優・横光公認HPのひよにゃあと申します。
ご祝辞があちこちでアップされていますね♪
もしよろしければ、公認HP内BBSの方にも是非一言お寄せください。横光さんや事務所の関係者の方もごらんくださっているそうですので(^^)、喜ばれると思いますので!
さて、大分での横光さんですが、一応私の方では「俳優」HPということでやっているので、政治方面は公式HPの範囲ということになるのですが、差し支えない範囲でお話が伺えたらいろいろご報告できると良いなと思っているところです。先日、選挙中の取材にあたられていた方のちょっとしたコメントなどもありますよ♪
ごーしーさま 思いがけずCMになってしまいました。ごめんなさい。
ところで、「クイズ面白ゼミナール」の件、ちょっとレポートを書く時間がなくて申し訳ないです(泣)。よしなによろしくお願いします〜。
小選挙区、大分四区で、『特捜』の紅林刑事こと横光克彦さんが、断トツで当選されたそうです。
心よりお祝い申し上げます。
でも、大分では演説合戦など盛り上っているんでしょうね。
一度見てみたいものです。ひょっとしたらかつての共演者の応援演説もあったのでしょうか? 詳細をご存知の方、お知らせ下さい。
>ジロー様
ご貴殿のサイトではいつもお世話になっています。こちらにもこられたのですか。
私もちょくちょく来てますので、また何かコメントしてみて下さい。
いやぁ,いつも読むだけで満足している私です。
蒲生亭さん,あなたはすごい!それしか言えない!
本放送No.419(脚本・長坂秀佳 監督・松尾昭典 助監督・荒井俊昭)1985.6.12放映
<あらすじ>
――ある日、金沢医大の冷泉綾子教授がぶらりと特命課を訪れ、神代に「勝ちます」と自信たっぷりに挑戦してきた。綾子はあるホステス銃殺事件に着目し、その事件で容疑者と目される男・岩堀の無実を主張していた。その根拠は現場で偶然にも録音されていた銃声紋が、警察で警部補以上しか持つことの出来ない拳銃のものだからという。当時現場近くに居たのは、キャリア組の警視・伊予田と叩き上げの警部補で伊予田の部下である乾であった。冷泉綾子教授はこの二人のどちらかがホステスを銃殺したのだと考え、わざわざ特命課に乗り込み、事件の解決を根底からひっくり返してやると宣言してきたのだった――。
<私的解説>
長坂秀佳「女」シリーズA。昨年「殺人トリックの女!」で冷泉綾子教授役を演じた白川由美氏の再登板である。本作では「殺人トリックの女!」のように神代課長役の二谷英明氏とすれ違いのシーンばかりの”異色共演”でなく、同一画面上でのやりとりがしっかりとある正真正銘の”夫婦共演”を見事に果たしている。そしてこの流れは特番「疑惑のXデー・爆破予告1010!」にも受け継がれる。
「殺人トリックの女!」と同じく東京歯科大の鈴木和男氏がブレーンとして参加し、「裏の裏をかく」展開も踏襲されて「殺人トリックの女!」と姉妹編といっていい本作。ラストシーンは前作が綾子が関係者一同を集めて謎解きをする古典推理小説によく出てくる黄金パターンだったが、本作では真相に辿り着いた綾子が危うく犯人に殺されるところを、危機一髪特命課に救われる――といったシチュエーションだった。これらのクラスマックスでは、ドラマが最高に盛り上がること間違いナシであろう。
いずれにせよ、両作品には白川由美氏の見せ場が最後にちゃんと用意されており、長坂氏のスペシャルゲスト・白川氏に対する配慮が窺い知れる。シナリオ設計もかなりの苦労があったのではないだろうか。
どうもこんにちわ。通りがかりの者です。
もうひとつ、『アクマイザー3』第25話「なぜだ!?ガブラが鳥になった」に出てくる“車輪の回転が止まると爆発する爆弾”は、「脱走爆弾犯を見た女!」のバス爆弾(映画『スピード』を先取り!)のルーツだと思うのですが、いかがなものでしょう。
>T.Yoshikiさん
――ナルホド、「少年はなぜ母を殺したか!」以前に長坂さんの作品にそういった法廷モノが……いやはや、不勉強ですです私。きっぱりと「少年は……」が長坂法廷ドラマのルーツだと言い切ってしまいまして(爆)。いやはや、お恥ずかしい限りです。
東映チャンネルでは、件の作品がもうすぐ放送されるとのこと。いやはや楽しみなことこの上なし……って、私はCS持ってないんで見れないです(涙)。
>蒲生亭さん
長坂先生が執筆した「法廷モノ」に関して、じつは気になっている作品が一つあるんです。
それは子供向けの特撮ドラマ『アクマイザー3』の
第29話「なぜだ?!裁かれるザビタン」(1976年4月20日放映)というエピソード。
アクマ族の裁判官・コマイヌーン(声・野島昭生)というのが登場するのですが、
こいつは弁護人・証人などを全部自分一人でやるという恐怖のインチキ野郎で(笑)、
この怪人の裁判にかけられたら、どう転んでも有罪にしかならないという話らしいんです(笑)。
私自身は、子供のころに観たおぼろげな記憶しかないのですが、一見ギャグみたいなこのエピソードの中に、
「長坂法廷モノ」のルーツのようなものが何かあるのではないかという気がして、もう一度見てみたい1本です。
東映チャンネルでの放送が非常に楽しみ!
本放送No.418(脚本・長坂秀佳 監督・辻理 助監督・三ツ村鐵治)1985.6.5放映
<あらすじ>
有明塁次(21歳)は自宅アパートにおいて同所を訪れた母・有明公枝(45歳)を絞殺……尊属殺人に問われた塁次の裁判が開始された。起訴状の事実内容を全て認め、「自分が母を殺しました」と証言する塁次。
だが弁護士の沖田亮子は「被告人は無罪」と主張する。全ては傍聴席で裁判を見守る神代達特命捜査課の筋書きであった。被告人は自分が殺したと証言し、弁護人は無罪を主張した今回の事件の、意外極まる真相とは――?
