【クラム・アンド・ミー】 Vol.2[ Mookie ] | |||||
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【クラム・アンド・ミー】 Vol.1[ 長浜さち ] | |
初めて私がクラムの絵を目にしたのは『Keep on Truckin'』だったか『チープ・スリル』のジャケットだったか、あんまり記憶が定かではありませぬが、その独特な雰囲気にデフォルメされたパンチのある絵柄に一目でノックアウトされてしまったのは覚えております。 その後『フリッツ・ザ・キャット』を知り、ZAP comixを買い漁り、気付いたときにはクラムのMADワールドにずぶずぶと首まで浸かっておりました。 なんと言ってもクラムの漫画の醍醐味は、べっちょりと濃密なエロ・グロ・ナンセンスをシニカル&コミカルに料理するそのセンス! そのあまりのお下劣さと度が過ぎるブラック・ユーモアに圧倒されつつも、根底に漂う品の良さにググッときちゃったんだよねん。 けれどもその創作力の源は劣等感や復讐心だったり、変態的な性欲やどす黒い悪意だったりととっても陰湿。その歪んだエネルギーをクラムはちゃんと外に向けて放出し、そして最高のエンターテイメントにまで昇華させちゃってるからスゴイ。 だからこそクラムの産み落とすキャラクターはどいつもこいつも狂ってはいるけど、POPでキャッチ−なのだ。Mr.ナチュラルしかり、フリッツ・ザ・キャットしかり。 それでもって、その愛くるしいキャラたちがとんでもないメッチャクッチャをブッ放すもんだからその痛快さにシビレれてしまう。 イカレてるけどイカシてんだよなあ、まったく! その暖かみと味のあるタッチもかえってクラムの狂気を際立てる気もするし。 あとコミックライターとしても周知のとおり天才だが、ミュージシャンとしても粋なセンスを披露しているところもすばらしい。 戦前ジャズのSP盤コレクターでもあるクラムだが、コレクターという枠に留まらず、自ら楽器を奏で、バンドを組み、ステキな音源を残しているところも私がリスぺクトして止まない点である。 絵や音楽で自己を解放し、人生を謳歌する術を知っている奇才、ロバート・クラム。 飄々としたルックスに皮肉たっぷりのシャイな変態爺さん、ロバート・クラム。 生涯アタイの師匠です。 |