海外産業博物館 No.6


アイアンブリッジ峡谷博物館 The Ironbridge Gorge Museums ・ ブリスツヒル野外博物館 Blists Hill Victorian Town

ブリスツ・ヒル製鉄所遺構

銑鉄が鍛鉄に、そして圧延されて丸棒に。製鉄技術を再現するこの迫力


石田正治  by ISHIDA Shoji


ブリスツ・ヒル製鉄所のエンジン・ハウス
高炉用送風機と蒸気エンジン

 ブリスツ・ヒル野外博物館の敷地は、ブリスツ・ヒル製鉄所の跡である。博物館の施設の多くは移築復元されたものであることは先に述べたが、溶鉱炉の遺構と炭鉱の坑道は、この地にもともとあったものである。 このブリスツ・ヒルに炭鉱を持っていたのがアイアンマスター(製鉄業者)、ウイリアム・レイノルズであった。1832年、彼の経営していたメドレー・ウッド製鉄所がこの地に製鉄所と錬鉄工場を建設する。溶鉱炉は40年、44年と順次増設されて3基の規模の大製鉄所となり、1912年まで操業していた。
 博物館に残されている遺構は、鉄鉱石やコークスの貯蔵室と高炉の炉底部、左右にあるエンジン・ハウスの建物である。エンジン・ハウス内には、写真の蒸気エンジンが据えられていた。溶鉱炉の送風機を動かすためのエンジンである。エンジンのその巨大さには驚くばかりで形容の言葉もない。
 エンジン・ハウスから道を隔てて錬鉄工場がある。こちらは移築されたものであるが、週に2回、19世紀初頭の錬鉄生産の技術を再現して見せていると言う。私の旅はいつも駆け足、残念ながらこの作業風景は見学できなかったがその設備を見れば想像はつく。鉄の歴史に関心があるならば、この実演は必見であろう。それにしても鉄の精錬から圧延という大作業を博物館が動態で保存していることは驚嘆するばかりである。わが国にも技術の世界を本物で語るこのような博物館を創りたいものだ。
(いしだ しょうじ・愛知県立豊橋工業高等学校教諭)


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