<私的解説>
長坂秀佳「女」シリーズ@。ドラマはずっと法廷内のみで進行するという野心的な作劇方法に、まずはチャレンジャー・長坂氏の高い意欲が窺い知れる。作品舞台を極端に限定する手法は、現在のテレビドラマ界では脚本家・三谷幸喜氏が得意とするシチュエーションだが、長坂氏は今より15年前も昔に、困難が予想される”画期的な1セットドラマ”ヘの挑戦を敢えて志している。そしてその挑戦は見事に成功を収めたと感じた次第。
長坂氏ならではの緊密な台詞運び、綿密で巧みな構成もさることながら、特命課刑事達それぞれの意外極まる法廷への参加のプロセスも意表を突かれ、面白い(桜井が証人で叶が弁護人席……という構図など、見ていて何となく燃える←意味不明;)。そして長坂氏永遠のテーマである「父と子の関係」が物語全体に暗い影を落とす本作には、その関係がずっしりと重くのしかかる「破壊的なラスト」が待ち構えている。……正直言って後味はかなり悪い。”長坂特捜後味悪いランキング”でもかなりの上位にきそうな予感。しかも長坂氏のシナリオのラストはその後味の悪さがメチャメチャ尾を引いて余韻をひきずる――設計になっていた(詳細には触れないが)。しかしそこは、辻理監督が独特のアレンジでそのショックを幾分かは緩和する画面作りを施していて、そこにはまだいくらかの救いが残った。
シナリオ集や85年9月号の「ドラマ」にもシナリオが収録された本作だが、この作品は「特捜」のみならず、長坂氏の作家生活においても重要なキーポイントとなる作品であった。即ち、長坂氏「法廷モノ」開眼! である。本作には弁護士の新井宏明氏がブレーンとして長坂氏に協力しているが、新井氏は以後「都会の森」「七人の女弁護士」といった長坂法廷ドラマにも参加協力。長坂氏は新井氏と本作で初めて出会ったことで、以後の長坂流法廷ドラマが次々に生み出されるキッカケになったことは、おそらく間違いないのでは。……といったわけで、長坂氏の法廷ドラマの源流はこの「少年はなぜ母を殺したか!」にあると私は勝手に考えている。余談だが、”源流”つながりでいうと、この長坂秀佳「女」シリーズでは第四作の「人妻を愛した刑事!」が後の長坂氏の第35回江戸川乱歩賞受賞作「浅草エノケン一座の嵐」のルーツになった作品であると私は勝手に考えていたりする――その話はいずれ、また(でもまあ、そんな大した話じゃありませんけども・爆)。
本放送No.400<400回記念作品シリーズC>(脚本・長坂秀佳 監督・天野利彦 助監督・白井政一)1985.1.30放映
<あらすじ>
ある事件を通じて父と子の情愛に触れた的場刑事は、昔、自分と母親を捨てて家出した元刑事の父親・軍三のもとを訪ねることを決意した。
だが的場が軍三宅に到着すると、家は火事に見舞われ焼失寸前だった。的場は中に突入し、部屋で倒れていた軍三を救出する。しかし軍三は首を絞められており、既に事切れた状態だった。なぜ軍三は殺されたのか……?
特命課は事件の捜査を開始する。すると18年前に軍三が最後に担当した「良明ちゃん誘拐事件」の不可解な謎が改めて浮き彫りにされて――。
<私的解説>
長坂秀佳シリーズ。並びに区切りの良い400回記念作品。的場四部作の最終作である本作では、「摂氏」で断片的に提示された的場と父親との過去の因縁が全て明らかにされる。そして何故父親は殺害されたのか――父親を殺した犯人の捜査を担当しなければならない宿命を背負わされた的場の悲哀が、物語にシリアスな雰囲気を漂わせた。長坂氏の筆は二組の「父と子」の悲しい関係を深く、大胆丁寧に掘り下げて描写している。
「摂氏」「少女ある愛」と同じく人情風味の話ではあるが、長坂氏お得意の誘拐ネタが過去の事件として取り上げられ、当時の不可思議な謎を現代で解き明かす点などは、スリルとサスペンス性を感じさせる絶妙な構成だ。小気味よいトリックやカーアクションも盛り込まれた見所満載の名編で、的場四部作ラストを飾るのに相応しい作品に仕上がっている。
的場は四部作の後は長坂脚本ではないが、「追跡・ラブホテルの目撃者!」(脚本・山田隆司 監督・天野利彦)にて再登場を果たす。しかしその作品が「特捜」での最後の顔見せ……個人的には、的場がその後、時田と犬養、杉らと共に特命課の本メンバーに参加する展開だったら面白かったのにとも思ってしまった。長坂氏が作り上げた的場のキャラクターをたったの五回で捨て去るのは惜しいし、何より1クールドラマでは絶対真似の出来ない、長期番組故に許される「昔のキャラクターが成長して、おお、こんな姿に!」と「渡る世間は鬼ばかり」的大河ストーリーの如く、”番組内での時間の流れ””歴史の深さ”、そして番組の”懐の大きさ”を視聴者に感じさせる絶好の機会であると感じていたのだが……。
今日、本屋さんで『特捜最前線』の桜井道夫判事こと故・岸田 森さんの回想録
「不死蝶 岸田森」(小幡貴一、小幡友貴・編/ワイズ出版・刊)なる本を見つけました。
巻頭のグラビアに、森さんが実際に使用された『特捜』No.194「判事、ラブホテル密会事件!」のシナリオが写真で掲載されています。
本の内容自体もも大変面白く、オススメの一冊です。
No.117 「落ちた手首が喋るとき!」――KBSで飛びました。
本放送No.399<400回記念作品シリーズB>(脚本・長坂秀佳 監督・天野利彦 助監督・白井政一)1985.1.23放映
<あらすじ>
ビルの屋上から飛び降りようとする少女。だが間一髪、特命課は少女の自殺を未然に防ぐ。
橘と的場は病院で少女に本籍地・氏名などを尋ねる。だが、少女は「自分には戸籍がない」と嘯き、実際彼女――上村亜紀には戸籍がなかった。戸籍を作成すべく、橘は彼女の母親を探そうとするが、亜紀の母親・上村栄子は四年前の府中のスーパー強盗殺人事件の共犯者と目され、逃亡中の身だった……。
<私的解説>
遂に「ストリップスキャンダル!」と並ぶ、長坂特捜”超幻の逸品”の登場である。現在地上波で再放送のオンエアーが99%不可能に近い、この作品。その幻度は「ストスキャ」(……略称)をも遥かに凌ぎ、長坂特捜史上最強の闇に覆われた神秘的作品である(「ストスキャ」はシナリオ集に収録された作品だし、ごくごく短期ではあったにせよ再放送の機会もあった。が、本作においては再放送の機会も全くといっていいほどないらしい)。そもそも本放送時からこの作品は曰く付きであったようで、前週に放映される予定が一週延びて、サブタイトルも変更になって、やっとオンエアーになった(個人的には「少女・ある愛を探す旅!」のほうが好きなタイトルではあるのだが)。で、その理由だが、サブタイトル並びに物語における「戸籍のない人間」という設定が徹底的にマズかったらしい。――詳細な理由は一切不明だが、何しろまずいらしい。また、作品内では桜井の台詞で外国人差別を匂わせるニュアンスの言葉も発見できる。……とにかくまずいらしい。
本来なら的場シリーズ第二弾のこの作品、メイン主役は橘。事件の発端の少女の自殺未遂という地味な設定はケレン味たっぷりの「銃弾・神代課長射たれる!」とは対をなすもの。母と子の情愛を軸に据え、テロップスーパーの多用によるドキュメンタリーテイストのストーリー仕立て(後の「女未決囚408号の告白!」もこれとよく似た雰囲気を継承している)、そして橘の魅力も満載で、感動の大団円のラスト。全体的に人情風味とはいえ、しっかりとトリックも用意されていて、本当に味わいの深い名作であった。的場四部作の傑作群のなかでも、私は特にこの作品が好みで、余計に現在の欠番状況が悔やまれてならない。
さて、的場四部作の放映順の変更によりストーリー展開の弊害も発生し、本作が「摂氏」と「父と子のエレジー!」の間に挟まったことで、本来の”的場の人間としての思い”の流れがぐちゃぐちゃに乱れたしまった。本来ならこの四部作、「銃弾」での的場初登場、本作で橘の補佐について事件捜査をする的場を見せて、「摂氏」での紅林VS的場(的場の過去の父親との確執もからめて)、そして最終作の「エレジー」で「摂氏」での伏線を活かしつつのストーリー……といった按配に長坂氏の巧みな計算が働いていたはず。しかし「摂氏」と「エレジー」にクッションが挟まったことでその緊張感が壊され(内容の善し悪しが問題ではなく、何事においても”順番”は大切なのである)、その計算も全て御破算となってしまう。
……今や本作抜きの「銃弾」「摂氏」「エレジー」の”的場三部作”が「特捜」の常識に落ち着いてしまい、本作は本当に長坂特捜幻の逸品として、霞みの如く消えつつある――。
本放送No.398<400回記念作品シリーズA>(脚本・長坂秀佳 監督・松尾昭典 助監督・三ツ村鐵治)1985.1.16放映
<あらすじ>
指名手配で逃亡中だった、不正投資グループの幹部・中尾の死体が河原で発見された。特命課は死体のコートの裾や靴に付着していたガラスを手がかりに、近くのガラス工芸工場を割り出した。そして、紅林は工場内で中尾を撲殺したと見られる凶器の石を発見し、殺害現場は工場内であると考えられた。
工場の社長・岩倉勇作には中尾と犯罪の濡れ衣を押し付けられた過去があり、殺害の動機がある。そして工場の鍵も持っている――的場は犯人は勇作であると考えた。一方、紅林は十年前に家族を捨て蒸発した、工場の前社長で鍵も所有する勇作の父・仁衛門に会い、仁衛門がかつて息子に罪を被せた男を殴り殺した可能性を考えていた。
確かに岩倉親子は互いに憎みあっている。しかしその実、お互いをどこかで求め合っているのではないか……紅林はそう感じていた。直感から仁衛門犯人説に考えを固める紅林。
――互いに捜査方針や主張が真っ向から対立する紅林と的場。伝統工芸の世界を舞台とした父と子の葛藤。事件の真相は如何に……?
<私的解説>
長坂秀佳シリーズ。前週の予告編では「亜紀・戸籍のない女の証言!」が予告されていたが、放映当日になって急遽予定変更、翌週放送予定の本作がオンエアーされることになった。何故こんなアクシデントが発生したのか? ……詳しくは次項にて説明を試みたい。
「父と子のエレジー!」にて明かされる的場の過去の伏線が見え隠れしつつも、本作はれっきとした紅林メイン。因みに長坂特捜では紅林メイン最終作品でもある。この作品では過去の長坂×紅林編では試みられなかった「親子(父と子)」の関係図を中心設定に組み込んでいる。今迄の長坂特捜の紅林メインでは、アクション系・パズラー系・人情系の話は占めていても、長坂氏お得意の親子関係がモチーフに盛り込まれた話は登場していない(「警視庁を煙にまく男!」にそれに近かった設定はあったともいえるが)。また、紅林の長坂特捜以外の話でも母や妹とのエピソードは数あれど、父と子の関係を綴った話はそんなに目立っていなかったはず(多分……;)。そうした事情を長坂氏が考慮したかどうかは知らないが、本作のアイデアは紅林ストーリーとしては新機軸であり、目新しい発想であると感じた。的場編としても堪能できるし、紅林VS的場の刑事間の対立も十二分に描かれている。ゲストも長坂特捜父親役常連の織本順吉氏を迎えて味わい深さが1350倍増し、ガラス工芸の世界の取材も行き届いた、実に奥深い話といえる。
――のだが、この作品の真の価値は「父と子のエレジー!」に直前に放映されてこそより生きるハズだったと思わずにはいられない今日この頃……嗚呼。
ごーしーさん、どうも。事務屋青龍です。
去る5月13日から岩手朝日テレビでも「特捜」が放映開始されました。
実は数年前岩手朝日が開局した当時、既にテレビ岩手(NTV系)で放映の真っ最中でしたので、岩手朝日は自分のところで放映できるのを待ちわびていたことと思います。
私も初期編の長坂作品(『プルトニウム』前後編、『ラジコン爆弾を背負った刑事!』など)をまた見られるかと思うと…(感涙)
「ファミリー劇場」放映分と併せて楽しんでいこうと思います。
本放送No.397<400回記念作品シリーズ@>(脚本・長坂秀佳 監督・辻理 助監督・荒井俊昭)1985.1.9放映
<あらすじ>
ある深夜、神代課長が何者かに狙撃された。重傷を負った神代は緊急手術に入るが手術室に入る直前、橘に「電話」とだけ伝えた。その言葉は特命課の秘密電話を表すメッセージだったが、会話記録は誰かが強力なマグネットで消去した後だった。神代の狙撃には大物のプロが絡んでいる――。
偶然、別件で狙撃現場で見張りを敢行していた渋谷南署の的場刑事も捜査メンバーに加わり、事件の捜査が開始された。捜査が進むにつれ、神代は新戦闘機購入に絡む日本政府高官が関与した”第二の航空機疑惑”の謎が浮上してくる……。
<私的解説>
長坂秀佳シリーズ。長坂氏は「嵐学の時代」執筆のため「特捜」を含む脚本活動を長らく中断していたが、本作含む”的場四部作”で見事復帰を果たした。的場登場はおそらく、船村役の大滝秀治氏が舞台のため「特捜」を一ヶ月近く離れることになったための窮余の策であったろうが、本シリーズはおやっさん欠場のピンチを見事に帳消しにした長坂氏の充実ぶりが窺える傑作はがりが揃った。見応えのあるシリーズに仕上がっており、見逃すことが出来ない。
神代が物語の中心で、外国人の暗殺者が暗躍し、重要事件の証言者が消されようとする――展開は「特命ヘリ緊急発進!」をなんとなく踏襲した感じがしないでもないが、勿論ストーリーは全くの別物(演出が同じ辻理監督なので、私が勝手に雰囲気を混同してしまったか?)。おそらく当時は時代の最先端を走っていたサーモグラフィを話に採り込む辺り、新らしモノ好きの長坂氏の面目躍如といったところ。氏お得意の爆弾も登場し、その爆弾を止める役目を本作初登場の的場に託す辺り、お約束通りの展開とはいっても長坂氏のストーリーテーリングの巧さはキラリと光った作品といえる。
本作の後、橘主役編で的場が捜査の補佐につく「亜紀・戸籍のない女の証言!」、紅林VS的場の対決人情編で最終作への伏線(父と子の関係図)をチラリと織り交ぜた「摂氏1350度の殺人風景!」を経て、的場の壮絶な父と子の関係を綴った「父と子のエレジー!」へと流れ込み、的場の刑事としてだけではなく、人間としての思いをも重厚に描写した傑作四部作に完成――するハズだった。
しかし。
しかし。
……。(以下、長坂No.92・93にて)
随分「特捜」遠ざかっていたのですが、先頃の京都テレビの再放送で
久々に「特捜」を観ています。
また、ちょいちょいと寄せてもらいますので よろしくお願いいたし
ます。
本放送No.361・362<七周年記念作品シリーズBC>(脚本・長坂秀佳 監督・天野利彦 助監督・北本弘)1984.4.25・5.2放映
<あらすじ>
麻薬捜査の訓練を受けていた警察犬・イカロスが何者かによって誘拐された。犯人の目的は不明で、イカロスの足取りは掴めないままだった。
一方特命課は街にはびこる覚醒剤の”Mルート”を追跡していた――。
<私的解説>
七周年記念作品シリーズ。この前週に記念作品として制作されたのが、「特捜」10年にも及ぶなかでも、とりわけ最高傑作と誉れ高い塙五郎脚本・辻理監督の「哀・弾丸・愛 七人の刑事たち」前後編でだったが、本前後編では「特捜」の脚本・監督のそれぞれメインの長坂氏、天野利彦監督がコンビを組んだ。作品からは長坂氏が麻薬や警察犬の世界について徹底取材した跡がうかがえ、タイトルには「誘拐」「追跡」「疑惑」との文字が躍っているが、サスペンスの雰囲気より社会派ムードが強い仕上がりとなった。また、ゲストとして長坂作品の「快傑ズバット」早川健役で印象深い宮内洋氏の登場というのも嬉しい(「ズバット」ファンなら必見でしょう、やはり)。
しかししかし――本作を最後に長坂氏は再び「特捜」のローテーションを外れてしまった。理由は小説「嵐学の時代」執筆専念のため。翌年一月長坂No.91「銃弾・神代課長射たれる!」で復帰するまで、その間実に八ヶ月と七日(「特捜」の話数にして34本!)の長期離脱……嗚呼。
本放送No.351<350回記念作品A>(脚本・長坂秀佳 監督・天野利彦 助監督・荒井俊昭)1984.2.15放映
<あらすじ>
特命課・津上明刑事が殉職してはや四年になる――。最近、特命課に子供と思しき拙い筆跡で津上宛に”殺してやる!”といった文面のハガキが度々舞い込んできていた。その種のハガキは津上の妹・トモ子の元にまで――。
捜査の結果、差出人は秋本忍という少年であることが判明した。忍少年の父親は横断歩道の信号を無視して歩行し車に轢かれて交通事故死――とされていた。だが忍はそれに反発し、津上も忍に父親の無実を証明することを約束した。――直後、津上は殉職し約束は果たされないまま四年たち、現在に至った。特命課刑事達は約束を果たさないままこの世を去った津上の無念を噛み締めつつ、忍に父親の無実を証明することを再度約束した。少年のために。津上のために……だが、四年前の交通事故で被害者に落度がなかったという証明は至難の道のりだった――。
<私的解説>
350回記念作品第二弾は荒木茂氏、桜木健一氏、そして特別出演として西田敏行氏とこれまでの特捜レギュラー陣が登場、豪華なキャストに恵まれた作品。それに触発されたのか長坂氏の脚本も気合いが篭っていて、「交通事故」という刑事ドラマでは一見地味とも言える設定ではあっても(メインスポンサーが某自動車会社なのに、よくこの設定でNGが出なかったものだ。今なら絶対アウト・爆)、物語序盤で神代の口を借りて「交通事故」も立派な犯罪であると説いてみせ、作品に社会性を盛り込ませた。「父と子」の関係や、今も絶えることない特命刑事たちの津上への熱き思いをふんだんに描写しつつも、ラストの華麗なる大逆転を鮮やかに決めてみせる……実に緻密で高度な脚本。そして天野利彦監督の演出も冴えに冴え、山口百恵の「いい日旅立ち」の唄&メロディーを効果的に使用した映像作りは本当に見応えがあって、「特捜」メイン監督の技量をまざまざと見せつけた(本作ラストは長坂シナリオでは「夕陽に向かって刑事一同が立ち尽くす」というものだが、天野映像では「いい日旅立ち」をBGMに、夕陽を背にして刑事たちの影が坂を降りてくる――場面に改変されている。この演出によって、刑事たちのカッコよさが抜群に際立った感があり、「特捜」マイフェイバリットラストシーンのなかでも個人的にはベスト。何はともあれ、文句なしの名シーン)。とにかく出演者、脚本、監督、すべてのスタッフの力がフルに結集した350回記念に相応しい傑作。余程キャスト・スタッフのテンションも盛り上がったのか「特捜」には珍しく俗に言う”楽屋オチ”も登場した。桜井が事件の鍵を握る「ミソノ薬局」の場所を報告するシーンがシナリオでは「渋谷のどことか」になっているのだが、本編のセリフでは何故か「長坂町」に(笑)。
また「回想の津上の言葉に助けられて捜査が進展していく」展開は津上刑事殉職後編で使用された手法だが、本作でもその手法が登場した。おそらく、この「津上刑事の遺言!」という物語自体が長坂氏なりに津上殉職編に捧げたオマージュであると考えるのだが、いかがなものか――。
>ひよにゃあさん。
それはお宝ですね(笑)
>また後日詳細をご報告しますね。
楽しみにしてます。
その情報、特捜のページの総合・ディープネタ編に載せてもよろしいでしょうか?
今掲載している情報に追加という形で。
それにしても本放送時にそんな(?)番組を録画していたとは恐るべし・・・(笑)
ごぶさたしています。
先日、実家から持ち帰ってきたβのビデオにクイズおもしろゼミナール
特捜メンバー2度目の出演編「横光克彦チーム」が録画されておりま
した♪放映月日が分からないんですが、中味の方はばっちりですので、
また後日詳細をご報告しますね。
ちなみに、横光チームは、阿部祐二さんと夏夕介さんの3人でした。
成績の方は……(笑)。横光さんが若い〜♪
本放送No.350<350回記念作品@>(脚本・長坂秀佳 監督・山口和彦 助監督・三ツ村鐵治)1984.2.8放映
<あらすじ>
警視庁が、麻薬の組織撲滅のための一代プロジェクト会議を設けてから十二日目、組織関係ではないかと見られる男の水死体が上がった。捜査を開始する特命課だが、死体の検屍は法歯学の第一人者・金沢医大の冷前綾子教授が担当することになる。何故か冷前教授は神代や特命課に対抗意識を燃やしていた――。
殺人事件に秘められた犯人の思惑とは? 巧緻なトリックや謎を女法歯学者が解き明かしていく物語。
<私的解説>
350回記念作品第一弾は、神代課長役の二谷英明夫人である白川由美氏をゲストに迎えた特別編。白川氏出演の経緯は「特捜」シナリオ集@の長坂氏のあとがきに詳しい。本作は長坂氏が白川氏のために書いたシナリオであるそうで、作中、シーン状況で夫妻が直接対面するシーンは残念ながらないが(それだけに大阪・東京間での電話のシーンが楽しい)、冷前シリーズ第二弾となる「女医が挑んだ殺人ミステリー!」、特番の「疑惑のXデー・爆破予告1010!」では共演シーンはしっかり用意されている。入り組まれたプロット、考え抜かれたトリックと長坂氏ならではの見事なシナリオに仕上がった快作。冷前と吉野の凸凹コンビぶりも楽しく描かれている。また、作中の「裏の裏をかく」パターン展開は、以降の冷前シリーズで踏襲された。結局、本作内では神代と冷前の因縁の理由は明かされないまま話は終るが、その理由は「女医が挑んだ殺人ミステリー!」で明らかにされる。
本作で取り扱われる法歯学知識にはその道の権威で、著書「法歯学の出番です」で知られる東京歯科大教授(当時)・鈴木和男氏がブレーンとして協力。氏は「女医が――」でも続けて作品に協力をしている。本作担当の山口和彦監督はこの時期だけ集中的に「特捜」に参加していて、長坂氏と顔合わせも本作のみであった。従来は「特捜」組ではなく、「Gメン75」や大映作品「スクールウォーズ」などで辣腕を振るわれた方で、時代劇や二時間ドラマを手広く手掛けたりと幅広い活躍で知られている。
本放送No.348 (脚本・長坂秀佳 監督・松尾昭典 助監督・北本弘)1984.1.25放映
<あらすじ>
東都大病院に仕掛けられたコンピュータ爆弾……爆破時刻は刻一刻と近づきつつあった。
――それとは別に、特命課の橘、紅林、早見は東都大病院の医師達の要請によって病院を訪れていた。何者かによって病院のコンピュータがハッカーされた恐れがあるという。そして捜査の結果浮かび上がる犯人像は、16歳の少年……。
<私的解説>
長坂秀佳シリーズ。当時としてはまだ目新しかったコンピュータを題材にしていて、それに長坂氏お得意の爆弾を組み合わせた作品。……面白くないわけがないのである。また、未成年の少年達による凶悪犯罪という、何やら昨今の日本を連想させる社会派テーマが目を惹く。時代を先取りした感がある犯人像で、長坂氏ならではの斬新な視点が印象に残った。「特捜」写真集の長坂氏のエッセイから察するに、この作品での長坂氏はどうやら「コンピュータ犯罪を犯す少年達を、家庭内暴力の変形として」描きたかったようだ。それにしても――少年達が爆弾を仕掛けた場所のアイデアは非常に狡猾で残忍極まりない(誤解のないよう。別に長坂氏が狡猾というのではなく、長坂氏の描く少年達が狡猾といいたいのである)。少年の心の奥の冷たさを怜悧に描写した長坂氏の筆力は当然評価されるべきだが……作品で描かれる少年達の空恐ろしい想像力には少々参ってしまい、本作は多くの「特捜」作品と同じくやっぱり後味の悪い作品といえるかも。ただ、ラストの救いの無さは「橘の怒りの拳」で多少は救われた感もある。
尚――本作が早見ラストの回。
本放送No.347 (脚本・長坂秀佳 監督・藤井邦夫 助監督・三ツ村鐵治)1984.1.18放映
<あらすじ>
ある夜、“コアラ”と呼ばれる女が殺された。死体の傍に転がっているコアラの人形、そして特命課・高杉婦警の名刺。
――一方、“コアラ”を殺害した殺人者は「ある目的」を持って、高杉婦警の自宅のマンションに侵入していた。殺人者の目的とは? そして幹子はまたもや恐怖のドン底に叩き込まれるのであった……。
<私的解説>
長坂秀佳シリーズ。これまで高杉婦警を主役に据えてきた、夏のホラー三部作の外伝形式の作品。また、長坂氏にとっては最後の幹子メイン作品でもある。ホラー三部作と合わせ、長坂×幹子モノでは私はこの作品が最も印象深いし、実際シナリオ的にも高度な出来であったと感じる。たとえば、本作は長坂特捜唯一の“一晩限りの話”で、実にテンポよく小気味いいドラマ運びの作品である。大半を一日限りで占める話(「特命ヘリ102、応答せず!」「特命ヘリ緊急発進!」「爆破60秒前の女」などの傑作)はシナリオの密度や構成が濃密かつ緻密でないと、面白くはならない気がする。それにしても、本作を担当した藤井組のロケ班は撮影が大変であったろうなと考える次第。何せ撮影時期は冬で、しかも大半がナイトシーン……。
それはさておき、ホラー三部作では徹底的にホラー性に拘ったせいか、長坂氏が本来重視しているドラマ性をあまり感じることは出来なかったが(少なくとも私には)、本作ではハラハラドキドキのサスペンス性を前面に押し出してはいても、要所要所でさりげなく伏線を張っておき、ラストシーンにて“コアラ”の真意が、作品の重要アイテムで当時は最新鋭だった留守番電話によって明らかにされる仕組みなどはさすがに巧い。特捜の魔術師・長坂のまさに本領発揮、ファンにとっては堪らない展開である。
脇役も下条正巳、高橋みどりと豪華だった本作は、10年にも及ぶ「特捜」の歴史において、最高視聴率を記録した作品でもあった。
その数字は――27.4%!(ビデオリサーチ調べ)
No.100 「レイプ・十七歳の記録!」――KBSで飛びました。
「惜別・指のない焼死体!」以来となるスキップです。
この100話は折角の蒲生登場編でありましたが……。
本放送No.345・346 (脚本・長坂秀佳 監督・天野利彦 助監督・北本弘)1984.1.4・11放映
<あらすじ>
新春。蒲生警視は駅である一人の幼児・乙平と出会った。乙平は蒲生に「パパを助けて」と訴える。乙平は持っていた新聞を蒲生に手渡して、ある記事の写真を指差し、これが自分の父親だと言う。蒲生はその写真を見て目の色を変え、特命課の神代の元に急ぐ。
乙平の父は四年前、代議士畑中が事件の犯人と黙された、一家四人が災禍に見舞われた通称「白樺高原事件」の重要証人で、畑中の運転手・河田なのであった。しかし河田はこれまで姿を暗まし続けている。河田はまだ生きている――?
稲妻の蒲生、堂々と冴え渡る! 感動の前後編。
<私的解説>
長坂秀佳シリーズ。テレビ東京12時間ドラマの脚本執筆を終えて、長坂氏はまた半年ぶりに「特捜」の「最前線」に帰ってきた。長坂氏にとっては番組のセミレギュラー・蒲生を登場させた初の作品だが、全編練りに練られたストーリー運び、後編における蒲生の捜査の大胆な奇想、そして涙・涙の感動のラストシーン……長坂氏しか書き出せない「特捜」ワールドがそこにはあった。1984年の「特捜」スタートを華麗に飾った文句ナシの傑作前後編であろう。長坂氏はこの後、放送九周年記念の犯人当てシリーズでも蒲生を再登場させた。しかし、その話がまさか殉職編になろうとは……(蒲生はその間、「特捜」での出演はなかった)。
それにしても、乙平役の子役の方の演技が堪らなくいいですなあ!
いつも遅レスですみませんが・・・。
>森川 由浩さん、蒲生亭さん
「仮面ライダークウガ」ですか。
友人に強く薦められて1回だけ見ましたが、前・後編の前編だったため、よく分からなかったり・・・;
あれ、面白いという意見とつまらないという意見とで真っ二つに分かれてますが、どうなんでしょうか?
見る価値あるのだろうか・・・。
仮面ライダーXを執筆していた長坂さんに、ぜひ書いていただきたいなとか思ったりするのですが(笑)
で、その両刑事はレギュラーなんでしょうか?
それとも今後レギュラーになりそうなのでしょうか?
>しけちゃん
元ネタ情報、どうもありがとうございます。
次回更新時に追加させていただきます。
だいぶ増えてきましたね、あのリスト。
最初はネタが少なくてどうしようかと思いましたが・・・。
まとめて見ると結構面白いものがあります。
>蒲生亭さん
毎度、毎度、あらすじ&解説をどうもありがとうございます。
とうとう80作品を越えましたね。ホントに凄い(しかも一人で(笑))
全話達成もだいぶ近づいてきましたね。全話達成期待してます。
で、特捜終わったら他の長坂作品のあらすじ&解説をやりませんか?(爆)
本放送No.287 (原案・葛西裕 脚本・長坂秀佳 監督・天野利彦 助監督・北本弘)1982.11.17放映
<あらすじ>
ある夜――女性が謎の男に連れて行かれ、現場に残された傘には何故か謎の数字「72839」と記されてあった。
同じ夜――特命課の桜井のもとに「霧子」と名乗る謎の女からの呼び出し電話。指定場所に桜井が駆けつけると、何者かに背後から殴打。桜井は拉致されてしまう……。特命課がその現場に赴くと、地面には謎の数字「72839」と記されてあった。
二つの事件の共通性。数字の意味は? ……そこに隠されたある人物の思惑とは? そして桜井と女の運命は――。
<私的解説>
プロット入選作第三弾は桜井刑事と、その元同僚だった元警視庁エリート警部との因縁を絡めたストーリー。刑事ものではある種定番の「刑事監禁」ネタなのか――と油断していたら、後半意表を突いた思わぬ展開を見せて驚かされる。さすが多数のプロット応募作品から厳選された選りすぐりのアイデアだけあって、一筋縄では行かなかった。
そして――この作品を最後に長坂氏は「特捜」では初の長期ブランクに突入する(この間は七ヶ月間)。それにまつわる事情については当然詳細は不明だが(というか、別に事情はないかもしれないけど)、ともあれ本作の七ヶ月後に、<長坂秀佳シリーズ>という特別ワクの「掌紋300202!」という大々傑作にて復帰を果たすことになる……。
本放送No.279 (原案・小久保英治、小久保昌治 脚本・長坂秀佳 監督・辻理 助監督・木戸田康秀)1982.9.22放映
<あらすじ>
白昼、少女が誘拐された。少女の家の経済的事情はさして豊かではなく、恨まれる理由もどうやらない。やがて少女の家に一本のビデオテープが送られてくる。
それには少女が縛り上げられている映像が映し出されていた。さらに、テロップスーパーにて母親の姉にあたり、著名慈善家・笹垣専心の妻が所有する高額なネックレスを要求! 何者かが仕掛けた究極のハイテク犯罪に、特命課の「心優しき戦士たち」が挑む――。
<私的解説>
一般公募プロットシリーズ第二弾は長坂氏お得意の誘拐が主題。それプラス、当時としてはおそらく最新鋭のクロマキーセットなどの合成を組み合わせたハイテク描写もなされており、如何にも「新らしモノ」好きの長坂氏の面目躍如たる作品に仕上がった。全編ハードなストーリー運びの本作だが、ラストシーンは特命課の面々の心洗われるシーンで救われた思いになる。
ところで本作の原案者のお一人――小久保英治氏は後に長編推理小説の公募の賞である東京創元社主催の鮎川哲也賞の第一回に「ゴールド・イリュージョン」という長編を投じて最終候補に残るが、惜しくも賞を逃す。しかしその後、同じ社が主催する第三回創元推理短編賞を「高搭奇譚」で受賞する(この時期より筆名を「伊井圭」と改名している)。そして、同作品を含めた短編集「啄木鳥探偵処」を昨年東京創元社より上梓、本格的に推理作家としてのスタートを切った。
本放送No.277 (原案・谷口義正 脚本・長坂秀佳 監督・野田幸男 助監督・北本弘)1982.9.8放映
<あらすじ>
覚醒剤組織・山根組の撲滅作戦を新宿中央署と協力しながら進行している橘。だが、何故かその作戦はいつも失敗に終っている……。
そんな時、橘に組織の末端で働く息子を救いたい一心で、息子の母親が覚醒剤取引の情報を提供した。だが――その手入れもまたもや失敗に終わり、母親とその息子は何者かに殺害された。
警察内部に、新宿中央署のなかにスパイがいる――確信する橘。スパイを洗い出すべく彼は一人、ある決意をする。
<私的解説>
放送5周年を記念した一般視聴者のプロット入選作三本は全て、メインライター長坂氏の手によって脚色された。この作品が第一弾。長坂氏はこれまで「橘の変装or潜入」をストーリーに取り入れた作品を数々発表してきた。「死体番号044の男!」「天才犯罪者・未決囚1004号!」「リンチ経営塾・消えた父親たち!」……これらの先行作品を踏まえた上での本作の橘の潜入行動は、よりスリリングかつ危険に描写されていて、橘ファンならずとも特捜ファン必見の迫力十分の出来。さながら「橘潜入モノ」究極の作品に仕上がったといえる――実際、橘のこのシリーズ(?)は本作が結果的には最後である。桜井との友情(というより信頼関係)を窺わせる数々のエピソードも忘れ難い……手錠と手帳を手渡すシーンにしろ、橘が桜井を狙撃するシーンにしろ、そしてあのラストシーン! 谷口義正氏の見事なアイデアを得て、長坂氏の筆はどこまでも冴えまくっていた。
本放送No.273 (脚本・長坂秀佳 監督・天野利彦 助監督・木戸田康秀)1982.8.11放映
<あらすじ>
高杉婦警は朝から嫌な予感に苛まれていた。以前にもこうした不吉な感覚の後、恐ろしい事件に巻き込まれた経験が去年とおととしの夏にあったのだ。
気になる幹子は占い師に手相を見てもらう。占い師は「災難の相」が出ている、「水色」に関するあらゆる物に御用心をと幹子に告げる――。
<私的解説>
毎年夏の時期に散々怖い思いをする高杉婦警の「長坂ホラーシリーズ」も遂に三作目である。一連の特捜ホラーの中では個人的には最もこの作品が怖かった気がして、本作では長坂氏は特に徹底して「怪奇性」に拘ったように思えた。あと、本作の演出を担当した天野利彦監督と長坂氏は前年の夏頃に「菊村到の暗い穴の底で」(「特捜」スタッフが制作を担当)という作品でコンビを組んでいるが、「暗い――」の中で使用されたトリック(仕掛け)が、本作で一部リメイクされた形で使用されていたりもする。因みに本作の翌週は藤井邦夫脚本・監督による異色作「恐怖の診察台!」で、この頃の特捜ホラーの充実・隆盛ぶりを窺い知れる。
ところで……長坂氏はこの後「橘警部逃亡!」などの五周年記念プロット入選作三本をシナリオ化した後、昭和58年の「掌紋300202!」まで「特捜」では七ヶ月間の沈黙に入る。従って厳密な長坂氏オリジナルの特捜作品は本作以降、「掌紋」までの実に10ヶ月間もの長きに亘って途絶えることに――。
>森川さん
そうなんですよ、「仮面ライダークウガ」! 確かに無線の声からは桜井と紅林と聞こえました……確かこの作品、警察側のレギュラーに「椿」「杉田」と植物系の漢字がつく名前があるので、それにひっかけて「桜井」と「紅林」にお鉢が回ってきたのでは、と思ってしまいましたです。
因みにこの回の脚本&監督の荒川稔久氏と渡辺勝也氏は共に「特捜」にはノータッチ。ただライターの荒川氏は愛知出身だそうで、「特捜王国」名古屋の洗礼をもしかして浴びていたのかも……。
先日、久々に「黙秘する女」を見ました。
(脱線すると紅林メインではこの作品が一番好きで、
2番目は「殺人クイズ招待状」です)
劇中、カリヤエフ(カリャーエフ)が出てくるあたりから、
元ネタとしてカミュの書いた戯曲「正義の人びと」を用いているのではないか
という気がしてきました。
人物設定や人物の主張が結構似ていて、これを刑事が出てくるドラマとして
阿井氏がアレンジしたのではないかという気がしてなりません。
ま、そのカミュにしても帝政ロシアの時代にカリヤエフ(カリャーエフ)が
起こした爆弾テロ事件をモチーフにして書いているので
何が元ネタなのかはわかりませんが。
『特捜』とは直接関係ないかもしれませんが、現在放映中の『仮面ライダークウガ』の5/14分の会話の中にでてきた刑事の名前が「桜井、紅林」なんです。本人らしき人物は見かけませんでしたが。
狙ってるのかな? スタッフは。
『特捜』といえば、担当監督の一人でもある田中秀夫氏の素顔が、東映チャンネルで放映中の『スケバン刑事』の最終回の後にやったスペシャル『スケバン刑事番外編・さよなら斎藤由貴』にて見れます。
今後の放映は5/19.22のみですから受信できる方は是非ご覧下さい。
本放送No.267 (脚本・長坂秀佳 監督・藤井邦夫 チーフ助監督・三ツ村鐵治 助監督・北浜雅弘)1982.6.30放映
<あらすじ>
吉野は警視庁の白水麻子警部補とコンビを組んで”カメラマンとその助手”に扮し、風俗店にかたっぱしから潜入、「外山マチコ」という女性を探していた。
四ヶ月前、ホテルファイブスターで発生した大火災は155名もの死傷者を出した。捜査の結果、ホテル経営者・建部川の指示で外山、そして妻のマチコが放火をした疑いが浮かび上がる。だが、外山は口封じで殺され、マチコは行方不明のままだった。
事件直後にマチコは整形手術を施し、顔を変えている事が分かった。そして脇腹にアズキ大のほくろがあることも判明した。そしてどうやらどこかの風俗店で働いているらしい……これらの手がかりをもとに吉野たちは外山マチコを探し求め続けている――。
<私的解説>
この作品もこと名古屋地区に限定するなら、一時期は「ストリップスキャンダル!」「少女・ある愛を探す旅!」と共に”再放送不可の幻の逸品”と化していた状態もあったらしい(原因は度重なる「トルコ」の看板とセリフ)。しかし前回の再放送では無事にオンエアーはなされた模様。
ただでさえ、長坂×吉野編は希少価値のある作品なのに……実に「六法全書を抱えた狼!」以来となる長坂特捜吉野メイン編。吉野と相棒の白水警部補との関係図はなかなか面白い。共に反発しあった二人が、やがてお互いを尊重しあうプロセスを、長坂氏はじっくり丁寧に描いている。二人のラストシーンもなかなか粋で良い――のだが、このラスト、シナリオと藤井演出バージョンとでは違いがありすぎる気も……。
本放送No,264 (脚本・長坂秀佳 監督・天野利彦 助監督・木戸田康秀)1982.6.9放映
<あらすじ>
叶は単身、最近連続して発生している通り魔事件の容疑者として都議会議員・西条寺をマークしていた。叶は通り魔事件の現場の一つで、たまたま西条寺に似た男を目撃していたことから、ひっかかりを覚えていた。ただし、確たる証拠は何一つない。果たして通り魔の正体は本当に西条寺なのであろうか――?
<私的解説>
長坂氏お得意の通り魔モノ、そして潔癖症の都議会議員で、しかも通り魔というややこしい犯罪者を演じたのが、癖のある役どころを演じさせると右に出るものが居ない天下無敵の西田健氏。……面白くないはずがないのである。快作! そして何気に脇を固めるゲストは岡本麗氏、黒田福美氏と密かに豪華。
しかしこの作品、西田氏の怪演も見応え十分だが、何といっても西条寺が登場する度にバックで流れるクラシック音楽(曲目不明……)のBGMが効果満点で素晴らしい。天野利彦監督お得意の「特捜以外の音楽を効果的にBGMに取り入れる」手法が抜群に冴えていた。天野監督のこの技巧は昭和59年以降の中後期作品で頂点を極めた感があって、こと長坂特捜だけに限っても「津上刑事の遺言!」における「いい日旅立ち」、「挑戦」「退職刑事船村」前後編などでの音楽センスはさすがであった。
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